JP2019198839A - 排ガス浄化触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧力損失の上昇を抑えつつ、排ガス浄化性が向上された排ガス浄化触媒を提供することを目的とする。【解決手段】内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化触媒であって、排ガス導入側の端部が開口した導入側セルと、該導入側セルに隣接し排ガス排出側の端部が開口した排出側セルとが、多孔質の隔壁により画定されたウォールフロー型基材と、前記隔壁の気孔内の複数か所に形成された、少なくとも一種以上の触媒金属を含む触媒層と、を有し、該触媒層が、前記隔壁の厚さ方向において、前記導入側セル側に偏在している、排ガス浄化触媒。【選択図】図1

Description

本発明は、排ガス浄化触媒に関する。
内燃機関から排出される排ガスには、炭素を主成分とする粒子状物質(PM)、不燃成分からなるアッシュなどが含まれ、大気汚染の原因となることが知られている。従来より、ガソリンエンジンよりも比較的に粒子状物質を排出しやすいディーゼルエンジンでは、粒子状物質の排出量が厳しく規制されていたが、近年、ガソリンエンジンにおいても粒子状物質の排出量の規制が強化されつつある。
粒子状物質の排出量を低減するための手段としては、内燃機関の排ガス通路に粒子状物質を堆積させ捕集することを目的としたパティキュレートフィルタを設ける方法が知られている。特に、近年では、搭載スペースの省スペース化等の観点から、粒子状物質の排出抑制と、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOx)等の有害成分の除去を同時に行うために、パティキュレートフィルタに触媒スラリーを塗工し、これを焼成することで触媒層を設けることが検討されている。
しかしながら、もともと粒子状物質の堆積により圧力損失が上昇しやすいパティキュレートフィルタに触媒層を設ければ、排ガスの流路がより狭くなり圧力損失がより一層上昇しやすくなり、エンジン出力の低下を招くという問題がある。このような問題を解決するため、例えば、特許文献1〜3には、圧力損失の上昇の抑制と、排ガス浄化性能の向上を目的として、触媒層の種類やそれらを設ける位置を工夫することが提案されている。
WO2016/060048 WO2016/060049 WO2016/060050
具体的には、特許文献1には、入側セル側の隔壁内部に第1触媒層を形成し、出側セル側の隔壁内部に第2触媒層を形成し、第1触媒層及び第2触媒層の長さを隔壁の全長よりも短くすることで、触媒層を隔壁全体にわたって広範に形成するよりも、浄化性能が高くなることが開示されている。また、特許文献2には、入側セル側の隔壁内部に第1触媒層を形成し、出側セル側の隔壁表面に隔壁の全長よりも短い第2触媒層を形成することで、浄化性能を維持向上できることが開示されている。さらに、特許文献3には、入側セル側の隔壁内部に上流コート領域を設け、出側セル側の隔壁内部に隔壁の全長よりも短い下流コート領域を形成し、下流コート領域において隔壁の表層部分に触媒金属を偏在させることで、浄化性能を維持向上することができることが開示されている。
このように、触媒層を隔壁内又は隔壁表面(隔壁外)の、排ガス導入側と排ガス排出側の両方に分けて形成し(以下、「壁内分離型触媒層」ともいう。)、圧力損失の上昇の抑制と、排ガス浄化性能の向上を図ることについては種々の検討がなされているが、隔壁内部の排ガス導入側又は排ガス排出側の一方のみに、異なる二種以上の触媒金属を含有する触媒層を形成することにより、圧力損失の上昇を抑えつつ排ガス浄化性能の更なる向上が可能か否かという点については十分な検討はなされていない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧力損失の上昇を抑えつつ、排ガス浄化性能、特にライトオフ性能が向上された排ガス浄化触媒を提供することにある。なお、ここでいう目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも、本発明の他の目的として位置づけることができる。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、隔壁内部の排ガス導入側(排ガスの流れ方向の上流側の領域)に、異なる二種以上の触媒金属を含有する触媒層を形成することにより、圧力損失の上昇を抑えつつ排ガス浄化性能が更に向上する余地があることが分かってきた。本発明は、当該知見に基づくものである。すなわち、本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
〔1〕
内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化触媒であって、
排ガス導入側の端部が開口した導入側セルと、該導入側セルに隣接し排ガス排出側の端部が開口した排出側セルとが、多孔質の隔壁により画定されたウォールフロー型基材と、
前記隔壁の気孔内の複数か所に形成された、少なくとも一種以上の触媒金属を含む触媒層と、を有し、
該触媒層が、前記隔壁の厚さ方向において、前記導入側セル側に偏在している、
排ガス浄化触媒。
〔2〕
前記触媒層は、前記隔壁の厚さ方向において、前記導入側セル側のセル壁面に近いほど担持量が増加する傾向を有する、
〔1〕に記載の排ガス浄化触媒。
〔3〕
前記隔壁の壁厚Twとしたとき、前記導入側セル側のセル壁面からTw*5/10までの深さ領域に、前記触媒層の総質量の60%以上が存在する、
