JP2001249202A - 可変焦点レンズ体およびその制御機構 - Google Patents
可変焦点レンズ体およびその制御機構Info
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Abstract
は板120の間に、透明な流体又はゲル状の物質160
が封入・充填されている構成である。2枚の透明体12
0の周辺部は変形可能な部材140によって結合されて
いる。このレンズ体100の縁部にレンズ光軸方向の力
を作用させることによって、この部分で2枚の透明体間
の距離(間隔)を容易に変化させることができる。2枚
の透明体120間に封入されている流動体160は、実
質的には非圧縮性であり加わる圧力が変化してもその体
積は一定である。このため2枚の透明体の縁部での間隔
が変化すると2枚の透明体間の流動体の体積(一定)に
応じて透明体の形状が変化し、表面の曲率が変わり光学
レンズとしての焦点距離が変化する。
Description
率を変化させることによって光の屈折状態を変え、レン
ズ焦点距離を変化させるレンズ及びその制御機構に関す
る。本発明は、各種光学装置における光学系の結像状態
を調節するレンズとして使用される。特に、老視などに
よる人間の視覚における焦点調節能力の低下を補助し、
対象物までの距離に応じて適応的に焦点距離を調節し
て、明瞭な像が観察できるようにする焦点調節型眼鏡の
可変焦点レンズとして用いるのに適する。
系の結像状態の偏りによって、近視や遠視など網膜上に
明瞭な像が得られなくなる。近視や遠視については、そ
れぞれ遠見用レンズ(凹レンズ)や近見用レンズ(凸レ
ンズ)を用いて、結像状態の偏りを補正することによっ
て対応されている。一方において、対象物までの距離に
応じて明瞭な像が得られるように、焦点距離を調節する
眼球の水晶体は加齢とともに柔軟性が低下しその調節範
囲が狭くなる。いわゆる老視となる。そのため、近見用
の眼鏡を用いて近くにある対象物が明瞭に見えるように
すると、遠くにある対象物が明瞭に見えるようには調節
できなくなる。逆に、遠見用の眼鏡で遠くの対象物が明
瞭に見えるようにすると、近くにある対象物が明瞭に見
えるようには調節できなくなる。これらの障害を克服す
るために、近見用と遠見用の2種類の眼鏡を用意し、そ
れぞれの場合に応じて使い分けるのが一般的である。あ
るいは、ひとつの眼鏡のレンズの視野を区分して、それ
ぞれの領域に近見用と遠見用のレンズを設け、近くを見
る場合と遠くを見る場合で意図的に視線を移動すること
により、レンズ視野を変えて使用する眼鏡も広く使用さ
れている。2種類の眼鏡の使い分けでは、場合に応じて
眼鏡を取り替えなければならないという不便さがある。
また、レンズの視野区分では、意図的に視線移動するこ
とが必要とされ、日常生活における何気ない咄嗟の行
動、たとえば階段を下る場合などに、遠見用視野と近見
用視野では非常に異なった見えとなり、しばしば危険な
場合にも遭遇する。
は、図1に示すように、レンズ表面の曲率を変化させる
方法(図1(1))と、レンズ形状はそのままに、液晶
などの屈折率を変化させる方法(図1(2))が考えら
れる。また、カメラなどの光学系で広く普及している複
数のレンズ間、像面間の距離を変化させるズームレンズ
などで使用されている技術が用いられている。しかしな
がら、このカメラで用いられている方法では、装置が大
型となり、眼鏡等のレンズとしてはまったく適用できな
い。図1(2)に示した方法における、レンズの屈折率
を大きく変化させるために用いられる物質は未だ発見さ
れず、レンズの屈折率を変化させることは難しい。一
方、レンズ表面の曲率を変化させる技術として、図2及
