JP2019204079A - エレクトロクロミック素子及びこれを用いた撮像装置、透過率可変窓 - Google Patents

エレクトロクロミック素子及びこれを用いた撮像装置、透過率可変窓 Download PDF

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Abstract

【課題】EC素子における垂直色分離の影響を抑制する。【解決手段】透過率可変領域31内に有効光学領域32を内包し、鉛直方向において、透過率可変領域31の外周から有効光学領域32の外周までの最短距離d1,d2が、該最短距離を含む直線上の透過率可変領域31の長さL1の7.5%以上25%以下となるように、透過率可変領域31及び有効光学領域32を設定する。【選択図】図4

Description

本発明は反射光や透過光の光量を調整するエレクトロクロミック素子と、該素子を用いた撮像装置及び透過率可変窓に関する。
電気化学的な酸化還元反応により物質の光学特性(吸収波長、吸光度等)が変化する化合物を、エレクトロクロミック(EC)化合物という。EC化合物を利用したエレクトロクロミック素子(EC素子)は、表示装置、反射率可変ミラー、透過率可変窓等に応用されている。
EC素子には、酸化により着色又は消色するアノード性EC化合物と、還元により着色又は消色するカソード性EC化合物と、を含む溶液層をEC層として用いるものがある。このようなEC素子を、EC層を挟む一対の電極の面内方向が鉛直方向に平行となるように立てて長時間駆動すると、アノード性EC化合物とカソード性EC化合物とがEC層内で鉛直方向に分離する現象(セグリゲーション)が発生することがある。セグリゲーションが発生すると、着色させたEC素子の色を構成する色成分が分離し、鉛直方向上方と下方とで面内に色ムラが発生することがある(垂直色分離)。このような垂直色分離は、EC素子を調光素子として用いる装置において、光強度の波長依存の不均一性(色ムラ)を生じるため好ましくない。
特許文献1には、増粘剤を用いることでEC化合物を含む溶液の粘度を増大させることで溶液中の物質の移動を抑制し、垂直色分離の発生を抑制させたEC素子が記載されている。
特開平10−138832号公報
しかしながら、特許文献1のようにEC化合物を含む溶液を高粘度化するとEC素子の着色状態を変更する際にも物質の移動が抑制されるため、高粘度化しすぎるとEC素子の応答速度が低下する恐れがある。また長時間、高着色濃度で駆動した場合などには、EC層の高粘度化だけでは垂直色分離の抑制が不十分である場合があった。
本発明は、EC素子における垂直色分離の影響を抑制することを目的とする。
本発明の第1は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置されたエレクトロクロミック層と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記エレクトロクロミック素子は、透過率可変領域内に有効光学領域を内包し、
前記有効光学領域の面内の一方向において、前記有効光学領域の外周から前記透過率可変領域の外周までの最短距離をw、前記最短距離を含む直線上の前記透過率可変領域の長さをLとした時、前記直線の両端において、wはLの7.5%以上、25%以下であることを特徴とする。
本発明の第2は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置されたエレクトロクロミック層と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記エレクトロクロミック素子は、透過率可変領域内に有効光学領域を内包し、
前記有効光学領域の着色時における色ムラの指標d(ΔOD)の平均値が0.01以下であることを特徴とする。
本発明の第3は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置されたエレクトロクロミック層と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記エレクトロクロミック素子は、透過率可変領域内に有効光学領域を内包し、
前記有効光学領域の外周に沿って、前記有効光学領域の外周から前記透過率可変領域の外周までを覆う遮蔽部を有し、
前記遮蔽部における、前記有効光学領域の外周から前記透過率可変領域の外周までの最短距離が、前記最短距離を含む直線上の前記透過率可変領域の長さの7.5%以上、25%以下であることを特徴とする。
本発明の第4は、複数のレンズを有するレンズユニットと、前記レンズユニットを通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子よりも被写体側に配置されたエレクトロクロミック素子と、を有する撮像装置であって、
前記エレクトロクロミック素子が上記本発明のエレクトロクロミック素子であることを特徴とする。
本発明の第5は、一対の透明保護基板と、前記一対の透明保護基板の間に配置されたエレクトロクロミック素子と、前記透明保護基板と前記エレクトロクロミック素子の周縁部が嵌め込まれた窓枠とを有する透過率可変窓であり、前記エレクトロクロミック素子が上記本発明のエレクトロクロミック素子であることを特徴とする。
本発明によれば、透過率可変領域において、あえて有効光学領域外に所定の領域を持たせることにより、垂直色分離の影響を排除し、応答速度に影響を及ぼすことなく、面内の透過率を均一化したEC素子が提供される。よって、係るEC素子を用いて、高画質表示の撮像装置や、色ムラの少ない透過率可変窓が提供される。
EC素子の一例の構成を模式的に示す図である。 EC素子の垂直色分離を示すグラフである。 EC素子を用いた撮像装置と透過率可変窓の構成を模式的に示す図である。 本発明のEC素子の一実施形態の構成を模式的に示す図である。 本発明のEC素子の他の実施形態の構成を模式的に示す図である。 本発明のEC素子の他の実施形態の構成を模式的に示す図である。 図6のEC素子における金属配線の長さと電圧降下によるEC層の吸光度の低下との関係を示す図である。 EC素子の垂直色分離の程度の評価方法を説明するための図である。 EC化合物の濃度と垂直色分離の程度との関係を示すグラフである。 本発明のEC素子を用いた撮像装置の実施形態の構成を模式的に示す図である。 本発明のEC素子を用いた透過率可変窓の実施形態の構成を模式的に示す図である。 実施例1乃至4、比較例1,2のEC素子の垂直色分離を示すグラフである。 実施例5、比較例3,4のEC素子の垂直色分離を示すグラフである。 実施例6、比較例5,6のEC素子の垂直色分離を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対して適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に含まれる。
[EC素子]
エレクトロクロミック素子(EC素子)は、外部から光を取り込み、取り込んだ光をEC層の少なくとも一部を通過させることで、所定の波長領域において出射光の特性、典型的には光の強度を入射光に対して変化させるデバイスである。
図1に、EC素子の一例の構成を模式的に示す。図1(a)は正面図、(b)は(a)中のA−A’位置における断面図である。基本的にEC素子は、第1の電極2aと、第2の電極2bと、該第1の電極2aと第2の電極2bとの間に配置されたエレクトロクロミック層(EC層)6とを有している。また、EC素子は、第1の電極2a、第2の電極2bの外側に基板1a、1bを有し、第1の電極2aと第2の電極2bとの間にEC素子を封止するためのシール材3を有していても良い。EC層6は、溶媒と、アノード性EC化合物と、カソード性EC化合物と、を有する。
以下、EC素子が有する構成要素について、それぞれ説明する。尚、本発明において「透明」とは、光の透過率が50%以上100%以下、より好ましくは70%以上100%以下であることを示し、本発明における「光」とは、EC素子の使用対象となる波長領域における光のことである。例えば、EC素子を可視光領域の撮像装置の光学フィルタとして使用するのであれば可視光領域の光のことをいい、赤外線領域の撮像装置の光学フィルタとして使用するのであれば赤外線領域の光のことをいう。また、「透過型」とは、光が一方の基板側から入射し、EC層6を通過して他方の基板側から出射する形態であり、「反射型」とは、光が一方の基板側から入射し、EC層6を通過して他方の基板側で反射し、一方の基板側から出射する形態である。反射型の場合、反射する側の電極又は基板を反射層とするか、もしくは、電極と基板との間、基板の外側、のいずれかにEC層6を透過した光を反射するための反射層又は散乱層を備えている。
