JP2019201557A - レジオネラ属細菌用培地の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】視認性に優れた、レジオネラ属細菌を生育用の培地を提供する。【解決手段】粒状活性炭、栄養成分、及びゲル化剤を水に混ぜ、混合液を得る工程、前記混合液から粒状活性炭を除く工程、及び粒状活性炭を除いた混合液を固化させる工程を含む、レジオネラ属細菌用培地の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、視認性が良好なレジオネラ属細菌用の培地を製造する方法に関する。
レジオネラ(Legionella)属細菌は、土壌や水環境に広く存在するグラム陰性菌である。また、快適な生活や水資源の節約のためのエアロゾルを発生させる人工環境である、噴水、ビル冷却塔、加湿器、循環水を利用した風呂、ならびにそれらの水配管中にも存在していることが知られている。
レジオネラ属細菌、特にLegionella pneumophilaは呼吸を通じて肺に感染し、レジオネラ肺炎を引き起こす。そのため、水配管等における定期的なレジオネラ菌の制御は衛生や安全の点から重要である(非特許文献1)。
レジオネラ属細菌、特にLegionella pneumophilaは呼吸を通じて肺に感染し、レジオネラ肺炎を引き起こす。そのため、水配管等における定期的なレジオネラ菌の制御は衛生や安全の点から重要である(非特許文献1)。
一般に、食品の細菌検査や、細菌感染が疑われる患者の診断や、治療のための抗菌剤を選ぶ薬剤感受性試験の場面では、対象細菌を分離するために選択分離培地が用いられる。また、選択分離培地とは、できるだけ分離対象とする微生物のみが生育できるように工夫された培地の総称である。
レジオネラの培養、分離、及び検出には、従来からBCYE寒天培地やこれに選択物質を加えたGVPC寒天培地が使用されており、これらの寒天培地に検体を塗布した後、37℃、3〜7日間培養することにより検出される(非特許文献2〜3)。
国立感染症研究所ホームページ レジオネラ症とは 2014年6月25日改訂(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ra/legionella/392-encyclopedia/530-legionella.html)
日本BDホームページ BCYE寒天培地(http://www.bdj.co.jp/micro/products/1f3pro00000rxopy.html)
日水製薬 GVPC寒天培地パンフレット(https://cosmokai.com/img/pdf/43.pdf)
BCYE寒天培地やGVPC寒天培地は、レジオネラ属細菌の生育を妨げる過酸化物等を除去するために、活性炭粉末を含有する。そのため、培地が黒く不透明であり、生育したレジオネラ属細菌のコロニーを判別し難く、色原体を遊離しうる発色基質等でコロニーを着色しても判別が困難である。
このような状況を鑑みて、本発明は、視認性に優れたレジオネラ属細菌を生育用の培地を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意研究の末、固体培地を調製する際に、粒状活性炭を用い、固化前にこれを除くことにより、レジオネラ属細菌の生育阻害物質を除去しつつ、透明な培地を取得することができることに想到し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]粒状活性炭、栄養成分、及びゲル化剤を水に混ぜ、混合液を得る工程、前記混合液
から粒状活性炭を除く工程、及び粒状活性炭を除いた混合液を固化させる工程を含む、レジオネラ属細菌用培地の製造方法。
法。
[2]前記固化工程の前に、発色剤を添加する工程を含む、[1]に記載の製造方法。
[3]前記固化工程の前に、選択物質を添加する工程を含む、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記粒状活性炭を除く工程が、自然沈降により行われる、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]粒状活性炭、栄養成分、及びゲル化剤を水に混ぜ、混合液を得る工程、前記混合液
から粒状活性炭を除く工程、及び粒状活性炭を除いた混合液を固化させる工程を含む、レジオネラ属細菌用培地の製造方法。
法。
[2]前記固化工程の前に、発色剤を添加する工程を含む、[1]に記載の製造方法。
