JP2021063893A - エレクトロクロミック装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】EC素子の連続駆動時に発生する色ムラの影響を抑制したEC装置を提供する。【解決手段】EC素子を一定時間以上、高光吸収状態で駆動した場合に、EC素子を低光吸収状態とする期間を設けて色ムラを解消する。【選択図】なし

Description

本発明は、エレクトロクロミック素子を有するエレクトロクロミック装置に関する。
電気化学的な酸化還元反応により物質の光学特性(吸収波長、吸光度等)が変化する化合物を、エレクトロクロミック(EC)化合物という。EC化合物を利用したEC素子は、表示装置、反射率可変ミラー、透過率可変窓等に応用されている。
EC素子には、酸化により着色又は消色するアノード性EC化合物と、還元により着色又は消色するカソード性EC化合物とを含む溶液層をEC層として用いるものがあり、このようなEC素子を相補型のEC素子と呼ぶ。相補型のEC素子は、アノード性EC化合物、カソード性EC化合物の双方の着消色がEC素子の着消色に寄与するため、素子の着消色コントラストを高めることができる優位点がある。一方、EC素子の一部においてアノード性EC化合物と、カソード性EC化合物の着色比にずれが生じた場合には、その他の部分とは色の異なる色ムラが発生することになる。例えば相補型のEC素子を、EC層を挟む一対の電極の面内方向が鉛直方向に平行となるように立てて長時間駆動すると、アノード性EC化合物とカソード性EC化合物とがEC層内で鉛直方向に分離する現象(セグリゲーション)が発生することがある。セグリゲーションが発生すると、着色させたEC素子の色を構成する色成分が分離し、鉛直方向上方と下方とで面内に色ムラが発生することがある(垂直色分離)。EC素子を調光素子として用いる装置において、このような色ムラの発生は装置の特性を低下させるために好ましくない。
特許文献1には、EC素子の駆動電源をオフする前に消色動作を行う、又は駆動電源をオンした際に初期動作を消色の駆動から行うことで着色ムラの発生を抑制させた光学装置が記載されている。
特開平11−316396号公報
特許文献1の技術は、初期動作時の着色ムラの発生の抑制には効果を発揮するものの、連続駆動時に発生する色ムラの発生の抑制には効果的ではない。そのため、高着色濃度で長時間駆動した場合などには、色ムラの発生の抑制が不十分である場合があった。
本発明は、EC素子の連続駆動時における色ムラの発生を抑制したEC装置を提供することを目的とする。
本発明の第1は、エレクトロクロミック素子と、前記エレクトロクロミック素子の光吸収率をパルス幅変調により制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記エレクトロクロミック素子が呈する光吸収率の変更指示を受けることなく、前記パルス幅変調のデューティ比を変更することを特徴とするエレクトロクロミック装置である。
本発明の第2は、エレクトロクロミック素子と、
前記エレクトロクロミック素子の光吸収率を制御する光吸収率制御部と、
前記エレクトロクロミック素子の光吸収率目標値に関する第1の信号を出力するエレクトロクロミック装置制御部と、
前記第1の信号を受けて、前記エレクトロクロミック素子の色ムラを低減するため動作を加えた光吸収率目標値に関する第2の信号を、前記光吸収率制御部に出力する色ムラ低減制御部と、
を有するエレクトロクロミック装置であって、
前記エレクトロクロミック素子が高光吸収状態となる第1の期間が推奨上限連続時間以上の場合に、前記第2の信号は、前記第1の期間に続く第2の期間に前記エレクトロクロミック素子を低光吸収状態とすることを特徴とする。
本発明によれば、EC素子の連続駆動時に発生する色ムラの影響を抑制したEC装置が提供される。
本発明のEC装置の構成を模式的に示すブロック図である。 EC素子の基本構成を模式的に示す厚さ方向の断面図である。 相補型EC素子の色ムラについての説明図である。 EC化合物の濃度と色ムラの程度との関係を表す図である。 本発明のEC装置における色ムラ抑制の方法の説明図である。 本発明のEC装置における色ムラ抑制のフローチャートである。 本発明の実施例における色ムラ抑制の効果を説明する図である。 本発明の実施例における色ムラ抑制の効果を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対して適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に含まれる。
[EC素子]
EC素子は、外部から光を取り込み、取り込んだ光をエレクトロクロミック(EC)層の少なくとも一部を通過させることで、所定の波長領域において出射光の特性、典型的には光の強度を入射光に対して変化させるデバイスである。
図2は、本発明に係るエレクトロクロミック素子(EC素子)の基本構成を模式的に示す厚さ方向の断面図である。本実施形態のEC素子1は、第一の電極21と、第二の電極22と、第一の電極21と第二の電極22との間に配置されているエレクトロクロミック素子(EC層)23と、を有している。また、EC素子1は、基板(第一の基板26、第二の基板27)、及びシール材25を有していてもよい。EC層23は、溶媒と、アノード性エレクトロクロミック化合物(アノード性EC化合物)と、カソード性エレクトロクロミック化合物(カソード性EC化合物)と、を有する。
尚、図2のEC素子1は一例であり、本発明では、係る構成に限定されるものではない。例えば、反射防止膜の層を、基板26,27と電極21,22との間や、電極21,22とEC層23との間に設けてもよく、一方の電極21又は22を光反射性電極として反射型のEC素子としてもよい。
以下、EC素子1が有する構成要素について、それぞれ説明する。
<基板>
EC素子1は、図2に示したように、基板26,27を有していてもよい。基板26,27としては、EC素子1が透過型である場合には両基板とも透明基板であり、反射型である場合には、少なくとも光が入射及び出射する側の基板を透明基板とする必要がある。ここで言う「透明」とは、光の透過率が50%以上100%以下、より好ましくは70%以上100%以下であることを示す。また、本明細書における「光」とは、EC素子の使用対象となる波長領域における光のことである。例えば、EC素子を可視光領域の撮像装置の光学フィルタとして使用するのであれば可視光領域の光のことをいい、赤外線領域の撮像装置の光学フィルタとして使用するのであれば赤外線領域の光のことをいう。
基板としては、具体的には、無色又は有色のガラスや透明性樹脂を用いることができる。ガラスとしては、光学ガラス、石英ガラス、白板ガラス、青板ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、化学強化ガラス等が挙げられる。透明性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリノルボルネン、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。非透明基板を用いる場合には、特に限定されない。
<電極>
電極21,22の構成材料としては、EC素子1の動作環境において安定に存在し、外部からの電圧の印加に応じて速やかに酸化還元反応を進行させることのできる材料が好ましく用いられる。例えば、後述する透明導電性材料や金属等を用いることができる。
