添付図面を参照して、本発明に係る実施の形態及び変形例を順に詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
(実施の形態)
図1〜図9を参照して、本発明に係る実施の形態を説明する。まず、図1〜図3を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。図1は、本実施の形態の送信電圧設定システム1000の概略構成を示す図である。図2は、送信電圧設定システム1000の機能構成を示すブロック図である。図3は、PC(Personal Computer)4の機能構成を示すブロック図である。
図1に示す超音波探触子温度予測システムとしての送信電圧設定システム1000は、画像モードごとに後述する超音波診断装置100の超音波探触子2の表面温度を予測し、予測結果に応じて表面温度が規制値を超えない適切な送信電圧(駆動電圧)を算出して超音波診断装置100に設定するシステムである。送信電圧設定システム1000は、例えば、超音波診断装置100の製造会社の開発部門に設置され、超音波診断装置100の生産前に、超音波探触子2の表面温度を予測し送信電圧を設定するものとする。しかし、これに限定されるものではなく、送信電圧設定システム1000が、超音波診断装置100の生産先の工場などの生産施設内に設置され、超音波診断装置100内の送信電圧を設定するものとしてもよい。
送信電圧設定システム1000は、超音波診断装置100と、PC(Personal Computer)4と、撮像部としてのサーモカメラ部5と、温度センサー6とを備える。超音波診断装置100は、超音波診断装置本体1と、超音波探触子2、ケーブル3とを備える。
超音波診断装置100は、出荷後に病院などの医療機関に設置され、患者の生体などの被検体に超音波を送受信して超音波画像を生成して表示する診断装置である。PC4は、デスクトップPCなどの情報処理装置であり、画像モードごとの超音波探触子2の表面温度の予測及び送信電圧の設定を行う。
サーモカメラ部5は、被写体を撮像して当該被写体から出射される赤外線を画像化し、赤外線量の変化を温度の変化として可視化する熱分布画像データを生成して出力するカメラ部である。温度センサー6は、超音波探触子2の周囲(周辺)に設けられ、超音波探触子2の周囲温度(周辺温度)を測定して出力するセンサーである。
サーモカメラ部5及び温度センサー6は、USB(Universal Serial Bus)などの通信方式に対応しており、PC4に通信接続されている。また、超音波診断装置100と、PC4とは、有線LANなどの通信ネットワークを介して、通信可能に接続されている。超音波探触子2は、ケーブル3を介して、超音波診断装置本体1に接続されている。
ついで、図2を参照して、超音波診断装置100の内部の機能構成を説明する。超音波診断装置100の超音波探触子2は、被検体に対して超音波(送信超音波)を送信するとともに、この被検体で反射した反射超音波、散乱超音波を含む受信超音波を受信する。超音波診断装置本体1は、超音波探触子2に電気信号の駆動信号を送信することによって超音波探触子2に被検体に対して送信超音波を送信させる。また、超音波診断装置本体1は、超音波探触子2にて受信した被検体内からの受信超音波に応じて超音波探触子2で生成された電気信号である受信信号に基づいて被検体内の内部状態を超音波画像として画像化する。
超音波探触子2に接続されるケーブル3は、超音波探触子2と逆側の先端にコネクターを有し、当該コネクターを介して超音波診断装置本体1に着脱可能に接続される。つまり、超音波診断装置100において、超音波探触子2を交換可能である。
超音波探触子2は、圧電素子からなる振動子2aと、探触子情報記憶部2bと、を備える。振動子2aは、例えば、ラテラル方向(走査方向)に一次元アレイ状に複数配列されている。なお、振動子は、二次元アレイ状に配列されたものであってもよい。また、振動子の個数は、任意に設計することができる。また、超音波探触子2は、リニア(走査)方式、セクター(走査)方式あるいはコンベックス(走査)方式の何れの方式を採用することもできる。
探触子情報記憶部2bは、例えば、ケーブル3のコネクター内に設けられ、超音波探触子2の型番などの探触子種類の情報を記憶する。超音波探触子2の種類は、超音波探触子2の走査方式、振動子2aの素子数、振動子2aの素子ピッチ(ラテラル方向の素子の間隔)、超音波探触子2の曲率半径に対応付けられる識別情報である。
図2に示すように、超音波診断装置本体1は、操作入力部11と、送信部12と、受信部13と、画像生成部14と、画像処理部15と、DSC(Digital Scan Converter)16と、表示部17と、制御部18と、記憶部19と、を備える。
操作入力部11は、例えば、被検体の検査開始の指示などの各種コマンドや、画像モード、測定条件、被検体情報などのデータの入力などを行うための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボードなどを備えており、操作入力に応じた操作情報を制御部18に出力する。
ここで、画像モードとは、超音波の送受信による超音波画像を生成するモードであり、B(Brightness)モード、カラードプラモード、エラストグラフィーモード、M(Motion)モード、Mカラードプラモード、パルスドプラモードなどがある。Bモードは、受信超音波の強さを明るさの強弱に変換(輝度変調)して、被検体の断層画像をBモード画像として表示するモードである。カラードプラモードは、関心領域(ROI(Region Of Interest))における被検体の生体内血行動態に色を付けてカラードプラ画像とし、Bモード画像上にカラードプラ画像を合成してリアルタイムに表示し、広範囲に血流の方向と速度を色表示するモードである。エラストグラフィーモードは、超音波を用いて関心領域における組織の硬さ分布を非侵襲的にエラストグラフィー画像として画像化し、Bモード画像上にエラストグラフィー画像を重ね合わせて表示するモードである。
Mモードは、被検体の断面上のさらにある一直線上に注目し、そこでの音波反射の経時変化をMモード画像として画像化し表示するモードである。Mカラードプラモードは、Mモード画像と、血流を時系列で表したMカラードプラ画像とを合成して表示するモードである。パルスドプラモードは、目的となる部位にサンプルゲートを設け、そのサンプリング位置からドプラシフト周波数を取り出して、被検体の体内の血流速度を測定し、画面に表示するモードである。
上記のように、画像モードの中には、2つの種類の超音波画像(データ)を合成して合成超音波画像(データ)として表示するものがある。ここで、2つの種類の超音波画像データを合成して表示する画像モードにおいて、表示する超音波画像データの合成元の各超音波画像データの画像モードを「サブ画像モード」というものとする。つまり、「サブ画像モード」は、合成前の各超音波画像データの画像モードをいう。例えば、画像モードがカラードプラモードである場合に、そのサブ画像モードが、カラードプラモード及びBモードになる。また、画像モードがエラストグラフィーモードである場合に、そのサブ画像モードが、エラストグラフィーモード及びBモードになる。また、画像モードが合成を伴わない、例えばBモードである場合に、サブ画像モードもBモードのみになる。
また、画像モード、サブ画像モードは、超音波送信時に超音波を出射する振動子2aの素子を移動(走査)する(走査状態で超音波を送信する)画像モードと、超音波送信時に超音波を出射する振動子2aの素子を移動(走査)しない(非走査状態で超音波を送信する)画像モードと、に分けることができる。走査状態で超音波を送信する画像モードは、Bモード、カラードプラモード、エラストグラフィーモードなどである。非走査状態で超音波を送信する画像モードは、Mモード、Mカラードプラモード、パルスドプラモードなどである。
送信部12は、制御部18からの送信電圧、送信周波数などの制御にしたがって、当該送信電圧、送信周波数に対応する駆動信号を生成して超音波探触子2にケーブル3を介して供給し、送信超音波を発生させる回路である。このように、超音波探触子2は、送信部12により印加された送信電圧の駆動信号に応じて、超音波送受信の動作を行う。