<基板>
基板1a,1bとしては、EC素子が透過型である場合には両基板とも透明基板であり、反射型である場合には、少なくとも光が入射及び出射する側の基板を透明基板とする必要がある。
透明基板としては、具体的には、無色又は有色のガラスや透明性樹脂を用いることができる。ガラスとしては、光学ガラス、石英ガラス、白板ガラス、青板ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、化学強化ガラス等が挙げられる。透明性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリノルボルネン、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。非透明基板を用いる場合には、絶縁性の部材であれば特に限定されない。
<電極>
電極2a,2bの構成材料としては、EC素子の動作環境において安定に存在し、外部からの電圧の印加に応じて速やかに酸化還元反応を進行させることのできる材料が好ましく用いられ、例えば、後述する透明導電材や金属等を用いることができる。
EC素子が透過型の場合、第1の電極2a、第2の電極2bはいずれも透明電極であり、EC素子が反射型の場合には、少なくとも光が入射及び出射する側の電極を透明電極とする。反射型の場合、光を反射する側の電極は、反射性を有する電極とするか、或いは、該電極を透明電極として、背後に反射層や散乱層を設ける。この反射層又は散乱層としては基板を兼用しても良い。また、反射側の電極とEC層との間に導電性の反射層や散乱層を形成することで、係る電極の光学特性の自由度を向上させることができ、不透明な電極や、対象の光を吸収する電極を用いることもできる。
透明電極としては、透明導電材によって形成された膜や、該膜上に部分的に金属線が配置された透明電極等を用いることができる。尚、金属線自体は透明ではないが、これを部分的に配置して光の透過率を上記の範囲としたものも、本発明においては、透明電極として含む。
透明導電材としては、透明導電性酸化物や、カーボンナノチューブ等の炭素材料等を挙げることができる。透明導電性酸化物として、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)が挙げられる。また、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、ニオビウムドープ酸化チタン(TNO)等が挙げられる。これらの中でも、ITO又はFTOが好ましい。
透明導電性酸化物で電極2a,2bを形成する場合、電極の膜厚は10nm以上10μm以下であることが好ましい。特に、膜厚10nm以上10μm以下の範囲で形成したITO又はFTOを電極として用いることで、高透過性と化学的安定性を両立することができる。
尚、透明導電性酸化物で透明電極を形成する場合、電極は、透明導電性酸化物のサブレイヤーが積み重なった構造を有していてもよい。これにより、高導電性と高透明性を実現しやすくなる。
非透明電極や金属線の構成材料としては、特に限定されるものではないが、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、チタン(Ti)等の、電気化学的に安定な金属が好ましく用いられる。また、透明電極上に形成する金属線の配置パターンとしては、グリッド状が好ましく用いられる。金属線を有する電極は、代表的には平面電極であるが、必要に応じて湾曲したものも使用することができる。
EC層6の厚さ、即ち第1の電極2aと第2の電極2bとの距離は、1μm以上500μm以下とすることが好ましい。電極間距離を大きくするとEC層6の厚さを厚くでき、EC素子として有効に機能させるために十分な量のEC化合物をEC層6中に配置することができる。その結果、着色時の透過率をより低くしやすい点で有利である。一方、電極間距離を小さくすると、EC素子の応答速度を速くしやすい点で有利である。上述のように電極間距離を1μm以上500μm以下とすることで、着色時の低い透過率と速い応答性を実現しやすくなる。
<シール材>
シール材3は、第1の電極2aと第2の電極2bとの間に配置されており、第1の電極2aと第2の電極2bとを外周近傍において接合するものである。シール材3としては、化学的に安定で、気体及び液体を透過しにくく、EC化合物の酸化還元反応を阻害しない材料で構成されていることが好ましい。例えば、ガラスフリット等の無機材料、エポキシ系、アクリル系樹脂等の有機材料、金属等を用いることができる。尚、シール材3は、スペーサー材料を含有する等により、第1の電極2aと第2の電極2bとの間の距離を保持する機能を有していてもよい。この場合は、第1の電極2a、第2の電極2b、及びシール材3によって、EC層6を電極間に配置するための空間を形成することができる。
シール材3が第1の電極2aと第2の電極2bとの間の距離を規定する機能を有していない場合は、両電極間の距離を規定して保持する機能を有するスペーサーを別途配置して両電極間の距離を保持してもよい。スペーサーの素材としては、シリカビーズ、ガラスファイバー等の無機材料や、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジビニルベンゼン、フッ素ゴム、エポキシ樹脂等の有機材料を用いることができる。
<エレクトロクロミック層>
EC層6は、溶媒と、アノード性EC化合物と、カソード性EC化合物とを有する相補型とする。EC層6は、アノード性EC化合物及びカソード性EC化合物が溶媒に溶解されている溶液層であることが好ましく、さらに支持電解質や増粘剤等の添加剤を含有していてもよい。
(溶媒)
溶媒としては、使用するアノード性EC化合物及びカソード性EC化合物等の溶質の溶解性、蒸気圧、粘性、電位窓等を考慮して、用途に応じて適宜選択することができる。溶媒としては、使用するアノード性EC化合物及びカソード性EC化合物を溶解できるものが好ましい。また、溶媒としては、極性を有する溶媒であることが好ましい。具体的には、エーテル化合物、ニトリル化合物、アルコール化合物、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン等の有機極性溶媒や水が挙げられる。これらの中でも、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン、バレロラクトン、ジオキソラン等の環状エーテルを含む溶媒が好ましい。これらの環状エーテルを含む溶媒は、EC化合物の溶解性、沸点、蒸気圧、粘性、電位窓の観点から好ましい。環状エーテルの中でも、炭酸プロピレンを含む溶媒が特に好ましい。また、溶媒としてイオン液体を用いることもできる。
また、上記溶媒に、さらにポリマーやゲル化剤、増粘剤を含有させ、EC層6の粘性を高めたりゲル状としたりしてもよい。溶媒或いは電解液として、ポリマー電解質やゲル電解質を用いてもよい。ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ナフィオン(登録商標)及びそれらの誘導体等を挙げることができる。EC層6の粘性を高めたりゲル状としたりすると、EC層6中でのEC化合物の移動が抑制される。これにより、垂直色分離の発生をさらに抑制することができる。
EC6層は、さらに支持電解質を有していてもよい。支持電解質としては、イオン解離性の塩であり、且つ溶媒に対して良好な溶解性を示すものであれば特に限定はされない。支持電解質は、EC素子の動作電位において安定な物質であることが好ましい。支持電解質は、各種陽イオン、陰イオンから好適なものをそれぞれ選択し、両者を組み合わせたものを使用することができる。陽イオンの例としては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン等の金属イオン、4級アンモニウムイオン等の有機イオン等が挙げられる。具体的には、Li+、Na+、K+、Ca2+、Ba2+、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。陰イオンの例としては、各種のフッ素化合物の陰イオン、ハロゲン化物イオン等が挙げられる。具体的にはClO4 -、SCN-、BF4 -、AsF6 -、CF3SO3 -、CF3SO2NSO2CF3 -、PF6 -、I-、Br-、Cl-等が挙げられる。また、EC化合物として塩化合物を使用することで、EC化合物が支持電解質の機能を兼ねてもよい。塩化合物でもあるEC化合物の例としては、ビオロゲン誘導体等を挙げることができる。