電極21,22は、少なくとも一方が透明電極であることが好ましい。ここで言う「透明」とは、光の透過率が50%以上100%以下であることを示す。電極21,22のうち少なくとも一方が透明電極であることによって、EC素子1の外部より効率的に光を取り込み、EC層23中のEC化合物と相互作用させて、EC化合物の光学的特性を出射光に反映させることができる。
透明電極としては、基板上に透明導電性材料によって形成された膜や、透明な基板上に部分的に金属線が配置された透明電極等を用いることができる。ここで、金属線自体は透明ではないが、これを部分的に配置して光の透過率を上記の範囲としたものを本発明においては、透明電極と呼ぶ。
透明導電性材料としては、透明導電性酸化物や、カーボンナノチューブ等の炭素材料等を挙げることができる。透明導電性酸化物として、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、ニオビウムドープ酸化チタン(TNO)等が挙げられる。これらの中でも、ITO又はFTOが好ましい。
透明導電性酸化物で電極21,22を形成する場合、電極21,22の膜厚は10nm以上10μm以下であることが好ましい。特に、膜厚10nm以上10μm以下の範囲で形成したITO又はFTOを電極21,22として用いることで、高透過性と化学的安定性を両立することができる。尚、透明導電性酸化物で電極21,22を形成する場合、電極21,22は、透明導電性酸化物のサブレイヤーが積み重なった構造を有していてもよい。これにより、高導電性と高透明性を実現しやすくなる。
電極21,22の構成材料としての金属としては、特に限定されるものではないが、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、チタン(Ti)等の、電気化学的に安定な金属が好ましく用いられる。また、金属線の配置パターンとしては、グリッド状が好ましく用いられる。金属線を有する電極は、代表的には平面電極であるが、必要に応じて湾曲したものも使用することができる。
上述のとおり、電極21,22は、少なくとも一方が透明電極であることが好ましいが、一方の電極が透明電極である場合、もう一方の電極についてはEC素子の用途に応じて好ましいものを選択することができる。例えば、EC素子1を透過型のEC素子とする場合には、電極21,22の両方が透明電極であることが好ましい。一方、EC素子1を反射型のEC素子とする場合には、電極21,22のうち、一方は透明電極とし、他方はEC素子1が取り込む光を反射する電極とすることが好ましい。また、電極21と22との間に反射層や散乱層を形成することで、上述のもう一方の電極の光学特性の自由度を向上させることができる。例えば、電極21と22との間に反射層又は散乱層を導入した場合には、上述のもう一方の電極として、不透明な電極や、対象の光を吸収する電極を用いることもできる。
電極21,22の配置については、EC素子1の電極配置として一般的に知られている配置方式を用いることができる。代表的な例としては、第一の基板26上に形成された第一の電極21と、第二の基板27上に形成された第二の電極22とを、第一の電極21と第二の電極22とがEC層23を挟んで対向するように配置する方式がある。この時、電極21と22との間の距離(電極間距離)は、1μm以上500μm以下とすることが好ましい。電極間距離を大きくするとEC層23の厚さを厚くでき、EC素子1として有効に機能させるために十分な量のEC化合物をEC層23中に配置することができる。その結果、着色時の透過率をより低くしやすい点で有利である。一方、電極間距離を小さくすると、EC素子1の応答速度を速くしやすい点で有利である。上述のように電極間距離を1μm以上500μm以下とすることで、着色時の低い光透過率と速い応答性を実現しやすくなる。
<シール材>
シール材25は、電極21と22との間に配置されており、電極21,22を接合するものである。シール材25としては、化学的に安定で、気体及び液体を透過しにくく、EC化合物の酸化還元反応を阻害しない材料で構成されていることが好ましい。例えば、ガラスフリット等の無機材料、エポキシ系、アクリル系樹脂等の有機材料、金属等を用いることができる。尚、シール材25は、スペーサー材料を含有する等により、電極21と22との間の距離を保持する機能を有していてもよい。この場合は、電極21,22、及びシール材25によって、EC層23を電極21,22間に配置するための空間を形成することができる。
シール材25が電極21,22間の距離を規定する機能を有していない場合は、両電極間の距離を規定して保持する機能を有するスペーサーを別途配置して両電極間の距離を保持してもよい。スペーサーの素材としては、シリカビーズ、ガラスファイバー等の無機材料や、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジビニルベンゼン、フッ素ゴム、エポキシ樹脂等の有機材料を用いることができる。
<EC層>
EC層23は、溶媒と、アノード性EC化合物と、カソード性EC化合物とを有する。EC層23は、アノード性EC化合物及びカソード性EC化合物が溶媒に溶解されている溶液層であることが好ましい。EC層23は、さらに支持電解質や増粘剤等の添加剤を含有していてもよい。
(溶媒)
EC層23に含まれる溶媒としては、使用するEC化合物等の溶質の溶解性、蒸気圧、粘性、電位窓等を考慮して、用途に応じて適宜選択することができる。溶媒としては、使用するEC化合物を溶解できるものが好ましい。また、溶媒としては、極性を有する溶媒であることが好ましい。具体的には、エーテル化合物、ニトリル化合物、アルコール化合物、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン等の有機極性溶媒や水が挙げられる。これらの中でも、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン、バレロラクトン、ジオキソラン等の環状エーテルを含む溶媒が好ましい。これらの環状エーテルを含む溶媒は、EC化合物の溶解性、沸点、蒸気圧、粘性、電位窓の観点から好ましい。環状エーテルの中でも、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトンを含む溶媒が特に好ましい。また、溶媒としてイオン液体を用いることもできる。
また、上記溶媒に、さらにポリマーやゲル化剤、増粘剤を含有させ、EC層23の粘性を高めたりゲル状としたりしてもよい。溶媒或いは電解液として、ポリマー電解質やゲル電解質を用いてもよい。ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ナフィオン(登録商標)及びそれらの誘導体等を挙げることができる。EC層23の粘性を高めたりゲル状としたりすると、EC層23中でのEC化合物の移動が抑制される。これにより、色ムラの発生をさらに抑制することができる。
