JP2019196988A - 墨打ち方法、または墨打ちシステム - Google Patents
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Abstract
Description
従来、墨打ちは、大工が墨つぼから墨を含んだ糸を引き出し、この糸を弾いて床や壁面などに墨線を付けることで行われていた。また、近年では墨の代わりにレーザーを使用するレーザー式墨出し機を用いる作業が主流となっているが、正確な墨打ちには熟練を要し、更に手作業に伴う人為的なミスが発生するおそれがあった。
特許文献1に記載の墨打ちロボットによれば、予め定めた位置に墨を打つことができる。しかし、上述したように現場では一部の工事が先行している場合があるが、特許文献1の墨打ちロボットは、このような先行工事箇所にあわせて墨位置を修正することは何ら考慮されていない。また、配管の製作や据付けについても、何ら考慮されていない。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本実施形態が解決したい問題点を以下に列挙する。
従来行われてきた現場での配管構造物の製作は、熟練を要し、時には高所での作業を要する困難なものであった。本実施形態の墨打ちシステムは、配管構造物の製作を支援するものである。
以下、図1から図5により墨打ちシステムを構成する各装置について説明する。
図1に示すように、墨打ちシステムSは、墨打ちロボット1と、追尾型トータルステーション2と、通信機器3と、コンピュータ6とを含んで構成される。墨打ちシステムSは、設備工事の墨打ち作業を省力化するものである。
コンピュータ6は、作業者によって操作されて、墨打ちデータを作成するものである。通信機器3は、作業者によって操作される携帯端末である。墨打ちロボット1と、追尾型トータルステーション2と、通信機器3と、コンピュータ6は、相互に無線で通信可能である。
コンピュータ6は、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63、記憶部64を備える。CPU61は、RAM63を作業領域として、ROM62や記憶部64に格納されたプログラムやデータを実行するプロセッサである。
通信機器3は、CPU31、ROM32、RAM33、記憶部34を備える。CPU31は、RAM33を作業領域として、ROM32や記憶部34に格納されたプログラムやデータを実行するプロセッサである。
記憶部172は、例えばフラッシュメモリやハードディスクなどの大容量記憶装置であり、ここでは墨打ちロボ制御アプリ173を格納している。
指向性プリズム11は、追尾型トータルステーション2の測距用レーザー光が照射される箇所である。この指向性プリズム11は、追尾型トータルステーション2によって光学的に位置が計測される計測ターゲットである。指向性プリズム11は、その中心位置がプリンタ12の位置と一定になるように配設されている。これにより、墨打ちロボット1は、プリンタ12の位置を正確に測定可能である。更に指向性プリズム11は、回転・昇降アクチュエータ19によって、任意の方向に回転する。これにより、指向性プリズム11は、墨打ちロボット1の移動後であっても追尾型トータルステーション2に正対することができる。
床面には、各吊ボルト位置400〜410に十字の破線が墨打ちされている。これら吊ボルト位置400〜410は、各配管または配管構造物4を天井裏に吊って固定するための第1の墨打ち位置に相当する。なお、この配管構造物4は、一つ上の階の給排水衛生設備配管である。
なお、一点鎖線で示された配管460は、90度曲管であり、配管構造物4の端部で上を向いている。この配管460は、例えば便器や洗面所などの衛生設備に接続される。配管461は、直管であり、継ぎ手によって配管460および配管462に接続される。配管462は、90度曲菅であり、継ぎ手によって配管461および配管463に接続される。これらのうち配管461,463は直菅なので、任意の長さに切断して他の菅に接続することで、配管構造物4の端部を、天井の開口部の位置に合わせることができる。
床面には、各吊ボルト位置400〜410に十字の破線が墨打ちされており、更に各配管同士の結合位置421〜442と、開口部芯450〜454とに十字の実線が墨打ちされている。結合位置421〜442は、床面で各配管をプレハブ製作するために必要な情報である。開口部芯450〜454は、天井の各開口部に配管構造物4の端部を嵌め込むために必要な情報である。
一部の開口部を先行して工事していた場合、設計図と誤差が生じている場合がある。このような場合、先行して工事されていた開口部を計測して、墨打ちロボット1に現場合わせ部を調整させて、実際に墨打ちする位置を調整する。また、既に計測した天井の位置も、施工に必要ならば、現状値として床に墨打ちする場合がある。
図9に示す墨打ち例では、各配管の結合面を実線で墨打ちし、その中心線を破線で墨打ちしている。これにより、どのように各配管を結合すればよいかを明確にすることができる。このように、配管の結合位置のように面状の場合と、吊ボルトやアンカのように点状の場合とで、異なる墨打ちを行っているので、作業者は、墨打ちされた線の意味を取り違えることがなくなる。
図10は、CADアプリ641による処理を示すフローチャートである。
