以下、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
以下、図1〜図16を参照して、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置の第1実施形態について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、図1に示すように、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸とする。また、X軸とY軸を含むXY平面が水平となっており、Z軸が鉛直となっている。また、X軸に平行な方向を「X方向(第1の方向)」とも言い、Y軸に平行な方向を「Y方向(第2の方向)」とも言い、Z軸に平行な方向を「Z方向(第3の方向)」とも言う。また、各方向の矢印が向いた方向を「正」、その反対方向を「負」と言う。また、本願明細書で言う「水平」とは、完全な水平に限定されず、電子部品の搬送が阻害されない限り、水平に対して若干(例えば5°未満程度)傾いた状態も含む。また、本願明細書で言う「鉛直」とは、完全な鉛直に限定されず、電子部品の搬送が阻害されない限り、鉛直に対して若干(例えば5°未満程度)傾いた状態も含む。また、図1および図5中の上側、すなわち、Z軸方向正側を「上」または「上方」、下側、すなわち、Z軸方向負側を「下」または「下方」と言うことがある。
本発明の電子部品搬送装置10は、図1に示す外観を有するハンドラーである。図2に示すように、この電子部品搬送装置10は、電子部品であるICデバイス90を搬送する搬送部25と、ICデバイス90を回転させる回転ユニット3と、回転ユニット3(駆動部5、発光部61および受光部62(例えば図3、図6参照))の作動を制御する制御部800と、を備えている。回転ユニット3は、ICデバイス90(電子部品)が載置され、第1回転軸O4A回りに回転する第1回転載置部4Aと、ICデバイス90(電子部品)が載置され、第1回転軸O4Aと平行な第2回転軸O4B回りに回転する第2回転載置部4Bと、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとを同じ回転角度で回転駆動させる駆動部5と、第1回転載置部4Aおよび第2回転載置部4Bに向けて光LT6を発光する発光部61と、発光部61に対向して配置され、光LT6を受光する受光部62と、を備えている。第1回転載置部4Aおよび第2回転載置部4Bは、発光部61と受光部62との間に設けられている。
第1回転載置部4Aは、直線状に延び、互いに交差する2本の溝(第1溝)と、これらの溝の交差部(第1溝の途中)の途中に設けられ、ICデバイス90が収納される収納凹部(第1収納凹部)と、を有している。第2回転載置部4Bは、互いに交差する2本の溝(第2溝)と、これらの溝の交差部(第2溝の途中)の途中に設けられ、ICデバイス90が収納される収納凹部(第2収納凹部)と、を有している。このように、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとは、同じ構成である。従って、第1回転載置部4Aは、直線状に延びる第1溝41および第2溝42と、第1溝41と第2溝42との交差部に設けられ、ICデバイス90(電子部品)が収納される収納凹部43と、を有するものとなっている。同様に、第2回転載置部4Bも、直線状に延びる第1溝41および第2溝42と、第1溝41と第2溝42との交差部に設けられ、ICデバイス90(電子部品)が収納される収納凹部43と、を有するものとなっている。
また、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとは、回転角度によって、光LT6が2つの第1溝41および2つの第2溝42のうちの一方(溝)を経て発光部61から受光部62まで透過する透過状態と、光LT6が遮断される遮断状態とに切り替る。そして、制御部800は、透過状態から遮断状態に切り替わるときと、遮断状態から透過状態に切り替わるときとのうちの少なくとも一方のときの回転角度に基づいて、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとが回転する際の原点角度(原点)、すなわち、回転角度が零度となるスタート位置を設定することができる。
このような本発明によれば、後述するように、この設定された原点角度は、制御部800のメモリー803に記憶される。これにより、原点角度を一定に維持することができる。そして、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとは、原点角度が経時的にズレた場合でも、記憶されている原点角度に戻れば、いつでも、例えば図8に示す状態となる。この状態が得られることにより、例えば第1回転載置部4Aの回転後、デバイス搬送ヘッド13は、ICデバイス90の大きさに関わらず、このICデバイス90を収納凹部43に載置することができる(第2回転載置部4Bについても同様)。
このように、電子部品搬送装置10は、原点角度を自動的に調整し、設定することができる。これにより、例えば、機械的な治具を用いて、手動(手作業)で、原点角度の調整を行なう場合に比べて、その調整時間を大幅に(例えば1/10以下に)短縮することができる。
また、図2に示すように、本発明の電子部品検査装置1は、電子部品搬送装置10を備え、さらに、電子部品を検査する検査部16を備えるテストシステム(test system)である。すなわち、本発明の電子部品検査装置1は、電子部品であるICデバイス90を搬送する搬送部25と、ICデバイス90を回転させる回転ユニット3と、ICデバイス90(電子部品)に対して検査を行なう検査部16と、回転ユニット3(駆動部5、発光部61および受光部62)の作動を制御する制御部800と、を備えている。回転ユニット3は、ICデバイス90(電子部品)が載置され、第1回転軸O4A回りに回転する第1回転載置部4Aと、ICデバイス90(電子部品)が載置され、第1回転軸O4Aと平行な第2回転軸O4B回りに回転する第2回転載置部4Bと、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとを同じ回転角度で回転駆動させる駆動部5と、第1回転載置部4Aおよび第2回転載置部4Bに向けて光LT6を発光する発光部61と、発光部61に対向して配置され、光LT6を受光する受光部62と、を備えている。第1回転載置部4Aおよび第2回転載置部4Bは、発光部61と受光部62との間に設けられている。
