3次元ソナーが音波の送受波を行う送受波ユニットから計測の対象物までの距離が大きい程、計測される対象物の3次元形状の精度は低下する。従って、必要な精度の3次元形状を得るためには、対象物までの距離が所定値以下となるように送受波ユニットを近づける必要がある。
特許文献1に記載の技術において、3次元ソナーの送受波ユニットの位置、方位及び姿勢は、送受波ユニットが取り付けられた作業船の位置、方位及び姿勢により特定される。すなわち、特許文献1に記載の技術において、3次元ソナーの送受波ユニットは作業船と剛性の高い架台で固定連結されている。
水深の深い領域(例えば、水深が20メートルを超えるような領域)で行われる作業を効率的に行えるように特許文献1に記載の施工管理方法を用いる場合、送受波ユニットを対象物に近づけるためには、架台を作業船から水中に長く延ばす必要がある。作業船と架台の連結部には架台の重量と架台が水中で受ける潮流等の外力が加わるため、強度上、架台の長さには限界がある。また、架台が長くなると、架台が水中で受ける潮流等の外力により振動し、その振動が送受波ユニットに伝わるため、送受波ユニットを対象物に近づけても十分な精度の3次元形状が得られない場合がある。
上記の背景に鑑み、本発明は、作業領域の水深の大小にかかわらず、作業領域内の対象物の3次元形状を必要な精度でリアルタイムに提供することによって、水中作業を効率的に行えるように支援する手段を提供する。
上述した課題を解決するために、本発明は、水中作業支援システムと、当該水中作業支援システムを用いて実行される水中作業支援方法を提案する。
本発明の一実施形態に係る水中作業支援システムは、3次元ソナーシステムと、吊り索と、位置特定手段を備える。
3次元ソナーシステムは、水中の対象物の3次元形状を1回の音波の送波により計測するシステムであり、音波の送受波を行う送受波ユニットを備える。
なお、本願において、「水中の対象物の3次元形状を1回の音波の送波により計測する」とは、水中の対象物に対し1回、音波の送波を行い、当該音波が対象物において反射して生じる複数の反射波の各々を受波し、受波した複数の反射波に基づき対象物の3次元形状を計測することを意味する。
送受波ユニットは、水中の計測領域に対し、音波を1回送波する毎に、当該音波の複数の反射波を受波する。3次元ソナーシステムは、送受波ユニットによって送受波した音波の波形に基づき、計測領域内の対象物の3次元形状を実質的にリアルタイムに演算する。
送受波ユニットは水中ユニットの一部として吊り索(後述)より水中に吊られる。水中ユニットは、送受波ユニットに加え、送受波ユニットの方位及び姿勢を変更する雲台、慣性航法装置(後述)、音響測位システム(後述)を構成するトランスポンダを含むユニットである。
吊り索は、送受波ユニットを含む水中ユニットを水中で吊るための索である。
位置特定手段は、送受波ユニットの位置を特定する手段である。本発明の一実施形態に係る水中作業支援システムは、位置特定手段として、音響測位システム又は慣性航法装置を備える。
音響測位システムは、水中で音波(超音波を含む)を送受波することにより、対象物の位置を計測するシステムである。
慣性航法装置は、初期値として与えられる位置からの自装置の方位及び姿勢の変化を継続的に計測することで自装置の現在の位置を特定する装置である。上述の音響測位システムが1回の位置計測に要する時間は対象物の位置を計測するために音波を送受波する装置間の距離によって変化するが、概ね1秒から数秒程度である。慣性航法装置は、音響測位システムにより位置計測が行われるタイミング間の対象物の位置変化を捉えるために用いられる。
本発明の一実施形態に係る水中作業支援システムは、慣性航法装置に代えて、送受波ユニットの方位と姿勢を計測するための方位姿勢計測手段を備える。
本発明の一実施形態に係る水中作業支援システムは、方位姿勢計測手段として、3軸傾斜計等の方位と姿勢の両方を計測する装置(方位姿勢計測装置)を備える。また、本発明の一実施形態に係る水中作業支援システムは、方位姿勢計測手段として、GNSS(Global Navigation Satellite System)コンパス等の方位を計測する装置(方位計測装置)と、2軸傾斜計等の姿勢を計測する装置(姿勢計測装置)とを備える。
本発明の一実施形態に係る水中作業支援システムにおいて、慣性航法装置、方位姿勢計測装置又は姿勢計測装置が送受波ユニットに内蔵されていてもよい。
例えば、オペレータは、3次元ソナーシステムにより計測された水中の対象物の3次元形状を見ながら、吊り索の繰り出しや、水中作業用装置に対する作業の指示を行う。
水中作業用装置は、水中で作業を行うための装置である。なお、水中作業用装置は、作業船上に配置されたクレーン等のように、必ずしも水中に配置されなくてよい。
本発明の一実施形態に係る水中作業支援システムは、上記の吊り索に加えて、もしくはそれに代えて、送受波ユニットに取り付けられた浮体又はブイを備える。
本願において、浮体は水中で浮力を生じる物体であって、バラストタンクのように浮力調整機能を備えない物体を意味する。浮体の例としては、発泡スチロール、空気を収容するタンク(空気を出し入れする機能を備えない)等が挙げられる。
また、本願において、ブイは水面に浮かぶ目印となる物体を意味する。
なお、本願において、浮体又はブイが「取り付けられている」とは、内蔵された状態で取り付けられている、外側に直接取り付けられている、棒等の剛体を介して外部に取り付けられている、索等の非剛体を介して外部に取り付けられている、といった様々な態様を含む広い概念である。