[3]前記固化工程の前に、選択物質を添加する工程を含む、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記粒状活性炭を除く工程が、自然沈降により行われる、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
本発明により、レジオネラ属細菌を生育でき、かつ視認性に優れた透明な培地を製造することができる。培地を製造する際に、発色剤をさらに含有させることによりコロニーの視認性がより向上でき、また選択物質をさらに含有させることによりレジオネラ属細菌を選択的に検出できる。
本発明の製造方法は、粒状活性炭、栄養成分、及びゲル化剤を水に混ぜ、混合液を得る工程、前記混合液から粒状活性炭を除く工程、及び粒状活性炭を除いた混合液を固化させる工程を含む。
本発明の製造方法において、混合液を得る工程は、通常撹拌を行い、加温してもよく、オートクレーブ等で滅菌しながら行うことも好ましい。この際、粒状活性炭、栄養成分、及びゲル化剤は混合により十分に水に分散・溶解させることが好ましい。
最終的に得られる培地に後述の選択物質や発色剤を含有させる場合は、通常は粒状活性炭を除いた混合液を固化させる工程の前に行われる。また、これらは熱による分解を受けやすいため、混合液を得る際に加熱を行う場合は、混合液を冷却してから、またはさらに粒状活性炭を除く工程を行ってから、選択物質や発色剤を添加し、混合することが好ましい。
また、その他の培地の任意成分も、適当な工程時に添加することができる。
最終的に得られる培地に後述の選択物質や発色剤を含有させる場合は、通常は粒状活性炭を除いた混合液を固化させる工程の前に行われる。また、これらは熱による分解を受けやすいため、混合液を得る際に加熱を行う場合は、混合液を冷却してから、またはさらに粒状活性炭を除く工程を行ってから、選択物質や発色剤を添加し、混合することが好ましい。
また、その他の培地の任意成分も、適当な工程時に添加することができる。
粒状活性炭を除く工程は、静置により自然に沈降させるか、遠心分離により沈降させて、上澄みのみを取り分けることにより行ってもよいし、フィルター等でろ過することで除いてもよいが、静置による自然沈降が操作が簡便でよい。なお、粒状活性炭は当初添加量の90%以上除去することが好ましく、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上除去する。
粒状活性炭を除いた混合液を固化させる工程は、ゲル化剤の種類により異なるが、適切な温度まで冷却するなどにより行われる。固化させる前に、混合液を脱気してもよい。
また、固化させる工程においては、シャーレなどの通常の培養容器に注いで固化させる態様でもよいし、シート状の培地(国際公開第97/24432号パンフレット等)等の態様としてもよい。
また、固化させる工程においては、シャーレなどの通常の培養容器に注いで固化させる態様でもよいし、シート状の培地(国際公開第97/24432号パンフレット等)等の態様としてもよい。
本発明において粒状活性炭は、レジオネラ属細菌の生育を妨げる過酸化物等を培地から除去するためのものである。本発明の製造方法においては、製造途中でこれを除くことにより得られる培地を透明なものとすることができる。これにより、最終的に得られる培地は、細菌のコロニーを明確に判別しやすくできる。
従来のBCYE寒天培地やGVPC寒天培地は、レジオネラ属細菌の生育阻害物質を除去するために粉末活性炭を含有するが、ゲル化剤を含有する混合物中で沈降等による除去が難しく、透明な培地が得られ難い。
従来のBCYE寒天培地やGVPC寒天培地は、レジオネラ属細菌の生育阻害物質を除去するために粉末活性炭を含有するが、ゲル化剤を含有する混合物中で沈降等による除去が難しく、透明な培地が得られ難い。
粒状活性炭の平均粒径は、1〜10mmが好ましく、2.5〜5mmがより好ましい。また、粒状活性炭の混合量は、使用時の濃度として混合液中に10〜100g/Lが好ましく、10〜50g/Lがより好ましい。また、粒状活性炭は、通常15分間以上、混合液中にあることが、過酸化物等の除去の観点から好ましい。
本発明において栄養成分は、レジオネラ属細菌の生育のための栄養である。特に限定されず、ペプトン、大豆ペプトン、酵母エキス、獣肉エキス、魚肉エキス、ブドウ糖、ショ糖、乳糖等の通常細菌の生育用培地に用いられる成分を用いる。使用時の濃度として0.1〜50g/Lが好ましく、1〜10g/Lがより好ましい。
本発明においてゲル化剤は、培地の水分を保持して培地を支持し、固形培地とするためのものであり、これにより後述するレジオネラ属細を検出する際の操作が容易になる。