そして、第1回転載置部4Aおよび第2回転載置部4Bは、それぞれ、直線状に延びる第1溝41および第2溝42(溝)と、第1溝41と第2溝42との交差部(溝の途中)に設けられ、ICデバイス90(電子部品)が収納される収納凹部43と、を有している。また、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとは、回転角度の大きさによって、光LT6が2つの第1溝41および2つの第2溝42のうちの一方(溝)を経て発光部61から受光部62まで透過する透過状態と、光LT6が遮断される遮断状態とに切り替る。そして、制御部800は、透過状態から遮断状態に切り替わるときと、遮断状態から透過状態に切り替わるときとのうちの少なくとも一方のときの回転角度に基づいて、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとが回転する際の原点角度(原点)、すなわち、回転角度が零度となるスタート位置を設定することができる。
これにより、前述した電子部品搬送装置10の利点を持つ電子部品検査装置1が得られる。また、検査部16にまでICデバイス90を搬送することができ、よって、当該ICデバイス90に対する検査を検査部16で行なうことができる。また、検査後のICデバイス90を検査部16から搬送することができる。
以下、各部の構成について詳細に説明する。
図1、図2に示すように、電子部品搬送装置10を有する電子部品検査装置1は、例えばBGA(Ball Grid Array)パッケージであるICデバイス等の電子部品を搬送し、その搬送過程で電子部品の電気的特性を検査・試験(以下単に「検査」と言う)する装置である。なお、以下では、説明の便宜上、前記電子部品としてICデバイスを用いる場合について代表して説明し、これを「ICデバイス90」とする。ICデバイス90は、本実施形態では、平板状をなすものとなっており、平面視で長方形をなす。なお、ICデバイス90の外形形状は、これに限定されない。
なお、ICデバイスとしては、前記のものの他に、例えば、「LSI(Large Scale Integration)」「CMOS(Complementary MOS)」「CCD(Charge Coupled Device)」や、ICデバイスを複数のモジュールにパッケージ化した「モジュールIC」、また、「水晶デバイス」、「圧力センサー」、「慣性センサー(加速度センサー)」、「ジャイロセンサー」、「指紋センサー」等が挙げられる。
電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)は、トレイ供給領域A1と、デバイス供給領域A2と、検査領域A3と、デバイス回収領域A4と、トレイ除去領域A5とを備え、これらの領域は、後述するように各壁部で分けられている。そして、ICデバイス90は、トレイ供給領域A1からトレイ除去領域A5まで前記各領域を矢印α90方向に順に経由し、途中の検査領域A3で検査が行われる。このように電子部品検査装置1は、各領域を経由するようにICデバイス90を搬送する搬送部25を有する電子部品搬送装置10と、検査領域A3内で検査を行なう検査部16と、産業用コンピューターで構成された制御部800とを備えたものとなっている。また、その他、電子部品検査装置1は、モニター300と、シグナルランプ400と、操作パネル700とを備えている。
なお、電子部品検査装置1は、トレイ供給領域A1、トレイ除去領域A5が配された方、すなわち、図2中の下側が正面側となり、検査領域A3が配された方、すなわち、図2中の上側が背面側として使用される。
また、電子部品検査装置1は、ICデバイス90の種類ごとに交換される「チェンジキット」と呼ばれるものを予め搭載して用いられる。このチェンジキットには、例えば、温度調整部12と、デバイス供給部14と、デバイス回収部18と、回転ユニット3がある。なお、回転ユニット3には、デバイス供給領域A2に配置される回転ユニット(第1回転ユニット)3Aと、デバイス回収領域A4に配置される回転ユニット(第2回転ユニット)3Bとがあり、各ユニットの構成は同じである。また、このようなチェンジキットとは別に、ICデバイス90の種類ごとに交換されるものとしては、例えば、ユーザーが用意するトレイ200と、回収用トレイ19と、検査部16とがある。
トレイ供給領域A1は、未検査状態の複数のICデバイス90が配列されたトレイ200が供給される給材部である。トレイ供給領域A1は、トレイ200を複数積み重ねて搭載可能な搭載領域と言うこともできる。なお、本実施形態では、各トレイ200には、複数の凹部(ポケット)が行列状に配置されている。各凹部には、ICデバイス90を1つずつ収納、載置することができる。
デバイス供給領域A2は、トレイ供給領域A1から搬送されたトレイ200上の複数のICデバイス90がそれぞれ検査領域A3まで搬送、供給される領域である。なお、トレイ供給領域A1とデバイス供給領域A2とをまたぐように、トレイ200を1枚ずつ水平方向に搬送するトレイ搬送機構11A、トレイ搬送機構11Bが設けられている。トレイ搬送機構11Aは、搬送部25の一部であり、トレイ200を、当該トレイ200に載置されたICデバイス90ごとY方向の正側、すなわち、図2中の矢印α11A方向に移動させることができる。これにより、ICデバイス90を安定してデバイス供給領域A2に送り込むことができる。また、トレイ搬送機構11Bは、空のトレイ200をY方向の負側、すなわち、図2中の矢印α11B方向に移動させることができる。これにより、空のトレイ200をデバイス供給領域A2からトレイ供給領域A1に移動させることができる。
デバイス供給領域A2には、温度調整部(ソークプレート(英語表記:soak plate、中国語表記(一例):均温板))12と、回転ユニット3A(回転ユニット3)と、デバイス搬送ヘッド13と、トレイ搬送機構15とが設けられている。また、デバイス供給領域A2と検査領域A3とをまたぐように移動するデバイス供給部14も設けられている。
温度調整部12は、複数のICデバイス90が載置され、当該載置されたICデバイス90を一括して加熱または冷却することができる「ソークプレート」と呼ばれる。このソークプレートにより、検査部16で検査される前のICデバイス90を予め加熱または冷却して、当該検査(高温検査や低温検査)に適した温度に調整することができる。
