JP2019199647A - 超多層膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】 鍛造加工時や切削加工時における摩耗やヒートショックなどの熱疲労亀裂を抑制し、金型や工具の大きな割れや欠けを防止でき、耐久性に優れた表面被膜が得られるチタン合金コーティング超多層膜を提供する。【解決手段】 超多層膜1は、基材2の上に形成される被膜であって、被膜1は、アークイオンプレーティングによって第1超多層膜と第2超多層膜とを各々1以上交互に積層させてなる超多層膜が形成され、前記超多層膜は、TiaMobN1−a−bからなるn個のA層と、Me1xMe2yMe3zN1−x−y−zからなるm個のB層とを交互に積層することにより構成され、前記A層及びB層の1層あたりの膜厚がナノメータに形成され、n+mが100個以上形成される。【選択図】図1
Description
本発明は、耐摩耗性或いは耐食性が要求される切削工具、金型、機械部品、或いは運動用具の表面に被膜されるチタン合金コーティング超多層膜に関する。
工具や金型を高寿命化・高機能化するための手法として、工具や金型の表面に窒化処理やショットピーニングなどの表面硬化処理によってその耐摩耗性の向上が図られている。また、より高い加工精度への要求に伴って、より耐摩耗性に優れた表面硬化処理が求められ、その1つとして、PVD法による高い硬さの表面皮膜を被処理材に与える表面硬化処理が行われている。
例えば、特許文献1では、PVD法によって形成されたAlの酸化物による皮膜は耐摩耗性に非常に優れるものの、安定した皮膜の形成が難しく、他方、Ti、Hf、Zr等の窒化物は安定した皮膜を形成できるものの、耐摩耗性、特に、高速切削用途での耐摩耗性が不足すると述べている。さらに、同文献では、Al、Siを含む所定の金属元素の窒化物、酸化物、炭化物、炭窒化物、ホウ化物のうちの1つ以上の化合物からなる第1層と、Al、Siを含む所定の金属元素のうちの2種の金属元素からなる合金の窒化物、酸化物、炭化物、炭窒化物及び/若しくはホウ化物からなる第2層と、をPVD法により、積層周期0.4nm〜50nmで積層し、全体の皮膜厚さを0.5〜10μmとした多層皮膜を被処理材に与えることを開示している。このような多層皮膜は、安定してPVD法によって形成できるとともに、高い硬さを有し良好な耐摩耗性を与え、しかも界面の整合性に優れるから剥離の少ない皮膜であって、結果的に、被処理材により優れた耐摩耗性を与え得ることが開示されている。この特許文献1のように、一般的に、工具鋼にPVD法によって多層皮膜を与えることで、表面若しくは多層皮膜中に発生したクラックが多層界面において積層方向へ伝搬することを抑制されるから、単層皮膜よりも耐衝撃性などを高め得る。つまり、工具としての使用時に受ける衝撃に対して皮膜の割れや剥離の発生を防止でき、結果として、より優れた耐摩耗性を得ることが可能となる。
また、例えば特許文献2には、PVD法により、TiCxN1−x(0≦x≦0.6)からなる第1層と、(AlyTi1−y)(NzC1−z)(0.56≦y≦0.75,0.6≦z≦1)からなる第2層とが交互に隣接して4層以上積層し、且つ、多層皮膜の総皮膜厚さが0.6〜12μmである工作工具の耐摩耗皮膜が開示されている。上記したように、多層皮膜構造により、表面近傍で発生したクラックの成長を緩和・阻止できて、皮膜の割れや剥離の発生を防止し、優れた耐摩耗性を与え得ることが可能であるとしている。
工具や金型においては、より高い加工精度への要求に伴って、PVD法による高い硬さの表面皮膜を工具や金型に与える表面硬化処理が検討されている。すなわち、鍛造加工時や切削加工時における機械的な摩耗とともに、熱疲労亀裂を起因とする工具や金型の大きな割れや欠けを防止できることも求められる。