EC層23は、さらに支持電解質を有していてもよい。支持電解質としては、イオン解離性の塩であり、且つ溶媒に対して良好な溶解性を示すものであれば特に限定はされない。支持電解質は、EC素子1の動作電位において安定な物質であることが好ましい。支持電解質は、各種陽イオン、陰イオンから好適なものをそれぞれ選択し、両者を組み合わせたものを使用することができる。陽イオンの例としては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン等の金属イオン、4級アンモニウムイオン等の有機イオン等が挙げられる。具体的には、Li+、Na+、K+、Ca2+、Ba2+、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。陰イオンの例としては、各種のフッ素化合物の陰イオン、ハロゲン化物イオン等が挙げられる。具体的にはClO4 -、SCN-、BF4 -、AsF6 -、CF3SO3 -、CF3SO2NSO2CF3 -、PF6 -、I-、Br-、Cl-等が挙げられる。また、EC化合物として塩化合物を使用することで、EC化合物が支持電解質の機能を兼ねてもよい。塩化合物でもあるEC化合物の例としては、ビオロゲン誘導体等を挙げることができる。また、増粘剤として塩化合物を使用することで、増粘剤が支持電解質の機能を兼ねてもよい。
EC層23の形成方法は特に限定はされず、例えば、電極21と22との間に設けた間隙に、真空注入法、大気注入法、メニスカス法等によって、溶媒とEC化合物とを含む液体を注入する方法が挙げられる。具体的には、例えば電極21,22とシール材25とによって形成されたセルに、電極21,22又はシール材25の一部に形成した開口部(不図示)から溶媒とEC化合物を含む液体を注入し、封止部材によって開口部を封止する。
(EC化合物)
本明細書において「EC化合物」とは、酸化還元物質の一種であり、酸化還元反応により、EC素子の対象とする光波長領域において光学特性が変化する化合物である。尚、光学特性としては、光吸収特性や光反射特性が挙げられ、典型的には光吸収特性である。ここでいう「酸化還元物質」とは、所定の電位範囲において、繰り返し酸化還元反応を起こすことが可能な物質を意味する。EC化合物は、酸化還元反応により、EC素子1の対象とする光波長領域において光透過率が変化する化合物と言うこともできる。また、ここでいう「光学特性が変化する」とは、代表的には、光吸収状態と光透過状態とが切り替わることを指す。この場合、EC化合物は、酸化還元反応によって光吸収状態と光透過状態とが切り替わる化合物であると言うこともできる。
本明細書において「アノード性EC化合物」とは、EC素子1を駆動させた時に酸化反応によってEC素子1の対象とする光波長領域において光学特性が変化するEC化合物をいう。酸化反応は、通常、EC化合物から電子が取り去られる反応である。また、本明細書において「カソード性EC化合物」とは、EC素子1を駆動させた時に還元反応によってEC素子1の対象とする光波長領域において光学特性が変化するEC化合物をいう。還元反応は、通常、EC化合物に電子が授与される反応である。アノード性EC化合物の典型的な例としては、EC素子1を駆動させた時に酸化反応によって光透過状態から光吸収状態に変化する化合物が挙げられる。また、カソード性EC化合物の典型的な例としては、EC素子1を駆動させた時に還元反応によって光透過状態から光吸収状態に変化する化合物が挙げられる。尚、これに限定はされず、それぞれEC素子1を駆動させた時に酸化反応又は還元反応によって光吸収状態から光透過状態へと変化する化合物であってもよい。以下の記述においては、EC化合物の光吸収特性の変化をイメージしやすくするために、典型的な例である、EC素子1を駆動させた時に光透過状態(消色状態)から光吸収状態(着色状態)へと変化する例を取り上げて記述する。
アノード性EC化合物もカソード性EC化合物も、電極21と22との間に印加する電圧を制御する、又はEC素子1のオン/オフを切り替えることで、酸化反応又は還元反応を生じ、互いに異なる少なくとも2つの状態をとる。本明細書では、あるEC化合物が、一電子以上の酸化反応によって酸化された状態をそのEC化合物の「酸化体」と呼び、一電子以上の還元反応によって還元された状態をそのEC化合物の「還元体」と呼ぶ。即ち、アノード性EC化合物は、EC素子1を駆動させていない状態では還元体であるが、EC素子1を駆動させた状態ではその一部が酸化体となる。また、カソード性EC化合物は、EC素子1を駆動させていない状態では酸化体であるが、EC素子1を駆動させた状態ではその一部が還元体となる。
尚、文献によっては、EC化合物の状態を示す表現として、酸化体から中性体を経て還元体(又はその逆)へと変化するという表現もある。しかし、以下の説明においては、基本的には、酸化体を還元した時に生成されるのが還元体であり、還元体を酸化した時に生成されるのが酸化体という認識の下で、酸化体及び還元体の記述を採用する。例えば、二価の鉄を有するフェロセン(分子全体としては中性体)は、フェロセンがアノード性の酸化還元物質として機能する場合には、フェロセン(アノード性の酸化還元物質)の還元体である。この還元体が酸化されて鉄が三価の状態となったもの(フェロセニウムイオン)はフェロセン(アノード性の酸化還元物質)の酸化体、特に第一の酸化体である。またビオロゲンのジカチオン塩がカソード性EC化合物として機能する場合には、当該ジカチオン塩はカソード性EC化合物の酸化体である。また当該ジカチオン塩が一電子還元されたモノカチオン塩はカソード性EC化合物の還元体、特に第一の還元体である。
本発明に用いられるEC化合物は、有機化合物である。EC化合物は、低分子有機化合物であっても高分子有機化合物であってもよいが、分子量が2000以下の低分子有機化合物であることが吸収波長、耐久性の観点から好ましい。また、アノード性EC化合物及びカソード性EC化合物は、いずれもEC素子1の駆動によって消色体から着色体に変化する化合物であることが好ましい。尚、EC化合物として、それぞれ複数種類のアノード性EC化合物、カソード性EC化合物が含まれていてもよい。
アノード性EC化合物としては、例えば、チオフェン誘導体、芳香環を有するアミン類(例えば、フェナジン誘導体、トリアリルアミン誘導体)、ピロール誘導体、チアジン誘導体、トリアリルメタン誘導体、ビスフェニルメタン誘導体、キサンテン誘導体、フルオラン誘導体、スピロピラン誘導体等が挙げられる。これらの中でも、アノード性EC化合物としては、低分子の芳香環を有するアミン類が好ましく、ジヒドロフェナジン誘導体が最も好ましい。
上記に挙げた化合物をEC化合物として用いることにより、所望の吸収波長プロファイルを持つEC素子1を提供しやすく、繰り返し使用に対する高い耐久性が得られる。これらの化合物は、中性状態(還元体)において紫外領域に吸収ピークを有し、可視光領域には吸収を有さず、可視光領域の光透過率が高い消色状態を取る。そして、酸化反応によりこれらの分子がラジカルカチオン(酸化体)となると、吸収ピークが可視光領域にシフトして着色状態となる。これらの分子は、そのπ共役長を拡大縮小させること、また置換基を変更してπ共役系に変化を加えることで、その吸収波長を任意に設計することができる。ここでいう低分子とは、分子量で2000以下である。
カソード性EC化合物は特に限定はされないが、例えば、ビオロゲン誘導体等のピリジン誘導体、キノン化合物等が挙げられる。これらの中でも、ビオロゲン誘導体等のピリジン誘導体が最も好ましく用いられる。従って、カソード性EC化合物は、ピリジン骨格又はキノン骨格を有する化合物であることが好ましい。また、カソード性EC化合物は、下記一般式(1)で表される化合物であることがさらに好ましい。
Figure 2021063893
上記一般式(1)において、X1及びX2はアルキル基、アラルキル基、アリール基からそれぞれ独立に選ばれる。前記アルキル基、前記アラルキル基、前記アリール基は置換基を有してもよい。R11乃至R18は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子、アシル基のいずれかである。前記アルキル基、前記アルコキシ基、前記アラルキル基、前記アリール基、前記複素環基は置換基を有してもよい。A1 -及びA2 -は、それぞれ独立に一価のアニオンを表す。