〔1〕又は〔2〕に記載の排ガス浄化触媒。
〔4〕
前記隔壁の壁厚Twとしたとき、前記排出側セル側のセル壁面からTw*3/10までの深さ領域に、前記触媒層の総質量の15%以下が存在する、
〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
〔5〕
前記触媒層が、前記隔壁の延伸方向の全体に亘り、形成されている、
〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
〔6〕
前記触媒層が、前記隔壁の厚さ方向において、前記導入側セル側のセル壁面から前記排出側セル側のセル壁面にかけて形成されている、
〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
〔7〕
前記触媒金属が、Rh、Pd及びRh、または、Pt及びRhを含む、
〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
〔8〕
前記内燃機関が、ガソリンエンジンである、
〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
本発明によれば、圧力損失の上昇を抑えつつ、排ガス浄化性能、特にライトオフ性能が向上された排ガス浄化触媒を提供することができる。そして、この排ガス浄化触媒は、触媒を担持したパティキュレートフィルタとして、ガソリンパティキュレートフィルター(GPF)のみならずディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)等の他のパティキュレートフィルタにおいても利用することができ、このようなパティキュレートフィルタを搭載した排ガス処理システムの一層の高性能化が図られる。
本実施形態の排ガス浄化触媒の一態様を模式的に示す断面図である。 導入側セル11側に触媒層21が偏在した態様を模式的に示す断面図である。 排出側セル12側に触媒層21が偏在した態様を模式的に示す断面図である。 実施例1及び比較例1〜2で作製した排ガス浄化触媒における圧力損失の測定結果を示すグラフである。 実施例1及び比較例1〜2で作製した排ガス浄化触媒における台上エンジンによるライトオフ性能評価の結果を示すグラフである。 実施例1及び比較例1〜2で作製した排ガス浄化触媒の断面を示すトレース図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。なお、本明細書において、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。本明細書において、「D50粒子径」とは、体積基準の粒子径の累積分布において小粒径からの積算値が全体の50%に達したときの粒子径をいい、「D90粒子径」とは、体積基準の粒子径の累積分布において小粒径からの積算値が全体の90%に達したときの粒子径をいう。また、本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いる。例えば「1〜100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
[排ガス浄化触媒]
本実施形態の排ガス浄化触媒は、内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化触媒100であって、排ガス導入側の端部11aが開口した導入側セル11と、該導入側セル11に隣接し排ガス排出側の端部12aが開口した排出側セル12とが、多孔質の隔壁13により画定されたウォールフロー型基材10と、隔壁13の気孔内の複数か所に形成された、少なくとも一種以上の触媒金属を含む触媒層21と、を有し、該触媒層21が、隔壁13の厚さ方向において導入側セル11側に偏在しているものであることを特徴とする。
以下、図1に示す、本実施形態の排ガス浄化触媒を模式的に示す断面図を参照しつつ、各構成について説明する。本実施形態の排ガス浄化触媒はウォールフロー構造を有する。このような構造を有する排ガス浄化触媒100では、内燃機関から排出される排ガスが、排ガス導入側の端部11a(開口)から導入側セル11内へと流入し、隔壁13の気孔内を通過して隣接する排出側セル12内へ流入し、排ガス排出側の端部12a(開口)から流出する。この過程において、隔壁13の気孔内を通り難い粒子状物質(PM)は、一般に、導入側セル11内の隔壁13上及び/又は隔壁13の気孔内に堆積し、堆積した粒子状物質は、触媒層21の触媒機能によって、或いは所定の温度(例えば500〜700℃程度)で燃焼し、除去される。また、排ガスは、隔壁13の気孔内に形成された触媒層21と接触し、これによって排ガスに含まれる一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)は水(H2O)や二酸化炭素(CO2)などへ酸化され、窒素酸化物(NOx)は窒素(N2)へ還元され、有害成分が浄化(無害化)される。なお、本明細書においては、粒子状物質の除去及び一酸化炭素(CO)等の有害成分の浄化をまとめて「排ガス浄化性能」ともいう。以下、各構成についてより詳細に説明する。
(基材)
ウォールフロー型基材10は、排ガス導入側の端部11aが開口した導入側セル11と、該導入側セル11に隣接し排ガス排出側の端部12aが開口した排出側セル12とが、多孔質の隔壁13によって仕切られているウォールフロー構造を有する。
