JP2019196300A - 断熱材及びその製造方法、並びに組成物 - Google Patents

断熱材及びその製造方法、並びに組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】強度等の物性が維持されつつ、溶融非鉄金属に対する耐侵食性、及び、耐スポーリング性に優れる断熱材及びその製造方法、並びに組成物を提供する。【解決手段】本発明の断熱材は、(a)耐熱性無機材料と、(b)無機フッ化物と、(c)ジオポリマーとを含む。本発明の断熱材の製造方法は、(a)耐熱性無機材料と、(b)無機フッ化物と、シリカアルミナ原料及びアルカリとを水の存在下に混合して混合物を得る工程と、前記混合物を成形、塗布又は打設した後、硬化する工程とを備える。【選択図】なし

Description

本発明は、断熱材及びその製造方法、並びに組成物に関する。
熱配管、焼成炉及び溶融炉等の設備においては、断熱材は欠かすことのできない部材である。これらの設備においては、主に200℃を超える温度域に達することから、このような温度域においても耐熱性及び断熱性に優れ、かつ、実用強度を有することが、断熱材に求められる。一般的には、ガラス繊維、ロックウール及び珪酸カルシウム等の無機系材料が断熱材として知られている。
また、前述の設備において、例えば、溶融した非鉄金属(鉄以外の金属)と接する部分もしくはそのバックアップ部分(例えば、溶解炉、保持炉、樋等)に用いられる断熱材にあっては、耐熱性、断熱性及び強度に加えて、「溶融非鉄金属の侵食に対する耐久性」(耐侵食性)及び「耐スポーリング性」(耐熱衝撃性)が高いことも求められる。このような観点から、近年では種々の断熱材の検討が行われている。
例えば、特許文献1には、低融点金属の溶湯と接触する部位に使用される内張り材において、ゾノトライトを含有する珪酸カルシウム及びフッ化物を含む耐熱材料を加熱して内張り材を製造する技術が開示されている。この技術では、加熱によって珪酸カルシウムがワラストナイトを主成分とする状態に変化していることから、得られる内張り材は、ワラストナイトとフッ化物を主成分として含む材料であるといえる。
特許第5420815号公報
しかしながら、特許文献1に記載される内張り材においても、溶融非鉄金属に対する耐侵食性及び耐スポーリング性等の性能に改善の余地が残されており、近年要求されている内張り材(断熱材)の高い水準を満たすことは困難であった。さらに、断熱材が急熱急冷などの熱衝撃に晒される状態が長期間にわたって繰り返されると、スポーリング(熱衝撃)が原因で生じるクラック等が断熱材に発生し、これが経年劣化を引き起こす原因となっていたことから、断熱材を定期的に交換する必要もあった。この観点からも、断熱材の強度等の物性を維持しつつ、溶融非鉄金属に対する耐侵食性と、耐スポーリング性とを向上させる技術の開発が望まれていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、強度等の物性が維持されつつ、溶融非鉄金属に対する耐侵食性、及び、耐スポーリング性に優れる断熱材及びその製造方法、並びに組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、断熱材が構成成分として少なくともジオポリマーを含むことにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
(a)耐熱性無機材料と、
(b)無機フッ化物と、
(c)ジオポリマーと、
を含む、断熱材。
項2
前記(a)耐熱性無機材料がワラストナイトを含む、項1に記載の断熱材。
項3
前記(a)耐熱性無機材料がさらに溶融シリカを含む、項2に記載の断熱材。
項4
前記(b)無機フッ化物がフッ化カルシウムを含む、項1〜3のいずれか1項に記載の断熱材。
項5
溶融非鉄金属用である、項1〜4のいずれか1項に記載の断熱材。
項6
前記溶融非鉄金属がアルミニウムを含む、項5に記載の断熱材。
項7
項1〜6のいずれか1項に記載の断熱材の製造方法において、
前記(a)耐熱性無機材料と、前記(b)無機フッ化物と、シリカアルミナ原料及びアルカリとを水の存在下に混合して混合物を得る工程と、
前記混合物を成形、塗布又は打設した後、硬化する工程と、
を備える、製造方法。
項8
前記シリカアルミナ原料がフライアッシュを含む、項7に記載の製造方法。
項9
前記アルカリが、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属珪酸塩からなる群より選ばれる1種以上である、項7又は8に記載の製造方法。
項10
前記混合物を焼成する工程を含まない、項7〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
項11
項1〜6のいずれか1項に記載の断熱材の製造用組成物であって、