本発明の一実施形態に係る水中作業支援システムは、送受波ユニットの方位及び姿勢を変更する雲台を備える。
また、本発明の一実施形態に係る水中作業支援システムは、錘と、送受波ユニットと当該錘を連結する係留索を備える。
また、本発明の一実施形態に係る水中作業支援システムは、水中の送受波ユニットを下方から支持する支持部材を備える。
具体的には、本発明は、水中の対象物の3次元形状を1回の音波の送波により計測する3次元ソナーシステムの送受波ユニットを水中で吊る工程と、前記送受波ユニットの位置を音響測位システム及び慣性航法装置の少なくとも一方を含む位置特定手段を用いて特定する工程と、前記3次元ソナーシステムにより前記対象物の3次元形状を計測する工程とを備える水中作業支援方法を第1の態様として提供する。
第1の態様の水中作業支援方法によれば、作業領域の水深の大小にかかわらず、作業領域内の対象物の3次元形状が必要な精度でリアルタイムに提供される。その際、3次元ソナーシステムの送受波ユニットの位置も特定される。その結果、水中作業が効率的に行われる。
第1の態様の水中作業支援方法において、前記慣性航法装置又は方位姿勢計測手段を用いて前記送受波ユニットの方位及び姿勢を計測する工程と、前記送受波ユニットの方位及び姿勢に基づいて、前記送受波ユニットの方位及び姿勢を調整する工程とを備える、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
第2の態様の水中作業支援方法によれば、送受波ユニットから送受波される音波に指向性があり、送受波ユニットからみて感度が低い方向に計測の対象物がある場合であっても、対象物が感度の高い方向となるように、送受波ユニットの方位及び姿勢を容易に調整することができる。
また、本発明は、水中の対象物の3次元形状を1回の音波の送波により計測する3次元ソナーシステムの送受波ユニットを水中で吊る工程と、前記3次元ソナーシステムにより前記対象物の3次元形状を計測する工程と、前記計測する工程において計測される3次元形状から、位置が既知の水中の物体を認識する工程と、方位姿勢計測手段を用いて前記送受波ユニットの方位及び姿勢を計測する工程と、前記物体の前記3次元形状における位置と、前記送受波ユニットの方位及び姿勢に基づいて、前記送受波ユニットの位置を特定する工程とを備える水中作業支援方法を第3の態様として提供する。
第3の態様の水中作業支援方法によれば、作業領域の水深の大小にかかわらず、作業領域内の対象物の3次元形状が必要な精度でリアルタイムに提供される。その際、音響測位システム及び慣性航法装置といった位置特定手段を要することなく、3次元ソナーシステムの送受波ユニットの位置が特定される。
第3の態様の水中作業支援方法において、前記送受波ユニットの方位及び姿勢に基づいて、前記送受波ユニットの方位及び姿勢を調整する工程を備える、という構成が第4の態様として採用されてもよい。
第4の態様の水中作業支援方法によれば、送受波ユニットから送受波される音波に指向性があり、送受波ユニットからみて感度が低い方向に計測の対象物がある場合であっても、対象物が感度の高い方向となるように、送受波ユニットの方位及び姿勢を容易に調整することができる。
第1乃至第4のいずれかの態様の水中作業支援方法において、前記3次元形状に基づいて、水中で作業を行うための水中作業用装置に対して作業の指示を行う工程を備える、という構成が第5の態様として採用されてもよい。
第5の態様の水中作業支援方法によれば、作業者に3次元形状を表す画像等の情報を提供することにより、水中作業用装置を用いた作業が支援される。
第5の態様の水中作業支援方法において、前記3次元形状に基づいて、前記水中作業用装置及び前記対象物の少なくとも一方を吊る吊り索を繰り出す工程を備える、という構成が第6の態様として採用されてもよい。
第6の態様の水中作業支援方法によれば、水中作業用装置及び作業の対象物の少なくとも一方を作業領域まで吊り下ろす作業を容易に行うことができる。
第1乃至第6のいずれかの態様の水中作業支援方法において、前記送受波ユニットを吊る吊り索の繰り出しを停止して前記送受波ユニットが水中で吊られた状態とする工程を備え、前記3次元形状を計測する工程は、前記送受波ユニットが水中で吊られた状態で行われる、という構成が第7の態様として採用されてもよい。
第7の態様の水中作業支援方法によれば、水底上の対象物を上方から見た3次元形状を得ることができる。
第1乃至第6のいずれかの態様の水中作業支援方法において、前記送受波ユニットを吊る吊り索を前記送受波ユニットから切り離す工程を備え、前記3次元形状を計測する工程は、前記送受波ユニットが当該吊り索から切り離された状態で行われる、という構成が第8の態様として採用されてもよい。
第8の態様の水中作業支援方法によれば、対象物の3次元形状を計測する際に、送受波ユニットが吊り索から振動を受けない。
第1乃至第8のいずれかの態様の水中作業支援方法において、前記送受波ユニットを吊る吊り索に浮体又はブイを取り付ける工程を備える、という構成が第9の態様として採用されてもよい。
第9の態様の水中作業支援方法において浮体が用いられる場合、水底上の対象物を上方から見た3次元形状を得ることができる。また、第9の態様の水中作業支援方法においてブイが用いられる場合、水上に浮かんでいるブイに取り付けられた吊り索を巻き上げることにより、水中の送受波ユニットを容易に回収できる。