ゲル化剤としては、特に限定されず、寒天、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース誘導体;デンプン及びその誘導体;ヒアルロン酸、グアーガム、キサンタンガム等の多糖類;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−ビニルアルコール共重合体等のアクリル酸誘導体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル;コラーゲン等のタンパク質等を挙げられる。
また、その含有量は通常固形培地に使用される量に任意に調整できる。
ゲル化剤としては、特に限定されず、寒天、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース誘導体;デンプン及びその誘導体;ヒアルロン酸、グアーガム、キサンタンガム等の多糖類;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−ビニルアルコール共重合体等のアクリル酸誘導体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル;コラーゲン等のタンパク質等を挙げられる。
また、その含有量は通常固形培地に使用される量に任意に調整できる。
本発明において製造される培地に、発色剤を含有させることも好ましい。これにより、生育したレジオネラ属細菌に有色コロニーを形成させて、視認による検出を容易にすることができる。
発色剤は、通常、レジオネラ属細菌が保有するフォスファターゼ若しくはエステラーゼにより有色の色原体化合物が遊離する発色酵素基質や、酸化還元指示薬である。
発色剤は、通常、レジオネラ属細菌が保有するフォスファターゼ若しくはエステラーゼにより有色の色原体化合物が遊離する発色酵素基質や、酸化還元指示薬である。
フォスファターゼにより有色の色原体化合物が遊離する発色酵素基質としては、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシルリン酸、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシルリン酸、6−クロロ−3−インドキシルリン酸塩、1−(2−(4−ジメチルアミノベンゾイル)フェニル)−1H−インドール−3−イルリン酸(1-[2-[4-(Dimethylamino)benzoyl]phenyl]-1H-indol-3-yl phosphate, disodium salt; Biosynth社製Aldol 515-phospahte)等が好ましく挙げられる。
エステラーゼにより有色の色原体化合物が遊離する発色酵素基質としては、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル酢酸、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル酢酸、6−クロロ−3−インドキシルリン酢酸、1−(2−(4−ジメチルアミノベンゾイル)フェニル)−1H−インドール−3−イル酢酸(1-[2-[4-(Dimethylamino)benzoyl]phenyl]-1H-indol-3-yl phosphate, disodium salt; Biosynth社製Aldol 515-acetate)等が好ましく挙げられる。
これらの酵素基質の培地中の含有量は、使用時の濃度として0.01〜0.5g/Lが好ましく、0.01〜0.15g/Lがより好ましい。
エステラーゼにより有色の色原体化合物が遊離する発色酵素基質としては、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル酢酸、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル酢酸、6−クロロ−3−インドキシルリン酢酸、1−(2−(4−ジメチルアミノベンゾイル)フェニル)−1H−インドール−3−イル酢酸(1-[2-[4-(Dimethylamino)benzoyl]phenyl]-1H-indol-3-yl phosphate, disodium salt; Biosynth社製Aldol 515-acetate)等が好ましく挙げられる。
これらの酵素基質の培地中の含有量は、使用時の濃度として0.01〜0.5g/Lが好ましく、0.01〜0.15g/Lがより好ましい。
酸化還元指示薬としては、テトラゾリウムバイオレット、塩化2,3,5−トリフェニルテトラゾリウム、p−ヨードニトロテトラゾリウムバイオレット、塩化p−ニトロブルーテトラゾリウム、塩化ニトロブルーテトラゾリウム、臭化3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウム等が好ましく挙げられる。
