JP2019205827A - 車椅子および手押し車 - Google Patents
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Abstract
【課題】傾斜面の移動時に座面を簡単な操作で望ましい姿勢に調整でき、構成を簡易にした車椅子を提供する。【解決手段】椅子本体の骨格を形成する上部フレーム1と、車輪を支持する左右一対の下部フレーム2とを備え、各下部フレームは、車輪が接する面に沿って配置される基部フレーム20と、基部フレームの上面の少なくとも3箇所に立設される支柱フレーム21と、各支柱フレームを相互に連結する連結フレーム22と、各支柱フレームのそれぞれに沿って上下動が可能な柱状の可動部材3とを有し、各支柱フレームは、所定の間隔で車輪の進行方向に沿って並んで配列されており、各可動部材は、各支柱フレームの列の中央に位置する支柱フレームに沿って上下動が可能な可動部材が下方への移動ができない高さ位置にあるときに当該可動部材を軸としてその前後の可動部材が揺動可能となるように下方への移動可能量が設定されて上部フレームに吊り支持される、車椅子。【選択図】図1
Description
本発明は、車椅子およびその他の手押し車に関する。
一般的な手動式の車椅子では、座席を支持するフレームと車輪を支持するフレームとが一体化されているため、坂道を移動するときにその勾配に沿って座席が大きく傾いて、利用者に不安や乗り心地の悪さを感じさせる。その座席の傾きによって身体のバランスもとりにくくなるので、自走式の車椅子でも利用者ひとりで移動することが困難になる。介助者がいる場合でも、利用者が座席からずり落ちたり車椅子を転倒させることがないよう、細心の注意を払う必要があるため、介助者に大きな負担がかかる。
上記の問題を解決できる工夫を入れたものとして、たとえば、特許文献1には、縦断面が下に膨らむ円弧状のレールに座席を摺動可能に支持し、路面の傾斜に伴うレールの傾きを利用して座席を前または後に移動させることによって、傾斜面を走行するときでも座席を水平な状態に維持できる構成の車椅子が開示されている。
また特許文献2には、シートクッションを支えるシートフレーム、シートフレームを摺動可能に支持するシートレール、シートフレームの後方位置で後上がりに傾斜する傾斜レールなどを備え、車体が傾斜したときに利用者が上体を後方に移動させることによってシートレールの後部をシートレールから傾斜フレームに転動させて、シートクッションの水平姿勢が維持されるようにした構成の車椅子が開示されている。
特許文献3には、シート,背もたれ,フットレスト等を形成する上部フレームと車輪を支持する下部フレームとが互いに対称に各々左右一対として形成され、対称なフレーム同士が互いに連結されると共に、前端部のフットレストの左右、背もたれの左右、および座席中央真下付近の5箇所で上下のフレームが連結された構成の車椅子が開示されている。
この特許文献3に記載の車椅子では、背もたれの連結部にバネ付き連結器を設け、座席の下方の連結部に緩衝装置を設けることによって、段差や路面の凹凸による振動が吸収されるようにしている。
この特許文献3に記載の車椅子では、背もたれの連結部にバネ付き連結器を設け、座席の下方の連結部に緩衝装置を設けることによって、段差や路面の凹凸による振動が吸収されるようにしている。
特許文献1に記載された構成の車椅子では、座席の移動機構が必要でコスト高となる上に、車椅子が大型化し、実用化するのは困難である。
特許文献2に記載された車椅子も同様に構成が複雑で、コストがかかるという問題がある。また、この特許文献2の車椅子は、自分で姿勢を調整することができる人でないと利用することができず、介護用の車椅子に適用することは不可能である。
特許文献3に記載された車椅子は、上下および左右に分離した4つのフレームを複数の箇所で連結する必要があるため、構成が非常に複雑になる。しかも、この車椅子では小さな段差や凹凸の影響を吸収できるだけで、傾斜が急な坂道を移動するときの座面の傾きを防ぐことは困難である。
ベビーカーや荷物を運ぶ台車などでも、ヒトや物を載せる台部を安定した姿勢で支持する必要があるが、特許文献1〜3に記載された発明を車椅子以外の手押し車に適用することは困難である。
本発明は上記の問題に着目してなされたもので、車椅子およびヒトまたは物を載せて運ぶ手押し車全般を対象として、傾斜面を移動するときの座面や台部の面を簡単な操作で望ましい姿勢に調整できるようにすること、およびその調整機能を簡易な構成によって実現することを課題とする。
本発明による車椅子は、椅子本体の骨格を形成する上部フレームと、車輪を支持する左右一対の下部フレームとを備える。各下部フレームは、車輪が接する面に沿って配置される基部フレームと、この基部フレームの少なくとも3箇所に立設される支柱フレームと、各支柱フレームを相互に連結する連結フレームと、各支柱フレームのそれぞれに沿って上下動が可能な柱状の可動部材とをを備える。
各支柱フレームは互いの間に所定の間隔を隔てて前記車輪の進行方向に沿って並んで配列されている。さらに各可動部材は、前記各支柱フレームの列の中の中央に位置する支柱フレームに沿って上下動が可能な可動部材が下方への移動ができない高さ位置にあるときに当該可動部材を軸としてその前後の可動部材が揺動可能となる(軸となる可動部材を境にその他の各可動部材の移動方向が反転する。)ように、各可動部材の下方への移動可能量が設定されて上部フレームに吊り支持される。
上記の構成によれば、利用者が座席に座ったときに中央部の可動部材のみが下方に移動できない高さ位置まで下降するように、各可動部材の下方への移動可能量を設定することによって、中央部の可動部材を軸としてその前後の可動部材を揺動させることができる。したがって、たとえば利用者を乗せた車椅子が下り坂に入って座席を含む車体全体が前傾姿勢になったとき、利用者または介助者が下部または上部のフレームに対し、中央部より前方にある可動部材を上昇させるのに必要な力を加えると、前方側の可動部材が上昇すると共に後方側の可動部材が下降する。その動きによって上部フレームの前傾寄りの姿勢が解消され、座面を下り坂移動に適した状態にすることができる。
車椅子が登り坂に入って座席を含む車体全体が後傾姿勢になった場合には、上記の例とは反対に中央部より後方にある可動部材を上昇させるのに必要な力を加えることによって、後方側の可動部材が上昇し、前方側の可動部材が下降する。その動きによって上部フレームの後傾寄りの姿勢が解消され、座面を登り坂移動に適した状態にすることができる。
いずれのケースでも、可動部材の上下動が生じた後も車椅子が接する面の傾斜状態が変わらない間は、フレームにかけていた力を解除しても、傾斜面の低い側(可動部材が上昇した側)の基部フレームと上部フレームとの間には上昇した可動部材をその状態のまま維持するのに十分な広さの空間が確保され、傾斜面の高い側(可動部材が下降した側)の基部フレームと上部フレームとの間では可動部材を上昇できるだけの余裕がない状態が続くので、各可動部材の上下動後の高さを維持することができる。よって、傾斜面に入って座席が傾いた直後に可動部材を揺動させて座席を傾斜面の移動に適した姿勢にすれば、以後もその姿勢を維持して傾斜面を移動することができる。
左右方向の高さが異なる傾斜面においても、傾斜面の低い側のフレームに対して、そちらの側にある各可動部材を上昇させるための力をかけて、その力によって上昇した各可動部材により下がっている側の上部フレームを持ち上げ、上部フレームを左右の高さの均衡がとれた状態にすることができる。
車椅子以外の手押し車、例えば、ヒトまたは物を載せる台部と手押し用のハンドルとを支持する上部フレームと、車輪を支持する左右一対の下部フレームとを備える手押し車においても、上記と同じ構成の上部フレームおよび下部フレームを使用することによって、同様に、傾斜面における台部の姿勢の傾きを容易に解消することができる。
