JP2019199076A - クリップ取り付け構造およびこのクリップ取り付け構造を備えた筆記具 - Google Patents
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Abstract
Description
このために、前記クリップを被挟持物に挟む際に、クリップを過度に拡開させると、クリップの根元部分に過度な応力が働くために、クリップが破損して(折れて)、復元が不可能になるなどの問題が発生する。
特許文献1に開示されたクリップ取り付け構造によると、クリップの取り付け脚部はL字状に曲げられて天冠挿入孔が形成され、この天冠挿入孔に天冠の軸部が通されることで、クリップは天冠によってキャップの天部に支持される。
したがって、キャップの側面に沿ったクリップ本体を開いた場合には、L字状に曲げられたクリップの取り付け脚部が、天冠を軸部と共にキャップの天部から押し上げる。これにより、キャップ内において天冠軸部に装着されたコイルスプリングは、軸方向に収縮され、クリップ本体を元に戻す(クリップをキャップの側面に向かって閉じる)ように作用する。
しかしながら、前記したキャップ内に装着可能なサイズのコイルスプリングにおいては、高いばね荷重を得ることは不可能であるため、クリップ先端部のクリップ玉に与えられる把持力を高めることはできない。
また、前記クリップ取り付け体に装着されたクリップの内面側には、当該クリップによって挟まれる被挟持物に対峙する溝が施されていることが望ましい。
すなわち、コイルスプリングを利用した場合においては、クリップ本体を拡開させる場合の荷重変動はほとんど無く、軽く拡開できると共に、把持力も弱いものとなる。これに対して、この発明に係るクリップ取り付け構造によると、ウェーブスプリングを利用することで、クリップ本体を拡開させるに際して、程よい荷重を発生させることができ、クリップに対する初期のセット荷重を強く設定することが可能となる。さらにクリップを持ち上げた時の荷重(作動荷重)も高めることができ、セット荷重〜作動荷重の荷重差を大きくとることができ、程よい作動感を付与できる。
さらに、スプリングの全長および圧縮ストロークが短いので、例えばスプリングを圧縮させながらの作業を減らすことができ、筆記具の組み立て作業性を向上させることにも寄与できるものとなる。
なお、以下に示す各図においては、同一もしくは相当する部分を同一符号で示しているが、一部の図面においては紙面の都合で代表的な部分に符号を付けて、その詳細ついては、各部品単位で示したそれぞれの図に付けた符号を引用して説明することもある。
すなわち、軸筒2の外周面は両外側に取り付けられる一対の軸飾り21の厚みに相当する分が、予めそぎ落とされて成形されており、前記一対の軸飾り21が軸筒2の長手方向に沿って取り付けられることによって、全体が円柱状に、また前端部付近は緩やかな先細りの円柱状となるように構成されている。
この、ボールペンリフィール3には、前端部側の細く成形された部分に、円錐コイル状のリフィールスプリング31が装着された状態で、軸筒2内に収容されていることでボールペンリフィール3の軸筒2内でのガタツキを防ぐことができる。
そして、キャップユニット4は、前記したとおり、ボールペンリフィール3の先端筆記部3aを覆うようにして、軸筒1に対して着脱可能に取り付けられている。
以下、キャップユニット4を構成する各部材について、部品単位で個々に説明する。
そして、キャップ部材41の天部には後で説明するブッシュ材44が収容されるブッシュ収容凹部41aが形成されており、このブッシュ収容凹部41a内には、直線状縁部41bが対向するように形成されることで、内周面が非円形になされている。
また、図10(B)に示すようにキャップ部材41内には、天部に向かって内径を細くする段差部41dが形成されている。この段差部41dは、後で説明する内キャップ46が収容された場合の内キャップの位置決めとして利用される。
なお、この矩形部42dは、キャップユニット4を組み上げる際に、先端が二股状(凹状)に形成された治具(ドライバー)を用いて、キャップ部材41の内側において、天冠42を回動させるために利用される。
すなわち、ブッシュ材44には第1の回り止め部44bと第2の回り止め部44cが形成されることで、このブッシュ材44を介して、キャップ部材41とクリップ43は回り止めされ、天冠42の軸部42bによってクリップ43はキャップ部材41に取り付けられるものとなる。