このような載置部としての温度調整部12は、固定されている。これにより、当該温度調整部12上でのICデバイス90に対して安定して温度調整することができる。
また、温度調整部12は、グランドされて(接地されて)いる。
図2に示す構成では、温度調整部12は、Y方向に2つ配置、固定されている。そして、トレイ搬送機構11Aによってトレイ供給領域A1から搬入されたトレイ200上のICデバイス90は、いずれかの温度調整部12まで搬送される。
デバイス搬送ヘッド13は、ICデバイス90を把持するものであり、デバイス供給領域A2内でX方向およびY方向に移動可能に支持され、さらにZ方向にも移動可能に支持されている。このデバイス搬送ヘッド13は、搬送部25の一部でもあり、トレイ供給領域A1から搬入されたトレイ200と温度調整部12との間のICデバイス90の搬送と、温度調整部12と回転ユニット3Aとの間のICデバイス90の搬送と、回転ユニット3Aとデバイス供給部14との間のICデバイス90の搬送とを担うことができる。なお、図2中では、デバイス搬送ヘッド13のX方向の移動を矢印α13Xで示し、デバイス搬送ヘッド13のY方向の移動を矢印α13Yで示している。
回転ユニット3Aは、温度調整部12で温度調整されたICデバイス90が載置され、当該ICデバイス90を回転させるものである。これにより、ICデバイス90に対して方向転換を行なうことができる。回転ユニット3Aの構成については、後述する。なお、回転ユニット3Aも、温度調整部12と同様に、グランドされている。
デバイス供給部14は、回転ユニット3Aで方向転換されたICデバイス90が載置され、当該ICデバイス90を検査部16近傍まで搬送することができる「供給用シャトルプレート」または単に「供給シャトル」と呼ばれるものである。このデバイス供給部14も、搬送部25の一部となり得る。このデバイス供給部14は、ICデバイス90が収納、載置される凹部(ポケット)を有している。
また、デバイス供給部14は、デバイス供給領域A2と検査領域A3との間をX方向、すなわち、矢印α14方向に往復移動可能(移動可能)に支持されている。これにより、デバイス供給部14は、ICデバイス90をデバイス供給領域A2から検査領域A3の検査部16近傍まで安定して搬送することができ、また、検査領域A3でICデバイス90がデバイス搬送ヘッド17によって取り去られた後は再度デバイス供給領域A2に戻ることができる。
図2に示す構成では、デバイス供給部14は、Y方向に2つ配置されており、Y方向負側のデバイス供給部14を「デバイス供給部14A」と言い、Y方向正側のデバイス供給部14を「デバイス供給部14B」と言うことがある。そして、温度調整部12上のICデバイス90は、デバイス供給領域A2内で、回転ユニット3Aを経由して、デバイス供給部14Aまたはデバイス供給部14Bまで搬送される。また、デバイス供給部14は、温度調整部12と同様に、当該デバイス供給部14に載置されたICデバイス90を加熱または冷却可能に構成されている。これにより、温度調整部12で温度調整されたICデバイス90に対して、その温度調整状態を維持して、検査領域A3の検査部16近傍まで搬送することができる。また、デバイス供給部14も、温度調整部12と同様に、グランドされている。
なお、回転ユニット3Aは、図2に示す構成ではデバイス供給部14Aとデバイス供給部14Bとの間に配置されているが、この配置箇所には限定されない。
トレイ搬送機構15は、全てのICデバイス90が除去された状態の空のトレイ200をデバイス供給領域A2内でX方向の正側、すなわち、矢印α15方向に搬送する機構である。そして、この搬送後、空のトレイ200は、トレイ搬送機構11Bによってデバイス供給領域A2からトレイ供給領域A1に戻される。
検査領域A3は、ICデバイス90を検査する領域である。この検査領域A3には、ICデバイス90に対して検査を行なう検査部16と、デバイス搬送ヘッド17とが設けられている。
デバイス搬送ヘッド17は、搬送部25の一部であり、温度調整部12と同様に、把持したICデバイス90を加熱または冷却可能に構成されている。これにより、前記温度調整状態が維持されたICデバイス90を把持して、前記温度調整状態を維持したまま、ICデバイス90を検査領域A3内で搬送することができる。
このようなデバイス搬送ヘッド17は、検査領域A3内でY方向およびZ方向に往復移動可能に支持され、「インデックスアーム」と呼ばれる機構の一部となっている。これにより、デバイス搬送ヘッド17は、デバイス供給領域A2から搬入されたデバイス供給部14から、ICデバイス90を持ち上げて、検査部16上に搬送し、載置することができる。
なお、図2中では、デバイス搬送ヘッド17のY方向の往復移動を矢印α17Yで示している。そして、デバイス搬送ヘッド17は、検査領域A3内で、ICデバイス90のデバイス供給部14Aから検査部16への搬送と、ICデバイス90のデバイス供給部14Bから検査部16への搬送とを担うことができる。また、デバイス搬送ヘッド17は、Y方向に往復移動可能に支持されているが、これに限定されず、X方向にも往復移動可能に支持されていてもよい。
また、本実施形態では、デバイス搬送ヘッド17は、Y方向に2つ配置されている(図2参照)。以下、Y方向負側のデバイス搬送ヘッド17を「デバイス搬送ヘッド17A」と言い、Y方向正側のデバイス搬送ヘッド17を「デバイス搬送ヘッド17B」と言うことがある。デバイス搬送ヘッド17Aは、検査領域A3内で、ICデバイス90のデバイス供給部14Aから検査部16への搬送を担うことができ、デバイス搬送ヘッド17Bは、検査領域A3内で、ICデバイス90のデバイス供給部14Bから検査部16への搬送を担うことができる。また、デバイス搬送ヘッド17Aは、検査領域A3内で、ICデバイス90の検査部16からデバイス回収部18Aへの搬送を担うことができ、デバイス搬送ヘッド17Bは、検査領域A3内で、検査部16からデバイス回収部18Bへの搬送を担うことができる。
検査部16(ソケット)は、電子部品であるICデバイス90を載置して、当該ICデバイス90の電気的特性を検査することができる。検査部16は、ICデバイス90が収納、載置される凹部を有し、その凹部内に複数のプローブピン(図示せず)が設けられている。そして、ICデバイス90の端子とプローブピンとが導電可能に接続される、すなわち、接触することにより、ICデバイス90の検査を行なうことができる。ICデバイス90の検査は、検査部16に接続されるテスターが備える検査制御部に記憶されているプログラムに基づいて行われる。
