以下、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
以下、図1〜図9を参照して、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置の第1実施形態について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、図1〜図8および図10〜図12に示すように、互いに直交する3軸をX軸(第1軸)、Y軸(第2軸)およびZ軸(第3軸)とする。また、X軸とY軸を含むXY平面が水平となっており、Z軸が鉛直となっている。また、X軸に平行な方向を「X軸方向」とも言い、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」とも言い、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」とも言う。また、各方向の矢印が向いた方向を「正」、その反対方向を「負」と言う。また、本願明細書で言う「水平」とは、完全な水平に限定されず、電子部品の搬送が阻害されない限り、水平に対して若干(例えば±5°未満程度)傾いた状態も含む。また、図1および図2中の上側、すなわち、Z軸方向正側を「上」または「上方」、下側、すなわち、Z軸方向負側を「下」または「下方」と言うことがある。また、図1〜図8および図10〜図12の左側、すなわち、X軸方向負側を「左」または「左方」、同図中の右側、すなわち、X軸方向正側を「右」または「右方」と言うことがある。
本発明の電子部品搬送装置(electronic component handler)10は、図1に示す外観を有するハンドラーである。また、図2に示すように、本発明の電子部品検査装置(electronic component tester)1は、電子部品搬送装置10を備え、さらに、電子部品を検査する検査部16を備える。
以下、各部の構成について詳細に説明する。
図1、図2に示すように、電子部品搬送装置10を備える電子部品検査装置1は、例えばBGA(Ball Grid Array)パッケージであるICデバイス等の電子部品を搬送し、その搬送過程で電子部品の電気的特性を検査・試験(以下単に「検査(test)」と言う)する装置である。なお、以下では、説明の便宜上、前記電子部品としてICデバイスを用いる場合について代表して説明し、これを「ICデバイス90」とする。ICデバイス90は、本実施形態では、一例として、平板状をなし、その平面視で長方形のものとなっている。なお、ICデバイス90の平面視での形状は、長方形に限定されず、例えば、正方形等のような他の四角形、円形や楕円形等のような丸みを帯びた形状であってもよい。
なお、ICデバイスとしては、前記のものの他に、例えば、「LSI(Large Scale Integration)」「CMOS(Complementary MOS)」「CCD(Charge Coupled Device)」や、ICデバイスを複数のモジュールとしてパッケージ化した「モジュールIC」、また、「水晶デバイス」、「圧力センサー」、「慣性センサー(加速度センサー)」、「ジャイロセンサー」、「指紋センサー」等が挙げられる。
電子部品検査装置1は、トレイ供給領域A1と、デバイス供給領域A2と、検査領域A3と、デバイス回収領域A4と、トレイ除去領域A5とを備え、これらの領域は、後述するように各壁部で分けられている。そして、ICデバイス90は、トレイ供給領域A1からトレイ除去領域A5まで前記各領域を矢印α90方向に順に経由し、途中の検査領域A3で検査が行われる。このように電子部品検査装置1は、各領域を経由するようにICデバイス90を搬送する搬送部25を有する電子部品搬送装置10と、検査領域A3内で検査を行なう検査部16と、を備えている。また、電子部品搬送装置10は、モニター300と、シグナルランプ400と第1操作部700と、第2操作部900と、制御部800とを備えている。
なお、電子部品検査装置1は、トレイ供給領域A1およびトレイ除去領域A5が配された方、すなわち、図2中の下側が正面側となり、検査領域A3が配された方、すなわち、図2中の上側が背面側である。また、第1操作部700は、電子部品検査装置1の正面側に設置され、操作面が正面側を向いており、第2操作部900は、電子部品検査装置1の背面側に設置され、操作面が背面側を向いている。
また、電子部品検査装置1は、ICデバイス90の種類ごとに交換される「チェンジキット」と呼ばれるものを予め配置、搭載して用いられる。このチェンジキットとしては、本実施形態では、例えば、後述する温度調整部12と、デバイス供給部14と、デバイス回収部18とがある。また、前記のようなチェンジキットとは別に、ユーザーが用意するトレイ200と、回収用トレイ19と、その他、検査部16もある。
トレイ供給領域A1は、トレイ200が供給され、載置される容器載置部である。トレイ200は、未検査状態の複数のICデバイス90を行列状に配置して載置(place)される容器である。このトレイ供給領域A1は、トレイ200を複数積み重ねて搭載可能な搭載領域と言うこともできる。なお、本実施形態では、各トレイ200には、複数の凹部が行列状に配置されている。各凹部には、ICデバイス90を1つずつ収納、載置することができる。
デバイス供給領域A2は、トレイ供給領域A1から搬送されたトレイ200上の複数のICデバイス90がそれぞれ検査領域A3まで搬送、供給される領域である。なお、トレイ供給領域A1とデバイス供給領域A2とをまたぐように、トレイ200を1枚ずつ水平方向に搬送する容器移動部としてのトレイ搬送機構11Aと、トレイ搬送機構11Bとが設けられている。トレイ搬送機構11Aは、搬送部25の一部であり、トレイ200を、当該トレイ200に載置されたICデバイス90ごとY軸方向の正側、すなわち、図2中の矢印α11A方向である第1方向に移動させることができる。これにより、ICデバイス90を安定してデバイス供給領域A2に送り込むことができる。また、トレイ搬送機構11Bは、空のトレイ200をY軸方向の負側、すなわち、図2中の矢印α11B方向に移動させることができる。これにより、空のトレイ200をデバイス供給領域A2からトレイ供給領域A1に移動させることができる。