前記(a)耐熱性無機材料、前記(b)無機フッ化物、並びに、シリカアルミナ原料及びアルカリを含む、組成物。
本発明に係る断熱材(以下、本断熱材と呼ぶ)は、従来の断熱材と比べても強度等の物性が維持されつつ、溶融非鉄金属に対する耐侵食性、及び、耐スポーリング性に優れる。
本断熱材の製造方法は、本断熱材を簡便な方法で製造することができる。
本発明に係る組成物は、本断熱材を製造するための原料として適しており、また、成形性にも優れる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
1.本断熱材
本断熱材は、(a)耐熱性無機材料と、(b)無機フッ化物と、(c)ジオポリマーとを含む。より詳しくは、断熱材は、(a)耐熱性無機材料と、(b)無機フッ化物と、(c)ジオポリマーとの混合物の硬化物を含む。本断熱材は(a)、(b)及び(c)の成分を各々含むことで、従来の断熱材と同等の強度(例えば、曲げ強さ、圧縮強さ等の機械的物性)を有しつつ、溶融非鉄金属に対する耐侵食性に優れ、かつ、耐スポーリング性にも優れる。
本断熱材において、(a)耐熱性無機材料は、例えば、従来の断熱材に使用されている無機材料を広く適用することができ、その種類は特に限定されない。(a)耐熱性無機材料としては、例えば、500℃以上の耐熱性を有する無機材料を好ましく利用できる。ここでいう500℃以上の耐熱性とは、無機材料を空気雰囲気下、500℃の環境下に30分間静置して加熱したとしても熱分解が起こらない性質を意味し、より具体的には、加熱前後で重量減が10重量%以下である性質であることを意味する。
(a)耐熱性無機材料の具体例としては、ワラストナイト、炭化ケイ素、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、チタン酸アルミニウム、アルミナ、ムライト、スピネル、ジルコン、ジルコニア、マグネシア、ペタライト、溶融シリカ、スポジュメン、ユークリプタイト、コーディエライト、サイアロン及びグラファイト等を挙げることができる。中でも、(a)耐熱性無機材料は、ワラストナイト単独、あるいは、ワラストナイトと、溶融シリカ、コーディエライト、スポジュメン、ユークリプタイト及び炭化ケイ素からなる群より選ばれる少なくとも1種との混合物であることが好ましい。特に(a)耐熱性無機材料は、ワラストナイトと、溶融シリカとの混合物であることが好ましい。
(a)耐熱性無機材料は、少なくともワラストナイトを含むことが好ましい。この場合、本断熱材の性能が向上しやすく、また、本断熱材の製造も簡便に行うことができる。(a)耐熱性無機材料は、ワラストナイトと他の耐熱性無機材料との混合物であってもよいし、ワラストナイトのみからなるものであってもよい。特に、(a)耐熱性無機材料がワラストナイトと溶融シリカとの混合物である場合、本断熱材は、耐スポーリング性等がより向上するので好ましい。
(a)耐熱性無機材料は、例えば、本断熱材に適用可能である限り公知の方法で製造することができ、あるいは、市販品である(a)耐熱性無機材料を本断熱材に適用することができる。
なお、念のための注記に過ぎないが、本明細書において、(a)耐熱性無機材料は、(b)無機フッ化物及び(c)ジオポリマーは除かれる。
本断熱材において、(b)無機フッ化物は、例えば、従来の断熱材に使用されている無機フッ化物を広く適用することができ、その種類は特に限定されない。
(b)無機フッ化物の具体例としては、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、クリオライト、フッ化リチウム、フッ化バリウム、フッ化アルミニウム、フッ化ストロンチウム、フッ化セリウム、フッ化イットリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、珪フッ化ナトリウム、珪フッ化アンモニウム等を挙げることができる。
(b)無機フッ化物は、少なくともフッ化カルシウムを含むことが好ましい。この場合、本断熱材の性能が向上しやすく、また、本断熱材の製造も簡便に行うことができる。(b)無機フッ化物は、フッ化カルシウムと他の無機フッ化物との混合物であってもよいし、フッ化カルシウムのみからなるものであってもよい。(b)無機フッ化物がフッ化カルシウムと他の無機フッ化物との混合物である場合、(b)無機フッ化物におけるフッ化カルシウムの含有量は50質量%以上とすることができ、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
(b)無機フッ化物は、例えば、本断熱材に適用可能である限り公知の方法で製造することができ、あるいは、市販品である(b)無機フッ化物を本断熱材に適用することができる。