EC層6の形成方法は特に限定はされず、例えば、第1の電極2a及び第2の電極2bの間に設けた間隙に、真空注入法、大気注入法、メニスカス法等によって、溶媒とEC化合物とを含む液体を注入する方法が挙げられる。具体的には、例えば電極2a,2bとシール材3とによって形成されたセルに、電極2a,2b又はシール材3の一部に形成した開口部(不図示)から溶媒とEC化合物を含む液体を注入し、封止部材によって開口部を封止する。
(EC化合物)
EC化合物とは、酸化還元物質の一種であり、酸化還元反応により、EC素子の対象とする光波長領域において光学特性が変化する化合物である。尚、光学特性としては、光吸収特性や光反射特性が挙げられ、典型的には光吸収特性である。ここでいう「酸化還元物質」とは、所定の電位範囲において、繰り返し酸化還元反応を起こすことが可能な物質を意味する。EC化合物は、酸化還元反応により、EC素子の対象とする光波長領域において光透過率が変化する化合物と言うこともできる。また、ここでいう「光学特性が変化する」とは、代表的には、光吸収状態と光透過状態とが切り替わることを指す。この場合、EC化合物は、酸化還元反応によって光吸収状態と光透過状態とが切り替わる化合物であると言うこともできる。
「アノード性EC化合物」とは、EC素子を駆動させた時に酸化反応によってEC素子の対象とする光波長領域において光学特性が変化するEC化合物をいう。酸化反応は、通常、EC化合物から電子が取り去られる反応である。また、「カソード性EC化合物」とは、EC素子を駆動させた時に還元反応によってEC素子の対象とする光波長領域において光学特性が変化するEC化合物をいう。還元反応は、通常、EC化合物に電子が授与される反応である。アノード性EC化合物の典型的な例としては、EC素子を駆動させた時に酸化反応によって光透過状態から光吸収状態に変化する化合物が挙げられる。また、カソード性EC化合物の典型的な例としては、EC素子を駆動させた時に還元反応によって光透過状態から光吸収状態に変化する化合物が挙げられる。尚、これに限定されず、それぞれEC素子を駆動させた時に酸化反応又は還元反応によって光吸収状態から光透過状態へと変化する化合物であってもよい。以下の記述においては、EC化合物の光吸収特性の変化をイメージし易くするために、典型的な例である、EC素子を駆動させた時に光透過状態(消色状態)から光吸収状態(着色状態)へと変化する例を取り上げて記述する。
アノード性EC化合物もカソード性EC化合物も、第1の電極2aと第2の電極2bとの間に印加する電圧を制御する、又はEC素子のオン/オフを切り替えることで、酸化反応又は還元反応を生じ、互いに異なる少なくとも2つの状態をとる。本発明では、あるEC化合物が、一電子以上の酸化反応によって酸化された状態をそのEC化合物の「酸化体」と呼び、一電子以上の還元反応によって還元された状態をそのEC化合物の「還元体」と呼ぶ。即ち、アノード性EC化合物は、EC素子を駆動させていない状態では還元体であるが、EC素子を駆動させた状態ではその一部が酸化体となる。また、カソード性EC化合物は、EC素子を駆動させていない状態では酸化体であるが、EC素子を駆動させた状態ではその一部が還元体となる。
尚、文献によっては、EC化合物の状態を示す表現として、酸化体から中性体を経て還元体(又はその逆)へと変化するという表現もある。しかし、以下の説明においては、基本的には、酸化体を還元した時に生成されるのが還元体であり、還元体を酸化した時に生成されるのが酸化体という認識の下で、酸化体及び還元体の記述を採用する。例えば、二価の鉄を有するフェロセン(分子全体としては中性体)は、フェロセンがアノード性の酸化還元物質として機能する場合には、フェロセン(アノード性の酸化還元物質)の還元体である。この還元体が酸化されて鉄が三価の状態となったもの(フェロセニウムイオン)はフェロセン(アノード性の酸化還元物質)の酸化体、特に第1の酸化体である。またビオロゲンのジカチオン塩がカソード性EC化合物として機能する場合には、当該ジカチオン塩はカソード性EC化合物の酸化体である。また当該ジカチオン塩が一電子還元されたモノカチオン塩はカソード性EC化合物の還元体、特に第1の還元体である。
本発明に用いられるEC化合物は、有機化合物である。EC化合物は、低分子有機化合物であっても高分子有機化合物であってもよいが、分子量が2000以下の低分子有機化合物であることが好ましい。また、アノード性EC化合物及びカソード性EC化合物は、いずれもEC素子の駆動によって消色体から着色体に変化する化合物であることが好ましい。尚、EC化合物として、それぞれ複数種類のアノード性EC化合物、カソード性EC化合物が含まれていてもよい。
アノード性EC化合物としては、例えば、チオフェン誘導体、フェナジン誘導体やトリアリルアミン誘導体等の芳香環を有するアミン類、ピロール誘導体、チアジン誘導体、トリアリルメタン誘導体、ビスフェニルメタン誘導体、キサンテン誘導体、フルオラン誘導体、スピロピラン誘導体等が挙げられる。これらの中でも、アノード性EC化合物としては、低分子の芳香環を有するアミン類が好ましく、ジヒドロフェナジン誘導体が最も好ましい。
これらの化合物は、所望の吸収波長プロファイルを持つEC素子を提供しやすく、繰り返し使用に対する高い耐久性を有しており、好ましい。また、これらの化合物は、中性状態(還元体)において紫外領域に吸収ピークを有し、可視光領域には吸収を有さず、可視光領域の透過率が高い消色状態を取る。そして、酸化反応によりこれらの分子がラジカルカチオン(酸化体)となると、吸収ピークが可視光領域にシフトして着色状態となる。これらの分子は、そのπ共役長を拡大縮小させること、また置換基を変更してπ共役系に変化を加えることで、その吸収波長を任意に設計することができる。ここでいう低分子とは、分子量で2000以下である。
カソード性EC化合物は特に限定はされないが、例えば、ビオロゲン誘導体等のピリジン誘導体、キノン化合物等が挙げられる。これらの中でも、ビオロゲン誘導体等のピリジン誘導体が最も好ましく用いられる。従って、カソード性EC化合物は、ピリジン骨格又はキノン骨格を有する化合物であることが好ましい。また、カソード性EC化合物は、下記式(1)で表される化合物(1)であることがさらに好ましい。
Figure 2019204079
上記式(1)において、X1及びX2はアルキル基、アラルキル基、アリール基からそれぞれ独立に選ばれる。前記アルキル基、前記アラルキル基、前記アリール基は置換基を有してもよい。R11乃至R18は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子、アシル基のいずれかである。前記アルキル基、前記アルコキシ基、前記アラルキル基、前記アリール基、前記複素環基は置換基を有してもよい。A1-及びA2-は、それぞれ独立に一価のアニオンを表す。
<垂直色分離の形成過程とそのプロファイル>
本発明者はEC素子において発生する垂直色分離について測定、解析を重ねることでその形成過程を明確にした。具体的には、垂直色分離は以下2つの過程を経て形成される。
(i)EC化合物の着色体の溶媒に対する親和性低下による集合体の形成
着色時のEC化合物のイオン価数の変化により、溶媒に対する親和性が低下し、集合体を形成する。
(ii)形成された集合体の鉛直方向への移動
形成されたアノード性EC化合物とカソード性EC化合物とで集合体の密度に差があるため、その密度差を駆動力として、形成された集合体が鉛直方向へ移動して垂直色分離が形成される。垂直色分離は、その形成機構から垂直方向に色分離を形成することになる。典型的な垂直色分離が発生したEC素子について、撮像装置のNDフィルタとして用いた場合をシミュレーションする。図1の構成で、アノード性EC化合物として下記式(2)で示される化合物(2)を、カソード性EC化合物として下記式(3)で示される化合物(3)を、溶媒である炭酸プロピレンに溶解させた溶液をEC層6として用い、EC素子を作製した。
Figure 2019204079
Figure 2019204079