デバイス供給領域A2には、温度調整部12と、トレイ200に載置されたICデバイス90を搬送するデバイス搬送ヘッド13と、トレイ搬送機構15とが設けられている。デバイス搬送ヘッド13は、全体形状がアーム上をなしている。なお、温度調整部12は、ソークプレートと呼ばれ、英語表記では「soak plate」、中国語表記では、一例で「均温板」となる。また、デバイス供給領域A2と検査領域A3とをまたぐように移動するデバイス供給部14も設けられている。
温度調整部12は、複数のICデバイス90が載置され、当該載置されたICデバイス90を一括して加熱または冷却することができる。これにより、検査部16で検査される前のICデバイス90を予め加熱または冷却して、当該検査に適した温度に調整することができる。
このような温度調整部12は、固定されている。これにより、当該温度調整部12上でのICデバイス90に対して安定して温度調整することができる。また、温度調整部12は、グランドされている。
図2に示す構成では、温度調整部12は、Y軸方向に2つ配置、固定されている。そして、トレイ搬送機構11Aによってトレイ供給領域A1から搬入されたトレイ200上のICデバイス90は、いずれかの温度調整部12まで搬送される。
デバイス搬送ヘッド13は、ICデバイス90を保持して搬送する搬送アームを構成し、デバイス供給領域A2内で移動可能に支持されている。このデバイス搬送ヘッド13は、搬送部25の一部でもあり、トレイ供給領域A1から搬入されたトレイ200と温度調整部12との間のICデバイス90の搬送と、温度調整部12と後述するデバイス供給部14との間のICデバイス90の搬送とを担うことができる。なお、図2中では、デバイス搬送ヘッド13のX軸方向の移動を矢印α13Xで示し、デバイス搬送ヘッド13のY軸方向の移動を矢印α13Yで示している。
デバイス供給部14は、温度調整されたICデバイス90が載置され、当該ICデバイス90を検査部16近傍まで搬送することができる「供給用シャトルプレート」または単に「供給シャトル」と呼ばれるものである。
また、デバイス供給部14は、デバイス供給領域A2と検査領域A3との間をX軸方向、すなわち、矢印α14方向に沿って往復移動可能(移動可能)に支持されている。これにより、デバイス供給部14は、ICデバイス90をデバイス供給領域A2から検査領域A3の検査部16近傍まで安定して搬送することができ、また、検査領域A3でICデバイス90がデバイス搬送ヘッド17によって取り去られた後は再度デバイス供給領域A2に戻ることができる。
図2に示す構成では、デバイス供給部14は、Y軸方向に2つ配置されており、Y軸方向負側のデバイス供給部14を「デバイス供給部14A」と言い、Y軸方向正側のデバイス供給部14を「デバイス供給部14B」と言うことがある。そして、温度調整部12上のICデバイス90は、デバイス供給領域A2内でデバイス供給部14Aまたはデバイス供給部14Bまで搬送される。また、デバイス供給部14は、温度調整部12と同様に、当該デバイス供給部14に載置されたICデバイス90を加熱または冷却可能に構成されている。これにより、温度調整部12で温度調整されたICデバイス90に対して、その温度調整状態を維持して、検査領域A3の検査部16近傍まで搬送することができる。また、デバイス供給部14も、温度調整部12と同様に、グランドされている。
トレイ搬送機構15は、全てのICデバイス90が除去された状態の空のトレイ200をデバイス供給領域A2内でX軸方向の正側、すなわち、矢印α15方向に搬送する機構である。そして、この搬送後、空のトレイ200は、トレイ搬送機構11Bによってデバイス供給領域A2からトレイ供給領域A1に戻される。
検査領域A3は、ICデバイス90を検査する領域である。この検査領域A3には、ICデバイス90に対して検査を行なう検査部16と、デバイス搬送ヘッド17とが設けられている。
デバイス搬送ヘッド17は、搬送部25の一部であり、温度調整部12と同様に、保持したICデバイス90を加熱または冷却可能に構成されている。これにより、前記温度調整状態が維持されたICデバイス90を保持して、前記温度調整状態を維持したまま、ICデバイス90を検査領域A3内で搬送することができる。
このようなデバイス搬送ヘッド17は、検査領域A3内でY軸方向およびZ軸方向に往復移動可能に支持され、「インデックスアーム」と呼ばれる機構の一部となっている。これにより、デバイス搬送ヘッド17は、デバイス供給領域A2から搬入されたデバイス供給部14から、ICデバイス90を持ち上げて、検査部16上に搬送し、載置することができる。
なお、図2中では、デバイス搬送ヘッド17のY軸方向の往復移動を矢印α17Yで示している。また、デバイス搬送ヘッド17は、Y軸方向に往復移動可能に支持されているが、これに限定されず、X軸方向にも往復移動可能に支持されていてもよい。また、図2に示す構成では、デバイス搬送ヘッド17は、Y軸方向に2つ配置されており、Y軸方向負側のデバイス搬送ヘッド17を「デバイス搬送ヘッド17A」と言い、Y軸方向正側のデバイス搬送ヘッド17を「デバイス搬送ヘッド17B」と言うことがある。デバイス搬送ヘッド17Aは、検査領域A3内で、ICデバイス90のデバイス供給部14Aから検査部16への搬送を担うことができ、デバイス搬送ヘッド17Bは、検査領域A3内で、ICデバイス90のデバイス供給部14Bから検査部16への搬送を担うことができる。
検査部16は、電子部品であるICデバイス90を載置して、当該ICデバイス90が有する電気的特性を検査することができる。この検査部16は、ICデバイス90が収納、載置される凹部を有し、その凹部の底部に、複数のプローブピンが設けられている。そして、ICデバイス90の端子とプローブピンとが導電可能に接続される、すなわち、接触することにより、ICデバイス90の検査を行なうことができる。ICデバイス90の検査は、検査部16に接続されるテスターが備える検査制御部に記憶されているプログラムに基づいて行われる。
このような検査部16は、温度調整部12と同様に、ICデバイス90を加熱または冷却して、当該ICデバイス90を検査に適した温度に調整することができる。