基材10としては、従来のこの種の用途に用いられる種々の材質及び形体のものが使用可能である。例えば、基材の材質は、内燃機関が高負荷条件で運転された際に生じる高温(例えば400℃以上)の排ガスに曝された場合や、粒子状物質を高温で燃焼除去する場合などにも対応可能なように、耐熱性素材からなるものが好ましい。耐熱性素材としては、例えば、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム、及び炭化ケイ素(SiC)等のセラミック;ステンレス鋼などの合金が挙げられる。また、基材の形体は、排ガス浄化性能及び圧力損失上昇抑制等の観点から適宜調整することが可能である。例えば、基材の外形は、円筒形状、楕円筒形状、又は多角筒形状等とすることができる。また、組み込む先のスペースなどにもよるが、基材の容量(セルの総体積)は、好ましくは0.1〜5Lであり、より好ましくは0.5〜3Lである。また、基材の延伸方向の全長(隔壁13の延伸方向の全長)は、好ましくは10〜500mm、より好ましくは50〜300mmである。
導入側セル11と排出側セル12は、筒形状の軸方向に沿って規則的に配列されており、隣り合うセル同士は延伸方向の一の開口端と他の一の開口端とが交互に封止されている。導入側セル11及び排出側セル12は、供給される排ガスの流量や成分を考慮して適当な形状および大きさに設定することができる。例えば、導入側セル11及び排出側セル12の口形状は、三角形;正方形、平行四辺形、長方形、及び台形等の矩形;六角形及び八角形等のその他の多角形;円形とすることができる。また、導入側セル11の断面積と、排出側セル12の断面積とを異ならせたHigh Ash Capacity(HAC)構造を有するものであってもよい。なお、導入側セル11及び排出側セル12の個数は、排ガスの乱流の発生を促進し、かつ、排ガスに含まれる微粒子等による目詰まりを抑制できるように適宜設定することができ、特に限定されないが、200cpsi〜400cpsiが好ましい。
隣り合うセル同士を仕切る隔壁13は、排ガスが通過可能な多孔質構造を有するものであれば特に制限されず、その構成については、排ガス浄化性能や圧力損失の上昇抑制、基材の機械的強度の向上等の観点から適宜調整することができる。例えば、後述する触媒スラリー21aを用いて該隔壁13内の気孔表面に触媒層21を形成する場合、気孔径(例えば、モード径(気孔径の頻度分布における出現比率がもっとも大きい気孔径(分布の極大値)))や気孔容積が大きい場合には、触媒層21による気孔の閉塞が生じにくく、得られる排ガス浄化触媒は圧力損失が上昇しにくいものとなる傾向にあるが、粒子状物質の捕集能力が低下し、また、基材の機械的強度も低下する傾向にある。一方で、気孔径や気孔容積が小さい場合には、圧力損失が上昇しやすいものとなるが、粒子状物質の捕集能力は向上し、基材の機械的強度も向上する傾向にある。
このような観点から、触媒層21を形成する前のウォールフロー型基材10の隔壁13の気孔径(モード径)は、好ましくは8〜25μmであり、より好ましくは10〜22μmであり、さらに好ましくは13〜20μmである。また、隔壁13の厚み(延伸方向に直交する厚さ方向の長さ)は、好ましくは6〜12milであり、より好ましくは6〜10milである。さらに、水銀圧入法による隔壁13の気孔容積は、好ましくは0.2〜1.5cm3/gであり、より好ましくは0.25〜0.9cm3/gであり、さらに好ましくは0.3〜0.8cm3/gである。また、水銀圧入法による隔壁13の気孔率は、好ましくは20〜80%であり、より好ましくは40〜70%であり、さらに好ましくは60〜70%である。気孔容積又は気孔率が下限以上であることにより、圧力損失の上昇がより抑制される傾向にある。また、気孔容積又は気孔率が上限以下であることにより、基材の強度がより向上する傾向にある。なお、気孔径(モード径)、気孔容積、及び気孔率は、下記実施例に記載の条件において水銀圧入法により算出される値を意味する。
(触媒層)
次に、触媒層21について説明する。触媒層21は、隔壁13の気孔内の複数か所に形成され、少なくとも一種以上の触媒金属を含み、隔壁13の厚さ方向において導入側セル11側に偏在している(図2)。このような構成を有することにより、圧力損失の上昇を抑えつつ、排ガス浄化性能、特にライトオフ性能が向上する傾向にある。
この理由としては、以下の様な点が考えられる。隔壁13の気孔に流入した排ガスは、すぐに導入側セル11側に形成された触媒層21に接触することができる(図2参照)。そのため、他の箇所に触媒層を形成した場合と比較して、導入側セル11側に配された触媒層21は、特にエンジン始動時のような相対的に排ガス浄化触媒100より高い温度を有するエンジン排ガスにより温められやすい傾向にある。そして、触媒層21の温度の向上により、排ガスの浄化がより効率的に進行し、ライトオフ性能がより向上するものと考えられる。また、導入側セル11側に配された触媒層21の方が、排ガスとの接触に優れ、排ガス浄化性能がより向上することも考えられる。これは、排出側セル12側に配された触媒層21は、排ガスの流れから考えて比較接触しにくいところにも配される可能性があるのに対して、導入側セル11側に配された触媒層21は、複雑な気孔の形状に対して排ガスの導入方向と同じ方向で塗工・形成される傾向にあるため、相対的に排ガスとの接触性が向上しやすい傾向にあるためと考えられる(図2及び3参照)。但し、排ガス浄化性能が向上する理由は、上記に制限されない。
触媒層21が偏在する態様は、所望の排ガス浄化性能及び圧力損失の上昇抑制効果を発揮し得る態様であれば、特に限定されず、触媒層21は、隔壁13の厚さ方向において、導入側セル11側のセル壁面に近いほど担持量が増加する傾向を有することが好ましい。これにより、上記と同様の観点から、排ガス浄化性能、特にライトオフ性能が向上する傾向にある。
