JP2019202965A - セロトニン受容体拮抗薬含有経皮吸収製剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い皮膚透過速度と短いラグタイムを有し、かつ保存後もその性質を維持するセロトニン受容体拮抗薬含有経皮吸収製剤の提供。【解決手段】(a)セロトニン受容体拮抗薬、(b)ヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステル、並びに(c)C8−C16脂肪族アルコール及びポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有する経皮吸収製剤。【選択図】なし
Description
本発明は、セロトニン受容体拮抗薬含有経皮吸収製剤に関する。
セロトニン受容体拮抗薬は求心性迷走神経の活性を低下させ、化学受容器引き金帯を抑制する事により悪心や嘔吐を抑制する。悪心や嘔吐は、がん化学療法において高頻度で出現する副作用であり、それらを抑制する目的で、医療現場ではセロトニン受容体拮抗薬が使用されている。セロトニン受容体拮抗薬は一般的に経口剤や注射剤が用いられているが、経口剤については悪心や嘔吐を訴える患者においては薬剤を服用することが困難な場合が多く、服用できても吐いてしまう可能性があるという課題がある。また、注射剤については侵襲性が高く、在宅での投与が困難という課題がある。その点、経皮吸収製剤は皮膚に塗布や貼付をすることで薬剤を投与することが可能であり、侵襲性も低いため、経口剤や注射剤の課題を解決できる可能性がある剤形である。また、経皮吸収製剤は薬物を持続的に供給でき、血漿中濃度を長時間一定に保つことが可能であるという利点を有する。
セロトニン受容体拮抗薬の経皮吸収製剤には上記のような利点があることから、これまでに種々検討されている。
例えば、特許文献1には、吸収促進剤として水溶性有機アミンと脂肪酸エステルを含有するセロトニン受容体拮抗薬の経皮吸収製剤が記載されており、当該製剤は皮膚透過速度が高く、ラグタイムが短いことが開示されている。特許文献2には吸収促進剤としてメントール又は乳酸セチルを含有するグラニセトロン経皮吸収製剤が開示されている。特許文献3には吸収促進剤としてプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを含有するセロトニン受容体拮抗薬の経皮吸収製剤が記載されており、皮膚粘着性、皮膚刺激性等が優れていることが開示されている。特許文献4には吸収促進剤としてミリスチン酸イソプロピルを含有するグラニセトロン経皮吸収製剤が開示されている。特許文献5には結晶析出防止剤として特定の高級アルコールを含有するパロノセトロン経皮吸収製剤が開示されている。
例えば、特許文献1には、吸収促進剤として水溶性有機アミンと脂肪酸エステルを含有するセロトニン受容体拮抗薬の経皮吸収製剤が記載されており、当該製剤は皮膚透過速度が高く、ラグタイムが短いことが開示されている。特許文献2には吸収促進剤としてメントール又は乳酸セチルを含有するグラニセトロン経皮吸収製剤が開示されている。特許文献3には吸収促進剤としてプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを含有するセロトニン受容体拮抗薬の経皮吸収製剤が記載されており、皮膚粘着性、皮膚刺激性等が優れていることが開示されている。特許文献4には吸収促進剤としてミリスチン酸イソプロピルを含有するグラニセトロン経皮吸収製剤が開示されている。特許文献5には結晶析出防止剤として特定の高級アルコールを含有するパロノセトロン経皮吸収製剤が開示されている。
しかし、皮膚は本来外界からの異物の進入や体内からの水分の蒸発を防ぐバリア機能として働いているため、多くの化合物の皮膚透過性は非常に小さい。従って、経皮吸収製剤化においては薬物の皮膚透過性(経皮吸収性)の向上が重要な技術課題となる。
薬物の経皮吸収過程は、(1)製剤から皮膚への薬物の分配(皮膚移行性)と、(2)皮膚内からの拡散による全身循環への移行(皮内拡散性)から構成されると考えられる。この皮膚移行性及び皮内拡散性は、広く利用されているin vitro皮膚透過試験で求められる皮膚透過速度(フラックス)とラグタイムから算出される分配係数及び拡散係数と関連がある。皮膚透過速度は分配係数、拡散係数、製剤中薬物濃度ならびに皮膚の厚みにより決定される。一方、ラグタイムは、拡散係数と皮膚の厚みにより決定される。経皮吸収製剤の研究においては、皮膚透過速度及びラグタイムを改善することが重要である。
また、経皮吸収製剤は入院中だけでなく、外来や在宅医療での使用も想定され、患者に譲渡されてから実際に貼付するまでは様々な状態で保存されることになるであろうから、一定の品質を保つためにそのような保存後も皮膚透過速度及びラグタイムが維持される経皮吸収製剤の開発が望まれる。
薬物の経皮吸収過程は、(1)製剤から皮膚への薬物の分配(皮膚移行性)と、(2)皮膚内からの拡散による全身循環への移行(皮内拡散性)から構成されると考えられる。この皮膚移行性及び皮内拡散性は、広く利用されているin vitro皮膚透過試験で求められる皮膚透過速度(フラックス)とラグタイムから算出される分配係数及び拡散係数と関連がある。皮膚透過速度は分配係数、拡散係数、製剤中薬物濃度ならびに皮膚の厚みにより決定される。一方、ラグタイムは、拡散係数と皮膚の厚みにより決定される。経皮吸収製剤の研究においては、皮膚透過速度及びラグタイムを改善することが重要である。
また、経皮吸収製剤は入院中だけでなく、外来や在宅医療での使用も想定され、患者に譲渡されてから実際に貼付するまでは様々な状態で保存されることになるであろうから、一定の品質を保つためにそのような保存後も皮膚透過速度及びラグタイムが維持される経皮吸収製剤の開発が望まれる。
前述の特許文献1〜5の経皮吸収製剤は、高い皮膚透過速度と短いラグタイム、さらに保存後もそれらの性質を維持できる製剤ではなかった。
従って、本発明の課題は、高い皮膚透過速度と短いラグタイムを有し、かつ保存後もその性質を維持するセロトニン受容体拮抗薬含有経皮吸収製剤を提供することにある。
従って、本発明の課題は、高い皮膚透過速度と短いラグタイムを有し、かつ保存後もその性質を維持するセロトニン受容体拮抗薬含有経皮吸収製剤を提供することにある。
そこで、本発明者らは、高い皮膚透過速度と短いラグタイムを有し、かつ保存後もその性質を維持するセロトニン受容体拮抗薬含有経皮吸収製剤を開発すべく、鋭意検討を行った結果、セロトニン受容体拮抗薬、ヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルと特定の高級脂肪族アルコール若しくはポリオキシエチレンアルキルエーテルとを組み合わせることにより、高い皮膚透過速度と短いラグタイムを有し、かつ保存後もその性質を維持するセロトニン受容体拮抗薬含有経皮吸収製剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下に挙げる経皮吸収製剤に関する。
