JP2019196457A - 環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高純度の環式ポリアリーレンスルフィドを経済的且つ短時間で効率よく製造する方法を提供する。【解決手段】少なくとも、下記オリゴマー組成物(a)、スルフィド化剤(b)、および、有機極性溶媒(c)からなる原料混合物(d)を加熱する方法。オリゴマー組成物(a):下記一般式(A)で表されるオリゴマー混合物を含み、オリゴマー組成物(a)の全重量に対する、下記一般式(B)で表されるジハロゲン芳香族化合物(e)の含有量が1重量%以下、かつ、ハロゲン原子Xの含有量が3重量%以上15重量%以下、である。(ここでArはアリーレン基を表し、Xはハロゲンを表し、nは1〜100の整数を表し、異なるnを有する混合物である。)(ここでArはアリーレン基を表し、Xはハロゲンを表す。)【選択図】なし

Description

本発明は環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法に関する。より詳しくは高純度の環式ポリアリーレンスルフィドを経済的且つ簡易な方法で効率よく製造する方法に関する。
芳香族環式化合物はその環状であることから生じる特性、すなわちその構造に由来する特異性により、近年注目を集めている。具体的には、高機能材料用途や機能材料への応用展開可能性、たとえば包接能を有する化合物としての活用や開環重合による高分子量直鎖状高分子合成のためのモノマーとしての活用など、が期待されている。環式ポリアリーレンスルフィド(以下、ポリアリーレンスルフィドをPASと略する場合もある)も芳香族環式化合物の範疇に属し、上記同様に注目に値する化合物である。
環式PASの製造方法としては、例えばジアリールジスルフィド化合物を超希釈条件下で酸化重合する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、環式PASの他の製造方法として、4−ブロモチオフェノールの銅塩をキノリン中の超希釈条件下で加熱する方法も開示されている(例えば特許文献2参照)。
一方、汎用的な原料から環式PASを製造する方法として、ジハロゲン化芳香族化合物としてp−ジクロロベンゼンと、アルカリ金属硫化物として硫化ナトリウムを有機極性溶媒であるN−メチルピロリドン中で反応させ、ついで加熱減圧下で溶媒を除去後、水で洗浄する事で得られたポリフェニレンスルフィドを、塩化メチレンで抽出して得られた抽出液の飽和溶液部分から回収する方法が開示されている(例えば特許文献3参照。)。
また、汎用的な原料から環式PASを製造する別の方法としては、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物を、スルフィド化剤のイオウ成分1モル当たり1.25リットル以上の有機極性溶媒中で反応させる方法が開示されている(例えば特許文献4参照。)。
スルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物に加えて、線状PASを原料として用いる環式PASの製造方法としては、線状PASとスルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物を反応混合物中のイオウ成分1モル当たり1.25リットル以上の有機極性溶媒中で加熱して反応させる方法が開示されている(例えば特許文献5参照。)。
線状PASを原料として用いる別の方法として、末端にチオラート基を有するPASオリゴマーや末端にハロゲン基を有するPASオリゴマーを使用する方法が知られている。
特許文献6には、線状PASとスルフィド化剤を反応させて末端にチオラート基を有するPASオリゴマー混合物を生成させ、次いでジハロゲン化芳香族化合物を追加して反応させることで環式PASを製造する方法が開示されている。
特許文献7には、ジハロゲン化芳香族化合物とスルフィド化剤を反応させて末端にハロゲン基を有するPASオリゴマー混合物を生成させ、次いでスルフィド化剤を追加して反応させることで環式PASを製造する方法が開示されている。
線状PASを中間体とするPASの製造法として、溶媒中で過剰のジハロゲン化芳香族化合物と無機硫化物を反応させて製造・分離したハロゲン基を有するプレポリマーに無機硫化物を反応させる方法が開示されている(例えば特許文献8〜10参照)。
特許第3200027号公報 米国特許第5869599号明細書 特開平05−163349号公報 特開2009−30012号公報 特開2009−227952号公報 特開2011−068885号公報 特開2012−92319号公報 特表2000−508359号公報 特開平8−283412号公報 特開2016−56232号公報
特許文献1の方法では、超希釈条件のため環式PASが高選択で生成し、線状PASはごく少量しか生成しないと推測され、確かに環式PASが高収率で得られると考えられるが、この方法は産業への応用可能性の観点からは課題の多い方法であった。すなわち、超希釈条件で反応を行うことが必須であり、反応容器の単位容積あたりに得られる環式PASがごくわずかで効率的に環式PASを得ることが困難であること、また、この方法で副生する線状PASの分子量が目的物である環式PASと近いために、分離除去することが困難であり高純度な環式PASを効率よく得られないこと、などの課題があった。
また、特許文献1と同様、前記特許文献2の方法も超希釈条件が必須であり、また、反応に長時間が必要な生産性の極めて低い方法であった。さらに、副生する臭化銅を生成物である環式PASから分離することが困難で、得られる環式PASは純度の低いものであった。
特許文献3の方法では、生成物の大部分が高分子量ポリフェニレンスルフィドであり、環式PASが極微量(収率1%未満)しか生成せず、塩化メチレンによる抽出操作が必須な生産性に劣る方法であった。
また、特許文献4の方法では、多量の塩が副生する点、投入モノマーに対する環式PASの収率向上など、さらなる改善が望まれていた。
特許文献5および6の方法では、線状PASを原料に用いることで使用するスルフィド化剤の量を低減でき、この効果で反応混合物中のスルフィド化剤に対する環式PASの収率が向上し、効率よく環式PASを得ることができる方法であるが、環式PASの純度において更なる向上が求められていた。さらに、特許文献6の方法では、原料として用いるPASにアルカリ金属硫化物を作用させて、少なくとも一方の末端にアルカリチオラート基を有するオリゴマー混合物を合成する工程(解重合工程)と、得られたオリゴマー混合物とジハロゲン化芳香族化合物を反応させる工程(重合工程)の多段階の工程が必要であり、多数の設備と複雑な操作が必要なため、改善の余地がある方法であった。
特許文献7の方法では、ハロゲン基を有するPASオリゴマー混合物を生成させ、次いでスルフィド化剤を追加して反応させることで、効率よく環式PASを製造する方法であるが、本発明者らが検討した結果、環式PASの純度において更なる向上が必要であった。
特許文献8〜10の方法では、分子量分布が狭く、低分子量不純物含有量の少ないPASを製造することを目的としており、環式PASの製造については何ら言及されていない。また、この方法で該オリゴマー混合物を製造する反応は無機硫化物のイオウ成分1モルに対して1.25リットル未満の溶媒中で行うため、さらに該オリゴマー混合物と無機硫化物の反応では反応混合物中のイオウ成分1モルに対して1.25リットル未満の溶媒中で行うため、仮に環式PASが生成しても十分な収率は期待できず、環式PASの製造方法としては効率的と言えるものではなかった。
本発明は上記課題を解決するため以下の通りである。
1.少なくとも、下記オリゴマー組成物(a)、スルフィド化剤(b)、および、有機極性溶媒(c)からなる原料混合物(d)を加熱する、環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
オリゴマー組成物(a):下記一般式(A)で表されるオリゴマー混合物を含み、オリゴマー組成物(a)の全重量に対する 、下記一般式(B)で表されるジハロゲン芳香族化合物(e)の含有量が1重量%以下、かつ、ハロゲン原子Xの含有量が3重量%以上15重量%以下である。
Figure 2019196457
(ここでArはアリーレン基を表し、Xはハロゲンを表し、nは1〜100の整数を表し、異なるnを有する混合物である。)
Figure 2019196457
(ここでArはアリーレン基を表し、Xはハロゲンを表す。)
2.上記1の原料混合物(d)中のイオウ成分1モルに対して1.25リットル以上50リットル以下の有機極性溶媒(c)を用いることを特徴とする、上記1に記載の環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