このような偏在を示す一つの態様として、隔壁13の壁厚Twとしたとき、導入側セル11側のセル壁面からTw*5/10までの深さ領域T1に、触媒層21の総質量の60%以上が存在することが好ましい。当該深さ領域T1における触媒層21の担持量は、隔壁13の断面の触媒層21の総質量に対して、好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは75%以上である。導入側セル11側のセル壁面からTw*5/10までの深さ領域T1において、触媒層21の担持量が60%以上となるように偏在していることにより、上記と同様の観点から、排ガス浄化性能、特にライトオフ性能が向上する傾向にある。
また、他の態様として、隔壁13の壁厚Twとしたとき、排出側セル12側のセル壁面からTw*3/10までの深さ領域T2に、触媒層21の総質量の15%以下が存在することが好ましい。当該深さ領域T2における触媒層21の担持量は、隔壁13の断面の触媒層21の総質量に対して、好ましくは12%以下であり、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは8%以下である。排出側セル12側のセル壁面からTw*3/10までの深さ領域T2において、触媒層21の担持量が15%以下となるように偏在していることにより、上記と同様の観点から、排ガス浄化性能、特にライトオフ性能が向上する傾向にある。
本実施形態においては、触媒層21が隔壁13の厚さ方向において導入側セル11側に偏って存在してさえいれば、一部の触媒層21が排出側セル12側に存在してもよい。言い換えれば、触媒層21が隔壁13の厚さ方向において排出側セル12側に偏って存在してさえいれば、触媒層21は隔壁13の厚さ方向において、導入側セル11側のセル壁面から排出側セル12側のセル壁面にかけて形成されていてもよい。
なお、触媒層21の偏在は、排ガス浄化触媒100の隔壁13の断面の走査型電子顕微鏡により確認することができる。具体的には、隔壁13断面の走査型電子顕微鏡写真において、触媒層21が占める部分を特定し、隔壁13の厚さ方向に10分割して各エリア毎に触媒層21の面積をそれぞれ積算することで、求めることができる。この際、隔壁13の排ガス導入側の端部11aに近い部分、排ガス排出側の端部12aに近い部分、及びその間の中央部分、の少なくとも3個所で測定し、その平均値として求めることが望ましい。
また、隔壁13の延伸方向(長さ方向)において、触媒層21が形成されている範囲L1(触媒層21の塗工長さ)は、ウォールフロー型基材10の延伸方向の全長LW(隔壁13の延伸方向の全長)を100%として、全体にわたって形成されていることが好ましく、具体的には、好ましくは80〜100%であり、より好ましくは90〜100%であり、さらに好ましくは95〜100%である。
触媒層21に含まれる触媒金属としては、特に制限されず、種々の酸化触媒や還元触媒として機能し得る金属種を用いることができる。例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)等の白金族金属が挙げられる。このなかでも、酸化活性の観点からはパラジウム(Pd)、白金(Pt)が好ましく、還元活性の観点からはロジウム(Rh)が好ましい。本実施形態においては、上記のとおり一種以上の触媒金属を混合された状態で含有する触媒層21を有する。特に二種以上の触媒金属の併用により、異なる触媒活性を有することによる相乗的な効果が期待される。
このような触媒金属の組み合わせの態様は、特に制限されず、酸化活性に優れる二種以上の触媒金属の組み合わせ、還元活性に優れる二種以上の触媒金属の組み合わせ、酸化活性に優れる触媒金属と還元活性に優れる触媒金属の組み合わせが挙げられる。このなかでも、相乗効果の一つの態様として、酸化活性に優れる触媒金属と還元活性に優れる触媒金属の組み合わせが好ましく、Rh、Pd及びRh、または、Pt及びRhを少なくとも含む組合せがより好ましい。このような組み合わせとすることにより、排ガス浄化性能、特にライトオフ性能がより向上する傾向にある。
なお、触媒層21が触媒金属を含有することは、排ガス浄化触媒の隔壁13の断面の走査型電子顕微鏡などにより確認することができる。具体的には、走査型電子顕微鏡の視野においてエネルギー分散型X線分析を行うことにより確認することができる。
触媒層21に含まれ、触媒金属を担持する担体粒子としては、従来この種の排ガス浄化用触媒で使用される無機化合物を考慮することができる。例えば、酸化セリウム(セリア:CeO2)、セリア−ジルコニア複合酸化物(CZ複合酸化物)等の酸素吸蔵材(OSC材)、酸化アルミニウム(アルミナ:Al23)、酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO2)、酸化ケイ素(シリカ:SiO2)、酸化チタン(チタニア:TiO2)等の酸化物やこれらの酸化物を主成分とした複合酸化物を挙げることができる。これらは、ランタン、イットリウム等の希土類元素、遷移金属元素、アルカリ土類金属元素が添加された複合酸化物若しくは固溶体であってもよい。なお、これら担体粒子は、一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。ここで、酸素吸蔵材(OSC材)とは、排ガスの空燃比がリーンであるとき(即ち酸素過剰側の雰囲気)には排ガス中の酸素を吸蔵し、排ガスの空燃比がリッチであるとき(即ち燃料過剰側の雰囲気)には吸蔵されている酸素を放出するものをいう。
