JP2019203183A - 蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れたアルミニウムの腐食抑制効果を有する、蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法を提供する。【解決手段】アルミニウムと接液する蒸気凝縮水のpHが8.0〜10.0の範囲であり、炭素数10〜24の飽和または不飽和の長鎖脂肪族基を有する長鎖脂肪族アミンおよびその脂肪酸塩のうち少なくとも1つを含有する腐食抑制剤を用いる、蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法である。【選択図】なし
Description
本発明は、蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法に関する。
ボイラを構成する金属材料は、水分および酸素が存在することで酸化され、腐食が進行する。例えば、蒸気復水系ではボイラから発生した蒸気が熱交換され、凝縮水となる。この凝縮水が多くの炭酸を含む場合、凝縮水のpHが低下して、凝縮水と接触する金属の腐食が進行しやすくなり、配管等の減肉が生じ、貫孔や割れ等に至ることがある。
蒸気復水系における金属の腐食を抑制する方法として、特許文献1には、ピペリジン、ピロリジン、イソペンチルアミン、フェネチルアミン、ブチルアミンから選択される1種以上のアミン化合物を用いる方法が開示されている。アミン化合物による腐食抑制機構は、アミンの種類によって異なる。揮発性が高い揮発性アミンの場合、蒸気復水系に注入された揮発性アミンが凝縮水中に溶け込み、系内に存在する酸性物質を中和してpHが中性付近になることで金属の腐食が抑制されると考えられる。一方、皮膜性アミンの場合、蒸気復水系に注入された皮膜性アミンのアミノ基が金属表面に吸着して単分子層または多分子層の非常に緻密な皮膜を形成する。その結果、形成された吸着皮膜によって水分と金属との接触が抑制され、金属の腐食が抑制されると考えられる。
しかし、蒸気復水系における熱交換部等でアルミニウムが用いられる場合、アルカリ側で腐食を起こすおそれがある。
特許文献1では鋼材として低炭素鋼やアルミニウム黄銅(アルミニウム含有量1.2〜2.5重量%)の腐食抑制については言及されているが、アルミニウム単体の腐食抑制については言及されていない。また、特許文献1の実施例におけるアミン化合物は揮発性アミンであり、皮膜性アミンについては記載されていない。
本発明の目的は、優れたアルミニウムの腐食抑制効果を有する、蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法を提供することにある。
本発明は、蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法であって、アルミニウムと接液する蒸気凝縮水のpHが8.0〜10.0の範囲であり、炭素数10〜24の飽和または不飽和の長鎖脂肪族基を有する長鎖脂肪族アミンおよびその酸塩のうち少なくとも1つを含有する腐食抑制剤を用いる、蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法である。
前記蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法において、前記pHが8.0〜9.2の範囲であることが好ましい。
前記蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法において、前記長鎖脂肪族アミンが、オクタデシルアミンおよびオレイルアミンのうち少なくとも1つであることが好ましい。
本発明では、優れたアルミニウムの腐食抑制効果を有する、蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法を提供することができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法は、アルミニウムと接液する蒸気凝縮水のpHが8.0〜10.0の範囲であり、炭素数10〜24の飽和または不飽和の長鎖脂肪族基を有する長鎖脂肪族アミンおよびその酸塩のうち少なくとも1つを含有する腐食抑制剤を用いる方法である。この腐食抑制方法により、蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食を抑制することができる。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、アミン化合物の中でも、皮膜性アミンである炭素数10〜24の飽和または不飽和の長鎖脂肪族基を有する長鎖脂肪族アミンおよびその酸塩のうち少なくとも1つを含有する腐食抑制剤を用いて、アルミニウムと接液する蒸気凝縮水のpHを8.0〜10.0の範囲で維持することで、蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