デバイス回収領域A4は、検査領域A3で検査され、その検査が終了した複数のICデバイス90が回収される領域である。このデバイス回収領域A4には、回収用トレイ19と、デバイス搬送ヘッド20と、トレイ搬送機構21とが設けられている。また、検査領域A3とデバイス回収領域A4とをまたぐように移動するデバイス回収部18も設けられている。また、デバイス回収領域A4には、空のトレイ200も用意されている。
デバイス回収部18は、検査部16で検査が終了したICデバイス90が載置され、当該ICデバイス90をデバイス回収領域A4まで搬送することができるものであり、「回収用シャトルプレート」または単に「回収シャトル」と呼ばれる。このデバイス回収部18も、搬送部25の一部となり得る。
また、デバイス回収部18は、検査領域A3とデバイス回収領域A4との間をX軸方向、すなわち、矢印α18方向に沿って往復移動可能に支持されている。また、図2に示す構成では、デバイス回収部18は、デバイス供給部14と同様に、Y軸方向に2つ配置されており、Y軸方向負側のデバイス回収部18を「デバイス回収部18A」と言い、Y軸方向正側のデバイス回収部18を「デバイス回収部18B」と言うことがある。そして、検査部16上のICデバイス90は、デバイス回収部18Aまたはデバイス回収部18Bに搬送され、載置される。なお、ICデバイス90の検査部16からデバイス回収部18Aへの搬送は、デバイス搬送ヘッド17Aが担い、検査部16からデバイス回収部18Bへの搬送は、デバイス搬送ヘッド17Bが担う。また、デバイス回収部18も、温度調整部12やデバイス供給部14と同様に、グランドされている。
回収用トレイ19は、検査部16で検査されたICデバイス90が載置されるものであり、デバイス回収領域A4内で移動しないよう固定されている。これにより、デバイス搬送ヘッド20等の各種可動部が比較的多く配置されたデバイス回収領域A4であっても、回収用トレイ19上では、検査済みのICデバイス90が安定して載置されることとなる。なお、図2に示す構成では、回収用トレイ19は、X軸方向に沿って3つ配置されている。
また、空のトレイ200も、X軸方向に沿って3つ配置されている。この空のトレイ200にも、検査部16で検査されたICデバイス90が載置される。そして、デバイス回収領域A4に移動してきたデバイス回収部18上のICデバイス90は、回収用トレイ19および空のトレイ200のうちのいずれかに搬送され、載置される。これにより、ICデバイス90は、検査結果ごとに分類されて、回収されることとなる。
デバイス搬送ヘッド20は、デバイス回収領域A4内でX軸方向およびY軸方向に移動可能に支持され、さらにZ軸方向にも移動可能な部分を有している。このデバイス搬送ヘッド20は、搬送部25の一部であり、ICデバイス90をデバイス回収部18から回収用トレイ19や空のトレイ200に搬送する搬送アームを構成する。なお、図2中では、デバイス搬送ヘッド20のX軸方向の移動を矢印α20Xで示し、デバイス搬送ヘッド20のY軸方向の移動を矢印α20Yで示している。
トレイ搬送機構21は、トレイ除去領域A5から搬入された空のトレイ200をデバイス回収領域A4内でX軸方向、すなわち、矢印α21方向に搬送する機構である。そして、この搬送後、空のトレイ200は、ICデバイス90が回収される位置に配されることとなる、すなわち、前記3つの空のトレイ200のうちのいずれかとなり得る。
トレイ除去領域A5は、検査済み状態の複数のICデバイス90が配列されたトレイ200が回収され、除去される除材部である。トレイ除去領域A5では、多数のトレイ200を積み重ねることができる。
また、デバイス回収領域A4とトレイ除去領域A5とをまたぐように、トレイ200を1枚ずつY軸方向に搬送するトレイ搬送機構22A、トレイ搬送機構22Bが設けられている。トレイ搬送機構22Aは、搬送部25の一部であり、トレイ200をY軸方向、すなわち、矢印α22A方向に往復移動させることができる移動部である。これにより、検査済みのICデバイス90をデバイス回収領域A4からトレイ除去領域A5に搬送することができる。また、トレイ搬送機構22Bは、ICデバイス90を回収するための空のトレイ200をY軸方向の正側、すなわち、矢印α22B方向に移動させることができる。これにより、空のトレイ200をトレイ除去領域A5からデバイス回収領域A4に移動させることができる。
制御部800は、例えば、トレイ搬送機構11Aと、トレイ搬送機構11Bと、温度調整部12と、デバイス搬送ヘッド13と、デバイス供給部14と、トレイ搬送機構15と、検査部16と、デバイス搬送ヘッド17と、デバイス回収部18と、デバイス搬送ヘッド20と、トレイ搬送機構21と、トレイ搬送機構22Aと、トレイ搬送機構22Bの各部の作動を制御することができる。図2に示すように、この制御部800は、例えば、本実施形態では、少なくとも1つのプロセッサー802(at least one processor)と、少なくとも1つのメモリー803とを有している。プロセッサー802は、メモリー803に記憶されている各種情報としての、例えば、判断用プログラム、指示・命令用プログラム等を読み込み、判断や指令を実行することができる。
また、制御部800は、電子部品検査装置1に内蔵されていてもよいし、外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。この外部機器は、例えば、電子部品検査装置1とケーブル等を介して通信される場合、無線通信される場合、電子部品検査装置1と、例えばインターネット等のようなネットワークを介して接続されている場合等がある。
オペレーターは、モニター300を介して、電子部品検査装置1の動作条件等を設定したり、確認したりすることができる。このモニター300は、例えば液晶画面で構成された表示画面301を有し、電子部品検査装置1の上部に正面側を向いてに配置されている。図1に示すように、トレイ除去領域A5の図中の右側には、マウスを載置するマウス台600が設けられている。このマウスは、モニター300に表示された画面を操作する際に用いられる。
また、モニター300に対して図1の右下方には、第1操作部700が配置されている。換言すれば、第1操作部700は、電子部品検査装置1の正面側に配置されている。この第1操作部700は、モニター300とは別に、電子部品検査装置1への所望の動作命令を入力するものである。また、第1操作部700は、主として、前述したようにICデバイス90を搬送する搬送動作を制御する機能を発揮する。また、後述するように、第2操作部900と同様に、デバイス搬送ヘッド13およびデバイス搬送ヘッド20の位置の調整に用いることもできる。
