JP2019195757A - フィルタ膜 - Google Patents

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雅敏 國枝
広和 東
Hirokazu Azuma
広和 東
達洋 河合
Tatsuhiro Kawai
達洋 河合
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Abstract

【課題】開口が他の物質で塞がりにくく、濾過タイミングのコントロールが可能で、データ再現性のよいフィルタ膜を提供する。【解決手段】複数の貫通孔を利用して処理媒体中の特定の材料を選択的に分離するフィルタ膜であって、前記フィルタ膜は、第1フィルタ膜部と第2フィルタ膜部からなり、第1フィルタ膜部及び第2フィルタ膜部はともに、処理媒体が供給される側である第1表面を有する第1層と、第1表面と反対側の第2表面を有する第2層とを備え、第1層は、第2層との界面から第1表面に向かって形成され、第1表面に平行な断面積が第1表面に近づくに従って小さくなる凸部と、第2層と第1層の界面に底部を有する凹部とから構成され、第2層は、第1層の凹部から第2表面に貫通する貫通孔と貫通孔以外の第2層膜部とから構成され、第1フィルタ膜部の第2表面側の縁部と、第2フィルタ膜部の第1表面側の縁部とは接着されているフィルタ膜。【選択図】図1

Description

本発明は、フィルタ膜に関する。
近年、経済の急激な発展に伴い、人々の経済活動により発生する空気汚染は、徐々に悪化しており、特に、自動車や工場等から発生する排気ガスにより大気が汚染され、人々の健康に悪影響を与えている。このため、汚染した大気から汚染物質を取り除くためのフィルタが種々研究されている(特許文献1参照)。
また、健康に影響を与える空気に含まれているウィルス、細菌等が人体に侵入するのを防止するためのフィルタについても、種々研究が進んでいる。
一方、逆に生体中の細胞の構成成分のなかから特定の成分のみを選択的に濾過し、特定の成分のみを得るフィルタについても研究が進んでおり、特許文献2には、フィルム単独で形状を維持できるように、厚さ方向に貫通する、精密形成された複数のミクロンスケールの細孔を含むポリマーフィルタ層と、精密形成された多孔質支持構造を含むポリマー支持層とからなるフィルタ膜が開示されている。上記のような比較的厚い構造とすることにより、フィルム単独で形状を維持でき、かつ、塊状に不可逆な凝集を起こさないフィルタ膜を作製することができる。
特開2011−78481号公報 特開2008−86996号公報
特許文献2に開示されたようなフィルタ膜では、ポリマーフィルタ層とポリマー支持層とを別々に作製し、両者を積層、接着してフィルタ膜を作製する必要がある。しかし、ポリマーフィルタ層とポリマー支持層との間の剥離を防止するとともに、作製したフィルタ膜の破損を防止し、かつ、接着強度を確保するためには、接着工程が煩雑になってしまうという問題点がある。
また、接着の際、ポリマー支持層がポリマーフィルタ層の細孔を一部塞いでしまい、細孔の面積や細孔径にばらつきが発生し易い。このため、検査や実験等の用途で使用した際には、再現性の乏しいデータとなってしまうという問題点がある。
また、特許文献2に開示されたフィルタ膜は、1枚のフィルタ膜から構成されているため、濾過速度が速すぎ、濾過タイミングをコントロールするのが難しいという問題がある。
さらに、平面上に単に細孔が形成されているのみでは、フィルタとして使用した際、細孔より大きい形状の物質が細孔を塞いでしまい、短時間で濾過が困難になり易いという問題がある。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、検査や実験等の用途で使用した際に、開口が他の物質で塞がりにくく、濾過タイミングのコントロールが可能で、再現性のよいデータを得ることができるフィルタ膜を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明のフィルタ膜は、複数の貫通孔が形成され、上記貫通孔を利用して処理媒体中の特定の材料を、他の材料から選択的に分離するフィルタ膜であって、
