JP2019196988A - 墨打ち方法、または墨打ちシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】現場で複数の部品を組み合わせた構造物を製作するために必要な情報を現場平面に描画することにより、高所作業、熟練作業を低減する。【解決手段】墨打ち方法では、図面データから部品の固定位置を第1の墨打ち位置として抽出し、この図面データから部品同士の結合位置を第2の墨打ち位置として抽出する。更に自律走行する墨打ちロボットに自身の位置を検知させつつ、第1の墨打ち位置または第2の墨打ち位置まで走行させ、この墨打ちロボットに、第1または第2の墨打ち位置の床面に墨を印刷させる。【選択図】図1

Description

本発明は、自律的に走行して墨打ち作業を行う自律走行型墨打ちロボットを、構造物の作成に応用した墨打ち方法、墨打ちシステムに関する。
墨打ちとは、設備工事において、機器のアンカ位置や付帯機器の架台位置や天吊り機器の吊りボルト位置など、工事の基準となる墨線を構造体などに印すことをいう。墨線に沿って、機器を設置するなど多くの職人が作業するので、墨線を正確に印すことは重要である。
従来、墨打ちは、大工が墨つぼから墨を含んだ糸を引き出し、この糸を弾いて床や壁面などに墨線を付けることで行われていた。また、近年では墨の代わりにレーザーを使用するレーザー式墨出し機を用いる作業が主流となっているが、正確な墨打ちには熟練を要し、更に手作業に伴う人為的なミスが発生するおそれがあった。
また、例えば配管工事では、一部の工事が先行している場合がある。このような場合、作業者が図面を参照しつつ、工事が先行している部分や、そこに設置する配管寸法を計測し、配管を製作して据え付けていた。このような配管工事における現場合わせや配管の組合せは、計測と設計値の調整とが必要であり、多大な工数と時間を要していた。
近年では、レーザー式墨出し機や任意の3次元座標を取得できるレーザー式の計測器などの光学式の計測器を用いて作業者が墨打ち位置を測定し、その位置に墨を打つことも行われるようになっている。これにより、作業者が墨打ちに熟練していなくても、所定の精度が担保されるようになった。しかし、作業者が手作業で墨打ちしていることには変わりないため、所定の工数が発生し、かつ人為的なミスが発生するおそれがある。
そこで、レーザー式の計測器等を用いて墨打ち位置を測定し、ロボットを用いてその位置に墨を打つ発明が開示されている。例えば、特許文献1には、安全かつ容易に設備機器等の据付け位置の墨打ちを行うことができる据付面墨打ち装置が開示されている。これにより、設備工事の墨打ち作業を省力化することができ、墨打ちに伴う人為的なミスの発生を抑止することができる。この場合、作業者は、設計図を元に事前に墨打ちリストを作成し、この墨打ちリストに沿って、現場の墨打ちロボットが墨を打つことになる。
特開2017−015523号公報
従来の配管施工は、作業者が、現場芯と図面を参照し、手回り計測器を用いて墨打ちを行い、配管長やエルボ位置を計測しながら配管を製作して据え付けていた。このような配管施工は、作業者の熟練を要する作業であり、かつ高所での作業を要する場合もあった。
特許文献1に記載の墨打ちロボットによれば、予め定めた位置に墨を打つことができる。しかし、上述したように現場では一部の工事が先行している場合があるが、特許文献1の墨打ちロボットは、このような先行工事箇所にあわせて墨位置を修正することは何ら考慮されていない。また、配管の製作や据付けについても、何ら考慮されていない。
そこで、本発明は、現場で複数の部品を組み合わせた構造物を製作するために必要な情報を現場平面に描画することにより、高所作業、熟練作業を低減することを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明の墨打ちシステムは、部品の固定位置を第1の墨打ち位置として抽出し、部品同士の結合位置を第2の墨打ち位置として抽出する抽出手段と、自身の位置を検知して前記第1または第2の墨打ち位置に走行したのち、当該第1または第2の墨打ち位置の床面に印刷する墨打ちロボットと、を備える。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、現場で複数の部品を組み合わせた構造物を製作するために必要な情報を現場平面に描画することにより、高所作業、熟練作業を低減することができる。
