以下、添付の図面を参照しながら、発明の一実施形態について説明する。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、シートに座った者から見た、前後、左右、上下を基準とする。
図1に示すように、本実施形態の乗物用シートは、自動車に搭載される車両用シートSとして構成されており、シートクッションS1およびシートバックS2を備えている。
図2に示すように、車両用シートSは、シートのフレームを構成するシートフレームF(図3参照)に、ウレタンフォームなどからなるパッドPと、布地や皮革などからなる表皮U1,U2を被せることで構成されている。詳細については後述するが、パッドPは、内部に形成された通気路A1,A2と、乗員側の面から通気路A1,A2に連通するように形成された第1通気穴H1,H2とを有しており、車両用シートSは、送風装置70から送風された空気を、ダクトDと通気路A1,A2を通して第1通気穴H1,H2からシートに座った乗員に向けて吹き出すように構成されている。
図3に示すように、シートフレームFは、シートクッションS1のフレームを構成するクッションフレームF1と、シートバックS2のフレームを構成するバックフレームF2とを有している。バックフレームF2は、クッションフレームF1に対してリクライニング機構RLを介して連結されている。リクライニング機構RLは、公知の構成を有するものであり、シートクッションS1に対してシートバックS2を回動可能に支持している。なお、本実施形態では、シートクッションS1については、上側が「乗員側」に相当し、下側が「乗員側とは反対側」に相当する。また、シートバックS2については、リクライニング機構RLによって倒されていない状態における前側が「乗員側」に相当し、後側が「乗員側とは反対側」に相当する。
クッションフレームF1は、左右一対のクッションサイドフレーム11と、フロントフレームとしてのパンフレーム12と、リアフレームとしてのリアパイプ13と、連結パイプとしてのフロントパイプ14(図4参照)とを備えている。
一対のクッションサイドフレーム11は、シートクッションS1の左右のフレームを構成する部材であり、左右方向において対向した状態で離間して配置されている。クッションサイドフレーム11は、板金からなり、前後に長い長尺状に形成されている。
パンフレーム12は、一対のクッションサイドフレーム11の前部同士を連結する板状の部材であり、板金からなる。パンフレーム12は、左右の端部が、クッションサイドフレーム11の前端部に溶接により接続されている。
図4に示すように、リアパイプ13とフロントパイプ14は、金属製のパイプ材からなり、前後方向に離間して配置され、一対のクッションサイドフレーム11を連結するように設けられている。詳しくは、リアパイプ13は、パンフレーム12の後方でパンフレーム12に対し離間して配置され、一対のクッションサイドフレーム11の後部同士を連結している。また、フロントパイプ14は、リアパイプ13の前方でリアパイプ13に対し離間して配置され、一対のクッションサイドフレーム11の前部同士を連結している。フロントパイプ14は、パンフレーム12の下側に配置されている。
クッションフレームF1の一対のクッションサイドフレーム11の間には、支持部材30が配置されている。支持部材30は、シートに座った乗員からの荷重を受ける部材であり、複数のワイヤ部材31と、樹脂部材32とを有している。
ワイヤ部材31は、金属製の線材からなり、パンフレーム12とリアパイプ13に架設されている。ワイヤ部材31は、第1延在部31Aと、第2延在部31Bと、掛止部としての後側掛止部31Cとを主に有している。
第1延在部31Aは、左右方向に交互に屈曲しながら前後方向に延びている。第1延在部31Aの前端は、パンフレーム12に形成されたフック部12Hに掛止される前側掛止部31Dとなっている。前側掛止部31Dを含む第1延在部31Aの前端部は、樹脂で被覆されており、これによって、ワイヤ部材31(支持部材30)とパンフレーム12の接触による音の発生が抑制されている。
第2延在部31Bは、第1延在部31Aの後端から後斜め上方に向けて延びている。
後側掛止部31Cは、リアパイプ13に掛止される部分であり、第2延在部31Bの上端から延びて略円弧状をなすように湾曲している。
支持部材30は、ワイヤ部材31を4つ備えており、4つのワイヤ部材31は、左右方向に配列されている。
樹脂部材32は、ワイヤ部材31をつなぐ部材である。樹脂部材32は、樹脂からなり、インサート成形などによりワイヤ部材31の一部の全周を覆った状態でワイヤ部材31と一体に形成されている。樹脂部材32は、第1樹脂部材32Aと、第2樹脂部材32Bと、第3樹脂部材32Cと、第4樹脂部材32Dと、第5樹脂部材32Eとを含んで構成されている。
第1樹脂部材32Aは、4つのワイヤ部材31の前後方向における中央部付近同士をつないでいる。
第2樹脂部材32Bは、第1樹脂部材32Aの後方に配置され、左右方向中央に配置された2つのワイヤ部材31の前後方向における中央部付近同士をつないでいる。
第3樹脂部材32Cは、第2樹脂部材32Bの左右両側に配置され、左右方向外側に配置されたワイヤ部材31の第1延在部31Aの、左右に延びる部分と、当該部分の左右方向外側の端から後方に延びる部分とをつないでいる。
樹脂部材32A〜32Cには、上下に貫通する略矩形の貫通孔(符号省略)が形成されている。支持部材30は、当該貫通孔にワイヤハーネスを留めるためのクリップなどを係合することで、ワイヤハーネスなどの部材を保持可能な構成となっている。
第4樹脂部材32Dは、樹脂部材32B,32Cの後方に配置され、4つのワイヤ部材31の第1延在部31Aの後端部同士をつないでいる。
第5樹脂部材32Eは、隣り合って配置された2つワイヤ部材31の後端同士、具体的には、後側掛止部31C同士をつないでいる。第5樹脂部材32Eは、後側掛止部31Cを覆っており、これによって、支持部材30とリアパイプ13の接触による音の発生が抑制されている。
図5に示すように、バックフレームF2は、左右一対の板金フレーム22と、パイプフレーム23と、連結フレームとしてのロアフレーム24と、架橋フレーム25とを備えている。
一対の板金フレーム22は、左右方向において対向した状態で離間して配置されている。板金フレーム22は、板金からなり、上下に長い長尺状に形成されている。
パイプフレーム23は、金属製のパイプ材からなり、略上下に延びる左右一対のアッパーサイドフレーム23Aと、アッパーサイドフレーム23Aの上端同士を連結するように延びるアッパーフレーム23Bとを有している。一対のアッパーサイドフレーム23Aは、下部が板金フレーム22の上部に溶接により接続されていることで、一対の板金フレーム22とともに一対のバックサイドフレーム21を構成している。一対のバックサイドフレーム21は、シートバックS2の左右のフレームを構成する。本実施形態では、「一対のサイドフレーム」は、一対のバックサイドフレーム21と、クッションフレームF1の一対のクッションサイドフレーム11を含んで構成されている。