本断熱材において、(c)ジオポリマーの種類は特に限定されず、例えば、「Geopolymer Chemistry and Application 4th edition」(2015年11月発行,著者:Joseph DAVIDOVITS)などに記載されている公知のジオポリマーを広く適用することができる。例えば、アルミニウムを含有する珪酸ポリマーを(c)ジオポリマーの例として挙げることができる。
本断熱材で使用する(c)ジオポリマーを製造する方法は特に限定されず、公知の製造方法を広く適用することができる。
例えば、シリカアルミナ原料とアルカリとを反応する工程により(c)ジオポリマーを得ることができる。以下、この工程を「ジオポリマーの反応工程」という。
シリカアルミナ原料としては、シリカ成分及びアルミナ成分を含む材料を使用することができる。シリカアルミナ原料は、シリカ成分及びアルミナ成分を含有する混合物であってもよいし、シリカ及びアルミニウムを含む化合物であってもよい。
シリカアルミナ原料の具体例としては、フライアッシュ;カオリナイト、デイッカイト、ナクライト、ハロイサイト等のカオリン鉱物;白雲母、イライト、フェンジャイト、海緑石、セラドナイト、パラゴナイト、ブランマライト等の雲母粘土鉱物;モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サボナイト、ソーコナイト等のスメクタイト;緑泥岩;パイロフィライト;タルク;ばん土頁岩;メタカオリン;高炉スラグ;コランダム又はムライト製造時の電気集塵機の灰;粉砕仮焼ボーキサイト;都市ゴミ焼却灰;製紙灰;汚泥灰;バイオマスボイラー灰等の粉末;非晶質シリカ粉と非晶質アルミナ粉との混合物等を挙げることができる。シリカアルミナ原料は、1種のみであってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
シリカアルミナ原料は、少なくともフライアッシュを含むことが好ましい。この場合、得られる(c)ジオポリマーは本断熱材の性能の向上に寄与しやすく、また、(c)ジオポリマーの製造も簡便に行うことができる。シリカアルミナ原料がフライアッシュを含む場合、フライアッシュの含有量は、シリカアルミナ原料の全量に対し、50質量%以上とすることができ、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。シリカアルミナ原料は、フライアッシュのみからなるものであってもよい。
シリカアルミナ原料の形態は特に限定されず、例えば、粉末状とすることができる。
一方、アルカリとしては、例えば、アルカリ金属塩を使用することができる。アルカリは、例えば、水性媒体に溶解させて溶液の状態で使用することができ、あるいは、溶液とせずに、例えば、固体状態等で使用することができる。水性媒体としては、水、メタノール、エタノール等のアルコール等を挙げることができる。
アルカリ金属塩としては、特に制限はない。アルカリ金属塩の具体例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム等のアルカリ金属珪酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸リチウム等のアルカリ金属ホウ酸塩等を挙げることができる。アルカリ金属塩は、1種のみであってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
中でも、アルカリ金属塩は、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属珪酸塩からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。この場合、得られる(c)ジオポリマーは本断熱材の性能の向上に寄与しやすく、また、(c)ジオポリマーの製造も簡便に行うことができる。特に、アルカリ金属塩は、水酸化ナトリウム及び珪酸ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
ジオポリマーの反応工程では、シリカアルミナ原料とアルカリとを混合する。これにより、両者の反応が進行する。具体的には、シリカアルミナ原料に含まれる珪酸分(シリカ)及びアルミニウム分(アルミナ)、場合によってはシリカアルミナ原料に不純物として含まれるアルカリ土類元素分等、さらには、アルカリに含まれるアルカリ金属元素分等が互いに反応してポリマーを形成し始める。これにより、ジオポリマーが生成する。
上記方法で得られるジオポリマーには、未反応の原料(シリカアルミナ原料及びアルカリ)が残存する場合がある。このような未反応の原料が含まれるジオポリマーであっても、本断熱材用の(c)ジオポリマーとして適用することもできる。従って、本明細書でいう(c)ジオポリマーは、ジオポリマーのみで構成することができ、あるいは、(c)ジオポリマーは、ジオポリマーと、かかるジオポリマーの製造時に使用する原料とを含む混合物とすることもできる。