このような検査部16は、温度調整部12と同様に、ICデバイス90を加熱または冷却して、当該ICデバイス90を検査に適した温度に調整することができる。
デバイス回収領域A4は、検査領域A3で検査され、その検査が終了した複数のICデバイス90が回収される領域である。このデバイス回収領域A4には、回転ユニット3B(回転ユニット3)と、回収用トレイ19と、デバイス搬送ヘッド20と、トレイ搬送機構21とが設けられている。また、検査領域A3とデバイス回収領域A4とをまたぐように移動するデバイス回収部18も設けられている。また、デバイス回収領域A4には、空のトレイ200も用意されている。
デバイス回収部18は、検査部16で検査が終了したICデバイス90が載置され、当該ICデバイス90をデバイス回収領域A4まで搬送する「回収用シャトルプレート」または単に「回収シャトル」と呼ばれる。このデバイス回収部18も、搬送部25の一部となり得る。
また、デバイス回収部18は、検査領域A3とデバイス回収領域A4との間をX方向、すなわち、矢印α18方向に沿って往復移動可能に支持されている。また、図2に示す構成では、デバイス回収部18は、デバイス供給部14と同様に、Y方向に2つ配置されており、Y方向負側のデバイス回収部18を「デバイス回収部18A」と言い、Y方向正側のデバイス回収部18を「デバイス回収部18B」と言うことがある。そして、検査部16上のICデバイス90は、デバイス回収部18Aまたはデバイス回収部18Bに搬送され、載置される。そして、デバイス搬送ヘッド17は、検査領域A3内で、ICデバイス90の検査部16からデバイス回収部18Aへの搬送と、ICデバイス90の検査部16からデバイス回収部18Bへの搬送とを担うことができる。また、デバイス回収部18も、温度調整部12やデバイス供給部14と同様に、グランドされている。
回転ユニット3Bは、デバイス回収部18から搬送されてくる検査後のICデバイス90が載置され、当該ICデバイス90を回転させるものである。これにより、ICデバイス90に対して方向転換を行なうことができる。このとき、ICデバイス90の方向は、回転ユニット3Aで方向転換される前の状態に戻される。回転ユニット3Bの構成については、後述する。なお、回転ユニット3Bも、温度調整部12と同様に、グランドされている。
回収用トレイ19は、回転ユニット3Bで方向転換されたICデバイス90が載置され、デバイス回収領域A4内で移動しないよう固定されている。これにより、デバイス搬送ヘッド20等の各種可動部が比較的多く配置されたデバイス回収領域A4であっても、回収用トレイ19上では、検査済みのICデバイス90が安定して載置されることとなる。なお、図2に示す構成では、回収用トレイ19は、X方向に沿って3つ配置されている。
また、空のトレイ200も、X方向に沿って3つ配置されている。この空のトレイ200も、回転ユニット3Bで方向転換されたICデバイス90が載置される。そして、デバイス回収領域A4に移動してきたデバイス回収部18上のICデバイス90は、回転ユニット3Bを経由して、回収用トレイ19および空のトレイ200のうちのいずれかに搬送され、載置される。これにより、ICデバイス90は、検査結果ごとに分類されて、回収されることとなる。
デバイス搬送ヘッド20は、デバイス回収領域A4内でX方向およびY方向に移動可能に支持され、さらにZ方向にも移動可能な部分を有している。このデバイス搬送ヘッド20は、搬送部25の一部であり、デバイス回収部18と回転ユニット3Bとの間のICデバイス90の搬送と、回転ユニット3Bと回収用トレイ19との間のICデバイス90の搬送と、回転ユニット3Bと空のトレイ200との間のICデバイス90の搬送とを担うことができる。なお、図2中では、デバイス搬送ヘッド20のX方向の移動を矢印α20Xで示し、デバイス搬送ヘッド20のY方向の移動を矢印α20Yで示している。
トレイ搬送機構21は、トレイ除去領域A5から搬入された空のトレイ200をデバイス回収領域A4内でX方向、すなわち、矢印α21方向に搬送する機構である。そして、この搬送後、空のトレイ200は、ICデバイス90が回収される位置に配されることとなる、すなわち、前記3つの空のトレイ200のうちのいずれかとなり得る。
トレイ除去領域A5は、検査済み状態の複数のICデバイス90が配列されたトレイ200が回収され、除去される除材部である。トレイ除去領域A5では、多数のトレイ200を積み重ねることができる。
また、デバイス回収領域A4とトレイ除去領域A5とをまたぐように、トレイ200を1枚ずつY方向に搬送するトレイ搬送機構22A、トレイ搬送機構22Bが設けられている。トレイ搬送機構22Aは、搬送部25の一部であり、トレイ200をY方向、すなわち、矢印α22A方向に往復移動させることができる。これにより、検査済みのICデバイス90をデバイス回収領域A4からトレイ除去領域A5に搬送することができる。また、トレイ搬送機構22Bは、ICデバイス90を回収するための空のトレイ200をY方向の正側、すなわち、矢印α22B方向に移動させることができる。これにより、空のトレイ200をトレイ除去領域A5からデバイス回収領域A4に移動させることができる。
制御部800は、例えば、トレイ搬送機構11Aと、トレイ搬送機構11Bと、温度調整部12と、デバイス搬送ヘッド13と、デバイス供給部14と、トレイ搬送機構15と、検査部16と、デバイス搬送ヘッド17と、デバイス回収部18と、デバイス搬送ヘッド20と、トレイ搬送機構21と、トレイ搬送機構22Aと、トレイ搬送機構22Bと、後述する回転ユニット3の駆動部5のモーター51、検出部6の発光部61および受光部62の作動を制御することができる。この制御部800は、例えば、本実施形態では、少なくとも1つのプロセッサー802(at least one processor)と、少なくとも1つのメモリー803とを有している(図2参照)。プロセッサー802は、メモリー803に記憶されている各種情報(例えば、判断用プログラム、指示・命令用プログラム等)を読み込み、判断や指令(命令)を実行することができる。