本実施形態の自律走行型の墨打ちロボットを用いた墨打ちシステムの概観図である。 コンピュータのブロック図である。 通信機器のブロック図である。 墨打ちロボットの概観図である。 墨打ちロボットを用いたシステムのブロック図である。 比較例の配管施工時の墨打ち例を示す図である。 本実施形態の配管施工時の墨打ち例を示す図である。 配管施工時に現場合わせ部を調整した墨打ちを示す図である。 結合面と中心線の線種を異ならせた変形例の墨打ちを示す図である。 CADによる処理を示すフローチャートである。 墨打ちデータ化アプリによる処理を示すフローチャートである。 墨打ちロボ制御アプリとコントロールアプリによる処理を示すフローチャートである。 実際の墨打ち例を示す図である。
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
本実施形態が解決したい問題点を以下に列挙する。
従来行われてきた現場での配管構造物の製作は、熟練を要し、時には高所での作業を要する困難なものであった。本実施形態の墨打ちシステムは、配管構造物の製作を支援するものである。
以下、図1から図5により墨打ちシステムを構成する各装置について説明する。
図1は、本実施形態の自律走行型の墨打ちロボット1を用いた墨打ちシステムSの概観図である。
図1に示すように、墨打ちシステムSは、墨打ちロボット1と、追尾型トータルステーション2と、通信機器3と、コンピュータ6とを含んで構成される。墨打ちシステムSは、設備工事の墨打ち作業を省力化するものである。
墨打ちロボット1は、指向性プリズム11を備え、自律的に走行する機能と、所定の精度をもって墨打ちする機能を有する。追尾型トータルステーション2は、レーザー等により墨打ちロボット1に設けられた指向性プリズム11を追尾して、その位置を測定する三次元計測手段である。
コンピュータ6は、作業者によって操作されて、墨打ちデータを作成するものである。通信機器3は、作業者によって操作される携帯端末である。墨打ちロボット1と、追尾型トータルステーション2と、通信機器3と、コンピュータ6は、相互に無線で通信可能である。
作業者は、コンピュータ6を用いてCADデータから墨打ちデータを作成し、この墨打ちデータを墨打ちロボット1に送信する。作業者は、通信機器3により各墨打ち位置を含む墨打ちデータを墨打ちロボット1に入力する。作業者が現場の基準芯を計測して墨打ちの開始を指示すると、墨打ちロボット1は、墨打ちを開始する。以降、作業者は、通信機器3により、墨打ち状況をモニタする。
墨打ちロボット1は、追尾型トータルステーション2によって指向性プリズム11の位置を計測することにより、自己位置を把握する。墨打ちロボット1は、自己位置の把握と旋回動作、直進動作、後退動作を繰り返して墨位置まで進む。更に墨打ちロボット1は、所定の精度を確保するため、墨位置近傍でXYステージ範囲内の位置計測を行うことで、墨の高精度な位置決めを行い、本体内のインクジェットプリンタで墨線と情報を印字する。墨打ちロボット1は、各墨位置について、これらの処理を繰り返す。
本実施形態によれば、自律的に走行する墨打ちロボット1が機械的に墨打ちするため、設備工事における墨打ち作業を省力化できる。
図2は、コンピュータ6のブロック図である。
コンピュータ6は、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63、記憶部64を備える。CPU61は、RAM63を作業領域として、ROM62や記憶部64に格納されたプログラムやデータを実行するプロセッサである。
ROM62は、不揮発性メモリであり、例えばBIOS(Basic Input/Output System)に代表されるファームウェア等を記憶している。RAM63は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性メモリである。記憶部64は、フラッシュメモリやハードディスク等の大容量記憶装置である。記憶部64は、CADアプリ641、墨打ちデータ化アプリ642、図面データ50,51などを格納している。