3.少なくともスルフィド化剤(b’)、スルフィド化剤(b’)のイオウ原子1モルに対し、1.5〜10.0モルの一般式(B)で表されるジハロゲン化芳香族化合物(e)、および有機極性溶媒(c’)からなる原料混合物(f)を加熱してオリゴマー組成物(a’)を調製後、溶媒(g)で洗浄して固形分として、上記1のオリゴマー組成物(a)を得ることを特徴とする、上記1〜2のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
4.少なくともスルフィド化剤(b’’)、有機極性溶媒(c’’)、および水からなる混合物を、150℃以上250℃以下で加熱して、上記1のスルフィド化剤(b)を得ることを特徴とする、上記1〜3のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
5.上記1の原料混合物(d)を、常圧における還流温度を超える温度で加熱することを特徴とする、上記1〜4のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
6.上記1のジハロゲン化芳香族化合物(e)がジクロロベンゼンであることを特徴とする、上記1〜5のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
本発明によれば、環式PASの製造方法が提供でき、より詳しくは高純度の環式PASを経済的且つ簡易な方法で効率よく製造する方法を提供できる。
以下に、本発明実施の形態を説明する。
(1)オリゴマー組成物(a)
本発明におけるオリゴマー組成物(a)とは、一般式(A)で表されるオリゴマー混合物を含み、オリゴマー組成物(a)の全重量に対する、上記一般式(B)で表されるジハロゲン芳香族化合物(e)の含有量が1重量%以下、かつ、ハロゲン原子Xの含有量が3重量%以上15重量%以下である。ここで上記一般式(A)中のArとしては下記式(C)〜式(N)などであらわされる単位などがあるが、なかでも式(C)が特に好ましい。
Figure 2019196457
(ただし、式中のR1,R2は水素、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)
この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記の式(O)〜(Q)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−の単位1モルに対して0〜1モル%の範囲であることが好ましい。
Figure 2019196457
一般式(A)中のハロゲン原子Xは両末端で同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましく、ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が好ましく、フッ素、塩素がより好ましく、塩素が特に好ましい。
さらに、一般式(A)における繰り返し数nは、複数であり、本発明の目的を達成するための範囲として1〜100であり、2〜75がより好ましく、3〜50がとりわけ好ましい。
また、本発明のオリゴマー組成物(a)の分子量の範囲として、重量平均分子量で5000以下が好ましく、3000以下がより好ましく、2000以下がさらに好ましく、実質的な下限としては300以上が好ましい。なお、本発明でいう重量平均分子量とは、1−クロロナフタレンを溶媒として、示差屈折率計を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定できる、ポリスチレン標準ポリマー換算での重量平均分子量で示す。
本発明において、オリゴマー組成物(a)の全重量に対する、一般式(B)で表される後述のジハロゲン芳香族化合物(e)の含有量は1重量%以下である。ジハロゲン芳香族化合物(e)の含有量の上限は0.5重量%以下が好ましく、0.3重量%以下がより好ましく、ジハロゲン芳香族化合物(e)の含有量の下限は、実質的に0重量%とすることがとりわけ好ましい。ジハロゲン芳香族化合物(e)の含有量が1重量%より大きい場合、環式PASの純度が低下する傾向にある(現時点では理由は明らかではないが、鋭意検討の結果、見出したものである)。オリゴマー組成物(a)中の一般式(B)で表される後述のジハロゲン芳香族化合物(e)の含有量が上記好ましい範囲にあるとき、ジハロゲン化芳香族化合物(e)の含有量は少ないほど環式PAS収率や環式PASの純度が向上する傾向にある。
なお、オリゴマー組成物(a)中のジハロゲン芳香族化合物(e)の含有量はオリゴマー組成物(a)のクロロホルム抽出液のガスクロマトグラフィー(GC)分析により算出したものである。
本発明において、オリゴマー組成物(a)の全重量に対する、ハロゲン原子Xの含有量が3重量%以上15重量%以下である。オリゴマー組成物(a)の全重量に対するハロゲン原子Xの含有量の下限としては、3重量%であり、好ましくは3.5重量%以上、より好ましくは4.0重量%以上である。オリゴマー組成物(a)の全重量に対するハロゲン原子Xの含有量の上限は、15重量%以下であり、好ましくは14.5重量%以下であり、より好ましくは14重量%以下である。オリゴマー組成物(a)の全重量に対するハロゲン原子Xの含有量が上記好ましい範囲にあるとき、環式PAS収率や環式PASの純度が向上する傾向にある。オリゴマー組成物(a)の全重量に対するハロゲン原子Xの含有量が3重量%未満である場合、環化反応が起こり難くなり、環式PASの収率が低下する傾向がある。オリゴマー組成物(a)の全重量に対するハロゲン原子Xの含有量が15重量%より大きい場合、環式PASの純度が低下する傾向がある。
本発明の好ましい実施形態として、オリゴマー混合物(a)で回収した場合には、オリゴマー組成物(a)における一般式(A)で表されるオリゴマー混合物、通常、オリゴマー混合物を70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上、殊更好ましくは90重量%以上含むものである。
オリゴマー組成物(a)における一般式(A)で表されるオリゴマー混合物以外の成分としては後述の環式PAS、ジハロゲン芳香族化合物(e)、副生塩、その他原料由来成分や微量の副生物が含まれていてもよいが、一般式(A)で表されるオリゴマー混合物が上記の範囲内で含まれていることが好ましい。
なお、ハロゲン原子Xの含有量はオリゴマー組成物(a)から水洗浄し乾燥して得られた固形分の燃焼−イオンクロマトグラフィーによる分析により算出できる。ここで算出されたハロゲン原子Xの含有量は、オリゴマー組成物(a)中に含まれる一般式(A)で表されるオリゴマー混合物のハロゲン原子Xの含有量に相当するとみなす。
(2)スルフィド化剤
本発明で用いられるスルフィド化剤とは、本発明の上記オリゴマー組成物(a)および 環式PASの製造の原料成分であり、例えばアルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および、硫化水素が挙げられる。
アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化リチウムおよび/または硫化ナトリウムが好ましく、硫化ナトリウムがより好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。なお、水性混合物とは水溶液、もしくは水溶液と固体成分の混合物、もしくは水と固体成分の混合物のことをさす。一般的に入手できる安価なアルカリ金属硫化物は水和物または水性混合物であるので、このような形態のアルカリ金属硫化物を用いることが好ましい。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化リチウムおよび/または水硫化ナトリウムが好ましく、水硫化ナトリウムがより好ましく用いられる。
また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、あらかじめアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を接触させて調製したアルカリ金属硫化物を用いることもできる。これらのアルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属水酸化物は水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができ、水和物または水性混合物が入手のし易さ、コストの観点から好ましい。
さらに、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、あらかじめ水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素を接触させて調製したアルカリ金属硫化物を用いることもできる。硫化水素は気体状、液体状、水溶液状のいずれの形態で用いても差し障り無い。
なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.95から1.50モル、好ましくは1.00から1.25モルの範囲が例示できる。スルフィド化剤として硫化水素を用いる場合にはアルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましく、この場合のアルカリ金属水酸化物の使用量は硫化水素1モルに対し2.0〜3.0モル、好ましくは2.01〜2.50モルの範囲が例示できる。