ここで、「搬送動作」とは、前述したように、ICデバイス90を検査のために搬送する各部の動作のことを言う。
第1操作部700は、メカニカルボタンが複数配置された操作パネルで構成されている。第1操作部700の各ボタンの機能に関しては、後に詳述する。
また、図3に示すように、電子部品検査装置1の背面側には、電子部品検査装置1の背面側を向いて第2操作部900が配置されている。第2操作部900は、モニター300とは別に、電子部品検査装置1への所望の動作命令を入力するものであり、主に、デバイス搬送ヘッド13およびデバイス搬送ヘッド20の位置の調整に用いられる。なお、ここで言う「位置の調整」は、「搬送動作」には含まれない。
図5に示すように、第2操作部900は、メカニカルボタンが複数配置された操作パネルで構成されている。第2操作部900の各ボタンの機能に関しては、後に詳述する。
なお、第1操作部700および第2操作部900は、メカニカルボタンが複数配置された操作パネルで構成されている場合について説明したが、本発明ではこれに限定されず、タッチパネル式モニター等、同様の入力機能を有するものであればよい。
また、第1操作部700は、モニター300と一体的に構成されていてもよい。すなわち、1つのタッチパネルモニターでモニター300と第1操作部700とを兼ねていてもよい。
また、第1操作部700および第2操作部900は、電子部品検査装置1のカバーに固定的に設置されているのが好ましいが、これに限定されず、カバーに対し、任意の方向に移動可能に設置されていてもよく、あるいは、任意の方向、任意の角度で回動可能に設置されていてもよい。
また、シグナルランプ400は、発光する色の組み合わせにより、電子部品検査装置1の作動状態等を報知することができる。シグナルランプ400は、電子部品検査装置1の上部に配置されている。なお、電子部品検査装置1には、スピーカー500が内蔵されており、このスピーカー500によっても電子部品検査装置1の作動状態等を報知することもできる。
電子部品検査装置1は、トレイ供給領域A1とデバイス供給領域A2との間が第1隔壁231によって区切られており、デバイス供給領域A2と検査領域A3との間が第2隔壁232によって区切られており、検査領域A3とデバイス回収領域A4との間が第3隔壁233によって区切られており、デバイス回収領域A4とトレイ除去領域A5との間が第4隔壁234によって区切られている。また、デバイス供給領域A2とデバイス回収領域A4との間も、第5隔壁235によって区切られている。
第1操作部700は、第4隔壁234のX軸方向正側かつZ軸方向正側に、Y軸方向負側を向いて設置されている。また、第2操作部900は、リアカバー244のX軸方向負側かつZ軸方向正側に、Y軸方向正側を向いて設置されている。ただし、第1操作部700および第2操作部900の設置位置、向きは、これらに限定されない。
電子部品検査装置1は、最外装がカバーで覆われており、当該カバーには、例えばフロントカバー241、サイドカバー242、サイドカバー243、リアカバー244、トップカバー245がある。
なお、フロントカバー241、サイドカバー242、サイドカバー243およびリアカバー244には、電子部品検査装置1の内部が見えるように、それぞれ、透明な材質で作られた窓部材が設けられている。第1操作部700および第2操作部900は、窓部材に設けてもよいが、窓部材でない部分、すなわち、カバー部分に設けられるのが好ましい。
また、デバイス供給領域A2の側面には、サイドカバー242、リアカバー244が配置されており、検査領域A3の側面には、リアカバー244が配置されており、デバイス回収領域A4の側面には、サイドカバー243、リアカバー244、が配置されている。
さて、電子部品検査装置1は、前述したように、第1操作部700と、第2操作部900とを有している。以下、第1操作部700と第2操作部900とについて詳細に説明する。
図1に示すように、第1操作部700は、トレイ供給領域A1側(容器載置部側)、すなわち、電子部品検査装置1の正面側に設けられている。第1操作部700は、検査部16にICデバイス90を搬送する搬送動作の制御や、デバイス搬送ヘッド13およびデバイス搬送ヘッド20の位置の調整を行うことができる。この第1操作部700は、例えば、図2に示すモニター300および図示しないマウスと併用することができ、操作者は、マウスと第1操作部700を用いて、例えばICデバイス90の搬送個数、検査プログラム、搬送ルートの設定等の搬送動作の初期設定や、搬送動作の途中でのこれらの変更を行うことができる。
また、第1操作部700は、制御部800と電気的に接続されており、第1操作部700の各ボタンを操作するとそのボタンに応じた信号が制御部800に送信され、制御部800によりその動作が実行される。
図4に示すように、第1操作部700は、ボタン701と、ボタン702と、ボタン703と、ボタン704と、ボタン705と、ボタン706と、ボタン707と、ボタン708と、ボタン709と、ボタン710と、ボタン711と、ボタン712と、ボタン713と、ボタン714と、ランプ715と、を有している。
ボタン701およびボタン702は、ボタン701〜ボタン714のうち、最もZ軸方向正側に位置している。また、ボタン701およびボタン702は、X軸方向正側からこの順で並んで配置されている。
ボタン701は、Z軸方向正側に「ON」と記されており、押圧操作することにより、電子部品検査装置1の電源をONにすることができる。
ボタン702は、Z軸方向正側に「OFF」と記されており、押圧操作することにより、電子部品検査装置1の電源をOFFにすることができる。
ボタン701およびボタン702のZ軸方向負側には、ボタン703、ボタン704、ボタン705およびボタン706が配置されている。ボタン703、ボタン704、ボタン705およびボタン706は、X軸方向正側からこの順で並んで配置されている。
ボタン703は、Z軸方向正側に「START」と記されており、押圧操作することにより、搬送動作を開始することができる。
ボタン704は、Z軸方向正側に「HOME」と記されており、押圧操作することにより、図1に示すモニター300での設定中にホーム画面に戻ることができる。