〔1〕(a)セロトニン受容体拮抗薬、(b)ヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステル、並びに(c)C8−C16脂肪族アルコール及びポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有する経皮吸収製剤。
〔2〕(c)成分が、(c)C10−C14脂肪族アルコール及びポリオキシエチレンC10−C14アルキルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の成分である〔1〕記載の経皮吸収製剤。
〔3〕(a)成分がパロノセトロン又はグラニセトロンである〔1〕又は〔2〕記載の経皮吸収製剤。
〔4〕(b)成分が炭素数10〜18の高級脂肪酸の炭素数1〜6のアルコールが縮合したエステルである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の経皮吸収製剤。
〔5〕(b)成分がミリスチン酸イソプロピルである〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の経皮吸収製剤。
〔6〕(c)成分がラウリルアルコール又はポリオキシエチレンラウリルエーテルである〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の経皮吸収製剤。
〔7〕(c)成分がラウリルアルコールである〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の経皮吸収製剤。
〔8〕貼付剤である〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の経皮吸収製剤。
〔9〕粘着剤層中の各成分の含有率が、(a)成分が0.1〜30重量%であり、(b)成分が1〜40重量%であり、(c)成分が0.5〜20重量%である〔8〕記載の経皮吸収製剤。
〔10〕粘着剤層に含まれる粘着剤がアクリル系粘着剤である〔8〕又は〔9〕記載の経皮吸収製剤。
〔2〕(c)成分が、(c)C10−C14脂肪族アルコール及びポリオキシエチレンC10−C14アルキルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の成分である〔1〕記載の経皮吸収製剤。
〔3〕(a)成分がパロノセトロン又はグラニセトロンである〔1〕又は〔2〕記載の経皮吸収製剤。
〔4〕(b)成分が炭素数10〜18の高級脂肪酸の炭素数1〜6のアルコールが縮合したエステルである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の経皮吸収製剤。
〔5〕(b)成分がミリスチン酸イソプロピルである〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の経皮吸収製剤。
〔6〕(c)成分がラウリルアルコール又はポリオキシエチレンラウリルエーテルである〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の経皮吸収製剤。
〔7〕(c)成分がラウリルアルコールである〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の経皮吸収製剤。
〔8〕貼付剤である〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の経皮吸収製剤。
〔9〕粘着剤層中の各成分の含有率が、(a)成分が0.1〜30重量%であり、(b)成分が1〜40重量%であり、(c)成分が0.5〜20重量%である〔8〕記載の経皮吸収製剤。
〔10〕粘着剤層に含まれる粘着剤がアクリル系粘着剤である〔8〕又は〔9〕記載の経皮吸収製剤。
本発明により、高い皮膚透過速度と短いラグタイムを有し、かつ保存後もその性質を維持するセロトニン受容体拮抗薬含有経皮吸収製剤を提供することができる。
以下、本発明につき、さらに詳しく説明する。
本発明の経皮吸収製剤は、(a)セロトニン受容体拮抗薬と、(b)ヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルと、(c)C8−C16脂肪族アルコール及びポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分とを含有する。
本発明の経皮吸収製剤の形態としては、(a)成分を皮膚から吸収させることができる製剤であればよく、例えば軟膏、クリーム剤等の皮膚外用剤、貼付剤、リザーバー型製剤、ローション剤等が挙げられるが、1回の適用で長時間作用が得られる点で貼付剤が好ましい。本発明の経皮吸収製剤が貼付剤である場合、該貼付剤は支持体と、前記支持体の一面に積層されて一体化された粘着剤層とを備え、前記粘着剤層は(a)セロトニン受容体拮抗薬、(b)ヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステル、(c)C8−C16脂肪族アルコール及びポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種、並びに粘着剤とを含有する。
本発明の経皮吸収製剤は、(a)セロトニン受容体拮抗薬と、(b)ヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルと、(c)C8−C16脂肪族アルコール及びポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分とを含有する。
本発明の経皮吸収製剤の形態としては、(a)成分を皮膚から吸収させることができる製剤であればよく、例えば軟膏、クリーム剤等の皮膚外用剤、貼付剤、リザーバー型製剤、ローション剤等が挙げられるが、1回の適用で長時間作用が得られる点で貼付剤が好ましい。本発明の経皮吸収製剤が貼付剤である場合、該貼付剤は支持体と、前記支持体の一面に積層されて一体化された粘着剤層とを備え、前記粘着剤層は(a)セロトニン受容体拮抗薬、(b)ヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステル、(c)C8−C16脂肪族アルコール及びポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種、並びに粘着剤とを含有する。
本発明の(a)成分は、セロトニン受容体拮抗薬であり、本発明経皮吸収製剤の有効成分である。