本断熱材において、(a)耐熱性無機材料、(b)無機フッ化物及び(c)ジオポリマーの各成分の含有割合は特に限定されない。例えば、(a)耐熱性無機材料、(b)無機フッ化物及び(c)ジオポリマーの全量を100質量部とした場合、(a)耐熱性無機材料を37〜76質量部、(b)無機フッ化物を0.5〜30質量部とすることができる。
また、本断熱材の溶融非鉄金属に対する耐侵食性、及び、耐スポーリング性が向上しやすいという観点から(a)耐熱性無機材料及び(c)ジオポリマーの総質量に対する(a)耐熱性無機材料の質量の比は、0.3〜0.9とすることができ、0.4〜0.8であることが好ましい。
本断熱材は、(a)耐熱性無機材料、(b)無機フッ化物及び(c)ジオポリマーの各成分の他、本発明の効果を損なわない範囲である限り、その他成分を含むことができる。
その他成分としては、従来の断熱材に含まれる公知の各種添加剤を例示することができ、具体的には、補強繊維、赤外線遮蔽物質、顔料、染料、撥水剤、界面活性剤、凝集剤、分散剤、凝結促進剤、凝結遅延剤、発泡剤、起泡剤、消泡剤、骨材、樹脂等を挙げることができる。その他成分が断熱材に含まれる場合、前記添加剤の種類に応じて、耐熱性、断熱性、機械的強度、溶融非鉄金属の侵食に対する耐久性、耐スポーリング性等の性能がさらに向上する場合がある。
本断熱材の密度は特に限定されず、使用する用途に適合するように所望の密度に設定することができる。例えば、本断熱材の密度は200〜2000kg/mとすることができる。例えば、断熱性能が重視される場合は、(a)耐熱性無機材料、(b)無機フッ化物及び(c)ジオポリマーの各成分の他、その他成分(例えば、発泡剤や起泡剤)の含有量を調節して密度を低く調整することができる。また、溶融非鉄金属に対する耐侵食が重視される場合も同様、(a)耐熱性無機材料、(b)無機フッ化物及び(c)ジオポリマーの各成分の他、その他成分の含有量を調節して密度を高く調整することができる。
本断熱材は、(a)耐熱性無機材料がワラストナイト単独又はワラストナイトと溶融シリカの混合物であり、(b)無機フッ化物がフッ化カルシウム(蛍石)であり、及び(c)ジオポリマーがフライアッシュと水酸化ナトリウム及び/又は珪酸ナトリウムとの反応物である組み合わせが好ましい。この場合、本断熱材は特に溶融非鉄金属に対する耐侵食性、及び、耐スポーリング性に優れ、後記する溶融アルミニウム用断熱材に特に好適である。この場合にあっては、本断熱材の密度は、例えば、1500〜1800kg/mとなり得る。
本断熱材は、従来の断熱材と比べて強度等の物性(例えば、曲げ強さ及び圧縮強さ)が維持されたまま、溶融非鉄金属に対する耐侵食性、及び、耐スポーリング性に優れる。特に本断熱材は、溶融非鉄金属がアルミニウムを含む場合には、より優れた耐侵食性を発揮することができる。
また、本断熱材は、耐スポーリング性に優れることから、スポーリングによるクラック等が生じにくい。これにより本断熱材の経年劣化が生じにくいので、本断熱材を定期的に交換する必要性が低くなるという利点もある。
本断熱材は、各種用途に広く適用することができる。前述のように、本断熱材は、溶融非鉄金属に対する耐侵食性に優れ、かつ、耐スポーリング性に優れることから、焼成炉及び溶融炉等の設備に使用される断熱材に好適に使用することができる。本断熱材は、溶融非鉄金属に対する耐侵食性に優れることから、溶融非鉄金属用の断熱材として好ましく適用することができ、例えば、溶融非鉄金属と断熱材とが接触した状態で高温(例えば、200℃以上)に加熱されるような設備への使用に適している。
前記溶融非鉄金属はアルミニウムを含むことが好ましく、この場合、本断熱材は溶融アルミニウムに対する耐侵食性に特に優れる。従って、本断熱材は、溶融アルミニウム用の断熱材に特に好ましく使用できる。
溶融非鉄金属がアルミニウムを含む場合、溶融非鉄金属としてはアルミニウム単体又はアルミニウムを含む合金が例示される。
2.本断熱材の製造方法
本断熱材を製造方法する方法は特に限定されず、例えば、公知の製造方法を広く適用することができる。
例えば、本断熱材の製造方法は、下記工程1及び工程2を含むことができる。
工程1:前記(a)耐熱性無機材料と、前記(b)無機フッ化物と、シリカアルミナ原料及びアルカリとを水の存在下に混合して混合物を得る工程
工程2:前記混合物を成形、塗布又は打設した後、硬化する工程。
工程1で使用する(a)耐熱性無機材料及び(b)無機フッ化物の種類はそれぞれ、前述の「1.本断熱材」の項で説明した(a)耐熱性無機材料及び(b)無機フッ化物と同様である。
工程1で使用する(a)耐熱性無機材料は、例えば、粉末状とすることができる。(a)耐熱性無機材料が粉末状である場合、(a)耐熱性無機材料の形状及び平均粒子径は特に限定されず、例えば、公知の(a)耐熱性無機材料の形状及び平均粒子径と同様とすることができる。