本発明の課題は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、鍛造加工時や切削加工時における摩耗やヒートショックなどの熱疲労亀裂を抑制し、金型や工具の大きな割れや欠けを防止でき、耐久性に優れた表面被膜が得られるチタン合金コーティング超多層膜を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明による超多層膜は、基材の上に形成される被膜であって、前記被膜は、アークイオンプレーティングによって第1超多層膜と第2超多層膜とを各々1以上交互に積層させてなる超多層膜が形成され、前記超多層膜は、TiaMobN1−a−bからなるn個のA層と、MexMeyMezN1−x−y−zからなるm個のB層とを交互に積層することにより構成され、前記A層及びB層の1層あたりの膜厚がナノメータに形成され、n+mが100個以上に形成されたことを要旨としている。
また、前記A層は原子パーセントが0.5≦a≦0.9、0.1≦b≦0.2であり、前記B層は化学組成がMe1xMe2yMe3zN1−x−y−zであり、Me1、Me2、Me3は、3B、4B、3A、4A、5A、6A族元素のうち、Al、Si、Sc、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのうち、それぞれ1種類の元素であり、0.1≦x≦0.7、0.1≦y≦0.8、0≦z≦0.6とされ、x+y+z<1.0としている。
本発明の超多層膜は、アークイオンプレーティングによって、TiaMobN1−a−bからなるn個のA層と、Me1xMe2yMe3zN1−x−y−zからなるm個のB層とを交互に積層し、A層及びB層の1層あたりの膜厚がナノメータに形成し、しかも、n+mが100個以上に形成しているので、表面若しくは多層皮膜中に発生したクラックが多層界面において積層方向へ伝搬することを抑制されることから、単層皮膜よりも耐衝撃性などを高めることができる。この超多層膜を工具や金型に形成することにより、使用時に受ける衝撃に対して皮膜の割れや剥離の発生を防止でき、結果として、より優れた耐摩耗性を得ることができる。
また、A層を原子パーセントが0.5≦a≦0.9、0.1≦b≦0.2とし、B層を化学組成がMe1xMe2yMe3zN1−x−y−zとし、Me1、Me2、Me3を3B、4B、3A、4A、5A、6A族元素のうち、Al、Si、Sc、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのうち、それぞれ1種類の元素を0.1≦x≦0.7、0.1≦y≦0.8、0≦z≦0.6とされ、x+y+z<1.0として超多層膜を形成することにより、超多層膜を形成した工具や金型は、使用時に受ける衝撃に対して割れや剥離の発生を防止できるとともに、さらに優れた耐摩耗性を得ることが可能となる。
本発明による超多層膜は、基材の上に形成される被膜であって、前記被膜は、アークイオンプレーティングによって第1超多層膜と第2超多層膜とを各々1以上交互に積層させてなる超多層膜は形成され、前記超多層膜は、TiaMobN1−a−bからなるn個のA層と、MexMeyMezN1−x−y−zからなるm個のB層とを交互に積層することにより構成され、前記A層及びB層の1層あたりの膜厚がナノメータに形成され、n+mが100個以上に形成されている。
以下、本発明の好適な実施例について説明する。図1は、本発明による超多層膜を表面に形成した状態を示している。超多層膜1は、工具や金型として使用される鋼材2の表面に形成されている。鋼材2の表面と超多層膜1との間には、超多層膜1を形成する前の処理として下地層3が形成されている。
超多層膜1は、TiaMobN1−a−bからなるn個の第1超多層膜からなるA層(A)と、Me1xMe2yMe3zN1−x−y−zからなるm個の第2超多層膜からなるB層(B)とが交互に積層されている。これらのA層(A)とB層(B)は、周知のアークイオンプレーティングを施すことによって形成され、A層(A)とB層(B)の1層あたりの膜厚はナノメータに形成される。そして、n個のA層(A)と、m個のB層(B)の合計層数、すなわち、n+mを100個以上に積層して形成することにより、超多層膜1が形成される。
また、A層(A)の原子パーセントは、0.5≦a≦0.9、0.1≦b≦0.2としている。さらに、B層(B)は、化学組成がMe1xMe2yMe3zN1−x−y−zであり、Me1、Me2、Me3は、3B、4B、3A、4A、5A、6A族元素のうち、Al、Si、Sc、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのうち、それぞれ1種類の元素から選択され、原子パーセントは、0.1≦x≦0.7、0.1≦y≦0.8、0≦z≦0.6とされ、x+y+z<1.0としている。