また、制御部800は、電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)に内蔵されていてもよいし、外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。この外部機器は、例えば、電子部品検査装置1とケーブル等を介して通信される場合、無線通信される場合、電子部品検査装置1とネットワーク(例えばインターネット)を介して接続されている場合等がある。
オペレーターは、モニター300を介して、電子部品検査装置1の動作条件等を設定したり、確認したりすることができる。このモニター300は、例えば液晶画面で構成された表示画面301を有し、電子部品検査装置1の正面側上部に配置されている。図1に示すように、トレイ除去領域A5の図中の右側には、マウスを載置するマウス台600が設けられている。このマウスは、モニター300に表示された画面を操作する際に用いられる。
また、モニター300に対して図1の右下方には、操作パネル700が配置されている。操作パネル700は、モニター300とは別に、電子部品検査装置1に所望の動作を命令するものである。
また、シグナルランプ400は、発光する色の組み合わせにより、電子部品検査装置1の作動状態等を報知することができる。シグナルランプ400は、電子部品検査装置1の上部に配置されている。なお、電子部品検査装置1には、スピーカー500が内蔵されており、このスピーカー500によっても電子部品検査装置1の作動状態等を報知することもできる。
電子部品検査装置1は、トレイ供給領域A1とデバイス供給領域A2との間が第1隔壁231によって区切られており、デバイス供給領域A2と検査領域A3との間が第2隔壁232によって区切られており、検査領域A3とデバイス回収領域A4との間が第3隔壁233によって区切られており、デバイス回収領域A4とトレイ除去領域A5との間が第4隔壁234によって区切られている。また、デバイス供給領域A2とデバイス回収領域A4との間も、第5隔壁235によって区切られている。
電子部品検査装置1は、最外装がカバーで覆われており、当該カバーには、例えばフロントカバー241、サイドカバー242、サイドカバー243、リアカバー244、トップカバー245がある。
前述したように、回転ユニット3には、デバイス供給領域A2に配置されている回転ユニット3Aと、デバイス回収領域A4に配置されている回転ユニット3Bとがある。回転ユニット3Aと、回転ユニット3Bとは、配置箇所が異なること以外は同じ構成であるため、以下、1つの回転ユニット3について代表的に説明する。
図3、図4に示すように、回転ユニット3は、ICデバイス90を回転させて(回動させて)、平面視でのICデバイス90の方向を転換するものである。平面視で長方形をなすICデバイス90は、例えば図3に示す状態では、長辺方向がY方向と平行となっており、短辺方向がX方向と平行となっている(以下ICデバイス90のこの状態(姿勢)を「第1状態」と言う)。そして、この状態から回転ユニット3が作動することにより、ICデバイス90は、方向転換されて、図4に示す状態となる。図4に示す状態では、ICデバイス90は、長辺方向がX方向と平行となり、短辺方向がY方向と平行となる(以下ICデバイス90のこの姿勢(状態)を「第2状態」と言う)。
ICデバイス90に対して方向転換する目的としては、種々あるが、例えば、次に述べる目的が挙げられる。例えば、ICデバイス90は、トレイ200上では第1状態となって載置されているが、検査部16で検査を行なうに際して、第2状態として、検査部16に載置する必要がある。このような場合に、ICデバイス90の搬送途中で、第1状態から第2状態に方向転換することとなる。
図3、図4に示すように、回転ユニット3は、ICデバイス90が載置される第1回転載置部(第1回転ステージ)4Aと、ICデバイス90が載置される第2回転載置部(第2回転ステージ)4Bと、ICデバイス90が載置される第3回転載置部(第3回転ステージ)4Cと、ICデバイス90が載置される第4回転載置部(第4回転ステージ)4Dと、各回転載置部でのICデバイス90の姿勢を検出する検出部6とを備えている。また、図6に示すように、回転ユニット3は、前記各回転載置部を回転駆動させる駆動部5も備えている。
第1回転載置部4Aと、第2回転載置部4Bと、第3回転載置部4Cと、第4回転載置部4Dとは、XY平面上で、2行2列の行列状に配置されている。本実施形態では、第1回転載置部4Aに対して、第2回転載置部4BがX方向正側に隣り合って配置され、第3回転載置部4CがY方向正側に隣り合って配置されている。また、第3回転載置部4Cに対して、第4回転載置部4DがX方向正側に隣り合って配置されている。なお、隣り合う回転載置部同士のピッチ(中心間距離)は、同じであるのが好ましいが、異なっていてもよい。
また、回転ユニット3における回転載置部の配置数は、本実施形態では4つであるが、これに限定されず、1つ、2つ、3つまたは5つ以上であってもよい。また、回転載置部の配置態様、すなわち、X方向およびY方向の各方向にいくつ配置するかについても任意とすることができる。
第1回転載置部4Aは、円板状をなし、Z方向と平行な第1回転軸O4A回りに回転可能に支持されている。第1回転軸O4Aは、平面視で第1回転載置部4Aの中心を通っているのが好ましい。
第2回転載置部4Bは、円板状をなし、第1回転軸O4Aと平行な(Z方向と平行な)第2回転軸O4B回りに回転可能に支持されている。第2回転軸O4Bは、平面視で第2回転載置部4Bの中心を通っているのが好ましい。
第3回転載置部4Cは、円板状をなし、第1回転軸O4Aと平行な(Z方向と平行な)第3回転軸O4C回りに回転可能に支持されている。第3回転軸O4Cは、平面視で第3回転載置部4Cの中心を通っているのが好ましい。
第4回転載置部4Dは、円板状をなし、第1回転軸O4Aと平行な(Z方向と平行な)第4回転軸O4D回りに回転可能に支持されている。第4回転軸O4Dは、平面視で第4回転載置部4Dの中心を通っているのが好ましい。
第1回転載置部4Aと、第2回転載置部4Bと、第3回転載置部4Cと、第4回転載置部4Dとは、配置箇所が異なること以外は、同じ構成であるため、第1回転載置部4Aについて代表的に説明する。
図3、図4に示すように、第1回転載置部4Aは、直線状をなす第1溝41と、第1溝41と交差し、連通する直線状をなす第2溝42とを有している。なお、第1溝41と第2溝42とは、本実施形態では直交であるが、これに限定さない。