本発明に使用するセロトニン受容体拮抗薬としては、パロノセトロン、グラニセトロン、オンダンセトロン、アザセトロン、ラモセトロン、トロピセトロン、アロセトロン、イタセトロン等が挙げられ、フリー体でも塩形態でもよく、その混合物でもよい。薬物として好ましくはパロノセトロン、グラニセトロンであり、より好ましくはパロノセトロンである。薬物の形態としては皮膚透過性の観点からフリー体が好ましい。
本発明の粘着剤層中のセロトニン受容体拮抗薬の含有率として薬物の経皮吸収量を確保し、十分な薬物血漿中濃度を得る点、貼付剤の粘着力を確保する点、皮膚への刺激性が高くなるのを防ぐ点から、好ましくは0.1〜30重量%であり、より好ましくは0.2〜25重量%であり、さらに好ましくは0.3〜20重量%である。さらにセロトニン受容体拮抗薬としてパロノセトロンを使用する場合、特に好ましくは0.3〜10重量%である。
本発明に使用するセロトニン受容体拮抗薬としては、パロノセトロン、グラニセトロン、オンダンセトロン、アザセトロン、ラモセトロン、トロピセトロン、アロセトロン、イタセトロン等が挙げられ、フリー体でも塩形態でもよく、その混合物でもよい。薬物として好ましくはパロノセトロン、グラニセトロンであり、より好ましくはパロノセトロンである。薬物の形態としては皮膚透過性の観点からフリー体が好ましい。
本発明の粘着剤層中のセロトニン受容体拮抗薬の含有率として薬物の経皮吸収量を確保し、十分な薬物血漿中濃度を得る点、貼付剤の粘着力を確保する点、皮膚への刺激性が高くなるのを防ぐ点から、好ましくは0.1〜30重量%であり、より好ましくは0.2〜25重量%であり、さらに好ましくは0.3〜20重量%である。さらにセロトニン受容体拮抗薬としてパロノセトロンを使用する場合、特に好ましくは0.3〜10重量%である。
本発明の(b)成分である「ヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステル」とは官能基としてヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルを表し、「高級脂肪酸エステル」とは炭素数6以上の1価のカルボン酸のアルキルエステルを意味する。
ヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルとして好ましくは炭素数10〜18の高級脂肪酸と炭素数1〜6のアルコールが縮合したエステルであり、より好ましくは炭素数10〜18の飽和高級脂肪酸と炭素数1〜6の一価アルコールが縮合したエステルであり、さらに好ましくは炭素数12〜16の飽和高級脂肪酸と炭素数2〜5の一価アルコールが縮合したエステルである。ヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルとして具体的にはミリスチン酸イソプロピル(以下、IPMと略す。)、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ラウリル酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、パルミチン酸エチル、ステアリン酸エチル、ラウリル酸エチル等が挙げられる。
本発明の粘着剤層中のヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルの含有率として、十分な皮膚透過速度を得る点、貼付剤の粘着力を確保する点から、好ましくは1〜40重量%であり、より好ましくは2〜30重量%であり、さらに好ましくは2〜20重量%である。
ヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルとして好ましくは炭素数10〜18の高級脂肪酸と炭素数1〜6のアルコールが縮合したエステルであり、より好ましくは炭素数10〜18の飽和高級脂肪酸と炭素数1〜6の一価アルコールが縮合したエステルであり、さらに好ましくは炭素数12〜16の飽和高級脂肪酸と炭素数2〜5の一価アルコールが縮合したエステルである。ヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルとして具体的にはミリスチン酸イソプロピル(以下、IPMと略す。)、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ラウリル酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、パルミチン酸エチル、ステアリン酸エチル、ラウリル酸エチル等が挙げられる。
本発明の粘着剤層中のヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルの含有率として、十分な皮膚透過速度を得る点、貼付剤の粘着力を確保する点から、好ましくは1〜40重量%であり、より好ましくは2〜30重量%であり、さらに好ましくは2〜20重量%である。
本発明の(c)成分である「C8−C16脂肪族アルコール」とは炭素数8〜16の一価の脂肪族アルコールを表す。C8−C16脂肪族アルコールとして好ましくはC10−C14脂肪族アルコールであり、最も好ましくはラウリルアルコールである。本発明に使用する脂肪族アルコールは飽和アルコールであるものが好ましく、また加えて直鎖であるものが好ましい。具体的には1−オクタノール、1−デカノール、2−デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、パルミトレイルアルコール等が挙げられる。
本発明の粘着剤層中のC8−C16脂肪族アルコールの含有率として、十分な皮膚透過速度を得る点、貼付剤の粘着力を確保し、皮膚刺激性が高くなるのを防ぐ点から、好ましくは0.5〜20重量%であり、より好ましくは1〜15重量%であり、さらに好ましくは1〜10重量%である。
本発明の粘着剤層中のC8−C16脂肪族アルコールの含有率として、十分な皮膚透過速度を得る点、貼付剤の粘着力を確保し、皮膚刺激性が高くなるのを防ぐ点から、好ましくは0.5〜20重量%であり、より好ましくは1〜15重量%であり、さらに好ましくは1〜10重量%である。
「ポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテル」とは炭素数8〜16のアルキル基がポリオキシエチレン鎖と結合したポリオキシエチレンアルキルエーテルを表し、具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等が挙げられる。
「ポリオキシエチレンC10−C14アルキルエーテル」とは炭素数10〜14のアルキル基がポリオキシエチレン鎖と結合したポリオキシエチレンアルキルエーテルを表し、具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル等が挙げられる。
ポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテルとして好ましくはポリオキシエチレンC10−C14アルキルエーテルであり、特に好ましくはポリオキシエチレンラウリルエーテルである。本発明に使用するポリオキシエチレンアルキルエーテルの酸化エチレンの付加モル数として好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜10であり、さらに好ましくは2〜6であり、特に好ましくは2である。本発明に使用するポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテルとして最も好ましくは酸化エチレンの付加モル数が2であるポリオキシエチレンラウリルエーテルである。
本発明の粘着剤層中のポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテルの含有率として、十分な皮膚透過速度を得る点、貼付剤の粘着力を確保する点、皮膚刺激性が高くなるおそれがあるのを防ぐ点から、好ましくは0.5〜20重量%であり、より好ましくは1〜15重量%であり、さらに好ましくは1〜10重量%である。
「ポリオキシエチレンC10−C14アルキルエーテル」とは炭素数10〜14のアルキル基がポリオキシエチレン鎖と結合したポリオキシエチレンアルキルエーテルを表し、具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル等が挙げられる。
ポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテルとして好ましくはポリオキシエチレンC10−C14アルキルエーテルであり、特に好ましくはポリオキシエチレンラウリルエーテルである。本発明に使用するポリオキシエチレンアルキルエーテルの酸化エチレンの付加モル数として好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜10であり、さらに好ましくは2〜6であり、特に好ましくは2である。本発明に使用するポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテルとして最も好ましくは酸化エチレンの付加モル数が2であるポリオキシエチレンラウリルエーテルである。
本発明の粘着剤層中のポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテルの含有率として、十分な皮膚透過速度を得る点、貼付剤の粘着力を確保する点、皮膚刺激性が高くなるおそれがあるのを防ぐ点から、好ましくは0.5〜20重量%であり、より好ましくは1〜15重量%であり、さらに好ましくは1〜10重量%である。
本発明に使用する粘着剤層を構成する粘着剤としては特に限定されないが、例えば、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤などが挙げられ、さらにこれらを組み合わせて使用してもよい。中でも、セロトニン受容体拮抗薬及びヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルを良好に配合することができることから、アクリル系粘着剤が好ましい。
前記ゴム系粘着剤としては特に限定されるものではないが、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリブタジエン等が挙げられる。商業的に入手可能な市販製品としてはOppanol(商標登録)シリーズ(BASF)、Himol(商標登録)シリーズ(JXTGエネルギー)、Quintac(商標登録)シリーズ(日本ゼオン)、DURO−TAK(商標登録)608A、611A(ヘンケルジャパン)等が利用可能である。
前記シリコーン系粘着剤としては特に限定されるものではないが、例えばポリオルガノシロキサン等のシリコーンゴム等が挙げられる。商業的に入手可能な市販製品としてはBIO−PSA(商標登録)シリーズ(東レ・ダウコーニング)等が利用可能である。
前記アクリル系粘着剤としてはとくに限定されず、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分単量体とした単独重合物又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルと他の共重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸又はアクリル酸の意味である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸イソブチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸イソオクチルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸イソデシルエステル、(メタ)アクリル酸ラウリルエステル、(メタ)アクリル酸ステアリルエステル等が挙げられる。共重合性モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブタジエン等が挙げられる。
これらアクリル系粘着剤のうち、特にセロトニン受容体拮抗薬と相互作用を及ぼさない点からアクリルモノマー構成単位中の側鎖にカルボキシル基を有さないアクリル系粘着剤が好ましい。中でも、アクリルモノマー構成単位中の側鎖がヒドロキシ基を有するものや非官能性のものがより好ましく、非官能性のものがさらに好ましい。ヒドロキシ基を有するアクリルモノマーを含む共重合体としては、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル・(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチル・酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸ブチル・(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチル・酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン・(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチル・酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル・(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチル・酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル・(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチル・(メタ)アクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。商業的に入手可能な市販製品としてはDURO−TAK(登録商標)87−2510、87−2287、87−4287、87−2516、87−2525(ヘンケルジャパン)、GELVA GMS(商標)737、788(ヘンケルジャパン)等が利用可能である。アクリルモノマー構成単位中の側鎖が非官能性のアクリル系粘着剤としては、例えば、商業的に入手可能な市販製品としてDURO−TAK(登録商標)87−9301、87−900A、87−4098(ヘンケルジャパン)等が利用可能である。