コンピュータ6は更に、無線通信部65、ディスプレイ66、入力部67を備える。無線通信部65は、例えばWi-Fi(登録商標)方式で外部装置と通信する。ディスプレイ66は、例えば液晶方式のディスプレイであり、文字や図形や記号を表示する表示手段である。入力部67は、キーボードやマウスであり、作業者が文字情報やポインティング情報を入力する。
図3は、通信機器3のブロック図である。
通信機器3は、CPU31、ROM32、RAM33、記憶部34を備える。CPU31は、RAM33を作業領域として、ROM32や記憶部34に格納されたプログラムやデータを実行するプロセッサである。
ROM32は、不揮発性メモリであり、ファームウェア等を記憶している。RAM33は、例えばDRAMやSRAMなどの揮発性メモリである。記憶部34は、フラッシュメモリ等の大容量記憶装置である。記憶部34は、コントロールアプリ341などを格納している。
通信機器3は更に、無線通信部35、タッチパネルディスプレイ36を備える。無線通信部35は、例えばWi-Fi(登録商標)方式で外部装置と通信する。タッチパネルディスプレイ36は、例えば透明なタッチパネルと液晶方式のディスプレイとが積層されて構成され、文字や図形や記号を表示する表示手段であると共に、ポインティング情報を入力する入力手段でもある。
図4は、墨打ちロボット1の概観図であり、図5は、墨打ちロボット1を用いたシステムのブロック図である。以下、図4と図5を参照して墨打ちロボット1の各部を説明する。
図4と図5に示すように、墨打ちロボット1は、フレーム10、指向性プリズム11、プリンタ12、アクチュエータ13、走行アクチュエータ15、回転・昇降アクチュエータ19、表示灯181〜183を備える。更に図5に示すように、墨打ちロボット1は、無線LAN親機16、PC(Personal Computer)17、測域センサ14、モーションコントローラ171、記憶部172を備える。
PC17は、この墨打ちロボット1を統括して制御する制御手段である。このPC17は、走行アクチュエータ15により走行した際に、回転・昇降アクチュエータ19により指向性プリズム11が追尾型トータルステーション2の方向に向くように、この指向性プリズム11を回転させる。
モーションコントローラ171は、PC17に接続されて、アクチュエータ13、走行アクチュエータ15、回転・昇降アクチュエータ19などを駆動するコントローラである。
記憶部172は、例えばフラッシュメモリやハードディスクなどの大容量記憶装置であり、ここでは墨打ちロボ制御アプリ173を格納している。
無線LAN親機16は、PC17に接続されて、追尾型トータルステーション2や通信機器3と無線通信する通信手段である。測域センサ14は、この墨打ちロボット1の前方に障害物が存在するか否かを検知するセンサである。表示灯181〜183は、この墨打ちロボット1の状態を外部に報知するための報知手段である。
フレーム10は、アクチュエータ13や、PC17、無線LAN親機16を支持するものである。このアクチュエータ13は、Y軸アクチュエータ131とX軸アクチュエータ132とを含んで構成される。本実施形態のフレーム10は、互いに直交させたY軸アクチュエータ131とX軸アクチュエータ132の各長手方向に沿った枠状、換言すると平面視で矩形に形成されている。このフレーム10の枠内は、後述するプリンタ12と指向性プリズム11とが移動可能な二次元領域となる。
走行アクチュエータ15は、フレーム10を支える4個の車輪を有し、これら車輪の正逆回転を制御して床面上を走行可能な走行手段である。走行アクチュエータ15は、チェーンリンク機構の四輪駆動方式の走行手段であり、超信地旋回と直進と後退とが可能である。
X軸アクチュエータ132は、第1アクチュエータであり、フレーム10の対向する左右側部に取り付けられている。本実施形態のX軸アクチュエータ132は、電動式の直動アクチュエータが採用されている。X軸アクチュエータ132は、Y軸アクチュエータ131と回転・昇降アクチュエータ19と指向性プリズム11とプリンタ12を、墨打ちロボット1の前後方向に進退移動させる。
