JP2019203917A - 振動部材の保持機構、焦点距離可変レンズおよび焦点距離可変レンズ装置 - Google Patents
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レンズシステムは、透明な液体が充填されたケースの中に、圧電材料で形成された円筒状の振動部材を収容することで形成される。レンズシステムにおいて、振動部材の内周面と外周面とに交流電圧を印加すると、振動部材が厚み方向に伸縮し、振動部材の内側の液体を振動させる。液体の固有振動数に応じて印加電圧の周波数を調整することで、液体には同心円状の定在波が形成され、振動部材の中心軸線を中心として屈折率が異なる同心円状の領域が形成される。このため、レンズシステムにおいて、振動部材の中心軸線に沿って光を通せば、この光は同心円状の領域ごとの屈折率に従って、拡大または縮小する経路を辿ることになる。
通常の凸レンズに平行光を入射させると、レンズを通過した光は所定の焦点距離にある焦点位置に焦点を結ぶ。これに対し、凸レンズと同軸に配置されたレンズシステムに平行光を入射させると、この光はレンズシステムで拡大または縮小され、凸レンズを通過した光は元の(レンズシステムがなかった状態の)焦点位置よりも遠くまたは近くにずれた位置に焦点を結ぶ。
従って、焦点距離可変レンズ装置においては、レンズシステムに入力される駆動信号(内部の液体に定在波を発生させる周波数の交流電圧)を印加し、この駆動信号の振幅を増減させることで、焦点距離可変レンズ装置としての焦点位置を一定の範囲内(対物レンズの焦点距離を基準としてレンズシステムにより増減できる所定の変化幅)で任意に制御することができる。
このような焦点距離可変レンズ装置を用いて画像を取得する際には、駆動信号の正弦波の位相に同期して発光信号を出力してパルス照明を行う。これにより、正弦波状に変化する焦点距離のうち、所定の焦点距離にある状態でパルス照明を行うことで、この焦点距離にある対象物の画像が検出される。一周期のうち複数の位相でパルス照明を行い、各位相に対応して画像検出を行えば、同時に複数の焦点距離の画像を得ることもできる。
ここで、振動部材をケースに収容する際に、このスペーサの位置が変化したり、スペーサが捻れたりする場合がある。この場合、スペーサを介して振動部材がケースから受ける押圧力が変化して、振動部材の振動特性が変化してしまうといった問題がある。例えば、スペーサが捻れることによって振動部材が受ける押圧力が強くなると、振動部材は強く押さえつけられている状態となるので振動し難くなる。そうすると、印加電圧の周波数が同一の場合でも振動部材の振動が一定とならず、ケースの中に充填された液体に発生する定在波が変化してしまうので、焦点距離が描く波形も変化してしまう。その結果、パルス照明のタイミングが同一であっても、異なる焦点距離の画像が検出されてしまうという問題がある。
また、このようなスペーサによる振動部材の保持では、振動部材をケース内に収容した後に、振動部材がケースから受ける押圧力を調整できないので、振動部材の振動特性を調整できないという問題がある。
なお、振動部材は、複数の保持部材が当接して保持できるような形状であればよく、例えば、円筒状や角筒状の部材でよく、あるいは、球状や平板状の部材であってもよい。
この際、第1部材および第2部材の振動部材が配置される側に緩衝部材をそれぞれ設ければ、第1部材および第2部材が振動部材の振動特性に与える影響を少なくすることができる。
本発明では、第1部材および第2部材が回転軸方向に貫通する貫通孔をそれぞれ有するので、振動部材の中心軸線に沿って通される光の経路を簡易な構造で確保することができる。
図1から図9に、本発明の第1実施形態を示す。
図1、2において、焦点距離可変レンズ装置1は、焦点距離を可変しつつ測定対象物9の表面の画像を検出するために、当該表面に交差する同じ光軸A上に配置された対物レンズ2、焦点距離可変レンズであるレンズシステム3および画像検出部4、測定対象物9の表面をパルス照明するパルス照明部5を備えている。
さらに、焦点距離可変レンズ装置1は、レンズシステム3、画像検出部4、パルス照明部5を制御する制御装置6と、制御装置6に対して情報信号を入出力可能な制御コンピュータ7とを備えている。
レンズシステム3は、制御装置6から入力される駆動信号Cfに応じて屈折率が変化する。駆動信号Cfは、レンズシステム3に定在波を発生させる周波数の交流であって、正弦波状の交流信号である。
焦点距離可変レンズ装置1において、焦点位置Pfまでの焦点距離Dfは、対物レンズ2の焦点距離を基本としつつ、レンズシステム3の屈折率を変化させることで、任意に変化させることができる。
パルス照明部5は、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子で構成され、制御装置6から発光信号Ciが入力された際に、所定時間だけ照明光Liを発光させ、測定対象物9の表面に対するパルス照明を行うことができる。