また、送信部12は、例えば、クロック発生回路、遅延回路、パルス発生回路を備えている。クロック発生回路は、駆動信号の送信タイミングや送信周波数を決定するクロック信号を発生させる回路である。遅延回路は、駆動信号の送信タイミングを振動子毎に対応した個別経路毎に遅延時間を設定し、設定された遅延時間だけ駆動信号の送信を遅延させて送信超音波によって構成される送信ビームの集束を行うための回路である。パルス発生回路は、所定の周波数で駆動信号としてのパルス信号を発生させるための回路である。上述のように構成された送信部12は、例えば、超音波探触子2に配列された複数(例えば、192個)の振動子2aのうちの連続する一部(例えば、64個)を駆動して送信超音波を発生させる。送信部12は、走査状態で超音波を送信する画像モードにおいては、送信超音波を発生させる毎に駆動する振動子2aをラテラル方向にずらすことで走査(スキャン)を行う。
受信部13は、制御部18の制御にしたがって、超音波探触子2からケーブル3を介して電気信号である受信信号を受信する回路である。受信部13は、例えば、増幅器、A/D(Analog to Digital)変換回路、整相加算回路を備えている。増幅器は、受信信号を、振動子毎に対応した個別経路毎に、予め設定された増幅率で増幅させるための回路である。A/D変換回路は、増幅された受信信号をA/D変換するための回路である。整相加算回路は、A/D変換された受信信号に対して、振動子毎に対応した個別経路毎に遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)して音線データを生成するための回路である。
画像生成部14は、制御部18の制御にしたがって、受信部13からの音線データに対して包絡線検波処理や対数増幅などを実施し、ダイナミックレンジやゲインの調整を行って輝度変換することにより、Bモード画像データを生成する。ただし、画像生成部14は、サブ画像モードがBモードのBモード画像データの他、Aモード、Mモード、パルスドプラモード、カラードプラモードなど、他のサブ画像モードの超音波画像データが生成可能である。
画像処理部15は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリーによって構成された画像メモリー部(図示略)を備える。画像処理部15は、制御部18の制御にしたがって、画像生成部14から出力されたBモード画像データをフレーム単位で画像メモリー部に記憶する。画像メモリー部に記憶されたフレームの画像データは、制御部18の制御にしたがって、DSC16に出力される。
DSC16は、制御部18の制御にしたがって、画像処理部15から入力されたフレームの画像データに座標変換などを施して画像信号に変換し、表示部17に出力する。
表示部17は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイなどの表示装置が適用可能である。表示部17は、制御部18の制御にしたがって、DSC16から出力された画像信号にしたがって表示画面上に画像の表示を行う。
制御部18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備えて構成され、ROMに記憶されているシステムプログラムなどの各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムにしたがって超音波診断装置100の各部を制御する。ROMは、半導体などの不揮発メモリーなどにより構成され、超音波診断装置100に対応するシステムプログラム及び該システムプログラム上で実行可能な各種処理プログラムや、ガンマテーブルなどの各種データなどを記憶する。これらのプログラムは、コンピューターが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。RAMは、CPUにより実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
記憶部19は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの大容量記録媒体によって構成されており、画像処理部15で生成された超音波画像データや、後述する送信電圧テーブル70などを記憶する。
通信部20は、ネットワークカードなどにより構成され、通信ネットワークに接続され、当該通信ネットワーク上の機器と通信を行う。ここでは、通信部20は、例えば、有線LANに接続されるものとする。制御部18は、通信部20を介して、有線LAN上のPC4などの機器と通信を行う。
通信接続部21は、所定の通信方式のインターフェースカードなどで構成され、各種機器に直接接続され、接続された機器と通信を行う。ここでは、通信接続部21は、例えば、USBの通信方式に対応するものとする。
超音波診断装置100が備える各部について、各々の機能ブロックの一部又は全部の機能は、集積回路などのハードウェア回路として実現することができる。集積回路とは、例えばLSI(Large Scale Integration)であり、LSIは集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)やLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。また、各々の機能ブロックの一部又は全部の機能をソフトウェアにより実行するようにしてもよい。この場合、このソフトウェアは一つ又はそれ以上のROMなどの記憶媒体、光ディスク、又はハードディスクなどに記憶されており、このソフトウェアが演算処理器により実行される。
ついで、図3を参照して、PC4の内部の機能構成を説明する。図3に示すように、PC4は、走査幅取得部、非走査状態温度上昇分布生成部、走査状態温度上昇分布生成部としての制御部41と、操作部42と、記憶部43と、表示部44と、通信部45と、通信接続部46とを備える。PC4の各部は、バス47を介して互いに接続されている。制御部41、記憶部43、表示部44、通信部45、通信接続部46は、超音波診断装置100の制御部18、記憶部19、表示部17、通信部20、通信接続部21と同様の構成であり、主として異なる部分を説明する。
制御部41は、PC4の各部を制御する。制御部41は、記憶部43に記憶されたプログラムに従い、各種処理を実行する。特に、制御部41は、後述する第1の送信電圧記憶処理を実行する。
操作部42は、キーボードや、マウスなどのポインティングデバイスを有し、キー入力や位置情報の操作入力を受け付け、その操作情報を制御部41に出力する。記憶部43は、HDDやSSD(Solid State Drive)などで構成され、各種データ及びプログラムが読み出し及び書き込み可能に記憶されている。特に、記憶部43は、後述する第1の送信電圧記憶処理に対応する第1の送信電圧記憶プログラムが記憶されている。
通信部45は、通信ネットワークとしての有線LAN上の機器と通信可能に接続されている。制御部41は、通信部45を介して、有線LAN上の超音波診断装置100と通信を行う。通信接続部46は、USBなどの通信方式により、各種機器と通信可能に直接接続される。制御部41は、通信接続部46を介して、サーモカメラ部5及び温度センサー6と通信を行う。
つぎに、図4及び図5を参照して、超音波診断装置100に記憶される送信電圧テーブル70を説明する。図4は、送信電圧テーブル70を示す図である。図5は、Bモードにおける送信開口及び走査幅の一例を示す図である。
送信電圧テーブル70は、後述する第1の送信電圧記憶処理によりPC4で生成されて超音波診断装置100の記憶部19に記憶されるテーブルであり、各種条件(サブ画像モード、探触子種類、送信条件)に応じて測定又は推定された超音波探触子2の表面温度分布から算出された当該各種条件ごとに適切な送信電圧を有するテーブルである。図4に示すように、送信電圧テーブル70は、探触子種類71、サブ画像モード72、波形(送信周波数)73、送信開口74、送信間隔75、走査幅76、送信電圧77の項目を有する。波形73、送信開口74、送信間隔75を、超音波の送信条件とするが、送信条件は、これらに限定されるものではない。