Y軸アクチュエータ131は、第2アクチュエータであり、X軸アクチュエータ132に取り付けられている。Y軸アクチュエータ131は、X軸アクチュエータ132と同様に電動式の直動アクチュエータが採用されている。Y軸アクチュエータ131は、回転・昇降アクチュエータ19を、墨打ちロボット1の左右方向に進退移動させる。つまりY軸アクチュエータ131は、X軸アクチュエータ132の駆動方向と直交する方向に、回転・昇降アクチュエータ19と指向性プリズム11とプリンタ12を移動させる。
回転・昇降アクチュエータ19は、指向性プリズム11を回転させる機能と、プリンタ12を昇降させる機能とを有している。
指向性プリズム11は、追尾型トータルステーション2の測距用レーザー光が照射される箇所である。この指向性プリズム11は、追尾型トータルステーション2によって光学的に位置が計測される計測ターゲットである。指向性プリズム11は、その中心位置がプリンタ12の位置と一定になるように配設されている。これにより、墨打ちロボット1は、プリンタ12の位置を正確に測定可能である。更に指向性プリズム11は、回転・昇降アクチュエータ19によって、任意の方向に回転する。これにより、指向性プリズム11は、墨打ちロボット1の移動後であっても追尾型トータルステーション2に正対することができる。
プリンタ12は、回転・昇降アクチュエータ19により降下させられて床面に近接すると共に、床面に向けたプリンタヘッドから、直線、十字線などの任意の長さの墨線を描画する。プリンタ12は更に、この墨線の属性情報など、例えば据付けする機器の名称などの文字、図形、記号を床面の墨打ち線の近傍に印字することができる。
墨打ちロボット1は、チェーンリンク機構の四輪駆動の走行アクチュエータ15を備え、超信地旋回と直進と後退とが可能である。走行アクチュエータ15は、フレーム10を支持する4つの車輪を駆動して、この墨打ちロボット1を走行させる走行手段である。墨打ちロボット1は、左右の車輪を逆方向に回転させて超信地旋回を行うことができ、左右の車輪を同方向に回転させて前進または後退を行うことができる。
以下、図6から図9により、配管プレハブ工法における床面への描画例を説明する。以下の描画例では、一点鎖線で配管構造物を示している。この一点鎖線は想像線であり、実際に墨打ちされるものではない。
図6は、比較例の配管施工時の墨打ち例を示す図である。
床面には、各吊ボルト位置400〜410に十字の破線が墨打ちされている。これら吊ボルト位置400〜410は、各配管または配管構造物4を天井裏に吊って固定するための第1の墨打ち位置に相当する。なお、この配管構造物4は、一つ上の階の給排水衛生設備配管である。
比較例の墨打ちロボット1は、各吊ボルト位置400〜410に十字の破線を描画する。設備工事の作業者は、天井の十字破線に対応する位置に穴などを施工し、これら穴に吊ボルトを設置して各配管または配管構造物4を天井裏に固定する。
なお、一点鎖線で示された配管460は、90度曲管であり、配管構造物4の端部で上を向いている。この配管460は、例えば便器や洗面所などの衛生設備に接続される。配管461は、直管であり、継ぎ手によって配管460および配管462に接続される。配管462は、90度曲菅であり、継ぎ手によって配管461および配管463に接続される。これらのうち配管461,463は直菅なので、任意の長さに切断して他の菅に接続することで、配管構造物4の端部を、天井の開口部の位置に合わせることができる。
図7は、本実施形態の配管施工時の墨打ち例を示す図である。
床面には、各吊ボルト位置400〜410に十字の破線が墨打ちされており、更に各配管同士の結合位置421〜442と、開口部芯450〜454とに十字の実線が墨打ちされている。結合位置421〜442は、床面で各配管をプレハブ製作するために必要な情報である。開口部芯450〜454は、天井の各開口部に配管構造物4の端部を嵌め込むために必要な情報である。
設備工事の作業者は、床面に墨打ちされた結合位置421〜442に基づいて配管構造物4を組み立てる。これにより危険な高所作業をすることなく、配管構造物4を組み立てることができる。その後、設備工事の作業者は、天井のうち十字破線に対応する箇所に穴などを施工し、これら穴に吊ボルトを設置して配管構造物4を天井に固定し、同時に配管構造物4の端部を天井の開口部に嵌め込む。