上記EC素子を電極面が鉛直方向に平行になるように立てて駆動すると、上部で黄色、下部で青色の強い垂直色分離を形成する。このように垂直色分離は、鉛直方向の端部に強い色ムラの領域を発生させる。この色ムラは面内で隣接する領域間の色変化が大きいと、より認識されることになる。ここで隣接する領域間の色変化を表現するために、後述する色分離の指標d(ΔOD)を用いて、d(ΔOD)の傾きの絶対値をパラメータ(K)として評価を行った。図2のグラフは、上記EC素子のEC層の垂直方向の位置を最上部を0%、最下部を100%として横軸に、該EC素子のシミュレーション像のプロファイルから算出したd(ΔOD)の傾きの絶対値Kを縦軸にとったものである。
図2中、EC層6の上下両端部から内側に7.5%ずつの領域において、d(ΔOD)の傾きの絶対値Kが大きく上昇していることがわかる。このような領域において垂直色分離は強く認識されることになる。また、EC層6の上下両端部から15%ずつを除外した内側の領域では、この指標の変化は非常に小さく、この内側の領域においては、垂直色分離は認識されにくいことがわかる。
EC素子は、色の変化が直接、間接に人の目に触れる素子であるために、その外観が重要となる。この観点から、実際に使用される領域(有効光学領域)を取り巻くベゼル部(額縁部)の面積は可能な限り抑えたいという要望がある。また、EC素子は、基本的に電流駆動素子であるために、電極面積の増大に伴い電流が増大する。消費電力低減の観点から、有効光学領域外の電極面積はできるだけ抑えたい要望がある。また電流増大に伴い、電極抵抗、特に透明電極の抵抗による電圧降下は、EC素子面内の透過率ムラにつながる恐れがあり、この点からも有効光学領域外の電極面積はできるだけ抑えたいという要望がある。このように、EC素子においては、有効光学領域外の領域は小さくするもの、という前提が当然としてある。
本発明者は、この前提に対して、あえてEC素子の電極2a,2b及びEC層6が接触し、且つ有効光学領域外となる面積を拡大して設計することを発案した。電極2a,2bとEC層6とが接触する領域は、有効光学領域となりうるが、あえてその端部を有効光学領域外とすることでEC素子における垂直色分離の影響を低減することを発案した。
本発明において、有効光学領域とは、EC素子の透過率変化が、該EC素子を用いた撮像装置や透過率可変窓などの装置において、必要な機能を果たすための領域のことである。図3を用いて有効光学領域を具体的に説明する。図3(a)はEC素子を用いた撮像装置の、図3(b)はEC素子を用いた透過率可変窓の構成を模式的に示す断面図である。
図3(a)において、11はEC素子、12はレンズユニット、13は撮像素子、14は撮像ユニットである。係る撮像装置において、EC素子11は光学フィルタとして機能する。尚、撮像装置には、別途、不図示のUVフィルタ、IRフィルタ、絞り、ミラー等の光学系、演算処理、記録等を担う電子回路、表示素子等の出力系、マイク等の入力系等を有していても良い。また同図では、光学フィルタとしてのEC素子11は、光路上、レンズユニット12の下流に配置されているが、光学フィルタとしては、レンズユニット12より上流側であっても、レンズユニット12内に組み込まれていてもよい。
図3(a)に示すように、撮像装置においては、被写体から来た光が矢印で示されるように、レンズユニット12を通過して、撮像素子13に結像することで像を取得する。この時、レンズユニット12を通じて撮像素子13の有効画素に到達する光が、EC素子11を透過する領域を有効光学領域32とする。この領域32におけるEC素子11の透過率変化は、撮像装置が撮像機能を適切に果たすために、光学フィルタとして減光する機能を果たす。
また、図3(b)において、11はEC素子、21a,21bは透明保護基板、22は窓枠、24は観察者である。EC素子11は窓の調光を行う光学フィルタとして用いられ、透明保護基板21a,21bと共に、外周が窓枠22に嵌め込まれている。
図3(b)において、透過率可変窓は、外部(紙面左側)から来た光を、EC素子11を通して調光して内部の観察者24に届けるという機能を果たす。この時、観察者24に到達する光が透過する領域をEC素子11の有効光学領域32とする。この領域32におけるEC素子11の透過率変化は、透過率可変窓の調光機能を適切に果たすために、光学フィルタとして減光する機能を果たす。
本発明において、透過率可変領域とは、EC素子において、透過率が変化する領域のことを指し、有効光学領域は該透過率可変領域内において規定される。図4を用いて透過率可変領域及び有効光学領域を具体的に説明する。図4は、本発明のEC素子の一実施形態の構成を模式的に示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)中のB−B’位置における断面図である。
不図示の外部回路からEC素子に電圧が印加されると、EC化合物はそれぞれの材料に応じた波長領域において、その光吸収特性を変化させる。典型的には、可視光領域において着色/消色することになる。EC層6が保持されて、印加電圧に応じた透過率変化が起こる領域を透過率可変領域と呼ぶ。即ち、図4においては、シール材3で囲まれた内側のEC層6の領域31が透過率可変領域である。尚、図4のEC素子は、基板1a,1b前面に電極2a,2bが形成され、該電極2a,2bの外周よりも内側にシール材3が配置されてEC層6が配置されているが、本発明はこれに限定されるものではない。透過率可変領域31は、第1の電極2a、第2の電極2b、EC層6が互いに重なり合う領域である。
本発明のEC素子においては、有効光学領域32は透過率可変領域31に内包される。さらに、有効光学領域32の面内の一方向において、有効光学領域32の外周から透過率可変領域31の外周までの最短距離をw、係る最短距離を含む直線上の透過率可変領域31の長さをLとする。本発明においては、上記一方向の両端において、wはLの7.5%以上、15%以下となる(0.075≦w/L≦0.15)ように、有効光学領域32が設定される。尚、上記一方向の一端側の最短距離を含む直線と、他端側の最短距離を含む直線とは必ずしも連続する必要はない。図4においては、紙面上下方向における有効光学領域32の外周から透過率可変領域31の外周までの最短距離w1,w2は、該最短距離w1,w2をそれぞれ含む直線上の透過率可変領域31の長さL1の7.5%以上、15%以下である。
図2に示したように、電極面が鉛直方向に平行になるようにEC素子を立てた場合に、透過率可変領域31(EC層6)の上下端から7.5%以上ずつの領域において、d(ΔOD)の傾きの絶対値Kが大きく上昇し、垂直色分離が強く認識される。また、7.5%から内側の領域においては、Kの変化は小さく、垂直色分離は認識されにくい。よって、7.5%以上の領域を有効光学領域外とすることで、垂直色分離の影響を大幅に低減することができる。好ましくは、15%以上である。
一方、透過率可変領域31の上下端から25%の内側においては、Kの変化はほとんどない。また、透過率可変領域31の、有効光学領域32から除外される領域の必要以上の増大は、EC素子全体の面積の増大、特にEC層6の増大による、電力の増大、EC素子サイズの拡大によるコストの増大、配置の困難性の上昇などを招くため、好ましくない。よって、透過率可変領域31の、有効光学領域32から除外される領域は、透過率可変領域31の上下端から25%以下である。
上記のように、垂直色分離が発生するのは鉛直方向である。そのため、垂直色分離の影響を効果的に回避するためには、上記0.075≦w/L≦0.25を満たす方向が、EC素子の使用環境下において、鉛直方向であることが好ましい。例としてEC素子が撮像装置と組み合わせて使用される場合には、撮像装置の縦横配置に対応して、典型的には、EC素子の長手方向、または、短手方向が鉛直方向として使用される。
一方、EC層6を取り囲むシール材3、及び該シール材3の外部からは、EC化合物に影響を与えうる種々の成分が侵入してくる可能性がある。このような影響を回避するため、有効光学領域32が透過率可変領域31の外周から所定の距離離れた位置に設定されることが好ましい。よって、上記0.075≦w/L≦0.025を満たす方向が、EC素子の使用環境下において、水平方向であっても有効である。具体的には、図4において、紙面左右方向における、有効光学領域32の外周から透過率可変領域31の外周までの最短距離w3,w4は、該最短距離を含む透過率可変領域31の長さL2の7.5%以上25%以下である。
また、撮像装置においては、撮像対象に応じて、撮像装置を電極面内において90°回転させて使用する場合もある。よって、本発明においては、有効光学領域32の全外周において、0.075≦w/L≦0.25を満たすことが好ましい。