排ガス浄化性能の向上、触媒金属の粒成長(シンタリング)の進行の抑制などの観点から、触媒層21の触媒金属担持率(基材1Lあたりの触媒金属質量)は、好ましくは0.5〜10g/Lであり、より好ましくは1〜8g/Lであり、さらに好ましくは1〜6g/Lである。
また、触媒層21が形成された状態の排ガス浄化触媒の水銀圧入法による隔壁13の気孔径(モード径)は、好ましくは10〜23μmであり、より好ましくは12〜20μmであり、さらに好ましくは14〜18μmである。また、触媒層21が形成された状態の排ガス浄化触媒の水銀圧入法による隔壁13の気孔容積は、好ましくは0.2〜1.0cm3/gであり、より好ましくは0.25〜0.9cm3/gであり、さらに好ましくは0.3〜0.8cm3/gである。さらに、触媒層21が形成された状態の排ガス浄化触媒の水銀圧入法による隔壁13の気孔率は、好ましくは20〜80%であり、より好ましくは30〜70%であり、好ましくは35〜60%である。なお、気孔径(モード径)、気孔容積、及び気孔率は、下記実施例に記載の条件において水銀圧入法により算出される値を意味する。
[排ガス浄化触媒の製造方法]
本実施形態の排ガス浄化触媒の製造方法は、内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化触媒100の製造方法であって、排ガス導入側の端部11aが開口した導入側セル11と、該導入側セル11に隣接し排ガス排出側の端部12aが開口した排出側セル12とが、多孔質の隔壁13により画定されたウォールフロー型基材10を準備する工程S0と、隔壁13の導入側セル11側に存在する気孔表面上に偏在した触媒層21を形成する触媒層形成工程S1とを有することを特徴とする。
以下、各工程について説明する。なお、本明細書においては、触媒層21を形成する前のウォールフロー型基材を「基材10」と表記し、触媒層21を形成した後のウォールフロー型基材を「排ガス浄化触媒100」と表記する。
<準備工程>
この準備工程S0では、基材として、排ガス浄化触媒100において述べたウォールフロー型基材10を準備する。
<触媒層形成工程>
この触媒層形成工程S1では、隔壁13の導入側セル11側に存在する気孔表面に触媒スラリー21aを塗工して、乾燥させ、焼成することで、偏在させた触媒層21を形成する。触媒スラリー21aの塗工方法は、特に制限されないが、例えば、基材10の一部に触媒スラリー21aを含浸させて、それを基材10の隔壁13全体に広げる方法が挙げられる。より具体的には、基材10の排ガス導入側の端部11aに、触媒スラリー21aを含浸させる工程S1aと、排ガス導入側の端部11a側から基材10内に気体を導入させることにより、基材10に含浸された触媒スラリー21aを導入側セル11側に存在する気孔表面に塗工する工程S1bを有する方法が挙げられる。
隔壁13の導入側セル11側に触媒層21を偏在させる方法としては、隔壁13の導入側セル11側に触媒スラリー21aを塗工し、塗工した触媒スラリー21aを乾燥、焼成させる方法であれば、特に制限されない。例えば、隔壁13の排出側セル12側に対して、隔壁13内の気孔への浸透距離を調整するために触媒スラリー21aの粘度や固形分を調整したり、必要に応じて塗工条件や塗工後の乾燥条件も調整する方法が挙げられる。
工程S1aにおける触媒スラリー21aの含浸方法としては、特に制限されないが、例えば、触媒スラリー21aに基材10の端部を浸漬させる方法が挙げられる。この方法においては、必要に応じて、反対側の端部から気体を排出(吸引)させることにより触媒スラリー21aを引き上げてもよい。触媒スラリー21aは、排ガス導入側の端部11aからウォールフロー型基材10内に供給する。
また、工程S1bでは、触媒スラリー21aを含浸させた端部側から基材10内に気体を導入させて、導入側セル11側に存在する気孔に触媒スラリー21aを塗工する。触媒スラリー21aを塗工する方法としては、基材10の両端部に気圧差を生じさせる方法が挙げられる。具体的には、排ガス導入側の端部11aを相対的に高気圧として、排ガス導入側の端部11aから含浸させた触媒スラリー21aが排ガス排出側の端部12a側へ向かって塗工されるよう圧力をかけることにより、触媒スラリー21aを塗工することができる。
工程S1cでは、塗工された触媒スラリー21aを乾燥させて乾燥した触媒スラリー21a’とする。工程S1cにおける乾燥条件は、触媒スラリー21aから溶媒が揮発するような条件であれば特に制限されない。例えば、乾燥温度は、好ましくは100〜225℃であり、より好ましくは100〜200℃であり、さらに好ましくは125〜175℃である。また、乾燥時間は、好ましくは0.5〜2時間であり、好ましくは0.5〜1.5時間である。
乾燥方法として考えられる方法としては、工程S1b後の基材10を所定の乾燥温度で静置する方法の他、排ガス導入側及び/又は排ガス排出側の端部11a,12aから、基材10内に気体Fを導入させて乾燥を促進する方法が挙げられる。
次いで、工程S1dでは、上記のようにして乾燥させた触媒スラリー21a’を焼成して、触媒層21を形成する。工程S1dにおける焼成条件は、乾燥させた触媒スラリー21a’から触媒層21が形成できるような条件であれば特に制限されない。例えば、焼成温度は、特に制限されないが、好ましくは400〜650℃であり、より好ましくは450〜600℃であり、さらに好ましくは500〜600℃である。また、焼成時間は、好ましくは0.5〜2時間であり、好ましくは0.5〜1.5時間である。
(触媒スラリー)