図8は、配管施工時に現場合わせ部を調整した墨打ちを示す図である。
一部の開口部を先行して工事していた場合、設計図と誤差が生じている場合がある。このような場合、先行して工事されていた開口部を計測して、墨打ちロボット1に現場合わせ部を調整させて、実際に墨打ちする位置を調整する。また、既に計測した天井の位置も、施工に必要ならば、現状値として床に墨打ちする場合がある。
一般的に開口部は、配管施工前や現場合わせ前に既に開口しており、設計図とズレていることが多い。よって、先行工事部の開口部を計測した後、他の吊ボルト位置と併せて開口部を床に墨打ちするとよい。
開口部芯450aは、先行して工事された開口部の中心位置であり、本来の開口部芯450に相当する。作業者は、追尾型トータルステーション2を用いて開口部芯450aの位置を測定し、墨打ちロボット1に入力する。墨打ちロボット1は、この開口部芯450aの実際の位置に基づき、現場合わせ部を調整する。
配管461aは、直管であり、継ぎ手によって配管460および配管462に接続される。この配管461aの長さを調整することで、図の上下方向に関する開口部の位置ずれを調整することができる。配管463aは、直菅であり、継ぎ手によって配管462およびその反対側の配管に接続される。この配管463aの長さを調整することで、図の左右方向に関する開口部の位置ずれを調整することができる。
吊ボルト位置400a,401aと、結合位置421a〜423aとは、開口部芯450aの入力に伴って調整された現場合わせ部である。ここで墨打ちロボット1は、各部品のうち調整可能な円筒状の配管を現場合わせ部として、この配管の長さを調整して、調整後の長さに従って墨を打つ。これにより作業者は、先行して工事された開口部に嵌め込むことができる配管構造物4aを容易に作成可能となる。
図9は、配管の結合面と中心線の線種を異ならせた変形例の墨打ちを示す図である。
図9に示す墨打ち例では、各配管の結合面を実線で墨打ちし、その中心線を破線で墨打ちしている。これにより、どのように各配管を結合すればよいかを明確にすることができる。このように、配管の結合位置のように面状の場合と、吊ボルトやアンカのように点状の場合とで、異なる墨打ちを行っているので、作業者は、墨打ちされた線の意味を取り違えることがなくなる。
以下、図10から図12により、この配管プレハブ工法を実現するための各処理を説明する。
図10は、CADアプリ641による処理を示すフローチャートである。
作業者は、例えばコンピュータ6でCADアプリ641を起動し、図面データ50を読み込ませるか、または新規に図面データを作成する(S10)。作業者は、コンピュータ6により、このCADアプリ641の墨レイヤに、墨打ちする位置を設定する(S11)。墨打ちする位置は、例えば吊ボルトやアンカの位置である。更に作業者は、この墨レイヤに2個の基準芯を設定する(S12)。作業者は、所定の形式に変換した図面データ51を出力し(S12)、図10の処理を終了する。
図11は、墨打ちデータ化アプリ642による処理を示すフローチャートである。
作業者は、例えばコンピュータ6で墨打ちデータ化アプリ642を起動し、図面データ51を読み込む(S20)。コンピュータ6のCPU61は、図面データ51に含まれる墨レイヤから墨打ちする位置を自動抽出する(S21)。作業者は、手作業によって墨打ちする位置を指定してもよい(S22)。
更に作業者は、コンピュータ6に対して墨打ちロボット1が走行する範囲を指定する(S23)。これにより、墨打ちロボット1による墨打ちと並行して、作業者または他の墨打ちロボット1は、この走行範囲とは異なる範囲の作業を行うことができる。
作業者は最後に、コンピュータ6に墨打ちの順序計画を入力し(S24)、これら墨位置、走行範囲、墨打ちの順序計画を含んだ墨打ちデータ52を出力して、図11の処理を終了する。
図12は、墨打ちロボ制御アプリ173とコントロールアプリ341による処理を示すフローチャートである。なお、コントロールアプリ341は、通信機器3のCPU31によって実行される。墨打ちロボ制御アプリ173は、墨打ちロボット1のPC17によって実行される。