探触子種類71は、超音波探触子2の種類を示す識別情報である。ここでは、簡単のため、超音波探触子2の種類は、リニア方式のものと、コンベックス方式のものと、の2種類とするが、これに限定されるものではない。例えば、超音波探触子2の種類は、実際には、コンベックスなど同じ走査方式であっても、振動子2aの素子数、素子ピッチ、曲率半径などが異なる超音波探触子2が存在し、それらを識別可能な種類の情報としてもよい。
サブ画像モード72は、超音波診断装置100で設定可能なサブ画像モードの識別情報である。
波形73は、超音波探触子2に入力する駆動信号の波形の識別情報である。波形の識別情報としては、波形の名称があり、当該波形の名称には送信周波数の情報も含まれる。波形の名称としては、例えば、Pen(Penetration)、Res(Resolution)、Gen(General)がある。Penは、深部感度優先の波形である。Resは、分解能優先の波形である。Genは、Pen及びResの2つのバランスをとった波形である。なお、波形73として、駆動信号の波形を送信周波数[MHz]で表すこととしてもよい。
送信開口74は、超音波探触子2の振動子2aにおける1回の超音波送信で駆動するチャネル数(素子数、振動子数)である。走査するときは、振動子2aの全チャネル(全素子、全振動子)のうち送信開口を走査方向(ラテラル方向)に所定素子幅ずらしながら当該送信開口の振動子から超音波を送信し、走査幅(FOV(Field Of View)幅、関心領域幅)の分だけ超音波送信を繰り返す。実際に走査するときの送信開口のずれ量は送信密度で決まる。図5に示すように、例えばサブ画像モード72がBモードである場合に、超音波探触子2の全ての振動子2aのうち、走査幅(Bモード画像幅、FOV幅)が少なくとも含まれるように、1回目〜N(N:整数)回目の超音波送信が、所定素子幅ずつ送信開口をずらして行われる。送信間隔75は、1回超音波を送信してから次の送信を行うまでの時間間隔である。
走査幅76は、サブ画像モード72が走査状態で超音波を送信する画像モードである場合の、振動子2aにおけるラテラル方向の全素子の範囲に対する超音波送信の走査を行う走査の範囲の割合である走査幅[%]である。具体的には、走査幅76は、例えばサブ画像モード72がカラードプラモードである場合に、振動子2aの全素子に対するカラードプラモード用の関心領域の範囲を示す走査幅である。走査幅76は、図5に示すように例えばサブ画像モード72がBモードである場合に、Bモードの走査の範囲を示す走査幅(Bモード画像幅、FOV幅)[%]となる。走査幅76は、例えば、走査幅の数値の範囲で示されるものとする。また、走査幅76は、サブ画像モード72が非走査状態で超音波を送信する画像モードである場合に、その旨が格納される。
送信電圧77は、探触子種類71、サブ画像モード72、波形73、送信開口74、送信間隔75及び走査幅76に対応する、超音波探触子2に入力する駆動信号の送信電圧[V]である。送信電圧77は、超音波探触子2表面の温度上昇値の規制値(目標温度上昇値)を超えない最大の温度上昇値に対応する送信電圧である。ここでいう規制値とは、標準規格等で規定されている規定値であり、IEC 60601-2-37では静止空中試験において周囲温度(23±3℃)のときの温度上昇27℃である。なお、図4に示す送信電圧77の値は、実際に算出された値ではなく、走査幅76に応じて大小関係だけ満たされるように入れた一例の値である。ただし、波形73が2.0[MHz]の場合には、送信電圧77の値は、実際に算出した値に基づいている。
つぎに、図6〜図10を参照して、送信電圧設定システム1000の動作を説明する。図6は、第1の送信電圧記憶処理を示すフローチャートである。図7(a)は、熱画像データの一例を示す図である。図7(b)は、熱画像データ番号に対する温度上昇値を示す図である。図7(c)は、超音波探触子の素子番号に対する温度上昇値を示す図である。図8(a)は、カラードプラモードにおける走査幅の一例を示す図である。図8(b)は、Bモードにおける走査幅の一例を示す図である。図9は、関心領域幅をずらした後における超音波探触子の素子番号に対する温度上昇値を示す図である。図10は、加算平均後における超音波探触子の素子番号に対する温度上昇値を示す図である。図7(b)の熱画像データ番号、図10の加算平均については、後述する。
図6を参照して、PC4で実行される第1の送信電圧記憶処理を説明する。第1の送信電圧記憶処理は、サブ画像モードが走査状態で超音波を送信する画像モードである場合でも、非走査状態で超音波探触子2の表面の温度分布を計測し、計測結果から走査状態の表面の温度分布を推定し、当該走査状態の温度分布から送信電圧を算出し、当該送信電圧などを含む送信電圧テーブル70を生成して超音波診断装置100に記憶する処理である。ここで、走査状態で超音波を送信するサブ画像モードにおける非走査状態での温度分布の測定は、当該サブ画像モードの送信条件で超音波を送受信するが、超音波を送信する振動子2aの素子を送信開口の素子数とし移動(走査)しない状態で超音波を送信することにより行う。
ここで、超音波診断装置100は、製造会社の開発部門による駆動信号の送信電圧の設定を行う前の状態であって、送信電圧テーブル70が記憶されていない状態であるものとする。操作者(例えば開発部門の開発者)が、駆動信号の送信電圧を設定する対象の種類の超音波探触子2、ケーブル3を超音波診断装置本体1に接続する。そして、PC4において、例えば操作部42を介して操作者から第1の送信電圧記憶処理の実行指示が入力されたことをトリガーとして、制御部41は、記憶部43に記憶された第1の送信電圧記憶プログラムに従い、第1の送信電圧記憶処理を実行する。
図6に示すように、まず、制御部41は、操作部42を介して操作者から接続中の超音波探触子2に対応して送信電圧を設定する対象のサブ画像モードの入力を受け付ける(ステップS11)。
そして、制御部41は、ステップS11で入力されたサブ画像モードが走査状態で超音波を送信する画像モードであるか否かを判別する(ステップS12)。走査状態で超音波を送信する画像モードである場合(ステップS12;YES)、制御部41は、ステップS11で入力されたサブ画像モードの非走査状態の送信条件の入力を受け付ける(ステップS13)。送信条件は、駆動信号の波形、送信開口、送信間隔の情報である。
そして、制御部41は、操作部42を介して操作者から接続中の超音波探触子2の探触子種類、素子数、素子ピッチ、曲率半径の入力を受け付ける(ステップS14)。そして、制御部41は、温度センサー6を制御して、温度(気温)を測定させ、測定された温度データを接続中の超音波探触子2の周囲温度として取得する(ステップS15)。
ステップS13〜S15の後、操作者は、超音波診断装置100の操作入力部11に、ステップS13で入力した送信条件及び送信電圧の初期値と、ステップS11で入力されたサブ画像モードの非走査状態での超音波画像表示の実行指示を入力し、入力したサブ画像モードの非走査状態で超音波診断装置100を駆動させる。超音波診断装置100の制御部18は、探触子情報記憶部2bから探触子種類を読み出し、入力された送信条件、送信電圧の初期値及び当該探触子種類に応じて、送信部12などを制御して、非走査状態の駆動信号を生成させて超音波探触子2に入力させ、ステップS11で入力されたサブ画像モードの非走査状態で駆動させる。この非走査状態では、例えば、超音波探触子2のラテラル方向の中央の送信開口の素子数の固定的な振動子2aから超音波の送受信を繰り返させる。