振動部材32は、その外周面33をケース31に設置された保持機構10で保持されている。保持機構10の詳細については後述する。振動部材32は、圧電材料を円筒状に形成したものであり、外周面33と内周面34との間に駆動信号Cfの交流電圧が印加されることで、厚み方向に振動する。
ケース31の内部には、透過性の高い液体35が充填されており、振動部材32は全体を液体35に浸漬され、円筒状の振動部材32の内側は液体35で満たされている。駆動信号Cfの交流電圧は、振動部材32の内側にある液体35に定在波を発生させる周波数に調整されている。
また、ケース31の上面側には、ケース31を密閉するために開口部を覆うカバー36が配置される。カバー36の中央部には、液体35を透過した光を通すための窓部が設けられている。
このとき、レンズシステム3の中心軸線からの距離(半径)と液体35の屈折率との関係は、図4(C)部に示す屈折率分布Wのようになる。
図5(A)の状態では、屈折率分布Wの振れ幅が最大となり、レンズシステム3は通過する光を収束させ、焦点位置Pfは近く、焦点距離Dfは最短となっている。
図5(B)の状態では、屈折率分布Wが平坦となり、レンズシステム3は通過する光をそのまま通過させ、焦点位置Pfおよび焦点距離Dfは標準的な値となっている。
図5(C)の状態では、屈折率分布Wが図5(A)と逆極性で振れ幅が最大となり、レンズシステム3は通過する光を拡散させ、焦点位置Pfは遠く、焦点距離Dfは最大となっている。
図5(D)の状態では、再び屈折率分布Wが平坦となり、レンズシステム3は通過する光をそのまま通過させ、焦点位置Pfおよび焦点距離Dfは標準的な値となっている。
図5(E)の状態では、再び図5(A)の状態に戻っており、以下同様の変動を繰り返すことになる。
この際、焦点変動波形Mfの任意の時点で焦点位置Pfにある測定対象物9をパルス照明すれば、照明時点での焦点距離Dfにある焦点位置Pfの画像が得られることになる。
すなわち、制御装置6から入力される発光信号Ciに基づいて、パルス照明部5からの照明光Liで測定対象物9の表面を照明することで、測定対象物9からの反射光Lrが対物レンズ2およびレンズシステム3を通して画像検出部4に送られ、画像として検出することができる。
図3および図6に示すように、保持機構10は、振動部材32を挟んで互いに反対側に配置される第1部材11および第2部材12と、第1部材11の下面と第2部材12の上面とに連結される保持部材13と、蓋体14とを有する。
第1部材11は円盤状の板部材であり、中央部に貫通孔111を有している。また、第1部材11の下面には振動部材32の上面と対向する位置にリング状の第1緩衝部材15が設けられている(図7参照)。
第2部材12は、第1部材11と同様に円盤状の板部材であり、中央部に貫通孔121を有している。また、第2部材12の上面には振動部材32の下面と対向する位置にリング状の第2緩衝部材16が設けられている。
保持部材13は円柱状の弾性部材であり、容易に折り曲げることができる。また、保持部材13は、内側に振動部材32が設置できる程度の間隔で、第1部材11および第2部材12の周縁部に沿って8本設けられている。
蓋体14は、第1部材11の貫通孔111を覆うように形成されており、後述するように第2螺合機構18により第1部材11に螺合される。また、蓋体14の中央部には、液体35を透過した光を通すための窓部が設けられている。
図7に示すように、第2部材12はケース31の底面に配置されて固定されている。そして、第2部材12の第2緩衝部材16の上面に振動部材32が載置される。この時、保持部材13はケース31の内周面37と振動部材32の外周面33との間に配置される。
第1部材11の外周面112には雄ねじ部が設けられ、ケース31の開口部側の内周面37には雌ねじ部が設けられて、第1螺合機構17が形成されている。そして、当該第1螺合機構17により、第1部材11はケース31に螺合されている。
なお、ケース31の内部には、図示しない圧力調整機構が設置されており、ケース31内部の容積変化や温度変化によって内部圧力が変化することを防止している。
図6(A),(B)および図7に示すように、保持部材13が垂直に立設した状態で、振動部材32を第2部材12の第2緩衝部材16の上面に載置する。この時、保持部材13は、第1部材11および第2部材12の回転軸Rから離れた状態になっている。
さらに、本実施形態では、第1部材11と第2部材12とを第1螺合機構17により相対的に回動させるので、第1部材11と第2部材12との相対的な回動角度を容易に調整できる。そのため、振動部材32に作用する押圧力を容易に調整できて、振動部材32が所望の振動特性を示すような調整が容易となる。
液体35を通過する光の光路長が変化すると、液体35における光の屈折率も変化するので、焦点位置Pfまでの焦点距離Dfも変化してしまう。その結果、所定の時点で測定対象物9にパルス照明しても、所望の焦点距離Dfにある焦点位置Pfの画像が得られなくなってしまうといった問題がある。
カバー36は、図示しない第1螺合機構17および第2螺合機構18の固定機構を有するため、所望の振動特性および光学特性が得られるように調整した第1螺合機構17および第2螺合機構18がずれることを防ぐことができる。