本発明においては、各支柱フレームを中空に形成すると共に、各可動部材を中空の各支柱フレーム内での上下動が可能な太さに形成して、各支柱フレーム内に挿入して配置されるように構成することができる。
また、各可動部材の下方への移動可能量をそれぞれの可動部材の長さによって設定することができる。また各支柱フレームに可動部材の下方への移動を規制するための位置決め部材が配備される場合には、この位置決め部材の高さによって可動部材の下方への移動可能量を設定することができる。いずれの場合にも、中央部の可動部材については、支持対象(ヒトまたは物)に想定されるより軽い所定量の荷重がかかったときに下降しない状態になるように設定するのが望ましいが、支持対象を支持していないときでも中央の可動部材が全く下降しないような設定にしてもよい。
本発明の一実施形態では、揺動の軸となる中央の支柱フレームより前方および後方に位置する各支柱フレームに沿って上下動可能な可動部材の下方には、それぞれ可動部材の下降によって収縮する弾性部材を配備することができる。これらの弾性部材は、段差や凹凸面を移動する際の衝撃を和らげるための緩衝材として機能すると共に、傾斜面において車体が傾いたときに可動部材を上下動させるための操作の力を小さくする助勢部材としても機能する。
すなわち、利用者が座席に座ったときに前後の可動部材がある程度下降し、その下方の弾性部材が収縮されるようにしておけば、傾斜面において低くなった側の可動部材に上昇のための上向きの力が働いたときに、一緒にその力を受けた下方の弾性体の伸びる力によって、上昇中の可動部材を押し上げることができる。この原理によって、可動部材を上昇させるための操作力を小さくすることができる。
なお、長さ中央部の支柱フレームに沿って上下動可能な可動部材の下方にも弾性部材を配備することができる。この弾性部材にも緩衝材としての機能のほか、左右方向(幅方向)の高さが異なる路面において傾斜した上部フレームの姿勢を立て直すための操作力を小さくする助勢部材としての機能がある。
さらに本発明では、一対の下部フレームの各々の基部フレームを、双方の間で交差するように各基部フレームに連結された一対のトラス部材によって相互に連結することができる。
上記のトラス部材による連結構造によれば、左右の下部フレームの間の距離を安定させて上部フレームに対する支持強度を高めることができる。また車輪が接する面の左右方向に傾斜や段差が生じて左右の下部フレームの高さが異なる状態になった場合でも、トラス部材の姿勢の変化によって下部フレームの間の距離を維持して、上部フレームを安定して支持することができる。
本発明によれば、傾斜面を移動するときの座席や台部に傾きが生じたときに、簡単な操作でその傾きを解消して、座席や台部を傾斜面を移動するのに適した姿勢にすることができる。また、この支持の仕組みは、左右一対の支持フレームと上部フレームとを複数の可動部材を介して連結するという簡単な構成により実現できるので、コストが大幅に削減され、エンドユーザに手頃な価格で提供することができる。
図1〜3は、本発明が適用された手動式の車椅子の一例の全体構成を表したものである。この実施例の車椅子は、椅子本体の骨格を形成する上部フレーム1、車輪を支持する左右一対の下部フレーム2、各下部フレーム2に取り付けられた前輪5および後輪6、下部フレーム2,2を連結する一対の棒状のトラス部材4,4を主要構成とする。なお、この実施例は、車体の両側にハンドリム7が設けられた自走用の車椅子であるが、これらがない介助用の車椅子も、この実施例と同様の構成のフレーム1,2により組み立てることができる。
上部フレーム1は、丸パイプ材の曲げ加工および溶接加工により形成された左右一対の主フレーム(符号省略)と、これら主フレームを連結する前板フレーム101および背板フレーム102とから成る。主フレームは、シートフレーム10とパックフレーム11とハンドルフレーム12とを含む第1部材1Aと、フロントフレーム13とサイドフレーム14とを含む第2部材lBとを連結して成るもので、左右のフロントフレーム13,13の上部が前板フレーム101を介して連結され、左右のパックフレーム11,11の下部が背板フレーム102を介して連結されている。
シートフレーム10には座シート15が装着され、バックフレーム11には背もたれクッション16が装着され、ハンドルフレーム12にはグリップ17および後輪用のブレーキレバー9が装着され、サイドフレーム14にはアームレスト(肘掛け)18が装着される。またフロントフレーム13の下端部には、足置きプレート19が上方への回動可能に取り付けられている。
下部フレーム2は、前後方向に延びる基部フレーム20と、この基部フレーム20に立設される3本の支柱フレーム21と、これら支柱フレーム21を上部プレーム1に対向する上端位置で連結する連結フレーム22とが一体化された構成のものである(図1を参照。)。これらのフレーム20,21,22はいずれも角柱パイプ材により製作される。
基部フレーム20および連結フレーム22は最後尾の支柱フレーム21より後に延びて、これらの延出部分の間に後輪6およびハンドリム7が支持される。また基部フレーム20の前端位置に前輪となるキャスター5が取り付けられ、連結フレーム22に後輪停止用のブレーキ8が取り付けられている。
図3は、車椅子の上面図であるが、トラス部材4を明示するために、座シート15,背もたれクッション16および背板フレーム102を二点鎖線で表している。詳細は後述するが、一対のトラス部材4,4は、左右の基部フレーム20の間で互いに交差する状態となって各下部フレーム2の間隔を保持している。
図4は上部フレーム1と下部フレーム2とを分離して表した側面図であり、図5はこれらのフレーム1,2の連結の状態を表した斜視図である。図6は下部フレーム2の内部構成を表した断面図であり、図7は下部フレーム2と上部フレーム1との連結箇所の一部の内部構成を拡大して表したものである。以下、これらの図を参照に加えて、下部フレーム2の詳細構成や上下のフレーム1,2の連結の仕組みについて説明する。
なお、図4〜7では、一部を除き、3本の支柱フレーム21およびこれらに関わる構成を、共通の数字とf,c,bの各文字とを組み合わせた符号で表している。以下の説明では、各構成について個別の説明をする場合には個別符号まで入れた符号により説明の対象を特定し、それ以外は共通符号のみを用いて説明することにする。また図5および図6ではブレーキ8の図示を省略する。
図4および図5に示すように、下部フレーム2の3本の支柱フレーム21は等しい間隔を隔てて基部フレーム20の上面に起立固定される。各支柱フレーム21には、開口上面から角柱状の可動部材3が挿入される。各可動部材3はそれぞれ上部フレーム1のシートフレーム10にブラケット30を介して連結され、これらの連結によって、上下のフレーム1,2が連なった状態になる。
各支柱フレーム21の内部には円柱状の位置決め部材23と圧縮バネ24が配備される(図6を参照。)。位置決め部材23は、基部フレーム20の支柱フレーム21の開口底面に接する部分に固定され、その外周部に圧縮バネ24が装着される。圧縮バネ24は、車椅子の利用者の想定体重を支えるのに必要な長さおよび強度を備えると共に、常に可動部材3の底面に接触して可動部材3の上下動に応じて伸び縮みするようにバネ定数が調整されている。この調整によって、圧縮バネ24は、可動部材3を支える緩衝材として機能するほか、路面の傾斜によって車体が傾いたときに上部フレームの姿勢を立て直すための可動部材3の動きを助勢する役割(詳細については後述する。)を担う。
各可動部材3は、上部フレーム1を介してかかる荷重の変化に応じて支柱フレーム21の内部を上下動するが、下方への移動は位置決め部材23に当接する位置までとなる。各位置決め部材23の高さは同じであるが、中央の支柱フレーム21cに挿入される可動部材3cは前後の可動部材3f,3bより長く設定されている。この設定により、各可動部材3の下方への移動可能量は中央の可動部材3cで最も短くなる。