ロアフレーム24は、一対のバックサイドフレーム21の下部同士を連結する部材であり、板金からなる。ロアフレーム24は、左右の端部が、バックサイドフレーム21を構成する板金フレーム22の後端の左右内側に延出した部分に溶接により接続されている。
架橋フレーム25は、一対のバックサイドフレーム21の上部同士を連結する部材であり、板金からなる。架橋フレーム25は、左右の端部が、バックサイドフレーム21を構成するアッパーサイドフレーム23Aの上部に溶接などにより接続されている。架橋フレーム25は、下端に前方に延出した下側延出部25Aを有しており、下側延出部25Aの左右の端部には、後述するワイヤ部材60が挿入される上下に貫通した支持孔25B(図3参照)が形成されている。
バックフレームF2の一対のバックサイドフレーム21の間には、Sバネ40と、受圧部材50と、ワイヤ部材60が配置されている。
Sバネ40は、金属製の線材を上下方向に交互に屈曲させることにより形成されている。Sバネ40は、ロアフレーム24よりも上方に配置され、一対のバックサイドフレーム21に架設されている。詳しくは、Sバネ40は、左右の端部が、板金フレーム22の下部に設けられたバネ係合部22Aに上から差し込まれることで、一対のバックサイドフレーム21に架設された状態で連結されている。
受圧部材50は、シートに座った乗員からの荷重を受ける板状の部材であり、樹脂などからなる。受圧部材50は、乗員の背中と対向するように配置されている。また、受圧部材50は、下端部がSバネ40の前側に配置されている。受圧部材50は、前後に貫通した開口50Aを有している。開口50Aは、ダクトDを通すための穴であり、左右に長い略矩形状に形成されている。開口50Aは、受圧部材50の下側部分の左右方向における中央部に配置されている。詳しくは、開口50Aは、ワイヤ部材60の後述する一対の延在部61の間に配置されている。また、開口50Aは、前側から見て、Sバネ40と重ならない位置に配置されている。具体的には、開口50Aは、Sバネ40よりも上方に配置されている。
ワイヤ部材60は、受圧部材50をバックフレームF2に連結する部材であり、左右一対の延在部61と、傾斜部62と、上部連結部63と、下部連結部64とを主に有している。
延在部61は、所定方向としての上下方向(左右方向に直交する直交方向)に延びており、左右方向(所定方向に直交する方向)に並んで配置されている。
傾斜部62は、延在部61の上端から左右方向外側の斜め上方に向けて延びている。
上部連結部63は、傾斜部62の上端から上方に向けて延びている。
下部連結部64は、左右一対の延在部61、傾斜部62および上部連結部63を連結している。詳しくは、下部連結部64は、下端部が左右方向に延びており、当該下端部の左右両端から上方に向けて延びた後、屈曲して左右方向内側に向けて延びて延在部61の下端につながっている。
ワイヤ部材60は、下部連結部64がロアフレーム24の前側に留められ、上部連結部63が架橋フレーム25の下側延出部25Aに形成された支持孔25B(図3参照)に挿入されることで、バックフレームF2に連結されている。受圧部材50は、ワイヤ部材60の一対の延在部61の前側に配置され、延在部61に図示しない結束バンドなどにより留められることで、ワイヤ部材60を介してバックフレームF2に連結されている。一対の延在部61は、前側から見て、受圧部材50と重なる位置に配置されている。
図2に示すように、車両用シートSは、送風装置70と、ダクトDを備えている。
送風装置70は、一例として、シロッコファンであり、パンフレーム12の下側に配置されている。具体的には、送風装置70は、パンフレーム12にブラケット71を介して取り付けられている。
ダクトDは、シートクッションS1およびシートバックS2のパッドPに形成された通気路A1,A2と送風装置70を接続する部材であり、シートクッションS1の下側からクッションフレームF1の後側を通ってシートバックS2に向かうように延びている。図6に示すように、ダクトDは、第1ダクトD1と、第1ダクトD1の後端部に連結された第2ダクトD2とを有して構成されている。そして、第1ダクトD1は、下側管部110と、接続部120と、第1幅狭部131とを主に有し、第2ダクトD2は、第2幅狭部132と、フレキシブル部としての蛇腹部140と、第1平坦部150と、第2平坦部160と、バック接続部170とを主に有している。なお、本実施形態では、第1幅狭部131および第2幅狭部132が「幅狭部」に相当する。
図7に示すように、下側管部110は、シートクッションS1の下側、より具体的には、支持部材30の下側に配置された部分であり、略前後に延びている。下側管部110は、第1部分としての送風装置接続部111と、第2部分112と、第3部分113と、第4部分114と、第5部分としての幅広部115と、分岐管部としてのクッション接続部116(図6も参照)とを有している。
送風装置接続部111は、前端が送風装置70に接続される部分であり、前後に延びている。
第2部分112は、送風装置接続部111の後端から左右方向外側に向けて斜め後方に延びている。
第3部分113は、第2部分112の後端から後方に延びている。
本実施形態において、第2部分112は、送風装置接続部111の後端の位置から後に向かうにつれて、左右方向の寸法(幅)が徐々に大きくなっており、第3部分113は、送風装置接続部111よりも左右方向の寸法が大きくなっている。
図6に示すように、クッション接続部116は、シートクッションS1に形成された通気路A1に接続される部分であり、第3部分113の前端部から上方に突出するように延びている。クッション接続部116は、蛇腹部(符号省略)を有しており、可撓性を有するとともに上下に伸縮可能な構成となっている。図4に示すように、ダクトDは、クッション接続部116が右から2番目に配置されたワイヤ部材31のU字形状部を通って、後述するクッションパッドP1の下側から通気路A1に挿入されることで、クッションパッドP1に接続されている。クッション接続部116は、送風装置接続部111(図7参照)に対し右にずれた位置に配置された第3部分113から延びているので、本実施形態では、シートクッションS1内に配置されたワイヤ部材31などを避けた位置にクッション接続部116を設けることができる。これにより、シートクッションS1に形成された通気路A1とダクトDを容易に接続することができる。
また、本実施形態では、第3部分113の左右方向の寸法が、送風装置接続部111(図7参照)の左右方向の寸法よりも大きくなっているので、第3部分113から延びるクッション接続部116の左右方向の寸法を大きくすることができる。これにより、クッション接続部116の流路断面積を確保することができるので、ダクトD内とシートクッションS1に形成された通気路A1との間で空気を良好に流すことができる。
図7に示すように、第4部分114は、第3部分113の後端から左右方向外側に向けて斜め後方に延びている。