触媒層21を形成するための触媒スラリー21aについて説明する。触媒スラリー21aは、触媒粉体と、水などの溶剤とを含む。触媒粉体は、触媒金属粒子と該触媒金属粒子を担持する担体粒子とを含む、複数の触媒粒子の集団であり、後述する焼成工程を経て、触媒層21を形成する。触媒粒子は、特に限定されず、公知の触媒粒子から適宜選択して用いることができる。なお、隔壁13の気孔内への塗工性の観点から、触媒スラリー21aの固形分率は、好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%であり、さらに好ましくは15〜30質量%である。このような固形分率とすることにより、触媒スラリー21aを隔壁13内の導入側セル11側に塗工しやすくなる傾向にある。
触媒スラリー21aに含まれる触媒粉体のD90粒子径は、好ましくは1〜7μmであり、より好ましくは1〜6μmであり、さらに好ましくは1〜5μmである。D90粒子径が1μm以上であることにより、触媒粉体をミリング装置で破砕する場合の粉砕時間を短縮することができ、作業効率がより向上する傾向にある。また、D90粒子径が7μm以下であることにより、粗大粒子が隔壁13内の気孔を閉塞することが抑制され、圧力損失の上昇が抑制される傾向にある。なお、本明細書において、D90粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置(例えば、島津製作所社製、レーザー回折式粒子径分布測定装置SALD−3100等)で測定することができる。
触媒スラリー21aに含まれる触媒金属としては、種々の酸化触媒や還元触媒として機能し得る金属種を二種以上組み合わせて用いることができる。具体的には、触媒層21に含まれる触媒金属で例示したものと同様のものが挙げられる。一つの態様として、触媒スラリー21aに含まれる触媒金属の組み合わせについては、これら触媒スラリー21aにより形成された触媒層21において説明した態様と同様の態様が例示される。具体的には、酸化活性に優れる二種以上の触媒金属の組み合わせ、還元活性に優れる二種以上の触媒金属の組み合わせ、酸化活性に優れる触媒金属と還元活性に優れる触媒金属の組み合わせが挙げられる。このなかでも、相乗効果の一つの態様として、酸化活性に優れる触媒金属と還元活性に優れる触媒金属の組み合わせが好ましく、Pd及びRhを少なくとも含む組合せがより好ましい。
排ガスとの接触面積を高める観点から、触媒スラリー21a中の触媒金属粒子の平均粒子径は小さいことが好ましい。具体的には、触媒金属粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜15nmであり、より好ましくは1〜10nmであり、さらに好ましくは1〜7nmである。なお、触媒金属粒子の平均粒子径は、例えば日立ハイテクノロジーズ社製HD−2000等の走査型透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)を用いて確認することができ、本明細書では、無作為に抽出した10点の触媒金属粒子の円相当径を算出し、これらの平均値を触媒金属粒子の平均粒子径とする。
触媒スラリー21aに含まれる担体粒子としては、従来この種の排ガス浄化用触媒で使用される無機化合物を考慮することができる。具体的には、触媒層21に含まれる担体粒子で例示したものと同様のものが挙げられる。なお、これら担体粒子は、一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
排ガス浄化性能の観点から、触媒スラリー21aに含まれる担体粒子の比表面積は、好ましくは10〜500m2/g、より好ましくは30〜200m2/gである。
また、排ガス浄化性能の向上や、触媒金属の粒成長(シンタリング)の進行の抑制などの観点から、ウォールフロー型基材10に担持させた状態の、触媒スラリー21aに由来する触媒金属担持率(基材1Lあたりの触媒金属質量)は、好ましくは0.5〜10g/Lであり、より好ましくは1〜8g/Lであり、さらに好ましくは1〜6g/Lである。
[用途]
内燃機関(エンジン)には、酸素と燃料ガスとを含む混合気が供給され、この混合気が燃焼されて、燃焼エネルギーが力学的エネルギーに変換される。このときに燃焼された混合気は排ガスとなって排気系に排出される。排気系には、排ガス浄化触媒を備える排ガス浄化装置が設けられており、排ガス浄化触媒により排ガスに含まれる有害成分(例えば、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx))が浄化されるとともに、排ガスに含まれる粒子状物質(PM)が捕集され、除去される。特に、本実施形態の排ガス浄化触媒100は、ガソリンエンジンの排ガスに含まれる粒子状物質を捕集し、除去できるガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)に用いられるものであることが好ましい。
以下に試験例、実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらによりなんら限定されるものではない。すなわち、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。また、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における好ましい上限値又は好ましい下限値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
(実施例1)