上記フィルタ膜は、第1フィルタ膜部と第2フィルタ膜部の2枚のフィルタ膜部からなり、
上記第1フィルタ膜部及び上記第2フィルタ膜部は、ともに、上記処理媒体が供給される側である第1表面を有する第1層と、上記第1表面と反対側の第2表面を有する第2層とを備えるとともに、
上記第1層は、上記第2層と上記第1層との界面から上記第1表面に向かって形成され、上記第1表面に平行な断面積が上記第1表面に近づくに従って次第に小さくなるように設定された凸部と、上記第2層と上記第1層の界面に底部を有する凹部とから構成され、
上記第2層は、上記第1層の凹部から上記第2表面に貫通する貫通孔と貫通孔以外の第2層膜部とから構成され、
上記第1フィルタ膜部の第2表面側の縁部と、上記第2フィルタ膜部の第1表面側の縁部とが接着層を介して接着されていることを特徴とする。
本発明のフィルタ膜では、上記第1フィルタ膜部の凸部の上記第1表面に平行な断面の面積は、上記第1表面に近づくに従って次第に小さくなるように形成されているので、逆に、上記凹部の上記第1表面に平行な断面の断面積は、第1表面に近づくに従って大きくなっており、その結果、濾過の際、上記第2層に形成された貫通孔よりも大きな濾過対象外物質が第1表面に近づいても、上記貫通孔と濾過対象外物質との間に空隙が形成され易く、貫通孔が塞がりにくく、その結果、フィルタ膜が濾過対象外物質で塞がりにくい。
また、本発明のフィルタ膜では、上記第1フィルタ膜部と上記第2フィルタ膜部とからなり、2枚のフィルタ膜部を縁部で接着することにより本発明のフィルタ膜が形成されており、縁部で囲まれた第1フィルタ膜部と上記第2フィルタ膜部との間に、一旦、第1フィルタ膜部で濾過された濾液を溜めることができ、第1フィルタ膜部と第2フィルタ膜部との間で濾液を滞留させた後、再度濾過させることができるので、第2フィルタ膜部の貫通孔の単位面積当たりの数や貫通孔の大きさ等、第2フィルタ膜部の種々の条件を適宜設定することにより、濾過タイミングをコントロールすることができる。
また、本発明のフィルタ膜では、第1フィルタ膜部及び第2フィルタ膜部とも、上記第2層と上記凸部を含む厚さの厚い部分(リブ部)がフィルタ膜に存在するので、機械的強度が高く、自己支持性を有し、他の支持体等に支持されていなくてもフィルム膜単独で形状を維持でき、かつ、フィルム膜が塊状に不可逆な凝集を起こさない。さらに、上記特性に起因して、温度変化やフィルタ使用時の圧力に起因するフィルタ膜の破損を防止することができる。
なお、本発明のフィルタ膜は、空気や特性成分のガス及び液体中に存在する粉塵やウィルス、細菌等を取り除き、清浄な空気、ガス、液体等を得るためのフィルタ膜として使用することができるとともに、逆に、空気や特性成分のガス及び液体中に存在する特定サイズの粒子、ウィルス、細菌、細胞等のみを選択的に濾過、分離して得るためのフィルタ膜としても使用することができる。
本発明のフィルタ膜では、上記フィルタ膜は、全体的に同一材料からなり、上記フィルタ膜を構成する上記第1フィルタ膜部と上記第2フィルタ膜部とは、それぞれ一体的に形成されていることが望ましい。
本発明のフィルタ膜が全体的に同一材料からなり、上記フィルタ膜を構成する上記第1フィルタ膜部と上記第2フィルタ膜部とが一体的に形成されていると、二つの層を接着してフィルタ膜を形成する場合のような層分離を起こすことはなく、より機械的特性に優れるとともに、細孔の面積や細孔径にばらつきが発生しにくい。そのため、検査や実験等の用途で使用した際に、再現性のよいデータを得ることができる。
本発明のフィルタ膜では、上記第1フィルタ膜部及び/又は上記第2フィルタ膜部の上記凸部を構成する第1表面は、全体的に連続して形成され、繋がり合っていることが望ましい。