幅広部115は、第4部分114の後端から後方に延びている。図6に示すように、幅広部115は、左右方向の寸法D11が上下方向の寸法D12よりも大きくなっている。言い換えると、幅広部115は、上下に扁平な断面形状を有している。また、本実施形態においては、幅広部115だけでなく、下側管部110の全体が上下に扁平な断面形状を有している。シートクッションS1の下側に配置される、幅広部115を含む下側管部110は、このように上下方向の寸法が小さいので、上下に薄くすることができる。これにより、車両用シートSを上下にコンパクト化することができる。
図7に戻って、幅広部115は、支持部材30の下側で、一対のクッションサイドフレーム11の左右方向中央の位置(一点鎖線参照)よりも、一方のクッションサイドフレーム11、具体的には、右のクッションサイドフレーム11に近い位置に配置されている。言い換えると、幅広部115は、右のクッションサイドフレーム11に寄った位置に配置されている。支持部材30は乗員から荷重を受けるとシートクッションS1の中央部分が左右の端部よりも下に大きく撓むことになるが、幅広部115が右に寄った位置に配置されていることで、ダクトDと支持部材30との干渉を抑制することができる。
図2に示すように、本実施形態において、第4部分114と幅広部115は、下側傾斜部180を構成している。下側傾斜部180は、左右方向から見て、後に向かうにつれて下に位置するように傾斜して延びている。これにより、乗員がシートに座って支持部材30が下に撓んだ場合であっても、ダクトDと支持部材30との干渉を抑制することができる。
第1幅狭部131および第2幅狭部132は、クッションフレームF1の後方に配置された部分であり、略上下に延びている。第2幅狭部132は、内側の前後および左右の寸法が、第1幅狭部131の外側の前後および左右の寸法よりも若干大きくなっており、第1幅狭部131の上端部に嵌合している。これにより、第1ダクトD1と第2ダクトD2が連結されている。図6に示すように、第1幅狭部131および第2幅狭部132は、左右方向の寸法D21が、左右方向に直交する略前後方向の寸法D22よりも小さくなっている。言い換えると、第1幅狭部131および第2幅狭部132は、左右に扁平な断面形状を有している。なお、本実施形態においては、幅狭部131,132だけでなく、蛇腹部140も左右に扁平な断面形状を有している。
接続部120は、第1幅狭部131(幅狭部)と幅広部115をつなぐ部分である。接続部120は、第1幅狭部131から幅広部115に向かうにつれて、左右方向の寸法が徐々に大きくなり、かつ、上下方向の寸法が徐々に小さくなるような形状を有している。これにより、ダクトDの断面形状が第1幅狭部131から幅広部115に向けて徐々に変化することになるので、断面形状が変化しない場合と比較して、ダクトDの剛性を向上させることができる。また、接続部120でダクトDの流路断面積が小さくなるのを抑制することができるので、ダクトD内を流れる空気の流量を確保することができる。
蛇腹部140は、第2幅狭部132の上端から略上方に延びている。蛇腹部140は、山部と谷部が交互に形成されたような形状をなし、可撓性を有するとともに伸縮自在となっている。図2に示すように、蛇腹部140は、クッションフレームF1の後方、詳しくは、リアパイプ13の後方に配置されている。さらに説明すると、蛇腹部140は、リアパイプ13の下端13Aよりも上に位置している。また、蛇腹部140は、上端が、ロアフレーム24の真後ろの位置、言い換えると、後側から見てロアフレーム24と重なる位置に配置されている。
本実施形態において、第1幅狭部131、第2幅狭部132および蛇腹部140は、退避部190を構成している。退避部190は、下に向かうにつれて前に位置するように傾斜して延びている。図8に示すように、退避部190は、一対のクッションサイドフレーム11の左右方向内側の位置に配置されている。これにより、退避部190が一対のクッションサイドフレーム11の左右方向外側の位置に配置される場合と比較して、車両用シートSを左右にコンパクト化することができる。また、退避部190は、クッションフレームF1の後方において、一対のクッションサイドフレーム11の左右方向中央の位置(一点鎖線参照)よりも、右(一方)のクッションサイドフレーム11に近い位置に配置されている。言い換えると、退避部190は、右のクッションサイドフレーム11に寄った位置に配置されている。
また、ダクトDは、リアパイプ13の後側を通る部分である退避部190が、ワイヤ部材31の後側掛止部31Cに対して左右方向に異なる位置に配置されている。具体的には、退避部190が、最も右に位置する後側掛止部31Cよりも右側に配置されている。また、ダクトDは、後側から見て、ワイヤ部材31の第2延在部31Bに対しても左右方向に異なる位置に配置されている。具体的には、退避部190および幅広部115(図7参照)は、後側から見て、最も右に位置する第2延在部31Bよりも右側に配置されている。さらに言えば、本実施形態では、退避部190および幅広部115は、前後、左右および上下のいずれの方向から見ても、第2延在部31Bと重ならないように配置されている。これにより、乗員がシートに座ってワイヤ部材31(支持部材30)が下に撓んだ場合であっても、ダクトDとワイヤ部材31との干渉を抑制することができる。
第1平坦部150は、退避部190(蛇腹部140)の上端から、一対のバックサイドフレーム21の左右方向中央に向けて斜め上方に延びている。第1平坦部150は、ロアフレーム24の後側に配置されている。図6に示すように、第1平坦部150は、前後方向(ロアフレーム24と対向する対向方向)の寸法D41が、当該前後方向に直交する略上下方向の寸法D42よりも小さくなっている。言い換えると、第1平坦部150は、前後に扁平な断面形状を有している。これにより、第1平坦部150を前後方向に薄くすることができるので、車両用シートSを前後方向にコンパクト化することができる。また、コンパクト化を図りつつ、第1平坦部150とロアフレーム24との間に隙間を確保できるので、ダクトDとロアフレーム24との干渉を抑制することができる。
図8に戻って、第2平坦部160は、第1平坦部150の上端から上方に延びている。第2平坦部160は、一対のバックサイドフレーム21の左右方向中央で、Sバネ40の後側に配置されている。本実施形態において、第2平坦部160と第1平坦部150は、前後方向の寸法が、略同じ寸法となっている。第2平坦部160は、前後方向(Sバネ40と対向する対向方向)の寸法D41(図6参照)が、当該前後方向に直交する左右方向の寸法D43よりも小さくなっている。言い換えると、第2平坦部160は、前後に扁平な断面形状を有している。これにより、第2平坦部160を前後方向に薄くすることができるので、車両用シートSを前後方向にコンパクト化することができる。また、コンパクト化を図りつつ、第2平坦部160とSバネ40との間に隙間を確保できるので、ダクトDとSバネ40との干渉を抑制することができる。