さらに、前記アクリル系粘着剤は、セロトニン受容体拮抗薬の皮膚透過性を損なわない範囲内であれば、必要に応じて架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、特に限定されるものではなく、具体的には、エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド化合物などが挙げられる。アクリル系粘着剤に架橋剤を添加することにより、アクリル系粘着剤の内部凝集力が高まるので、貼付剤を皮膚から剥離させる際に皮膚に糊残りを生じにくくすることができる。
粘着剤層中における粘着剤の含有量は、少ないと、皮膚への粘着力が低下する一方、多いと、所望の薬物血漿中濃度を得るために必要な量のセロトニン受容体拮抗薬を配合することができなくなる場合があるので、好ましくは30〜98重量%であり、より好ましくは50〜95重量%であり、さらに好ましくは60〜90重量%であり、特に好ましくは65〜85重量%である。
粘着剤層中には、本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、酸化防止剤、吸収促進剤などの添加剤が添加されてもよい。
前記可塑剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類、オリーブ油、ヒマシ油、スクワレン、ラノリンなどの油脂類、流動パラフィンなどの炭化水素類、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、安息香酸ベンジル、2−エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、酢酸ベンジル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチルなどのエステル類などが挙げられ、これらを1種又は2種以上粘着剤層に配合することができる。該可塑剤は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に使用量に制限はないが、好ましくは粘着剤層中に1〜50重量%、さらに好ましくは5〜30重量%含有することができる。
酸化防止剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、エデト酸ナトリウムのようなキレート剤、亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、テトライソパルミチン酸アスコルビルのようなアスコルビン酸誘導体、酢酸トコフェロールのようなトコフェロール誘導体、硫酸オキシキノリンのようなキノリン誘導体などが挙げられる。該酸化防止剤は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に使用量に制限はないが、好ましくは粘着剤層中に0.1〜10重量%、より好ましくは0.2〜5重量%含有することができる。
粘着剤層には、必要に応じて前記ヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステル、C8−C16脂肪族アルコール、ポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテル以外の吸収促進剤を添加してもよい。吸収促進剤としては特に限定されるものではなく、例えばモノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタンなどのソルビタンエステル類又はエーテル類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのフェノールエーテル類;ジオクチルソジウムスルホサクシネート、オレオイルサルコシン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリル硫酸ナトリウムなどのイオン性界面活性剤;n−アルキルグルコシド、n−アルキルチオグルコシド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ジメチルラウリルアミンオキサイドなどの非イオン性界面活性剤;ジメチルスルホキサイド、デシルメチルスルホキサイドなどのアルキルメチルスルホキサイド類、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、ドデシルピロリドンなどピロリドン類;1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、1−ゲラニルアザシクロヘプタン−2−オンなどのアザシクロアルカン類;ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミンなどのアミン類;メントール、シネオールなどのテルペン類が挙げられ、粘着剤層中に0.1〜20重量%含有することができる。
粘着剤層の厚さは、10〜400μmが好ましく、20〜200μmがより好ましい。粘着剤層の厚さが薄すぎると、粘着剤層に所望の薬物血漿中濃度を得るのに必要な量のセロトニン受容体拮抗薬を含有できなくなる場合がある。一方、粘着剤層の厚さが厚すぎると、貼付剤の保存時や貼付時に粘着剤層が貼付剤からはみ出しやすくなったり、貼付剤を貼付した際の貼付感が悪化したりすることがある。さらに、貼付剤製造の際に溶剤の除去に長時間を要し、製造効率が低下するなどの問題が生じたりする場合がある。
前記支持体としては、粘着剤層中の薬物の損失を防ぎ、粘着剤層を保護できると共に、貼付剤に自己支持性を付与するための強度を有しつつ、貼付剤の良好な貼付感を付与するための柔軟性を有していることが望ましい。
このような支持体としては、特に限定されず、例えば、樹脂シート、発泡樹脂シート、不織布、織布、編布、アルミニウムシートなどが挙げられ、単層からなるものでも、複数層が積層一体化されてなるものでもよい。