また、本発明は、水中の対象物の3次元形状を1回の音波の送波により計測する3次元ソナーシステムと、前記3次元ソナーシステムの送受波ユニットを水中で吊る吊り索と、前記送受波ユニットの位置を特定する、音響測位システム及び慣性航法装置の少なくとも一方を含む位置特定手段とを備える水中作業支援システムを第10の態様として提供する。
第10の態様の水中作業支援システムによれば、作業領域の水深の大小にかかわらず、作業領域内の対象物の3次元形状が必要な精度でリアルタイムに提供される。その際、3次元ソナーシステムの送受波ユニットの位置も特定される。その結果、水中作業が効率的に行われる。
第10の態様の水中作業支援システムにおいて、前記音響測位システムを備え、前記音響測位システムを構成する2以上の装置の1以上は、水中の既知の位置に設置されている、という構成が第11の態様として採用されてもよい。
第11の態様の水中作業支援システムによれば、送受波ユニットの位置の計測が高速且つ高精度で行われる。
また、本発明は、水中の対象物の3次元形状を1回の音波の送波により計測する3次元ソナーシステムと、前記3次元ソナーシステムの送受波ユニットを水中で吊る吊り索と、前記送受波ユニットの方位及び姿勢を計測する方位姿勢計測手段と、前記3次元ソナーシステムにより計測される3次元形状から位置が既知の水中の物体を認識し、前記物体の前記3次元形状における位置と、前記送受波ユニットの方位及び姿勢に基づいて、前記送受波ユニットの位置を特定する位置特定手段とを備える水中作業支援システムを第12の態様として提供する。
第12の態様の水中作業支援システムによれば、作業領域の水深の大小にかかわらず、作業領域内の対象物の3次元形状が必要な精度でリアルタイムに提供される。その際、音響測位システム及び慣性航法装置といった位置特定手段を要することなく、3次元ソナーシステムの送受波ユニットの位置が特定される。
また、本発明は、水中の対象物の3次元形状を1回の音波の送波により計測する3次元ソナーシステムと、前記3次元ソナーシステムの送受波ユニットに取り付けられた浮体又はブイと、前記送受波ユニットの位置を特定する、音響測位システム及び慣性航法装置の少なくとも一方を含む位置特定手段とを備える水中作業支援システムを第13の態様として提供する。
第13の態様の水中作業支援システムが浮体を備える場合、水底上の対象物を上方から見た3次元形状を得ることができる。また、第13の態様の水中作業支援システムがブイを備える場合、水上に浮かんでいるブイに取り付けられた索を巻き上げることにより、水中の送受波ユニットを容易に回収できる。
第13の態様の水中作業支援システムにおいて、錘と、前記送受波ユニットと前記錘を連結する係留索とを備える、という構成が第14の態様として採用されてもよい。
第14の態様の水中作業支援システムによれば、水底から係留索の長さに応じた高い位置に送受波ユニットを配置することができる。
第13の態様の水中作業支援システムにおいて、水中の前記送受波ユニットを下方から支持する支持部材を備える、という構成が第15の態様として採用されてもよい。
第15の態様の水中作業支援システムによれば、水底から支持部材の高さに応じた高い位置に送受波ユニットを配置することができる。
第10乃至第15のいずれかの態様の水中作業支援システムにおいて、前記送受波ユニットの方位及び姿勢を変更する雲台を備える、という構成が第16の態様として採用されてもよい。
第16の態様の水中作業支援システムによれば、送受波ユニットから送受波される音波に指向性があり、送受波ユニットからみて感度が低い方向に計測の対象物がある場合であっても、対象物が感度の高い方向となるように、送受波ユニットの方位及び姿勢を容易に調整することができる。
[実施形態]
以下に本発明の一実施形態に係る作業支援システム1及び作業支援システム1を用いて行われる作業支援方法を説明する。図1は、作業支援システム1の全体構成を模式的に示した図である。作業支援システム1は、水深の深い領域(例えば、水深が20メートルを超えるような領域)において水中作業用装置151により行われる作業の対象物5の3次元形状をリアルタイムに計測し提示することによって、水中作業用装置151のオペレータ等の作業者による作業を支援するシステムである。
作業支援システム1は、対象物5の3次元形状を計測する3次元ソナーシステム11と、水中ユニット10の位置を計測する音響測位システム12(位置特定手段の一例)と、水中ユニット10を水中に吊り下ろすためのウィンチシステム13と、水中ユニット10に含まれる送受波ユニット111(後述)の方向を調整する方向調整システム14と、対象物5に対し作業を行う水中作業システム15と、トランスデューサ121(後述)の位置、方位及び姿勢を計測する位置方位姿勢計測システム16と、水中ユニット10の位置、方位及び姿勢を計測する慣性航法装置17(方位姿勢計測手段、位置特定手段の一例)と、作業者に対象物5の3次元形状を表す画像等の情報を提供すると共に作業者から水中作業用装置151に対する作業の指示等を受け付ける端末装置18を備える。
3次元ソナーシステム11は、水中の計測領域に対し1回の音波の送波と当該音波の複数の反射波の受波を行う送受波ユニット111と、送受波ユニット111により送受波された音波の波形に基づき計測領域内の物体の3次元形状を実質的にリアルタイムに演算する演算ユニット112を備える。