第1溝41の幅と第2溝42の幅とは、本実施形態では同じであるが、これに限定されず、異なっていてもよい。また、第1溝41の深さと第2溝42の深さも、本実施形態では同じであるが、これに限定されず、異なっていてもよい。
第1回転載置部4Aに形成される溝の形成数は、本実施形態では第1溝41および第2溝42の合計2本であるが、これに限定されず、例えば、1本または3本以上であってもよい。
また、図3、図4に示すように、第1回転載置部4Aは、ICデバイス90が収納、載置される収納凹部43を有している。収納凹部43は、各溝の途中、すなわち、第1溝41と第2溝42との交差部に設けられている。収納凹部43は、ICデバイス90の外形形状に対応して形成されている。また、収納凹部43は、平面視で第1溝41および第2溝42のいずれの溝の幅よりも大きく形成されている。図5に示すように、収納凹部43は、第1溝41および第2溝42に連通しており、第1溝41および第2溝42の底部よりも深い位置に形成されている。
図6に示すように、駆動部5は、第1回転載置部4Aと、第2回転載置部4Bと、第3回転載置部4Cと、第4回転載置部4Dとを同じ方向に、かつ、同じ回転角度で一括して回転駆動させるものである。駆動部5は、モーター51と、モーター51のローター511に連結されたプーリー52と、第1回転載置部4A〜第4回転載置部4Dの各回転載置部の裏側(下側)に連結されたプーリー53と、これらのプーリー53とプーリー52とに一括して掛け回されたタイミングベルト54と、タイミングベルト54に張力を付与する2つのテンショナー55とを有している。
モーター51は、第1回転載置部4A〜第4回転載置部4Dに対して、X方向正側に配置されている。このモーター51としては、特に限定されず、例えば、各種のモーターを用いることができるが、これらの中でも、特に、エンコーダーを内蔵したパルスモーターを用いるのが好ましい。これにより、モーター51で検出されるエンコーダー値に基づいて、回転角度を求めることができる。
第1回転載置部4Aに連結されているプーリー53は、第1回転軸O4Aと同心的に配置されている。第2回転載置部4Bに連結されているプーリー53は、第2回転軸O4Bと同心的に配置されている。第3回転載置部4Cに連結されているプーリー53は、第3回転軸O4Cと同心的に配置されている。第4回転載置部4Dに連結されているプーリー53は、第4回転軸O4Dと同心的に配置されている。
各テンショナー55は、モーター51とプーリー53との間に配置されている。
このような構成の駆動部5では、モーター51が作動することにより、その回転力がタイミングベルト54を介して、各プーリー53に伝達される。これにより、第1回転載置部4A〜第4回転載置部4Dは、それぞれ、プーリー53ごと回転することができる。
なお、駆動部5は、本実施形態では第1回転載置部4A〜第4回転載置部4Dを一括して回転させるよう構成されているが、これに限定されず、第1回転載置部4A〜第4回転載置部4Dをそれぞれ独立して、すなわち、個別に回転させるよう構成されていてもよい。
図3、図4に示すように、検出部6は、第1回転載置部4A〜第4回転載置部4Dの各回転載置部でのICデバイス90の姿勢(収納凹部43内での浮き)、すなわち、XY平面に対する傾きを検出するものである。検出部6は、2組の光LT6を発光する発光部61と、光LT6を受光する受光部62とを有している。これら2組のうち、一方の組の発光部61と受光部62とは、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとを介して対向配置され、他方の組の発光部61と受光部62とは、第3回転載置部4Cと第4回転載置部4Dとを介して対向配置されている。各組の発光部61と受光部62とは、配置箇所が異なること以外は、同じ構成であるため、前記一方の組の発光部61と受光部62とについて説明する。
図5に示すように、発光部61は、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとに対して、X方向負側から光LT6を照射する照射部である。発光部61としては、特に限定されず、例えば、レーザー光を発光するレーザーダイオードを有するファイバーセンサー等を用いることができる。
受光部62は、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとを介して、発光部61に対向して配置されており、発光部61から発せられた光LT6を受光することができる。受光部62としては、特に限定されず、例えば、レーザー光を受光するフォトダイオードを有するファイバーセンサー等を用いることができる。
このような構成の検出部6では、例えば、図5に示すように、第1回転載置部4Aの収納凹部43にICデバイス90が水平に載置された状態で、発光部61からの光LT6が、第1回転載置部4Aの第1溝41と、第2回転載置部4Bの第1溝41とを順に通過して、受光部62で受光された場合には、ICデバイス90の姿勢が正しい、すなわち、デバイス供給領域A2内でICデバイス90がデバイス搬送ヘッド13によって把持可能な状態にあると検出される。
これに対し、第1回転載置部4Aの収納凹部43に載置されたICデバイス90がXY平面に対して傾斜している状態では、発光部61からの光LT6がICデバイス90で遮断される。この場合、光LT6を受光部62で受光することができず、ICデバイス90の姿勢は不適当、すなわち、ICデバイス90に対するデバイス搬送ヘッド13の把持が不可能となるおそれがあると検出される。
前述したように、第1回転載置部4Aは、第1回転軸O4A回りに回転することができ、第2回転載置部4Bは、第2回転軸O4B回りに回転することができる。そして、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとは、いずれも、回転する際には、原点角度(回転角度が零度となるスタート位置)を一定に維持する必要がある。この原点角度は、第1回転載置部4Aや第2回転載置部4Bを連続的または断続的に継続して回転させていくと、例えばタイミングベルト54の劣化や摩耗等の各種諸条件によって、経時的にズレていくおそれがある。この場合、例えば第1回転載置部4Aの回転後に、デバイス搬送ヘッド13がICデバイス90を収納凹部43に載置するのが困難となるおそれがある(第2回転載置部4Bについても同様)。