中央の可動部材3cは上部フレーム1を支える要となるため、その両側面に補強板31が一体に設けられ、幅中央部の適所に、補強板31を含む厚み部分全体を貫くスリット孔32が設けられている(図4〜6を参照。)。またこの可動部材3cが挿入される支柱フレーム21cの所定の高さ位置に、抜け止め用のピン25がスリット孔32に挿通された状態で支柱フレーム21cの両側板の間に架け渡されている。よって、可動部材3cの上下動の範囲は、スリット孔32の下端がピン25に当たるときの高さ位置からスリット孔32の上端がピン25に当たるときの高さ位置までの範囲に制限される。なお、ピン25の支持フレーム21cの外に突出した両端部には、抜け止め用のナット(符号省略)が取り付けられる。
この実施例では、可動部材3cが位置決め部材23cに当接する高さまで下降したときにスリット孔32の上端がピン25に当たるようにしている。また、利用者に想定される標準的な体重より小さい所定量の荷重がかかったときに中央の可動部材3cが位置決め部材23cに当接する位置まで下降するようにしている。可動部材3cが位置決め部材23cに当接して下降できなくなると、前後の可動部材3f,3bを一緒に下降させることも不可能になり、可動部材3f,3bの一方が下降すると他方が上昇する状態になる。言い換えると、中央の可動部材3cが位置決め部材23cに当接しているときは、この可動部材3cを軸として前後の可動部材3f,3bが揺動可能な状態になる。
各可動部材3にかかる荷重が小さくなると、中央の可動部材3cも前後の可動部材3f,3bと共に上昇するが、スリット孔32の下端がピン25に当接すると、可動部材3cは上昇できなくなり、前後の可動部材3f,3bを一緒に上昇させることも不可能になる。この仕組みによって、上部フレーム1が上方に引っ張られたときに上部フレーム1が下部フレーム2から抜けてしまうのを、防止することができる。
前後の可動部材3f,3bの揺動の角度範囲は、車椅子を移動させる路面に関して想定される傾斜角度の範囲内で介助者が介助をすることが可能な最大の傾斜角度(図11および図12に示す角度θ)を超えない範囲で決定され、その決定に応じて各可動部材3の長さや位置決め部材23の高さが調整される。また、中央の可動部材3cの移動可能範囲は、路面の左右方向の傾斜に関して想定される最大の傾斜角度(図13に示す角度Φ)を超えない範囲で決定され、その決定に応じてスリット孔32の位置や長さが調整される。
なお、この実施例では、各可動部材3の下方への移動可能量を中央の可動部材3cで最も小さくするために、可動部材3cを前後の可動部材3f,3bより長くしたが、これに限らず、3個の可動部材3の長さを均一にして、代わりに中央の支柱フレーム21cに入れる位置決め部材23cを前後の位置決め部材23f,23bより高くしてもよい。その他、各圧縮バネ24の特性によっても可動部材3の下方への移動可能量を調整することができる。
また、圧縮バネ24の装着場所は位置決め部材23の外周部に限らず、たとえば位置決め部材23の上面にバネの端部を固定してもよい。その場合には、位置決め部材23は円柱状に限らず、角柱状にすることもできる。
この実施例では、シートフレーム10をやや後下がりにすると共に、各ブラケット30を後方にゆくほど短くすることによって、座シート15を、緩やかな後傾姿勢にして支持する。このようにすれば、座り心地が良くなり、下り坂でも座シート15が前傾しにくくなるので安全性が高められる。また、各ブラケット30は、可動部材3の変位や下部フレーム2の傾きに対応できるように、シートフレーム10に対して前後方向および左右方向に揺動可能に取り付けられている。
図6に示すように、前後の支柱フレーム21f,21bに挿入される可動部材3f,3bの背面は、長さ方向に沿って波状に変化する凹凸面に形成されている。また支柱フレーム21f,21bは背後の連結フレーム22f,22bに連通し、これらの連結フレーム22f,22bの支柱フレーム21f,21bへの連結口の近傍に、駒部材33が挿入されている。
図7は、前方の支柱フレーム21fと連結フレーム22fとの連結部分を拡大して表したものである。この図7に示すように、駒部材33の前面は可動部材3fに噛み合わせることが可能な凹凸面に形成されている。また駒部材33には厚み部分を貫くピン34が挿通される。
連結フレーム22fの両側面には楕円状の穴26が形成され、これらの穴26から駒部材33のピン34の両端部が突出し、各両端部に抜け止め用のナット(符号省略)が取り付けられる。このピン34を楕円穴26の範囲内で前後に動かすことによって、駒部材33を支柱フレーム21fに対して出没させることができる。したがって、図7(A)に示すように駒部材33が可動部材3fから離れているときは、可動部材3fを上下動させることが可能となるが、図7(B)に示すように駒部材33が前方に動かされて可動部材3fに噛み合わせられると、可動部材3fは上下動できない状態となる。
後方の支柱フレーム21bとその背後の連結フレーム22bとの連結部分も、図7と同様の構成になっている。したがって、連結フレーム22f,22bに設けられた駒部材33,33のうちの少なくとも一方を前方の可動部材3fまたは3bに係合させると、可動部材3cが位置決め部材23cに当接していても、可動部材3f,3bの揺動は不可能となる。したがって、車椅子の移動範囲に目立った傾斜がない場合には、可動部材3fまたは3bに駒部材33を係合させて各可動部材3f,3bの高さを固定することによって、上部フレーム1の姿勢を安定させることができる。
なお、連結フレーム22fの駒部材33は、主として車椅子に座る利用者により操作され、連結フレーム22bの駒部材33は、主として車椅子を押す介助者により操作される。
支柱フレーム21bの背後の連結フレーム22bと基部フレーム20との間には、送りネジ機構60が設けられ、この送りネジ機構60のナット61に後輪6が軸止される。図6(A)(B)に示すように、ナット61を動かすことによって後輪6が上下動し、その移動に応じて路面から基部フレーム20までの距離Lを変更することができる。なお、図6 (A)(B)および図4では図示を省略したハンドリム7も、後輪6と同様に送りネジ機構60によって上下動可能に支持される。
前輪5はキャスターであるので、ある程度までは距離Lが変更されても付属の支持金具の姿勢や車輪の変位によって接地状態を維持することができる。よって、前輪5の接地状態を維持できる範囲で送りネジ機構60を操作することによって、上部フレーム1やこれに支持される座シート15の高さを調整することができる。また、前輪5の種類またはその取付金具の変更によって、距離Lをより大きくしても前輪5を接地できるようにすれば、座シート15をより高い位置に設定することができる。
図8および図9は、上記の車椅子の上部フレーム1および上部フレーム1に支持される構成およびブレーキ8を除いた部分の上面図である。以下、これらの図面を参照して、トラス部材4の連結構造について説明する。
各下部フレーム2の基部フレーム20の内側面の前端部には、トラス部材4の前端部を支えるためのリンク部材46が設けられ、内側面の長さ中央部から後端部までの範囲に、トラス部材4の後端部を前後方向に摺動可能に支持するトラスガイド45が設けられる。各トラス部材4は、前端部が左右いずれかの基部フレーム20のリンク部材46に取り付けられると共に、反対側の基部フレーム20のトラスガイド45に後端部が取り付けられる。
なお、トラスガイド45やリンク部材46の取付場所は基部フレーム20の内側面に限らず、基部フレーム20の底面に取り付けてもよい。
なお、トラスガイド45やリンク部材46の取付場所は基部フレーム20の内側面に限らず、基部フレーム20の底面に取り付けてもよい。