送受波ユニット111は水中ユニット10に含まれ、水中に吊り下げられる。演算ユニット112は、例えば作業船6の居住区61内に配置されている。送受波ユニット111と演算ユニット112は複合ケーブル136に含まれる通信ケーブルを介して接続されている。
音響測位システム12は、作業船6の船体外面の水に接する部分に配置されたトランスデューサ121と、水中ユニット10の既知の位置に配置され、送受波ユニット111と共に水中に吊り下げられるトランスポンダ122と、作業船6の例えば居住区61内に配置された演算ユニット123を備える。トランスデューサ121と演算ユニット123は、図示せぬ通信ケーブルにより接続されている。
演算ユニット123は、複合ケーブル136に含まれる通信ケーブルを介して、トランスポンダ122にトリガ信号を送信する。トランスポンダ122はトリガ信号に応じて音波を送波する。トランスデューサ121は、既知の異なる位置に配置された3以上のアンテナ(音波受信部)を有し、トランスポンダ122から送波された音波をそれらのアンテナの各々で受波する。
トランスデューサ121は、受波した音波の波形データを演算ユニット123に引き渡す。演算ユニット123は、トランスデューサ121から引き渡された波形データに基づき、トランスポンダ122からトランスデューサ121の複数のアンテナの各々に音波が到達するまでに要した時間を特定し、特定したそれらの時間に基づきトランスポンダ122の位置を演算する。
ウィンチシステム13は、まず、水中ユニット10を水中に吊るための吊り索131と、吊り索131の繰り出し及び巻き上げを行うウィンチ132と、ウィンチ132による吊り索131の巻き上げ及び繰り出しの動作を制御する制御ユニット133を備える。
さらに、ウィンチシステム13は、吊り索131によって水中に吊られている水中ユニット10の鉛直軸周りの回転を防止するために2本1対で用いられる振れ止め索134L及び134R(以下、振れ止め索134L及び134Rを「振れ止め索134」と総称する)と、水中ユニット10の移動に伴い振れ止め索134Lが一定のテンションを保つように振れ止め索134Lの繰り出し及び巻き上げを行うウィンチ135Lと、水中ユニット10の移動に伴い振れ止め索134Rが一定のテンションを保つように振れ止め索134Rの繰り出し及び巻き上げを行うウィンチ135R(以下、ウィンチ135L及び135Rを「ウィンチ135」と総称する)を備える。
さらに、ウィンチシステム13は、水中ユニット10と端末装置18との間の通信のための通信ケーブルと水中ユニット10に対する電力供給のための送電ケーブルを含む複合ケーブル136と、水中ユニット10の移動に伴い複合ケーブル136が一定のテンションを保つように複合ケーブル136の繰り出し及び巻き上げを行うウィンチ137を備える。
ウィンチ132とウィンチ137は、例えば作業船6の甲板上の船尾側中央付近に配置されている。ウィンチ135Lは、例えば作業船6の甲板上の船尾側左端付近に配置されている。ウィンチ135Rは、例えば作業船6の甲板上の船尾側右端付近に配置されている。制御ユニット133は、例えば作業船6の居住区61内に配置されている。ウィンチ132と制御ユニット133は、図示せぬ通信ケーブルにより接続されている。
方向調整システム14は、送受波ユニット111の方位及び姿勢を変更する雲台141と、雲台141による送受波ユニット111の方位及び姿勢の変更の動作を制御する制御ユニット142を備える。なお、本実施形態において、雲台141は、鉛直軸周りの角度と1本の水平軸周りの角度を変更可能な2軸雲台であるものとするが、雲台141が、例えば、鉛直軸周りの角度と、互いに直交する2本の水平軸の各々の周りの角度を変更可能な3軸雲台であってもよい。
雲台141は水中ユニット10に含まれ、送受波ユニット111と共に水中に吊り下げられる。制御ユニット142は、例えば作業船6の居住区61内に配置されている。雲台141と制御ユニット142は複合ケーブル136に含まれる通信ケーブルを介して接続されている。
水中作業システム15は、水中の対象物5に対し所定の作業を行う水中作業用装置151と、水中作業用装置151の動作を制御する制御ユニット152を備える。水中作業用装置151と制御ユニット152は、図示せぬ通信ケーブルにより接続されている。
水中作業用装置151の少なくとも一部は水中に作業領域内に配置される。なお、図1の例では、水中作業用装置151はその全てが水中にあるが、例えば水上からバケットを水中に吊り下ろし、ワイヤによりバケットの開閉を行うことで、水底上に対象物を配置するクレーンは、その一部が水上に配置されている水中作業用装置151の一例である。制御ユニット152は、例えば作業船6の居住区61内に配置されている。
位置方位姿勢計測システム16は、人工衛星から送信される航法信号を受信する3つのGNSSアンテナ、すなわち、GNSSアンテナ161A、161B及び161C(以下、GNSSアンテナ161A、161B及び161Cを「GNSSアンテナ161」と総称する)と、GNSSアンテナ161の各々が受信する航法信号に基づきGNSSアンテナ161の各々の位置を演算する演算ユニット162を備える。
GNSSアンテナ161の各々は、例えばトランスデューサ121とフレーム等の剛体で連結されており、GNSSアンテナ161の各々とトランスデューサ121との相対位置関係は既知で変化しない。演算ユニット162は、演算したGNSSアンテナ161の各々の位置に基づき、トランスデューサ121の位置、方位及び姿勢を演算により特定する。