工程1で使用する(b)無機フッ化物は、例えば、粉末状とすることができる。(b)無機フッ化物が粉末状である場合、(b)無機フッ化物の形状及び平均粒子径は特に限定されず、例えば、公知の(b)無機フッ化物の形状及び平均粒子径と同様とすることができる。
工程1で使用するシリカアルミナ原料及びアルカリはそれぞれ、前述の「1.本断熱材」の項で説明したジオポリマーの反応工程で使用するシリカアルミナ原料及びアルカリと同様である。
工程1では、(a)耐熱性無機材料と、(b)無機フッ化物と、シリカアルミナ原料及びアルカリを水の存在下で混合し、混合物を得る。この場合、(a)耐熱性無機材料と、(b)無機フッ化物と、シリカアルミナ原料及びアルカリの各成分及び水の混合順序は特に限定されない。例えば、水の存在下、(b)無機フッ化物、シリカアルミナ原料及びアルカリを混合し、そこへ(a)耐熱性無機材料を添加することで、混合物を得ることができる。あるいは、水の存在下、(a)耐熱性無機材料、(b)無機フッ化物及びシリカアルミナ原料を混合し、そこへアルカリを添加することで、混合物を得ることができる。さらには、(a)耐熱性無機材料と、(b)無機フッ化物と、シリカアルミナ原料及びアルカリを含む組成物に水を添加することで、混合物を得ることもできる。
工程1における各成分の使用割合は特に限定されず、所望の性能及び本断熱材の用途を考慮して適宜設定することができる。例えば、得られる本断熱材の溶融非鉄金属に対する耐侵食性、及び、耐スポーリング性が特に優れるという観点から、(a)耐熱性無機材料と、(b)無機フッ化物と、シリカアルミナ原料と、アルカリとの総量(固形分)を100質量部とした場合、(a)耐熱性無機材料の含有量が37〜76質量部、(b)無機フッ化物の含有量が0.5〜30質量部、シリカアルミナ原料の含有量が16〜49質量部、アルカリの含有量が2〜10質量部とすることができる。この場合において、特に、シリカアルミナ原料に対するアルカリ中のアルカリ金属(例えば、Na)の質量の比は、アルカリ金属の酸化物換算(例えば、NaO換算)で0.03〜0.20であることが好ましい。
また、シリカアルミナ原料、アルカリ及び(a)耐熱性無機材料の全固形分の質量に対する(a)耐熱性無機材料の質量の比が0.3〜0.9であることが好ましく、この場合、得られる本断熱材は、特に溶融非鉄金属に対する耐侵食性、及び、耐スポーリング性が向上しやすい。シリカアルミナ原料、アルカリ及び(a)耐熱性無機材料の全固形分の質量に対する(a)耐熱性無機材料の質量の比は、0.4〜0.8であることがより好ましい。
工程1における水の使用割合も特に限定されず、例えば、混合時の固形分の質量に対する水の質量の比が0.03〜0.5であることが好ましい。この場合、効率よく本断熱材を製造することができる。
工程1では、(a)耐熱性無機材料がワラストナイトを含むことが好ましい。この場合、得られる本断熱材の性能が向上しやすく、また、本断熱材の製造も簡便に行うことができる。(a)耐熱性無機材料は、ワラストナイトと他の耐熱性無機材料との混合物であってもよいし、好ましくはワラストナイト単独、もしくは、ワラストナイトと溶融シリカとの混合物である。
工程1では、(b)無機フッ化物がフッ化カルシウムを含むことが好ましい。この場合、得られる本断熱材の性能が向上しやすく、また、本断熱材の製造も簡便に行うことができる。(b)無機フッ化物は、フッ化カルシウムと他の無機フッ化物との混合物であってもよいし、フッ化カルシウムのみからなるものであってもよい。(b)無機フッ化物は、フッ化カルシウムと他の無機フッ化物との混合物である場合、(b)無機フッ化物におけるフッ化カルシウムの含有量は50質量%以上とすることができ、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
工程1では、シリカアルミナ原料は、少なくともフライアッシュを含むことが好ましい。この場合、得られる本断熱材の性能が向上しやすく、また、本断熱材の製造も簡便に行うことができる。シリカアルミナ原料がフライアッシュを含む場合、フライアッシュの含有量は、シリカアルミナ原料の全量に対し、50質量%以上とすることができ、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。シリカアルミナ原料は、フライアッシュのみからなるものであってもよい。
工程1では、アルカリ金属塩は、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属珪酸塩からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。この場合、得られる本断熱材の性能が向上しやすく、また、本断熱材の製造も簡便に行うことができる。