図2に示すように、バック接続部170は、シートバックS2に形成された通気路A2に接続される部分であり、第2平坦部160の上端から前斜め上方に延びている。ダクトDは、バック接続部170が受圧部材50に形成された開口50Aを通って、後述するバックパッドP2の後側から通気路A2に挿入されることで、バックパッドP2に接続されている。
図4に示すように、一対のクッションサイドフレーム11の一方、具体的には、左のクッションサイドフレーム11の下側には、センサとしての公知のウェイトセンサWSが配置されている。本実施形態において、ダクトDは、左右方向において、一対のクッションサイドフレーム11のうちの一方である左のクッションサイドフレーム11よりも、一対のクッションサイドフレーム11の他方である右のクッションサイドフレーム11に近い位置に配置されている。言い換えると、ダクトDは、左右方向において、ウェイトセンサWSが配置されていないクッションサイドフレーム11に近い位置に配置されている。これにより、ダクトDと、ウェイトセンサWSや当該ウェイトセンサWSから延びる図示しない電線などとの干渉を抑制することができる。
また、支持部材30を構成する樹脂部材32は、上側から見て、ダクトDと重なるように配置されている。詳しくは、第1樹脂部材32Aは、右側部分が、上側から見てダクトDの第3部分113と重なるように、第3部分113の上側に配置されている。また、右の第3樹脂部材32Cは、上側から見てダクトDの幅広部115と重なるように、幅広部115の上側に配置されている。さらに、第4樹脂部材32Dは、右端部が、上側から見て幅広部115と重なるように、幅広部115の上側に配置されている。これにより、乗員がシートに座ったときに支持部材30が下に撓んでダクトDと干渉した場合であっても、まず樹脂部材32A,32C,32DがダクトDに接触することになるので、ダクトDと支持部材30が接触することによる影響、例えば、音の発生や接触の際の衝撃などを低減することができる。
また、図7に示すように、本実施形態では、下側管部110は、第2部分112が右斜め後方に延びて右のクッションサイドフレーム11に近づき、第3部分113で後方に略まっすぐ延びた後、第4部分114が右斜め後方に延びて右のクッションサイドフレーム11にさらに近づくように設けられているので、ダクトDを右のクッションサイドフレーム11に徐々に近づけるように配置することができる。これにより、ダクトD内における流路の急激な変化を抑制することができるので、ダクトD内で空気を良好に流すことができる。
図9に示すように、バックフレームF2には、カバー部材80が配置されている。カバー部材80は、ダクトDがシートバックS2の通気路A2に接続する部分であるバック接続部170を後側から覆う部材である。カバー部材80は、樹脂などから左右に長い板状に形成されている。カバー部材80は、左右の端部が、一対のバックサイドフレーム21の後端の左右内側に延出した部分にボルト締結などにより固定されて取り付けられている。このようなカバー部材80を備えることで、カバー部材80によってダクトDとシートバックS2のパッドP(バックパッドP2)が接続する部分を保護することができる。
図10および図11に示すように、車両用シートSは、サイドフレームカバー90をさらに備えている。サイドフレームカバー90は、右のクッションサイドフレーム11の後端部を覆う部材である。サイドフレームカバー90は、樹脂からなり、サイドフレームカバー部91と、ダクトカバー部92と、リクライニング機構カバー部93とを有している。
サイドフレームカバー部91は、右のクッションサイドフレーム11の後端部の左右方向内側を覆う部分である。サイドフレームカバー部91は、バックサイドフレーム21の下端部の前側、下側および後側にわたるように配置されている。
ダクトカバー部92は、クッションフレームF1の後方において、ダクトDの一部である退避部190を覆う部分である。詳しくは、ダクトカバー部92は、リアパイプ13の後方に配置され、第1幅狭部131、第2幅狭部132および蛇腹部140を覆っている。ダクトカバー部92は、サイドフレームカバー部91の後端から後方に向けて退避部190の後の位置まで延びる第1サイドカバー部92Aと、第1サイドカバー部92Aの後端から左右方向内側に向けて延びて退避部190を後から覆うリアカバー部92Bとを有している。リアカバー部92Bは、後斜め下方に凸となる弓状の断面形状を有し、退避部190に沿って下に向かうにつれて前に位置するように延びている。
リクライニング機構カバー部93は、リクライニング機構RLを覆う部分であり、左右方向内側および下側が開放された略カップ状に形成されている。リクライニング機構カバー部93は、サイドフレームカバー部91からリクライニング機構RLの周面に沿って延びるように形成されて、リクライニング機構RLの後側、上側および前側を覆う周面カバー部93Aと、リクライニング機構RLの左右方向外側を覆う第2サイドカバー部93Bとを主に有している。
サイドフレームカバー部91、ダクトカバー部92およびリクライニング機構カバー部93は、一部品として一体に形成されていてもよいし、一部が別部品として構成されていてもよい。一例として、ダクトカバー部92は、サイドフレームカバー部91に対し、ダクトカバー部92が一体に形成され、リクライニング機構カバー部93が別体として形成されて、サイドフレームカバー部91の後端部に設けた穴に、リクライニング機構カバー部93に設けた爪を係合させることで、リクライニング機構カバー部93がサイドフレームカバー部91に取り付けられるような構成とすることができる。
ダクトカバー部92とサイドフレームカバー部91を一体に設けることで、クッションサイドフレーム11のカバーと、ダクトDのカバーを別々に設ける必要がなくなるので、車両用シートSの部品点数を減らすことができる。また、サイドフレームカバー部91、ダクトカバー部92およびリクライニング機構カバー部93を一体に設けた場合には、サイドフレームカバー90に、ダクトDの保護だけではなく、リクライニング機構RLの保護という機能も持たせることができるので、車両用シートSの部品点数をより減らすことが可能となる。
図2に示すように、パッドPは、シートクッションS1のパッドを構成するクッションパッドP1と、シートバックS2のパッドを構成するバックパッドP2を含む。
図1に示すように、クッションパッドP1は、中央部P11と、中央部P11の左右両側に設けられて中央部P11よりも上側に張り出した左右一対の側部P12とを有しており、バックパッドP2は、中央部P21と、中央部P21の左右両側に設けられて中央部P21よりも前側に張り出した左右一対の側部P22とを有している。
図12に示すように、クッションパッドP1は、通気路A1を構成する溝211が形成された第1部材210と、第1通気穴H1が上下に貫通するように形成された板状の第2部材220とを含んで構成されている。また、第1部材210は、第1部材本体230と、溝211が上下に貫設された板状の溝形成部材240とを含む。溝形成部材240は、第1部材本体230の上側の面に重なって配置されており、第2部材220は、溝形成部材240(第1部材210)の上側の面に重なって配置されている。