最初、作業者がタッチパネルディスプレイ36で通信機器3を操作して、いずれかの墨打ちデータ52の読み込みを指示する(S50)。この指示は無線通信路を介して墨打ちロボット1に送信される。墨打ちロボット1のPC17は、指示された墨打ちデータ52を読み込む(S30)。
次に作業者は、不図示のプリズムを現場の基準芯の位置に設置し、追尾型トータルステーション2によってその基準芯の位置を計測する(S51)。通信機器3は、追尾型トータルステーション2から無線通信路を介して基準芯の位置情報を受信し、この基準芯の位置情報を墨打ちロボット1に送信する。墨打ちロボット1のPC17は、受信した基準芯の位置情報を設定する(S31)。これにより、PC17は、墨打ちデータ52の座標系を現場の座標系にマッピング可能となる。
次に作業者は、不図示のプリズムを現場の先行工事部分に設置し、その先行工事部の位置を計測する(S52)。通信機器3は、追尾型トータルステーション2から無線通信路を介して先行工事部の位置情報を受信し、先行工事部の位置情報を墨打ちロボット1に送信する。墨打ちロボット1のPC17は、受信した先行工事部分の位置情報を設定する(S31)。これにより、PC17は、先行工事部分の実際の位置情報に基づき、現場合わせ部の修正が可能となる(S32)。
次に作業者は、通信機器3により墨打ち指示を行う(S53)。この墨打ち指示情報は、無線通信路を介して送信され、PC17は、この墨打ち指示情報を受信する(S33)。以降、作業者は、通信機器3および目視により、墨打ちロボット1を監視する(S54)。
墨打ちロボット1は、ロボット本体の位置を追尾型トータルステーション2で計測しつつ、墨打ちデータ52に格納されている墨打ち位置へ移動する(S34)。その際、墨打ちロボット1は、測域センサ14が障害物を検知したか否かを判定する(S35)。墨打ちロボット1は、障害物を検知したならば(Yes)、その障害物を回避してステップS34に戻る。墨打ちロボット1は、障害物を検知しなかったならば(No)、墨打ちを実行して(S37)、次に打つべき墨の情報が有るか否かを判定する(S38)。
墨打ちロボット1は、次に打つべき墨の情報が有れば(Yes)、ステップS34に戻り、次の墨打ち位置へ移動する。墨打ちロボット1は、次に打つべき墨の情報が無ければ(No)、図12の処理を終了する。
図13は、実際の墨打ち例を示す図である。
図13には、墨線481と、この墨線481と直交する墨線482とが表示されている。この墨線481,482の交点が、吊ボルト位置480である。
図13には更に“PAC3C-1”と“ボルト位置”と文字で記載されたラベル483が表示されている。このように、墨線481,482だけではなく、文字のラベル483が印字されているので、設計図面によらずとも各墨線の意味を知ることができる。
(本実施形態の効果)
以上説明した本実施形態の墨打ちシステムSでは、アンカや吊ボルトの位置だけではなく、部品同士の結合位置に墨を打っている。この墨打ち情報によって、部品同士を結合させた構造物を床面で容易に組み立てることができる。これにより、熟練した作業者でなくとも配管構造物を作成可能であり、更に高所での配管の組立て作業を回避することができる。
更に、先行工事部の位置情報を測定した場合、墨打ちロボット1は、先行工事部の位置情報に基づいて現場合わせ部を修正し、修正した位置に墨を打つ。これにより作業者は、先行工事部の位置に合わせた配管構造物を容易に組み立てることができる。
(変形例)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路などのハードウェアで実現してもよい。上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈して実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、フラッシュメモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体に置くことができる。
各実施形態において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
本発明の変形例として、例えば、次の(a)〜(e)のようなものがある。