そして、制御部41は、サーモカメラ部5を制御して、接続中の超音波探触子2の表面温度を測定(撮像)させ、当該表面温度が飽和するまで待ち、飽和した後に測定された熱画像データを取得し、当該熱画像データの最大の温度値を飽和温度とし、当該飽和温度からステップS15で取得された周囲温度を減じた温度上昇値ΔTが規制値(目標温度上昇値)を超えないできる限り高い送信電圧(送信電圧Vpとする)に超音波診断装置100の駆動信号の送信電圧を設定した場合の、熱画像データを取得する(ステップS16)。ステップS16では、操作者が超音波診断装置100の温度上昇値ΔTが規制値を超えないできる限り高い値になるまで送信電圧を手動で上げ続けて送信電圧Vpを導き出すか、制御部41が、通信部45を介して、熱画像データの飽和温度に基づき、超音波診断装置100の温度上昇値ΔTが規制値を超えないできる限り高い値になるまで送信電圧を自動で上げ続けて送信電圧Vpを導き出すものとする。
なお、ステップS16では、超音波診断装置100が一定の送信電圧で駆動され、制御部41は、サーモカメラ部5により超音波探触子2の表面温度を測定し、温度上昇値ΔTが送信電圧の二乗に比例することを利用して、規制値を超えない送信電圧Vpを算出し、算出された送信電圧Vpを手動又は自動で超音波診断装置100に設定した場合の熱画像データを取得してもよい。
ステップS16では、例えば図7(a)に示す探触子種類がコンベックス方式の超音波探触子2の表面温度の熱画像データが取得される。この熱画像データは、温度が高→低の順に、例えば、白→赤→黄→緑→水→青の色で表現されるが、図7(a)では温度が高→低の順に、白→複数段階のグレー→黒の色で表現している。
そして、制御部41は、ステップS12で取得された熱画像データから、接続中の超音波探触子2の振動子2aのエレベーション方向の中心におけるラテラル方向に対応する方向の1列の画素列の1次元の配列データである熱画像データを表面温度分布データとして抽出して取得し、取得した表面温度分布データの一端からの画素順に熱画像データ番号を付与し、各熱画像データ番号の色データを温度データに変換し、熱画像データ番号に対する表面温度の温度データを示す表面温度分布データを取得する(ステップS17)。エレベーション方向は、超音波探触子2の振動子2aにおけるラテラル方向に直交する方向である。図7(a)の熱画像データにおいて、ラテラル方向に対応する方向の1列の画素列の1次元の配列データの熱画像データ番号の数がnとして示されている。nは、例えば、80である。
そして、制御部41は、ステップS17で取得された表面温度分布データの各温度データからステップS15で取得した周囲温度を減算することで温度上昇値ΔTを算出し、熱画像データ番号に対する温度上昇値ΔTを示す温度上昇値変換データに変換する(ステップS18)。ステップS18では、例えば、図7(b)に示す熱画像データ番号に対する温度上昇値ΔTの温度上昇値変換データが取得される。
そして、制御部41は、ステップS14で入力された探触子種類、素子数、素子ピッチ、曲率半径を用いて、ステップS18で変換された熱画像データ番号の長さの温度上昇値変換データを、接続中の超音波探触子2の表面の形状に応じた振動子2aのラテラル方向の素子(振動子)番号の長さに伸長又は短縮し、非走査状態の温度上昇値分布データを生成する(ステップS19)。ステップS19では、例えば、図7(c)に示す超音波探触子2の素子番号に対する温度上昇値ΔTを示す温度上昇値分布データが生成される。
そして、制御部41は、操作部42を介して操作者から、送信電圧を設定する対象のサブ画像モードの走査状態における走査幅の入力を受け付ける(ステップS20)。ステップS20では、サブ画像モードがカラードプラモードの場合に、例えば、図8(a)に示す超音波画像U1の全素子幅に対する関心領域Rの走査幅(関心領域幅)[%]が取得される。図8(a)の走査幅が、例えば、20[%]であるものとし、図9、図10は、走査幅20[%]に対応するものとする。サブ画像モードがBモードの場合には、例えば、図8(b)に示す超音波画像U2の全素子幅に対する表示するBモード画像の画像領域Fの走査幅(Bモード画像幅、FOV幅)[%]が取得される。
そして、制御部41は、ステップS19で生成された温度上昇値分布データを、ステップS20で取得された走査幅分ずらして加算平均して平均後の温度上昇値分布データを走査状態の温度上昇値分布データとして生成する(ステップS21)。ステップS21では、例えば、図9に示すように、サブ画像モードがカラードプラモードで、素子番号が1〜160をとる場合に、走査幅が図8(a)の関心領域幅20[%]であると、素子数を1〜32(=160×0.2)個分の素子ピッチ連続してずらした温度上昇値分布データが得られ、素子番号ごとにその全ての温度上昇値の平均値が算出され、図10の実線に示す超音波探触子2の素子番号に対する平均値の温度上昇値ΔTを示す平均後の温度上昇値分布データが生成される。なお、温度上昇値分布データをずらしていく間隔は、必ずしも素子ピッチと一致していなくてもよい。図10の実線に示すように、非走査状態で超音波を送信する画像モードの温度上昇値分布データを加算平均することで、あたかも関心領域の幅分を走査しながら送信したかのような温度上昇値分布データが得られる。このとき、図10の実線の温度上昇値ΔTの最大値が、平均前よりも低くなるのは、同じ送信電圧Vpで、非走査状態の場合と走査状態の場合とでは、走査状態の方が温度が分散されるからである。
ステップS21では、平均値の算出方法を加算平均としたが、加重平均など他の平均算出方法としてもよい。加重平均を用いる場合に、超音波探触子2の表面のラテラル方向の端の方ほど放熱しやすいので、当該表面のラテラル方向の中心側の重みを大きく、端側の重みを小さくすることで、重み付けをする。
そして、制御部41は、ステップS21で生成された平均後の温度上昇値分布データから温度上昇値ΔTの最大値ΔTcを算出して取得する(ステップS22)。そして、制御部41は、ステップS16で設定された送信電圧Vpと、ステップS22で算出された温度上昇値ΔTの最大値ΔTcと、予め設定された温度上昇値ΔTの規制値ΔTrとを用いて、温度上昇値ΔTが送信電圧の二乗に比例することを利用して、設定する走査状態で超音波を送信する画像モードの走査状態の送信電圧Vtを算出し、算出された走査状態の送信電圧Vtを、ステップS11で入力されたサブ画像モード、ステップS14で入力された探触子種類、ステップS13で入力された送信条件、ステップS20で入力された走査幅に対応付けて記憶部43に記憶する(ステップS23)。
図10において、平均後の温度上昇値分布データから温度上昇値ΔTの最大値ΔTcを規制値ΔTrまで上げた時の温度上昇値分布データを破線で示す。超音波探触子2の表面温度測定の目的は、どのサブ画像モード、送信条件、走査幅でも温度上昇値ΔTの規制値ΔTrを超えないように送信電圧Vtを決定することにあるので、例えば図10の実線における、走査状態で超音波を送信する画像モードの関心領域幅20%相当の温度上昇値ΔTの最大値ΔTcが、温度上昇値ΔTの規制値ΔTrに到達していないため、図10の破線となるように、送信電圧を上げることができる。このように、どのサブ画像モード、送信条件、走査幅においても、温度上昇値ΔTが規制値ΔTrを超えないできる限り高くなるように送信電圧Vtを決定する。
ここで、送信電圧Vtの算出の具体例を説明する。超音波探触子2の探触子種類がコンベックス方式で、サブ画像モードがカラードプラモードであるものとする。また、カラードプラモードでの非走査状態の波形(送信周波数)が2.0[MHz]、送信電圧Vp=22.7[V]、走査幅が20[%]、温度上昇値ΔTの規制値ΔTr=23.5[℃]、走査状態の温度上昇値ΔTの最大値(推定表面温度)ΔTc=15.9[℃]とする。すると、温度上昇値が送信電圧の2乗に比例することを用いて、カラードプラモードでの走査状態の送信電圧Vt=27.6[V]と算出される。
また、サブ画像モードがカラードプラモード、関心領域幅が20[%]の条件で超音波診断装置100の超音波探触子2を実際に駆動した場合に、超音波探触子2の表面を撮像して得た熱画像データを変換した温度上昇値分布データを図10に一点鎖線で示す。図10の一点鎖線での温度上昇値ΔTの規制値ΔTrを超えないできる限り高い送信電圧は、28.4[V]であり、算出した送信電圧Vtとの誤差としては2.8[%]でほぼ同等の測定結果が得られた。また、表面温度分布を比較してもほぼ同等の結果が得られた。