培地中の含有量は、使用時の濃度として0.001〜0.1g/Lが好ましく、0.001〜0.05g/Lがより好ましい。
培地中の含有量は、使用時の濃度として0.001〜0.1g/Lが好ましく、0.001〜0.05g/Lがより好ましい。
本発明において製造される培地に、レジオネラ属細菌の選択分離能を付与する場合は、選択物質を調製の際に添加すればよい。選択物質としては、グリシン、バンコマイシン、
ポリミキシンB、及びアンホテリシンB等を好ましく例示できる。
グリシンは、バチルス(Bacillus)属菌株を抑制する。培地中の含有量は、使用時の濃度として0.1〜10g/Lが好ましく、1〜5g/Lがより好ましい。
バンコマイシンは、グラム陽性菌のほとんどの生育を抑制する。培地中の含有量は、使用時の濃度として0.1〜10mg/Lが好ましく、0.1〜1.0mg/Lがより好ましい。
ポリミキシンBは、レジオネラ属細菌以外のグラム陰性菌のほとんどの生育を抑制する。培地中の含有量は、使用時の濃度として1〜50mg/Lが好ましく、5〜15mg/Lがより好ましい。
アンホテリシンBは、真菌類のほとんどの生育を抑制する。培地中の含有量は、使用時の濃度として1〜50mg/Lが好ましく、1〜5mg/Lがより好ましい。
上記4種類を1種又は2種以上、好ましくは4種を組み合わせて用いることにより、本発明により製造される培地をレジオネラ属細菌の選択分離用に好適なものとすることができる。
ポリミキシンB、及びアンホテリシンB等を好ましく例示できる。
グリシンは、バチルス(Bacillus)属菌株を抑制する。培地中の含有量は、使用時の濃度として0.1〜10g/Lが好ましく、1〜5g/Lがより好ましい。
バンコマイシンは、グラム陽性菌のほとんどの生育を抑制する。培地中の含有量は、使用時の濃度として0.1〜10mg/Lが好ましく、0.1〜1.0mg/Lがより好ましい。
ポリミキシンBは、レジオネラ属細菌以外のグラム陰性菌のほとんどの生育を抑制する。培地中の含有量は、使用時の濃度として1〜50mg/Lが好ましく、5〜15mg/Lがより好ましい。
アンホテリシンBは、真菌類のほとんどの生育を抑制する。培地中の含有量は、使用時の濃度として1〜50mg/Lが好ましく、1〜5mg/Lがより好ましい。
上記4種類を1種又は2種以上、好ましくは4種を組み合わせて用いることにより、本発明により製造される培地をレジオネラ属細菌の選択分離用に好適なものとすることができる。
本発明において、上記の他にACES(N-(2-Acetamido)-2-aminoethanesulfonic acid)、α−ケトグルタル酸、L−システイン塩酸塩、ピロリン酸第二鉄、硫酸第一鉄、Tween80等も、最終的に得られる培地に含有させることが好ましく、これらは適切な工程で添
加すればよい。
ACESは、レジオネラ属細菌の至適生育pHを維持するためのものである。培地中の含有量は、使用時の濃度として0.1〜50g/Lが好ましく、1〜10g/Lがより好ましい。
α−ケトグルタル酸は、レジオネラ属細菌の生育促進のためのものである。培地中の含有量は、使用時の濃度として0.01〜10g/Lが好ましく、0.1〜5g/Lがより好ましい。
L−システイン塩酸塩は、レジオネラ属細菌が生育のために要求するものである。培地中の含有量は、使用時の濃度として0.01〜10g/Lが好ましく、0.1〜1g/Lがより好ましい。なお、L−システイン塩酸塩を不含とした培地を併用することで、レジオネラ属細菌の確認が行うことができる。
ピロリン酸第二鉄や硫酸第一鉄は、レジオネラ属細菌が生育のために要求する鉄源となる。培地中の含有量は、使用時の濃度として0.01〜3g/Lが好ましく、0.1〜1g/Lがより好ましい。
Tween80は、レジオネラ属細菌の生育向上のためのものである。培地中の含有量は、使
用時の濃度として0.01〜3g/Lが好ましく、0.1〜1g/Lがより好ましい。
加すればよい。
ACESは、レジオネラ属細菌の至適生育pHを維持するためのものである。培地中の含有量は、使用時の濃度として0.1〜50g/Lが好ましく、1〜10g/Lがより好ましい。
α−ケトグルタル酸は、レジオネラ属細菌の生育促進のためのものである。培地中の含有量は、使用時の濃度として0.01〜10g/Lが好ましく、0.1〜5g/Lがより好ましい。
L−システイン塩酸塩は、レジオネラ属細菌が生育のために要求するものである。培地中の含有量は、使用時の濃度として0.01〜10g/Lが好ましく、0.1〜1g/Lがより好ましい。なお、L−システイン塩酸塩を不含とした培地を併用することで、レジオネラ属細菌の確認が行うことができる。