なお、第1筒体45aの軸孔内に施された雌ねじ45cには、前記した天冠42に施された雄ねじ42cが螺合される。また、鍔状のスプリング受け45dは、後で説明するウェーブスプリング51の受け座として機能するものとなる。
内キャップ46には、その前端部側に図14に示した止めリング45を収容する円筒状に形成された止めリング収容部46aが備えられ、この止めリング収容部46aにおける周に沿った180度対向する位置には、軸方向に向かって一対の溝部46bが形成されている。この一対の溝部46bは、前記止めリング45に形成された一対のガイド体45eが収容されることで、止めリング45が軸方向にスライドするように機能する。
また、内キャップ46における軸方向の中央部付近には、周に沿って鍔部46eが形成されており、この鍔部46eは、図10(B)に示したキャップ部材41内に形成された段差部41dに当接することで、内キャップ46はキャップ部材41に対して位置決めされる。
さらに、図15(D)に示すように、内キャップ46の後端部側は、末広がりに内外径が拡大され、後端部の外周面には雄ねじ46dが施されている。
また、図15(D)および図4に示すように、内キャップリング47は、後端部から内側に向かって除々に肉厚になされ、軸方向のほぼ中央部に形成された段差部47bから先は薄肉状に成形されて、内キャップリング47は内径が拡大されている。
この構成により、前記段差部47bと内キャップ46の後端部との間で、環状凹部(段差部と同一符号47bで示す。)が形成されている。そして、この環状凹部47bに沿って、ガータースプリング48が収容されている。すなわち、環状凹部47bはガータースプリング48の取り付け凹部を構成している。
なお、ガータースプリングには、ラジアルスプリングやアキシャルスプリングと称される斜め巻きコイルばねを用いたものも存在するが、この実施の形態において用いられるガータースプリング48は、その素材であるコイルばねの巻き方向が、全周にわたり法線方向に巻かれたものを好適に利用することができる。このガータースプリング48は、軸筒2の先端筆記部に対して、キャップユニット4が着脱されるに際して、程よいクリック感が出るように作用するものとなる。
このカツラ部材49は、前方円筒部49aと後方円筒部49bは、ドラム状に湾曲されたばね性を利用して、キャップ部材41の後端開口に密着する。また、短冊状に成形されて内側に膨出する弾性部49cは、軸筒2の軸回りに程よく接触して、軸筒2に対するキャップユニット4のがたつき(ぐらつき)が皆無となるように作用する。
そして、螺旋状に層巻きされた部分は、上下に隣接する波形の巻き部の山51eと波形の巻き部の谷51fが対峙するようにして巻き上げられている。したがって、この種のウェーブスプリング51は、コイルドウェーブスプリングとも呼ばれている。
この実施の形態においては、このウェーブスプリング51を利用して、クリップ43を元に戻す(クリップ本体43aをキャップ部材41の側面に向かって閉じる)ように作用させるものとなる。
先ず、図15に示す状態の内キャップ46、内キャップリング47およびガータースプリング48が組まれたユニットにおいて、内キャップ46に形成された止めリング収容部46a内に、止めリング45を収容する。この場合、止めリング45に形成されたガイド体45eが、内キャップ46の溝部46b内に入るように装着する。
そして、止めリング45の第1筒体45aの外周に、ウェーブスプリング51を装着することで、ウェーブスプリング51はスプリング受け部45d上に載置される。
そして、キャップ部材41の天部に形成したブッシュ収容凹部41a内に、ブッシュ材44を装着する。この時、ブッシュ材44に形成された面そぎ部(第1の回り止め部)44bが、ブッシュ収容凹部41aの直線状縁部41bに沿うように、ブッシュ材44を装着する。
この時、止めリング45のガイド体45eが、内キャップ46の溝部46bに沿ってスライドし、止めリング45の回転は阻止されるので、天冠42を効率よく止めリング45に対して締め付けることができる。
したがって、クリップ43の取り付け脚部43cは、天冠42の鍔部42aに当接し、ブッシュ材44側に押し付けられるので、取り付け脚部43cに続くクリップ本体43aに対して、キャップ部材41の側面に向かって閉じる付勢力が与えられる。