トラス部材4の後端部は、通常はトラスガイド45の前端の傾斜部分45aに支持される。傾斜した路面や舗装されていない路面で左右の基部フレーム20,20の高さに差が生じたときにも、傾斜部分45aでのトラス部材4の後端部の微小移動と前端部を支持するリンク部材46の傾斜とによって、トラス部材4の姿勢を高さの変化に追随させて変化させ、下部フレーム2の間の間隔を維持することができる。
利用者が座席に座っていない状態下で各基部フレーム20の前端部を外側から押圧して各トラス部材4の傾き度合いを変化させると、各トラス部材4,4の後部を傾斜部分45aより後方に移動させて左右の下部フレーム2,2を互いに近づけることができる。最終的には、図9に示すように、各トラス部材4の後端部をトラスガイド45の後端部にまで移動させて、下部フレーム2,2の間の間隔を大幅に縮小することができる。
図10は、各下部フレーム2,2が図9に示す状態になったときの車椅子全体を正面側から見た状態を示す。上部フレーム1の左右の主フレームは、それぞれが連結されている下部フレーム2の動きに従って互いに近づき、前板フレーム101および後フレーム102は中央部でV字状に折り曲げられる。また座シート15は上方に湾曲し、背もたれクッション16は後方に湾曲する状態になる。
このように、左右の基部フレーム20を支持するトラス部材4を摺動させることによって車椅子の折り畳み作業をスムーズに行うことができる。
このように、左右の基部フレーム20を支持するトラス部材4を摺動させることによって車椅子の折り畳み作業をスムーズに行うことができる。
また、図8の(A)(B) に示すように、トラスガイド45の取付位置や長さを変更することによって使用時のトラス部材4の傾きを変更し、下部フレーム2,2の間の間隔を変更することもできる。この下部フレーム2の間隔の変更に応じて上部フレーム1の前板フレーム101および背板フレーム102の幅を変更すれば、座席を含む車体全体の幅を変更することができる。
上記構成の車椅子に利用者が座ると、その体重による荷重の増加によって中央の可動部材3cは位置決め部材23cに当接する位置まで下がるが、前後の可動部材3f,3bの下降は位置決め部材23f,23bより上の所定の高さ位置で停まり、圧縮バネ24f,24bにより支持される。車椅子が平坦路を移動している間は、左右の下部フレーム2は同等の高さにあって水平に近い姿勢となり、上部フレーム1も座るのに適した姿勢(シートフレーム10および座シート15が緩やかな後傾姿勢になる。)で支持される。
若干の凹凸がある路面では、4つの車輪の高さが一時的に不均一になって下部フレーム2に振動が発生するが、圧縮バネ24が緩衝材として機能するので、上部フレーム1に振動が伝わるのを防ぐことができる。さらに、路面が傾斜して車体が傾いた場合でも、上部フレーム1の姿勢を容易に立て直すことができる。
たとえば、下り坂に入ると、図11(A)に示すように、下部フレーム2も斜面と同様の前下がり状態になり、その影響を受けて上部フレーム1のシートフレーム10の姿勢も変動する(図11(A)の例では水平に近い状態になっている。)。このとき車椅子に乗っている利用者が、後方に体を傾けながら左右の連結フレーム22の前方側(フレーム22fを手で押すと、その押圧力の反力とその反力を受けた圧縮バネ24fの伸びる力とによって前方側の可動部材3fが上昇し、これに連動して後方側の可動部材3bが下降する。
この結果、図11(B)に示すように、前方側では基部プレーム20とシートフレーム10との間の距離が広がり、後方側では基部フレーム20とシートフレーム10との距離が縮められ、シートフレーム10は、平坦路にあるときより急な傾斜度合いの後傾姿勢になる。車椅子が接する路面の傾斜角度が変わらないうちは下部フレーム2の前傾姿勢が維持されるため、傾斜面の低い側にあたる前方側の基部フレーム20とシートフレーム10との間には、上昇して支柱フレーム21fからの突出の度合いが高まった可動部材3fをその突出状態のまま維持するのに十分な空間がある。一方、傾斜面の高い側にあたる後方側では、傾斜が緩やかになって基部フレーム20が下がらない限り、基部フレーム20とシートフレーム10との間に可動部材3bが上昇できるだけの余裕は生じない。
したがって、車椅子が傾斜角度θの下り坂にある間は、押圧力が解除された後も、基部フレーム20とシートフレーム10との関係は図11(B)に示した状態で維持され、シートフレーム10の後傾姿勢も維持されるので、利用者が前のめりになるおそれがなくなる。よって、利用者の押圧動作により生じた可動部材3f,3gの揺動によって、左右のシートフレーム10およびそれらの間の座シート15を下り坂を移動するのに適した姿勢にした後は、その姿勢を維持して下り坂を移動することができる。
車椅子が登り坂に入ったときは、図12(A)に示すように、下部フレーム2も斜面と同様の後ろ下がり状態になり、シートフレーム10の傾斜の度合いも大きくなる。このとき車椅子に乗っている利用者が、前方に体を傾けながら左右の連結フレーム22の前方側(フレーム22f)を上方に引っ張ると、その引張り力の反力によって前方側の可動部材3fが下降し、これに連動して後方側の可動部材3bが上昇する。このとき後方側では、可動部材3bと一緒に上向きの力を受けた圧縮バネ24bの伸びる力によって可動部材3bが押し上げられ、その上昇度合いに対応する度合いをもって前方側の可動部材3fを下降させることができる。
この結果、図12(B)に示すように、後方側では基部フレーム20とシートフレーム10との間の距離が広がり、前方側では基部フレーム20とシートフレーム10との距離が縮められ、シートフレーム10は水平姿勢に近い状態になる。車椅子が接する路面の傾斜角度が変わらないうちは下部フレーム2の後傾姿勢が維持されるため、傾斜面の低い側にあたる後方側の基部フレーム20とシートフレーム10との間には、上昇して支柱フレーム21bからの突出の度合いが高まった可動部材3bをその突出状態のまま維持するのに十分な空間がある。一方、傾斜面の高い側にあたる前方側では、傾斜が緩やかになって基部フレーム20が下がらない限り、基部フレーム20とシートフレーム10との間に可動部材3fが上昇できるだけの余裕は生じない。
したがって、車椅子が傾斜角度θの登り坂にある間は、利用者の動作による引張り力が解除された後も、基部フレーム20とシートフレーム10との関係は図12(B)に示した状態で維持され、シートフレーム10はほぼ水平な状態または緩やかな前傾姿勢で維持されるので、利用者が身体を起こしにくい後傾姿勢になるおそれがなくなる。よって、利用者の動作により生じた可動部材3f,3bの揺動によって、左右のシートフレーム10およびそれらの間の座シート15を登り坂移動に適した姿勢にして、その姿勢を維持して登り坂を移動することができる。
上記のとおり、この実施例では、下部フレーム2を下に向かつて押圧する動作または上に引っ張る動作によって、傾斜面の低い側にある可動部材3fまたは3bを上昇させ、これに連動させて傾斜面の高い側にある可動部材3bまたは3fを下降させることができる。また、傾斜面の低い側の可動部材3(3bまたは3f)にかかる上向きの力がその下の圧縮バネ24にも作用し、このバネ24の伸びの力で可動部材3を押し上げることができるので、可動部材3f,3bを揺動させるために必要な操作力を小さくすることができる。
路面の幅方向(左右方向)に傾斜が生じた場合には、図13に示すように、各車輪4,5および下部フレーム2が斜面と同じ方向に傾斜すると共に垂直方向に対しても傾く。その影響を受けてシートフレーム10を含む上部フレーム1の左右の高さにも差が生じる。このとき利用者が、低くなった側(図13中の右側)の連結フレーム22またはハンドリム7を手で押すことにより下部フレーム2に下向きの押圧力をかけると、そちら側にある3つの可動部材3f,3c,3bが押圧力の反力によって上昇する。この場合にも、押圧された側にある圧縮バネ24の復元力によって各可動部材3の上昇が助勢されるので、上昇のために必要な操作力を小さくすることができる。