EC装置が主に作用する波長範囲におけるEC素子1の透光状態と減光状態との減光比(同じ光量の光を入射し、出射される光の光量の比(透光状態/減光状態))は特に制限されるものではない。具体的な例を挙げると2(1段)以上、であることが好ましく、8(3段)以上であることがさらに好ましく、32(5段)以上であることが最も好ましい。これは、減光比が1以下である場合には、EC素子1の調整可能な範囲が限定的であり調光素子としての適用範囲が強く限定されてしまうためである。減光比が8以上ある場合には、調光素子としての応用可能性が拡大し、32以上ある場合には、調光素子としての応用可能性が飛躍的に拡大するためである。
<相補型EC素子における色ムラの形成原理とその典型的なプロファイル>
本発明者等は相補型EC素子において出現する色ムラについて観察、測定、解析を重ねることでその主原因を明確にした。相補型EC素子における色ムラの多くは以下の2つの原因から出現する。
(1)EC層で共に光を吸収するアノード性EC化合物の着色体と、カソード性EC化合物の着色体との濃度比が所定の濃度比(通常等濃度比)からシフトすること。
(2)アノード性EC化合物とカソード性EC化合物の着色体の色が異なること。
アノード性EC化合物として以下の一般式(2)で示されるEC化合物2、カソード性EC化合物として以下の一般式(3)で示される化合物3、を溶媒である炭酸プロピレンに溶解させた溶液をEC層として用いた図2の構成のEC素子を作製した。
Figure 2021063893
Figure 2021063893
EC素子には、上部が青色、下部が黄色の色ムラが発生した。図3(a)に、アノード性EC化合物である化合物2とカソード性EC化合物である化合物3それぞれの着色体の濃度比Rと、上部からの位置Dとの関係を示す。濃度比Rは、アノード性EC化合物とカソード性EC化合物の合計を1.0として、それぞれの比率で表した。ここから、典型的なEC化合物を用いたEC素子において、アノード性EC化合物、カソード性EC化合物の着色体の濃度比は0.35乃至0.65の範囲で分布していることがわかる。さらに、図3(b)には、アノード性EC化合物である化合物2とカソード性EC化合物である化合物3のそれぞれの着色体の吸収スペクトルと、それらの合計の吸収スペクトルと、を示す。図3(b)に示すように、典型的なアノード性EC化合物とカソード性EC化合物とでは着色体の色が異なるため、図3(a)に示すように濃度比が異なると、それぞれの着色体の色が異なるために色ムラが発生することがわかる。
<EC化合物の濃度の色ムラに対する影響>
図4(a)は、アノード性EC化合物及びカソード性EC化合物の濃度C(mol/L)と面内各点のd(ΔOD)の平均値(d(ΔOD)Ave)の関係を示すグラフである。ここで、d(ΔOD)の意味と算出方法を、図4(b)を用いて説明する。
相補型のEC素子においては、EC素子の素子面内の複数箇所のスペクトルを平均化した平均スペクトルはほとんど変化しない。そこで、この平均スペクトルを基準スペクトルとし、面内複数箇所におけるスペクトルの基準スペクトルからのずれに基づいて色ムラの程度を評価した。具体的には、EC層内の素子面内方向におけるEC化合物の濃度ムラによる影響を除くため、基準スペクトルと面内複数箇所におけるスペクトルの両者について、それぞれ規格化した。規格化は、所定の波長範囲(ここでは425nm乃至700nm)において、平均光学濃度変化量(ΔOD)が1となるようにした。この規格化された面内複数箇所のスペクトルのそれぞれについて、規格化された基準スペクトルからの差分をD(λ)とし、下記式(I)よりd(ΔOD)の値を算出した。
Figure 2021063893
ここで、式(I)において、λ0は対象となる光の波長範囲の下限(nm)を表し、λ1は対象となる光の波長範囲の上限を表す。このd(ΔOD)の値は、上記のように規格化した面内の複数箇所の各点のスペクトルの、基準スペクトルからの平均乖離幅を表しており、この値が大きいほど、その点における透過光のスペクトルが基準スペクトルからずれていることを示している。本発明では、面内の複数箇所の各点のスペクトルについて上記d(ΔOD)をそれぞれ算出し、評価に用いた。
図4(a)は、アノード性EC化合物として前記化合物2を用い、カソード性EC化合物として前記化合物3を用い、溶媒である炭酸プロピレンに溶解させた溶液をEC層として用いたEC素子に関するグラフである。ここでは、EC層におけるアノード性EC化合物及びカソード性EC化合物の濃度はそれぞれC(mol/L)としている。図4(a)において、グラフの横軸は、アノード性EC化合物及びカソード性EC化合物のそれぞれの濃度C(mol/L)であり、グラフの縦軸は上述の色ムラの平均の程度を表す。
図4(a)から、アノード性EC化合物及びカソード性EC化合物の濃度Cが0.05mol/L以上の時に、色ムラが顕著に生じることがわかる。色ムラの原因の1つは、EC素子を駆動した時にEC化合物の溶媒に対する親和性が低下し、EC化合物が集合体を形成することであると考えられる。集合体の形成に対しては、集合体を形成する成分の濃度が強い影響を与える。具体的には、集合体を形成する成分の濃度が高い方が集合体は形成しやすくなり、当該濃度がある値を超えた時に、集合体の形成が急激に進行することが考えられる。ここでは、EC層におけるEC化合物の濃度が0.05mol/L以上の領域において、集合体の形成の程度が高くなり、色ムラが強く現れたと考えられる。
EC素子において、EC層内におけるEC化合物の濃度を高くすると、EC素子の駆動時と非駆動時の光学特性の変化量を大きくしやすい。しかしながら上述のように、EC層内におけるEC化合物の濃度を高くすると集合体の形成が生じやすくなるため、色ムラも生じやすくなる。しかしながら、本発明においては、EC装置に対する色分離の影響を抑制することができる。そのため、アノード性EC化合物及びカソード性EC化合物の濃度が0.05mol/L以上と高い場合であっても、EC素子における色分離の影響を有効に抑制することができる。
<EC素子の駆動方法>
本発明に係るEC素子の駆動手段は特に限定されるものではないが、EC素子の光吸収率をパルス幅変調(PWM)により制御する手段が好ましく用いられる。例としてはパルス電圧波形の波高値を変化させず、パルス電圧波形の1周期に占める印加電圧の印加期間の割合を変えることでEC素子の光吸収率を制御する手法が挙げられる。この際の、1周期に占める電圧印加期間の割合をDuty比と定義する。本発明におけるEC素子は、着色時には速度に程度差はあるものの常にEC材料の消色反応が進行する。パルス駆動のDuty比を保持した場合、電圧の印加期間ではEC材料の着色反応が進行する。駆動電源の一定電圧下で、適切な駆動周波数でDuty比を固定してEC素子を駆動させると、吸光度は過渡状態を経て安定し、吸光度が保持される。この時、吸光度を小さく(光透過率を高く)するには、Duty比を小さくすればよく、吸光度を大きく(光透過率を低く)するには、Duty比を大きくすればよい。制御信号の周期が長すぎる場合等、駆動周波数が適切でない場合には、吸光度変化の増減が確認されることがあり、好ましくない。そのため、本発明における、制御信号の周期はEC素子の応答速度より実質的に短い値に設定される。この実質的に短いというのは、EC装置の用途において、パルス駆動によるEC素子の吸光度変化の増減が実質的に影響を及ぼさない範囲という意味である。具体的には、EC装置の用途が撮像機器である場合には、撮像素子の像取得レート、撮像機器の記録レート等との関係において、用途が窓、眼鏡等であれば、人間の目の視認速度との関係でEC素子の吸光度変化の増減の影響が実質的にないということである。具体的な値の例としては、1周期は100ミリ秒以下であることが好ましく、より好ましくは10ミリ秒以下である。