本発明で用いられるスルフィド化剤(b)とは、本発明の環式PASの製造方法の原料成分である。
本発明で用いられるスルフィド化剤(b’)とは、後述のオリゴマー組成物(a’)の原料成分であり、上述のスルフィド化剤と同様のアルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および、硫化水素が挙げられる。
ここで、スルフィド化剤(b)としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、硫化水素、および、加熱処理スルフィド化剤が例示できる。ここで、加熱処理スルフィド化剤とは、「少なくともスルフィド化剤(b’’)、有機極性溶媒(c’’)、および水からなる混合物を加熱して得られたもの」のことである。
これらの中でも、スルフィド化剤(b)としては、加熱処理スルフィド化剤であることが好ましく、環式PASの純度および収率を向上する傾向にある。この理由は明らかではないが、予めスルフィド化剤(b’’)、有機極性溶媒(c’’)、および水からなる混合物を加熱することで、本操作によりスルフィド化剤の均一性が向上し反応性が向上するとともに、副反応を抑制できる傾向があるためと推測している。
上述のスルフィド化剤(b’’)とは、後述のスルフィド化剤(b)で用いる加熱処理スルフィド化剤を調製するためのスルフィド化剤であって、スルフィド化剤(b’’)としては、(2)のスルフィド化剤と同様のアルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および、硫化水素が用いられる。
本発明の加熱処理スルフィド化剤については、公知の特許第6221326号 に記載と類似の手法により得る方法が例示できる。
加熱処理スルフィド化剤を得る方法として、以下に示す条件で加熱することが例示できる。
加熱条件は、スルフィド化剤(b’’)と有機極性溶媒(c’’)の組み合わせ、また、水分との比率などによっても多様に変化するため明確には指定できないが、後述の系内水分量の範囲内に調整でき、かつ均一な加熱処理スルフィド化剤が得られる条件が好ましく採用される。すなわち温度条件として120℃以上250℃以下の範囲が好ましい。加熱温度の下限としては120℃以上、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上が例示できる。加熱温度の上限としては250℃以下、好ましくは230℃以下、より好ましくは200℃以下を例示することができる。上記の好ましい範囲では、スルフィド化剤(b’’)のイオウ成分が硫化水素として飛散する懸念や、原料分解の懸念なく、調整できる傾向がある。
なお、加熱前の「少なくともスルフィド化剤(b’’)、有機極性溶媒(c’’)、および水からなる混合物」を調製する段階での温度条件は特に制限はないが、下限として0℃以上、好ましくは10℃以上が例示でき、上限として150℃以下、好ましくは100℃以下の範囲が例示できる。このような好ましい範囲で原料を混合することで、スルフィド化剤(b’’)や有機極性溶媒(c’’)の変質や原料成分の飛散による組成変化といった問題を抑えることが可能である。
スルフィド化剤(b’’)のイオウ成分1モル当たり0.10リットル以上4.0リットル以下の有機極性溶媒(c’’)を含むものであることが好ましい。使用する有機極性溶媒(c’’)量の上限はスルフィド化剤のイオウ成分1モル当たり4.0リットル以下が好ましく、3.0リットル以下がより好ましい。また、下限はスルフィド化剤のイオウ成分1モル当たり0.10リットル以上が好ましく、0.12リットル以上が好ましく、0.15リットル以上がより好ましく、0.16リットル以上がさらに好ましい範囲として例示できる。上記の好ましい範囲では、加熱処理スルフィド化剤を、後述の環式PASの製造において反応性の高いスルフィド化剤を得ることができる傾向がある。
また、本発明において、加熱処理スルフィド化剤の水分量は、スルフィド化剤(b’’)として、例えばアルカリ金属硫化物を用いた場合、イオウ成分1モル当たり0.8モル以上6.0モル以下とすることが好ましい。好ましい上限としてはイオウ成分1モル当たり6.0モル以下、より好ましくは5.0モル以下が例示でき、好ましい下限としてはイオウ成分1モル当たり0.9モル以上、より好ましくは1.0モル以上が例示できる。上記の好ましい範囲では、環式PASの製造における系の内圧をよりいっそう低く抑えることが可能で、金属製反応容器の腐食が少なく、加熱処理スルフィド化剤の均一で、原料混合物(d)のモルバランスを調整しやすい傾向がある。
加熱前の水分量については特に制限はなく、どのような水分量であってもかまわない。ただし、スルフィド化剤(b’’)、例えばアルカリ金属硫化物は、イオウ成分1モル当たり3モル以上の水を含む水和物または水性混合物の入手が容易であり、また、このような水を含むスルフィド化剤(b’’)は安定性に優れ、特に酸素による劣化を受けにくい傾向もある。よって、このようなスルフィド化剤を使用することが好ましく、スルフィド化剤(b’’)の水分量の好ましい下限としてはイオウ成分1モル当たり0.8モル以上、より好ましくは3.0モル以上が例示でき、好ましい上限としてはイオウ成分1モル当たり20モル以下、より好ましくは6.0モル以下が例示できる。
上記のように、加熱前の水分量に制限はなく、加熱後の水分量がスルフィド化剤のイオウ成分1モル当たり0.8モル以上6.0モル以下であればよいため、脱水を行わない方法と脱水を行う方法のいずれの方法も採用することができる。スルフィド化剤(b’’)のイオウ成分1モル当たり6.0モルより多い水分を含む混合物を加熱して脱水し、水分量をスルフィド化剤のイオウ成分1モル当たり0.8モル以上6.0モル以下になるまで減じる方法もある。このような好ましい方法で行うと、一般的に入手が容易な含水率の高いスルフィド化剤(b’’)を用いた時でも、適切な水分量に調節された「加熱処理スルフィド化剤を容易に得ることが可能となる。なお、脱水のより好ましい条件としては、スルフィド化剤(b’’)のイオウ成分1モル当たり6.0モルより多い水分を含む混合物を加熱して脱水し0.8モル以上6.0モル以下になるまで減じる方法が挙げられ、さらに好ましい方法としては、スルフィド化剤(b’’)のイオウ成分1モル当たり6.0モルより多い水分を含む混合物を加熱して脱水し0.8モル以上6.0モル以下になるまで減じる方法が挙げられる。上記の好ましい条件では、環式PASの製造における系の内圧をよりいっそう低く抑えることが可能である。
(3)有機極性溶媒
本発明では有機極性溶媒を用いるが、なかでも有機アミド溶媒が好ましい。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタム、ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、及びこれらの混合物などが、反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでもN−メチル−2−ピロリドンおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが好ましく用いられる。
本発明で用いられる有機極性溶媒(c)とは、本発明の環式PASの製造に用いる有機極性溶媒であって、上述の有機極性溶媒と同様の有機アミド溶媒が挙げられる。
本発明で用いられる有機極性溶媒(c’)とは、後述のオリゴマー組成物(a’)の調製に用いる有機極性溶媒であって、上述の有機極性溶媒と同様の有機アミド溶媒が挙げられる。
本発明で用いられる有機極性溶媒(c’’)とは、スルフィド化剤(b)で用いる加熱処理スルフィド化剤を調製する際に用いる有機極性溶媒であって、上述の有機極性溶媒と同様の有機アミド溶媒が挙げられる。
(4)ジハロゲン化芳香族化合物(e)
本発明のジハロゲン化芳香族化合物(e)は、一般式(B)で表される化合物であり、芳香環の二価基であるアリーレン基と、2つのハロゲノ基とを有する芳香族化合物である。ジハロゲン化芳香族化合物1モルは、アリーレン単位1モルとハロゲノ基2モルを有している。
Figure 2019196457
(ここでArはアリーレン基を表し、Xはハロゲンを表す)