このように、走査状態で超音波を送信する画像モードにおいて、走査状態と同一の送信条件の非走査状態を利用することにより、非走査状態の熱画像データから走査状態の温度上昇値分布データを算出して温度上昇値ΔTを予測し、走査状態の目標温度上昇値に対応する送信電圧Vtを容易に推定できる。当該送信電圧Vtの推定方法は、超音波探触子2の形状に関係なく、行うことができる。
そして、制御部41は、操作部42を介して操作者から走査幅の変更の入力を受け付け、走査幅の変更が入力されたか否かを判別する(ステップS24)。走査幅の変更が入力された場合(ステップS24;YES)、ステップS20に移行される。走査幅の変更が入力されていない場合(ステップS24;NO)、制御部41は、操作部42を介して送信条件の変更の入力を受け付け、送信条件の変更の入力があるか否かを判別する(ステップS25)。送信条件の変更の入力がある場合(ステップS25;YES)、ステップS13に移行される。
送信条件の変更の入力がない場合(ステップS25;NO)、制御部41は、操作部42をサブ画像モード又は次に接続する超音波探触子2の探触子種類への変更の入力を受け付け、サブ画像モード又は探触子種類の変更の入力があるか否かを判別する(ステップS26)。サブ画像モード又は探触子種類の変更の入力がある場合(ステップS26;YES)、ステップS11に移行される。
非走査状態で超音波を送信する画像モードである場合(ステップS12;NO)、制御部41は、ステップS11で入力されたサブ画像モードの非走査状態の送信条件の入力を受け付ける(ステップS27)。
そして、制御部41は、操作部42を介して操作者から接続中の超音波探触子2の探触子種類の入力を受け付ける(ステップS28)。ステップS29は、ステップS15と同様である。
ステップS27〜S29の後、操作者は、超音波診断装置100の操作入力部11に、ステップS27で入力した送信条件及び送信電圧の初期値と、ステップS11で入力されたサブ画像モードでの超音波画像表示の実行指示を入力し、入力したサブ画像モードの非走査状態で超音波診断装置100を駆動させる。超音波診断装置100の制御部18は、探触子情報記憶部2bから探触子種類を読み出し、入力された送信条件、送信電圧の初期値及び当該探触子種類に応じて、送信部12などを制御して、非走査状態の駆動信号を生成させて超音波探触子2に入力させ、ステップS11で入力された非走査状態で超音波を送信する画像モードで駆動させる。この非走査状態で超音波を送信する画像モードでは、例えば、超音波探触子2のラテラル方向の中央の送信開口の素子数の固定的な振動子2aから超音波の送受信を繰り返させる。
そして、制御部41は、サーモカメラ部5を制御して、接続中の超音波探触子2の表面温度を測定(撮像)させ、表面温度が飽和するまで待ち、飽和した後に測定された熱画像データを取得し、当該熱画像データの最大の温度値を飽和温度とし、当該飽和温度からステップS29で取得された周囲温度を減じた温度上昇値ΔTが規制値(目標温度上昇値)を超えないできる限り高い送信電圧Vpに超音波診断装置100の駆動信号の送信電圧を設定する(ステップS30)。ステップS30では、ステップS16と同様に、超音波診断装置100の送信電圧が送信電圧Vpとなるまで手動又は自動で設定されるものとする。
そして、制御部41は、ステップS30で設定された送信電圧Vpを、ステップS11で入力されたサブ画像モード、ステップS28で入力された探触子種類、ステップS27で入力された送信条件に対応付けて記憶部43に記憶する(ステップS31)。ステップS32は、ステップS24と同様である。送信条件の変更の入力がある場合(ステップS32;YES)、ステップS27に移行される。送信条件の変更の入力がない場合(ステップS32;NO)、ステップS26に移行される。
サブ画像モード又は探触子種類の変更の入力がない場合(ステップS26;NO)、制御部41は、ステップS23で記憶された走査状態で超音波を送信する画像モードの走査状態の送信電圧及び当該送信電圧に対応づけられた情報と、ステップS31で記憶された非走査状態で超音波を送信する画像モードの送信電圧Vp及び送信電圧Vpに対応づけられた情報とを記憶部43から読み出し、これらの情報を含む送信電圧テーブル70を生成し、通信部45を介して、生成した送信電圧テーブル70を超音波診断装置100に送信して記憶させ(ステップS33)、第1の送信電圧記憶処理を終了する。ここでは、送信電圧テーブル70の走査幅76は、記憶部43に記憶された走査幅の値を含む所定範囲の走査幅とされるものとする。例えば、コンベックス方式の超音波探触子2、カラードプラモードの走査幅に対応して40[%]が記憶部43に記憶されている場合に、送信電圧テーブル70では走査幅76が、40%以上60%未満に設定される。例えば、走査幅が40%、60%に対応する送信電圧が記憶部43に記憶されている場合に、走査幅40%の送信電圧が送信電圧77に格納され、その送信電圧に走査幅76の「40%以上60%未満」が対応付けられる。ステップS33に対応して、超音波診断装置100の制御部18は、通信部20を介して、送信電圧テーブル70をPC4から受信して記憶部19に記憶する。
第1の送信電圧記憶処理の実行後、生産される超音波診断装置100は、送信電圧テーブル70が記憶されており、病院などの医療施設に出荷される。医療施設での超音波診断装置100において、任意の画像モード、送信条件により、患者の生体などの被検体を診断するための超音波画像表示処理が実行される。超音波画像表示処理は、指定される画像モード及び送信条件で超音波探触子2から超音波を送受信して超音波画像データを生成して表示部44に表示する処理である。超音波画像表示処理において、操作入力部11を介して、医師、技師などの操作者から、表示する超音波画像の画像モード、送信条件が入力又は変更入力され、超音波探触子2も変更可能であるものとする。
超音波画像表示処理の実行開始時に、制御部18は、接続中の超音波探触子2の探触子情報記憶部2bから探触子種類を読み出して取得し、超音波画像表示処理において入力された画像モードに対応するサブ画像モード、送信条件、走査幅(走査状態で超音波を送信する画像モードの場合)を取得し、記憶部19に記憶された送信電圧テーブル70から、前記取得された各種情報に対応する送信電圧77を読み出す。制御部18は、超音波画像表示処理において、読み出した送信電圧と、設定中の画像モード、探触子種類、サブ画像モードの送信条件、走査幅(走査状態で超音波を送信する画像モードの場合)とに応じて、設定中の画像モード(サブ画像モード)の駆動信号を送信部12に生成させ、当該駆動信号により超音波探触子2に超音波送受信を行わせ、受信部13、画像生成部14、画像処理部15、DSC16、表示部17により、超音波画像データの生成及び表示を行う。超音波画像表示処理の実行中に、操作入力部11を介して操作者から画像モード、送信条件又は走査幅(走査状態で超音波を送信する画像モードの場合)の変更が入力され、又は超音波探触子2が変更された場合に、制御部18は、変更後の入力情報、超音波探触子2の探触子種類に応じて、変更後の送信電圧77を送信電圧テーブル70から読み出して、新たな送信電圧として再設定する。
以上、本実施の形態によれば、PC4は、超音波診断装置100に接続された超音波探触子2を一のサブ画像モードで、且つ非走査状態で駆動した場合の超音波探触子2の表面温度を撮像するサーモカメラ部5から当該非走査状態の熱画像データを取得し、前記画像モードの走査状態での走査幅を取得し、取得された非走査状態の熱画像データから、非走査状態の温度上昇値分布データを生成し、取得された走査幅に応じて、生成された非走査状態の温度上昇値分布データから、走査状態の温度上昇値分布データを生成する制御部41を備える。送信電圧設定システム1000は、PC4と、サーモカメラ部5と、超音波診断装置100と、を備える。