第1部材本体230は、溝形成部材240および第2部材220とともに中央部P11を構成する本体中央部231を有し、本体中央部231の左右両側に一対の側部P12が形成されている。本体中央部231は、前側部分に、溝形成部材240および第2部材220が重なって配置される凹部232を有している。凹部232の底面の後端部には、上下に貫通した第2通気穴250が形成されている。第2通気穴250は、第1部材本体230(クッションパッドP1)の下側の面から通気路A1に連通している。ダクトDは、クッション接続部116(図6参照)が第2通気穴250に下側から挿入されることで、クッションパッドP1に接続されている。図13に示すように、第2通気穴250は、クッションパッドP1の左右方向中央(一点鎖線参照)から右にずれた位置に配置されている。
溝形成部材240は、通気路A1を構成する、上下に貫通した溝211を有している。クッションパッドP1の通気路A1は、第1部材本体230の凹部232の上に、溝形成部材240および第2部材220がこの順に重なって配置され、溝211の上下が第2部材220と第1部材本体230によって塞がれることで形成されている。通気路A1は、上側から見て、第1通気路261と、第2通気路262と、第3通気路263と、第4通気路264と、第5通気路265とを含んでいる。
第1通気路261は、左右方向に交差する方向、具体的には、略前後方向に延びている。第1通気路261は、一端である後端が、第4通気路264、第5通気路265、第2通気穴250およびダクトDを介して送風装置70に連通している。
第2通気路262は、第1通気路261の他端である前端から第1通気路261が延びる方向とは異なる方向、具体的には、左右方向内側に向けて延びている。
第3通気路263は、第2通気路262の第1通気路261側とは反対側の端である左右方向内側の端から左右方向に交差する方向、具体的には、第1通気路261の後端側に向けて第1通気路261と略平行に延びている。
本実施形態では、第1通気路261、第2通気路262および第3通気路263からなる略U字状の流路が、クッションパッドP1の左右方向中央を基準として左右対称に2つ形成されている。これにより、クッションパッドP1の通気路A1が形成されていない部分で乗員をバランス良く支持することができるので、通気路A1が第1通気路261、第2通気路262および第3通気路263を含む構成においても、シートに座ったときの着座フィーリングを良好にすることができる。
第4通気路264は、左右の第1通気路261の後端同士をつなぐ流路であり、略左右に延びている。
第5通気路265は、第2通気穴250と第4通気路264をつなぐ流路であり、略前後に延びている。詳しくは、第5通気路265は、クッションパッドP1の左右方向中央から右にずれた位置に配置された第2通気穴250から、クッションパッドP1の左右方向中央に向けて斜め前方に延びて、第4通気路264の左右方向における中央部につながっている。
溝形成部材240は、第1部材本体230に接着剤などにより固着されている。
第2部材220は、通気路A1に連通する複数の第1通気穴H1を有している。クッションパッドP1の第1通気穴H1は、第1穴271と、第2穴272と、第3穴273と、第4穴274とを含んでいる。
第1穴271は、第1通気路261に連通する穴であり、略前後に延びる第1通気路261に沿って複数形成されている。具体的には、第1穴271は、第1通気路261に沿って略前後に並んで配置された2つの第1穴271Aと、後に位置する第1穴271Aの左右方向外側に並んで配置された1つの第1穴271Bとを含む。
第2穴272は、第3通気路263に連通する穴であり、略前後に延びる第3通気路263に沿って複数形成されている。具体的には、第2穴272は、第3通気路263に沿って略前後に並んで配置された2つからなる。
前後に並ぶ第1穴271Aの列と第2穴272の列は、第2通気路262が延びる方向、具体的には、左右方向に並んで配置されている。
第3穴273は、第1通気路261の後端部に連通する穴であり、第4穴274は、第4通気路264の左右の端部に連通する穴である。
第2部材220は、溝形成部材240および第1部材本体230(第1部材210)に接着剤などにより固着されている。
図4に示すように、クッションパッドP1がクッションフレームF1を覆った状態で、フロントパイプ14は、クッションパッドP1の下側に配置されている。この状態において、フロントパイプ14は、上側から見て、第1通気路261、第2通気路262および第3通気路263と異なる位置に配置されている。具体的には、フロントパイプ14は、上側から見て、第1通気路261、第2通気路262および第3通気路263の後方に配置されている。
また、クッションパッドP1がクッションフレームF1を覆った状態で、パンフレーム12は、クッションパッドP1の前端部の下側に配置され、下側からクッションパッドP1を支持している。この状態において、パンフレーム12は、上側から見て、第1通気路261、第2通気路262および第3通気路263と重なるように配置されている。言い換えると、パンフレーム12は、第1通気路261、第2通気路262および第3通気路263が形成された部分の下側に配置されている。なお、本実施形態では、パンフレーム12が「パッド支持部材」に相当する。クッションパッドP1の通気路261〜265が形成された部分は、通気路261〜265が形成されていない部分と比較して変形しやすくなっているが、本実施形態では、通気路261〜263が形成された部分をパンフレーム12によって支えることができるので、クッションパッドP1の過剰な変形を抑制することができる。特に本実施形態では、クッションパッドP1の通気路261〜263が形成された変形しやすい部分を、板状のパンフレーム12によって面で支えることができるので、クッションパッドP1の過剰な変形をより抑制することができる。
図14に示すように、バックパッドP2は、通気路A2を構成する溝311が形成された第1部材310と、第1通気穴H2が前後に貫通するように形成された板状の第2部材320および第3部材330とを含んで構成されている。第2部材320および第3部材330は、第1部材310の前側の面に重なって配置されている。なお、本実施形態では、バックパッドP2が「受圧部材の乗員側を覆うパッド部材」に相当する。
第1部材310は、後方に向けて凹む形状の有底の溝311と、前後に貫通した第2通気穴350とを有している。
バックパッドP2の通気路A2は、第1部材310の前に、第2部材320および第3部材330が重なって配置され、溝311の前側が第2部材320および第3部材330によって塞がれることで形成されている。通気路A2は、第1路361と、一対の第2路362と、一対の第3通気路としての一対の第3路363と、第4通気路としての一対の第4路364および2つの第5路365と、第6路366と、第7路367と、第1通気路としての一対の分岐路368とを含んでいる。