電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)では、原点角度の自動調整(再調整)が可能に構成されている。以下、この構成および作用について説明する。なお、原点角度の調整を行なうタイミングとしては、特に限定されず、例えば、通常のロット完了時やチェンジキット交換時等、任意のタイミングで行なうことができる。また、原点角度の調整時には、前記他方の組の発光部61および受光部62は使用しない。
第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとは、収納凹部43にICデバイス90が載置されていない状態で、回転角度の大きさによって、光LT6が透過する透過状態と、光LT6が遮断される遮断状態とに切り替る。透過状態は、図8、図10、図12に示すように、光LT6が、第1回転載置部4Aの第1溝41と、第2回転載置部4Bの第1溝41とを順に介して、発光部61から受光部62まで透過する状態である。原点角度では、透過状態となる。また、遮断状態は、図7、図9、図11に示すように、透過状態が遮断される状態である。透過状態であるか、または、遮断状態であるかの判断は、受光部62での光LT6の受光の有無によって判断される。
そして、制御部800は、後述するように、透過状態と遮断状態とに切り替わるときの回転角度に基づいて、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとが回転する際の原点角度を設定することができる。
図7に示す状態では、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとは、回転が停止しており、原点角度がズレて、遮断状態となっている。
次いで、図8に示すように、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとは、反時計回りである矢印α4方向(第1方向)に回転し、透過状態となったら、回転が停止する。なお、この回転停止は、透過状態となった直後であってもよいし、透過状態となってから所定時間(透過状態が依然として維持される程度の時間)経過後であってもよい。なお、図8では、一例として、光LT6の光軸が、第1回転載置部4Aの第1溝41の中心軸と、第2回転載置部4Bの第1溝41の中心軸とを通っている、すなわち、各中心軸に重なっている。また、制御部800は、この停止状態での回転角度をメモリー803に記憶する。
次いで、図9に示すように、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとは、時計回りである矢印β4方向(第2方向)に回転し、光LT6が第1回転載置部4Aの外周部44で遮断されて遮断状態となった直後に、回転が停止する。
次いで、図10に示すように、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとは、矢印α4方向に回転し、透過状態となった直後に、回転が停止する。そして、制御部800は、この停止状態での、図8に示す状態からの回転角度(変位量)を第1角度θ1として、メモリー803に記憶する。
次いで、図11に示すように、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとは、矢印α4方向にさらに回転し、光LT6が第1回転載置部4Aの外周部44で再度遮断されて遮断状態となった直後に、回転が停止する。
次いで、図12に示すように、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとは、矢印β4方向に回転し、透過状態となった直後に、回転が停止する。そして、制御部800は、この停止状態での、図8に示す状態からの回転角度(変位量)を第2角度θ2として、メモリー803に記憶する。
以上のように、制御部800は、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとが矢印α4方向(第1方向)に回転して、遮断状態から透過状態に切り替わるときの回転角度を第1角度θ1として記憶する。また、制御部800は、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとが矢印α4方向(第1方向)とは反対の矢印β4方向(第2方向)に回転して、遮断状態から透過状態に切り替わるときの回転角度を第2角度θ2として記憶する。
そして、制御部800は、第1角度θ1と第2角度θ2とに基づいて、原点角度(原点)を設定する。すなわち、本実施形態では、制御部800は、第1角度θ1と第2角度θ2との平均値を原点角度(原点)として設定する。この設定された原点角度は、メモリー803に記憶される。これにより、原点角度を一定に維持することができる。
これにより、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとは、原点角度が経時的にズレた場合でも、メモリー803に記憶されている原点角度に戻れば、いつでも、前記で一例として挙げた図8に示す状態となる。この状態が得られることにより、例えば第1回転載置部4Aの回転後、デバイス搬送ヘッド13は、ICデバイス90の大きさに関わらず、このICデバイス90を収納凹部43に載置することができる(第2回転載置部4B〜第4回転載置部4Dについても同様)。
このように、電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)は、原点角度を自動的に調整し、設定することができる。これにより、例えば、機械的な治具を用いて、手動(手作業)で、原点角度の調整を行なう場合に比べて、その調整時間を大幅に(例えば1/10以下に)短縮することができる。
また、原点角度としては、本実施形態では第1角度θ1と第2角度θ2との平均値を用いているが、これに限定されず、例えば、使用環境(明るさ)等の諸条件に応じて、各角度に係数を乗じた値の平均値を用いてもよい。
また、原点角度として、第1角度θ1と第2角度θ2との平均値を用いることにより、原点角度を迅速に演算することができ、また、原点角度が第1溝41の幅の大小の影響を受けるのを防止することもできる。
また、原点角度は、本実施形態では2つの回転角度(第1角度θ1および第2角度θ2)に基づいて算出される値であるが、これに限定されず、1つの回転角度または3つ以上の回転角度に基づいて算出される値であってもよい。