したがって、傾斜面の低い側では、各可動部材3の上昇によってシートフレーム10が押し上げられて、基部フレーム20とシートフレーム10との距離が広がり、以後も傾斜が続く間はその距離を維持することができる。これに対し、傾斜面の高い側では、中央の可動部材3cが位置決め部材23に当接しているため、前後の可動部材3f,3bも殆ど動かず、基部フレーム20とシートフレーム10との距離も変わらないので、傾斜面の低い側のシートフレーム10の上昇によって左右のシートフレーム10,10の高さを同程度にすることができる。
また左右の基部フレーム20,20は、各々の高さが変わったことに伴って姿勢が変化したトラス部材4,4によって支えられるので、下部フレーム1による上部フレーム2の支持も安定させることができる。
上記のとおり、この実施例の車椅子では、移動中の路面に傾斜が生じて車体が傾いた場合でも、利用者自身が下部フレーム2に力を加えることによって可動部材3に上下運動を発生させ、シートフレーム10を傾斜面を移動するのに適した姿勢にすることができる。また前述したとおり、圧縮バネ24の復元力によって可動部材3f,3bを揺動させるための力を小さくすることができるので、利用者は大きな負担を感じることなく、容易に上部フレーム1のバランスをとることができる。
なお、図11および図12の例では、想定される最大の傾斜角度θが生じた傾斜面において、前後の可動部材3f,3bにも最大の揺動が生じて傾斜面の高い側の可動部材3が位置決め部材23に押し付けられる状態まで下降した例を示したが、これより緩やかな傾斜面であれば、下部フレーム2にかける力をより小さくすることによって、揺動の幅を抑えて、前後のシートフレーム10の高さを傾斜の度合いに応じた量をもって調整することができる。左右方向に傾斜が生じた場合も同様に、下部フレーム2にかける力をより小さくすることによって、傾斜の低い側のシートフレームの高さを傾斜の度合いに応じた量をもって調整することができる。
また、傾斜面が長く続く場合には、押圧操作によってシートフレーム10が傾斜面の移動に適した姿勢になったところで駒部材33を前方に移動させて可動部材3f,3bの上下動を停めることによって、シートフレーム10の姿勢を安定して維持することができる。
この実施例の車椅子は自走式であるため、上部フレーム1の姿勢を回復させるための操作も車椅子に乗っている利用者によって行われると説明したが、これに限らず、ハンドルフレーム12を持つ介助者がいる場合には、その介助者も姿勢を回復させるための操作を行うことができる。
たとえば、下り坂では、介助者がグリップ17を介してハンドルフレーム12を押圧することによって、後方側の可動部材3bを下降させると共に前方側の可動部材3fを上昇させ、これらの動きによってシートフレーム10を図11(B)に示した姿勢にすることができる。また登り坂では、介助者がハンドルフレーム12を引き上げることによって、後方側の可動部材3bを上昇させると共に前方側の可動部材3fを下降させ、これらの動きによってシートフレーム10を図12(B)に示した姿勢にすることができる。
路面の左右方向に傾斜が生じた場合には、介助者がその傾斜に従って高くなった側のハンドルフレーム12にかける力を強め、低くなった側のハンドルフレーム12にかける力を和らげることによって、低くなった側の3つの可動部材3を上昇させ、左右のシートフレーム10を図13に示したような同等の高さ位置で支持することができる。
介助者が操作する場合にも、圧縮バネ24の復元力による助勢を受けて操作力を小さくすることができるので、介助者の負荷を大幅に軽減することができる。
上記のとおり、この実施例の車椅子では、左右一対の下部フレーム2に立設された3本の中空の支柱フレーム21にそれぞれ柱状の可動部材3を挿入し、これらの可動部材3を上方のシートフレーム10に吊り支持するという簡単な連結構造によって、傾斜面でのシートフレーム10のバランスを容易にとることができるので、製作コストを大幅に削減することができる。また、若干の力を加える程度の操作によってシートフレーム10を移動に適した姿勢にして、その姿勢を維持したまま傾斜面を移動することができるので、利便性が大幅に高められる。
以下、上記実施例の変形例を説明する。
図14は、未舗装の道路や砂利道などの凹凸度合いの大きな道における走行の安定度を高めるために、第1実施例のキャスター(前輪)5を、より径の大きい通常の車輪5Aに変更した例を示すものである。この例では、基部フレーム20の前端部に下方に突出する柱状の支持フレーム(図示せず。)を連結し、その支持フレームに前輪5Aを軸止する。
図14は、未舗装の道路や砂利道などの凹凸度合いの大きな道における走行の安定度を高めるために、第1実施例のキャスター(前輪)5を、より径の大きい通常の車輪5Aに変更した例を示すものである。この例では、基部フレーム20の前端部に下方に突出する柱状の支持フレーム(図示せず。)を連結し、その支持フレームに前輪5Aを軸止する。
図14の実施例でも、前輪5Aおよびその支持フレーム以外は先の実施例と同じ構成であるので、後輪6を支える送りネジ機構60のナット61の位置を変更すると共に、前輪5Aの取付位置を調整することによって、路面から基部フレーム20までの距離Lを容易に変更し、それによって座席の高さを変更することができる(図6(A)(B)) を参照。)。また、前輪5Aをより大きくするために基部フレーム20の高さを上昇させる必要が生じた場合にも、後輪の高さを容易に追随させることができるので、既存の部品を変更する必要がない。
図15は、可動部材3を支持する手段を、圧縮バネ24から圧力による支持に変更した例を示す。この実施例では、各下部フレーム2の前後の支柱フレーム21f,21bに可動弁27f,27bを有する圧力室28f,28bが設けられると共に、基部フレーム20に各圧力室28f,28bに連通する管路29(29L,29R)が配備される。管路29および圧力室28f,28bには、油,水などの流体が充填される。
中央の支柱フレーム21cには、先の実施例と同様の位置決め部材23および圧縮バネ24が配備され、可動部材3cは、一定の荷重がかかると位置決め部材23に当接する位置まで下降する。この状態下で前後の可動部材3f,3bの一方(たとえば可動部材3b)およびその下方の圧力室28(たとえば圧力室28b)に下向きの力がかけられると、この圧力室28bから流路29を介して他方の圧力室28fに流体が流れることによって圧力室28bが収縮すると共に圧力室28fが伸張する。これら圧力室28f,28bの伸縮に応じて可動部材3bが下降すると共に可動部材3fが上昇する。これと反対に可動部材3fに上向きの力がかけられた場合にも、上記と同様の流体の流れが生じて、可動部材3fが上昇すると共に可動部材3bが下降する。よって、第1実施例と同様に、傾斜面の高い側の可動部材3を下降させると共に、傾斜面の低い側にある可動部材3を上昇させ、その上下動によりシートフレーム10を移動中の路面の傾斜に対応した姿勢で安定させることができる。
また図15中に一点鎖線で示すように、左右の管路29L,29Rも連通させることができる。そうすると、左右方向の高さが異なる傾斜面においてその傾斜面の低い側にある各可動部材3および圧力室28に上向きの力をかけることによって、管路29L,29Rを介して傾斜面の高い側の圧力室28f,28bから低い側の圧力室28f,28bへと流体を流し、それによって低い側の各圧力室28f,28bを伸張させ、上方の可動部材3f,3bおよびそれらの間にある可動部材3cを押し上げることができる。このとき傾斜面の高い側にある圧力室28f,28bは収縮するが、中央の可動部材3cが位置決め部材23cに当接して下降不可能であるため、可動部材3f,3bも下降できない。よって、傾斜面の低い側にある3個の可動部材3を反対側の可動部材3と同等の高さまで上昇させて、上部フレーム1の左右のバランスをとることができる。