び図3に示したように、対向して配置された2枚の透明
体間12に透明流動体16を充填した構成で2枚の透明
体の表面形状を変えて可変焦点型レンズとする技術が提
案されている。この2枚の透明体の表面形状を変える可
変焦点型レンズ体の駆動・制御方法としては、図2に示
す様に、レンズ体の外部に設けられたポンプ18などに
よって、透明流動体をレンズ体内部に圧入してレンズ表
面の曲率を変化させたり、図3に示すように、透明流動
体を封入した2枚の透明体の周辺部で接合する部分に圧
電材料15等を伸縮し、その間隔を変化することが提案
されている。
カバーできるような可変焦点レンズを構成した場合に
は、凹レンズから凸レンズへと切り替わる近辺でレンズ
表面の剛性が弱まり、内部流体とで構成する振動系の振
動数が低下し、レンズ表面形状の部分的変動が顕著とな
り、像の揺れが引き起こされる可能性がある。これを回
避するためにレンズ表面の剛性を増加させると、より大
きな駆動力が必要とされその駆動・制御装置の小型化の
障害となる。
(図2参照)では、レンズ本体は小型化できるが、外部
に透明流動体を圧入するためのポンプ18が必要とされ
る。眼鏡に装備できるほどに小型であるポンプ等のレン
ズ駆動・制御技術が相当難しい。また、レンズ本体とそ
の駆動・制御装置間の結合状態が強いため、レンズ体の
交換などに際してレンズ体へ駆動・制御装置の着脱の操
作を要する。また、その制御において、レンズ本体内へ
流動体を流入・流出させるために、駆動機構が原因で透
明流動体が汚染される恐れがある。また、図3のよう
に、レンズ体自身に駆動機構を装備する方式において
は、レンズ本体と駆動機構とが一体化されるため、小型
かつコンパクトな可変焦点レンズシステムを実現でき、
また、透明流動体はレンズ本体内部に封入され汚染に強
い構成となる。しかし、この方式では可変焦点レンズ本
体とその駆動部とを一体化させるので、駆動装置を各レ
ンズごとに備えなければならず、可変焦点レンズ本体が
高価となる。
焦点型レンズの小型化とその制御性を向上させるために
レンズ本体の構造を工夫し、焦点調節にかかわる駆動・
制御が簡便かつ容易にできるような可変焦点レンズ体を
実現する。本発明に基づいたレンズを使用し、対象物を
見ようとする場合の視線移動などから注視しようとして
いる対象物までの距離を感知してその距離に有る対象物
を見るのに適した焦点距離となるように制御すれば眼鏡
を取り替えたり、視線方向を意図的に移動しなくても明
瞭な像が得られるように焦点距離調節を補償できる。本
発明においては、可変焦点型レンズ体とその駆動・制御
部とを独立とし、製作の容易性、可変焦点レンズ体の着
脱、交換、組立、保守などにおける操作性が向上される
ようにする可変焦点型レンズの駆動・制御機構を提供す
る。
に、本発明は、焦点距離を変化させることができる可変
焦点レンズ体であって、対向して配置された2枚の透明
体と、前記2枚の透明体間に封入された透明流動体と、
前記2枚の透明体の周辺部を結合する変形可能な部材と
を備え、前記周辺部の間隔、あるいは前記周辺部を結合
する前記部材の形状を変化させることにより、前記透明
体の形状を変化させて光学レンズとしての結像作用を変
化できることを特徴とする可変焦点レンズ体である。こ
の様な構造とすることによって、周辺部の間隔、あるい
は周辺部を結合する前記部材の形状の変化を、外部から
の操作によって容易に制御でき、対向して配置される透
明体の表面形状を所望の状態に調整でき、可変焦点レン
ズの焦点距離を簡便に制御できる。また、対向して配置
された2枚の透明体(透明弾性板または透明弾性膜)間
に透明流動体(流体あるいはゲル状物質)を封入する構
造とすることによって、レンズ体は独立な部品として製