図10、図11に、本発明の第2実施形態を示す。
この第2実施形態は、前述した第1実施形態と基本構成が共通であり、説明の簡略化のため共通部分については重複する説明を省略し、以下相違する部分について説明する。
これに対して、図10および図11に示すように、第2実施形態では第1部材11の外周面112に凸部が設けられ、ケース31の開口部側の内周面37に凹部が設けられ、第1部材11の凸部がケース31の凹部に嵌合されて摺動機構19が形成されている。そして、当該摺動機構19により第1部材11および第2部材12を相対的に回動させることができる。
また、保持部材13Aは、円柱状の弾性部材であり、さらに、伸縮可能な素材で形成されている。そのため、容易に折り曲げることができるうえ、伸縮させることもできる。そのため、第1部材11と第2部材12との回転軸方向の相対距離を変化させることなく、第1部材11および第2部材12を回動させることができる。
図12に本発明の第3実施形態を示す。
この第3実施形態は、前述した第1実施形態と基本構成が共通であり、説明の簡略化のため共通部分については重複する説明を省略し、以下相違する部分について説明する。
これに対して、図12に示すように、第3実施形態では、第1部材11Aは有底円筒状であり、底部114Aに貫通孔111Aが設けられている。また、保持部材13Bは底部114Aの上面と蓋体14の下面とに連結され、保持部材13Cは底部114Aの下面と第2部材12の上面とに連結されている。つまり、保持部材13B,Cが第1部材11Aの底部114Aを挟んで上下に配置されている。
その結果、底部114Aの上側に配置された保持部材13Bと、下側に配置された保持部材13Cとで振動部材32を保持することができるので、振動部材32をより確実に保持することができる。
本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前述した実施形態では、保持部材13はケース31の内周面37と振動部材32の外周面33との間に配置されて、振動部材32の外周面33に当接して保持していた。
しかし、これに限らず、例えば、図13に示すように、保持部材13Dを振動部材32の内側に配置してもよい。この場合、保持部材13Dが第1部材11および第2部材12の回転軸Rに近づいた状態で、保持部材13Dの外側に振動部材32を配置する。そして、第1部材11および第2部材12を回動させて、保持部材13Dを回動軸から離れる方向に移動させることにより、保持部材13Dを振動部材32の内側に当接させて保持することができる。
しかし、これに限らず、例えば、第1部材11をケース31の内側に完全に収容できる位置に第1螺合機構17を設けてもよい。この場合、磁石等により第1部材11を回動させるようにしてもよい。また、第1部材11に限らず、第2部材12をケース31に螺合させるようにしてもよく、第1部材11および第2部材12の両方をケース31に螺合させるようにしてもよい。
Claims (6)
- 振動部材を挟んで互いに反対側に配置され、前記振動部材を貫く回転軸を中心として相対的に回動される第1部材および第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とに連結され、前記第1部材および前記第2部材の回転周方向に沿って複数配置される保持部材とを有することを特徴とする振動部材の保持機構。 - 請求項1に記載した振動部材の保持機構と、前記振動部材を収容するケースと、前記ケースに充填されて前記振動部材が浸漬される液体とを有し、
前記振動部材は入力される駆動信号により振動する筒状の部材であり、
前記複数の保持部材は、前記ケースの内周面と前記振動部材の外周面との間に配置されることを特徴とする焦点距離可変レンズ。 - 請求項2に記載の焦点距離可変レンズにおいて、
前記第1部材および前記第2部材の少なくとも一方と前記ケースとを螺合させる螺合機構を有することを特徴とする焦点距離可変レンズ。 - 請求項3に記載の焦点距離可変レンズにおいて、
前記螺合機構により前記第1部材と前記第2部材とを相対的に回動させることで、前記第1部材と前記第2部材とが前記回転軸方向に相対移動することを特徴とする焦点距離可変レンズ。 - 請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の焦点距離可変レンズにおいて、
前記第1部材および前記第2部材は、前記回転軸方向に貫通する貫通孔をそれぞれ有することを特徴とする焦点距離可変レンズ。 - 請求項2から請求項5のいずれか一項に記載した焦点距離可変レンズと、前記焦点距離可変レンズと同じ光軸上に配置された対物レンズと、前記焦点距離可変レンズおよび前記対物レンズを通して測定対象物の画像を検出する画像検出部と、入力される発光信号に基づいて前記測定対象物をパルス照明するパルス照明部とを有することを特徴とする焦点距離可変レンズ装置。
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