このため、サブ画像モードの非走査状態の超音波探触子2の表面の熱画像を撮像した熱画像データを使用し、熱伝導特性を使用する多くのパラメーターを必要としないことと、走査状態の超音波探触子2の表面温度の測定をしないこととにより、サブ画像モードの非走査状態の温度上昇値分布データを基にして、当該走査状態における超音波探触子2の表面温度を容易かつ精度よく予測できる。さらに、曲率を持った超音波探触子2でも、簡便な構成で、走査状態における超音波探触子2の表面温度を容易かつ精度よく予測できる。
また、制御部41は、生成された非走査状態の温度上昇値分布データを、超音波探触子2のラテラル方向に走査状態の走査幅分ずらし、得られた全ての温度上昇値分布データを加算平均又は加重平均して当該走査状態の温度上昇値分布データを生成する。このため、撮像したサブ画像モードの非走査状態の熱画像データから、走査状態の温度上昇値データを容易かつ精度よく予測できる。加重平均を用いる場合に、超音波探触子2の中心の重みを大きく、端の重みを小さくすることで、より精度よく、走査状態の温度上昇値分布データを生成できる。
また、制御部41は、非走査状態の送信電圧Vpと、生成された非走査状態の温度上昇値分布データと、超音波探触子2の温度上昇値の規制値ΔTrとから、超音波探触子2の表面温度が規制値ΔTrを超えない走査状態の送信電圧Vtを算出する。このため、サブ画像モードにおける超音波探触子2の規制値ΔTrを超えない適切な目標温度上昇値に対応する走査状態の送信電圧Vtを算出でき、送信電圧Vtを用いることでサブ画像モードの超音波画像の感度を向上させることができる。
また、制御部41は、温度上昇値が送信電圧の2乗に比例することを用いて、非走査状態の送信電圧Vpと、生成された走査状態の温度上昇値分布データの最大値ΔTcと、超音波探触子2の温度上昇値の規制値ΔTrとから、走査状態の送信電圧Vtを算出する。このため、サブ画像モードにおける超音波探触子2の規制値ΔTrを超えない適切な目標温度上昇値に対応する走査状態の送信電圧Vtを容易かつ精度よく算出できる。
また、制御部41は、算出された走査状態の送信電圧Vtを送信電圧テーブル70として超音波診断装置100に送信して記憶させる。このため、超音波診断装置100は、送信電圧テーブル70の送信電圧Vtを用いることでサブ画像モードの超音波画像の感度を向上させることができる。
(第1の変形例)
図11、図12を参照して、上記実施の形態の第1の変形例を説明する。図11は、第1の送信電圧用情報記憶処理を示すフローチャートである。図12は、送信電圧設定処理を示すフローチャートである。
上記実施の形態では、送信電圧設定システム1000を用いて、PC4で生成した送信電圧テーブル70を超音波診断装置100に記憶する構成としたが、本変形例は、PC4で測定し生成した温度上昇値分布データを超音波診断装置100の出荷前に超音波診断装置100に記憶しておき、超音波診断装置100を出荷した後、超音波診断装置100が使用される際に、超音波診断装置100が温度上昇値分布データから送信電圧を算出する構成である。
本変形例の装置構成は、上記実施の形態と同様に、送信電圧設定システム1000を用いる。ただし、記憶部43には、第1の送信電圧記憶プログラムに代えて、後述する第1の送信電圧用情報記憶処理を実行するための第1の送信電圧用情報記憶プログラムが記憶されているものとする。また、超音波診断装置100の制御部18のROMには、後述する送信電圧設定処理を実行するための送信電圧設定プログラムが記憶されているものとする。
つぎに、図11、図12を参照して、送信電圧設定システム1000の動作を説明する。まず、図11を参照して、PC4で実行される第1の送信電圧用情報記憶処理を説明する。第1の送信電圧用情報記憶処理は、PC4が、サブ画像モードが走査状態で超音波を送信する画像モードの非走査状態での超音波探触子2の表面の温度分布を計測し、計測結果から走査状態の温度分布を推定するための温度上昇値分布データを生成して超音波診断装置100に記憶する処理である。
PC4において、例えば操作部42を介して操作者から第1の送信電圧用情報記憶処理の実行指示が入力されたことをトリガーとして、制御部41は、記憶部43に記憶された第1の送信電圧用情報記憶プログラムに従い、第1の送信電圧用情報記憶処理を実行する。
図11に示すように、ステップS41〜S49は、図6の第1の送信電圧記憶処理のステップS11〜S19と同様である。そして、制御部41は、ステップS49で生成された温度上昇値分布データを、ステップS41で入力されたサブ画像モード、ステップS44で入力された探触子種類、ステップS43で入力された送信条件、ステップS46で設定された送信電圧Vpに対応付けて記憶部43に記憶する(ステップS50)。ステップS51〜S58は、図11のステップS25〜S32と同様である。
サブ画像モード又は探触子種類の変更の入力がない場合(ステップS52;NO)、制御部41は、通信部45を介して、ステップS50で記憶された走査状態で超音波を送信する画像モードの非走査状態の温度上昇値分布データ及び当該温度上昇値分布データに対応づけられた情報(サブ画像モード、探触子種類、送信条件、送信電圧Vp)と、ステップS57で記憶された非走査状態で超音波を送信する画像モードの送信電圧Vp及び送信電圧Vpに対応づけられた情報(サブ画像モード、探触子種類、送信条件)とを超音波診断装置100に送信して記憶させ(ステップS59)、第1の送信電圧用情報記憶処理を終了する。ステップS59に対応して、超音波診断装置100の制御部18は、通信部20を介して、走査状態で超音波を送信する画像モードの非走査状態の温度上昇値分布データ及び当該温度上昇値分布データに対応づけられた情報と、非走査状態で超音波を送信する画像モードの送信電圧Vp及び送信電圧Vpに対応づけられた情報とをPC4から受信して記憶部19に記憶する。
ついで、図12を参照して、超音波診断装置100で実行される送信電圧設定処理を説明する。送信電圧設定処理は、超音波画像表示処理の実行中に、走査状態で超音波を送信する画像モードについて、第1の送信電圧用情報記憶処理により記憶部19に記憶された温度上昇値分布データを用いて送信電圧Vtを算出して設定し、非走査状態で超音波を送信する画像モードについて、記憶部19に記憶された送信電圧Vpを設定する処理である。当該超音波画像表示処理は、上記実施の形態の超音波画像表示処理と同様であるものとするが、各画像モードの送信電圧は、送信電圧設定処理により設定又は変更されるものとする。
第1の送信電圧用情報記憶処理の実行後に、生産される超音波診断装置100は、走査状態で超音波を送信する画像モードの非走査状態の温度上昇値分布データ及び当該温度上昇値分布データに対応づけられた情報と、非走査状態で超音波を送信する画像モードの送信電圧Vp及び送信電圧Vpに対応づけられた情報とが記憶されており、医療機関に出荷されたものとする。この超音波診断装置100において、超音波画像表示処理の実行が開始されたことをトリガーとして、制御部18は、ROMに記憶された送信電圧設定プログラムに従い、送信電圧設定処理を実行する。
図12に示すように、まず、制御部18は、超音波画像表示処理で設定中の画像モードを取得する(ステップS61)。そして、制御部18は、ステップS61で取得された画像モードに含まれる全てのサブ画像モードのうち、未選択の1つを選択する(ステップS62)。例えば、ステップS61で取得された超音波画像表示処理の画像モードがカラードプラモードである場合に、そのサブ画像モードは、カラードプラモード及びBモードの2つである。ステップS62では、この2つのサブ画像モードのうち、いずれかのサブ画像モード1つが先に選択され、選択されなかったサブ画像モードが、次に実行されるステップS62で選択されることになる。これにより、画像モードに含まれる全てのサブ画像モードが順に1つずつ選択される。そして、制御部18は、ステップS62又はS74で選択中のサブ画像モードが、走査状態で超音波を送信する画像モードであるか否かを判別する(ステップS63)。走査状態で超音波を送信する画像モードである場合(ステップS63;YES)、制御部18は、接続中の超音波探触子2の探触子種類を探触子情報記憶部2bから読み出し、超音波画像表示処理で設定中の送信条件を取得する(ステップS64)。