第1路361、第2路362、第3路363、第4路364および第5路365は、中央部P21の上下方向中央付近に形成されている。
第1路361は、左右方向に延びている。第2通気穴350は、第1部材310(バックパッドP2)の後側の面から通気路A2を構成する第1路361に連通している。ダクトDは、バック接続部170(図6参照)が第2通気穴350に後側から挿入されることで、バックパッドP2に接続されている。
第2路362は、第1路361の左右の端から左右方向外側の斜め上方に向けて延びている。
第3路363は、第2路362の上端から上下方向(左右方向に直交する直交方向)、具体的には、上方に向けて延びている。一対の第3路363は、左右方向に並んで配置されている。
第4路364は、第3路363の上端から左右方向内側の斜め上方に向けて延びて、上端同士がつながっている。言い換えると、一対の第4路364は、一対の第3路363の上端同士をつないでいる。
第5路365は、一対の第3路363の左右方向内側の位置に配置され、左右方向に延びて一対の第3路363同士をつないでいる。2つの第5路365は、上下方向に並んで配置されている。第1路361、第2路362、第3路363および第4路364は、溝の前後方向の寸法(深さ)が略同じであるが、第5路365は、溝の前後方向の寸法がこれらよりも小さく(浅く)なっている。
第6路366および第7路367は、中央部P21の上側部分に形成されている。
第7路367は、左右方向に延びている。
第6路366は、一対の第4路364の上端と第7路367の左右方向中央部とをつなぐ流路であり、略上下に延びている。
分岐路368は、第3路363の上下方向中央付近から、バックパッドP2の前側の面に沿って左右方向外側に向けて延びている。詳しくは、図15に示すように、分岐路368は、第3路363の上下方向中央付近から、バックパッドP2の左右方向外側に向かうにつれて上側(直交方向の他方側)に位置するように上下方向に対して斜めに延びている。言い換えると、分岐路368は、第3路363の上下方向中央付近から左右方向外側の斜め上方に向けて延びている。なお、本実施形態では、第3路363の分岐路368に接続する位置から下側(直交方向の一方側)に延びる部分と、第2路362と、第1路361が、分岐路368と第2通気穴350を連通する「第2通気路」に相当する。
第2部材320および第3部材330は、通気路A2に連通する複数の第1通気穴H2(図14参照)を有している。バックパッドP2の第1通気穴H2は、第2部材320に形成された第1穴371、第2穴372、第3穴373、第4穴374および第5穴375と、第3部材330に形成された第6穴376とを含んでいる。
第1穴371は、第3路363の下端部付近に連通する穴である。
第2穴372は、第3路363の上下方向中央付近、言い換えると、第3路363の分岐路368が接続する位置に連通する穴である。
第3穴373は、第4路364の下端部付近に連通する穴である。
第4穴374は、第5路365に連通する穴であり、各第5路365の左右方向における中央と両端部付近に対向する位置に1つずつ、合計で6つ形成されている。
第5穴375は、分岐路368に連通する穴である。第5穴375は、左右方向における中央部P21の端部、詳しくは、第2部材320の左右の端部に配置されている。
第6穴376は、第7路367に連通する穴であり、第7路367の左右の端部に対向する位置に1つずつ形成されている。
バックパッドP2は、通気穴形成部としての第2部材320の左右両側および上側(左右方向に直交する方向の一方側)に略U字状の吊り込み溝380を有している。バックパッドP2には、吊り込み溝380内に表皮U2(図16参照)を吊り込むための図示しない吊りワイヤがインサート成形により吊り込み溝380に沿うように埋設されており、吊りワイヤは、吊り込み溝380の底部に形成された複数の穴381から部分的に露出している。シートバックS2の表皮U2は、当該表皮U2に設けられたフックなどを吊りワイヤの穴381から露出した部分に係合させることでバックパッドP2に留められている。
図16に示すように、分岐路368は、吊り込み溝380に表皮U2を吊り込むことで、表皮U2によって一端である左右方向外側の端が閉じている。分岐路368は、第5穴375と対向する対向面368Aを有している。対向面368Aは、分岐路368の左右方向外側の端部に配置されている。詳しくは、対向面368Aは、分岐路368の左右方向における中央の位置よりも左右方向外側の位置に配置されている。対向面368Aは、前側から見たバックパッドP2の縁、具体的には、左右方向外側の縁に近づくにつれて前側に近づくように傾斜している。対向面368Aは、第1部材310に形成されている。
第2部材320および第3部材330(図14参照)は、第1部材310に接着剤などにより固着されている。
図15に戻って、通気路A2は、前側から見て、ワイヤ部材60と交差するように配置されている。具体的には、斜めに延びる第2路362および第4路364は、前側から見て、ワイヤ部材60の延在部61と交差するように配置されている。また、第5路365は、左右の端部が延在部61と交差するように配置されている。一方で、第1路361および第3路363は、前側から見て、延在部61と異なる位置に配置されている。詳しくは、第1路361は、延在部61の左右方向内側の位置に配置されており、第3路363は、延在部61の左右方向外側の位置に配置されている。また、第6路366は、ワイヤ部材60の傾斜部62および上部連結部63の下端部の左右方向内側の位置に配置されており、第7路367は、上部連結部63の上端部の左右方向内側の位置に配置されている。
クッションパッドP1およびバックパッドP2は、通気路A1,A2が形成された第1部材210,310と、第1通気穴H1,H2が形成された第2部材220,320を含んで構成されているので、通気路A1,A2と第1通気穴H1,H2を有するパッドを一体に形成する場合と比較して、パッドPを容易に形成することができる。さらに言えば、通気路261〜263を含む通気路A1を有するクッションパッドP1や、傾斜した対向面368Aが形成された通気路A2を有するバックパッドP2を容易に形成することができる。また、クッションパッドP1については、第1部材210が、第1部材本体230と、溝形成部材240とから構成されているので、通気路261〜263を含む複雑な形状の通気路A1を有する第1部材210を容易に形成することができる。これにより、クッションパッドP1をより容易に形成することができる。
以上説明した本実施形態によれば、図2に示すように、シートクッションS1の後部において、ダクトD(退避部190)をサイドフレームカバー90のダクトカバー部92によって保護することができるので、後席の乗員の足がダクトDに当たるのを抑制することができる。