ピロリン酸第二鉄や硫酸第一鉄は、レジオネラ属細菌が生育のために要求する鉄源となる。培地中の含有量は、使用時の濃度として0.01〜3g/Lが好ましく、0.1〜1g/Lがより好ましい。
Tween80は、レジオネラ属細菌の生育向上のためのものである。培地中の含有量は、使
用時の濃度として0.01〜3g/Lが好ましく、0.1〜1g/Lがより好ましい。
本発明において、上記の他に、他の選択物質、無機塩類、pH調整剤等の、通常微生物培地に用いられる成分も、最終的に得られる培地に含有させることができ、これらは適切な工程で添加すればよい。
他の選択物質としては、レジオネラ属細菌以外の細菌や真菌類の生育を抑制するために、セファマンドールやシクロヘキシミド等の抗菌性化合物が好ましく挙げられる。
無機塩類としては、塩化ナトリウム等の無機酸金属塩、ピルビン酸ナトリウム等の有機酸金属塩等が好ましく挙げられる。
他の選択物質としては、レジオネラ属細菌以外の細菌や真菌類の生育を抑制するために、セファマンドールやシクロヘキシミド等の抗菌性化合物が好ましく挙げられる。
無機塩類としては、塩化ナトリウム等の無機酸金属塩、ピルビン酸ナトリウム等の有機酸金属塩等が好ましく挙げられる。
本発明において、最終的に得られる培地のpHは、レジオネラ属細菌の生育の観点から使用時に6.75〜6.95であることが好ましい。また、pHの調整は水酸化カリウムで行うことが好ましい。
粒状活性炭、栄養成分、ゲル化剤、及びその他任意成分を組み合わせて、本発明の製造方法に供する、本発明の培地調製用のキットとすることができる。
本発明の製造方法により得られた培地は、検体中のレジオネラ属細菌を検出する方法に好適に利用できる。
かかる検出方法は、本発明により製造された培地に検体を接種する工程、前記検体に含まれるレジオネラ属細菌を培養する工程、及び前記微生物のコロニーを検出する工程を含む。培養工程における条件としては、35〜37℃、7日間、好気条件下が好ましい。
本発明の培地は透明であり、選択物質を加えた場合にはレジオネラ属細菌以外の他の微生物の生育を抑制でき、また色原体化合物を加えた場合にはレジオネラ属細菌を有色のコロニーとして検出できるため、本検出方法によればレジオネラ属細菌の検出を容易に行うことができる。
かかる検出方法は、本発明により製造された培地に検体を接種する工程、前記検体に含まれるレジオネラ属細菌を培養する工程、及び前記微生物のコロニーを検出する工程を含む。培養工程における条件としては、35〜37℃、7日間、好気条件下が好ましい。
本発明の培地は透明であり、選択物質を加えた場合にはレジオネラ属細菌以外の他の微生物の生育を抑制でき、また色原体化合物を加えた場合にはレジオネラ属細菌を有色のコロニーとして検出できるため、本検出方法によればレジオネラ属細菌の検出を容易に行うことができる。
本検出法に適用される検体としては、水などの環境検体、血液、組織および喀痰などの臨床検体、病院などのふき取り検体等が挙げられる。また、これらの検体を、予め増菌用培地で培養した培養液も、検体として用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<実施例1>
(1)培地の作製
表1に示す組成のベース培地を混合し、水酸化カリウムにてpHを6.75〜6.95に調整後、121℃で15分間加熱溶解した後、約50℃まで冷却した。ここに、表2に示す組成の水溶液を加え、よく混合した後、5分間静置した。顆粒状活性炭が沈降した培地の上清部分を、プラスチックシャーレ(90φmm)に20mLずつ分注して、培地が固まるまで室温で静置し、本発明に係る培地(実施例1)を作製した。なお、実施例1の培地は透明である。
比較培地として、レジオネラ属細菌の培養に一般的に用いられるBCYE寒天培地(日本BD製)を使用した。なお、BCYE寒天培地の外観は、炭素末のために不透明で黒色である。
陽性対照として、市販のヒツジ血液寒天(BA)培地(日本BD製)を使用した。
(1)培地の作製
表1に示す組成のベース培地を混合し、水酸化カリウムにてpHを6.75〜6.95に調整後、121℃で15分間加熱溶解した後、約50℃まで冷却した。ここに、表2に示す組成の水溶液を加え、よく混合した後、5分間静置した。顆粒状活性炭が沈降した培地の上清部分を、プラスチックシャーレ(90φmm)に20mLずつ分注して、培地が固まるまで室温で静置し、本発明に係る培地(実施例1)を作製した。なお、実施例1の培地は透明である。