ここで用いるジハロゲン化芳香族化合物(e)としては、p−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、1−ブロモ−4−クロロベンゼン、1−ブロモ−3−クロロベンゼンなどのジハロゲン化ベンゼン、及び1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、1−メチル−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジメチル−2,5−ジクロロベンゼン、1,3−ジメチル−2,5−ジクロロベンゼン、3,5−ジクロロ安息香酸などのハロゲン以外の置換基をも含むジハロゲン化芳香族化合物などを挙げることができる。なかでも、p−ジクロロベンゼンに代表されるp−ジハロゲン化ベンゼンを主成分にするジハロゲン化芳香族化合物が好ましい。より好ましくは、p−ジクロロベンゼンを80〜100モル%含むものであり、さらに好ましくは90〜100モル%含むものである。また、環式PAS共重合体を製造するために異なる2種以上のジハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて用いることも可能である。
(5)環式ポリアリーレンスルフィド
本発明における環式ポリアリーレンスルフィド(以下では環式PAS)とは式、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする環式化合物であり、好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有する下記一般式(R)のごとき化合物である。
Figure 2019196457
ここでArとしては前記式(C)〜式(N)などであらわされる単位を例示できるが、なかでも式(C)〜式(E)が好ましく、式(C)及び式(D)がより好ましく、式(C)が特に好ましい。
なお、環式PASにおいては前記式(C)〜式(N)などの繰り返し単位をランダムに含んでも良いし、ブロックで含んでも良く、それらの混合物のいずれかであってもよい。これらの代表的なものとして、環式ポリフェニレンスルフィド、環式ポリフェニレンスルフィドスルホン、環式ポリフェニレンスルフィドケトン、これらが含まれる環式ランダム共重合体、環式ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましい環式PASとしては、主要構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位
Figure 2019196457
を80モル%以上、特に90モル%以上含有する環式ポリフェニレンスルフィド(以下、環式PPSと略すこともある)が挙げられる。
環式PASの前記(R)式中の繰り返し数mに特に制限は無いが、2〜50が好ましく、2〜25がより好ましく、3〜20が更に好ましい範囲として例示できる。後述するように環式PASを含有するPASプレポリマーを高重合度体への転化する場合には、環式PASが溶融解する温度以上に加熱して行うことが好ましいが、mが大きくなると環式PASの溶融解温度が高くなる傾向にあるため、PASプレポリマーの高重合度体への転化をより低い温度で行うことができるようになるとの観点でmを前記範囲にすることは有利となる。
また、環式PASは、単一の繰り返し数を有する単独化合物、異なる繰り返し数を有する環式PASの混合物のいずれでも良いが、異なる繰り返し数を有する環式PASの混合物の方が単一の繰り返し数を有する単独化合物よりも溶融解温度が低い傾向があり、異なる繰り返し数を有する環式PASの混合物の使用は前記した高重合度体への転化を行う際の温度をより低くできるため好ましい。
環式PAS中の低分子量の不純物を、後述する不純物率を指標として分析すると、本発明の方法で得られる環式PASは、不純物率が低く、高純度となる傾向にある。
なお、不純物率とは、後述するHPLC分析にて環式PASを分析し、検出されたすべてのピークの検出面積の積算値に対する環式PAS以外に由来するピーク(不純物のピーク)の検出面積の積算値の割合(面積比)である。不純物率が低いことは、環式PAS中の不純物量が少なく、得られた環式PASが高純度であることを意味している。
(6)オリゴマー組成物(a)の製造方法
本発明のオリゴマー組成物(a)を得る方法としては所望の組成のオリゴマー組成物(a)が得られる方法であればいかなる方法も採用しうるが、好ましい方法として、少なくともスルフィド化剤(b’)、スルフィド化剤(b’)のイオウ原子1モルに対し、1.5〜10.0モルの一般式(B)で表されるジハロゲン化芳香族化合物(e)、および有機極性溶媒(c’)からなる原料混合物(f)を加熱してオリゴマー組成物(a’)を調製して得る方法が好ましく採用できる。
(6−1)オリゴマー組成物(a’)の調製
オリゴマー組成物(a’)の調製方法としては、少なくともスルフィド化剤(b’)、スルフィド化剤(b’)のイオウ原子1モルに対し、1.5〜10.0モルの一般式(B)で表されるジハロゲン化芳香族化合物(e)、および有機極性溶媒(c’)からなる原料混合物(f)を加熱してオリゴマー組成物(a’)を調製する方法が例示できる。本発明で好ましく採用されるオリゴマー組成物(a’)の調製でのジハロゲン化芳香族化合物(e)の使用量は、スルフィド化剤(b’)のイオウ原子1モルに対し1.5〜10.0モルの範囲が例示でき、好ましくは1.6〜5.0モル、より好ましくは1.8モル〜3.0モルの範囲である。ここでのジハロゲン化芳香族化合物(e)の使用量は多いほど、前述した好ましい組成のオリゴマー組成物(a’)および(a)は得やすい傾向にあるが未反応のジハロゲン化芳香族化合物(e)の量が増加する。また、逆にジハロゲン化芳香族化合物(e)の使用量が少ないと未反応のジハロゲン化芳香族化合物(e)の量は減少するが、前述した好ましい組成のオリゴマー組成物(a’)および(a)が得にくくなり、本発明の環式PASの製造において環式PASの収率が低下する傾向がある。このような理由のためジハロゲン化芳香族化合物(e)の使用量を上記範囲にすることが好ましい。
本発明のオリゴマー組成物(a’)の調製において用いる有機極性溶媒(c’)の使用量に特に制限はないが、より効率よくオリゴマー組成物(a’)を製造するとの観点から、スルフィド化剤(b’)のイオウ成分1モルに対し15リットル以下とすることが好ましく、10リットル以下がより好ましく、5リットル以下が更に好ましい。また、使用量の下限に特に制限はないが、少なすぎると均一な反応が難しくなり、オリゴマー組成物(a’)および(a)が得にくくなる傾向にあるため、スルフィド化剤(b’)のイオウ成分1モルに対し0.1リットル以上とすることが好ましく、0.3リットル以上がより好ましく、0.5リットル以上が更に好ましい。なお、ここでの有機極性溶媒(c’)の使用量は常温常圧下における溶媒の体積を基準とする。
本発明のオリゴマー組成物(a’)の合成反応における反応温度は、特に制限はないが、常圧下の還流温度を超えることが好ましく、この温度は原料混合物(f)中の成分の種類、量によって多様に変化するため一意的に決めることはできないが、通常120〜350℃、好ましくは170〜300℃、より好ましくは200〜300℃、さらに好ましくは200〜270℃、よりいっそう好ましくは230〜260℃の範囲を例示できる。ここで常圧とは大気の標準状態近傍における圧力のことであり、約25℃近傍の温度、絶対圧で101kPa近傍の大気圧条件のことである。なお、還流温度とは原料混合物(f)の液体成分が沸騰と凝縮を繰り返している状態の温度である。
本発明では原料混合物(f)を常圧下の還流温度を超えて加熱することが好ましいが、原料混合物(f)をこのような加熱状態にする方法としては、例えば原料混合物(f)を、常圧を越える圧力下で反応させる方法や、原料混合物(f)を密閉容器内で加熱する方法が例示できる。この好ましい温度範囲ではより高い反応速度が得られ、反応が均一で進行しやすい傾向にあり、効率よくオリゴマー組成物(a’)および(a)が得られる傾向にある。また、反応は一定温度で行う1段反応、段階的に温度を上げていく多段階反応、あるいは連続的に温度を変化させていく形式の反応のいずれでもかまわない。
また、反応時間は使用した原料の種類や量あるいは反応温度に依存するので一概に規定できないが、0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましい。この好ましい時間以上とすることでは、未反応のスルフィド化剤(b’)を十分に減少できるため、オリゴマー組成物(a’)の組成を所望の範囲に制御しやすい傾向にある。一方、反応時間に特に上限は無いが、本発明の方法は極めて高い反応速度が得られやすい特徴を有するため、40時間以内でも十分に反応が進行し、好ましくは10時間以内、より好ましくは6時間以内も採用できる。
なお、本発明のオリゴマー組成物(a’)の調製における雰囲気は非酸化性雰囲気下が望ましく、窒素、ヘリウム、及びアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、特に、経済性及び取扱いの容易さの面からは窒素雰囲気下が好ましい。また、本発明においては原料混合物(f)を加熱する際の好ましい圧力の上限がゲージ圧で1MPa以下であり、この圧力を超えない範囲にて不活性ガスで加圧しても良い。
本発明のオリゴマー組成物(a’)の調製においては、反応の過程においてオリゴマーのハロゲン原子Xの代わりにチオラートともなりうるが、本オリゴマー組成物(a’)の調製を終える時点では十分に反応を進行させることによりハロゲン原子Xに対して可能な限りチオラートを低減させることが望ましい。