また、ダクトカバー部92が蛇腹部140を覆っているので、後席の乗員の足がダクトDの軟らかい部分である蛇腹部140に当たるのを抑制することができる。
また、蛇腹部140がリアパイプ13の下端13Aよりも上に位置しているので、蛇腹部がリアパイプ13の下端13Aよりも下に位置する場合と比較して、後席の乗員の足がダクトDの蛇腹部140に当たるのをより抑制することができる。
また、幅狭部131,132は左右方向の寸法(幅)が小さいので、後席の乗員の足がダクトDの幅狭部131,132に当たるのを抑制することができる。また、幅狭部131,132は、左右の寸法が小さく、略前後の寸法が大きい、略前後方向からの荷重に強い形状となっているので、仮に、後席の乗員の足が幅狭部131,132に当たった場合でも、ダクトDの変形などを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、シートクッションS1の後部において、図8に示したように、ダクトDの退避部190が右のクッションサイドフレーム11に寄せて配置されることになるので、後席の乗員の足がダクトDに当たるのを抑制することができる。
また、退避部190が下に向かうにつれて前に位置するように傾斜して延びているので、シートクッションS1の後部において、ダクトDの退避部190が後席の乗員の足から離れるように配置されることになる。これにより、後席の乗員の足がダクトDに当たるのをより抑制することができる。
また、本実施形態によれば、ダクトDのバック接続部170を受圧部材50の開口50Aを通してバックパッドP2に形成された通気路A2に接続することができるので、車両用シートSが板状の受圧部材50を備える構成においてもバックパッドP2の通気路A2とダクトDを容易に接続することができる。
また、開口50Aが後側から見てSバネ40と重ならない位置に配置されているので、ダクトDのバック接続部170を受圧部材50の開口50Aに簡単に通すことができる。これにより、バックパッドP2の通気路A2とダクトDをより容易に接続することができる。
また、本実施形態によれば、図13に示したように、クッションパッドP1の第1通気穴H1が、第1通気路261に連通する第1穴271と、第3通気路263に連通する第2穴272とを含むので、シート表面の広い範囲に空気を通すことができる。一方で、第1通気路261、第2通気路262および第3通気路263を連続した流路として形成することができるので、送風装置70に連通する流路の数を減らすことができる。これにより、通気路A1内で空気の流れが弱まるのを抑制することができるので、クッションパッドP1内で空気を良好に流すことができる。
また、第1穴271Aの列と第2穴272の列が左右方向に並んで配置されているので、シート表面のより広い範囲に空気を通すことができるとともに、複数の第1通気穴H1を効率良く配置することができる。
また、第5通気路265が第2通気穴250から左右方向中央に向け斜め前方に延びて第4通気路264につながっているので、第2通気穴250と第4通気路264をつなぐ第5通気路265に急激に屈曲する部分がない。これにより、空気を、第2通気穴250から第5通気路265を通して第4通気路264へ、さらにはその先の第1通気路261、第2通気路262および第3通気路263を通して第1通気穴H1へ良好に流すことができる。
また、本実施形態によれば、図16に示したように、バックパッドP2の分岐路368の対向面368Aが左右方向外側の縁に近づくにつれて前側に近づくように傾斜しているので、第5穴375を通る空気を対向面368Aの傾斜に沿って流すことができる。これにより、空気を良好に流すことができる。
また、対向面368Aが分岐路368の左右方向外側の端部に配置されているので、長く延びる分岐路368の途中に対向面が配置される場合と比較して、空気を流すのに対向面368Aの傾斜を効果的に利用することができる。これにより、空気をより良好に流すことができる。
また、第5穴375が左右方向における中央部P21の端部に配置されているので、第5穴375から空気(破線参照)を吹き出したときに、対向面368Aの傾斜に沿って勢いよく流れる空気を、乗員の体をかすめるように第5穴375から吹き出すことができる。これにより、冷涼感を増すことができる。
また、分岐路368が第2通気穴350から遠ざかるように左右方向外側の斜め上方に延びていることで、第2通気穴350から流入した空気を第1路361および第2路362を通して第3路363から分岐路368へ良好に流すことができる。
以上、発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。なお、以下では、前記実施形態と同様の構成については同一符号を付して適宜説明を省略し、前記実施形態と異なる点について詳細に説明する。
例えば、図17に示すように、サイドフレームカバー90は、ダクトカバー部92が、内側の面からダクトDに向けて突出するリブ状の凸部95を有し、凸部95が蛇腹部140の谷部に入り込んで係合する構成としてもよい。これによれば、ダクトDとダクトカバー部92の凸部95との係合によってダクトDの位置を規制することができるので、ダクトDの動きを抑制することができる。
また、図17に示すように、受圧部材50の開口50Aは、開口縁部でダクトDを保持できるように設けてもよい。このような構成によれば、受圧部材50によってダクトDを保持できるので、ダクトDを保持するための部材を別に設ける必要がなくなり、車両用シートSの部品点数を減らすことができる。また、図8に示したように、開口50Aがワイヤ部材60の一対の延在部61の間に配置されている構成で、受圧部材50によってダクトDを保持した場合には、受圧部材50の一対の延在部61の間の剛性が高い部分でダクトDを保持できるので、ダクトDを受圧部材50でしっかりと保持することができる。
また、前記実施形態では、受圧部材50の開口50Aが一対の延在部61の間に配置されていたが、これに限定されず、例えば、開口は、左右方向(所定方向に直交する方向)において、延在部61よりも外側に配置されていてもよい。一例として、図18に示すように、ダクトDを通すための開口50Bは、延在部61の左右方向外側の位置、具体的には、右の延在部61の右側の位置に配置されている。受圧部材50の一対の延在部61の左右方向外側の部分は、一対の延在部61の間の部分よりも撓みやすいので、撓みやすい部分に開口50Bを配置することで、開口50BにダクトDを容易に接続することができる。なお、開口50Bは、左の延在部61の左側の位置に配置されていてもよい。
また、前記実施形態では、1本のワイヤ部材60で受圧部材50をバックフレームF2に連結したが、これに限定されず、2本のワイヤ部材で受圧部材50をバックフレームF2に連結してもよい。また、前記実施形態では、1本のワイヤ部材60が一対の延在部61を有していたが、2本のワイヤ部材で受圧部材50をバックフレームF2に連結する場合には、各ワイヤ部材が延在部を1つずつ有する構成としてもよい。