尚、図4には、有効光学領域32及び透過率可変領域31がいずれも長方形で相似形である形態を示したが、図5に示したように、透過率可変領域31の外周が外側に突出する突出部31a、31bを有する形態であっても構わない。このような場合には、該突出部31a,31bを除いた領域において最短距離w1,w2が規定される。尚、図5においては、便宜上、バスバー4a,5aの図示を省略する。
また、図4においては、好ましい形態として、紙面上下方向の有効光学領域32の外周から透過率可変領域31の外周までの最短距離w1,w2を互いに等しく設定しているが、本発明においては、係る構成に限定されない。また、同様に、図4においては、好ましい形態として、紙面左右方向の有効光学領域32の外周から透過率可変領域31の外周までの最短距離w3,w4を互いに等しく設定しているが、本発明においては、係る構成に限定されない。また、図4においては、有効光学領域32が長方形である形態を示したが、本発明においては、有効光学領域32の形状は限定されず、正方形等の他の四角形や、四角形以外の多角形、円形、楕円形であっても良い。有効光学領域32が四角形の場合、上記0.075≦w/L≦0.025を満たす方向が該四角形の一辺に平行な方向であり、円形や楕円形の場合には、外周の一点に接する接線に平行な方向である。尚、本明細書において、透過率可変領域の「外周」及び有効光学領域の「外周」とは、それぞれの領域の「端」を表しており、「端部」、「輪郭」等と言い換えることができる。
図4中、4a,4b,5a,5bはバスバーである。電極2a,2bが透明電極である場合、透明導電材の抵抗に起因して電極2a、2bが面内方向で電圧降下を生じ、色分離を生じるおそれがある。よって、その影響を低減するため、電極2a,2bの外周に沿って、バスバーを配置するのが好ましい。図4に示すように有効光学領域32が長方形の場合や、正方形の場合、第1の電極2a、第2の電極2bのそれぞれについて、水平方向に平行な相対する2つの辺のそれぞれに1本ずつ、該辺に沿うようにして、バスバー4a,4b,5a,5bを設ける。換言すれば、電極2a,2bそれぞれに、上下2本のバスバーを配置する。そして、電極2a、2bそれぞれ上下2本のバスバーの両方に通電を行う。係る給電法は四端子給電法として知られている。また、有効光学領域32が円形や楕円形の場合には、鉛直方向において相対するように、有効光学領域32を挟んで、該有効光学領域32の外周に沿って、上下2本のバスバーを設ければよい。
上記のように、本発明のEC素子は、透過率可変領域31の外周から所定の距離離れた位置に有効光学領域32が設定されるため、有効光学領域32においては、垂直色分離の影響が低減される。よって、EC層6の粘度を著しく上昇させることなく垂直色分離の影響を抑制することができるため、素子応答性の低下を抑制しつつ、垂直色分離を抑制することができる。また、EC層6の粘度を適度に上昇させることで垂直色分離をさらに抑制することができ、素子応答性を確保しつつ、垂直色分離をより一層抑制することもできる。本発明のEC素子を用いて撮像装置や透過率可変窓などの装置を構成する際には、該装置において調光機能を必要とする領域に、本発明のEC素子の有効光学領域32が対応するように、透過率可変領域31を設定すれば良い。
本発明においては、上記0.075≦w/L≦0.25を満たす領域を遮蔽部で覆っても良い。遮蔽部は、有効光学領域32の外周に沿って形成されることが好ましい。係る遮蔽部として具体的には、図4中のバスバー4a,4b,5a,5bを有効光学領域32の外周まで延在させたものや、図6に示すように、電極2a、電極2bにそれぞれ電気的に導通する金属配線7a,8a,7b,8bが挙げられる。特に好ましくは金属配線である。尚、図6(a)は正面図、(b)は(a)中のC−C’断面図である。EC素子は電流駆動素子であるため、電極面積の増大に伴って電流が増大する。この電流の増大に伴う電極抵抗、特に透明電極の抵抗による電圧降下は、EC素子内の透過率ムラにつながるおそれがある。本発明のEC素子は、あえて電極2a,2bを拡大して設計し、その端部の領域を有効光学領域外として使用しないことで、垂直色分離の影響を低減する。この有効光学領域外の領域は、EC素子を用いた装置において、光学的な機構に影響を及ぼさない。よって、係る領域に透明電極の抵抗による電圧降下を低減するために金属配線7a,8a,7b,8bを配置することが好ましい。
金属配線7a,7b,8a,8bとしては、特に限定されるものではないが、EC層6に接する側に設けられている場合には、電極2a,2bと同様の電気化学的に安定な金属が好ましく用いられる。また、図6では、金属配線7a,7b,8a,8bは電極2a,2bと基板1a,1bとの間に配置されており、金属配線7a,7b,8a,8bはEC層6と直接接触することはないので、電気化学的な安定性にとらわれることなく金属を選択することができる。
一般に三次元の導電性をもつ導体の抵抗は下記式(I)で表される。
R=ρ(Q/A)=ρ(Q/Wt) (I)
(R:抵抗、ρ:導体の抵抗率、Q:導体の長さ、A:導体の断面積、W:導体の幅、t:導体の厚さ)
ここで、駆動電流密度がI、給電端方向の長さがQ、単位幅(幅=1)のEC素子を想定する。この時の電圧降下は電極の抵抗と電流との積で与えられるため、下記式(II)であらわされる。
ΔV=IQR=(IρQ2)/t (II)
図7に、金属配線の長さQと電圧降下によるEC層の吸光度の低下dAの関係を示す。金属配線の長さQは、図6の紙面上下方向、バスバー4a,4b,5a,5b端から金属配線7a,7b,8a,8bの端部までの距離である。ここで用いているパラメータは、以下の通りである。
I=5.5mA/cm2
電極:ρ=8.1×10-4Ωcm、t=900nm
金属配線:ρ=5×10-5Ωcm、t=200nm
ここから金属配線7a,7b,8a,8bを有効光学領域32外の領域に配置したEC素子の方が、配置しないEC素子と比較して、バスバー4a,4b,5a,5b端からの距離の増大に伴う吸光度の減少が小さいことがわかる。これは、金属配線7a,7b,8a,8bを有効光学領域32外に配置したEC素子の方が、端部と中央部との間での透過率の差が小さくなることを意味している。ここから、金属配線7a,7b,8a,8bを有効光学領域32外に配置することで、有効に透明電極の抵抗による電圧降下の影響を抑制できることが確認できる。
<垂直色分離の程度の評価方法>
垂直色分離の程度の評価方法について、図8を参照しながら説明する。
透過型のEC素子において、駆動させたEC素子に光を透過させ、その透過光のスペクトルをEC素子の素子面において二次元的に、即ちEC素子の素子面の複数箇所において測定した。この透過光のスペクトルの測定を経時的に行ったところ、各時刻においてEC素子の素子面内の複数箇所のスペクトルを平均化した平均スペクトルは、時刻によらず(時間の経過によらず)ほとんど変化しないことがわかった。そこで、本発明ではこの面内複数箇所の平均スペクトルを基準スペクトルとして使用して、面内複数箇所におけるスペクトルの基準スペクトルからのずれに基づいて垂直色分離の程度を評価した。
具体的には、先ず、EC層6内の素子面内方向におけるEC化合物の濃度ムラによる影響を除くため、基準スペクトルと面内複数箇所におけるスペクトルの両者について、それぞれ規格化した。規格化は、所定の波長範囲(ここでは425nm乃至700nm)において、平均光学濃度変化量(ΔOD)が1となるようにした。この規格化された面内複数箇所のスペクトルのそれぞれについて、規格化された基準スペクトルからの差分をD(λ)とし、下記式(III)よりd(ΔOD)の値を算出した。
Figure 2019204079
ここで、式(III)において、λ0は対象となる光の波長範囲の下限(nm)を表し、λ1は対象となる光の波長範囲の上限を表す。このd(ΔOD)の値は、上記のように規格化した面内の複数箇所の各点のスペクトルの、基準スペクトルからの平均乖離幅を表しており、この値が大きいほど、その点における透過光のスペクトルが基準スペクトルからずれていることを示している。本発明では、面内の複数箇所の各点のスペクトルについて上記d(ΔOD)をそれぞれ算出し、評価に用いた。
本発明のEC素子の用途としては、撮像装置、表示装置、反射率可変ミラー、可変透過窓等を挙げることができる。これらの用途において垂直色分離が発生した場合には、EC素子面の上方と下方で透過光又は反射光の色のバランスが意図せず変化することになり、いずれの用途においても好ましくない。色ムラは面内で隣接する領域間の色変化が大きいと、より認識されることになる。