(6−2)オリゴマー組成物(a)の回収方法
かくして得られるオリゴマー組成物(a’)は、好ましい調製方法ではジハロゲン化芳香族化合物(e)を含み、その含有量は、オリゴマー組成物(a’)中のオリゴマー組成物(a)の全重量に対して、1重量%より大きくなる傾向がある。したがって、オリゴマー組成物(a’)からジハロゲン化芳香族化合物(e)を除去することが必要となる場合があり、その場合のオリゴマー組成物(a)の回収方法として、以下の方法を例示できる。
すなわち、オリゴマー組成物(a’)中からオリゴマー組成物(a)を得る方法としては、当該目的にかなう方法であればいかなる方法も適用しうるが、例えば、オリゴマー組成物(a’)からジハロゲン化芳香族化合物(e)を留去する方法、オリゴマー組成物(a’)を大過剰の水と混合し、固形分として析出させて回収する方法、オリゴマー組成物(a’)からジハロゲン化芳香族化合物(e)と溶媒の大部分とを留去して固形分を得た後、溶媒(g)により洗浄する方法、または、オリゴマー組成物(a’)を大過剰の水と混合し、固形分として析出させて回収し、溶媒(g)により洗浄する方法、オリゴマー組成物(a’)からジハロゲン化芳香族化合物(e)を留去した後、オリゴマー組成物(a’)を大過剰の水と混合し、固形分として析出させて回収した後、溶媒(g)により洗浄する方法などが例示できる。このような方法によりオリゴマー組成物(a)の全重量に対するジハロゲン化芳香族化合物(e)の含有量が1重量%以下することで本発明の効果を発揮することが可能となる。
なお、溶媒(g)は、「少なくともスルフィド化剤(b’)、スルフィド化剤(b’)のイオウ原子1モルに対し、1.5〜10.0モルの一般式(B)で表されるジハロゲン化芳香族化合物(e)、および有機極性溶媒(c’)からなる原料混合物(f)」を加熱してオリゴマー組成物(a’)を調製した後に、洗浄して固形分としてオリゴマー組成物(a)を得るために用いる、洗浄溶媒である。オリゴマー組成物(a)中の少量の不純物を溶解するが、オリゴマー組成物(a)は溶解しない、もしくはオリゴマー組成物(a)が溶解しにくい溶媒であることが好ましい。
溶媒(g)として好ましい溶剤としては、オリゴマー組成物(a)の分解や架橋など好ましくない副反応を実質的に引き起こさないものが好ましく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、アセトフェノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ペンチル、酢酸オクチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ペンチル、サリチル酸メチル、蟻酸エチル、等のカルボン酸エステル系溶媒、及び水が例示できる。なかでもメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、水が好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、アセトン、酢酸エチル、水がより好ましい。水を用いた場合には、オリゴマー組成物(a)中の副生塩に由来するイオン性のハロゲン原子Xを除去できるため、とくに好ましい。これらの溶媒は1種類または2種類以上の混合物として使用することができる。
(7)環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法
本発明では、少なくとも、オリゴマー組成物(a)、スルフィド化剤(b)、および、有機極性溶媒(c)からなる原料混合物(d)を加熱して反応させて環式ポリアリーレンスルフィドを製造する。
本発明の環式PASの製造で用いるオリゴマー組成物(a)は前述した組成を有していればその製造方法は問わないが、好ましい方法としては前記のオリゴマー組成物(a)の製造方法で例示した、少なくともスルフィド化剤(b’)、ジハロゲン化芳香族化合物(e)、および有機極性溶媒(c’)からなる原料混合物(f)を加熱してオリゴマー組成物(a’)を調製後、溶媒(g)で洗浄して固形分として、得たオリゴマー組成物(a)が例示できる。
本発明の環式PASの製造方法におけるスルフィド化剤の使用量は前述した環式PASが得られる方法であればいかなる方法により決定することができるが、例えばオリゴマー組成物(a)の末端のハロゲン原子Xの含有量から決定する方法を例示できる。この方法により決定されるスルフィド化剤の使用量の好ましい範囲は、オリゴマー組成物(a)中の共有結合性のハロゲン原子2モルに対して、スルフィド化剤のイオウ原子換算で0.3〜1.5モルであることが例示でき、より好ましくは0.5〜1.4モルである、さらに好ましくは0.7〜1.2モルである。最も効率的に環式PASを得るとの観点で、上記範囲にすることが望ましい。
本発明の環式PASの製造方法におけるスルフィド化剤の添加方法に特に制限はないが、一括で追加する方法や複数回に分けて添加する方法、あるいは逐次的に追加する方法が例示できる。なお、ここでいう逐次的とは途切れることなく連続的に行うことを意味しており、その速度は一定でも変化してもよい。ここで例示した方法の中では逐次的に添加する方法が好ましく、それにより生成した環式PASの収率向上効果が最大となる。その理由としては、一般に環式PASはチオラートにより分解される可能性があるが、スルフィド化剤の逐次添加により一括で添加する場合や複数回に分けて添加する場合に比べ、反応系内のチオラート濃度を常時低く維持でき、生成した環式PASの分解反応が起こりにくくなるためと推測している。なお、スルフィド化剤(b)を逐次添加するのに要する時間は、使用した原料の種類や量あるいは反応温度などに依存するので一概に規定できないが、0.1時間以上が好ましく、0.2時間以上がより好ましい。この好ましい時間以上とすることで反応系内に添加されたスルフィド化剤(b)が十分に消費し反応系内のチオラート濃度を低く維持できるため、環式PASの収率が向上する傾向にある。一方、逐次添加に要する時間に特に上限は無いが、本発明の方法は極めて高い反応速度が得られやすい特徴を有するため、40時間以内でも十分にスルフィド化剤の反応が進行し、好ましくは10時間以内、より好ましくは5時間以内、よりいっそう好ましくは3時間以内、さらによりいっそう好ましくは1時間以内も採用できる。
本発明の環式PASの製造方法における有機極性溶媒(c)の使用量は、スルフィド化剤(b)添加後の原料混合物(d)中のイオウ成分1モルに対し1.25リットル以上が好ましく、より好ましくは1.5リットル以上、よりいっそう好ましくは2リットル以上である。使用量の上限に特に制限はないが、より効率よく環式PASを製造するとの観点から、スルフィド化剤(b)の添加後の原料混合物(d)中のイオウ成分1モルに対し50リットル以下とすることが好ましく、20リットル以下がより好ましく、15リットル以下が更に好ましい。有機極性溶媒の使用量を多くすると、環式PAS生成の選択率が向上するが、多すぎる場合、反応容器の単位体積当たりの環式PASの生成量が低下する傾向に有り、更に、反応に要する時間が長時間化する傾向がある。スルフィド化剤(b)の追加に伴い反応混合物中のイオウ成分量は増加するため、有機極性溶媒(c)の使用量を上記の所望の範囲に維持する目的でスルフィド化剤(b)の追加前、または追加中、あるいは追加と同時に有機極性溶媒も追加する方法が好ましく採用できる。なお、ここでの有機極性溶媒(c)の使用量は常温常圧下における溶媒の体積を基準とする。
本発明の環式PASの製造方法における好ましい反応温度は、原料混合物(d)中の成分の種類、量などによって多様に変化するため一意的に決めることはできないが、通常120〜350℃、好ましくは170〜300℃、より好ましくは200〜300℃、さらに好ましくは200〜270℃の範囲を例示できる。この好ましい温度範囲ではより高い反応速度が得られ、反応が均一で進行しやすい傾向にあるのみならず、生成した環式PASの分解なども起こりにくい傾向にあるため、効率よく環式PASが得られる傾向にある。また、反応は一定温度で行う1段反応、段階的に温度を上げていく多段階反応、あるいは連続的に温度を変化させていく形式の反応のいずれでもかまわない。
また、反応時間はオリゴマー組成物(a)の組成や、添加するスルフィド化剤(b)の量および添加方法、有機極性溶媒(c)の種類、あるいは反応温度に依存するので一概に規定できないが、0.05時間以上が例示でき、0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましく、1時間以上が更に好ましく例示できる。この好ましい時間以上とすることで、未反応の原料成分を十分に減少できる傾向にある。一方、反応時間に特に上限は無いが、10時間以内でも十分に反応が進行し、好ましくは5時間以内、より好ましくは3時間以内、よりいっそう好ましくは1時間以内も採用できる。なお、スルフィド化剤(b)を逐次添加する場合は逐次添加開始時を反応時間の始点とする。なお、本発明による環式PASの製造方法では、スルフィド化剤および末端にチオラート基を有するPASオリゴマー用いた環式PASの製造方法(特開2011−068885号公報)、スルフィド化剤およびジハロゲン芳香族化合物を用いた環式PASの製造方法(特開2009−227952号公報)などの公知技術に比べて反応が早く進行することを見出している。この理由についても現時点で明らかではないが、マクロモレキュルーズ(Macromolecules 30,1997年(387−393ページ)の記載のように、スルフィド化剤とCl末端のPASオリゴマーの反応が早いことから、環式PASの生成する反応も早くなったためと考えている。