演算ユニット162は、例えば作業船6の居住区61内に配置されている。GNSSアンテナ161と演算ユニット162は、図示せぬ通信ケーブルにより接続されている。
慣性航法装置17は、位置の初期値を取得する取得手段と、方位及び姿勢を計測する方位姿勢計測手段(例えば、方位を計測するジャイロコンパス、姿勢を計測する3軸ジャイロセンサ及び3軸加速度センサ等)と、方位姿勢計測手段により計測される方位及び姿勢の経時変化に基づき、初期値として取得した位置からの自装置の移動方向及び移動距離を演算し、自装置の現在の位置を特定する演算手段とを備える。慣性航法装置17は水中ユニット10の既知の位置に配置されている。
端末装置18は、コンピュータと、コンピュータに接続された表示装置(液晶ディスプレイ等)及び操作装置(キーボード、マウス等)を備える。端末装置18は、例えば作業船6の居住区61内に配置されている。
端末装置18のコンピュータには、3次元ソナーシステム11の演算ユニット112、音響測位システム12の演算ユニット123、ウィンチシステム13の制御ユニット133、方向調整システム14の制御ユニット142、位置方位姿勢計測システム16の演算ユニット162、慣性航法装置17が接続されている。なお、端末装置18と慣性航法装置17は、複合ケーブル136に含まれる通信ケーブルを介して接続されている。
図2は、端末装置18の機能的構成を示したブロック図である。すなわち、端末装置18が備えるコンピュータのプロセッサが、プログラムに従うデータ処理を実行することにより、端末装置18が図2に示す構成を備える装置として動作する。以下に、端末装置18が備える機能的構成を説明する。
3次元形状データ取得部181は、3次元ソナーシステム11の演算ユニット112から、対象物5の3次元形状を表す3次元形状データを取得する。
水中ユニット位置データ取得部182は、音響測位システム12の演算ユニット123から、トランスデューサ121の位置を基準とする水中ユニット10の相対的な位置を示す水中ユニット位置データを取得する。
位置方位姿勢データ取得部183は、位置方位姿勢計測システム16の演算ユニット162から、トランスデューサ121の3次元位置(例えば、緯度、経度、高さ)、方位及び姿勢を示す位置方位姿勢データを取得する。
水中ユニット位置特定部184は、水中ユニット位置データ取得部182が取得する水中ユニット位置データが示すトランスデューサ121の位置を基準とする水中ユニット10の相対的な位置と、位置方位姿勢データ取得部183が取得する位置方位姿勢データが示すトランスデューサ121の位置、方位及び姿勢に基づき、水中ユニット10の3次元位置(例えば、緯度、経度、高さ)を特定する。水中ユニット位置特定部184は、特定した水中ユニット10の3次元位置(例えば、緯度、経度、高さ)を示す水中ユニット位置データを慣性航法装置17に出力する。
画像生成部186は、3次元形状データ取得部181が取得する3次元形状データと、水中ユニットデータ取得部185が取得する水中ユニットデータを用いて、対象物5の現在の3次元形状と、送受波ユニット111の現在の3次元位置(例えば、緯度、経度、高さ)、方位及び姿勢(俯角又は仰角)を表示する画面(以下、「モニタリング画面」という)の画像を生成する。
表示部187は、画像生成部186が生成する画像を表示する。図3は、表示部187が表示するモニタリング画面を模式的に示した図である。モニタリング画面の領域A1には、対象物5の現在の3次元形状が画像により表示される。モニタリング画面の領域A2には、送受波ユニット111の現在の、例えば経度、緯度、高さ、方位及び俯角が文字で表示される。なお、送受波ユニット111の現在の位置等が、文字に加えて、もしくは代えて、画像により表示されてもよい。
モニタリング画面の領域A3には、ウィンチ132に対する作業者の指示を受け付ける仮想的な操作子が表示される。例えば、作業者が領域A3の上矢印ボタンを押下すると、制御ユニット133からウィンチ132に吊り索131を巻き上げる指示が行われる。ウィンチ132はその指示に従い、吊り索131を所定の速度で巻き上げる。その結果、送受波ユニット111の水中における高さが上昇する。
また、作業者が領域A3の下矢印ボタンを押下すると、制御ユニット133からウィンチ132に吊り索131を繰り出す指示が行われる。ウィンチ132はその指示に従い、吊り索131を所定の速度で繰り出す。その結果、送受波ユニット111の水中における高さが下降する。
モニタリング画面の領域A4には、雲台141に対する作業者の指示を受け付ける仮想的な操作子が表示される。例えば、作業者が領域A4の左側のスライドバーを右又は左にスライドさせると、制御ユニット142から雲台141に送受波ユニット111を右又は左にパン(鉛直軸周りに回転)させる指示が行われる。雲台141はその指示に従い、送受波ユニット111を右又は左にパンさせる。
また、作業者が領域A4の右側のスライドバーを上又は下にスライドさせると、制御ユニット142から雲台141に送受波ユニット111を上又は下にチルト(水平軸周りに回転)させる指示が行われる。雲台141はその指示に従い、送受波ユニット111を上又は下にチルトさせる。
図2を参照し、端末装置18の機能的構成の説明を続ける。操作受付部188は、モニタリング画面の領域A3又はA4の操作子に対し作業者が行う操作を受け付ける。操作受付部188は、受け付けた操作のうち、領域A3の操作子に対し行われた操作に応じた指示を示す指示データをウィンチシステム13の制御ユニット133に出力する。また、操作受付部188は、受け付けた操作のうち、領域A4の操作子に対し行われた操作に応じた指示を示す指示データを方向調整システム14の制御ユニット142に出力する。