作業者は、例えばコンピュータ6でCADアプリ641を起動し、図面データ50を読み込ませるか、または新規に図面データを作成する(S10)。作業者は、コンピュータ6により、このCADアプリ641の墨レイヤに、墨打ちする位置を設定する(S11)。墨打ちする位置は、例えば吊ボルトやアンカの位置である。更に作業者は、この墨レイヤに2個の基準芯を設定する(S12)。作業者は、所定の形式に変換した図面データ51を出力し(S12)、図10の処理を終了する。
作業者は、例えばコンピュータ6で墨打ちデータ化アプリ642を起動し、図面データ51を読み込む(S20)。コンピュータ6のCPU61は、図面データ51に含まれる墨レイヤから墨打ちする位置を自動抽出する(S21)。作業者は、手作業によって墨打ちする位置を指定してもよい(S22)。
作業者は最後に、コンピュータ6に墨打ちの順序計画を入力し(S24)、これら墨位置、走行範囲、墨打ちの順序計画を含んだ墨打ちデータ52を出力して、図11の処理を終了する。
図13には、墨線481と、この墨線481と直交する墨線482とが表示されている。この墨線481,482の交点が、吊ボルト位置480である。
以上説明した本実施形態の墨打ちシステムSでは、アンカや吊ボルトの位置だけではなく、部品同士の結合位置に墨を打っている。この墨打ち情報によって、部品同士を結合させた構造物を床面で容易に組み立てることができる。これにより、熟練した作業者でなくとも配管構造物を作成可能であり、更に高所での配管の組立て作業を回避することができる。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
(a) 配管のプレハブ施工に限定されず、部品を結合して構造物を作成するならば、任意のものであってもよく、例えばダクトやケーブルトレイ等の施工に適用してもよい。
(b) 部品同士の結合位置を示す墨は、結合面を実線、その中心を破線としているが、これに限定されない。
(c) 墨打ち線は、実線、破線、一点鎖線、二点鎖線、二重線などであってもよい。また、墨打ち線の色彩や濃度は任意のものであってもよい。
(e) 墨の打ち分けの対象としては、吊ボルト、アンカ、接合面の他に、管径、鋼管/樹脂管等の管種、空調/衛生などの用途、制気口類/開口部/バルブ等の機器別、業者別、工程別、プロセス別、等であってもよい。
10 フレーム
11 指向性プリズム
12 プリンタ
13 アクチュエータ
131 Y軸アクチュエータ
132 X軸アクチュエータ
14 測域センサ
15 走行アクチュエータ
16 無線LAN親機
17 PC
171 モーションコントローラ
172 記憶部
173 墨打ちロボ制御アプリ (現場合わせ手段)
181〜183 表示灯
19 回転・昇降アクチュエータ
2 追尾型トータルステーション
3 通信機器
341 コントロールアプリ
4,4a 配管構造物
400〜410 吊ボルト位置 (第1の墨打ち位置)
421〜442 結合位置 (第2の墨打ち位置)
450〜454 開口部芯 (第1の墨打ち位置)
460〜463 配管
480 吊ボルト位置
481 墨線
482 墨線
483 ラベル
50,51 図面データ
52 墨打ちデータ
6 コンピュータ
641 CADアプリ
642 墨打ちデータ化アプリ
Claims (8)
- 図面データから部品の固定位置を第1の墨打ち位置として抽出し、
前記図面データから部品同士の結合位置を第2の墨打ち位置として抽出し、
自律走行する墨打ちロボットに自身の位置を検知させつつ、前記第1または第2の墨打ち位置に走行させ、
前記墨打ちロボットに、当該第1または第2の墨打ち位置の床面に墨を印刷させる、
ことを特徴とする墨打ち方法。 - 前記墨打ちロボットは、部品の固定位置である前記第1の墨打ち位置のいずれかの修正指示を受信すると、当該第1の墨打ち位置に関連する他の前記第1、第2の墨打ち位置を修正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の墨打ち方法 - 部品の固定位置を第1の墨打ち位置として抽出し、部品同士の結合位置を第2の墨打ち位置として抽出する抽出手段と、
自身の位置を検知して前記第1または第2の墨打ち位置に走行したのち、当該第1または第2の墨打ち位置の床面に墨を印刷する墨打ちロボットと、
を備えたことを特徴とする墨打ちシステム。 - 計測ターゲットの位置を光学的に計測する三次元計測手段を更に備え、
前記墨打ちロボットは、前記計測ターゲットを有し、前記三次元計測手段が計測した前記計測ターゲットの位置により、自身の位置を検知する、
ことを特徴とする請求項3に記載の墨打ちシステム。 - 前記第2の墨打ち位置には、部品同士の結合位置が含まれる、
ことを特徴とする請求項3に記載の墨打ちシステム。 - 前記第1の墨打ち位置には、部品端部の開口部への嵌め込み位置が含まれる、
ことを特徴とする請求項3に記載の墨打ちシステム。 - 前記第1の墨打ち位置には、部品を固定するためのボルトまたは吊ボルトの位置が含まれる、
ことを特徴とする請求項3に記載の墨打ちシステム。 - 部品の固定位置である前記第1の墨打ち位置のいずれかの修正指示を受信すると、当該第1の墨打ち位置に関連する他の前記第1、第2の墨打ち位置を修正する現場合わせ手段、
を備えることを特徴とする請求項3から7のうちいずれか1項に記載の墨打ちシステム。
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