環式PASの生成率は、原料混合物中のイオウ成分の全てが環式PASに転化すると仮定した場合の環式PASの生成量に対する、環式PASの製造で実際に生成した環式ポリPAS量の比率のことである。環式PASの生成率が100%であれば、用いた反応混合物中のイオウ成分の全てが環式PASに転化したことを意味する。
本発明の環式PASの製造方法においては、反応器に、少なくとも、オリゴマー組成物(a)、スルフィド化剤(b)、および、有機極性溶媒(c)からなる原料混合物(d)を加えて加熱して反応を行う方法が例示できる。これら必須成分を反応器に仕込む順序に特に制限は無いが、まず使用する有機極性溶媒(c)の全量もしくは一部を仕込み、次いでその他の成分を仕込む方法が原料混合物(d)の均一化のために好ましい。原料混合物(d)には前記必須成分以外に反応を著しく阻害しない第三成分や、反応を加速する効果を有する第三成分を加えることも可能である。反応を行う方法に特に制限は無いが、攪拌条件下で行うことが反応系の均一化のために好ましい。なお、ここで前記原料を仕込む際の温度に特に制限は無く、例えば室温近傍で原料を仕込んだ後に反応を行っても良いし、あらかじめ前述した反応に好ましい温度に温調した反応器に原料を仕込んで反応を行なうことも可能である。また反応を行っている反応系内に逐次的に原料を仕込んで連続的に反応を行うことも可能である。
(8)環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法
本発明の環式PASの製造においては、特開2009−227952号公報および特開2012−92319号公報などに記載の公知の方法により、前記した反応により得られた反応混合物から環式PASを分離回収することも可能である。
(9)本発明の環式PASの特性
かくして得られた環式PASは、通常、環式化合物を70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上、殊更好ましくは90重量%以上含む純度の高いものであり、一般的に得られる線状のPASとは異なる特性を有する工業的にも利用価値の高いものである。また、本発明の製造方法により得られる環式PASは前記式(A)におけるmが単一ではなく、m=4〜50の異なるmを有する前記式(A)が得られやすいという特徴を有する。ここで好ましいmの範囲は4〜25,より好ましくは4〜20である。
なお、mが単一の環式PASは単結晶として得られるため、極めて高い融解温度を有するが、本発明の環式PASは異なるmを有する混合物が得られやすく、これにより環式PASの融解温度が低いという特徴があり、このことはたとえば環式PASを溶融して用いる際の加熱温度を低くできるという優れた特徴を発現することになる。
また、環式PAS中の低分子量の不純物を、後述する不純物率を指標として分析すると、本発明の方法で得られる環式PASは、不純物率が低く、高純度となる傾向にある。不純物率は10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、よりいっそう好ましくは6.0%以下、さらによりいっそう好ましくは5.0%以下であるものである。本発明の製造方法により得られる環式PASを、国際公開2007/034800号に記載の公知の方法によりPASを製造すると、PASが高分子量化しやすい傾向がある。
なお、不純物率とは、後述するHPLC分析にて環式PASを分析し、検出されたすべてのピークの検出面積の積算値に対する環式PAS以外に由来するピーク(不純物のピーク)の検出面積の積算値の割合(面積比)である。不純物率が低いことは、環式PAS中の不純物量が少なく、得られた環式PASが高純度であることを意味している。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。これら例は例示的なものであって限定的なものではない。
<ジハロゲン化芳香族化合物(e)の含有量測定>
ジハロゲン芳香族化合物(e)の含有量はガスクロマトグラフィー(GC)分析により定量分析を行なった。GCの測定条件を以下に示す。
装置:島津製作所製 GC−2010
カラム:J&W社製 DB−5 0.32mm×30m(0.25μm)
キャリアーガス:ヘリウム
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
<スルフィド化剤の分析>
反応混合物中や反応生成物中のスルフィド化剤の定量(例えば、水硫化ナトリウムの定量)はイオンクロマトグラフィー(IC)を用いて以下の条件にて実施した。
装置:島津製作所製 HIC−20Asuper
カラム:島津製作所製 Shim−packIC−SA2(250mm×4.6mmID)
検出器:電気伝導度検出器(サプレッサ)
溶離液:4.0mM炭酸水素ナトリウム/1.0mM炭酸ナトリウム水溶液
流速:1.0ml/分
注入量:50マイクロリットル
カラム温度:30℃
試料中に過酸化水素水を添加して試料中に含まれる硫化物イオンの酸化を行った後に上
記分析により硫酸イオンとして定量し、過酸化水素水を添加しない無処理の試料を分析し
た際の硫酸イオン定量値を差し引く方法で、試料中の硫化物イオン量を算出した。
<オリゴマー組成物(a)のハロゲン原子Xの含有量>
ダイアインスツルメンツ社製自動試料燃焼装置AQF−100を用いオリゴマー組成物(a)1〜2mgを計量した後、最終温度1000℃で燃焼させ、発生したガス成分を希薄な酸化剤を含んだ10mLの水に吸収させた。吸収液を炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム混合水溶液を移動相とするDIONEX社製イオンクロマトグラフィーシステムICS1500に供し、吸収液に含まれる塩素量を測定した。測定に供したオリゴマー組成物(a)の質量と、吸収液中のハロゲン原子X量から、オリゴマー組成物(a)のハロゲン原子Xの含有量を算出した。
<環式ポリフェニレンスルフィドの分析>
環式ポリフェニレンスルフィド化合物の定性定量分析は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて実施した。HPLCの測定条件を以下に示す。
装置:島津株式会社製 LC−10Avpシリーズ
カラム:関東化学社製 Mightysil RP−18 GP150−4.6(5μm)
検出器:フォトダイオードアレイ検出器(波長270nm)
なお、HPLCで成分分割した各成分の構造決定は、液体クロマトグラフ質量分析(LC―MS)による分析と、分取液体クロマトグラフ(分取LC)での分取物のマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、核磁気共鳴分光法(NMR)による分析、および赤外分光測定(IR測定)により行った。これにより、繰り返し単位数4〜15の環式ポリフェニレンスルフィドが、本条件のHPLC測定により定性定量できることを確認した。
環式ポリフェニレンスルフィドの生成率は、原料混合物中のイオウ成分の全てが環式ポリフェニレンスルフィドに転化すると仮定した場合の環式ポリフェニレンスルフィドの生成量に対する、環式ポリフェニレンスルフィドの製造で実際に生成した環式ポリフェニレンスルフィド量の比率のことである。環式ポリフェニレンスルフィドの生成率が100%であれば、用いた反応混合物中のイオウ成分の全てが環式ポリフェニレンスルフィドに転化したことを意味する。
上記HPLC分析において検出されたピークを環式ポリフェニレンスルフィドに由来するピークとそれ以外のピークに分類した。検出されたすべてのピークの検出面積の積算値に対する環式ポリフェニレンスルフィド以外に由来するピークの検出面積の積算値の割合(面積比)を、不純物率と定義し、環式ポリフェニレンスルフィドの不純物量を比較した。なお、不純物率が低いことは、環式ポリフェニレンスルフィド中の不純物量が少なく、環式ポリフェニレンスルフィドが高純度であることを意味している。
<分子量測定>
本発明のオリゴマー組成物(a)の分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で算出した。GPCの測定条件を以下に示す。
装置:センシュー科学 SSC−7110
カラム名:Shodex UT806M
溶離液:1−クロロナフタレン
検出器:示差屈折率検出器
カラム温度:210℃
プレ恒温槽温度:250℃