なお、支柱フレーム21f,21bの底部の圧力室28f,28bに導入されるのは流体に限らず、圧縮空気を導入してもよい。または、支柱フレーム21f,21bの底部に弾性を有する樹脂製の支持部材を入れて、これらを圧縮バネ24と同様に機能させてもよい。この弾性部材や図15に示した圧力室28f,28bも、圧縮バネ24と同様に、可動部材3f,3bを上下動させる操作を助勢する機能を持つ支持手段となる。
各下部フレーム2に設けられる支柱フレーム21は3個に限らず、より多くの支柱フレーム21を設けて、それぞれに可動部材3を挿入することで、上下のフレーム1,2の連結構造の強度を高めることができる。その場合には、支柱フレーム21や可動部材3の数を奇数個として、中央の支柱フレーム21を軸として前後の支柱フレーム21が対称になる関係をもって配置されるようにするのが望ましい。ただし、各支柱フレーム21が立設される範囲の中央部に軸となる可動部材3cが挿入される支柱フレーム21cを配置し、その前後にそれぞれ所定数の支柱フレーム21が配置されるのであれば、支柱フレーム21や可動部材3の数を偶数個としてもよい。
手押し式の台車やベビーカーなどの車椅子以外の手押し車、例えば、ヒトまたは物を載せる台部と手押し用のハンドルとを支持する上部フレームと、車輪を支持する左右一対の下部フレームとを備える手押し車についても、上部フレームや車輪をその用途に応じた形状として、上記実施例と同様の構成の下部フレームにより支持することができる。ただし、下部フレームに取り付ける車輪は2個に限らず、3個以上を取り付けても良いし、台車の場合には左右1個ずつとしてもよい。
これらの手押し車においても、車椅子の実施例と同様に、傾斜面において車体が傾いた場合には、上部フレームに支えられる台部の姿勢を容易に安定させて、車体を安全に移動させることができる。また、台部を低い位置で支持することができる台車においては、支柱フレームや可動部材を短くすることによって、圧縮バネ等による助勢がなくとも可動部材を上下動させることが可能になる。
また、上記実施形態においては、基部フレーム20,支柱フレーム21,連結フレーム22をいずれも角柱パイプ材により製作されているが、このような態様に特に限定されず、基部フレーム20,支柱フレーム21,連結フレーム22のいずれか、または全てを円柱パイプ材により製作してもよい。また、可動部材3も角柱状に形成されているが、円柱状に形成されてもよい。
また、上記実施形態においては、角柱状の可動部材3が、中空の各支柱フレーム21に挿入され、当該可動部材3が、該支柱フレーム21に沿って上下動が可能となるように構成されているが、このような態様に特に限定されず、例えば、図16の断面図に示すように、中空の柱状(筒状)に形成された可動部材3の内腔に、中実の角柱状或いは円柱状に形成された各支柱フレーム21が挿入されるように構成して、可動部材3が各支柱フレーム21に沿って上下動が可能なように構成することもできる。なお、図16は、中央の支柱フレーム21cと連結フレーム22f,22cとの連結部分を拡大して表したものである。
この図16に示すような構成を採用する場合、筒状の可動部材3の所定領域に、互いに対向するスリット孔35,35を形成し、当該スリット孔35.35を介して連結フレーム22f,22cの各端部を支柱フレーム21cに固定するようにして構成する。このようなスリット孔35,35を設けることにより、連結フレーム22f,22cと可能部材3とが互いに干渉することなく、可能部材3がスムーズに上下動可能となる。なお、圧縮バネ24を設ける場合には、当該圧縮バネ24と筒状の可動部材3の下方端との接触面積を増大させることが、両者の当接状態を安定的なものとすることができるため、例えば、可動部材3の下方開口端の縁部に圧縮バネ24の上端部と当接可能な鍔状の当接部を設けるように構成してもよい。また、この図16に示す構成を採用する場合、可動部材3の上下動の範囲は、スリット孔35,35の下端が連結フレーム22f,22cに当たるときの高さ位置からスリット孔35,35の上端が連結フレーム22f,22cに当たるときの高さ位置までの範囲に制限されることになる為、上述のピン25及びスリット32を省略することができる。
また、上記実施形態においては、図6や図7に示すように、前後の支柱フレーム21f,21bに挿入される可動部材3f,3bの背面は、長さ方向に沿って波状に変化する凹凸面に形成されており、この凹凸面に噛み合わせることが可能な凹凸面を有する駒部材33を備えるように構成され、駒部材33の凹凸面を、可動部材3f,3bの背面に形成される凹凸面に噛み合わせることにより、可動部材3f,3bが上下動できないように構成されているが、このような可動部材3f,3bの上下動規制手段の構成としては、図6や図7に記載されている構成に限定されるものではない。例えば、可動部材3f,3bを円柱状に形成すると共に、その表面の所定領域に雄ねじ部を形成すると共に、この雄ねじ部の山部及び谷部に噛み合わされる凹凸面を備えるように駒部材33を構成してもよい。このような形態を採用する場合、駒部材33としては、例えば、内周面に雌ネジ部が形成されたナット部材をそのナット孔の軸線に沿って切断したような半割れナット部材を用いることができる。
また、上記実施形態において、各支柱フレーム21の内部にそれぞれ配備される各圧縮バネ24のバネ定数は、全て同一となるように構成してもよく、或いは、それぞれが異なる値となるように構成してもよい。各圧縮バネ24のバネ定数が異なる値となるように構成する場合、例えば、中央の支柱フレーム21cの内部に配備される圧縮バネ24のバネ定数が、後ろ側の支柱フレーム21bの内部に配備される圧縮バネ24のバネ定数の50%〜80%の範囲となるように構成することが好ましい、また、前側の支柱フレーム21fの内部に配備される圧縮バネ24のバネ定数が、後ろ側の支柱フレーム21bの内部に配備される圧縮バネ24のバネ定数の20%〜40%の範囲となるように構成することが好ましい。このように、後ろ側、中央、前側の順に圧縮バネ24のバネ定数が低くなるように構成することにより、車椅子の介助を行う介助者の操作性をより一層向上させることが可能となる。
また、上記実施形態においては、図6に示すように、各支柱フレーム21の内部には円柱状の位置決め部材23と圧縮バネ24が配備されているが、位置決め部材23の外周部に装着される圧縮バネ24の個数は、単数でも複数でもよい。例えば、図17(a)の断面図に示すように、位置決め部材23が、基部フレーム20の支柱フレーム21の開口底面に接する部分に固定される基部231と、この基部231の上部に立設して配置される先端部232とを備えるように構成し、基部231の外周部に装着される第1圧縮バネ241と、先端部232の外周部に装着される第2圧縮バネ242とを備えるように構成してもよい。なお、図17(a)に示す形態では、先端部232の太さは、基部231の太さよりも細く形成されており、基部231の上面に第2圧縮バネ242が載置されるようにして構成される。また、第1圧縮バネ241及び第2圧縮バネ242に対して圧縮力が付与されていない状態においては、第1圧縮バネ241の上端と、第2圧縮バネ242の上端とは、同一高さとなるように構成されている。このような構成を採用する場合、第1圧縮バネ241及び第2圧縮バネ242の各バネ定数を適宜変更して組み合わせることが可能となるので、所望の可動部材3の緩衝性能や、路面の傾斜によって車体が傾いたときに上部フレームの姿勢を立て直すための可動部材3の動きについての所望な助勢性能を得やすくなる。
また、図17(b)に示すように、第1圧縮バネ241及び第2圧縮バネ242のいずれか一方の上端が、他方の上端よりも低くなるように構成してもよい。このような構成を採用する場合、可動部材3が下方に移動するに際しては、最初に一方の圧縮バネ(例えば、第1圧縮バネ241)に可動部材3の下端が当接して当該第1圧縮バネ241を圧縮しつつ、他方の圧縮バネ(例えば、第2圧縮バネ242)に可動部材3の下端が当接して、第1圧縮バネ241及び第2圧縮バネ242を圧縮しながら、可動部材3は下方に移動することになる。つまり、可動部材3を支える緩衝材としての機能を多段的に高めることが可能となり、車椅子に座る利用者の乗り心地をより向上させることができる。また、路面の傾斜によって車体が傾いたときに上部フレームの姿勢を立て直すための可動部材3の動きの助勢機能が高まり、車椅子の介助を行う介助者の操作性を向上させることが可能となる。