図4は、作業支援システム1を用いて作業の支援が行われる場合の作業支援システム1の動作を示したフロー図である。まず、作業支援システム1は、3次元ソナーシステム11により計測領域内の物体の3次元形状を継続的に計測する(ステップS101)。
作業支援システム1は、ステップS101と並行して、音響測位システム12によりトランスデューサ121の位置を基準とする水中ユニット10の相対位置を継続的に計測する(ステップS102)。また、作業支援システム1は、ステップS102と並行して、位置方位姿勢計測システム16によりトランスデューサ121の位置、方位及び姿勢を継続的に計測する(ステップS103)。
作業支援システム1は、端末装置18により、ステップS102において計測した水中ユニット10の相対位置と、ステップS103において計測したトランスデューサ121の位置、方位及び姿勢に基づき、水中ユニット10の位置を継続的に特定する(ステップS104)。
続いて、作業支援システム1は、慣性航法装置17により、ステップS104において特定した水中ユニット10の位置に基づき、水中ユニット10の位置、方位、姿勢を継続的に特定する(ステップS105)。
なお、ステップS105が繰り返し実行される時間間隔は、ステップS102、S103及びS104が繰り返し実行される時間間隔より短い。すなわち、慣性航法装置17により特定される水中ユニット10の位置は、音響測位システム12と位置方位姿勢計測システム16により特定される水中ユニット10の位置よりも短い時間間隔で更新されるため、現時点の水中ユニット10の実際の位置により近い位置である。
続いて、作業支援システム1は、ステップS101において計測した3次元形状と、ステップS105において特定した水中ユニット10(すなわち、送受波ユニット111)の位置、方位及び姿勢を継続的にモニタリング画面に表示する(ステップS106)。
継続的に繰り返されるステップS101乃至S106の処理と並行して、作業者はモニタリング画面に対し吊り索131の繰り出しの開始を指示する操作を行う。作業支援システム1は、作業者の操作に応じて、ウィンチシステム13により吊り索131の繰り出しを開始する(ステップS201)。
作業者は、モニタリング画面に表示される水中ユニット10の高さ(深さ)が作業領域の高さ(深さ)に達したことを確認すると、モニタリング画面に対し吊り索131の繰り出しの停止を指示する操作を行う。作業支援システム1は、作業者の操作に応じて、ウィンチシステム13による吊り索131の繰り出しを停止する(ステップS202)。
続いて、作業者は、モニタリング画面に表示される3次元形状の画像の概ね中央に対象物5の形状が位置するように、モニタリング画面に対し送受波ユニット111の方向の変更を指示する操作を行う。作業支援システム1は、作業者の操作に応じて、方向調整システム14により送受波ユニット111の方向を変更する(ステップS203)。
続いて、作業者は、モニタリング画面に表示される3次元形状の画像、すなわち、水中作業用装置151と対象物5の3次元形状の画像を見ながら、水中作業システム15の制御ユニット152に対し、水中作業用装置151に対する作業を指示する操作を行う。制御ユニット152は水中作業用装置151に対し作業者の操作に応じた指示を行い、水中作業用装置151はその指示に従い対象物5に対する作業を行う(ステップS204)。
上述した作業支援システム1によれば、作業者は高い精度でリアルタイムに計測される対象物5と水中作業用装置151の3次元形状を確認しながら水中作業用装置151に対し適切な指示を行うことで、対象物5に対する作業を効率的に進めることができる。
[変形例]
上述の実施形態は様々に変形され得る。以下に、それらの変形の例を示す。なお、以下に示す2以上の変形例が適宜組み合わされてもよい。
(1)端末装置18が、作業により形状が変化する対象物5の目標とする出来形の3次元形状を表すデータを記憶し、モニタリング画面において、3次元ソナーシステム11により計測される対象物5の3次元形状と、対象物5の目標とする出来形とを表す画像を表示する構成が採用されてもよい。
図5は、作業者が、目標とする対象物5の出来形と対象物5の現在の3次元形状を確認しながら、対象物5に対する水中作業用装置151を用いた作業を行う様子を例示した図である。
図5に示す作業は、バックホー1511(水中作業用装置151の一例)により、水底3(対象物5の一例)を設定された目標地盤面となるように掘削等を行う作業である。この作業に用いられる作業支援システム1において、モニタリング画面の領域A1(図5(b))には、現状の水底3の地盤面を示す3次元形状と、目標の水底3の地盤面(出来形)を示す3次元形状が、例えば異なる色で表示される。
作業者は、モニタリング画面に表示される現状の水底3の地盤高を示す3次元形状の色が、目標の水底3の地盤高を示す3次元形状の色に変化するまで、バックホー1511に対し作業の指示を与え、水底3の掘削を行う。
(2)水中作業用装置151又は対象物5が吊り索により水中に吊り下ろされる場合、モニタリング画面に表示される3次元形状の画像を確認しながら、水中作業用装置151又は対象物5の位置調整が行われてもよい。
図6は、作業者が、吊り索により水中に吊り下ろされる対象物をモニタリング画面で確認しながら、対象物の位置を調整する作業の様子を例示した図である。