ポンプ恒温槽温度:50℃
検出器温度:210℃
流量:1.0mL/min
試料注入量:300μL (スラリー状:約0.1重量%)。
<実施例1>
<オリゴマー組成物(a)の製造(工程1)>
撹拌機を具備した1リットルオートクレーブに水硫化ナトリウム(NaSH)の48重量%水溶液を49.01g(NaSH23.92g(0.43モル))、水酸化ナトリウム(NaOH)の48重量%水溶液を37.33g(NaOH17.92g(0.45モル))、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)533mL、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)188.16g(1.28モル)を仕込んだ。ここでの原料混合物(f)中のスルフィド化剤(b’)のイオウ原子1モルに対する有機極性溶媒(c’)は1.25リットルであった。原料混合物(f)中のスルフィド化剤(b’)のイオウ原子1モルに対するp−DCBは2.98であった。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密封した後、400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで1時間かけて昇温した。次いで、230℃まで30分かけて昇温した。230℃で3時間保持した後、室温近傍まで急冷しオリゴマー組成物(a’)を調製した。
得られたオリゴマー組成物(a’)を130℃で減圧濃縮して得られた固体に、約2000gのイオン交換水に分散させ、80℃で15分攪拌したのちに、平均目開き10〜16マイクロメートルのガラスフィルターで濾過した。得られたフィルターオン成分を、再度同様にイオン交換水に分散させ、80℃で15分攪拌したのちに、ろ過を行う操作を計3回行い、白色固体を得た。これを100℃で一晩真空乾燥し、乾燥固体を得た。赤外分光分析において吸収スペクトルより固形分がフェニレンスルフィド単位からなる化合物(PPS)であることを確認した。また、GPC測定の結果、重量平均分子量はポリスチレン換算で900であり、前記一般式(A)における繰り返し数nは1〜50の範囲にあった。さらに、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、p−ジクロロベンゼンは0.0重量%あり、燃焼−イオンクロマトグラフィー分析により、塩素の含有量は8.9重量%であった。ここで得られたオリゴマー組成物(a)を、以下、オリゴマー組成物(a−1)と称する。
<スルフィド化剤(b)(加熱処理スルフィド化剤)の調製(工程2)>
1リットルナスフラスコに48重量%のNaSH水溶液20.10g(NaSHとして0.175モル)、48重量%のNaOH水溶液15.31g(NaOHとして0.184モル)、NMP448.9g(0.438リットル)を仕込んだ。原料に含まれる水分量は18.3g(1.01モル)であり、スルフィド化剤(b’’)のイオウ成分1モル当たりの水の量は5.79モルであった。また、スルフィド化剤のイオウ成分1モル当たりの有機極性溶媒量(c’’)は2.5リットルであった。1リットルナスフラスコに還流管および三方コックを取り付けた後、反応器を窒素置換した。常圧で窒素を通じて撹拌しながら60分かけて室温から150℃まで昇温し、その後、150℃で1時間保持した。加熱終了後、1リットルナスフラスコを室温近傍まで冷却し、内容物を回収した。
得られた内容物をGCおよびICにより分析を行なった結果、NaSHを0.175モル、NaOHを0.184モル、水を1.01モル、NMPを448.9g(0.438リットル)含む、スルフィド化剤(b)であることがわかった。ここで、得られたスルフィド化剤を、以下、加熱処理スルフィド化剤(b−1)と称する。
<環式PASの製造(工程3)>
撹拌機を具備した1リットルオートクレーブに、上記オリゴマー組成物(a−1)を18.86g(イオウ成分量として0.174モル、塩素の含有量として0.0472モル)、加熱処理スルフィド化剤(b−1)を72.50g(NaSHとして0.0262モル、NaOHとして、0.0366モル、NMPとして0.576モル、水として0.156モルに相当)、NMP500mLを仕込んだ。ここでの原料混合物(f)中のスルフィド化剤(b)のイオウ原子1モルに対する有機極性溶媒(c)は2.5リットルであった。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密封した後、400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで1時間かけて昇温した。次いで、250℃まで30分かけて昇温した。250℃で1時間保持した後、室温近傍まで急冷した(250℃で保持した時間を反応時間とする)。
得られた内容物をHPLCにより分析を行なった結果、環式PPSの生成率は16.9%、環式PPSの不純物率は1.5%であった。結果を表1に示した。
別途、この反応において、250℃で2時間として反応した場合は、得られた内容物をHPLCにより分析した結果、環式PASの生成率は16.9%、不純物率は1.5%であった。このことから、実施例1において、環式PPSの生成が完了に要する時間は1時間必要であった。その結果を表2に示した。
以上のことから、高純度な環式PPSを短時間で得られることがわかった。
<比較例1>
ここでは、先行技術文献に記した特開2012−92319号公報の実施例4に準じて、オリゴマー混合物−2を調製し、ジハロゲン化芳香族化合物の含有量が多いオリゴマー混合物−2に対しスルフィド化剤を添加することで環式PASの製造を行った結果を示す。
<オリゴマー組成物−2の調製(工程1)>
攪拌機を具備した1リットルオートクレーブに48%NaSH水溶液14.04g(NaSHとして6.73g)、48%NaOH水溶液10.53g(NaOHとして5.04g)、p−DCB35.28g、およびNMP615.05gを仕込んだ。ここでのスルフィド化剤のイオウ原子1モルに対するp−DCBの使用量は2.00モルであった。また、スルフィド化剤のイオウ原子1モルに対する溶媒量は5.0Lであった。オートクレーブを窒素置換後、加圧することなく密封した。400rpmで撹拌しながら、室温から250℃まで約1時間かけて昇温し、250℃で2時間保持後、250℃を保持したままバルブを開放して、放出された蒸気を冷却器に通じて留出液を507.42g取り出した。ここでの留出液中に含まれるNMPは496.03gであった。また、オートクレーブ内のNMPは103.97gであり、スルフィド化剤のイオウ原子1モルに対する溶媒量は0.97Lであった。このとき得られた反応液中のオリゴマー組成物―2と称する。
<環式PASの製造(工程2)>
上記工程1の反応混合物を内温が100℃となるまで冷却後、加熱処理スルフィド化剤(b−1)55.88g(NaSHとして0.0202モル、NaOHとして、0.0282モル、NMPとして0.444モル、水として0.120モルに相当))をオートクレーブ内に圧入した。400rpmで撹拌しながら、250℃まで60分かけて昇温後、250℃で1時間保持した後、室温近傍まで急冷した。ここで圧入した加熱処理スルフィド化剤(b−1)のイオウ原子は工程1で使用したスルフィド化剤のイオウ原子1モルに対し0.17モルであった。スルフィド化剤添加後の反応液中のイオウ成分1モルに対する溶媒量は2.4Lであった。得られた内容物をHPLCにより分析した結果、得られた内容物をHPLCにより分析を行なった結果、環式PPSの生成率は19.0%、環式PPSの不純物率は5.9%であった。結果を表1に示した。
<オリゴマー組成物−2の組成分析>
別途、上記比較例1の工程1と同様にして反応混合物得た。反応混合物のGCにより分析を行なった結果、反応混合物に対するp−DCBの含有量が0.4重量%であり、回収したオリゴマー組成物−2の全重量に対するp−DCBの含有量は2.6重量%であった。反応混合物に水に加えて得られた固形分を分離した。得た固形分を水洗、乾燥して分析した結果、赤外分光分析において吸収スペクトルより固形分がフェニレンスルフィド単位からなる化合物(PPS)であることを確認した。分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーで分析した結果、重量平均分子量はポリスチレン換算で1000であり、前記一般式(A)における繰り返し数nは1〜100の範囲にあった。さらに、また、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、p−ジクロロベンゼンは定量限界以下であり、燃焼−イオンクロマトグラフィー分析により、塩素の含有量は8.0重量%であった。
実施例1および比較例1の比較より、オリゴマー組成物(a)に対するp―DCBの含有量が1重量%より多いオリゴマー組成物(a)を用いて、環式PPSを製造すると、環式PPSの純度が低下することがわかった。
<実施例2>