d(ΔOD)の値について、一例として、EC素子を撮像装置の光学フィルタ、特にND(Neutral Density)フィルタとして使用する場合について考える。NDフィルタとして使用するEC素子に垂直色分離が生じると、撮像して得られる画像の上方と下方とで色味が変化することとなる。具体的には、EC素子の駆動によって各EC化合物が着色する場合において、典型的には画像の下方(EC素子としては上方)にカソード性EC化合物の着色色(典型的には緑乃至青)が強く現れる。また、画像の上方(EC素子としては下方)にアノード性EC化合物の着色色(典型的には赤乃至黄)が強く現れるようになる。これにより垂直色分離の程度が大きい場合には、取得される画像の品位が著しく低下する。
このように、EC素子を光学フィルタ等の用途に用いる際には、垂直色分離の程度が抑制されていることが求められる。画像の官能評価から、具体的には有効光学領域32における面内各点のd(ΔOD)の平均値を0.01以下とすることができれば、EC素子を光学フィルタとして用いる場合であっても、取得される画像の品位を保つことができるようになる。これにより、例えば画面下方で人の顔色が青く見えたり、空の映像が画面上方で紫がかったりするといったことを抑制することができる。また、有効光学領域32におけるd(ΔOD)の平均値を0.001以下とすることができれば、取得される画像の品位を高度に保つことができるようになる。これにより、より高度な色再現性が要求される機種においても、EC素子を可変光学フィルタとして使用することができるようになる。
<EC化合物の濃度>
図9は、アノード性EC化合物及びカソード性EC化合物の濃度(mol/L)と面内の複数箇所の各点のd(ΔOD)の平均値(d(ΔOD)Ave)の関係を示すグラフである。図9は、図4の構成において、アノード性EC化合物として前記化合物(2)と、カソード性EC化合物として前記化合物(3)とを、炭酸プロピレンに溶解させた溶液をEC層6として用いたEC素子に関するグラフである。図9において、グラフの横軸は、アノード性EC化合物及びカソード性EC化合物のそれぞれの濃度(mol/L)であり、グラフの縦軸は上述の垂直色分離の平均の程度を表す。
図9より、アノード性EC化合物及びカソード性EC化合物の濃度が0.05mol/L以上の時に、垂直色分離が顕著に生じることがわかる。上述のように、垂直色分離の原因の1つは、EC素子を駆動した時にEC化合物の溶媒に対する親和性が低下し、EC化合物が集合体を形成することであると考えられる。集合体の形成に対しては、集合体を形成する成分の濃度が強い影響を与える。具体的には、集合体を形成する成分の濃度が高い方が集合体は形成し易くなり、当該濃度がある値を超えた時に、集合体の形成が急激に進行することが考えられる。ここでは、EC層6におけるEC化合物の濃度が0.05mol/L以上の領域において、集合体の形成の程度が高くなり、垂直色分離が強く現れたと考えられる。
EC素子において、EC層6内におけるEC化合物の濃度を高くすると、EC素子の駆動時と非駆動時の光学特性の変化量を大きくし易い。しかしながら上述のように、EC層6内におけるEC化合物の濃度を高くすると集合体の形成が生じ易くなるため、垂直色分離も生じ易くなる。しかしながら、本発明によれば、垂直色分離の影響を抑制することができるため、アノード性EC化合物及びカソード性EC化合物の濃度を0.05mol/L以上と高くすることができる。
<EC素子の駆動方法>
本実施形態に係るEC素子の駆動手段は特に限定されるものではないが、EC素子の透過率をパルス幅変調により制御する手段が好ましく用いられる。例としてはパルス電圧波形の波高値を変化させずにEC素子の透過率を維持し、パルス電圧波形の1周期に占める印加電圧の印加期間の割合を変えることでEC素子の透過率を制御する手法が挙げられる。
この際の、1周期に占める電圧印加期間の割合をDuty比と定義する。パルス駆動のDuty比を保持した場合、電圧の印加期間ではEC材料の着色が増大し、休止期間にはEC材料の着色が減少する。駆動電源の一定電圧下で、Duty比を固定してEC素子を駆動させると、吸光度の変化は過渡状態を経て飽和し、且つ、その飽和した吸光度が保持される。吸光度を小さくするには、直前のDuty比よりも小さなDuty比に固定すれば良く、また、吸光度を大きくするには、直前のDuty比よりも大きなDuty比に固定すればよい。この際、制御信号の1周期が遅い場合は、吸光度変化の増減が視認される場合があるため、1周期は100ミリ秒以下であることが好ましく、より好ましくは10ミリ秒以下である。
[撮像装置]
本発明のEC素子は、撮像装置の光学フィルタとして好ましく用いられる。図10(a)及び図10(b)は、EC素子を用いた撮像装置の実施形態の構成を模式的に示す断面図である。図10(a)、(b)の撮像装置は、レンズユニット12と、撮像ユニット14とを有し、不図示のマウント部材を介して互いに着脱可能に接続されている。レンズユニット12は、複数のレンズ群41乃至44を有するユニットである。レンズユニット12は、絞りより後でフォーカシングを行うリアフォーカス式のズームレンズを表している。紙面左側の被写体(不図示)側から順に、正の屈折力の第1のレンズ群41、負の屈折力の第2のレンズ群42、正の屈折力の第3のレンズ群43、正の屈折力の第4のレンズ群44の4つのレンズ群を有する。第2のレンズ群42と第3のレンズ群43の間隔を変化させて変倍を行い、第4のレンズ群44の一部のレンズ群を移動させてフォーカスを行う。
レンズユニット12は、例えば、第2のレンズ群42と第3のレンズ群43の間に開口絞り45を有する。そして、図10(a)の形態においては、第3のレンズ群43と第4のレンズ群44の間に本発明のEC素子11を光学フィルタとして有する。レンズユニット12を通過する光は、各レンズ群41乃至44、開口絞り45及び本発明のEC素子11を通過するよう配置されており、開口絞り45及び本発明のEC素子11を用いて光量の調整を行うことができる。尚、図中のDは光軸である。
レンズユニット12内の構成は適宜変更可能である。例えば、本発明のEC素子11は、開口絞り45の前(被写体側)或いは後(撮像ユニット14側)に配置することができる。また、EC素子11を第1のレンズ群41よりも前に配置しても良く、第4のレンズ群44よりも後に配置しても良い。光の収束する位置に配置すれば、本発明のEC素子11の面積を小さくできるなどの利点がある。また、レンズユニット12の形態も適宜選択可能であり、リアフォーカス式の他、開口絞り45よりも前でフォーカシングを行うインナーフォーカス式であっても良く、その他の方式であっても構わない。また、ズームレンズ以外にも魚眼レンズやマクロレンズなどの特殊レンズも適宜選択可能である。
撮像ユニット14が有するガラスブロック46は、ローパスフィルタやフェースプレートや色フィルタ等のガラスブロックである。また、撮像素子13は、レンズユニット12を通過した光を受光するセンサ部であって、CCDやCMOS等が使用できる。また、フォトダイオードのような光センサであっても良く、光の強度或いは波長の情報を取得し出力するものを適宜利用可能である。
図10(a)のように、本発明のEC素子11がレンズユニット12に組み込まれている場合、駆動手段はレンズユニット12内に配置されても良く、レンズユニット12外に配置されても良い。また、図10(b)のように、本発明のEC素子11が撮像ユニット14に組み込まれている場合、駆動手段は撮像ユニット14内に配置されても良く、撮像ユニット14外に配置されても良い。EC素子11を撮像ユニット14内に設ける場合には、撮像素子13が本発明のEC素子11を通過した光を受光するよう配置されていれば良く、例えば図10(b)のように撮像素子13の直前に配置されていても良い。
本発明の撮像装置は、光量調整と撮像素子の組合せを有する製品に適用可能である。例えばカメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、デジタルビデオカメラに使用可能であり、また、携帯電話やスマートフォン、PC、タブレットなど撮像装置を内蔵する製品にも適用できる。これら撮像装置においては、本発明のEC素子11を調光部材として用いることで、調光量を一つのフィルタで適宜可変させることが可能となり、部材点数の削減や省スペース化といった利点がある。
[透過率可変窓]
図11に、本発明のEC素子を用いた透過率可変窓の一実施形態の構成を模式的に示す。図11(a)は斜視図、図11(b)は図11(a)中のE−E’位置の断面図である。