ボタン705は、Z軸方向正側に「PAUSE」と記されており、押圧操作することにより、搬送動作を一時停止することができる。
ボタン706は、Z軸方向正側に「RESET」と記されており、押圧操作することにより、各種設定をリセットすることができる。
ボタン703〜ボタン706のZ軸方向負側には、ボタン707、ボタン708、ボタン709およびボタン710が配置されている。ボタン707、ボタン708、ボタン709およびボタン710は、X軸方向正側からこの順で並んで配置されている。
ボタン707は、Z軸方向正側に「CLEANOUT」と記されており、押圧操作することにより、電子部品検査装置1内の洗浄を行うことができる。
ボタン708は、Z軸方向正側に「SKIP」と記されており、押圧操作することにより、図1に示すモニター300での設定中に現状の画面をスキップすることができる。
ボタン709は、Z軸方向正側に「RETRY」と記されており、押圧操作することにより、現状の動作をリトライすることができる。
ボタン710は、Z軸方向正側に「ONECYCLE」と記されており、押圧操作することにより、1サイクルのみ運転を行うことができる。これにより、電子部品検査装置1内にあるICデバイス90を払い出す、すなわち、供給ロボットが既に保持しているICデバイス90を最後に、検査、回収、およびトレイに収納し、電子部品検査装置1を停止させる。
ボタン707〜ボタン710のZ軸方向負側には、ボタン711、ボタン712およびボタン713が配置されている。ボタン711、ボタン712およびボタン713は、X軸方向正側からこの順で並んで配置されている。
ボタン711は、Z軸方向正側に「ALARMRESET」と記されており、押圧操作することにより、アラームのリセット、すなわち、アラームにおけるブザー音等の停止を行うことができる。
ボタン712は、Z軸方向正側に「TRAYEND」と記されており、押圧操作することにより、トレイ200、特に、不良品と判断されたICデバイス90を載せたトレイ200を強制排出することができる。
ボタン713は、Z軸方向正側に「TRAYFEED」と記されており、押圧操作することにより、トレイ200を強制的に送り込むことができる。
ボタン711〜ボタン713のZ軸方向負側には、ボタン714が配置されている。ボタン714は、Z軸方向正側に「COVEROPEN」と記されており、押圧操作することにより、図1に示すフロントカバー241、サイドカバー242、サイドカバー243、リアカバー244およびトップカバー245のロック状態が解除され、解放可能な状態となる。
ランプ715は、Z軸方向正側に「FRONT」と記されており、後述するスイッチ901が操作されて点灯および消灯する。後述するスイッチ901が操作されて第2操作部900の操作が有効になっている状態において消灯し、第2操作部700の操作が有効になっているときに点灯する。
このような第1操作部700を操作することにより、搬送動作の設定、制御を行うことができる。
次に、第2操作部900について説明する。
図2に示すように、第2操作部900は、トレイ搬送機構11Aの移動方向である第1方向(Y軸方向正側)の任意の部位、すなわち、電子部品検査装置1の背面側に配置されている。また、第2操作部900は、電子部品検査装置1の背面のうち、X軸方向負側に偏在して設けられている。この第2操作部900は、電子部品検査装置1の各部位のなかでも比較的搬送エラーが生じやすいデバイス搬送ヘッド13およびデバイス搬送ヘッド20の位置の調整を行うことができる。
また、第2操作部900は、制御部800と電気的に接続されており、第2操作部900の各ボタンを操作するとそのボタンに応じた信号が制御部800に送信され、制御部800によりその動作が実行される。
図5に示すように、第2操作部900は、スイッチ901と、ボタン902と、ボタン903と、ボタン904と、ボタン905と、ボタン906と、ボタン907と、ボタン908と、ボタン909と、ボタン910と、ボタン911と、ボタン912と、ボタン913と、ボタン914と、ボタン915とを有している。
スイッチ901は、ボタン902〜ボタン915よりもZ軸方向正側に配置されている。このスイッチ901は、つまみを有し、このつまみを回転操作することにより、第1操作部700を有効にするか第2操作部900を有効にするかを選択するスイッチである。また、スイッチ901のZ軸方向正側には、「FRONT」および「REAR」と記されている。つまみに記されたマークの位置をこれらに合わせることにより、第1操作部700および第2操作部900のうちのいずれの操作部を使用するかを選択することができる。
また、電子部品検査装置1では、第1操作部700および第2操作部900のうちの一方の操作部が操作されているとき、他方の操作部に対する操作を受け付けない。これにより、例えば、複数名の操作者によって第1操作部700および第2操作部900が同時に操作されるのを防止することができる。
スイッチ901のZ軸方向負側には、ボタン902、ボタン903、ボタン904およびボタン905が配置されている。ボタン902、ボタン903、ボタン904およびボタン905は、X軸方向負側からこの順で並んで配置されている。
ボタン902は、Z軸方向正側に「START」と記されており、押圧操作することにより、位置調整するモードを終了し搬送モードに切り替えることができる。
ボタン903は、Z軸方向正側に「HOME」と記されており、押圧操作することにより、デバイス搬送ヘッド13またはデバイス搬送ヘッド20をY軸方向負側に移動させることができる。
ボタン904は、Z軸方向正側に「PAUSE」と記されており、押圧操作することにより、搬送動作を一時停止することができる。
ボタン905は、Z軸方向正側に「RESET」と記されており、押圧操作することにより、各種設定をリセットすることができる。
ボタン902〜ボタン905のZ軸方向負側には、ボタン906、ボタン907、ボタン908およびボタン909が配置されている。ボタン906、ボタン907、ボタン908およびボタン909は、X軸方向負側からこの順で並んで配置されている。
ボタン906は、Z軸方向正側に「CLEANOUT」と記されており、押圧操作することにより、デバイス搬送ヘッド13またはデバイス搬送ヘッド20をX軸方向負側に移動させることができる。