実施例1の環式PASの製造において、スルフィド化剤(b−1)の代わりに、48%NaSH水溶液1.53g(NaSHとして0.0131モル)、48%NaOH水溶液1.53g(NaOHとして0.0183モル)を用いた以外には、実施例1と同様にして反応した。
得られた内容物をHPLCにより分析を行なった結果、環式PPSの生成率は13.8%、環式PPSの不純物率は4.2%であった。結果を表1に示した。
Figure 2019196457
実施例1および実施例2の比較より、スルフィド化剤(b)として、加熱処理スルフィド化剤を用いることで、環式PPSを製造することで、より高純度な環式PPSが得られることがわかった。
<参考例1>
攪拌機を具備したオートクレーブに、NaSHの48重量%水溶液を46.70g(NaSH22.41g(0.400モル))、NaOHの48重量%水溶液35.00g(NaOH16.8g(0.420モル))、NMP1000mL、及びp−DCB60.0g(0.408モル)を仕込んだ。反応容器内を十分に窒素置換した後、窒素ガス下に密封した。
400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで約1時間かけて昇温した。次いで200℃から270℃まで約30分かけて昇温した。270℃で1時間保持した後、室温近傍まで急冷してから内容物を回収した。
得られた内容物をGC及びHPLCにより分析した結果、環式PPS生成率は16.5%であることがわかった。
得られた内容物900gを約2700gのイオン交換水で希釈したのちに平均目開き10〜16マイクロメートルのガラスフィルターで濾過した。フィルターオン成分を約300gのイオン交換水に分散させ、70℃で30分攪拌し、再度前記同様の濾過を行う操作を計3回行い、白色固体を得た。これを80℃で一晩真空乾燥し、乾燥固体を得た。
得られた固形物を円筒濾紙に仕込み、溶剤としてクロロホルムを用いて約5時間ソックスレー抽出を行うことで固形分に含まれる低分子量成分を除去した。
抽出操作後に円筒濾紙内に残留した固形成分を70℃で一晩減圧乾燥しオフホワイト色の固体を約26g得た。分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルよりこれは線状のポリフェニレンスルフィドであり、また、重量平均分子量は12,000であった。
ここで得られたポリフェニレンスルフィドを以下、PPS−1と称する。
<比較例2>
特許文献6に記載の線状PASとスルフィド化剤を反応させて末端にチオラート基を有するPASオリゴマー混合物を生成させ、次いでジハロゲン化芳香族化合物を追加して反応させることで環式PASを製造した例を示す。
<反応1 チオラート基を有するPASオリゴマー混合物の生成>
撹拌機を具備した1リットルオートクレーブに参考例1で得られたPPS−1を14.33g(イオウ成分量0.132モル)、NaSHの48重量%水溶液を2.73g(NaSH1.31g(0.0233モル))、NaOHの48重量%水溶液3.25g(NaOH1.56g(0.0390モル)、NMP400mLを仕込んだ。スルフィド化剤のイオウ成分1モル当たりの線状PPS使用量は5.6モルであった。また、PPS−1およびNaSHに由来するイオウ成分の合計は0.155モルであり、反応混合物中のイオウ成分1モルあたりの溶媒量は約2.5Lであった。
反応容器内を十分に窒素置換した後、400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで約25分かけて昇温した。次いで200℃から230℃まで約35分かけて昇温した後、230℃で4時間保持した。ここで得られた末端にチオラート基を有するPASオリゴマー混合物を以下、PPS−2と称する。
<反応2 末端にチオラート基を有するPASオリゴマー混合物、および、ジハロゲン化芳香族化合物を用いた環式PASの製造>
反応1に次いで、NMP67.15g(3.72モル)およびp−DCB6.77g(0.0461モル)をオートクレーブ内に圧入した。p−DCB追加量は、反応1で用いたNaSH1モルあたり1.42モルであり、反応混合物中のイオウ成分1モルあたり0.15モルであった。また、溶媒量は反応混合物中のイオウ成分1モルあたり2.77リットルであった。250℃で4時間保持した後、室温近傍まで急冷してから内容物を回収した。
得られた内容物をHPLCにより分析した結果、環式PASの生成率は18.7%、環式PASの不純物率は4.0%であった。
別途、反応2において、250℃で1時間として反応した場合は、得られた内容物をHPLCにより分析した結果、環式PASの生成率は17.1%、環式PPSの不純物率は6.5%であった。以上のことから、比較例3において、環式PPSの生成が完了に要する時間は4時間必要であった。
<比較例3>
特許文献4に記載のスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物を用いて有機極性溶媒中で反応させることで環式PASを製造した例を示す。
撹拌機を具備した1リットルオートクレーブに48重量%のNaSH水溶液28.1g(NaSH0.240モル)、48重量%の水酸化ナトリウム水溶液21.0g(水酸化ナトリウム0.252モル)、p−DCB36.0g(0.245モル)、NMP615.1g(6.21モル)を仕込んだ。原料に含まれる水分量は25.5g(1.42モル)であり、スルフィド化剤のイオウ成分1モル当たりの水の量は5.92モルであった。また、スルフィド化剤のイオウ成分1モル当たりの溶媒の量は約2.50Lであった。
反応器を室温にて窒素ガスで0.3MPaに加圧、密封した後、400rpmで撹拌しながら、室温から250℃まで約1時間かけて昇温した。250℃で2時間保持した後、室温近傍まで急冷した。
得られた内容物をGCおよびHPLCにより分析した結果、環式PPSの収率は17.0%、環式PPSの不純物率は3.0%であった。
別途、この反応において、250℃で1時間として反応した場合は、得られた内容物をHPLCにより分析した結果、環式PPSの生成率は16.0%、環式PPSの不純物率は5.2%であった。以上のことから、比較例3において、環式PPSの生成が完了に要する時間は2時間必要であった。
Figure 2019196457
実施例1および比較例2−3の比較より、スルフィド化剤(b)、または、末端にチオラート基を有するPASオリゴマーおよびジハロゲン芳香族化合物(e)を、用いた環式PASの製造方法では、本発明より多くの反応時間を要することがわかった。

Claims (6)

  1. 少なくとも、下記オリゴマー組成物(a)、スルフィド化剤(b)、および、有機極性溶媒(c)からなる原料混合物(d)を加熱する、環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
    オリゴマー組成物(a):下記一般式(A)で表されるオリゴマー混合物を含み、オリゴマー組成物(a)の全重量に対する、下記一般式(B)で表されるジハロゲン芳香族化合物(e)の含有量が1重量%以下、かつ、ハロゲン原子Xの含有量が3重量%以上15重量%以下、である。
    Figure 2019196457
    (ここでArはアリーレン基を表し、Xはハロゲンを表し、nは1〜100の整数を表し、異なるnを有する混合物である。)
    Figure 2019196457
    (ここでArはアリーレン基を表し、Xはハロゲンを表す。)
  2. 前記原料混合物(d)中のイオウ成分1モルに対して1.25リットル以上50リットル以下の有機極性溶媒(c)を用いることを特徴とする、請求項1に記載の環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  3. 少なくともスルフィド化剤(b’)、スルフィド化剤(b’)のイオウ原子1モルに対し、1.5〜10.0モルの一般式(B)で表されるジハロゲン化芳香族化合物(e)、および有機極性溶媒(c’)からなる原料混合物(f)を加熱してオリゴマー組成物(a’)を調製後、溶媒(g)で洗浄して固形分として、前記オリゴマー組成物(a)を得ることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  4. 少なくともスルフィド化剤(b’’)、有機極性溶媒(c’’)、および水からなる混合物を150℃以上250℃以下で加熱して、前記スルフィド化剤(b)を得ることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  5. 前記原料混合物(d)を、常圧における還流温度を超える温度で加熱することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  6. 前記ジハロゲン化芳香族化合物(e)がジクロロベンゼンであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
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