本発明の透過率可変窓は、一対の透明保護基板21a、21bと、本発明のEC素子11と、窓枠22とを有する。透明保護基板21a、21bとEC素子11は、周縁部が窓枠22に嵌め込まれて固定されている。不図示の駆動手段は、窓枠22内に一体化されていても、窓枠22外に配置され、配線を通してEC素子11と接続されていても良い。
透明保護基板21a、21bは、光透過率が高い材料であれば特に限定されず、窓としての利用を考慮すればガラス素材であることが好ましい。図11において、EC素子11は透明保護基板21a,21bとは独立した構成部材であるが、例えば、EC素子11の基板1a,1bが透明保護基板を兼ねても構わない。
窓枠22は材質を問わず、該窓枠22の開口部が、EC素子11の有効光学領域に相当するように構成される。
本発明の透過率可変窓は、例えば日中の太陽光の室内への入射量を調整する用途に適用できる。太陽の光量の他、熱量の調整にも適用できるため、室内の明るさや温度の制御に使用することが可能である。また、シャッターとして、室外から室内への眺望を遮断する用途にも適用可能である。このような調光窓は、建造物用のガラス窓の他に、自動車や電車、飛行機、船など乗り物の窓、時計や携帯電話の表示面のフィルタにも適用可能である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1乃至4、比較例1,2〕
(EC化合物)
アノード性EC化合物として前記化合物(2)を米国特許第6020987号明細書の記載を参照して合成した。また、カソード性のEC化合物として前記化合物(3)を以下の方法で合成した。
先ず、中間体である9,9−ジメチル−2,7−ジアザフルオレンを、技術文献(E.Botana,et al.,Angew.Chem.Int.Ed.46,198−201(2007).)を参考に、以下の手順で合成した。
Figure 2019204079
反応容器に3,8−フェナントロリン、水酸化カリウム、水を加え、90℃で加熱した。その後、水、過マンガン酸カリウムを混合し90℃に加熱した溶液を、反応溶液に滴下した。1時間反応させた後、析出した固体をろ過、クロロホルムで抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥、濃縮することで、褐色粉末を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィーで分離精製し、黄色の固体である第1の中間体を得た。
反応容器に第1の中間体、ジエチレングリコール、ヒドラジン一水和物を加え、100℃で12時間反応させた。得られた黒赤色懸濁液に水を加え、ジクロロメタンで抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥、濃縮することで、黒黄色固体を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィーで分離精製し、黄褐色の固体である第2の中間体を得た。
反応容器に第2の中間体、ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、氷浴で冷却した。その後、カリウムtert−ブトキシドを加えて同温で30分間撹拌し、DMFに希釈したヨードメタンを滴下した。さらに同温で30分間撹拌した後、室温下で3時間反応させた。得られた赤褐色懸濁液を飽和重曹水に加え、酢酸エチルで抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥、濃縮することで、黒黄色固体を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィーで分離精製し、ベージュ色の固体である9,9−ジメチル−2,7−ジアザフルオレンを得た。
次に、9,9−ジメチル−2,7−ジアザフルオレンを用いて、以下の手順で化合物(3)を合成した。
Figure 2019204079
反応容器に9,9−ジメチル−2,7−ジアザフルオレン、過剰量の1−ヨードヘプタンを加え、DMFを溶媒として19時間、110℃で反応させた。析出物を回収して水に溶解させ、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムを過剰に加えた。析出物をろ過回収、乾燥することで、化合物(3)を得た。
(EC素子の作製)
図1に示される構造を有するEC素子を、以下の方法により作製した。
インジウムドープ酸化スズ(ITO)膜(電極2a,2b)が表面に成膜されているガラス基板(基板1a,1b)を2枚用意し、ITO膜同士が対向するように配置した。そして、2枚のガラス基板の外周を、粒径50μmのスペーサービーズを混合したシール材3を用い、一部を注入口として開けて接着した。アノード性EC化合物である化合物(2)と、カソード性EC化合物である化合物(3)と、をそれぞれ0.1mol/Lの濃度で炭酸プロピレンに溶解させた。この溶液を上記注入口から注入することで、2枚の電極2a,2bとシール材3とによって形成されている空間内に当該溶液を充填した。その後、シール材3で上記注入口を封止して、実施例1のEC素子を得た。このEC素子の透過率可変領域31の範囲は20mm×15mmの長方形で、有効光学領域32は18mm×10.1mmの長方形で、有効光学領域32は透過率可変領域31の上下左右中央位置に配置した。短辺方向において、w1/L1=w2/L2=0.165であった。
また比較例1として、透過率可変領域31、有効光学領域32が共に18mm×10.1mmの長方形のEC素子を作製した。
(垂直色分離の評価)
上記実施例1,比較例1のEC素子を、長辺が水平方向、短辺が鉛直方向となるように、自動XZステージと組み合わせた。そして、光源、光ファイバ、レンズ、分光器、を組み合わせたスペクトル測定装置を用いて、EC素子の有効光学領域32内の複数箇所において、透過スペクトルを測定した。測定した複数箇所全点の平均スペクトルを基準スペクトルとして使用して、各点におけるスペクトルのずれを前述のd(ΔOD)を使用して評価した。
電極2a,2bには、バスバー4a,4b,5a,5bを介して通電し、印加電圧はアノード性EC材料の半波電位とカソード性EC化合物の半波電位との差に、過電圧として0.15Vを加えた値(0.886V)とした。
EC化合物の半波電位は、ITO電極を作用電極、白金線を対電極、Ag/Ag+(PC,PF6)を参照電極として、窒素雰囲気下25℃でサイクリックボルタメトリーを行うことで測定した。この時、溶媒として炭酸プロピレン、支持電解質として0.1Mヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウムを用い、EC化合物濃度は0.001mol/Lとし、走引速度は0.1Vs-1とした。
(評価結果)
実施例1、比較例1のEC素子の面内透過率プロファイルから、撮像装置のNDフィルタとして用いた時のシミュレーションを行ったところ、RGB像は、実施例1のEC素子のほうが、明確に均一性が高いことがわかった。また、R,G,Bそれぞれのシグナルの分布からも、比較例1よりも実施例1では色の均一性が大きく向上していることがわかった。
また、図12のグラフは、EC素子の有効光学領域32の垂直方向の位置を最上部を0%、最下部を100%として横軸に、該EC素子のシミュレーション像のプロファイルから算出したd(ΔOD)の傾きの絶対値Kを縦軸にとったものである。図12中、実施例1のEC素子は、比較例1のEC素子よりも大幅にKの値が小さくなっていることが確認できる。
また、透過率可変領域31の大きさを変えることで、w1/L1、w2/L1を、0.075(実施例2)、0.15(実施例3)、0.25(実施例4)、0.30(比較例2)と変化させてEC素子を作製し、評価した。その結果、w1/L1、w2/L1が大きくなるに従って、Kの値が小さくなり、色分離の抑制効果が高くなることがわかった。しかしながら、w1/L1、w2/L1が0.25の実施例4と0.30の比較例2では、色分離の抑制効果はあまり変わらず、単に有効光学領域32外の面積を増大させることになる。よって、w1/L1、w2/L1は0.25以下であることが好ましいことがわかった。
〔実施例5、比較例3,4〕
上記実施例1,比較例1のEC素子と同様の手法を用いて、アノード性EC化合物として下記式(4)で示される化合物(4)とカソード性EC化合物である化合物(3)との組み合わせを用いて実施例5,比較例3,4のEC素子を作製し、評価を行った。透過率可変領域31の大きさを変えることで、w1/L1、w2/L1を、0(比較例3)、0.15(実施例5)、0.30(比較例4)と変化させた。