また、上記実施形態においては、図1、図5、図7等に示すように、各ブラケット30は、連結部材38(シングルヒンジ形式の連結部材)を介して各可動部材3は連結され、前後方向等に搖動可能となるように構成されているが、連結部材としては、例えば、ダブルヒンジや、ポールジョイント、又は、球面すべり軸受等を好適に挙げることができる。これらを連結部材として用いることにより、より効果的に車椅子の前後傾斜や幅方向傾斜に対応することが可能となる。
また、各ブラケット30としては、種々の構造のものを採用することができる。例えば、図18示すように、パイプクランプ300を備えるように構成してもよい。ここで、図18は、連結部材38を構成する球面すべり軸受を介して、ブラケット30が各可動部材3に連結されている構造を示している。このパイプクランプ300は、シートフレーム10を包持する一対の包持体301a,301bを備えて構成される。これら各包持体301a,301bは、シートフレーム10の外周に倣う形状に湾曲されて形成される湾曲部を有しており、各々の基端部は開閉軸302を挟んで配設されている。また、一方の包持体301aの先端部にはフランジ部が設けられており、当該フランジ部は、球面すべり軸受に連結固定されており、他方の包持体301bが、開閉軸302を中心に開閉可能に構成されている。また、各包持体301a,301bの先端部に設けられるフランジ部には、当該先端部同士を接続固定するための貫通孔303a,303bが設けられており、当該貫通孔303a,303bを重ね合わせた上で、図示しないボルトを挿通すると共にナットを締め、湾曲部の内表面でシートフレーム10の外表面を加圧することで、パイプクランプ300は、シートフレーム10を挟みつけることとなる。このようなパイプクランプ300を備えるように各ブラケット30を構成する場合、上部フレーム1と下部フレーム2との組立て作業を容易化することが可能となる。
また、上記実施形態においては、図2や図3等に示すように、一対のトラス部材4を水平配置するようなトラス構造を備えることにより折り畳みユニットを構成しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、図19の部分正面図に示すように鉛直方向に沿って配置されるトラス構造を備えるように構成して折り畳みユニット50を構成してもよい。このような縦置きタイプの折り畳みユニット50を採用する場合、図20に示すように、一対の折り畳みユニット50a,50bを備え、各折り畳みユニット(第1折り畳みユニット50a及び第2折り畳みユニット50b)を車椅子の前後方向に所定間隔離間させた状態で配置することが好ましい。図20においては、第1折り畳みユニット50aを支柱フレーム21fの近傍に配置し、第2折り畳みユニット50bを支柱フレーム21bの近傍に配置している。
図19に示すように、各折り畳みユニット50(第1折り畳みユニット50a及び第2折り畳みユニット50b)は、一対のトラス部材51a,51bを備えており、一方のトラス部材51aの下方端は、一方の基部フレーム20の内面側に回動可能に固定されており、他方のトラス部材51bの下方端は、他方の基部フレーム20の内面側に回動可能に固定されている。また、各トラス部材51a,51bは、互いに交差するように配設されており、交差位置において交差ピン(図示せず)を介して互いに連結されている。また、交差ピンの上方側において、各トラス部材51a,51bを互いに連結するトラス補強手段52が設けられている。
ここで、第1折り畳みユニット50aと第2折り畳みユニット50bとは、図21(a)の概略模式図に示すように、トラス部材の上端部同士を連結する一対の連結棒53により一体化されている。より具体的には、第1折り畳みユニット50aが備える一方のトラス部材51aの上端部と、第2折り畳みユニット50bが備える一方のトラス部材51aの上端部とを連結する第1連結棒53aと、第1折り畳みユニット50aが備える他方のトラス部材51bの上端部と、第2折り畳みユニット50bが備える他方のトラス部材51bの上端部とを連結する第2連結棒53bとにより、第1折り畳みユニット50aと第2折り畳みユニット50bとは、一体化されている。
また、各連結フレーム22の内面側には、図21(b)の斜視図に示すような、第1連結棒53a及び第2連結棒53bを収納可能な受け部材54,54がそれぞれ設けられている。この受け部材54は、例えば、断面U字状の半割れパイプ状に構成されており、各連結フレーム22の長手方向に沿って配設され、第1連結棒53a及び第2連結棒53bの略全域を収納できるように構成されている。なお、断面U字状の受け部材54は、開口部が上方を向くように、或いは、斜め上方を向くようにして(対向する連結フレーム22側に開口部を傾けた状態となるようにして)連結フレーム20の内面側に配設されている。
このような構成の折り畳みユニットを備える場合、第1連結棒53a及び第2連結棒53bのそれぞれを、各連結フレーム22に設けられる受け部材54,54の上方側から下方に移動させて各受け部材54内に収納することにより、車椅子を安定して開いた状態に維持することができる。また、第1連結棒53a及び第2連結棒53bのそれぞれを各受け部材54から上方に移動させて抜き出しつつ、交差ピンを中心にして各トラス部材51a,51bを回動させることにより、対向配置される連結部材22,22や基部フレーム20,20は、互いに近づいていき車椅子は折り畳まれることになる。
ここで、交差ピンの上方側において各トラス部材51a,51bを連結するトラス補強手段52は、車椅子の折り畳み作業を阻害しないように構成されている。例えば、トラス補強手段52を単一のプレート材や棒状体で構成する場合には、トラス部材51a,51bと連結している両端部の少なくともいずれか一方がトラス部材51a,51bから取り外しが可能なように構成される。また、二つのプレート材や棒状体を連結して構成されるような場合には、連結部分において着脱自在に構成される。
また、各折り畳みユニットは、車椅子を開いた状態での幅方向の距離を変更できるように構成してもよい。例えば、各トラス部材51a,51bの長手方向の長さを変更できるように構成することにより、車椅子の幅方向の距離を変更することが可能となり、使用者の体型や、着用している衣類の分厚さに応じ、使用者が座りやすい幅を有する車椅子を得ることが可能となる。
各トラス部材51a,51bの長手方向の長さを変更できるように構成するためには、例えば、以下のように構成する。つまり、各トラス部材51a,51bを、図19の部分正面図や図22(a)の概略構成断面図に示すように、互いに重なり合う領域を有する上方トラス部材511と下方トラス部材512とを備えるような二分割構造とし、上方トラス部材511及び下方トラス部材512の長手方向に沿ってそれぞれ形成される貫通孔513を複数設け、重ね合わされる上方トラス部材511に設けられる貫通孔513と、下方トラス部材512に設けられる貫通孔513との位置関係をずらして互いに連結できるように構成する。上方トラス部材511と下方トラス部材512との貫通孔513を介した連結には、ボルト・ナット等の締結部材を好適に使用することができる。