(a) 配管のプレハブ施工に限定されず、部品を結合して構造物を作成するならば、任意のものであってもよく、例えばダクトやケーブルトレイ等の施工に適用してもよい。
(b) 部品同士の結合位置を示す墨は、結合面を実線、その中心を破線としているが、これに限定されない。
(c) 墨打ち線は、実線、破線、一点鎖線、二点鎖線、二重線などであってもよい。また、墨打ち線の色彩や濃度は任意のものであってもよい。
(d) 墨打ちラベルや交点は文字に限定されず、点、四角形、三角形など、任意の図形であってもよい。
(e) 墨の打ち分けの対象としては、吊ボルト、アンカ、接合面の他に、管径、鋼管/樹脂管等の管種、空調/衛生などの用途、制気口類/開口部/バルブ等の機器別、業者別、工程別、プロセス別、等であってもよい。
1 墨打ちロボット
10 フレーム
11 指向性プリズム
12 プリンタ
13 アクチュエータ
131 Y軸アクチュエータ
132 X軸アクチュエータ
14 測域センサ
15 走行アクチュエータ
16 無線LAN親機
17 PC
171 モーションコントローラ
172 記憶部
173 墨打ちロボ制御アプリ (現場合わせ手段)
181〜183 表示灯
19 回転・昇降アクチュエータ
2 追尾型トータルステーション
3 通信機器
341 コントロールアプリ
4,4a 配管構造物
400〜410 吊ボルト位置 (第1の墨打ち位置)
421〜442 結合位置 (第2の墨打ち位置)
450〜454 開口部芯 (第1の墨打ち位置)
460〜463 配管
480 吊ボルト位置
481 墨線
482 墨線
483 ラベル
50,51 図面データ
52 墨打ちデータ
6 コンピュータ
641 CADアプリ
642 墨打ちデータ化アプリ

Claims (8)

  1. 図面データから部品の固定位置を第1の墨打ち位置として抽出し、
    前記図面データから部品同士の結合位置を第2の墨打ち位置として抽出し、
    自律走行する墨打ちロボットに自身の位置を検知させつつ、前記第1または第2の墨打ち位置に走行させ、
    前記墨打ちロボットに、当該第1または第2の墨打ち位置の床面に墨を印刷させる、
    ことを特徴とする墨打ち方法。
  2. 前記墨打ちロボットは、部品の固定位置である前記第1の墨打ち位置のいずれかの修正指示を受信すると、当該第1の墨打ち位置に関連する他の前記第1、第2の墨打ち位置を修正する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の墨打ち方法
  3. 部品の固定位置を第1の墨打ち位置として抽出し、部品同士の結合位置を第2の墨打ち位置として抽出する抽出手段と、
    自身の位置を検知して前記第1または第2の墨打ち位置に走行したのち、当該第1または第2の墨打ち位置の床面に墨を印刷する墨打ちロボットと、
    を備えたことを特徴とする墨打ちシステム。
  4. 計測ターゲットの位置を光学的に計測する三次元計測手段を更に備え、
    前記墨打ちロボットは、前記計測ターゲットを有し、前記三次元計測手段が計測した前記計測ターゲットの位置により、自身の位置を検知する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の墨打ちシステム。
  5. 前記第2の墨打ち位置には、部品同士の結合位置が含まれる、
    ことを特徴とする請求項3に記載の墨打ちシステム。
  6. 前記第1の墨打ち位置には、部品端部の開口部への嵌め込み位置が含まれる、
    ことを特徴とする請求項3に記載の墨打ちシステム。
  7. 前記第1の墨打ち位置には、部品を固定するためのボルトまたは吊ボルトの位置が含まれる、
    ことを特徴とする請求項3に記載の墨打ちシステム。
  8. 部品の固定位置である前記第1の墨打ち位置のいずれかの修正指示を受信すると、当該第1の墨打ち位置に関連する他の前記第1、第2の墨打ち位置を修正する現場合わせ手段、
    を備えることを特徴とする請求項3から7のうちいずれか1項に記載の墨打ちシステム。
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