本発明のフィルタ膜において、上記第1フィルタ膜部及び/又は上記第2フィルタ膜部の上記凸部を構成する第1表面が、全体的に連続して形成され、繋がり合っていると、少なくとも1枚のフィルタ膜は、上記第2層と上記凸部を含む厚さの厚い連続した部分(リブ部)が広がることとなり、機械的強度がより高く、自立性により優れ、フィルム膜単独で充分に形状を維持することができる。従って、検査や実験等を行う際、フィルタ膜の取り扱い性に優れる。
上記したように、第1フィルタ膜部及び第2フィルタ膜部の凸部を構成する第1表面は、全体的に連続して形成され、繋がり合っていることが望ましいが、第1フィルタ膜部及び第2フィルタ膜部のうち、少なくとも一方のフィルタ膜部の凸部を構成する第1表面が、全体的に連続して形成され、繋がり合っていればよい。上記構成であっても、フィルム膜単独で充分に形状を維持することができるからである。
本発明のフィルタ膜では、上記第1フィルタ膜部及び/又は上記第2フィルタ膜部の上記凸部を構成する上記第1表面は、ハニカム形状を構成する所定幅の辺の形状に形成されていることが望ましい。
本発明のフィルタ膜において、少なくとも1枚のフィルタ膜の上記凸部を構成する上記第1表面が、ハニカム形状を構成する所定幅の辺の形状に形成されていると、上記第2層と上記凸部を含む厚さの厚い連続した部分(リブ部)が全ての方向に均等に広がっているので、機械的強度がより高く、自立性により優れ、フィルム膜単独で充分に形状を維持することができる。従って、検査や実験等を行う際、フィルタ膜の取り扱い性に優れる。
本発明のフィルタ膜では、上記第1フィルタ膜部及び/又は上記第2フィルタ膜部の上記凸部を構成する上記第1表面は、格子形状を構成する所定幅の辺の形状に形成されていることが望ましい。
本発明のフィルタ膜において、少なくとも1枚のフィルタ膜の上記凸部を構成する上記第2表面が、格子形状を構成する所定幅の辺の形状に形成されていると、ハニカム形状の場合と同様、上記第2層と上記凸部を含む厚さの厚い連続した部分(リブ部)が全ての方向に均等に広がっているので、機械的強度がより高く、自立性により優れ、フィルム膜単独で充分に形状を維持することができる。従って、検査や実験等を行う際、フィルタ膜の取り扱い性に優れる。
本発明のフィルタ膜では、上記第1フィルタ膜部の上記凸部を含む上記第1表面に垂直な断面の形状において、上記凸部の壁面と、上記第1表面とのなす角度は、43〜80°であることが望ましい。
本発明のフィルタ膜において、上記第1フィルタ膜部の上記凸部の壁面と上記第1表面とのなす角度が43〜80°であると、上記凹部の上記第1表面に平行な断面の面積は、上記第1表面に近づくに従ってより大きくなるように形成されているので、フィルタ膜が濾過対象外物質で塞がりにくく、濾過を長時間に渡って連続的に行うことができ、効率よく濾過工程を終了することができる。
第2フィルタ膜部では、第1フィルタ膜部で濾過された濾液を再度濾過することとなるので、凸部の壁面と、第1表面とのなす角度は特に限定されない。
本発明のフィルタ膜では、上記第1フィルタ膜部の貫通孔の径は、0.1〜10μmであり、上記第2フィルタ膜部の貫通孔の径は、0.1〜10μmであることが望ましい。
本発明のフィルタ膜において、上記第2フィルタ膜部の貫通孔の径が0.1〜10μmであると、非常に微細な粉塵、ウィルス等を含むガス等から粉塵、ウィルス等を除去することができる。また、細胞を構成するような液中の微細な成分も、濾過により選択的に分離することができる。また、第2フィルタ膜部の貫通孔の径を第1フィルタ膜部の貫通孔の径より小さくすることにより、第1フィルタ膜部と第2フィルタ膜部の間に濾液を溜めることができ、濾過の速度等をコントロールすることができる。
さらに、第1フィルタ膜部の貫通孔の径を目的とする貫通孔の径よりも大きくし、第2フィルタ膜部の貫通孔の径を目的の径とすることにより、第1フィルタ膜部で大きな濾過対象外物質を濾過し、第1フィルタ膜部を通過した濾液中の残った第2フィルタ膜部の貫通孔より少し大きな濾過対象外物質を第2フィルタ膜部で濾過することができ、効率的に濾過を行うことができる。