そして、制御部18は、選択中のサブ画像モード、ステップS64で取得された探触子種類及び送信条件に対応する非走査状態の温度上昇値分布データ及び送信電圧Vpを記憶部19から読み出す(ステップS65)。そして、制御部18は、選択中のサブ画像モードに対応し、超音波画像表示処理で設定中の走査幅を取得する(ステップS66)。そして、制御部18は、ステップS65で読み出された温度上昇値分布データを、ステップS66で取得された走査幅分ずらして加算平均して平均後の温度上昇値分布データを生成する(ステップS67)。
そして、制御部18は、ステップS67で生成された平均後の温度上昇値分布データから温度上昇値ΔTの最大値ΔTcを算出して取得する(ステップS68)。そして、制御部18は、ステップS65で読み出された送信電圧Vpと、ステップS68で算出された温度上昇値ΔTの最大値ΔTcと、予め設定された温度上昇値ΔTの規制値ΔTrとを用いて、温度上昇値ΔTが送信電圧の二乗に比例することを利用して、設定する走査状態で超音波を送信する画像モードの走査状態の送信電圧Vtを算出し、算出された送信電圧Vtを、超音波画像表示処理における選択中のサブ画像モードの送信電圧に設定する(ステップS69)。
そして、制御部18は、ステップS62で未選択のサブ画像モードがあるか否かを判別する(ステップS70)。ステップS70において、後述するステップS74で変更に対応するサブ画像モードが選択されている場合には、ステップS70;NOとなる。未選択のサブ画像モードがある場合(ステップS70;YES)、ステップS62に移行される。
非走査状態で超音波を送信する画像モードである場合(ステップS63;NO)、制御部18は、接続中の超音波探触子2の探触子種類を探触子情報記憶部2bから読み出し、超音波画像表示処理で設定中の送信条件を取得する(ステップS71)。そして、制御部18は、選択中のサブ画像モード、ステップS71で取得された探触子種類及び送信条件に対応する送信電圧Vpを記憶部19から読み出し、超音波画像表示処理における選択中のサブ画像モードの送信電圧に設定する(ステップS72)、ステップS70に移行される。
未選択のサブ画像モードがない場合(ステップS70;NO)、制御部18は、超音波画像表示処理において、サブ画像モードの走査幅(走査状態で超音波を送信する画像モードのみ)又は送信条件の変更入力があるか否かを判別する(ステップS73)。走査幅又は送信条件の変更入力がある場合(ステップS73;YES)、制御部18は、ステップS73で変更入力された走査幅又は送信条件に対応するサブ画像モードを選択し(ステップS74)、ステップS63に移行する。
走査幅又は送信条件の変更入力がない場合(ステップS73;NO)、制御部18は、超音波画像表示処理において、表示中の画像モードの変更入力、又は探触子情報記憶部2bに記憶された探触子種類の変更があるか否かを判別する(ステップS75)。画像モード又は探触子種類の変更がある場合(ステップS75;YES)、ステップS61に移行される。画像モード又は探触子種類の変更がない場合(ステップS75;NO)、制御部18は、超音波画像表示処理が終了したか否かを判別する(ステップS76)。
超音波画像表示処理が終了していない場合(ステップS76;NO)、ステップS73に移行される。超音波画像表示処理が終了した場合(ステップS76;YES)、送信電圧設定処理を終了する。このようにして、走査幅又は送信条件の変更や、画像モード又は探触子種類の変更があるまで、設定された送信電圧で超音波画像表示処理が継続される。
以上、本変形例によれば、PC4は、超音波診断装置100に接続された超音波探触子2を一のサブ画像モードで、且つ非走査状態で駆動した場合の超音波探触子2の表面温度を撮像するサーモカメラ部5から当該非走査状態の熱画像データを取得し、取得された非走査状態の熱画像データから、当該非走査状態の温度上昇値分布データを生成し、生成された非走査状態の温度上昇値分布データを超音波診断装置100に送信して記憶させる制御部41を備える。超音波診断装置100は、送信された非走査状態の温度上昇値分布データを記憶する記憶部19と、サブ画像モードの走査状態での走査幅を取得し、取得された走査幅に応じて、記憶された非走査状態の温度上昇値分布データから、当該走査状態の温度上昇値の分布を示す走査状態の温度上昇値分布データを生成する制御部18と、を備える。
このため、サブ画像モードの走査状態の所望の走査幅に応じて、走査状態の温度上昇値分布データを都度容易かつ精度よく生成でき、サブ画像モードの走査状態における超音波探触子2の表面温度を容易かつ精度よく予測できる。
また、制御部18は、記憶された非走査状態の温度上昇値分布データを、超音波探触子2のラテラル方向に走査状態の走査幅分ずらし、得られた全ての温度上昇値分布データを加算平均又は加重平均して当該走査状態の温度上昇値分布データを生成する。このため、撮像したサブ画像モードの非走査状態の熱画像データから、走査状態の温度上昇値データを容易かつ精度よく予測できる。加重平均を用いる場合に、超音波探触子2の中心の重みを大きく、端の重みを小さくすることで、より精度よく、走査状態の温度上昇値分布データを生成できる。
また、制御部18は、非走査状態の送信電圧Vpと、生成された非走査状態の温度上昇値分布データと、超音波探触子2の温度上昇値の規制値ΔTrとから、超音波探触子2の表面温度が規制値ΔTrを超えない走査状態の送信電圧Vtを算出する。このため、サブ画像モードにおける超音波探触子2の規制値ΔTrを超えない適切な目標温度上昇値に対応する走査状態の送信電圧Vtを算出でき、送信電圧Vtを用いることでサブ画像モードの超音波画像の感度を向上させることができる。
また、制御部18は、温度上昇値が送信電圧の2乗に比例することを用いて、非走査状態の送信電圧Vpと、生成された走査状態の温度上昇値分布データの最大値ΔTcと、超音波探触子2の温度上昇値の規制値ΔTrとから、走査状態の送信電圧Vtを算出する。このため、サブ画像モードにおける超音波探触子2の規制値ΔTrを超えない適切な目標温度上昇値に対応する走査状態の送信電圧Vtを容易かつ精度よく算出できる。
(第2の変形例)
図13、図14を参照して、上記実施の形態の変形例を説明する。図13は、本変形例の送信電圧設定システム1000Aの機能構成を示すブロック図である。図14は、第2の送信電圧用情報記憶処理を示すフローチャートである。
上記第1の変形例では、送信電圧設定システム1000を用いて、PC4で生成した温度上昇値分布データを超音波診断装置100に記憶し送信電圧Vpを算出する構成としたが、本変形例は、超音波診断装置100が、温度上昇値分布データを生成して記憶し送信電圧Vpを算出する構成である。
本変形例の装置構成は、送信電圧設定システム1000に代えて、図13に示す送信電圧設定システム1000Aを用いる。送信電圧設定システム1000Aにおいて、送信電圧設定システム1000と同様の構成部分には、同じ符号を付与してその説明を省略する。
送信電圧設定システム1000Aは、製造会社の開発部門に設置され、超音波診断装置100の生産前に各画像モードの駆動信号の送信電圧を算出するための温度上昇値分布データが生成されて記憶される。送信電圧設定システム1000Aは、超音波診断装置100と、サーモカメラ部5及び温度センサー6と、を備える。
また、送信電圧設定システム1000Aは、超音波診断装置100の生産前の温度上昇値分布データの生成及び記憶を行う時に、サーモカメラ部5及び温度センサー6が、通信接続部21に接続されているものとする。
また、制御部18のROMには、後述する第2の送信電圧用情報記憶処理を実行するための第2の送信電圧用情報記憶プログラムと、送信電圧設定プログラムと、が記憶されているものとする。
つぎに、図14を参照して、超音波診断装置100の動作を説明する。超音波診断装置100において、制御部18は、図11の第1の送信電圧用情報記憶処理と同様の第2の送信電圧用情報記憶処理を実行する。第1の送信電圧用情報記憶処理の実行の主体は、PC4の制御部41であったが、第2の送信電圧用情報記憶処理の実行の主体は、制御部18となる。また、記憶部19には、超音波探触子2の探触子種類に対応する素子数、素子ピッチ、曲率半径を示す探触子種類テーブルが予め記憶されているものとする。