図6に示す作業は、例えば作業船6に搭載されたクレーン1512(水中作業用装置151の一例)の吊り索により水中に吊り下ろしたブロック53(対象物5の一例)を水底3上の目標位置Pに据え付ける作業である。この作業に用いられる作業支援システム1において、モニタリング画面の領域A1(図6(b))には、現在のブロック53の3次元形状と、目標位置Pとを表す画像が表示される。
作業者は、モニタリング画面を見ながら、ブロック53が目標位置Pの真上となるように、クレーン1512に対しブームの旋回角度や起伏角度の変更を指示する。
ブロック53が目標位置Pの真上となったことをモニタリング画面で確認したら、作業者はモニタリング画面を見ながら、ブロック53を水底3まで下ろし、目標位置Pに設置されたことを確認する。
(3)作業支援システム1は、送受波ユニット111の方向を変更する方向調整システム14を必ずしも備えなくてもよい。例えば、送受波ユニット111により送受波される音波に指向性が無く、計測領域が全方向である場合、方向調整システム14は不要である。
(4)作業支援システム1が備える複合ケーブル136に代えて、互いに分離された通信ケーブルと送電ケーブルが用いられてもよい。また、複合ケーブル136(又は、複合ケーブル136に代えて用いられる互いに分離された通信ケーブル及び送電ケーブルの一方)が吊り索131を兼ねてもよい。また、送電ケーブルにより通信を行う電力線搬送通信が採用されてもよい。
(5)作業支援システム1が作業船6と水中ユニット10の各々に設置される音響モデムを備え、複合ケーブル136に含まれる通信ケーブルを用いた有線通信に代えて、音響モデムを用いた無線通信を行う構成が採用されてもよい。また、水中ユニットが蓄電池を備え、複合ケーブル136に含まれる送電ケーブルを介した電力供給が行われなくてもよい。音響モデムによる無線通信と、蓄電池による電力供給が行われる場合、作業支援システム1は複合ケーブル136及びウィンチ137を備えなくてもよい。
(6)音響測位システム12が備える装置の構成は、作業船6に配置されるトランスデューサ121と水中ユニット10に配置されるトランスポンダ122の組み合わせに限られない。例えば、作業船6にトランスポンダ122が配置され、水中ユニット10にトランスデューサ121が配置されてもよい。
また、上述した実施形態において、トランスポンダ122は、演算ユニット123から音波の送波を指示するトリガ信号を受信する。これに代えて、例えばトランスデューサ121がトリガ信号を示す音波を送波し、トランスポンダ122が当該音波を受波してもよい。
また、音響測位システム12を構成する2以上の装置の1以上は、水中の既知の位置に設置されてもよい。例えば、水中ユニット10にトランスデューサが配置され、水底3の3つの異なる既知の位置の各々にトランスポンダが配置されてもよい。音響測位システム12を構成する互いに音波を送受波する装置の一方が水中ユニット10に配置され、他方が水中ユニット10の近くの水中の位置に配置される場合、それらの装置間の距離が短くなるため、計測に要する時間が短縮されると共に、計測結果の精度が向上する。
また、トランスデューサ121と演算ユニット123が1つの筐体内に配置されてもよい。
(7)作業支援システム1において、慣性航法装置17に代えて、送受波ユニット111の方位及び姿勢を計測する方位姿勢計測手段を備えてもよい。
作業支援システム1が慣性航法装置17に代えて方位姿勢計測手段を備える場合、作業支援システム1の構成は図2に示したものとは異なるものとなる。具体的には、慣性航法装置17が方位姿勢計測手段と置き換えられる。また、水中ユニット位置特定部184は水中ユニット10の位置を示す水中ユニット位置データを水中ユニットデータ取得部185に出力し、方位姿勢計測手段は計測した送受波ユニット111の方位及び姿勢を示すデータを水中ユニットデータ取得部185に出力するように構成される。
音響測位システム12及び位置方位姿勢計測システム16により特定される送受波ユニット111の位置が更新される時間間隔が十分に短ければ、慣性航法装置17又は方位姿勢計測装置は不要である。
また、作業支援システム1が音響測位システム12を備えず、慣性航法装置17のみによって送受波ユニット111の位置が特定されてもよい。
(8)水中の既知の位置に、3次元ソナーシステム11によって計測可能な形状に特徴のある物体(以下、「物体O」という)が存在する場合、作業支援システム1が送受波ユニット111の方位及び姿勢を計測する方位姿勢計測手段を備え、3次元ソナーシステム11により計測される3次元形状における物体Oの位置と、方位姿勢計測手段により計測される方位及び姿勢に基づき、送受波ユニット111の位置が特定されてもよい。なお、物体Oは人工の構造物、自然物(例えば、特徴のある形状の自然物や凹凸を有する自然物)のいずれであってもよい。
この変形例において、水中ユニット位置特定部184(位置特定手段の一例)は、3次元形状データ取得部181が演算ユニット112から取得した3次元形状データが表す3次元形状から、位置が既知の水中の物体Oを認識する。続いて、水中ユニット位置特定部184は、方位姿勢計測手段により計測された送受波ユニット111の方位及び姿勢を示す方位姿勢データを取得し、方位姿勢データが示す送受波ユニット111の方位及び姿勢と、物体Oの位置に基づき、水中ユニット10の位置、すなわち送受波ユニット111の位置を特定する。