また、前記実施形態では、受圧部材50が動作しない構成であったが、これに限定されず、例えば、受圧部材50は、前後に移動したり、前側に弓なりに撓んだりすることで、乗員の腰部に当たる部分の形状を変化させて、乗員の腰部のサポート状態を変えることができるように構成されていてもよい。この場合、受圧部材50を動かすためのアクチュエータのような受圧部材駆動装置は、図8を参考にして説明すると、一対のバックサイドフレーム21の一方、具体的には、左のバックサイドフレーム21に配置されていることが望ましい。ダクトDは、左右方向において、一対のバックサイドフレーム21のうち、左(一方)のバックサイドフレーム21よりも右(他方)のバックサイドフレーム21に近い位置に配置されているので、ダクトDと、受圧部材駆動装置や当該受圧部材駆動装置から延びる電線などとの干渉を抑制することができる。また、受圧部材駆動装置は、一対のサイドフレームの左右方向内側に配置されていることが望ましい。これにより、車両用シートを左右にコンパクト化することができる。
また、受圧部材駆動装置が、右のバックサイドフレーム21やクッションサイドフレーム11に配置されて、左右方向の位置がダクトDと重なる場合、受圧部材駆動装置は、前後方向の位置または上下方向の位置がダクトDと異なることが望ましい。例えば、受圧部材駆動装置を前に、ダクトDの後に配置することが望ましい。これによれば、ダクトDと受圧部材駆動装置との干渉を抑制することができる。また、シートクッションにおいてダクトを受圧部材駆動装置の下側に配置し、また、シートバックにおいてダクトを受圧部材駆動装置の後側に配置することで、ダクトとパッドとの干渉を抑制することができる。なお、受圧部材50が前後に動く場合には、図17に示すように、バック接続部170の後端部に前後に伸縮する蛇腹部171を設けることが望ましい。これによれば、受圧部材50が動いたときに、ダクトDがバックパッドP2から外れるのを抑制することができる。また、受圧部材駆動装置は、アクチュエータに限定されず、例えば、アクチュエータを制御する制御ユニットなどであってもよい。
また、前記実施形態では、サイドフレームカバー90がクッションサイドフレーム11の一部である後端部を覆う構成であったが、これに限定されず、例えば、クッションサイドフレーム11の全体を覆う構成であってもよい。また、例えば、ダクトカバー部92は、フレキシブル部としての蛇腹部140の一部だけを覆う構成であってもよいし、全体を覆う構成であってもよい。
また、前記実施形態では、図4に示したように、パッド支持部材としてのパンフレーム12が通気路261〜263の全体と重なるように配置されていたが、これに限定されない。例えば、図4を参考にして説明すると、パンフレーム12は、上側から見て、第2通気路262の全体と、第1通気路261および第3通気路263の前側部分と重なるように配置されていてもよい。言い換えると、パッド支持部材は、第1通気路、第2通気路および第3通気路の少なくとも一部と重なるように配置されていてもよい。また、パッド支持部材は、パンフレーム12のような板状の部材に限定されず、例えば、パイプ材からなる部材などであってもよい。
また、前記実施形態では、クッションパッドP1に第1通気穴H1としての第1穴271および第2穴272がそれぞれ複数形成されていたが、これに限定されず、例えば、第1穴を複数形成し、第2穴を1つだけとした構成としてもよいし、逆であってもよい。言い換えると、第1穴および第2穴は、それぞれ少なくとも1つ形成されていればよい。また、前記実施形態では、クッションパッドP1の第2通気穴250が左右方向中央から右にずれた位置に配置されていたが、これに限定されず、例えば、クッションパッドP1の左右方向中央から左にずれた位置に配置されていてもよいし、左右方向中央に配置されていてもよい。また、前記実施形態では、通気路261〜263からなる流路が2つ形成されていたが、これに限定されず、3つ以上であってもよいし、1つであってもよい。
また、前記実施形態では、分岐路368(第1通気路)の一端が閉じていたが、これに限定されず、閉じていない構成であってもよい。また、第1通気路に連通する第5穴375(第1通気穴)は、各第1通気路に対して複数設けられていてもよい。
また、前記実施形態では、クッションパッドP1およびバックパッドP2が複数の部材を含んで構成されていたが、これに限定されず、例えば、各パッドは、1部材から構成されていてもよい。
また、前記実施形態では、ダクトDがフレキシブル部として蛇腹部140を有していたが、これに限定されず、フレキシブル部は、可撓性を有するものであれば、その構成は特に問わない。
また、前記実施形態では、支持部材として、複数のワイヤ部材31と、ワイヤ部材31をつなぐ樹脂部材32とを有するものを例示したが、これに限定されない。例えば、支持部材は、複数のワイヤ部材の略全体が樹脂部材(樹脂)で覆われて連結された構成であってもよい。また、支持部材は、Sバネなどのワイヤ状の部材だけからなる構成であってもよい。
また、前記実施形態では、送風装置70としてシロッコファンを例示したが、これに限定されず、例えば、プロペラファンやターボファンなどであってもよい。また、前記実施形態では、車両用シートSが第1通気穴H1,H2から空気を吹き出すように構成されていたが、これに限定されず、例えば、第1通気穴から空気を吸い込むように構成されていてもよい。また、送風装置は、例えば、羽根車の回転方向を切り替えることで、送風と吸引を切り替えることができるものであってもよい。また、前記実施形態では、車両用シートSが送風装置70を備えていたが、車両用シート自体は送風装置を備えない構成であってもよい。言い換えると、送風装置は、車両用シートが搭載される自動車の車体に設けられていてもよい。この場合、車両用シートは、ダクトが、例えば、車体に設けられた空気の吹出口または吸引口に接続される構成とすることができる。
また、前記実施形態では、クッションサイドフレーム11の下側に配置されるセンサとして、シートの重量を検出するウェイトセンサWSを例示したが、これに限定されず、例えば、シートの前後位置を検出するポジションセンサなどであってもよい。
また、前記実施形態で説明したシートクッションS1のフレームやパッドなどと同様の構成をシートバックに適用してもよいし、シートバックS2のフレームやパッドなどと同様の構成をシートクッションに適用してもよい。また、前記実施形態では、通気路が、シートクッションおよびシートバックの両方に形成されていたが、これに限定されず、シートクッションおよびシートバックのいずれか一方だけに形成された構成であってもよい。
また、前記実施形態では、乗物用シートとして自動車に搭載される車両用シートSを例示したが、これに限定されず、自動車以外の乗物、例えば、鉄道車両や船舶、航空機などに搭載されるシートであってもよい。
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。