比較培地として、レジオネラ属細菌の培養に一般的に用いられるBCYE寒天培地(日本BD製)を使用した。なお、BCYE寒天培地の外観は、炭素末のために不透明で黒色である。
陽性対照として、市販のヒツジ血液寒天(BA)培地(日本BD製)を使用した。
(2)菌株の供試
Legionella pneumophila JCM 7571、L. pneumophila ATCC 33156、L. anisa ATCC 35292を供試菌株とした。各供試菌株はBCYE寒天培地にて35℃、48時間培養後、滅菌
綿棒を用いて、マクファーランド比濁#1相当(約3.0×108CFU/mL)になる
ように0.05重量%寒天加滅菌生理食塩水に懸濁し、菌原液とした。各菌原液は10-7まで、0.05重量%寒天加滅菌生理食塩水にて10倍段階希釈を繰り返し、各菌液をMiles−Misra法(新細菌培地学講座−上− <第二版> 182−192頁、株式会社近代出版 1986年)により各培地に供試した。供試した全ての培地を35℃、24時間
培養後、生育菌数およびコロニーの色調を確認した。
生育菌数の結果を表3に示す。
Legionella pneumophila JCM 7571、L. pneumophila ATCC 33156、L. anisa ATCC 35292を供試菌株とした。各供試菌株はBCYE寒天培地にて35℃、48時間培養後、滅菌
綿棒を用いて、マクファーランド比濁#1相当(約3.0×108CFU/mL)になる
ように0.05重量%寒天加滅菌生理食塩水に懸濁し、菌原液とした。各菌原液は10-7まで、0.05重量%寒天加滅菌生理食塩水にて10倍段階希釈を繰り返し、各菌液をMiles−Misra法(新細菌培地学講座−上− <第二版> 182−192頁、株式会社近代出版 1986年)により各培地に供試した。供試した全ての培地を35℃、24時間
培養後、生育菌数およびコロニーの色調を確認した。
生育菌数の結果を表3に示す。
実施例1の培地では、透明な培地上で、レジオネラ属細菌であるL. pneumophilaとL. anisaが生育することを認めた。またこのとき、レジオネラ属細菌は白色のコロニーを形成した。このとき培地が透明であるため、培地の接種側だけでなく、フタを開けずとも裏側からその発育を確認することが可能であった。一方、従来のBCYE寒天培地では黒色の培地上にレジオネラ属細菌であるL. pneumophilaとL. anisaが灰白色のコロニーとして生育することを認めたが、培地が黒色かつ不透明であるため、培地接種面からのみ確認が可能であった。また、フタに水滴等で曇りが生じた場合には、フタを開けてコロニーの存在を確認する必要があった。
<実施例2>
(1)培地の作製
表4に示す組成のベース培地を混合し、水酸化カリウムにてpHを6.75〜6.95に調整後、121℃で15分間加熱溶解した後、約50℃まで冷却した。ここに、表5に
示す組成の発色剤及び選択物質の水溶液を加え、よく混合した後、5分間静置した。顆粒状活性炭が沈降した培地の上清部分を、プラスチックシャーレ(90φmm)に20mLずつ分注して、培地が固まるまで室温で静置し、本発明に係る培地(実施例2)を作製した。なお、本発明の培地は透明である。
比較培地として、レジオネラ属細菌の培養に一般的に用いられるBCYE寒天培地(日本BD製)と、市販のヒツジ血液寒天(BA)培地(日本BD製)を使用した。
(1)培地の作製
表4に示す組成のベース培地を混合し、水酸化カリウムにてpHを6.75〜6.95に調整後、121℃で15分間加熱溶解した後、約50℃まで冷却した。ここに、表5に
示す組成の発色剤及び選択物質の水溶液を加え、よく混合した後、5分間静置した。顆粒状活性炭が沈降した培地の上清部分を、プラスチックシャーレ(90φmm)に20mLずつ分注して、培地が固まるまで室温で静置し、本発明に係る培地(実施例2)を作製した。なお、本発明の培地は透明である。
比較培地として、レジオネラ属細菌の培養に一般的に用いられるBCYE寒天培地(日本BD製)と、市販のヒツジ血液寒天(BA)培地(日本BD製)を使用した。
(2)菌株の供試
Legionella pneumophila JCM 7571、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Bacillus subtilis、Enterococcus faecalis、及びCandida albicansを供試菌株とした。こ
れらのうちレジオネラ属細菌はBCYE寒天培地にて35℃、48時間培養したもの、その他の供試菌株はBA培地で35℃、24時間培養したものをそれぞれ試験に供した。各供試菌株は、滅菌綿棒を用いて、マクファーランド比濁#1相当(約3.0×108CF