前記樹脂シートを構成する樹脂としては、例えば、酢酸セルロース、エチルセルロース、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンなどが挙げられ、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、支持体と粘着剤層との接着性(投錨性)を良好とする観点からは、支持体を上記材質からなる無孔の樹脂シートと多孔質シートを積層一体化したものを用いてもよい。この場合、粘着剤層は多孔質シート側に形成することが望ましい。
このような多孔質シートとしては、粘着剤層との投錨性が向上するものが採用されるが、具体的には紙、織布、不織布、編布、機械的に穿孔処理を施したシート等が挙げられる。これらのうち、取り扱い性等の観点から、特に紙、織布、不織布が好ましい。不織布の場合、前記と同様のものを用いることができる。
本発明の貼付剤の粘着剤層中の薬物の損失防止や粘着剤層を保護する目的で、貼付剤の粘着剤層の表面に剥離紙を剥離可能に積層一体化させておくのが好ましい。
前記剥離紙としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどからなる樹脂フィルムや紙などが挙げられ、粘着剤層と対向させる面に離型処理が施されていることが好ましい。なお、前記剥離紙は単層からなるものであっても、複数層からなるものであってもよい。
また、前記剥離紙のバリア性を向上させる目的で、剥離紙にアルミ箔やアルミ蒸着の層を設けたものであってもよい。さらに、前記剥離紙が紙からなる場合、剥離紙のバリア性を向上させる目的で、剥離紙にポリビニルアルコールなどの樹脂を含浸させてもよい。
前記剥離紙としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどからなる樹脂フィルムや紙などが挙げられ、粘着剤層と対向させる面に離型処理が施されていることが好ましい。なお、前記剥離紙は単層からなるものであっても、複数層からなるものであってもよい。
また、前記剥離紙のバリア性を向上させる目的で、剥離紙にアルミ箔やアルミ蒸着の層を設けたものであってもよい。さらに、前記剥離紙が紙からなる場合、剥離紙のバリア性を向上させる目的で、剥離紙にポリビニルアルコールなどの樹脂を含浸させてもよい。
本発明の経皮吸収製剤は、使用前まで包装体で密封して保存又は運搬することが好ましい。包装方法としては、例えば、1枚の貼付剤、あるいは数枚重ねた貼付剤を包装材料に包装し、その周辺をヒートシールして密封する方法が挙げられる。この包装材料は、例えば、シート状又はフィルム状のものが挙げられ特に限定されるものではないが、包装の容易さや気密性の観点からヒートシール可能なものが望ましい。具体的には、ポリエチレン、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル系共重合体、ポリビニルアルコール系共重合体等のヒートシール性を有するプラスチックシートを用いた包装材料が適している。特に、貼付剤に含有される活性成分であるセロトニン受容体拮抗薬の外気による汚染や分解を防止するため、ポリエステルフィルムや金属箔等のガス不透過性フィルムを積層したものを用いることが好ましく、包装体の最内層にバリア性の高いポリアクリロニトリル系共重合体を用いたものがより好ましい。さらに、貯蔵安定性の点から、包装体内に乾燥剤や脱酸素剤ならびにそれらを組み合わせて封入してもよい。貼付剤の側面からの粘着成分の流れ出し等が起こった場合に包装体からの取り出し等の取り扱い性が悪化するのを防ぐため、包装材料にエンボス加工を施したり、前述のライナー部分を貼付剤より若干大きくするドライエッジ加工、接触面積が小さくなるように加工したブリスター成型等の包装形態を工夫することが好ましい。
次に、本発明の貼付剤の製造方法を説明する。本発明の貼付剤は、通常、貼付剤を製造する方法によって製造することができる。例えば、薬物を含む基剤組成をメタノール、酢酸エチル等の適当な有機溶媒に溶解させ、得られた粘着剤溶液を支持体上に塗工し、有機溶媒を乾燥・除去して粘着剤層を形成し、その後、粘着剤層上に剥離ライナーを貼り合せることで、製造することができる。また、前記粘着剤溶液を剥離ライナー上に塗工し、有機溶媒を乾燥・除去して粘着剤層を形成し、その後、粘着剤層上に支持体を貼り合せることで、製造してもよい。なお、粘着剤層を形成する際に粘着剤溶液を一度に厚く塗工すると均一に乾燥することが困難な場合があるため、粘着剤層の厚みを充分なものにするために、2度以上に分けて塗工してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明を限定するものではない。
本実施例において、ラウリルアルコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、イソステアリルアルコール、ミリスチン酸オクチルドデシル、オクチルドデカノール、ジカプリル酸プロピレングリコール、IPM(ミリスチン酸イソプロピル)は、特に明示しない限り以下のものを使用した。
ラウリルアルコール:(東京化成工業)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル:NIKKOL BL−2(日光ケミカルズ)、イソステアリルアルコール:(日産化学工業)、ミリスチン酸オクチルドデシル:(日光ケミカルズ)、オクチルドデカノール:(シグマアルドリッチジャパン)、ジカプリル酸プロピレングリコール:(日光ケミカルズ)、IPM:(クローダジャパン)。
本実施例において、パロノセトロンは特に明示しない限り、市販のパロノセトロン塩酸塩を分液操作することによって得たフリー体のパロノセトロンを用いた。
本実施例において、グラニセトロンは特に明示しない限り、市販のグラニセトロン塩酸塩を分液操作することによって得たフリー体のグラニセトロンを用いた。
本実施例において、ラウリルアルコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、イソステアリルアルコール、ミリスチン酸オクチルドデシル、オクチルドデカノール、ジカプリル酸プロピレングリコール、IPM(ミリスチン酸イソプロピル)は、特に明示しない限り以下のものを使用した。
ラウリルアルコール:(東京化成工業)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル:NIKKOL BL−2(日光ケミカルズ)、イソステアリルアルコール:(日産化学工業)、ミリスチン酸オクチルドデシル:(日光ケミカルズ)、オクチルドデカノール:(シグマアルドリッチジャパン)、ジカプリル酸プロピレングリコール:(日光ケミカルズ)、IPM:(クローダジャパン)。
本実施例において、パロノセトロンは特に明示しない限り、市販のパロノセトロン塩酸塩を分液操作することによって得たフリー体のパロノセトロンを用いた。