作できる。これによりレンズ本体および駆動・制御部の
設計・製作を容易に行え、また、可変焦点レンズを交換
するなどこのレンズを用いる装置の保守が容易になる。
枚の透明体は、透明弾性膜であり、前記透明体の周辺部
は、事実上剛体と見なせる枠であり、前記2つの剛体枠
を接合する部材が可撓性を有する構成とすることがで
き、前記2つの剛体枠間のレンズ光軸方向間隔を変化さ
せることができる。また、前記対向する2枚の透明体の
一方が実質的に剛体と見なせる材料で、他の一方が弾性
体板あるいは弾性体膜で構成され、前記対向する2枚の
透明体の周辺部を接合する部材が可撓性を有する構成と
することもできる。前記2枚の透明体の周辺部を接合す
る部材は可撓性膜で構成することができ、前記対向する
2枚の透明体縁部のレンズ光軸方向間隔を変化させるこ
とができる。前記可撓性膜は、ある特定の方向には自由
に伸縮し、ある特定の方向には伸びない構造であること
もできる。前記2枚の透明体の周辺部を結合する変形可
能な部材は、蛇腹状とすることができ、レンズ光軸方向
に対して容易に伸縮できる。前記2枚の透明体の周辺部
を結合する部材は、弾性を有する材料で構成することが
でき、これにより、レンズ光軸方向に対して容易に伸縮
できる。前記対向する2枚の透明体の周辺部を結合する
部材は、レンズ光軸回りに相対的に回転できるかレンズ
光軸に交差する方向に並進移動できる構成とすることが
できる。これにより、前記透明体の形状を変化させて光
学レンズとしての結像作用を変化させることができる。
レンズ・システムにおいて、前記可変焦点レンズ体の前
記周辺部の間隔の変化、又は前記周辺部を結合する前記
部材の形状の変化を起こすことができる駆動・制御機構
を備え、前記駆動・制御機構は、前記可変焦点レンズ体
を着脱できるように構成されていることを特徴とする。
前記周辺部の間隔を変化させる機構は、前記2枚の透明
体の一方を、他方に対して光軸方向に移動させる構成、
前記2枚の透明体の一方を、他方に対して、レンズ光軸
回りの回転ずれ又はレンズ光軸に交差する方向への並進
ずれにより、間隔を変化させる構成、又は、透明体周辺
部を支持する支持力の光軸方向成分を変化させる構成と
することができる。前記周辺部を結合する前記部材の形
状を変化させる機構は、レンズ体側面部周囲に配置さ
れ、前記部材を前記レンズ体内部へと押し込むアクチュ
エータを有することもでき、このアクチュエータは、前
記部材に巻きつけられた紐状アクチュエータであり、こ
のアクチュエータの膨張又は/および長さの収縮によ
り、前記部材を前記レンズ体内部へと押し込むようにす
ることもできる。
して詳細に説明する。図4は、本発明の基本となるレン
ズ体100の構成を示す図である。図4において、2枚
の透明な膜又は板120の間に、透明な流体又はゲル状
の物質160が封入・充填されている構成が示されてい
る。2枚の透明体120の周辺部が変形可能な部材14
0によって結合されている。このレンズ体100の縁部
にレンズ光軸方向の力を作用させることによって、この
部分で2枚の透明体間の距離(間隔)を容易に変化させ
ることができる。2枚の透明体120間に封入されてい
る流動体160は、実質的には非圧縮性であり加わる圧
力が変化してもその体積は一定である。このため2枚の
透明体の縁部での間隔が変化すると2枚の透明体間の流
動体の体積(一定)に応じて透明体の形状が変化し、表
面の曲率が変わり光学レンズとしての焦点距離が変化す
る。
6で、本発明の可変焦点レンズ体の実施例1の構成例を
説明する。図5は、可変焦点レンズ体の構成を示す図で
ある。図5に示した可変焦点レンズ体は、2枚の透明体
120を弾性膜121で構成し、それらの周辺部分は事
実上剛性体と見なせる枠141で構成され、2つの剛性