工程1では、(a)耐熱性無機材料と、(b)無機フッ化物と、シリカアルミナ原料及びアルカリとの各成分のほか、その他成分を添加して混合物を得ることもできる。その他成分としては、「1.本断熱材」の項で説明したその他成分と同様である。その他成分の使用量は特に限定されず、例えば、本願発明の効果が阻害されない限り、公知の使用量と同じとすることができる。
工程1の混合手段は特に限定されず、例えば、市販の撹拌機、混合機等を使用して混合することができる。混合時間も特に限定されず、例えば、目視にて均一に混合できたと判断できるまで混合を続けることができる。
工程1の混合を行う際の温度も特に限定されず、例えば、室温(例えば、15〜25℃)で行うことができる。
工程1の混合により、各成分が混合されると共に、シリカアルミナ原料とアルカリとの反応も進行する。つまり、工程1は、前記ジオポリマーの反応工程を含む工程ということもできる。
従って、工程1では、前記(c)ジオポリマーが生成するので、工程1で得られる混合物中には、前記(c)ジオポリマーが含まれる。前述のように、ジオポリマーの反応工程では、未反応原料であるシリカアルミナ原料とアルカリが残存する場合があるので、工程1で生成する(c)ジオポリマーにあっても、未反応原料であるシリカアルミナ原料とアルカリが含まれる場合がある。
工程2では、工程1で得られた混合物を成形、塗布又は打設した後、硬化する。
工程2において、成形、塗布又は打設の方法は特に限定されず、例えば、公知の断熱材を製造する際に行われる成形、塗布又は打設と同様の方法を採用することができる。例えば、成形は金型を用いたプレス成形、型への流し込み成形(いわゆる鋳込み成形)等のバッチ式を採用することができ、あるいは、ベルト又はフェルト等の上に混合物を配置して連続に成形する連続式を採用することもできる。成形、塗布及び打設はいずれも、湿式又は半乾式で行うことができる。
工程2において、硬化方法も特に限定されず、例えば、公知の硬化方法を広く採用することができる。例えば、養生によって硬化を行うことができる。養生を行うにあたっての養生温度、養生湿度及び養生時間は特に限定されず、例えば、公知の条件と同様とすることができる。必要に応じてオートクレーブを使用して養生を行うこともできる。
工程2の硬化の後は、必要に応じて乾燥等の処理を行うこともできる。乾燥条件及び乾燥方法は特に限定されず、例えば、公知の乾燥条件及び乾燥方法と同様とすることができる。
本断熱材の製造方法においては、上記混合物を焼成(つまり、混合物の焼結を伴うような高温加熱)せずとも、目的の本断熱材を得ることができるので、簡便な方法によって本断熱材を得ることができる。よって、本断熱材の製造方法においては、前記混合物を焼成する工程を含まないことが好ましい。また、工程2の混合物の硬化後においても焼成する工程を含まないことが好ましい。
上記工程1及び工程2を含む製造方法によって、本断熱材を得ることができる。
3.本断熱材の製造用組成物
本断熱材の製造用組成物は、前記(a)耐熱性無機材料、前記(b)無機フッ化物、並びに、前記シリカアルミナ原料及び前記アルカリを含む。前記(a)耐熱性無機材料、前記(b)無機フッ化物、並びに、シリカアルミナ原料及びアルカリの態様はそれぞれ、前述の「1.本断熱材」及び「2.本断熱材の製造方法」の項で説明した(a)耐熱性無機材料、(b)無機フッ化物、並びに、シリカアルミナ原料及びアルカリと同様である。本断熱材の製造用組成物では、前記(c)ジオポリマーは未生成である。
本断熱材の製造用組成物において、得られる本断熱材の溶融非鉄金属に対する耐侵食性、及び、耐スポーリング性が特に優れるという観点から、(a)耐熱性無機材料と、(b)無機フッ化物と、シリカアルミナ原料と、アルカリとの総量(固形分)を100質量部とした場合、(a)耐熱性無機材料の含有量が37〜76質量部、(b)無機フッ化物の含有量が0.5〜30質量部、シリカアルミナ原料の含有量が16〜49質量部、アルカリの含有量が2〜10質量部とすることが好ましい。この場合において、特に、シリカアルミナ原料に対するアルカリ中のアルカリ金属(例えば、Na)の質量の比が0.03〜0.20(アルカリ金属の酸化物換算(例えば、NaO換算)であることが好ましい。
また、シリカアルミナ原料、アルカリ及び(a)耐熱性無機材料の全固形分の質量に対する(a)耐熱性無機材料の質量の比が0.3〜0.9であることが好ましく、この場合は、本断熱材の製造用組成物を用いて得られる本断熱材は、特に溶融非鉄金属に対する耐侵食性、及び、耐スポーリング性が向上しやすい。
本断熱材の製造用組成物では、(a)耐熱性無機材料がワラストナイトを含むことが好ましい。この場合、得られる本断熱材の性能が向上しやすく、また、本断熱材の製造も簡便に行うことができる。中でも、(a)耐熱性無機材料は、ワラストナイト単独、あるいは、ワラストナイトと、溶融シリカ、コーディエライト、スポジュメン、ユークリプタイト及び炭化ケイ素からなる群より選ばれる少なくとも1種との混合物であることが好ましい。特に(a)耐熱性無機材料は、ワラストナイトと、溶融シリカとの混合物であることが好ましい。