本実施例において、グラニセトロンは特に明示しない限り、市販のグラニセトロン塩酸塩を分液操作することによって得たフリー体のグラニセトロンを用いた。
実施例1〜4、比較例1〜16
表1に従って配合した粘着剤層形成用組成物を酢酸エチルに溶解又は分散させ、粘ちょう溶液を調製した。得られた溶液を、コロナ処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12μm)上に乾燥後の粘着剤層の厚みが約30μmとなるように塗工し、これを60℃の乾燥機中で1時間乾燥して溶媒を除去して粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層上に、剥離紙としてシリコーン処理を施したPET製剥離紙(厚さ75μm)を貼り合わせ経皮吸収製剤を得た。
表1に従って配合した粘着剤層形成用組成物を酢酸エチルに溶解又は分散させ、粘ちょう溶液を調製した。得られた溶液を、コロナ処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12μm)上に乾燥後の粘着剤層の厚みが約30μmとなるように塗工し、これを60℃の乾燥機中で1時間乾燥して溶媒を除去して粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層上に、剥離紙としてシリコーン処理を施したPET製剥離紙(厚さ75μm)を貼り合わせ経皮吸収製剤を得た。
試験例1(ヘアレスマウス皮膚を用いたin vitro皮膚透過試験)
実施例及び比較例で得られた経皮吸収製剤から直径1.0cmの平面円形状の試験片(貼付面積0.8cm2)に切り出したものを試験に用いた。ヘアレスマウス(7週齢、雄)から摘出した皮膚片を32℃に加温したリン酸緩衝液7mLが充填されている拡散セルに装着し,直径1.0cmに打ち抜いた試験片を外皮側に貼付した。試験開始後、レセプター液2.5mLをオートサンプラーで経時的にサンプリングし、同量の試験液を補充した。採取した試験液中の薬物量は後述の高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)により定量した。そして、経過時間(2、4、6、8、12、16、20、24時間)毎に、薬物濃度とレセプター液量から求められる薬物量を算出し、累積薬物透過量−時間プロットを作成した。個別に目視により皮膚透過速度が最大にあると判断した3つ以上のポイントについて直線回帰し、その勾配より皮膚透過速度を、時間軸との切片よりラグタイムを算出した。
また、同様にアルミ袋に封入して60℃で1ヵ月保存した後の経皮吸収製剤についても同様の試験を行い、皮膚透過速度、ラグタイム及び24時間透過量を算出した。
実施例及び比較例で得られた経皮吸収製剤から直径1.0cmの平面円形状の試験片(貼付面積0.8cm2)に切り出したものを試験に用いた。ヘアレスマウス(7週齢、雄)から摘出した皮膚片を32℃に加温したリン酸緩衝液7mLが充填されている拡散セルに装着し,直径1.0cmに打ち抜いた試験片を外皮側に貼付した。試験開始後、レセプター液2.5mLをオートサンプラーで経時的にサンプリングし、同量の試験液を補充した。採取した試験液中の薬物量は後述の高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)により定量した。そして、経過時間(2、4、6、8、12、16、20、24時間)毎に、薬物濃度とレセプター液量から求められる薬物量を算出し、累積薬物透過量−時間プロットを作成した。個別に目視により皮膚透過速度が最大にあると判断した3つ以上のポイントについて直線回帰し、その勾配より皮膚透過速度を、時間軸との切片よりラグタイムを算出した。
また、同様にアルミ袋に封入して60℃で1ヵ月保存した後の経皮吸収製剤についても同様の試験を行い、皮膚透過速度、ラグタイム及び24時間透過量を算出した。
(試験例1:HPLC条件)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:225nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。
カラム温度:40℃付近の一定温度
注入量:10μL
移動相:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリル=70/30(薬物がパロノセトロンの場合)又は0.1%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリル=80/20(薬物がグラニセトロンの場合)
流量:1.0mL/min
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:225nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。
カラム温度:40℃付近の一定温度
注入量:10μL
移動相:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリル=70/30(薬物がパロノセトロンの場合)又は0.1%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリル=80/20(薬物がグラニセトロンの場合)
流量:1.0mL/min
試験例2(安定性試験)
実施例及び比較例で得られた経皮吸収製剤をアルミ袋に封入し、60℃(湿度:成り行き)の条件で1ヵ月保存した。所定の保存期間が経過した後、各製剤をサンプリングし、安定性試験に用いた。
剥離ライナーを剥離した各製剤(貼付面積:12cm2)を遠沈管にとり、メタノール20mLを加えて、60分間振とうした。この抽出液を孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過し、上澄み液を高速液体クロマトグラフィーで分析した。得られたパロノセトロン(又はグラニセトロン)及び不純物のピーク面積から面積百分率法により相対面積(%)を算出し、パロノセトロン(又はグラニセトロン)の保存後の相対面積に対する保存前の相対面積の比率(%)を算出した。
実施例及び比較例で得られた経皮吸収製剤をアルミ袋に封入し、60℃(湿度:成り行き)の条件で1ヵ月保存した。所定の保存期間が経過した後、各製剤をサンプリングし、安定性試験に用いた。
剥離ライナーを剥離した各製剤(貼付面積:12cm2)を遠沈管にとり、メタノール20mLを加えて、60分間振とうした。この抽出液を孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過し、上澄み液を高速液体クロマトグラフィーで分析した。得られたパロノセトロン(又はグラニセトロン)及び不純物のピーク面積から面積百分率法により相対面積(%)を算出し、パロノセトロン(又はグラニセトロン)の保存後の相対面積に対する保存前の相対面積の比率(%)を算出した。