体枠141の間を可撓性材料142で接合した構成であ
る。2枚の透明膜の周辺部をなす剛性体枠141の部分
に、例えばレンズ光軸方向の力を加えることによって2
つの剛性体枠間の距離を容易に変化できる。2枚の透明
体間に封入されている流動体は非圧縮性であるので体積
は変化しない。このため、剛性体枠141の間隔が変化
すると、それに対応して弾性膜120が伸張・収縮して
表面形状が変化する(図6(a)参照:伸張した場
合)。結果として弾性体膜表面の曲率が変わってレンズ
焦点距離を変化できる。この構成では、単に2枚の透明
体120の光軸方向間隔を変化させるのが容易となるだ
けではなく、縁の側面部142をレンズ体内へと食い込
むように変形させることができる(図6(b)参照)。
さらには、枠141をレンズ光軸回りに捻れたりさせる
変形も容易に行える。
明の可変焦点レンズ体の実施例2の構成例を示す。図7
(a)に示した可変焦点レンズ体は、2枚の透明体の一
方が実質的に剛体と見なせる材料122で、他の一方が
弾性体板121あるいは剛性体枠に張られた弾性体膜1
21で構成され、これらの縁の部分が変形可能な部材1
40で接合された構成である。この実施形態でも前述の
ものと全く同様に、縁の部分で光軸方向に力を加えると
容易に縁の部分での間隔を変化させることができる。一
方の剛性体122と見なせる透明体にはあらかじめ凸
(図7(b)参照)あるいは凹(図7(c)参照)に曲
率を有するものを選択して使用することも可能である。
これにより、静止状態で遠見用あるいは近見用の眼鏡の
効果を持たせることができるという特徴を有する。ま
た、他方の透明体120に弾性膜121を使用する場合
には、静止状態で膜に張力が掛かっているようにして、
レンズが移動する時に内部に封入した流体の振動を低下
させる効果も生成できる。
明の可変焦点レンズ体の実施例3の構成例を示す。図8
に示した可変焦点レンズ体は、2枚の透明体間120を
接合する変形可能な部材として、蛇腹構造の壁143を
設けた実施形態である。蛇腹構造とすることによってレ
ンズの光軸方向にのみ伸縮が容易な構造となる。
明の可変焦点レンズ体の実施例4の構成例を示す。図9
に示した可変焦点レンズ体は、2枚の透明体120の縁
部が弾性を有す材料144で構成されている。その弾性
体(弾性材料あるいは袋内のゲル状体)144は、単に
2枚の透明体の間隔が容易に変化できる様にするだけで
なく、内部に封入される流体が外部に流失しないように
するいわゆるパッキングの働きをする。
発明の可変焦点レンズ体の実施例5の構成例を示す。こ
の構成の可変焦点レンズ体は、2枚の透明体の縁部を接
合する可撓性膜145がある特定の方向には伸縮する
が、ある特定の方向には伸びない構造としたものであ
る。図10には、可撓性膜がレンズ光軸方向には伸びな
い様に可撓性膜145内に伸縮し難い光軸方向に揃えら
れた繊維146が埋め込まれている実施例の構成を示し
ている。この場合、可撓性膜に繊維が埋め込まれた方向
には伸びず、膜の繊維方向に沿った距離は変わらない。
このため、2枚の透明体間の距離(間隔)を短くして、
透明体表面形状を変化させることにより、焦点距離を変
化させることができる。この構成の可変焦点レンズ体の
2枚の透明体120を、光軸回りに相対的に回転させた
り(図11(a)参照)、光軸に垂直方向にずれを生じ
させる(図11(b)参照)ことで、2枚の透明体間の
距離を変化でき、レンズ焦点距離を変化できる。また、
図11(c)に示すように、可撓性膜部分145に紐1
47を巻き、それを絞って可撓性膜がレンズ体内部へと
食い込んでゆくようにする。この構成では、紐147の
絞り込みの状態に応じて、2枚の透明体間の距離(間