本断熱材の製造用組成物では、(b)無機フッ化物がフッ化カルシウムを含むことが好ましい。この場合、得られる本断熱材の性能が向上しやすく、また、本断熱材の製造も簡便に行うことができる。(b)無機フッ化物は、フッ化カルシウムと他の無機フッ化物との混合物であってもよいし、フッ化カルシウムのみからなるものであってもよい。
本断熱材の製造用組成物では、シリカアルミナ原料は、少なくともフライアッシュを含むことが好ましい。この場合、得られる本断熱材の性能が向上しやすく、また、本断熱材の製造も簡便に行うことができる。
本断熱材の製造用組成物では、アルカリ金属塩は、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属珪酸塩からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。この場合、得られる本断熱材の性能が向上しやすく、また、本断熱材の製造も簡便に行うことができる。
本断熱材の製造用組成物は、(a)耐熱性無機材料と、(b)無機フッ化物と、シリカアルミナ原料及びアルカリとの各成分のほか、その他成分を添加して混合物を得ることもできる。その他成分としては、「1.本断熱材」の項で説明したその他成分と同様である。
本断熱材の製造用組成物は、本断熱材を製造するための原料として適している。また、本断熱材の製造用組成物は、成形性にも優れるので、例えば、本断熱材の製造用組成物から本断熱材を製造する方法において、焼成工程を経ずに本断熱材を得ることも可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
表1は、各実施例及び比較例で使用した原料である。
Figure 2019196300
(実施例1)
アルカリとしてケイ酸ソーダ1号E(NaO+SiO)7.1質量部に水を加えた。水の添加量は後記する混合物中の全固形分(ただし、補強繊維は除く)の質量に対する水の質量の比(水/固形分)が0.17となるように調節した。次いで、シリカアルミナ原料としてフライアッシュを40.2質量部、その他成分である補強繊維として耐アルカリガラス繊維を0.5質量部、及び、(b)無機フッ化物として蛍石(フッ化カルシウム)を順不同に5.0質量部加え、撹拌してペーストとした。アルカリに含まれるナトリウム分の酸化物換算質量と、シリカアルミナ原料の質量の比[NaO/シリカアルミナ原料]の値は0.06であった。さらに、前記ペーストに、(a)耐熱性無機材料としてワラストナイト47.3質量部を加え、撹拌を続けることで混合物を調製した(工程1)。
得られた混合物を金型に流し込み、油圧プレス機で半乾式プレスを行うことで、生成形体を得た。得られた生成形体を、常圧下(大気圧下)、80℃の飽和水蒸気下で24時間静置することで養生し、硬化物を得た(工程2)。得られた硬化物を、150℃の雰囲気下で硬化物質量が恒量になるまで乾燥し、厚さ25mmの本断熱材が得られた。
(実施例2〜13、比較例1)
ケイ酸ソーダ1号E(NaO+SiO)、水酸化ナトリウム、フライアッシュ、耐アルカリガラス繊維、蛍石及びワラストナイト等の耐熱性無機材料、並びに、[NaO/シリカアルミナ原料]の値及び「水/固形分」の値を表2及び表3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の条件で断熱材を得た。アルカリとして水酸化ナトリウムを使用する場合は、実施例1において、ケイ酸ソーダ1号Eに代えて水酸化ナトリウムを添加するようにした。なお、ワラストナイト等の耐熱性無機材料とは、ワラストナイトの他、表1に示す溶融シリカ、コーディエライト、スポジュメン、ユークリプタイト、炭化ケイ素を示す。
(比較例2)
溶融アルミ用断熱材として市販されているケイ酸カルシウム断熱材を準備した。
(比較例3)
実施例1において、シリカアルミナ原料及びアルカリを使用せずに本断熱材を得ようとしたが、成形が困難であり、目的とする本断熱材を得ることができなかった。
(評価方法)
[断熱材の密度測定]
各実施例及び比較例で得られた成形体の寸法から体積を計測し、断熱材の重量を体積で除することで断熱材の密度を算出した。
[曲げ強さの測定]
得られた断熱材を、長さ150mm、幅50mm、厚さ25mmの試験片にカットし、米倉製作所万能試験機社製「YS−5D」を用いて、支点間距離120mm、荷重速度20mm/minで曲げ試験を行い、最大荷重で3点曲げ強さを算出した。
[圧縮強さの測定]
得られた断熱材を、長さ30mm、幅30mm、厚さ25mmの試験片にカットし、米倉製作所万能試験機社製「CATY−2010S」を用いて、荷重速度10mm/minで圧縮試験を行い、5%歪時までの最大荷重にて圧縮強さを算出した。
[アルミニウムに対する侵食試験]