本発明のフィルタ膜では、上記第1フィルタ膜部及び上記第2フィルタ膜部の厚さは、15μm以下であることが好ましい。
フィルタ膜の厚さが15μmを超えると、露光時の歪みやエッチングの量のばらつき等により貫通孔の形状が不均一になってしまい、検査や実験等の用途で使用した際には、再現性の乏しいデータとなってしまう。しかしながら、本発明のフィルタ膜において、上記第1フィルタ膜部及び上記第2フィルタ膜部の厚さが15μm以下と薄いと、貫通孔の形状を均一に保つことができ、再現性に優れたデータを得やすい。また、フィルタ膜が薄いので、第2表面に平行な断面における断面積が小さな貫通孔を形成し易くなり、微小な濾過対象物を濾過することができる。
本発明のフィルタ膜では、平面視した際のフィルタ膜の総面積(A)に対する上記凸部を構成する上記第1表面の合計面積(a)の割合は、20〜50%であることが望ましい。
本発明のフィルタ膜において、平面視した際のフィルタ膜の総面積(A)に対する上記凸部を構成する上記第1表面の合計面積(a)の割合が20〜50%と、上記凸部の割合が比較的小さいと、単位面積当たりの凹部の面積が充分に大きくなり、貫通孔の濾過を行う部分の面積を大きくすることができるので、効率よく濾過を行うことができる。
図1(a)は、本発明のフィルタ膜の一例を模式的に示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示すフィルタ膜のA−A線断面図である。 図2は、図1(b)に示した断面図の一部を拡大した拡大断面図である。 図3(a)は、本発明のフィルタ膜の一例を模式的に示す平面図であり、図3(b)は、図3(a)に示すフィルタ膜のB−B線断面図である。 図4(a)〜(f)は、本発明のフィルタ膜の製造方法の一例におけるマスターモールド作製工程を模式的に示した断面図である。 図5(a)〜(d)は、本発明のフィルタ膜の製造方法の一例における転写モールド作製工程を模式的に示した断面図である。 図6(a)〜(c)は、本発明のフィルタ膜の製造方法の一例におけるフィルタ膜部作製工程を模式的に示した断面図である。 図7(a)〜(f)は、本発明の別のフィルタ膜の製造方法の一例におけるマスターモールド作製工程を模式的に示した断面図である。 図8(a)〜(c)は、実施例2のフィルタ膜の製造方法におけるマスターモールド作製工程を模式的に示した断面図である。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明のフィルタ膜について詳述する。
本発明のフィルタ膜は、複数の貫通孔が形成され、上記貫通孔を利用して処理媒体中の特定の材料を、他の材料から選択的に分離するフィルタ膜であって、
上記フィルタ膜は、第1フィルタ膜部と第2フィルタ膜部の2枚のフィルタ膜部からなり、
上記第1フィルタ膜部及び上記第2フィルタ膜部は、ともに、上記処理媒体が供給される側である第1表面を有する第1層と、上記第1表面と反対側の第2表面を有する第2層とを備えるとともに、
上記第1層は、上記第2層と上記第1層との界面から上記第1表面に向かって形成され、上記第1表面に平行な断面積が上記第1表面に近づくに従って次第に小さくなるように設定された凸部と、上記第2層と上記第1層の界面に底部を有する凹部とから構成され、
上記第2層は、上記第1層の凹部から上記第2表面に貫通する貫通孔と貫通孔以外の第2層膜部とから構成され、
上記第1フィルタ膜部の第2表面側の縁部と、上記第2フィルタ膜部の第1表面側の縁部とは、接着層を介して接着されていることを特徴とする。
本発明のフィルタ膜は、空気や特性成分のガス及び液体中に存在する粉塵やウィルス、細菌等を取り除き、清浄な空気、ガス、液体等を得るためのフィルタ膜として使用することができるとともに、逆に、空気や特性成分のガス及び液体中に存在する特定サイズの粒子、ウィルス、細菌、細胞等のみを選択的に濾過、分離して得るためのフィルタ膜としても使用することができ、特には、体液から細胞や血球等の固形分を分離するフィルタ膜として好適に使用することができる。