(試験例2:HPLC条件)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:225nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。
カラム温度:40℃付近の一定温度
注入量:10μL
移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液
移動相B:アセトニトリル
移動相の送液:移動相A及びBの混合比を次のように変えて濃度勾配制御する。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:225nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。
カラム温度:40℃付近の一定温度
注入量:10μL
移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液
移動相B:アセトニトリル
移動相の送液:移動相A及びBの混合比を次のように変えて濃度勾配制御する。
結果を表3に示す。
添加剤を含まない製剤は十分な皮膚透過速度及びラグタイムを有していなかった(比較例1)。また、製剤に添加剤として高級アルコールやポリオキシエチレンアルコール等のみを添加しても、満足する皮膚透過速度及びラグタイムを有する製剤は得られなかった(比較例2〜7)。製剤にヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルとしてIPMを添加すると、良好な皮膚透過速度及びラグタイムを有する製剤が得られたが、それらの性質は保存後には維持されなかった(比較例8)。次に、ヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルに加えて、C8−C16脂肪族アルコールとしてラウリルアルコールまたはポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテルとしてポリオキシエチレンラウリルコールを製剤にさらに添加したところ、良好な皮膚透過速度及びラグタイムを有し、かつその性質が保存後も維持される製剤が得られた(実施例1、2)。一方でIPMと他の添加剤を組み合わせた製剤は、保存後において良好な皮膚透過速度及びラグタイムを有していなかった(比較例9〜11)。
また、セロトニン受容体拮抗薬としてグラニセトロンを用いた場合も、添加剤としてヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルとC8−C16脂肪族アルコールの組合せを用いた製剤(実施例3)及びヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルとポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテルの組合せを用いた製剤は、良好な皮膚透過速度及びラグタイムを有し、かつその性質が保存後も維持されていた。一方で添加剤としてヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルのみを用いた製剤やヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルと他の添加剤の組合せを用いた製剤は良好な皮膚透過速度及びラグタイムを有していたものの、保存後にそれらの性質が維持されなかった(比較例13〜16)。
また、セロトニン受容体拮抗薬としてグラニセトロンを用いた場合も、添加剤としてヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルとC8−C16脂肪族アルコールの組合せを用いた製剤(実施例3)及びヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルとポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテルの組合せを用いた製剤は、良好な皮膚透過速度及びラグタイムを有し、かつその性質が保存後も維持されていた。一方で添加剤としてヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルのみを用いた製剤やヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステルと他の添加剤の組合せを用いた製剤は良好な皮膚透過速度及びラグタイムを有していたものの、保存後にそれらの性質が維持されなかった(比較例13〜16)。
Claims (10)
- (a)セロトニン受容体拮抗薬、(b)ヒドロキシ基を有しない高級脂肪酸エステル、並びに(c)C8−C16脂肪族アルコール及びポリオキシエチレンC8−C16アルキルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有する経皮吸収製剤。
- (c)成分が、(c)C10−C14脂肪族アルコール及びポリオキシエチレンC10−C14アルキルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の成分である請求項1記載の経皮吸収製剤。
- (a)成分がパロノセトロン又はグラニセトロンである請求項1又は2記載の経皮吸収製剤。
- (b)成分が炭素数10〜18の高級脂肪酸の炭素数1〜6のアルコールが縮合したエステルである請求項1〜3のいずれか1項記載の経皮吸収製剤。
- (b)成分がミリスチン酸イソプロピルである請求項1〜4のいずれか1項記載の経皮吸収製剤。
- (c)成分がラウリルアルコール又はポリオキシエチレンラウリルエーテルである請求項1〜5のいずれか1項記載の経皮吸収製剤。
- (c)成分がラウリルアルコールである請求項1〜6のいずれか1項記載の経皮吸収製剤。
- 貼付剤である請求項1〜7のいずれか1項記載の経皮吸収製剤。
- 粘着剤層中の各成分の含有率が、(a)成分が0.1〜30重量%であり、(b)成分が1〜40重量%であり、(c)成分が0.5〜20重量%である請求項8記載の経皮吸収製剤。
- 粘着剤層に含まれる粘着剤がアクリル系粘着剤である請求項8又は9記載の経皮吸収製剤。
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JP2018099610A JP2019202965A (ja) | 2018-05-24 | 2018-05-24 | セロトニン受容体拮抗薬含有経皮吸収製剤 |
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