Figure 2019204079
(評価結果)
実施例1と比較例1との比較と同様に、RGB像は、比較例3よりも実施例5では色の均一性が大きく向上していることがわかった。
また、図13のグラフは、図12と同様の方法を用いて実施例5と比較例3,4の結果を表示したものである。図13中、実施例5のEC素子は、比較例3のEC素子よりも大幅にKの値が小さくなっていることが確認できる。
また、w1/L1、w2/L1が大きくなるに従って、Kの値が小さくなり、色分離の抑制効果が高くなることがわかった。しかしながら、w1/L1、w2/L1が0.15の実施例5と0.30の比較例4では、色分離の抑制効果はあまり変わらず、単に有効光学領域32外の面積を増大させることになることがわかった。
〔実施例6、比較例5,6〕
上記実施例1,比較例1のEC素子と同様の手法を用いて、アノード性EC化合物として化合物(2)と下記式(5)で示されるカソード性EC化合物である化合物(5)との組み合わせを用いて実施例6,比較例5,6のEC素子を作製、評価を行った。透過率可変領域31の大きさを変えることで、w1/L1、w2/L1を、0(比較例5)、0.15(実施例6)、0.30(比較例6)と変化させた。
Figure 2019204079
(評価結果)
実施例1と比較例1との比較と同様に、RGB像は、比較例5よりも実施例6では色の均一性が大きく向上していることがわかった。
また、図14のグラフは、図12と同様の方法を用いて実施例6と比較例5,6の結果を表示したものである。図14中、実施例6のEC素子は、比較例5のEC素子よりも大幅にKの値が小さくなっていることが確認できる。
また、w1/L1、w2/L1が大きくなるに従って、Kの値が小さくなり、色分離の抑制効果が高くなることがわかった。しかしながら、w1/L1、w2/L1が0.15の実施例5と0.30の比較例4では、色分離の抑制効果はあまり変わらず、単に有効光学領域32外の面積を増大させることになることがわかった。
2a,2b:電極、6:エレクトロクロミック層、7a,7b,8a,8b:金属電極、11:エレクトロクロミック素子、12:レンズユニット、13:撮像素子、22:窓枠、31:透過率可変領域、32:有効光学領域

Claims (19)

  1. 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置されたエレクトロクロミック層と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
    前記エレクトロクロミック素子は、透過率可変領域内に有効光学領域を内包し、
    前記有効光学領域の面内の一方向において、前記有効光学領域の外周から前記透過率可変領域の外周までの最短距離をw、前記最短距離を含む直線上の前記透過率可変領域の長さをLとした時、前記一方向の両端において、wはLの7.5%以上、25%以下であることを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  2. 前記有効光学領域が四角形であり、前記一方向が、前記四角形の一辺に平行な方向であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  3. 前記有効光学領域が正方形或いは長方形であることを特徴とする請求項2に記載のエレクトロクロミック素子。
  4. 前記一方向が、前記エレクトロクロミック素子の使用環境下において、鉛直方向であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  5. 前記wがLの15%以上、25%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  6. 前記一方向の前記有効光学領域の外側に、前記第1の電極又は前記第2の電極に電気的に導通する金属配線を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  7. 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置されたエレクトロクロミック層と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
    前記エレクトロクロミック素子は、透過率可変領域内に有効光学領域を内包し、
    前記有効光学領域の着色時における色ムラの指標d(ΔOD)の平均値が0.01以下であることを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  8. 前記色ムラの指標d(ΔOD)の平均値が0.001以下であることを特徴とする請求項7に記載のエレクトロクロミック素子。
  9. 前記有効光学領域の外側に、前記第1の電極又は前記第2の電極に電気的に導通する金属配線を有することを特徴とする請求項8に記載のエレクトロクロミック素子。
  10. 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置されたエレクトロクロミック層と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
    前記エレクトロクロミック素子は、透過率可変領域内に有効光学領域を内包し、
    前記有効光学領域の外周に沿って、前記有効光学領域の外周から前記透過率可変領域の外周までを覆う遮蔽部を有し、
    前記遮蔽部における、前記有効光学領域の外周から前記透過率可変領域の外周までの最短距離が、前記最短距離を含む直線上の前記透過率可変領域の長さの7.5%以上、25%以下であることを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  11. 前記有効光学領域が四角形であり、前記遮蔽部が、前記四角形の一辺に沿って配置されていることを特徴とする請求項10に記載のエレクトロクロミック素子。
  12. 前記有効光学領域が正方形或いは長方形であることを特徴とする請求項11に記載のエレクトロクロミック素子。
  13. 前記遮蔽部は、前記有効光学領域を挟んで相対して配置されていることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  14. 前記エレクトロクロミック層は、アノード性エレクトロクロミック化合物と、カソード性エレクトロクロミック化合物とを含有する相補型エレクトロクロミック層であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  15. アノード性エレクトロクロミック化合物とカソード性エレクトロクロミック化合物の少なくとも一方の濃度が0.05mol/L以上であることを特徴とする請求項14に記載のエレクトロクロミック素子。
  16. 前記アノード性エレクトロクロミック化合物がジヒドロフェナジン誘導体であることを特徴とする請求項14又は15に記載のエレクトロクロミック素子。
  17. 前記カソード性エレクトロクロミック化合物がピリジン誘導体であることを特徴とする請求項14乃至15のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  18. 複数のレンズを有するレンズユニットと、前記レンズユニットを通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子よりも被写体側に配置されたエレクトロクロミック素子と、を有する撮像装置であって、
    前記エレクトロクロミック素子が請求項1乃至17のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子であることを特徴とする撮像装置。
  19. 一対の透明保護基板と、前記一対の透明保護基板の間に配置されたエレクトロクロミック素子と、前記透明保護基板と前記エレクトロクロミック素子の周縁部が嵌め込まれた窓枠とを有する透過率可変窓であり、前記エレクトロクロミック素子が請求項1乃至17のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子であることを特徴とする透過率可変窓。
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