上記した本発明のフィルタ膜の形状、構造等の一例について、さらに詳述する。
図1(a)は、本発明のフィルタ膜の一例を模式的に示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示すフィルタ膜のA−A線断面図である。
図1(a)〜(b)に示す本発明のフィルタ膜10は、第1フィルタ膜部11と第2フィルタ膜部15との2枚のフィルタ膜部からなる。
第1フィルタ膜部11は、処理媒体が供給される側である第1表面12asを有する第1層12と、第1表面12asと反対側の第2表面13asを有する第2層13とを備える。そして、第1層12は、第2層13と第1層12との界面12bsから第1表面12asに向かって形成され、第1表面12asに平行な断面積が第1表面12asに近づくに従って次第に小さくなるように設定された凸部12aと、第2層13と第1層12の界面12bsに底部を有する凹部12bとから構成され、第2層13は、第1層12の凹部12bから第2表面13asに貫通する貫通孔13bと貫通孔以外の第2層膜部13aとから構成されている。
一方、第2フィルタ膜部15は、処理媒体が供給される側である第1表面16asを有する第1層16と、第1表面16asと反対側の第2表面17asを有する第2層17とを備える。そして、第1層16は、第2層17と第1層16との界面16bsから第1表面16asに向かって形成され、第1表面16asに平行な断面積が第1表面16asに近づくに従って次第に小さくなるように設定された凸部16aと、第2層17と第1層16の界面16bsに底部を有する凹部16bとから構成され、第2層17は、第1層16の凹部16bから第2表面17asに貫通する貫通孔17bと貫通孔以外の第2層膜部17aとから構成されている。
そして、第1フィルタ膜部11の第2表面13as側の縁部と第2フィルタ膜部15の第1表面16as側の縁部とは、接着層14を介して接着されている。
また、図1(a)に示す平面図より明らかなように、第1フィルタ膜部11と第2フィルタ膜部15の凸部12a、16aを構成する第1表面12as、16asは、平面視、ハニカム形状を構成する所定幅の辺の形状に形成され、全体的に繋がり合っており、凹部12b、16bは、平面視六角形状に形成され、島状に散在している。図1(a)には、図示されていないが、上記したように、第2フィルタ膜部15も同様に構成されている。
第1フィルタ膜部11に関し、凸部12aの第1表面12asに平行な断面の面積は、第1表面12asに近づくに従って次第に小さくなるように形成されているので、逆に、凹部12bの第1表面12asに平行な断面の断面積は、第1表面12asに近づくに従って大きくなっており、その結果、濾過の際、貫通孔13bよりも大きな濾過対象外物質が第1表面12asに近づいても、貫通孔13bと濾過対象外物質との間に空隙が形成され易く、貫通孔13bが塞がりにくく、その結果、フィルタ膜が濾過対象外物質で塞がりにくい。
本発明のフィルタ膜10では、第1フィルタ膜部11及び第2フィルタ膜部15の両方とも、第1層12、16の凸部12a、16aと第2層13、17とを含む厚さの厚い部分(リブ部)がフィルタ膜の全体に渡って連続的に存在するので、機械的強度が高く、自己支持性を有し、他の支持体等に支持されていなくてもフィルム膜単独で形状を維持でき、かつ、フィルム膜が塊状に不可逆な凝集を起こさない。さらに、上記特性に起因して、温度変化やフィルタ使用時の圧力に起因するフィルタ膜の破損を防止することができる。
本発明のフィルタ膜10は、図1(a)及び(b)に示すように、第1フィルタ膜部11及び第2フィルタ膜部15の第1層12、16の凹部12b、16bが形成された領域には、第2表面13as、17asに貫通する貫通孔13b、17bが形成されているので、この貫通孔13b、17bがフィルタとして機能し、処理媒体中の特定の物質を、他の物質から選択的に分離するフィルタ膜として使用することができる。