D50粒子径が28μm、BET比表面積が141m2/gのアルミナ粉末に、硝酸パラジウム水溶液を含浸させ、その後、500℃で1時間焼成して、Pd担持アルミナ粉末(Pd含有量:8.6質量%)を得た。また、D50粒子径が29μm、BET比表面積が145m2/gのジルコニア−ランタン修飾アルミナ粉末に、硝酸ロジウム水溶液を含浸させ、その後、500℃で1時間焼成して、Rh担持ジルコニア−ランタン修飾アルミナ粉末(Rh含有量:1.4質量%)を得た。
得られたPd担持アルミナ粉末0.5kg及びRh担持ジルコニア−ランタン修飾アルミナ粉末0.5kgと、D50粒子径が10μm、BET比表面積が71m2/gのセリアジルコニア複合酸化物粉末2kgと、46%硝酸ランタン水溶液195gと、イオン交換水とを混合し、得られた混合物をボールミルに投入し、触媒粉体が所定の粒子径分布になるまでミリングし、D90粒子径が3.0μmの触媒スラリーを得た。
次いで、コージェライト製のウォールフロー型ハニカム基材(セル数/ミル厚:300cpsi/8mil、直径:118.4mm、全長:127mm、気孔率:65%)を用意した。この基材の排ガス導入側の端部を触媒スラリーに浸漬させ、反対側の端部側から減圧吸引して、基材端部に触媒スラリーを含浸保持させた。触媒スラリーを含浸保持させた端面側から基材内へ気体を流入させて、隔壁内の気孔表面に、厚さ方向において導入側セル側に偏在するよう触媒スラリーを塗工するとともに、基材の排ガス排出側の端部から過剰分の触媒スラリーを吹き払った。その後、基材内へ気体を流入させつつ触媒スラリーを塗工した基材を150℃で乾燥させた後、大気雰囲気下、550℃で焼成した。これにより、封止された開口端から排ガス導入側の開口端部にかけて、厚さ方向において導入側セル側に偏在した触媒層を有する排ガス浄化触媒を作製した。なお、この排ガス浄化触媒において、触媒層は、隔壁13の延伸方向(長さ方向)においては、ウォールフロー型基材10の全長Lwの全体に亘り形成されており、隔壁の厚さ方向においては、導入側セル側のセル壁面から排出側セル側のセル壁面にかけて形成されており、当該触媒層は、導入側セル側のセル壁面に近いほど担持率が増加する傾向を有し、導入側セル側のセル壁面からTw*5/10までの深さ領域に触媒層の総質量の60%以上が存在し、排出側セル側のセル壁面からTw*3/10までの深さ領域に触媒層の総質量の15%以下が存在するものであった。なお、焼成後における触媒層の塗工量は、基材1L当たり60.9g(白金族金属の重量を除く)であった。
(比較例1)
排出側セル側の端面を触媒スラリーに浸漬させ、反対側の端部側から減圧吸引して、基材端部に触媒スラリーを含浸保持させ、触媒スラリーを含浸保持させた端面側から基材内へ気体を流入させて、隔壁内の気孔表面に、厚さ方向において排出側セル側に偏在するよう触媒スラリーを塗工するとともに、基材の排ガス導入側の端部から過剰分の触媒スラリーを吹き払ったこと以外は、実施例1と同様の操作により、封止された開口端から排ガス排出側の開口端部にかけて、厚さ方向において排出側セル側に偏在した触媒層を有する排ガス浄化触媒を作製した。
(比較例2)
コージェライト製のウォールフロー型ハニカム基材(セル数/ミル厚:300cpsi/8mil、直径:118.4mm、全長:127mm、気孔率:65%)を用意した。この基材の排ガス導入側の端部を触媒スラリーに浸漬させ、反対側の端部側から減圧吸引して、基材端部に触媒スラリーを含浸保持させた。触媒スラリーを含浸保持させた端面側から基材内へ気体を流入させて、隔壁内の気孔表面に、厚さ方向において導入側セル側に偏在するよう触媒スラリーを塗工するとともに、基材の排ガス排出側の端部から過剰分の触媒スラリーを吹き払った。なお、この時の触媒量は最終的な総質量の半分量となるようにした。その後、基材内へ気体を流入させつつ触媒スラリーを塗工した基材を150℃で乾燥させた後、大気雰囲気下、550℃で焼成した。これにより、封止された開口端から排ガス導入側の開口端部にかけて、厚さ方向において導入側セル側に触媒金属が偏在した触媒層を形成した。
また、同様にして、基材の排ガス排出側の端部を触媒スラリーに浸漬させ、反対側の端部側から減圧吸引して、基材端部に触媒スラリーを含浸保持させた。触媒スラリーを含浸保持させた端面側から基材内へ気体を流入させて、隔壁内の気孔表面に、厚さ方向において排出側セル側に偏在するよう触媒スラリーを塗工するとともに、基材の排ガス導入側の端部から過剰分の触媒スラリーを吹き払った。なお、この時の触媒量は上記と同様に、最終的な総質量の半分量となるようにした。その後、基材内へ気体を流入させつつ触媒スラリーを塗工した基材を150℃で乾燥させた後、大気雰囲気下、550℃で焼成した。これにより、封止された開口端から排ガス排出側の開口端部にかけて、厚さ方向において排出側セル側に触媒金属が偏在した触媒層を形成し、結果として、隔壁全体に亘り略均一に存在する触媒層を有する排ガス浄化触媒を作製した。なお、焼成後における触媒層の塗工量は、基材1L当たり60.9g(白金族金属の重量を除く)であった。
[粒子径分布測定]
触媒スラリーのD90粒子径は、島津製作所社製レーザー回折式粒子径分布測定装置SALD−3100を用いて、レーザー散乱法により測定した。
[気孔率の算出]