[EC装置]
図1は、本発明のEC装置の好ましい実施形態の構成を模式的に示すブロック図である。本実施形態のEC装置10は、EC素子1と、EC素子1の光吸収率を制御する光吸収率制御部2と、EC素子1の光吸収率目標値に関する第1の信号を出力するエレクトロクロミック装置制御部(EC装置制御部)3と、を有する。さらに、EC装置10は、EC装置制御部3からの第1の信号を受けて、EC素子1の色ムラを低減するための動作を加えた第2の信号を光吸収率制御部2に出力する色ムラ低減制御部4を有する。EC装置10に入射された入射光5は、EC素子1で調光される。
本実施形態のEC装置10は、撮像素子13と、該撮像素子13の露出、即ち、該撮像素子13の取得する像に対する露出パラメータを制御する露出パラメータ制御部11とを有している。また必要に応じて絞り12等の光学素子を有していてよい。入射光5が強い場合等、EC装置制御部3からの出力信号がEC素子1を高光吸収状態とする場合がある。そのような場合において、本実施形態のEC装置10では、色ムラ低減制御部4から光吸収率制御部2に出力される第2の信号が、EC素子1を低光吸収状態とする場合がある。そのような場合には、色ムラ低減制御部4が低光吸収状態とした分の光吸収率を補償するため、露出パラメータ制御部11を通じて、露出パラメータを変化させることができる。
このEC装置10の例としては、光学フィルタ(例えばNDフィルタ)付きのカメラシステム(カメラ、レンズを含む)、透過率可変窓等の窓材、透過率可変眼鏡、反射率可変ミラーを挙げることができる。カメラシステムは撮像装置であり、EC素子1は調光素子として用いられ、EC素子1の光入射側に複数のレンズを有する撮像光学系(不図示)が配置される。EC装置10が窓材である場合には、EC素子1を透過する光と環境との関係で、適切なEC素子1の光吸収率目標値に関する第1の信号を出力する。出力先は直接、間接を含め、色ムラ低減制御部4、光吸収率制御部2、EC素子1である。
相補型のEC素子を長時間着色状態とすると、アノード性EC化合物の吸収色とカソード性EC化合物の吸収色との均一性が低下する色ムラが発生することがある。この問題に対し本発明者等は、着色状態(高光吸収状態)にあるEC素子1の光吸収率を、適切なタイミングと期間で低下させることにより、色ムラを効果的に抑制することができることを見出した。色ムラ低減制御部4は、効果的に色ムラを抑制できるよう、EC装置制御部3から出力されたEC素子1の光吸収率目標値に関する第1の信号に対して、低減されたEC素子1の光吸収率目標値に関する第2の信号を光吸収率制御部2に出力する。
光吸収率制御部2は、EC装置制御部3、色ムラ低減制御部4から出力された情報に基づきEC素子1の光吸収率を制御する。光吸収率の制御は、前記したパルス幅変調でも、電圧値制御でもいずれでも構わない。EC素子1の光吸収率を制御する際にはEC素子1の光吸収率を、投受光素子等を使用、モニタして、所望の光吸収率となるようにフィードバック制御を行う制御方法が好ましく用いられる。
これらEC装置制御部3、色ムラ低減制御部4、光吸収率制御部2は、それぞれ別の制御器としてEC装置10に存在して情報の授受を行っていてもよいし、一体となって存在し、内部で情報の授受を行ってもよい。
本実施形態のEC装置10では、色ムラを低減するために色ムラ低減制御部4から光吸収率制御部2に出力される第2の信号により、EC素子1を低光吸収状態とすることがある。この時EC素子1を高光吸収状態から低光吸収状態とし、低光吸収状態を保持している期間(後述する第2の期間(t2))は、EC素子1の応答速度の時定数より長いものであり、この点でパルス駆動の電圧印加休止期間とは区別される。
[撮像素子、露出パラメータ制御部]
本実施形態のEC装置10は、撮像素子13と、撮像素子13の取得する像に対する露出パラメータを制御する露出パラメータ制御部11と、をさらに有している。撮像素子13はその素子面で結像された像を光電変換するもので、例えば増幅型固体撮像素子の1つであるCMOSプロセスコンパチブルのセンサ(以降CMOSセンサと略す)を用いることができる。CMOSセンサの特長を以下に記述する。
CMOSセンサは、エリアセンサ部のMOSトランジスタと駆動回路、AD変換回路、画像処理回路といった周辺回路を同一工程で形成できるため、マスク枚数、プロセス工程がCCDと比較して大幅に削減できる。また、任意の画素へのランダムアクセスが可能であり、ディスプレイ用に間引いた読み出しが容易であり高い表示レートでリアルタイム表示が行える。
色ムラ低減制御部4によって第2の信号が光吸収率制御部2に出力され、EC素子1の光吸収率が変化した際に、露出パラメータ制御部11によって、露出パラメータを調整することが好ましく行われる。その露出パラメータの調整によって撮像素子13において取得される像に対する、上述の光吸収率変化の影響を低減することができる。この露出パラメータとしては、シャッタースピード、絞り値、ゲイン(ISO感度)が挙げられる。この露出パラメータ制御部11では、EC装置10に別途設けられてよい露出計の計測結果に応じて、露出パラメータが所望の露出となるよう、手動/自動の制御を行なう機能を有していてよい。色ムラを低減するためのEC素子1の光吸収率の変化に伴い露出パラメータを調整する場合には、その光吸収率の変化に起因した、取得される像に対する光吸収率変化の影響を低減するよう、同期的、補償的に調整することが好ましい。具体的には、EC素子1の光吸収率が一定期間に連続的に1/2に変化する場合には、露出パラメータ、例えば絞り値が同期的にその一定期間に連続的に1段絞る方向に動くことでその変化が取得される像に表れにくいように変化することが好ましい。露出パラメータはそれぞれ単独で変化してもよく、複数の露出パラメータを組み合わせて補償を実現してもよい。この露出パラメータによる同期的な制御を行う機能は、この露出パラメータ制御部が有していることが好ましい。この露出パラメータ制御部11は、EC装置制御部3、色ムラ低減制御部4、光吸収率制御部2とは、それぞれ別の制御器としてEC装置10に存在して、情報の授受を行ってもよいし、一体となって存在し、内部で情報の授受を行ってもよい。
<EC装置の効果的な色ムラ抑制の方法>
相補型EC素子を連続駆動させた時に発生する色ムラを抑制するため、本発明者等は様々な試行を行い、効果的に色ムラを抑制する方法を見出した。その方法は、高光吸収状態のEC素子を、一時的に低光吸収状態とする方法である。この高光吸収状態の第1の期間(t1)と低光吸収状態の第2の期間(t2)との関係を詳しく調査すると以下の2点が明らかとなった。
(a)色ムラ抑制の効果は、高光吸収状態の第1の期間(t1)と低光吸収状態の第2の期間(t2)との比R=t2/t1に相関する。
(b)上記Rの値によって、色ムラの変化は以下の3つのステージに分類できる。
ステージ1:色ムラが悪化する負の効果領域
ステージ2:色ムラが低減される領域
ステージ3:色ムラが完全に解消される領域