U/mL)になるように0.05重量%寒天加滅菌生理食塩水に懸濁し、菌原液とした。各菌原液は10-7まで、0.05重量%寒天加滅菌生理食塩水にて10倍段階希釈を繰り返し、各菌液をMiles−Misra法(新細菌培地学講座−上− <第二版> 182−192頁、株式会社近代出版 1986年)により各培地に供試した。供試した全ての培地を
35℃、24時間培養後、生育菌数およびコロニーの色調を確認した。
生育菌数の結果を表6に示す。
Legionella pneumophila JCM 7571、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Bacillus subtilis、Enterococcus faecalis、及びCandida albicansを供試菌株とした。こ
れらのうちレジオネラ属細菌はBCYE寒天培地にて35℃、48時間培養したもの、その他の供試菌株はBA培地で35℃、24時間培養したものをそれぞれ試験に供した。各供試菌株は、滅菌綿棒を用いて、マクファーランド比濁#1相当(約3.0×108CF
U/mL)になるように0.05重量%寒天加滅菌生理食塩水に懸濁し、菌原液とした。各菌原液は10-7まで、0.05重量%寒天加滅菌生理食塩水にて10倍段階希釈を繰り返し、各菌液をMiles−Misra法(新細菌培地学講座−上− <第二版> 182−192頁、株式会社近代出版 1986年)により各培地に供試した。供試した全ての培地を
35℃、24時間培養後、生育菌数およびコロニーの色調を確認した。
生育菌数の結果を表6に示す。
実施例2の培地では、レジオネラ属細菌であるL. pneumophilaのみが選択的に生育し、かつ明瞭な赤色のコロニーを形成し、容易にレジオネラ属細菌の存在を確認することができた。またレジオネラ属細菌以外の菌の生育を良好に抑制することができた。一方、BC
YE寒天培地では、レジオネラ属細菌を含む全ての生育微生物は白〜灰色のコロニーを形成した。
YE寒天培地では、レジオネラ属細菌を含む全ての生育微生物は白〜灰色のコロニーを形成した。
本発明により、レジオネラ属細菌を生育でき、かつ視認性に優れた透明な培地を製造することができるため、産業上非常に有用である。
Claims (4)
- 粒状活性炭、栄養成分、及びゲル化剤を水に混ぜ、混合液を得る工程、前記混合液から粒状活性炭を除く工程、及び粒状活性炭を除いた混合液を固化させる工程を含む、レジオネラ属細菌用培地の製造方法。
- 前記固化工程の前に、発色剤を添加する工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
- 前記固化工程の前に、選択物質を添加する工程を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記粒状活性炭を除く工程が、自然沈降により行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
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JP2018097206A JP2019201557A (ja) | 2018-05-21 | 2018-05-21 | レジオネラ属細菌用培地の製造方法 |
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Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10309189A (ja) * | 1997-05-12 | 1998-11-24 | Nissui Pharm Co Ltd | レジオネラ属菌培養用透明培地 |
JP2012505648A (ja) * | 2008-10-17 | 2012-03-08 | ビオメリュー | レジオネラ属バクテリアを検出および/または同定するための反応培地 |
JP2015047106A (ja) * | 2013-08-30 | 2015-03-16 | 株式会社ツムラ | 微生物検出方法 |
JP2016086754A (ja) * | 2014-11-06 | 2016-05-23 | Jnc株式会社 | カンピロバクター検出用培地 |
-
2018
- 2018-05-21 JP JP2018097206A patent/JP2019201557A/ja active Pending
Patent Citations (4)
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