実施例及び比較例で作製した排ガス浄化触媒、並びに、触媒スラリーを塗工する前の基材の、排ガス導入側部分、排ガス排出側部分、及び中間部分の各隔壁から、気孔径(モード径)及び気孔容積の測定用サンプル(1cm3)をそれぞれ採取した。測定用サンプルを乾燥後、水銀ポロシメーター(Thermo Fisher Scientific社製、商品名:PASCAL140及びPASCAL440)を用いて、水銀圧入法により気孔分布を測定した。この際、PASCAL140により低圧領域(0〜400Kpa)を測定し、PASCAL440により高圧領域(0.1Mpa〜400Mpa)を測定した。得られた気孔分布から、気孔径(モード径)を求め、また、気孔径1μm以上の気孔における気孔容積を算出した。なお、気孔径及び気孔容積の値としては、排ガス導入側部分、排ガス排出側部分、及び中間部分それぞれで得られた値の平均値を採用した。
次いで、下記式により、実施例及び比較例で作製した排ガス浄化触媒の気孔率を算出した。その結果を、下記表1に示す。
排ガス浄化触媒の気孔率(%)=排ガス浄化触媒の気孔容積(cc/g)÷基材の気孔容積(cc/g)×基材の気孔率(%)
基材の気孔率(%)=65%
[圧力損失の測定]
実施例及び比較例で作製した排ガス浄化触媒を圧力損失測定装置(ツクバリカセイキ株式会社製)にそれぞれ設置し、設置した排ガス浄化触媒に室温の空気を流入させた。排ガス浄化触媒からの空気の流出量が2m3/minとなったときの空気の導入側と排出側の差圧を測定して得られた値を、排ガス浄化触媒の圧力損失とした。その結果を図4に示す。図4に示されるとおり、実施例で作製した排ガス浄化触媒は、比較例で作製した排ガス浄化触媒と同等の圧力損失を有し、触媒層の位置によっては、圧力損失に差がないことがわかる。
[実機耐久・実機評価]
実施例及び比較例で作製した排ガス浄化触媒を、触媒コンバーター内に格納し、耐久ベンチに設置されたエンジンの排気ラインの直下位置に設置した。その後、エンジンを稼動し、ストイキ(λ=1)20秒、燃料カット5秒、Richスパイク(λ=0.8276)5秒を1サイクルとして950℃で20時間、実機による耐久試験を実施した。
その後、下記表2に示す条件にて台上エンジンによる評価を実施し、ライトオフ性能(浄化率が50%に達する温度:T50)を測定した。その結果を表3及び図5に示す。図5に示されるとおり、実施例で作製した排ガス浄化触媒は比較例で作製した排ガス浄化触媒よりも優れたライトオフ性能を示した。これにより、圧力損失の上昇を抑制しつつ、排ガス浄化性能が向上した排ガス浄化触媒が得られることが分かった。
[コート状態観察]
実施例及び比較例で作製した排ガス浄化触媒の隔壁から走査型電子顕微鏡(SEM)の測定用サンプル(1cm3)をそれぞれ作製した。測定用サンプルを樹脂に埋め、カーボン蒸着の前処理を行なった。前処理後の測定用サンプルを、走査型電子顕微鏡(Carl Zeiss社製、商品名:ULTRA55)を用いて観察し、基材への触媒層の担持状態を確認した。そのトレース図を図6に示す。
本発明の排ガス浄化触媒は、ガソリンエンジンの排ガス中に含まれる粒子状物質を除去するため排ガス浄化触媒として広く且つ有効に利用することができる。また、本発明の排ガス浄化触媒は、ガソリンエンジンのみならず、ディーゼルエンジン、ジェットエンジン、ボイラー、ガスタービン等の排ガス中に含まれる粒子状物質を除去するため排ガス浄化触媒としても有効に利用可能である。
10 ・・・ウォールフロー型基材
11 ・・・導入側セル
11a・・・排ガス導入側の端部
12 ・・・排出側セル
12a・・・排ガス排出側の端部
13 ・・・隔壁
21 ・・・触媒層
21a・・・触媒スラリー
21a’・・乾燥した触媒スラリー
100 ・・・排ガス浄化触媒

Claims (8)

  1. 内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化触媒であって、
    排ガス導入側の端部が開口した導入側セルと、該導入側セルに隣接し排ガス排出側の端部が開口した排出側セルとが、多孔質の隔壁により画定されたウォールフロー型基材と、
    前記隔壁の気孔内の複数か所に形成された、少なくとも一種以上の触媒金属を含む触媒層と、を有し、
    該触媒層が、前記隔壁の厚さ方向において、前記導入側セル側に偏在している、
    排ガス浄化触媒。
  2. 前記触媒層は、前記隔壁の厚さ方向において、前記導入側セル側のセル壁面に近いほど担持率が増加する傾向を有する、
    請求項1に記載の排ガス浄化触媒。
  3. 前記隔壁の壁厚Twとしたとき、前記導入側セル側のセル壁面からTw*5/10までの深さ領域に、前記触媒層の総質量の60%以上が存在する、
    請求項1又は2に記載の排ガス浄化触媒。
  4. 前記隔壁の壁厚Twとしたとき、前記排出側セル側のセル壁面からTw*3/10までの深さ領域に、前記触媒層の総質量の15%以下が存在する、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
  5. 前記触媒層が、前記隔壁の延伸方向の全体に亘り、形成されている、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
  6. 前記触媒層が、前記隔壁の厚さ方向において、前記導入側セル側のセル壁面から前記排出側セル側のセル壁面にかけて形成されている、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
  7. 前記触媒金属が、Rh、Pd及びRh、または、Pt及びRhを含む、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
  8. 前記内燃機関が、ガソリンエンジンである、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
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