鋼材2は、アトム窒化装置の反応チャンバ内に設置し、例えば、鋼材2に対して、N2ガスを50sccm、H2ガスを5sccmの混合雰囲気の中で500℃に加熱し、そのまま10時間保持するアトム窒化処理が施される。
次いで、イオンプレーティング装置の反応チャンバ内にあるステージ上に鋼材2を載せて固定する。ステージには、反応チャンバの壁面に沿ってターゲットを配置している。なお、鋼材2に窒化物を生成させるために反応チャンバ内に1〜5Paの分圧となるように窒素ガスを導入する。鋼材2に対するターゲット、イオンプレーティングの諸条件については適宜に設定される。
イオンプレーティングの詳細は省略するが、処理を開始すべく真空アーク放電を発生させると、ターゲットの構成原子が蒸発してイオン化し、それぞれの前方に雰囲気ゾーンを形成する。ステージを回転させると、鋼材2は、この雰囲気ゾーンを通過して行く。イオンプレーティング処理後の鋼材2は、ステージから取り外され、イオンプレーティング装置の反応チャンバから取り出される。
そして、まず、TiaMobN1−a−bからなるA層(A)を、膜厚がナノメータとなるように形成され、次に、化学組成がMe1xMe2yMe3zN1−x−y−zとしたB層(B)を、膜厚がナノメータとなるように形成される。ここで、B層(B)のMe1、Me2、Me3は、3B、4B、3A、4A、5A、6A族元素のうち、Al、Si、Sc、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのうち、それぞれ1種類の元素から選択され、原子パーセントは、0.1≦x≦0.7、0.1≦y≦0.8、0≦z≦0.6とされ、x+y+z<1.0としている。
このように、イオンプレーティングによってB層(B)が形成された後に、再び前述したA層(A)を膜厚がナノメータとなるように形成し、その後、A層(A)の表面に再び前述したB層(B)を膜厚がナノメータとなるように形成し、以後、A層(A)とB層(B)を交互に繰り返し形成する。この結果、鋼材2の表面には、n個のA層(A)と、m個のB層(B)が交互に積層して形成される。そして、A層(A)とB層(B)の合計層数、すなわち、n+mは、100個以上となるように積層される。この結果、鋼材2の表面には、超多層膜1が形成される。
以上、本発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。
1 超多層膜
2 鋼材
A A層
B B層
2 鋼材
A A層
B B層
Claims (2)
- 基材の上に形成される被膜であって、
前記被膜は、アークイオンプレーティングによって第1超多層膜と第2超多層膜とを各々1以上交互に積層させてなる超多層膜が形成され、
前記超多層膜は、TiaMobN1−a−bからなるn個のA層と、Me1xMe2yMe3zN1−x−y−zからなるm個のB層とを交互に積層することにより構成され、
前記A層及びB層の1層あたりの膜厚がナノメータに形成され、n+mが100個以上に形成された超多層膜。 - 前記A層は原子パーセントが0.5≦a≦0.9、0.1≦b≦0.2であり、前記B層は化学組成がMe1xMe2yMe3zN1−x−y−zであり、Me1、Me2、Me3は、3B、4B、3A、4A、5A、6A族元素のうち、Al、Si、Sc、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのうち、それぞれ1種類の元素であり、0.1≦x≦0.7、0.1≦y≦0.8、0≦z≦0.6とされ、x+y+z<1.0とした請求項1に記載の超多層膜。
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JP7335553B2 (ja) | 2020-03-06 | 2023-08-30 | 岡谷熱処理工業株式会社 | 水素バリア機能膜および金属部材 |
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