隔)が短くなり、透明体120の表面形状を変化させる
ことにおいて、可撓性膜145のレンズ体内部への食い
込む体積に相当する流動体を注入したと等価な効果が生
じてくる。
明の可変焦点レンズ体の特徴は、レンズ体の縁部での厚
さあるいは縁を構成する側壁の形状を変化させることが
容易となることである。それによって、レンズ体内部に
封入された流動体の圧力によって対向する透明体の表面
形状を変化させて、レンズの結像効果を単純な機構で制
御可能になる。レンズ体自体を制御部分とは独立に製作
することも容易にできる。これにより、レンズ体が劣化
しても制御部分についてはそのまま使用し、レンズ体の
みを交換することで常に良好な状態に保つことができ
る。以上では、可変焦点型のレンズ本体について記述し
たが、このレンズ体は特に老視などにおける焦点調節能
力を補助する自動焦点調節型眼鏡に装備する場合に、そ
の威力を発揮する。
の可変焦点レンズ体の駆動・制御機構について、以下説
明する。上述のように、本発明の可変焦点レンズ体は、
レンズの周辺部を変形可能な接合体140で構成してい
るため、この周辺部に対する駆動・制御を行うことによ
り、可変焦点の制御を行うことができる。以下に色々な
機構について説明する。
可変焦点レンズ・システムにおける駆動・制御機構の1
例を示す。図12において、可変焦点レンズ体100の
周縁部分をレンズ体支持枠150の上側枠151と下側
枠152とで挟み、前記支持枠の上側枠151と下側枠
152の間隔が変化できる様に製作されている。この支
持枠150の間隔を変化することにより、レンズ体10
0の周縁部の厚さが変わり、上下の透明体の表面形状が
変化してレンズ焦点距離が変化できる。枠の上下は分割
されており、一方の枠を取り外すことによってレンズ本
体の組み込みおよび取り外しを容易に行える。可変焦点
レンズ体周縁部を支持する支持枠150の上面と下面の
間隔を変化駆動するために、図12の実施例では、スク
リュー(ネジ)と同じ原理で、外枠の上側151と下側
152をネジ153で結合されている。この枠の上側1
51、下側152を相対的にモータ155等で回転させ
ることにより、枠の上側151、下側152の間隔を変
化させる構造である。
び図14には、基本的には図12と同様な構成である
が、レンズ体支持枠の上側と下側との間隔を変化するた
めのメカニズムとしては、スクリューの原理によるもの
ではない機構を示す。図13において、支持枠160の
上側枠161と下側枠162とは互いに回転できると共
に、上側枠161と下側枠162とが長さが変わらない
ワイヤ163で結びつけられている。例えば、図14
(b)に示すように、上側枠161と下側枠162とを
相対的に回転することによってワイヤ163が傾斜し、
上側枠161と下側枠162の間隔が変化できるように
構成することができる。これは、図12と同様の構成
で、上側枠161と下側枠162との相対回転角度をア
クチュエータ(モータなど)で所望の角度に変化するこ
とで、可変焦点レンズ周縁部の間隔を変えてレンズの焦
点距離を変化させればよい。また、図14(c)に示す
ように、上側枠161と下側枠162とを相対的に並進
運動できるように構成してもよい。この機構は、上側枠
と下側枠の並進ずれにより、上側枠と下側枠とを結びつ
けているワイヤが傾斜することによって、上側枠と下側
枠の間隔が変化してレンズ体周縁部の厚さが変わり、レ
ンズ体焦点距離を変化させている。
構は、図10および図11に示した可変焦点レンズ本体
の周縁側面部の可撓性面にレンズ光軸方向には伸びない
様に繊維が封入されている場合について、特に有効なも
のである。この場合、レンズ本体の外側に上側枠および
下側枠を設けず、可変焦点レンズ本体に対して、直接的