クリップ43が開かれると、図9に示すようにクリップ43の取り付け脚部43cが、天冠42を押し上げる。これにより、天冠の雄ねじ42cに螺合した止めリング45が引上げられ、止めリング45のスプリング受け部45dと、キャップ部材41の天部内面との間に配置された前記ウェーブスプリング51は圧縮を受ける。
これにより、クリップ本体43aの先端部を無意識に過度に開くのを防止させることができ、クリップの取り付け部分を破損させる問題を回避できる。
また、ウェーブスプリング51は、前記したとおりばね定数が高いので、スプリングの圧縮方向の全長を短縮させることができ、その結果、スプリングの収容容積を減少させることに寄与できる。これにより、製品の長さ方向の寸法を短縮させること、また外径を縮小させることも可能となる。
すなわち、軸筒2側にはガータースプリング48が嵌合係止する係止凹部が形成されており、以下において軸筒2側に施されたガータースプリング48の係止凹部について、主に図3および図4に基づいて説明する。
そして、前記したガータースプリング48は、例えばゴム製のOリングなどに比較して、耐久性に優れた安定した嵌合作用を長期にわたって発揮させることができる。さらに、軸筒2に対するキャップユニット4の着脱に際して、程よいクリック感が発生することで、操作上において良好な感触を得ることができ、質の高い高級感に優れた筆記具を提供することに寄与できる。
なお、図18に示す第2の実施形態において、軸筒2およびボールペンリフィール3側の構成は、すでに説明した第1の実施形態と同様である。したがって、相当する部分を同一符号で示し、その詳細な説明は省略する。
この構成により、取り付け脚部43cに続くクリップ本体43a(図12参照)は、キャップ部材41の側面に沿って取り付けられる。
この際、止めリング45の雌ねじ45cに、天冠42の雄ねじ42cを完全に締め付けることにより、前記ウェーブスプリング51に対して初期のセット荷重が発生するように設定されていることが望ましい。
なお、図19〜図26は、第1の実施形態に比較して外観上を含めて多少相違する部分を含むものであり、これらの図19〜図26は、第1の実施形態としてすでに説明した図1〜図2、図5〜図7、図12、図14〜図15に、それぞれ対応するものとなる。
したがって、以下においては第1の実施形態に対して相違する要部について説明する。
そして、軸筒2の外周面には図示していないが、厚さが0.05〜0.3mm程度の粘着テープが貼着され、この粘着テープを介して一対の軸飾り21が、軸筒2の長手方向に沿って取り付けられている。これにより、軸筒2と軸飾り21を含む外観構成は、円柱状に形成され、また前端部付近は緩やかな先細りの円柱状となるように構成されている。
一方、尾栓24内には有底筒状の尾栓飾り27が収容されて、尾栓飾り27の一部が尾栓24の端部に露出するように構成(図20参照)されており、内尾栓23の後端に形成された太径部に、前記尾栓24の前端部が嵌め込まれることで、尾栓24と内尾栓23は一体化されている。この一体化された状態で、内尾栓23が軸筒2の後端部にねじ込まれることで、軸筒2の後端部に、尾栓24が軸方向で面一となるように取り付けられる。
そして、クリップ本体43aの外側への湾曲の度合いが、第1の実施形態に比較して大きく設定され、これに続くクリップ本体43aの内面側に向かう湾曲面43eには、第1の実施形態のようにクリップ玉43bを設けることなく、湾曲面43eがクリップ取り付け体としてのキャップ部材41の側面に接するように構成(図20(B)参照)されている。
すなわち、ガイド体45eの外周面は、ウェーブスプリング51の受け座として機能するスプリング受け45dの外径とほぼ同一寸法に形成されると共に、両外側にそぎ部45fが形成されることで、二股状に形成されている。そして、二股状の一対のガイド体45eは、後で説明する内キャップ46の軸方向に向かって形成された一対の溝部46bに収容されることで、この止めリング45は内キャップ46の止めリング収容部46a内において軸方向にスライドするように配置される。
そして、内キャップ46の後端部側は、末広がりに内外径が拡大されると共に、段部46gを介して円筒状の大径部46fが形成されて、大径部46fの内面には、雌ねじ46hが施されている。