皮膜性アミンである炭素数10〜24の飽和または不飽和の長鎖脂肪族基を有する長鎖脂肪族アミンとしては、例えば、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、へプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、ドコシルアミン等の飽和長鎖脂肪族アミン、オレイルアミン、リシノレイルアミン、リノレイルアミン、リノレニルアミン等の不飽和長鎖脂肪族アミンが挙げられ、これらのうち、オクタデシルアミン、オレイルアミンが好ましい。この長鎖脂肪族アミンは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記長鎖脂肪族アミンの酸塩を構成する酸としては、塩酸や、酢酸等の脂肪酸等が挙げられる。
炭素数10〜24の飽和または不飽和の長鎖脂肪族基を有する長鎖脂肪族アミンの酸塩としては、例えば、ドデシルアミン酢酸塩、ヘキサデシルアミン塩酸塩、オクタデシルアミン塩酸塩、オクタデシルアミン酢酸塩等が挙げられる。
本実施形態に係る腐食抑制剤により、蒸気復水系システムにおけるアルミニウム材質の金属の溶出が抑制される。これにより、蒸気復水系システムにおいて長期間、安全に安定した蒸気の供給が可能となり、配管等の減肉や、貫孔や割れ等が抑制される。
本実施形態に係るアルミニウムの腐食抑制方法において、アルミニウムと接液する蒸気凝縮水のpHを8.0〜10.0の範囲で維持するが、pHを8.0〜9.2の範囲で維持することが好ましい。特に、pHを8.0〜9.2の範囲で維持することにより、アルミニウムの腐食が抑制され、アルミニウムの光沢が維持される。アルミニウムと接液する蒸気凝縮水のpHが10.0を超えると、アルミニウムが腐食しやすくなる。
系内のpHは、例えば、アルミニウムと接液する蒸気凝縮水への上記長鎖脂肪族アミンおよびその酸塩のうち少なくとも1つの添加濃度によって、上記範囲に調整すればよい。
本実施形態に係るアルミニウムの腐食抑制方法において、対象の蒸気凝縮水に対する上記長鎖脂肪族アミンまたはその酸塩の含有量は、炭酸ガスの発生量等に応じて決めればよく、特に制限はないが、例えば、0.1〜200mg/Lの範囲、好ましくは1〜20mg/L程度となるように、連続的または断続的に添加することによって、蒸気復水系システムにおいてのアルミニウム部分の腐食が抑制される。
本実施形態に係るアルミニウムの腐食抑制方法において、系内の温度は、圧力等によっても変わるが、例えば、大気圧下では100℃以上である。
本実施形態に係るアルミニウムの腐食抑制方法において、腐食抑制対象となるアルミニウムとしては、純アルミニウム(アルミニウム含有量99.00重量%以上)の他に、アルミニウム合金(例えば、アルミニウム含有量85〜97重量%)等が挙げられる。
本実施形態に係る腐食抑制剤は、上記炭素数10〜24の飽和または不飽和の長鎖脂肪族基を有する長鎖脂肪族アミンおよびその酸塩のうち少なくとも1つを、例えば、純水、軟水等の水に溶解して調製することができる。
本実施形態に係る腐食抑制剤は、上記炭素数10〜24の飽和または不飽和の長鎖脂肪族基を有する長鎖脂肪族アミンおよびその酸塩のうち少なくとも1つの他に、例えば、ピペリジン、ピロリジン、イソペンチルアミン、フェネチルアミン、ブチルアミン等の揮発性アミン等を含んでもよい。
本実施形態に係る腐食抑制剤は、長期的な保存および使用に対して、極めて高い乳化分散安定性を発揮する。
本実施形態に係るアルミニウムの腐食抑制方法は、ボイラ水系等の蒸気復水系、熱交換機等に適用可能であり、蒸気復水系システムの腐食抑制に好適に適用可能である。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1,2、比較例1〜4>
[腐食試験]
純水に表1に示すアミン化合物を添加濃度0.6mg/Lとなるようにそれぞれ添加し、さらに水酸化カリウムを用いて表1に示すpHに調整し、試験液とした。実施例1,2では、炭素数10〜24の飽和または不飽和の長鎖脂肪族基を有する長鎖脂肪族アミンおよびその酸塩として、皮膜性アミンであるオクタデシルアミン、オレイルアミンをそれぞれ用い、比較例1〜3では、揮発性アミンであるアンモニア、モルホリン、シクロヘキシルアミンをそれぞれ用い、比較例4では、pH調整のみの炭酸ナトリウムを用いた。試験片を温度50℃に加温した試験液中にて7日間浸漬および150rpmで回転させ、腐食試験を実施した。試験片は、アルミニウム(純アルミニウム(純度99.00重量%以上)、材質:JIS H4000のA1050P)で形成されており、両表面全面を♯400研磨仕上げとした。試験片の大きさは、長さ30mm、幅15mmおよび厚み1mmであり、1ヶ所に直径3mmの穴を有している。以下の方法で、腐食速度(mdd)および光沢度を評価した。
[腐食試験]