に作用するように駆動・制御機構を設置して、図11
(a)、図11(b)に示す様に動作させるようにして
もよい。以上述べた制御方式では、可変焦点レンズ体周
縁部の間隔を直接に制御する方法、すなわち位置制御に
対応する制御形態であった。以下、上記とはやや異なっ
た制御形態の駆動・制御機構の実施例を示す。
駆動・制御機構の実施例3を示す。図15において、可
変焦点レンズ体100の周縁部を支持枠170の上側枠
171および下側枠172で挟んで支持し、下側枠17
2がレンズ光軸方向に移動できる構造になっており、下
側枠172と外枠173との間に環状のチューブ175
を配置している。チューブ175に流体を注入すること
によってチューブ175の内部の圧力を変え、チューブ
175を膨張、収縮させることができる。これにより、
下側枠172が可変焦点レンズ体100の周縁部をレン
ズ光軸方向へと押しつける力が変化する。チューブ17
5内へ流入させる流体の圧力を変化させることにより、
可変焦点レンズ体100の周縁部に作用する力が変化す
る。この作用する力に応じて、レンズ体周縁部での厚さ
が変化して表面形状が変わり、結果としてレンズ焦点距
離が変化する。
19を用いて、駆動・制御機構の実施例4を説明する。
この実施例4の駆動・制御機構は、可変焦点レンズ本体
の上下透明体の周縁部の間の側面を取り囲むようにアク
チュエータを配置し、それらが可変焦点レンズ本体の側
面部をレンズ本体の内部へと押し込む構造となってい
る。レンズ本体側面がレンズ本体内部へと押し込まれる
とレンズ本体内部の圧力が高まり、透明体の表面形状が
変化し、その結果レンズ焦点距離を変化できる。具体的
な駆動のための機構としては、図16に示すように、可
変焦点レンズ100の支持枠180の周辺にレンズ体側
面を押し込むアクチュエータ(たとえば圧電素子182
など)を多数配置する機構がある。この機構により、側
面部が内部へと押し込まれ、これにより焦点距離を制御
する。また、図17に示すように、可変焦点レンズ体1
00の側面部を絞るように、紐あるいはベルト184を
巻き付けて、それらを絞る機構などによって側面部が内
部へと押し込まれる。この押し込まれる程度を変化させ
て、焦点距離を制御することができる。
17におけるものと基本的に同じであるが、紐あるいは
ベルト184の代わりに、レンズ体側面を囲むアクチュ
エータとして、いわゆるマッキンベン型のアクチュエー
タを用いた実施例である。図18にマッキンベン型のア
クチュエータ190の構成を示す。図18(a)におい
て、マッキンベン型のアクチュエータ190は、チュー
ブ193に網191を被せた様な構成をしている。この
アクチュエータ190のチューブ193に流体を圧入す
ると、図18(b)に示すように、チューブ193の内
径が大きくなり、また、周長は逆に縮む。これを利用し
て、レンズ本体の側面をレンズ体内部へと押し込む効果
を倍加できる。図16〜図19に示した実施例4におい
て、可変焦点レンズ本体として、図10および図11に
示した可撓性側面部が光軸方向には伸びない構造のもの
を使用し、可変焦点レンズ体周縁部の支持をレンズ光軸
方向に移動可能な機構とすることにより、レンズ透明体
表面の変形が倍加される効果が生じる。これは、アクチ
ュエータにより側面部がレンズ体内部へ押し込まれた場
合、レンズ体上面および下面の周縁部間の間隔も縮むこ
とにより、レンズ透明体表面の変形が倍加されるためで
ある。
間の透明流動体を封入し、2枚の透明体周縁部を可撓性
体で接合した形態の可変焦点レンズ体およびレンズ体の
駆動・制御機構について記述した。上述したように、こ
れらを組み合わせることにより、小型軽量の可変焦点型
レンズの駆動・制御装置を実現できる。上述のレンズ体