ボタン907は、Z軸方向正側に「SKIP」と記されており、押圧操作することにより、搬送モードからデバイス搬送ヘッド13またはデバイス搬送ヘッド20の位置を調整する位置調整モードに切り替えることができる。
すなわち、第2操作部900は、搬送動作を制御する第1モードと、搬送アームであるデバイス搬送ヘッド13の位置を調整する第2モードである位置調整モードとを切り替える切り替えボタンとしてのボタン902およびボタン907を有する。換言すれば、第2操作部900は、搬送動作を制御する第1モードである搬送モードと、搬送アームであるデバイス搬送ヘッド13の位置を調整する第2モードである位置調整モードと、を切り換える。
これにより、操作者は、搬送モードと位置調整モードとを所望のタイミングで切り替えることができる。
ボタン908は、Z軸方向正側に「RETRY」と記されており、押圧操作することにより、デバイス搬送ヘッド13またはデバイス搬送ヘッド20をX軸方向正側に移動させることができる。
ボタン909は、Z軸方向正側に「ONECYCLE」と記されており、押圧操作することにより、1サイクルのみ運転を行うことができる。
ボタン906〜ボタン909のZ軸方向負側には、ボタン910、ボタン911およびボタン912が配置されている。ボタン910、ボタン911およびボタン912は、X軸方向負側からこの順で並んで配置されている。
ボタン910は、Z軸方向正側に「ALARMRESET」と記されており、押圧操作することにより、デバイス搬送ヘッド13またはデバイス搬送ヘッド20をY軸方向正側に移動させることができる。
ボタン911は、Z軸方向正側に「TRAYEND」と記されており、押圧操作することにより、デバイス搬送ヘッド13またはデバイス搬送ヘッド20の各ハンドを開く方向に移動させることができる。
ボタン912は、Z軸方向正側に「TRAYFEED」と記されており、押圧操作することにより、デバイス搬送ヘッド13またはデバイス搬送ヘッド20の各ハンドを閉じる方向に移動させることができる。
ボタン910〜ボタン912のZ軸方向負側には、ボタン913、ボタン914およびボタン915が配置されている。ボタン913、ボタン914およびボタン915は、X軸方向負側からこの順で並んで配置されている。
ボタン913は、Z軸方向正側に「T.START」と記されており、押圧操作することにより、デバイス搬送ヘッド13およびデバイス搬送ヘッド20のうち、デバイス搬送ヘッド13を選択し、デバイス搬送ヘッド13の位置の調整操作に移行することができる。
ボタン914は、Z軸方向正側に「STEP」と記されており、押圧操作することにより、デバイス搬送ヘッド13およびデバイス搬送ヘッド20のうち、デバイス搬送ヘッド20を選択し、デバイス搬送ヘッド20の位置の調整操作に移行することができる。
なお、ボタン913およびボタン914のZ軸方向正側の「T.START」および「STEP」のZ軸方向正側には、「MANUAL」と記されており、手動でデバイス搬送ヘッド13およびデバイス搬送ヘッド20を選択することを意味している。
ボタン915は、Z軸方向正側に「COVEROPEN」と記されており、押圧操作することにより、図1に示すフロントカバー241、サイドカバー242、サイドカバー243、リアカバー244およびトップカバー245のロック状態が解除され、解放可能な状態となる。
次に、このような第2操作部900の操作の一例を説明する。
まず、操作者は、正面側からモニター300や第1操作部700により各種設定を行い、ICデバイス90の搬送および検査を開始する。例えば、搬送エラーが生じた場合、電子部品搬送装置10は、その箇所が一時的に停止する。搬送エラーとしては、ICデバイス90の吸着エラーやリリースエラー等が挙げられる。
そして、搬送エラーで停止した箇所がモニター300に表示される。例えば、図8に示すように、デバイス搬送ヘッド13の1つのハンド131によってリリースされたICデバイス90がデバイス供給部14の凹部141に入っていないリリースエラーが生じた場合、このハンド131の位置の調整が必要である。すなわち、ハンド131がICデバイス90をリリースした位置において、ハンド131の中心軸と凹部141の中心とがX軸方向およびY軸方向において一致するように調整する必要がある。
この調整は、図8に示すようにハンド131がリリースして停止した状態で、目視でハンド131と凹部141とを確認しつつ、これらがX軸方向およびY軸方向において一致するようにハンド131を移動させる操作により達成することができる。
この際、従来のように第1操作部700側、すなわち、正面側からでは目視で確認しにくいことがある。例えば、第1操作部700からデバイス供給領域A2などまで距離が離れているため、デバイス搬送ヘッド13に微小な距離、たとえば、0.1mmを移動させても、適切な位置に移動できたか、正面側からでは目視で確認しにくい。また、電子部品検査装置1の内部に配管や隔壁といった部材が配置されており、視界が遮られてしまうため、正面側からでは目視で確認しにくい。例えば、トレイ供給領域A1とデバイス供給領域A2との間に第1隔壁231があるため、視界が遮られてしまう。この場合、操作者は、電子部品検査装置1の背面側に移動し、第2操作部900を操作する。背面側からだとデバイス供給領域A2の全体を見渡すことができ、デバイス搬送ヘッド13の位置が見やすくなる。なお、背面側に移動した場合、デバイス回収領域A4においても全体を見渡すことができ、デバイス搬送ヘッド20の位置が見やすくなる。
背面側に移動したら、操作者は、図6に示すように、第2操作部900のスイッチ901を回転操作して第2操作部900の操作が有効なモードに切り替える。切り替えが完了すると、ボタン913およびボタン914が点滅する。そして、操作者は、ボタン913を押す。これにより、正常な状態に復帰すべきデバイス搬送ヘッド13が選択される。第2操作部900では、ボタン913およびボタン914のX軸方向の位置関係が、デバイス搬送ヘッド13およびデバイス搬送ヘッド20のX軸方向の位置関係と同じである。これにより、操作者は、選択するデバイス搬送ヘッドと、押すべきボタンを対応付けやすくなり、操作ミスを防止することができる。