図5を用いて以下に詳細に説明する。図5(a)には、EC素子1の光吸収率パターンを示す。同図において、縦軸はEC素子1の光吸収率、横軸は時間(t)である。ここでは、EC装置制御部3から出力されたEC素子1の光吸収率目標値が高光吸収状態(H)である場合を考える。その場合において、色ムラ低減制御部4からEC素子1の光吸収率を高めた低光吸収状態(L)とする信号が出力され、EC素子1が低光吸収状態となる第2の期間が、繰り返し挿入される。この時、t2とt1との比R(=t2/t1)と色ムラの指標d(ΔOD)の関係は図5(b)のようになる。ここで、0<R<R1のステージ1領域におけるd(ΔOD)は、R=0(高光吸収状態を保持)の場合と比較して大きくなり、色ムラが悪化する。これは以下のように説明できる。
高光吸収状態であったEC素子1を、短時間低光吸収状態とすることにより、色ムラ着色に重畳されていたEC素子1の本来の着色(所望のアノード性EC化合物の着色色と、カソード性EC化合物の着色色の組み合わせ)が低減される。即ち、EC素子1の色ムラの純化が行われる。その後、新たに色ムラにつながる高光吸収状態が加えられることにより、色ムラの状態がさらに強化されるためと考えられる。これに対し、R1≦R<R2のステージ2の領域では、d(ΔOD)はR=0の場合と比較して小さくなり色ムラが改善する。また、R≧R2のステージ3の領域では色ムラは解消する。これらの知見から、効果的な色ムラ抑制の方法は以下のようになる。
(A)EC素子1に高光吸収状態とする第1の期間(t1)が、色ムラが発生する時間(推奨上限連続時間)以上の場合には、EC素子1を一旦低光吸収状態とする。
(B)効果的な低光吸収状態とする第2の期間(t2)を導入する。
(C)色ムラが悪化する領域の時間比(0<R<R1)を導入することを避ける。この時の色ムラの解消とは、EC素子1を連続して高光吸収状態として発生した色ムラに対して、色ムラの程度が1/10以下、好ましくは1/100以下となることである。
<具体的な色ムラ抑制の方法>
EC装置の具体的な色ムラ抑制の方法を、EC装置が撮像素子を有するカメラである図1の実施形態を例にとって、図6のフローチャートを用いて具体的に説明する。図1のように、入射光5が、低光吸収状態のEC素子1、絞り12を透過して撮像素子13に入射された時に、その光量が所望の光量より大きな場合を考える。この場合、EC装置制御部3はEC素子1の使用を要求し、その際、前回使用を要求していなければ、高光吸収状態を保持している第1の期間(t1)をリセットする。EC装置制御部3は、EC素子1を高光吸収状態とする第1の信号を光吸収率制御部2に出し、光吸収率制御部2はその信号に応じてEC素子1を高光吸収状態とする。このEC素子1を低光吸収状態から高光吸収状態とし、高光吸収状態を保持している第1の期間(t1)がEC素子1の推奨上限連続時間(ti)未満の場合には、高光吸収状態を保持する。この時、前回の使用状態が、低光吸収状態である場合にはt1、t2のリセットが、高光吸収状態である場合にはt1の積算が行われる。tiは、基本的には、色ムラの程度がEC装置10の特性に対し実質的な悪影響を与え始める時間に設定される。一方で、EC装置10の機能発現の観点等から、それより長い時間が設定されてもよい。t1がti以上の場合には、EC素子1を低光吸収状態とする第2の信号が、色ムラ低減制御部4から光吸収率制御部2に出力され、光吸収率制御部2はその第2の信号に応じてEC素子1を低光吸収状態とする。
ここでEC素子1の高光吸収状態と低光吸収状態について説明する。EC装置10が主に作用する波長範囲において、高光吸収状態は、低光吸収状態と比較して光吸収率の高い状態であり、低光吸収状態は高光吸収状態よりも光吸収率が低い状態である。相補型のEC素子1の連続駆動時に発生する色ムラは、EC素子1の駆動により生成されるEC化合物の着色体の集合体に起因して生じる。より具体的には、EC化合物の着色体が集合することにより、マトリクスや、反対極性のEC化合物の着色体の集合体との相溶性が低下することによって生じる。このため、EC層中の着色体の濃度の増大、即ち光吸収率の増大とともに色ムラは生じやすくなる。よって、高光吸収状態よりも光吸収率の低い低光吸収状態とすることで色ムラは低減される。実用的には、高光吸収状態の光吸収率は、低光吸収状態よりも2倍(1段)以上高いことが好ましく、4倍(2段)以上高いことがより好ましく、8倍(3段)以上高いことがより好ましい。
このEC素子1を低光吸収状態とすることは、EC装置制御部3及び取得される像としては、EC素子1を高光吸収状態とすることが好ましい状況で、色ムラを抑制するために、色ムラ低減制御4部があえて行うものである。このことによる取得像への影響を低減するために、他の露出パラメータの値を変化させることで補償することが好ましく行われる。具体的には他の露出パラメータである絞り値を絞る、シャッタースピードを速くする、ゲイン低下させる、のいずれかの方向に変化させる、或いはそれらの組み合わせにより補償することが好ましく行われる。これらの補償は、色ムラ低減制御部4があえてEC素子1を高光吸収状態から低光吸収状態とする際のEC素子1の光吸収率変化と同期的に行われるのが好ましい。補償が同期的に行われることにより、取得像への影響を低減することができ品位を向上させることができる。
具体例を以下に記載する。色ムラ低減制御部4からEC装置制御部3、露出パラメータ制御部11に、色ムラを抑制するためにEC素子1を低光吸収状態とするタイミングと、EC素子1の光吸収率の変化量に関する情報を出力する。それに基づいて露出パラメータ制御部11は、取得像への影響を低減するように他の露出パラメータの値を補償的、同期的に変化させる。具体的には、例えば、EC素子1の光吸収率低減の経時プロファイルに同期させて、その影響を相殺するように他の露出パラメータを、明るさを低減する方向に変化させることで、全体としての露出変化が少ないようにする。このことにより、取得像の明るさは保持され、色ムラを抑制するためにEC素子1を低光吸収状態としたことによる像への影響を低減することができる。
EC素子1を低光吸収状態とした第2の期間は積算され、t2/t1の比が、先に記載した色ムラが解消するステージ3の領域となるR2を超える場合には、色ムラを抑制するためにEC素子1を低光吸収状態とすることを終了することが好ましい。t2/t1=R2で色ムラの解消効果は最大となり、t2/t1>R2でもその効果は変わらなくなる一方、低光吸収状態とする期間が長くなってEC素子1の明るさへの影響が大きくなるからである。このR2の値の例としては1を挙げることができる。そしてEC装置制御部3及び取得される像として好ましい高光吸収状態とする。この場合には、EC素子1を低光吸収状態とする場合と同様、取得像への影響を低減するために、他の露出パラメータの値を変化させることで補償することが好ましく行われる(露出パラメータの変化方向としては逆向き)。これらの補償も、EC素子1の光吸収率の変化と同期的に行われるのが好ましい。補償が同期的に行われることにより、取得像への影響を低減することができ品位を向上させることができる。この動作も、EC素子1を低光吸収状態とする場合と同様、色ムラ低減制御部4から、光吸収率制御部2、EC装置制御部3、露出パラメータ制御部11等と連動して同期的に、補償的に、全体としての露出変化が少ない方向で実施されることが好ましい。
EC素子1をEC装置制御部3として、取得される像として好ましい高光吸収状態とした後、t1、t2はリセットされる。そして再びt1が積算され、tiを超える場合に、色ムラを抑制するためにEC素子1を低光吸収状態とすることが行われる。