およびその駆動・制御機構は、特に老視などおける焦点
調節能力を補助する自動焦点調節型眼鏡を実現する場合
にその威力を発揮する。図20に、上述のレンズ体やそ
の駆動・制御機構に基づいて製作される自動焦点型眼鏡
の構成の概念図を示した。図20において、自動焦点型
眼鏡200は、可変焦点レンズ体100を、その周辺部
の厚さを制御するための駆動・制御機構250が装備さ
れた眼鏡枠220に組み込んで使用する構成である。可
変焦点レンズの駆動・制御部250は、眼鏡枠220に
装備され、レンズ本体とは独立に製作されている。この
構成により組込みや取り外しを容易に行うことができ
る。このため、レンズ本体や駆動・制御機構の保守が簡
便となる。また、駆動・制御機構250が装備された眼
鏡枠220に対して、異なった焦点調節能力を持った可
変焦点レンズ体100を組み込むことができ、それによ
って個々人に適した自動焦点型眼鏡を提供できる。ま
た、対象物を見ようとする場合の視線移動などから注視
したい対象物までの距離を感知するためのセンサ(例え
ば、眼の側に付けられた視線方向検出センサ260)を
設置することで、それを見るのに適した焦点距離に制御
することにより、眼鏡の取り替えや意図的な視線移動な
しに、明瞭な像が得られるように焦点距離調節を補償で
きる自動焦点型眼鏡を実現することができる。このよう
に、老視や何らかの原因で水晶体の焦点調節能力が損な
われた場合など、人間の視覚における焦点調節能力の低
下を補助し、対象物までの距離に応じて適応的に焦点距
離を調節して明瞭な像が観察できるようにする自動焦点
調節型眼鏡の実現に有効である。
・制御が容易なレンズ体を実現できる。本発明では、レ
ンズ体の内部に充填される透明流動体は封入され、外部
とは完全に遮断されており、流動体の劣化や汚染を避け
ることができる。また、レンズ体自身は独立に製作でき
るので、レンズ焦点調節のための駆動・制御機構とは分
離できる。したがって、レンズ本体およびその駆動・制
御装置の設計・製作が容易となる。焦点距離可変型眼鏡
用に用いる場合には、レンズ体の交換など保守が極めて
簡単に行える。また、小型軽量の可変焦点型レンズの駆
動・制御装置を実現できるので、可変焦点レンズの結像
効果の制御を小型で単純な駆動・制御機構で実現でき
る。
る。
る。
ある。
る。
る。
る。
る。
る。
ある。
ある。
ある。
ある。
ある。
ある。
図である。
す図である。
施例4の構成を示す図である。
た眼鏡の構成を示す図である。
Claims (14)
- 【請求項1】 焦点距離を変化させることができる可変
焦点レンズ体であって、 対向して配置された2枚の透明体と、 前記2枚の透明体間に封入された透明流動体と、 前記2枚の透明体の周辺部を結合する変形可能な部材と
を備え、前記周辺部の間隔、あるいは前記周辺部を結合
する前記部材の形状を変化させることにより、前記透明
体の形状を変化させて光学レンズとしての結像作用を変
化できることを特徴とする可変焦点レンズ体。 - 【請求項2】 請求項1記載の可変焦点レンズ体におい
て、 前記対向する2枚の透明体は、透明弾性膜であり、 前記透明体の周辺部は、事実上剛体と見なせる枠であ
り、 前記2つの剛体枠を接合する部材が可撓性を有し、 前記2つの剛体枠間のレンズ光軸方向間隔が変化できる
ことを特徴とする可変焦点レンズ体。 - 【請求項3】 請求項1記載の可変焦点レンズ体におい
て、 前記対向する2枚の透明体の一方が実質的に剛体と見な
せる材料で、他の一方が弾性体板あるいは弾性体膜で構
成され、 前記対向する2枚の透明体の周辺部を接合する部材が可
撓性を有することを特徴とする可変焦点レンズ体。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の可変焦