純水に表1に示すアミン化合物を添加濃度0.6mg/Lとなるようにそれぞれ添加し、さらに水酸化カリウムを用いて表1に示すpHに調整し、試験液とした。実施例1,2では、炭素数10〜24の飽和または不飽和の長鎖脂肪族基を有する長鎖脂肪族アミンおよびその酸塩として、皮膜性アミンであるオクタデシルアミン、オレイルアミンをそれぞれ用い、比較例1〜3では、揮発性アミンであるアンモニア、モルホリン、シクロヘキシルアミンをそれぞれ用い、比較例4では、pH調整のみの炭酸ナトリウムを用いた。試験片を温度50℃に加温した試験液中にて7日間浸漬および150rpmで回転させ、腐食試験を実施した。試験片は、アルミニウム(純アルミニウム(純度99.00重量%以上)、材質:JIS H4000のA1050P)で形成されており、両表面全面を♯400研磨仕上げとした。試験片の大きさは、長さ30mm、幅15mmおよび厚み1mmであり、1ヶ所に直径3mmの穴を有している。以下の方法で、腐食速度(mdd)および光沢度を評価した。
(腐食速度(mdd))
試験前の試験片の質量と試験後の試験片の質量とから腐食速度(mg/dm2/day)を算出した。すなわち、試験前後の試験片の質量の差から試験片の減少量(mg)を求め、単位面積(dm2)あたりの減少量に換算して、1日あたりの減少量を算出し、以下の3段階で評価した。結果を表1に示す。
○:3未満
△:3以上8未満
×:8以上
試験前の試験片の質量と試験後の試験片の質量とから腐食速度(mg/dm2/day)を算出した。すなわち、試験前後の試験片の質量の差から試験片の減少量(mg)を求め、単位面積(dm2)あたりの減少量に換算して、1日あたりの減少量を算出し、以下の3段階で評価した。結果を表1に示す。
○:3未満
△:3以上8未満
×:8以上
(光沢度)
試験後の試験片を目視で観察して、光沢の程度を以下のA〜Dの4段階で評価した。結果を表2に示す。
A:試験前と同様に光沢がみられる
B:光沢はあるが、試験前よりも光沢具合が薄い
C:光沢がほとんど無く、灰色に変色している
D:光沢が無く、白色に変色している
試験後の試験片を目視で観察して、光沢の程度を以下のA〜Dの4段階で評価した。結果を表2に示す。
A:試験前と同様に光沢がみられる
B:光沢はあるが、試験前よりも光沢具合が薄い
C:光沢がほとんど無く、灰色に変色している
D:光沢が無く、白色に変色している
表1および表2の結果から、炭素数10〜24の飽和または不飽和の長鎖脂肪族基を有する長鎖脂肪族アミンおよびその酸塩のうち少なくとも1つを含有する腐食抑制剤を用いる実施例の腐食抑制方法によって、比較例1〜3の揮発性アミンや比較例4のpH調整のみの炭酸ナトリウムに比べて、優れたアルミニウムの腐食抑制効果を示すことが明らかとなった。
Claims (3)
- 蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法であって、
アルミニウムと接液する蒸気凝縮水のpHが8.0〜10.0の範囲であり、炭素数10〜24の飽和または不飽和の長鎖脂肪族基を有する長鎖脂肪族アミンおよびその酸塩のうち少なくとも1つを含有する腐食抑制剤を用いることを特徴とする、蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法。 - 請求項1に記載の蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法であって、
前記pHが8.0〜9.2の範囲であることを特徴とする、蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法。 - 請求項1または2に記載の蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法であって、
前記長鎖脂肪族アミンが、オクタデシルアミンおよびオレイルアミンのうち少なくとも1つであることを特徴とする、蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法。
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JP2018100733A JP2019203183A (ja) | 2018-05-25 | 2018-05-25 | 蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法 |
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JP2018100733A Pending JP2019203183A (ja) | 2018-05-25 | 2018-05-25 | 蒸気復水系システムにおけるアルミニウムの腐食抑制方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2022532692A (ja) * | 2019-02-27 | 2022-07-19 | 栗田工業株式会社 | 水-蒸気回路に腐食保護を提供する方法 |
-
2018
- 2018-05-25 JP JP2018100733A patent/JP2019203183A/ja active Pending
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