このように、各トラス部材51a,51bの長手方向の長さを変更できるように構成する場合には、上述のトラス補強手段52も、その長手方向の長さを変更できるように構成する。例えば、図19の部分正面図や図22(b)の概略構成断面図に示すように、トラス補強手段52も、中央部分において互いに重なり合う領域を有する第1トラス補強部材521と第2トラス補強部材522とを備えるような二分割構造とし、第1トラス補強部材521及び第2トラス補強部材522の長手方向に沿ってそれぞれ形成される貫通孔523を複数設け、重ね合わされる第1トラス補強部材521に設けられる貫通孔523と、第2トラス補強部材522に設けられる貫通孔523との位置関係をずらして互いに連結できるように構成する。第1トラス補強部材521と第2トラス補強部材522との貫通孔523を介した連結には、ボルト・ナット等の締結部材を好適に使用することができる。
また、上記実施形態において、車椅子の剛性を高めるための剛性部材を種々配置するように構成してもよい。特に、図19に示すように、車椅子使用者から見て左右方向に存在する一対のシートフレーム10間を連結するようなシートフレーム連結剛性部材55を設けるように構成することが好ましい。このようなシートフレーム連結剛性部材55は、車椅子の折り畳みに際して、その中央部が折れ曲がって折り畳めるように構成されることが好ましい。なお、シートフレーム連結剛性部材55は、車椅子使用時には、使用者の体重を受ける部材になる為、車椅子が折り畳まれる際には、その中央部が上方に向かって折れ曲がるように構成され、下方に向かっては折れ曲がらないように構成される。なお、シートフレーム連結剛性部材55は、少なくとも車椅子の前方側及び後方側のそれぞれに設けられることが好ましい。また、左右のパックフレーム11,11間を連結するようなバックフレーム連結剛性部材(図示せず)を設けるように構成してもよい。このバックフレーム連結剛性部材も、車椅子の折り畳みに際して、その中央部が折れ曲がって折り畳めるように構成されることが好ましい。
1 上部フレーム
2 下部フレーム
3 可動部材
4 トラス部材
5,5A 前輪
6 後輪
10 シートフレーム
12 ハンドルフレーム
13 フロントフレーム
14 サイドフレーム
15 座シート
20 基部フレーム
21 支柱フレーム
22 連結フレーム
23 位置決め部材
24 圧縮バネ
30 ブラケット
45 トラスガイド
46 リンク部材
2 下部フレーム
3 可動部材
4 トラス部材
5,5A 前輪
6 後輪
10 シートフレーム
12 ハンドルフレーム
13 フロントフレーム
14 サイドフレーム
15 座シート
20 基部フレーム
21 支柱フレーム
22 連結フレーム
23 位置決め部材
24 圧縮バネ
30 ブラケット
45 トラスガイド
46 リンク部材
Claims (9)
- 椅子本体の骨格を形成する上部フレームと、車輪を支持する左右一対の下部フレームとを備え、
前記各下部フレームは、車輪が接する面に沿って配置される基部フレームと、前記基部フレームの少なくとも3箇所に立設される支柱フレームと、前記各支柱フレームを相互に連結する連結フレームと、前記各支柱フレームのそれぞれに沿って上下動が可能な柱状の可動部材とを有し、
前記各支柱フレームは、互いの間に所定の間隔を隔てて前記車輪の進行方向に沿って並んで配列されており、
前記各可動部材は、前記各支柱フレームの列の中の中央に位置する支柱フレームに沿って上下動が可能な可動部材が下方への移動ができない高さ位置にあるときに当該可動部材を軸としてその前後の可動部材が揺動可能となるように、それぞれの下方への移動可能量が設定されて前記上部フレームに吊り支持される、車椅子。 - 前記各支柱フレームは、中空に形成されており、
前記各可動部材は、中空の前記各支柱フレーム内での上下動が可能な太さに形成され、前記各支柱フレーム内に挿入されている請求項1に記載の車椅子。 - 前記各可動部材の下方への移動可能量は、それぞれの可動部材の長さによって設定される、請求項1又は2に記載の車椅子。
- 前記各可動部材の下方への移動を規制するための位置決め部材を備える請求項1から3のいずれかに記載の車椅子。
- 前記位置決め部材の高さによって、前記各可動部材の下方への移動可能量が調整される、請求項4に記載された車椅子。
- 前記中央の支柱フレームより前方および後方に位置する各支柱フレームに沿って上下動可能な可動部材の下方には、当該可動部材の下降によって収縮する弾性部材が配備される請求項1から5のいずれかに記載の車椅子。
- 前記弾性部材は、圧縮バネであり、
前記中央の支柱フレームより前方に位置する各支柱フレームに沿って上下動可能な可動部材の下方に配備される圧縮バネのバネ定数は、前記中央の支柱フレームより後方に位置する各支柱フレームに沿って上下動可能な可動部材の下方に配備される圧縮バネのバネ定数より低い請求項6に記載の車椅子。 - 前記一対の下部フレームの各々の基部フレームは、双方の間で交差するように各基部フレームに取り付けられた一対のトラス部材を介して相互に連結される請求項1から7のいずれかに記載の車椅子。
- ヒトまたは物を載せる台部と手押し用のハンドルとを支持する上部フレームと、車輪を支持する左右一対の下部フレームとを備え、
前記各下部フレームは、車輪が接する面に沿って配置される基部フレームと、前記基部フレームの上面の少なくとも3箇所に立設される支柱フレームと、前記各支柱フレームを相互に連結する連結フレームと、前記各支柱フレームのそれぞれに沿って上下動が可能な柱状の可動部材とを有し、
前記各支柱フレームは、互いの間に所定の間隔を隔てて前記車輪の進行方向に沿って並んで配列されており、
前記各可動部材は、前記各支柱フレームの列の中の中央に位置する支柱フレームに沿って上下動が可能な可動部材が下方への移動ができない高さ位置にあるときに当該可動部材を軸としてその前後の可動部材が揺動可能となるように、それぞれの下方への移動可能量が設定されて前記上部フレームに吊り支持される、手押し車。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018101514 | 2018-05-28 | ||
JP2018101514 | 2018-05-28 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019205827A true JP2019205827A (ja) | 2019-12-05 |
Family
ID=68767997
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019093432A Pending JP2019205827A (ja) | 2018-05-28 | 2019-05-17 | 車椅子および手押し車 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019205827A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7422422B2 (ja) | 2021-07-07 | 2024-01-26 | 三和機電工業株式会社 | 車椅子の支持構造および車椅子 |
-
2019
- 2019-05-17 JP JP2019093432A patent/JP2019205827A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7422422B2 (ja) | 2021-07-07 | 2024-01-26 | 三和機電工業株式会社 | 車椅子の支持構造および車椅子 |
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AA64 | Notification of invalidation of claim of internal priority (with term) |
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A521 | Written amendment |
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