点レンズ体において、 前記2枚の透明体の周辺部を接合する部材が可撓性膜で
構成され、 前記対向する2枚の透明体縁部のレンズ光軸方向間隔が
変化できることを特徴とする可変焦点レンズ体。 - 【請求項5】 請求項4記載の可変焦点レンズ体におい
て、前記可撓性膜は、ある特定の方向には自由に伸縮
し、ある特定の方向には伸びない構造であることを特徴
とする可変焦点レンズ体。 - 【請求項6】 請求項1又は2記載の可変焦点レンズ体
において、 前記2枚の透明体の周辺部を結合する変形可能な部材
は、蛇腹状であり、 レンズ光軸方向に対して容易に伸縮できることを特徴と
する可変焦点レンズ体。 - 【請求項7】 請求項1又は2記載の可変焦点レンズ体
において、 前記2枚の透明体の周辺部を結合する部材は、弾性を有
する材料で構成され、 レンズ光軸方向に対して容易に伸縮できることを特徴と
する可変焦点レンズ体。 - 【請求項8】 請求項1〜5のいずれかに記載の可変焦
点レンズ体において、 前記対向する2枚の透明体の周辺部を結合する部材は、
レンズ光軸回りに相対的に回転できるかレンズ光軸に交
差する方向に並進移動できる構成とすることを特徴とす
る可変焦点レンズ体。 - 【請求項9】 請求項1〜7のいずれかに記載の可変焦
点レンズ体を用いた可変焦点レンズ・システムにおい
て、 前記可変焦点レンズ体の前記周辺部の間隔の変化、又は
前記周辺部を結合する前記部材の形状の変化を起こすこ
とができる駆動・制御機構を備え、 前記駆動・制御機構は、前記可変焦点レンズ体を着脱で
きるように構成されていることを特徴とする可変焦点レ
ンズ・システム。 - 【請求項10】 請求項9記載の可変焦点レンズ・シス
テムにおいて、 前記周辺部の間隔を変化させる機構は、前記2枚の透明
体の一方を、他方に対して光軸方向に移動させることを
特徴とする可変焦点レンズ・システム。 - 【請求項11】 請求項9記載の可変焦点レンズ・シス
テムにおいて、 前記周辺部の間隔を変化させる機構は、前記2枚の透明
体の一方を、他方に対して、レンズ光軸回りの回転ずれ
又はレンズ光軸に交差する方向への並進ずれにより、間
隔を変化させることを特徴とする可変焦点レンズ・シス
テム。 - 【請求項12】 請求項9記載の可変焦点レンズ・シス
テムにおいて、 前記周辺部の間隔を変化させる機構は、透明体周辺部を
支持する支持力の光軸方向成分を変化させることを特徴
とする可変焦点レンズ・システム。 - 【請求項13】 請求項9記載の可変焦点レンズ・シス
テムにおいて、 前記周辺部を結合する前記部材の形状を変化させる機構
は、レンズ体側面部周囲に配置され、前記部材を前記レ
ンズ体内部へと押し込むアクチュエータを有することを
特徴とする可変焦点レンズ・システム。 - 【請求項14】 請求項13記載の可変焦点レンズ・シ
ステムにおいて、 前記アクチュエータは、前記部材に巻きつけられた紐状
アクチュエータであり、膨張又は/および長さの収縮の
動作により、前記部材を前記レンズ体内部へと押し込む
ことを特徴とする可変焦点レンズ・システム。
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JP2000057797A JP2001249202A (ja) | 2000-03-02 | 2000-03-02 | 可変焦点レンズ体およびその制御機構 |
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ID=18578501
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