ここで、この一連の色ムラを抑制するためにEC素子1を高光吸収状態から低光吸収状態とし、前記低光吸収状態を保持している第2の期間(t2)は、EC素子1の応答速度の時定数より実質的に長い。この実質的にという意味は、EC装置の用途において、EC素子1の光吸収率変化の増減が実質的に影響を及ぼす範囲という意味である。これは以下のように説明できる。本実施形態のEC装置10では、EC素子1の色ムラを抑制するためにEC素子1を高光吸収状態から一時的に低光吸収状態とするものである。t2が、EC素子1の応答速度より短い場合には、EC素子1は、色ムラを抑制するために十分な低光吸収状態の期間をとることができず、色ムラが効果的に抑制されない。この点において、本実施形態のEC装置10において色ムラを抑制するためにEC素子1を高光吸収状態から低光吸収状態とする動作は、EC素子1をパルス幅変調駆動した場合の電圧休止期間とは区別される。
また、像記録時等、色ムラを抑制しつつもEC素子の高光吸収状態をできるだけ優先したい場合がある。この場合には、図6のフローチャートのR2をR1に置換した以下の動作が好ましく行われる。t2/t1の比が、先に記載した色ムラが悪化するステージ1領域が終了するR1よりも小さければ、EC素子1は低光吸収状態を継続して色ムラがより悪化することを回避する。そして、t2/t1の比が、先に記載した色ムラが悪化するステージ1が終了し、色ムラが悪化しない、色ムラが改善する領域(ステージ2)に入った後、色ムラを抑制するためにEC素子1を低光吸収状態とすることを終了する。このことによって、EC素子の高光吸収状態をできるだけ優先したい場合において、EC素子を低光吸収状態とする時間を短縮しながらも色ムラが悪化することを避けることができる。このR1の値の例としては0.02を挙げることができる。即ち、R1≦t2/t1≦R2の範囲において、色ムラ抑制を優先する場合には、t2/t1がR2に近いt2を選択し、EC素子1の高光吸収状態を優先する場合には、t2/t1がR1に近いt2を選択すればよい。また、さらに必要に応じて、t2/t1の比にかかわらず色ムラを抑制することよりもEC素子の高光吸収状態を優先するモードを設けてもよく、これらは用途に応じて切り替えられるようになっていてよい。
図1のEC装置10において、EC素子1はパルス幅変調、電圧値変調のいずれでも駆動することができる。例えば、光吸収率制御部2が、EC装置制御部3から、EC素子1の光吸収率の変更指示を受けることなく、色ムラ低減制御部4からパルス幅のデューティ比変更指示を受け、色ムラを低減することができる。デューティ比の変更の開始期間は、EC素子の光吸収率と駆動時間とに基づいて決定すれば良い。尚、EC素子1の光吸収率の変更は調光を目的としてもよい。EC素子1が電圧印加により高光吸収状態となる場合、色ムラを解消するために低光吸収状態とする電圧パルスを印加する期間のデューティ比(1周期のうち高光吸収率とする電圧印加期間/1周期)は、高光吸収状態とする期間のデューティ比よりも小さくなる。色ムラを解消するために低光吸収状態とする期間(デューティ比の変更期間)は、再びEC素子を高光吸収状態とした場合に色ムラが解消されている時間までである。例えば、EC装置10にEC素子1の色ムラ判定部(不図示)を配置しておき、該色ムラ判定部において、EC素子1の色ムラを観察し、色ムラが発生した時点でデューティ比を変更し、解消された時点で、デューティ比の変更を終了すればよい。
また、電圧値変調でEC素子1を駆動する場合には、連続印加する電圧値によってEC素子1の光吸収率が制御される。よって、高光吸収状態とする期間の後に、EC素子1に印加する電圧値を、EC素子1が低光吸収状態となる電圧値に変更して、EC素子1を低光吸収状態とすればよい。
<効果>
本実施形態に係るEC装置によれば、濃度可変フィルタとしてのEC素子を連続駆動した場合においても、アノード性EC化合物、カソード性EC化合物の着色体の濃度比が所定の比から変化した時の色ムラを抑制することができる。
本実施形態によれば、EC層の内容物を変化させることなく色ムラの影響を抑制することができる。EC層の内容物による色ムラの抑制方法の例としては、増粘剤濃度の増大による粘度増大などが挙げられるが、応答性の低下といった副作用が現れることがある。本実施形態によれば、そのような副作用を発現することなく色ムラの影響を抑制することができる。また、EC層の粘度増大とともに適用することにより、色ムラを高度に抑制することができ、素子応答性を確保しつつ、色ムラをより一層抑制することもできる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<EC素子の作製>
図2に示される構造を有するEC素子を、以下の方法により作製した。
インジウムドープ酸化スズ(ITO)膜(電極21,22)が成膜されている透明導電性ガラス(基板26,27)を2枚用意し、ITO膜同士が対向するように配置した。そして、2枚の透明導電性ガラスの外周を、粒径50μmのスペーサービーズを混合したシール材25を用いて接着した。アノード性EC化合物として前述の化合物2、カソード性EC化合物として前述の化合物3、を溶媒である炭酸プロピレンにそれぞれ100mMの濃度で溶解させた溶液をEC層23として用いた。この溶液を透明導電性ガラス26に予め形成した注入口(不図示)から注入することで、電極21,22とシール材25によって形成されている空間内に当該溶液を充填した。その後、シール剤で注入口(不図示)を封止して、EC素子を得た。
<色ムラの評価>
上記EC素子を、長辺が水平方向、短辺が鉛直方向となるように、自動XZステージと組み合わせた。そして、光源、光ファイバ、レンズ、分光器、を組み合わせたスペクトル測定装置を用いて、EC素子の有効光学領域を縦8×横14の領域に分割して、透過スペクトルを測定した。測定した複数箇所全点の平均スペクトルを基準スペクトルとして使用して、各点におけるスペクトルのずれを前述のd(ΔOD)を使用して評価した。
EC素子に0.886Vの電圧を連続印加してEC素子を高光吸収状態(ΔODの最大値2.3(593nm))として一定期間(t1)保持した後、印加電圧を0Vとして低光吸収状態(ここでは消色状態)として一定期間(t2)保持し、再び高光吸収状態とするサイクルを24時間繰り返した。この時、t1に対してt2を変化させた時の色ムラへの影響を図7に示す。尚、EC素子のti=600sである。
図7(a)には、t1を600sとした時のt2と色ムラの評価値であるd(ΔOD)の最大値の関係を示す。(t2=0のプロットは、高光吸収状態を継続した場合の値を意味する。)ここから、色ムラの程度は、t2の値を増大させることにより、悪化する領域、色ムラが低減される領域、解消される領域へと移り変わることがわかる。
図7(b)には、同様にt1を3600sとした時の関係を示すが、この時のプロファイルも図7(a)と類似のものとなった。これら二つのプロットを、横軸をR=t2/t1として示したグラフを図8に示す。ここから、以下の2点が確認された。
(ア)色ムラ抑制の効果は、高光吸収状態の時間(t1)と低光吸収状態の時間(t2)と比であるR=t2/t1に相関すること。
(イ)Rの値によって、色ムラの変化は以下の3つのステージに分類できること。
ステージ1:色ムラが悪化する負の効果領域
ステージ2:色ムラが低減される領域
ステージ3:色ムラが解消される領域
本実施例では、上記ステージ1の領域は、0<R<0.02、ステージ2の領域は0.02≦R<1、ステージ3の領域は1≦Rであることが確認された。
<評価、効果>
本実施例のEC素子を駆動して、色ムラや明るさへの影響を確認した。各パラメータは、ti=600s、t1=600s、R1=0.02、R2=1である。