次いで、図7に示すように、ボタン913を押すと、ボタン903、ボタン906、ボタン908およびボタン910が点滅する。そして、デバイス搬送ヘッド13のハンド131および凹部141を目視で確認しつつ、ボタン903、ボタン906、ボタン908およびボタン910を押してハンド131の位置の調整を行う。すなわち、図8中実線で示す位置調整前のハンド131を図8中二点鎖線で示す位置調整後のハンド131とする。
また、第2操作部900側から見て、ボタン903、ボタン906、ボタン908およびボタン910を押圧操作したときにハンド131が移動する方向が、ボタン903、ボタン906、ボタン908およびボタン910の位置関係と一致しているため、押すべきボタンとを対応付けしやすくなり、操作ミスを防止することができる。
このように、ボタン903、ボタン906、ボタン908およびボタン910によって搬送アームであるデバイス搬送ヘッド13を移動させる移動ボタンが構成される。また、移動ボタンは、デバイス搬送ヘッド13を第1方向であるX軸方向に移動させる第1移動ボタンであるボタン906およびボタン908と、デバイス搬送ヘッド13をX軸方向と交わるY軸方向に移動させる第2移動ボタンであるボタン903およびボタン910と、を有する。これにより、X軸方向およびY軸方向においてデバイス搬送ヘッド13の位置を調整することができる。
また、本実施形態では、ボタン903、ボタン906、ボタン908およびボタン910を1回押すと、設定された方向に、設定された距離、例えば、0.1mm移動させることができる。すなわち、移動ボタンであるボタン903、ボタン906、ボタン908およびボタン910が1回押圧操作されることにより、搬送アームであるデバイス搬送ヘッド13が予め設定された距離を移動する。また、ボタン903、ボタン906、ボタン908およびボタン910を押す回数に応じて、設定された方向に、設定された距離に押す回数を乗じた距離だけ、移動させることができる。これにより、ボタンを押して過剰にデバイス搬送ヘッド13が移動してしまうのを防止することができるとともに、ボタンを押す動作と目視での確認とを交互に行いやすくなり、より正確な位置の調整を行うことができる。なお、回数に応じた距離を、移動の開始と停止とを繰り返して移動、すなわち、間欠的に移動してもよいし、回数に応じた距離を一度に移動するようにしてもよい。
調整が完了すると、ボタン902を押す。これにより、図8中二点鎖線で示すハンド131の調整後の位置がリリース位置であると記憶され、その位置でICデバイス90をリリースするよう設定され、搬送動作が再開する。
このように電子部品搬送装置10は、電子部品としてのICデバイス90が載置される容器であるトレイ200と、ICデバイス90が有する電気的特性を検査する検査部16との間でICデバイス90を保持して搬送する電子部品搬送装置である。また、電子部品搬送装置10は、トレイ200が載置される容器載置部であるトレイ供給領域A1と、トレイ供給領域A1と、前記搬送アームが前記電子部品を保持する位置と、を結ぶ直線を第1軸(Y軸)としたときに、トレイ供給領域A1から第1軸(Y軸)に沿ってトレイ200を移動させる容器移動部としてのトレイ搬送機構11Aと、と、デバイス搬送ヘッド13がICデバイス90を搬送する搬送動作を制御する第1操作部700と、第1操作部700から第1軸(Y軸)に沿って離れて配置され、デバイス搬送ヘッド13の位置を調整する第2操作部900と、を備える。
これにより、操作者は、背面側からデバイス搬送ヘッド13を目視で確認しつつ、デバイス搬送ヘッド13の位置の調整を行うことができる。よって、従来のような正面側と背面側とを行き来する動作を省略することができ、デバイス搬送ヘッド13の位置の調整を簡単かつ迅速に行うことができる。
また、電子部品検査装置1は、ICデバイス90が有する電気的特性を検査する検査部16と、ICデバイス90が載置される容器であるトレイ200が載置されるトレイ供給領域A1と、トレイ200に載置されたICデバイス90を検査部16に搬送する搬送アームであるデバイス搬送ヘッド13と、トレイ供給領域A1と、前記搬送アームが前記電子部品を保持する位置と、を結ぶ直線を第1軸(Y軸)としたときに、トレイ供給領域A1から第1軸(Y軸)に沿ってトレイ200を移動させる容器移動部としてのトレイ搬送機構11Aと、と、デバイス搬送ヘッド13がICデバイス90を搬送する搬送動作を制御する第1操作部700と、第1操作部700から第1軸(Y軸)に沿って離れて配置され、デバイス搬送ヘッド13の位置を調整する第2操作部900と、を備える。
これにより、前述した電子部品搬送装置10の利点を持つ電子部品検査装置1が得られる。また、検査部16にICデバイス90を搬送することができ、よって、ICデバイス90が有する電気的特性の検査を検査部16で行なうことができる。また、検査後のICデバイス90を検査部16から排出することができる。
また、モニター300とマウスを用いて、所定の入力を行うことにより、第1操作部700においても、第2操作部900と同様に、デバイス搬送ヘッド13またはデバイス搬送ヘッド20の位置の調整を行うことができるよう設定されている。これにより、操作者は、第1操作部700および第2操作部900のうち、所望の部位が見えやすい方の操作部を選択して操作を行うことができる。
なお、第1操作部700でデバイス搬送ヘッド13またはデバイス搬送ヘッド20の位置の調整を行う場合、第1操作部700では、図4に示すボタン704、ボタン707、ボタン709およびボタン711がデバイス搬送ヘッド13を移動させる移動ボタンとなる。
この場合、ボタン704が、デバイス搬送ヘッド13またはデバイス搬送ヘッド20をY軸方向正側に移動させる機能を有し、ボタン711が、デバイス搬送ヘッド13またはデバイス搬送ヘッド20をY軸方向負側に移動させる機能を有し、ボタン707が、デバイス搬送ヘッド13またはデバイス搬送ヘッド20をX軸方向正側に移動させる機能を有し、ボタン709が、デバイス搬送ヘッド13またはデバイス搬送ヘッド20をX軸方向負側に移動させる機能を有しているのが好ましい。これにより、第1操作部700側から見て、ボタン704、ボタン707、ボタン709およびボタン711を押圧操作したときにデバイス搬送ヘッド13またはデバイス搬送ヘッド20が移動する方向が、ボタン704、ボタン707、ボタン709およびボタン711の位置関係と一致しているため、押すべきボタンを対応付けやすくなり、操作ミスを防止することができる。