なお、この変形例において、作業支援システム1は、送受波ユニット111の位置を計測するために音響測位システム12及び慣性航法装置17を備えなくてよい。
(9)上述した実施形態において、トランスデューサ121の位置はトランスデューサ121に剛体により連結された3つのGNSSアンテナの位置に基づき特定される。トランスデューサ121の位置を特定するために用いられるGNSSアンテナの数は3つに限られず、4以上でもよい。
また、トランスデューサ121の位置を特定するために、GNSSと他のセンサの組み合わせが用いられてもよい。例えば、2つのGNSSアンテナとそれらのGNSSアンテナの位置を含む平面の傾きを計測する傾斜センサの組み合わせや、1つのGNSSアンテナとGNSSアンテナの方位及び姿勢を計測するジャイロコンパスの組み合わせ等が採用されてもよい。
また、GNSSアンテナやGNSSと組み合わされて用いられるセンサ(傾斜センサ等)の配置位置は、トランスデューサ121を作業船6の船体に取り付けるフレーム等に限られない。例えば、GNSSアンテナ等が作業船6の船体内の既知の位置に配置されてもよい。すなわち、GNSSアンテナ等の位置とトランスデューサ121の相対位置関係が既知であり変化しない限り、GNSSアンテナ等はいずれの位置に配置されてもよい。
(10)上述した実施形態において、作業者が行うものとした動作の少なくとも一部が、装置により行われてもよい。例えば、画像認識機能を備える装置が、3次元ソナーシステム11により計測された3次元形状を表す画像から対象物5を認識し、認識した対象物5の形状を目標の出来形に近づけたり、認識した対象物5の位置を目標位置に近づけたりするための指示を水中作業用装置151に与える構成が採用されてもよい。この場合、対象物5の3次元形状や送受波ユニット111の位置、方位及び姿勢等が表示される必要はない。
(11)上述した実施形態において、端末装置18はコンピュータを備え、プロセッサがプログラムに従うデータ処理を実行することにより、図2に示した構成を備える装置が実現されるものとした。これに代えて、端末装置18が、図2に示される構成を備える専用装置であってもよい。
(12)上述した実施形態において、水中ユニットの回転を防止するための振れ止め索の数は2本であるものとしたが、1本又は3本以上の振れ止め索が用いられてもよい。
(13)上述した実施形態において、水中作業用装置に指示を与える主体は作業者(人間)であることが想定されているが、水中作業用装置に指示を与える主体が人工知能等を備える装置であってもよい。水中作業用装置に指示を与える主体が装置である場合、3次元ソナーシステム11により計測された対象物の3次元形状は必ずしも表示されなくてよい。
(14)上述した図5及び図6に例示の作業においてはいずれも、送受波ユニット111を含む水中ユニット10は水底3より高い位置で吊り索131に吊られた状態で対象物5の3次元形状の計測を行う。これに代えて、送受波ユニット111が吊り索131から切り離され、水底3に安置された状態で対象物5の3次元形状の計測を行ってもよい。
その場合、作業支援システムが、水中の送受波ユニット111を下方から支持する支持部材を備えてもよい。例えば、図7に示すように、作業支援システムが、吊り索131から切り離された水中ユニット10を水中で下方から支持する脚82(支持部材の一例)を備えてもよい。
図7の構成によれば、水中ユニット10が水底3より脚82の高さに応じた高い位置に配置されるため、対象物5を斜め上から俯瞰した3次元形状が提供されることにより、水底3に安置された状態に比べ操作時に対象物等の位置関係が格段に把握しやすくなる。
また、図8に示すように、作業支援システムが、脚82に代えて、1又は複数の錘83と、錘83と水中ユニット10を連結する係留索84と、水中ユニット10に取り付けられた浮体81を備えてもよい。その場合、送受波ユニット111は水底3から係留索84の長さに応じた高い位置に配置されるため、図7と同様に、対象物5を斜め上から俯瞰した3次元形状が提供される。
また、図9に示すように、例えば脚82が取り付けられた水中ユニット10に連結されたブイ85が水上に浮かんでもよい。この場合、ブイ85と水中ユニット10を連結する索が吊り索131であってもよい。例えば、予め水面から水底3までの深さを計測しておき、その深さに余裕分の長さを加えた吊り索131の位置にブイ85を取り付けた後、吊り索131を繰り出し、脚82が取り付けられた水中ユニット10を水底3まで下ろす。その後、ブイ85が水上に投下されると、図9の状態となる。図9の例によれば、作業者はブイ85を目印として吊り索131を速やかに探し出し、これを巻き上げることで、水中の水中ユニット10(及び脚82)を容易に回収することができる。
なお、図9の例において、作業支援システムが脚82を備えなくてもよい。
(15)図1の例では、対象物5は水底3の上に配置されているが、対象物5は、例えば作業船等から水中に吊り下ろされ、水中を移動する物体であってもよい。
(16)図1の例では、対象物5の3次元形状の計測のために音波を送受波する送受波ユニット111を含む水中ユニット10は、水面2に浮かぶ作業船6から水中に吊り下ろされる。水中ユニット10は、例えば船舶以外の構造物から水中に吊り下ろされてもよい。例えば、陸上クレーン等の機械を使用して陸上から水中ユニット10が水中に吊り下ろされてもよい。また、洋上発電施設、海底資源開発用施設、人工島、橋脚などの固定構造物から水中ユニット10が水中に吊り下ろされてもよい。