得られた断熱材を、長さ50mm、幅50mm、厚さ25mmの試験片にカットし、該試験片の中央にΦ25mm、深さ15mmの穴をあけた。前記穴に、穴の容積の80%となる大きさのアルミニウム合金(AC−7A)を置いた状態で、電気炉内に試験片を設置し、室温から850℃まで昇温してアルミニウム合金を溶融させ、この状態で120時間保持することで、溶融したアルミニウム合金と試験片が接触した状態を維持した。その後、試験片を室温まで冷却し、試験片の表面及び断面を観察して、溶融したアルミニウム合金が断熱材に侵食しているかどうかを目視で判別し、侵食されている場合は、侵食の深さを計測した。侵食が全く見られなかった場合を「○」、侵食の深さが2mm未満であった場合を「△」、侵食の深さが2mm以上であった場合を「×」とした。
[スポーリング試験]
得られた断熱材を、長さ150mm、幅75mm、厚さ25mmの試験片にカットした。該試験片の長さ方向1/3の長さ分だけを750℃に保持した炉に挿入して15分間加熱し、その後、炉内から試験片を取り出し、加熱面が露出するようにして15分間空冷した後、試験片に発生したクラック及びはく落の有無を目視で観察した。この加熱、空冷及び観察の操作を1サイクルとして、はく落が確認されるまで最大10サイクル繰り返し行った。その後試験片を室温まで冷却し,試験片のクラック及びはく落の有無を目視で観察して最終的な評価とした。クラック等が見られなかった場合を「◎」、従来品(比較例2)を基準として、これよりクラックが少なかった場合を「○」、従来品と同等のクラックが見られた場合を「△」、従来品よりクラックが多く、又は、はく落が見られた場合を「×」とした。
表2及び表3には、各実施例及び比較例で得られた断熱材の評価結果(密度、曲げ強さ、圧縮強さ、アルミニウムに対する侵食試験及びスポーリング試験)を示している。なお、表2及び表3の中の(a)/[(a)+(c)]は、(a)耐熱性無機材料及び(c)ジオポリマーの総質量に対する(a)耐熱性無機材料の質量の比を表し、シリカアルミナ原料、アルカリ及び(a)耐熱性無機材料の全固形分の質量に対する(a)耐熱性無機材料の質量の比と同じである。
実施例1〜13で得られた本断熱材は、無機フッ化物(フッ化カルシウム)を含有しない比較例1の断熱材に比べて、溶融アルミニウム合金に対する耐侵食性が大幅に向上していることがわかる。また、市販の溶融アルミニウム用断熱材(比較例2)と比べても、溶融アルミニウム合金に対する耐侵食性に優れ、優れた耐スポーリング性を有していることもわかる。
従って、実施例1〜13で得られた本断熱材は、従来品と同等の強度を有しつつ、溶融非鉄金属(アルミニウム合金)に対する耐侵食性、及び、耐スポーリング性に優れるものであった。
Figure 2019196300
Figure 2019196300

Claims (11)

  1. (a)耐熱性無機材料と、
    (b)無機フッ化物と、
    (c)ジオポリマーと、
    を含む、断熱材。
  2. 前記(a)耐熱性無機材料がワラストナイトを含む、請求項1に記載の断熱材。
  3. 前記(a)耐熱性無機材料がさらに溶融シリカを含む、請求項2に記載の断熱材。
  4. 前記(b)無機フッ化物がフッ化カルシウムを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の断熱材。
  5. 溶融非鉄金属用である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の断熱材。
  6. 前記溶融非鉄金属がアルミニウムを含む、請求項5に記載の断熱材。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の断熱材の製造方法において、
    前記(a)耐熱性無機材料と、前記(b)無機フッ化物と、シリカアルミナ原料及びアルカリとを水の存在下に混合して混合物を得る工程と、
    前記混合物を成形、塗布又は打設した後、硬化する工程と、
    を備える、製造方法。
  8. 前記シリカアルミナ原料がフライアッシュを含む、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記アルカリが、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属珪酸塩からなる群より選ばれる1種以上である、請求項7又は8に記載の製造方法。
  10. 前記混合物を焼成する工程を含まない、請求項7〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の断熱材の製造用組成物であって、
    前記(a)耐熱性無機材料、前記(b)無機フッ化物、並びに、シリカアルミナ原料及びアルカリを含む、組成物。
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