Figure 2021063893
表1に示したように、実施例1においては、EC素子を低光吸収状態とする期間t2を、色ムラが解消されるt2/t1=R2まで導入することで、色ムラの影響が解消された。また、連続同期で露出補償をすることで、t2を導入したことによる明るさへの影響も回避された。
実施例2においては、実施例1と同様に、t2を色ムラが解消されるt2/t1=R2まで導入することで、色ムラの影響が解消され、同期的な露出補償をステップ変化で行うことで、明るさへの影響も短時間に限定できた。
実施例3においては、実施例1、2と同様に、t2を色ムラが解消されるt2/t1=R2まで導入することで、色ムラの影響が解消されるが、露出補償を行っていない分、明るさへの影響が観察された。
実施例4においては、t2を60s、即ち、t2/t1=0.1にとどめることで、色ムラ抑制のための駆動時間を抑制し、実施例1,2ほどではないが、色ムラを抑制することができた。また、連続同期で露出補償を行うことで、明るさへの影響を回避することができた。
比較例においては、EC素子を低光吸収状態とする期間t2を導入していないため、色ムラの影響が大きく、その結果として、EC素子の明るさにも影響が出ていた。
以上のことから、本発明のEC装置では、相補型のEC素子の連続駆動時に発生する色ムラの影響を効果的に抑制することができることが確認された。
1:EC素子、2:光吸収率制御部、3:EC装置制御部、4:色ムラ低減制御部、10:EC装置、11:露出パラメータ制御部、12:絞り、13:撮像素子

Claims (19)

  1. エレクトロクロミック素子と、前記エレクトロクロミック素子の光吸収率をパルス幅変調により制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記エレクトロクロミック素子が呈する光吸収率の変更指示を受けることなく、前記パルス幅変調のデューティ比を変更することを特徴とするエレクトロクロミック装置。
  2. 前記デューティ比の変更は、前記デューティ比を小さくする変更であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック装置。
  3. 前記デューティ比の変更は、前記エレクトロクロミック素子が高光吸収状態に行われることを特徴とする請求項2に記載のエレクトロクロミック装置。
  4. 前記デューティ比の変更の開始時間は、前記エレクトロクロミック素子の光吸収率と駆動時間とに基づいて決定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック装置。
  5. 前記デューティ比の変更は、前記エレクトロクロミック素子の色ムラが低減される時間まで行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック装置。
  6. 前記エレクトロクロミック装置は、前記エレクトロクロミック素子の色ムラを判定する色ムラ判定部を有し、前記色ムラ判定部により、前記デューティ比の変更を終了する時間が決定されることを特徴とする請求項5に記載のエレクトロクロミック装置。
  7. エレクトロクロミック素子と、
    前記エレクトロクロミック素子の光吸収率を制御する光吸収率制御部と、
    前記エレクトロクロミック素子の光吸収率目標値に関する第1の信号を出力するエレクトロクロミック装置制御部と、
    前記第1の信号を受けて、前記エレクトロクロミック素子の色ムラを低減するため動作を加えた光吸収率目標値に関する第2の信号を、前記光吸収率制御部に出力する色ムラ低減制御部と、
    を有するエレクトロクロミック装置であって、
    前記エレクトロクロミック素子が高光吸収状態となる第1の期間が推奨上限連続時間以上の場合に、前記第2の信号は、前記第1の期間に続く第2の期間に前記エレクトロクロミック素子を低光吸収状態とすることを特徴とするエレクトロクロミック装置。
  8. 前記第2の期間は、前記第2の期間後に前記エレクトロクロミック素子を再び高光吸収状態にした場合に色ムラが完全に解消する時間以下であることを特徴とする請求項7に記載のエレクトロクロミック装置。
  9. 第1の期間をt1、前記第2の期間をt2とした時、前記色ムラが完全に解消する時間は、t2/t1=1であることを特徴とする請求項8に記載のエレクトロクロミック装置。
  10. 前記第2の期間は、前記第2の期間後に前記エレクトロクロミック素子を再び高光吸収状態にした場合に色ムラの悪化が解消する時間以上であることを特徴とする請求項7又は8に記載のエレクトロクロミック装置。
  11. 前記第1の期間をt1、前記第2の期間をt2とした時、前記色ムラの悪化が解消する時間は、t2/t=0.02であることを特徴とする請求項10に記載のエレクトロクロミック装置。
  12. 前記第2の期間は、前記エレクトロクロミック素子の応答速度の時定数より長いことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック装置。
  13. 前記エレクトロクロミック装置は、撮像素子と、前記撮像素子の露出を制御する露出パラメータ制御部とを有し、
    前記第2の信号が前記第2の期間に前記エレクトロクロミック素子を低光吸収状態とする場合に、前記露出パラメータ制御部は前記エレクトロクロミック素子を低光吸収状態とした影響を低減するように、前記撮像素子の露出を制御することを特徴とする請求項7乃至12のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック装置。
  14. 前記撮像素子の露出の制御は、前記第2の期間に同期して前記エレクトロクロミック素子の光吸収状態を補償することを特徴とする請求項13に記載のエレクトロクロミック装置。
  15. 前記撮像素子の露出の制御は、露出パラメータとして、絞り値、シャッタースピード、ゲインのうちの少なくとも一つを使用することを特徴とする請求項13又は14に記載のエレクトロクロミック装置。
  16. 前記エレクトロクロミック素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置されているエレクトロクロミック層と、を有し、
    前記エレクトロクロミック層は、溶媒と、アノード性エレクトロクロミック化合物と、カソード性エレクトロクロミック化合物と、を有することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック装置。
  17. 前記アノード性エレクトロクロミック化合物の濃度と、前記カソード性エレクトロクロミック化合物の濃度の、少なくとも一方が0.05mol/L以上であることを特徴とする請求項16に記載のエレクトロクロミック装置。
  18. 複数のレンズを有する撮像光学系と、前記撮像光学系を透過した光を受光する撮像素子と、前記撮像光学系と前記撮像素子との間に配置されている調光素子と、を有する撮像装置であり、前記調光素子が、前記エレクトロクロミック素子であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック装置。
  19. 窓材であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック装置。
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