第2の送信電圧用情報記憶処理は、超音波診断装置100が、サブ画像モードが走査状態で超音波を送信する画像モードの非走査状態での超音波探触子2の表面の温度分布を計測し、計測結果から走査状態の温度分布を推定するための温度上昇値分布データを生成して記憶部19に記憶する処理である。
超音波診断装置100において、例えば操作入力部11を介して操作者から第2の送信電圧用情報記憶処理の実行指示が入力されたことをトリガーとして、制御部18は、ROMに記憶された第2の送信電圧用情報記憶プログラムに従い、第2の送信電圧用情報記憶処理を実行する。
図14に示すように、制御部18は、操作入力部11を介して操作者から接続中の超音波探触子2に対応して送信電圧を設定する対象のサブ画像モードの入力を受け付ける(ステップS81)。ステップS82,S83は、図6の第1の送信電圧用情報記憶処理のステップS42,S43と同様であり、処理の主体を制御部18に代えたものである。
そして、制御部18は、探触子情報記憶部2bから探触子種類を読み出し、記憶部19に記憶された探触子種類テーブルを参照して、探触子情報記憶部2bから読み出した接続中の超音波探触子2の探触子種類に応じて、素子数、素子ピッチ、曲率半径を取得する(ステップS84)。ステップS85〜S93は、図6のステップS45〜S53と同様であり、処理の主体を制御部18に代えたものである。
そして、制御部18は、探触子情報記憶部2bから探触子種類を読み出して取得する(ステップS94)。ステップS95〜S98は、図6のステップS55〜S58と同様であり、処理の主体を制御部18に代えたものである。サブ画像モード又は探触子種類の変更の入力がない場合(ステップS92;NO)、第2の送信電圧用情報記憶処理が終了する。
第2の送信電圧用情報記憶処理の実行後に、生産される超音波診断装置100は、サーモカメラ部5及び温度センサー6が接続されておらず、走査状態で超音波を送信する画像モードの非走査状態の温度上昇値分布データ及び当該温度上昇値分布データに対応づけられた情報と、非走査状態で超音波を送信する画像モードの送信電圧Vp及び送信電圧Vpに対応づけられた情報とが記憶されており、医療機関に出荷されたものとする。この超音波診断装置100において、図12の送信電圧設定処理が実行される。
以上、本変形例によれば、超音波診断装置100は、接続された超音波探触子2を一のサブ画像モードで、且つ非走査状態で駆動した場合の超音波探触子2の表面温度に基づく、当該非走査状態の温度上昇値分布データを記憶する記憶部19と、画像モードの走査状態での走査幅を取得し、取得された走査幅に応じて、当該非走査状態の温度上昇値分布データから、当該走査状態の温度上昇値分布データを生成する制御部18を備える。このため、上記第1の変形例と同様の効果を奏し、サブ画像モードにおける超音波探触子2の表面温度を容易かつ精度よく予測できる。
また、制御部18は、超音波診断装置100で接続された超音波探触子2を一のサブ画像モードで、且つ非走査状態で駆動した場合の超音波探触子2の表面温度を撮像するサーモカメラ部5から当該非走査状態の熱画像データを取得し、取得された非走査状態の熱画像データから、当該非走査状態の温度上昇値分布データを生成する。このため、情報処理装置を用いず、非走査状態の熱画像データ及び温度上昇値分布データを容易に生成できる。
なお、上記実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係る好適な情報処理装置、超音波探触子温度予測システム、超音波診断装置及び超音波探触子の温度予測方法の一例であり、これに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態及び各変形例の少なくとも2つを適宜組合せる構成としてもよい。
また、上記実施の形態及び各変形例において、PC4の制御部41又は超音波診断装置100の制御部18は、接続中の超音波探触子2のエレベーション方向の中心のラテラル方向の1列の画素列の1次元の配列データである熱画像データを走査状態で超音波を送信する画像モードの非走査状態の表面温度分布データとして抽出して取得する構成としたが、これに限定されるものではない。走査状態で超音波を送信する画像モードの非走査状態の表面温度分布データは、例えばエレベーション方向の中心から幅を有するラテラル方向の2次元の配列データである構成としてもよい。例えば、2次元の配列データから、エレベーション方向の各位置における素子番号方向に沿った複数の温度上昇値分布データが生成され、各温度上昇値分布データが走査状態の各温度上昇値分布データに変換され、走査状態の複数の温度上昇値分布データから温度上昇値ΔTの最大値ΔTcが算出される。この構成によれば、サブ画像モードの非走査状態の表面温度分布データが2次元配列データであるため、この2次元配列データを用いて走査状態の温度上昇値分布データをより正確に生成できる。
また、上記実施の形態では、超音波診断装置100の記憶部19に送信電圧テーブル70を記憶させることにより、サブ画像モードの送信電圧を設定する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、送信電圧テーブル70と同様のデータを、超音波送受信を含む超音波画像表示処理などのプログラムに含め、当該プログラムを記憶部19に記憶(インストール)することにより、サブ画像モードの走査状態の送信電圧を設定する構成としてもよい。
また、上記各変形例において、非走査状態で超音波を送信するモードの場合には、送信電圧Vpを取得して超音波診断装置100に記憶する構成としたが、これに限定されるものではない。非走査状態で超音波を送信するモードの場合にも、PC4の制御部41又は超音波診断装置100の制御部18は、入力又は取得された探触子種類、送信条件などに応じて超音波探触子2の表面温度を測定して熱画像データを取得し、温度上昇値分布データに変換して超音波診断装置100の記憶部19に記憶する構成としてもよい。この超音波診断装置100の制御部18は、超音波画像表示処理の実行時、画像モードが非走査状態で超音波を送信する画像モードの場合に、当該非走査状態で超音波を送信する画像モードの温度上昇値分布データを記憶部19から読み出して、最大の温度上昇値ΔTから送信電圧Vpを算出して設定する。
また、上記実施の形態及び変形例では、超音波探触子2の表面温度のみを考慮して、送信電圧を設定する構成としたが、この構成に限定されるものではない。実際の送信電圧の設定時には、超音波探触子2の表面温度だけでなく、音響出力(AOP:Acoustic Output Power)の規制も考慮して送信電圧が決定される。音響出力の規制には、MI(Mechanical Index)、TI(Thermal Index)、Ispta.3などの指標が用いられる。そして、超音波探触子2の表面温度と、音響出力とが、それぞれの規制値を超えない送信電圧のうち、もっとも低い電圧が使われることになる。例えば、音響出力の規制を超えない送信電圧をあらかじめ記憶しておき、表面温度から算出された送信電圧Vtと比較して低い方の送信電圧が決定される構成とする。あるいは、MI、TI、Ispta.3などの指標を計算する元となる音響出力値をあらかじめ記憶しておき、当該音響出力値が規制値を超えない送信電圧を計算して、表面温度から算出された送信電圧Vtと比較し、もっとも低い送信電圧を設定する構成とすることもできる。TI、Ispta.3は、走査状態又は非走査状態や走査幅によって規制を超えない送信電圧が変わってくるので、前者の構成なら送信電圧を走査状態、又は非走査状態や走査幅別に記憶するか、より好適には後者の構成のようにすることが望ましい。
また、以上の実施の形態における送信電圧設定システム1000,1000Aを構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。