また、第2操作部900は、第1操作部700と似たボタン配置となっている。これにより、例えば、第1操作部700のみを備える装置に第2操作部900を新たに設置した場合であっても、操作者は、第1操作部700で慣れた操作を略そのまま第2操作部900に対して行うことができる。また、第2操作部900を新たに設置する場合のコストを抑えることができる。
次に、図9に示すフローチャートを用いて、制御部800の制御動作について説明する。なお、以下の説明においても、図2中のデバイス搬送ヘッド13に搬送エラーが生じた場合を一例に挙げて説明する。
まず、ステップS101において、操作者が設定した設定において搬送を開始する。
次いで、ステップS102において、搬送エラーが生じたか否かを判断する。本ステップでは、例えば、図2に示すデバイス搬送ヘッド13およびデバイス搬送ヘッド20の各ハンドの吸引部に設けられた吸引圧センサーや、デバイス供給部14およびデバイス回収部18の凹部に設けられたICデバイス残留センサー等の検出結果に基づいて判断が行われる。
ステップS102において、搬送エラーを検出したと判断した場合、ステップS103において、デバイス搬送ヘッド13の作動を停止する。そして、ステップS104において、図6に示すように、第2操作部900のボタン913およびボタン914を点滅させる。ボタン913およびボタン914が点滅した状態において、操作者がボタン913を押すことにより、図7に示すように、ボタン903、ボタン906、ボタン908およびボタン910が点滅する。そして、操作者がボタン903、ボタン906、ボタン908およびボタン910のどのボタンを何回押したかに応じて、図8に示すように、デバイス搬送ヘッド13のハンド131を所望の位置に移動させる(ステップS105)。
そして、ステップS106において、搬送を再開するか否かを判断する。この判断は、ボタン902が押されたか否かに基づいて行われる。ボタン902が押されたら、ステップS107において、ハンド131が現状の位置でICデバイス90をリリースするよう設定し、搬送動作を再開する。
そして、ステップS108において、プログラムが完了したか否かを判断する。本ステップでの判断は、例えば、設定された個数のICデバイス90が検査を終えてトレイ除去領域A5に排出されたか否かに基づいて行われる。ステップS108において完了していないと判断した場合、ステップS102に戻り、以下のステップを順次繰り返す。
以上、電子部品検査装置1の第1実施形態について説明したが、第1操作部700および第2操作部900の設置位置は、上記の位置に限定されない。例えば、第1操作部700は、フロントカバー241、サイドカバー243およびトップカバー245のいずれかのカバーにも設置可能である。この場合、設置位置は、X軸方向正側でかつY軸方向負側であるのが好ましい。また、第2操作部900は、サイドカバー242またはトップカバー245にも設置可能である。この場合、設置位置は、X軸方向負側でかつZ軸方向正側であるのが好ましい。
また、第1操作部700および第2操作部900は、例えば、棒状の支持部材を介して前述したような面に設置されていてもよい。この場合、支持部材は、屈曲可能、変形可能なものであってもよい。
<第2実施形態>
以下、図10〜図13を参照して本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、制御部の制御動作が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
本実施形態では、操作者が、ICデバイス90の搬送状態が良好でないことに気づいて第2操作部900を操作した場合について説明する。また、一例として、デバイス搬送ヘッド13の1つのハンド131の搬送状態が良好でない場合について説明する。
まず、ステップS201において、操作者が設定した設定において搬送を開始する。
次いで、ステップS202において、ボタン913またはボタン914が押されたか否かを判断する。
図10に示すように、デバイス搬送ヘッド13のハンド131が吸着しているICデバイス90の位置がずれていたのを操作者が発見した場合、操作者は、第2操作部900側に回り込んで、ボタン913を押す。
ステップS202において、ボタン913が押されたと判断した場合、ステップS203において、図11に示すように、デバイス供給部14の凹部141の上方に移動し、停止する。この際、リリースはせずに、ICデバイス90を吸着したままとする。
そして、ステップS204において、図7に示すように、ボタン903、ボタン906、ボタン908およびボタン910を点滅させる。そして、操作者がボタン903、ボタン906、ボタン908およびボタン910のどのボタンを何回押したかに応じて、図12に示すように、デバイス搬送ヘッド13のハンド131を移動させる(ステップS205)。
操作者は、ハンド131がICデバイス90を吸着した状態において、ICデバイス90の中心軸と凹部141の中心とがX軸方向およびY軸方向において一致するようにハンド131の位置を調整する。これにより、図10に示すように、ハンド131がICデバイス90の中心からずれた位置を吸着する傾向がみられても、図12に示すように、ICデバイス90の中心と凹部141の中心とが一致した状態でICデバイス90をリリースすることができる。
そして、ステップS206において、搬送を再開するか否かを判断する。この判断は、ボタン902が押されたか否かに基づいて行われる。ボタン902が押されたら、ステップS207において、ハンド131が現状の位置でICデバイス90をリリースするよう設定し、搬送動作を再開する。
そして、ステップS208において、プログラムが完了したか否かを判断する。本ステップでの判断は、例えば、設定された個数のICデバイス90が検査を終えてトレイ除去領域A5に排出されたか否かに基づいて行われる。ステップS208において完了していないと判断した場合、ステップS202に戻り、以下のステップを順次繰り返す。
以上、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、電子部品搬送装置および電子部品検査装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。