したがって、図21に示されたように内キャップ46を、キャップ部材41内に収容し、内キャップ46の大径部46f側から挿入されたマイナスドライバー(図示せず。)の先端部を、前記一対の凹み46kに挿入して、内キャップ46を回転させることで、キャップ部材41の内周面に形成された雌ねじ41eに、内キャップ46の前記雄ねじ46jを螺合させることができる。
これにより、内キャップ46をキャップ部材41内の所定位置に装着させることができる。
なお、第1〜第3の実施形態においては、クリップが取り付けられるクリップ取り付け体として、いずれもキャップ部材を対象としているが、この発明に係るクリップ取り付け構造は、ボールペン等の筆記具のみならず前端部に筆記部を備える軸筒の天部(後端部)に、クリップを配置した筆記具にも採用することができ、同様の作用効果を得ることができる。
2 軸筒
2a 開口
21 軸飾り
25 尾栓飾り
27 尾栓飾り
3 ボールペンリフィール(筆記体)
3a ボールペンチップ(先端筆記部)
4 キャップユニット
41 キャップ部材(クリップ取り付け体)
41a ブッシュ収容凹部
41b 直線状縁部
41c 軸孔
41d 段差部
41e 雌ねじ
42 天冠
42a 鍔部(頭部)
42b 軸部
42c 雄ねじ
42d 矩形部
43 クリップ
43a クリップ本体
43b クリップ玉
43c 取り付け脚部
43d 天冠挿入孔
43e 湾曲部
43f 溝
44 ブッシュ材
44a 挿通孔
44b 面そぎ部(第1の回り止め部)
44c クリップ係止突起(第2の回り止め部)
45 止めリング
45a 第1筒体
45b 第2筒体
45c 雌ねじ
45d スプリング受け部
45e ガイド体
45f そぎ部
46 内キャップ
47 内キャップリング
48 ガータースプリング(環状スプリング)
49 カツラ部材
51 ウェーブスプリング
51a 巻き始め部
51b 巻き終り部
51c 始端側座巻き部
51d 終端側座巻き部
51e 巻き部の山
51f 巻き部の谷
Claims (5)
- 天冠の軸部が、クリップの取り付け脚部に形成された天冠挿入孔およびクリップ取り付け体の天部に形成された軸孔をそれぞれ介して挿入され、挿入された天冠の軸部に止めリングが装着されることで、前記クリップをクリップ取り付け体に取り付けるクリップ取り付け構造であって、
前記天冠の軸部を囲むように、リング状に形成されたウェーブスプリングがさらに配置され、当該ウェーブスプリングの弾発力により、前記取り付け脚部を前記天冠の鍔部もしくはクリップ取り付け体の天部に当接させることで、前記取り付け脚部に続くクリップ本体を、前記クリップ取り付け体の側面に沿って取り付けたことを特徴とするクリップ取り付け構造。 - 天冠の軸部に装着された止めリングと前記クリップ取り付け体の天部内面との間に、前記ウェーブスプリングが配置され、前記ウェーブスプリングにより前記天冠を前記クリップ取り付け体の天部側に引き込む付勢力を与えることで、前記取り付け脚部を前記天冠の鍔部に当接させ、前記止めリングには、前記天冠の軸部に形成された雄ねじに螺合する雌ねじが形成され、止めリングの外周に形成された鍔状の受け部と、前記クリップ取り付け体の天部内面との間に、前記ウェーブスプリングが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のクリップ取り付け構造。
- 前記取り付け脚部と前記クリップ取り付け体の天部との間には、前記天冠の軸部が通される挿通孔が形成されたブッシュ材が配置され、前記ブッシュ材には前記クリップ取り付け体に対する第1の回り止め部と、前記取り付け脚部に対する第2の回り止め部とが形成され、前記天冠の鍔部と前記取り付け脚部との間に、前記ウェーブスプリングが配置され、前記ウェーブスプリングにより取り付け脚部を、前記クリップ取り付け体の天部に押し付ける付勢力を与えることを特徴とする請求項2に記載のクリップ取り付け構造。
- 前記クリップ取り付け体は、先端筆記部を覆うキャップ部材もしくは筆記体を備える軸筒であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のクリップ取り付け構造を備えた筆記具。
- 前記クリップ取り付け体に装着されたクリップの内面側には、当該クリップによって挟まれる被挟持物に対峙する溝が施されていることを特徴とする請求項4に記載の筆記具。
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