また、制御部800は、本実施形態では遮断状態から透過状態に切り替わるときのタイミングに基づいて原点角度を求めているが、これに限定されず、例えば、透過状態から遮断状態に切り替わるときのタイミングに基づいて原点角度を求めてもよいし、遮断状態から透過状態に切り替わるときと、透過状態から遮断状態に切り替わるときとの双方のタイミングに基づいて原点角度を求めてもよい。
また、前述したように、発光部61と受光部62とは、ICデバイス90の姿勢を検出するのに用いられることの他、原点角度を調整するのにも用いられている。すなわち、発光部61と受光部62とは、ICデバイス90の姿勢検出機能と、原点角度の調整機能とを兼ねている。本実施形態では、これに限定されず、ICデバイス90の姿勢検出機能を有するものと、原点角度の調整機能を有するものとをそれぞれ個別に設けてもよい。
次に、原点角度の調整を行なう際の制御プログラムを、図13〜図15に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとの回転が停止した状態で、透過状態であるか否かを判断する(ステップS101)。
ステップS101において透過状態ではない、すなわち、図7に示す状態と判断した場合には、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとが透過状態となるまで、これらの回転載置部を矢印α4方向(第1方向)に回転させて(ステップS102、ステップS103)、その後回転を停止させる(ステップS104)。これにより、図8に示す状態となる。
次いで、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとが遮断状態となるまで、これらの回転載置部を矢印β4方向(第2方向)に回転させて(ステップS105、ステップS106)、その後回転を停止させる(ステップS107)。これにより、図9に示す状態となる。
また、ステップS101において透過状態であると判断した場合には、ステップS105に進み、以後、それより下位のステップを順次実行する。
そして、ステップS107の実行後、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとが透過状態となるまで、これらの回転載置部を矢印α4方向(第1方向)に回転させて(ステップS108、ステップS109)、その後回転を停止させる(ステップS110)。これにより、図10に示す状態となる。
次いで、第1角度θ1をメモリー803に記憶する(ステップS111)。
次いで、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとが遮断状態となるまで、これらの回転載置部を矢印α4方向(第1方向)に回転させて(ステップS112、ステップS113)、その後回転を停止させる(ステップS114)。これにより、図11に示す状態となる。
次いで、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとが透過状態となるまで、これらの回転載置部を矢印β4方向(第2方向)に回転させて(ステップS115、ステップS116)、その後回転を停止させる(ステップS117)。これにより、図12に示す状態となる。
次いで、第2角度θ2をメモリー803に記憶する(ステップS118)。
次いで、原点角度(原点)としての、第1角度θ1と第2角度θ2との平均値を演算し(ステップS119)、その演算された数値を原点角度(原点)として用いることができるのかの旨の報知を行なう(ステップS120)。なお、ステップS120の報知方法としては、例えば、モニター300(表示画面301)での画像による報知、シグナルランプ400での発光色の組み合わせによる報知、スピーカー500での音声による報知、または、これらの報知態様の組み合わせが挙げられる。
次いで、ステップS119で演算された数値を原点角度(原点)として用いることができると判断されたら(ステップS121)、その数値をメモリー803に記憶する(ステップS122)。
一方、ステップS121で、ステップS119で演算された数値を原点角度として用いることができないと判断された場合には、第1回転載置部4Aと第2回転載置部4Bとを予め設定されている所定の回転角度(例えば90度)分だけ、矢印β4方向(第2方向)に回転させて(ステップS123)、その後回転を停止させる(ステップS124)。ステップS124の実行後、ステップS101に戻り、それより下位のステップを順次実行する。
以上のような制御プログラムを実行することにより、原点角度の調整および設定を迅速に行なうことができる。
また、電子部品検査装置1では、デバイス供給領域A2側の回転ユニット3Aと、デバイス回収領域A4側の回転ユニット3Bとにおける作動条件を選択する(設定する)ことができる。その選択画像(選択ウィンドウ)7は、図16に示すように、モニター300に表示される。選択画像7には、回転ユニット3Aの作動条件(使用条件)を設定する第1設定部71Aと、回転ユニット3Bの作動条件(使用条件)を設定する第2設定部71Bとが含まれている。
第1設定部71Aおよび第2設定部71Bの各設定部には、回転ユニット3(回転ユニット3Aまたは回転ユニット3B)を作動させる(使用する)か否かを選択する第1設定ボタン72と、原点角度として既に記憶されている原点角度を使用するか否かを選択する第2設定ボタン73と、原点角度の調整を実行するか否かを選択する第3設定ボタン74と、第1設定ボタン72〜第3設定ボタン74の選択状態を保存するか否かを選択する第4設定ボタン75とが含まれている。
このような選択画像7により、電子部品検査装置1が回転ユニット3Aおよび回転ユニット3Bに関してどのような状態となっているのかを視覚により確認することができる。
以上、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、電子部品搬送装置および電子部品検査装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
なお、電子部品搬送装置(電子部品検査装置)でのICデバイスの搬送経路は、前記実施形態では回転ユニット3を経由する経路となっているが、これに限定されず、例えば、ICデバイスの種類によっては、回転ユニットの経由を省略する経路となる場合もある。