また、本発明のフィルタ膜10では、第1フィルタ膜部11と第2フィルタ膜部15とからなり、2枚のフィルタ膜部を縁部で接着することにより本発明のフィルタ膜10が形成されており、縁部で囲まれた第1フィルタ膜部11と第2フィルタ膜部15との間に、一旦、第1フィルタ膜部11で濾過された濾液を溜めることができ、第1フィルタ膜部11と第2フィルタ膜部15の間で濾液を滞留させた後、再度濾過させることができるので、第2フィルタ膜部15の貫通孔17bの単位面積当たりの数や貫通孔17bの大きさ等、第2フィルタ膜部15の種々の条件を適宜設定することにより、濾過タイミングをコントロールすることができる。
本発明のフィルタ膜を構成する第1フィルタ膜部と第2フィルタ膜部とは、概念的には、上記した2つの層に分けて考えることができるが、フィルタ膜部自体は、全体的に同一材料からなり、一体的に形成されていることが望ましい。
第1フィルタ膜部と第2フィルタ膜部とが全体的に同一材料からなり、一体的に形成されていると、2つの層を接着した場合のような層分離を起こすおそれはなく、より機械的特性に優れるとともに、2つの層を積み重ねた際に発生する不都合、すなわち細孔の面積や細孔径にばらつきが発生しにくい。そのため、検査や実験等の用途で使用した際に、再現性のよいデータを得ることができる。
本発明のフィルタ膜を構成する樹脂材料としては、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、シリカハイブリッドコンポジット等が挙げられる。上記樹脂は、高い柔軟性を有するので、機械的特性に優れ、フィルタ膜の自立性を確保し易い。なお、本発明のフィルタ膜の製造方法については、後で詳しく説明することにする。
また、本発明のフィルタ膜を構成する樹脂材料として、ネガ型のシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。これらの樹脂を使用すると、紫外線等の光を照射することにより、照射した部分は硬化し、現像液を用いて光を照射しなかった部分を溶解し、除去することができる。
本発明のフィルタ膜を構成する樹脂材料として、ポジ型の感光性樹脂を使用してもよい。ネガ型の樹脂を使用するか、ポジ型の感光性樹脂を使用するかは、形成するフィルタ膜の精度等に応じて決定すればよい。
シリコーン系樹脂は、4官能型のテトラアルコキシシランを主成分に、トリアルコキシシラン等を組み合わせたもので、最終的には、樹脂中にSiOの3次元的な構造が形成される。また、シリコーン系樹脂は、触媒を用いることにより、又は、加熱により硬化させることができる。このように、樹脂フィルムとしてシリコーン系樹脂を用いた場合、SiOの3次元的な構造を有するので、柔軟性を有し、かつ、耐摩耗性にも優れている。
アクリル系樹脂は、多官能モノマー/単官能モノマー/ポリマー系からなり、多官能モノマーの種類、量によって架橋度を制御したものである。多官能モノマーとしては、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等が挙げられる。このように、樹脂フィルムとしてアクリル系樹脂を用いた場合、紫外線により短時間で硬化させることができという特徴を有している。
シリカハイブリッドコンポジットとは、シリカゾル等の無機微粒子又は上記したシリコーン系樹脂を用いたSiOの3次元的な構造体とハードコート層の形成に用いられるアクリル系樹脂やその他の樹脂を組み合わせたものであり、ラジカル重合性のアクリロイル基(AC)とメタクリロイル基(MAC)、またはカチオン重合性のオキセタニル基(OX)を有していますラジカル重合性のアクリロイル基(AC)、メタクリロイル基(MAC)、又は、カチオン重合性のオキセタニル基(OX)を有する樹脂を組み合わせることにより、紫外線等の光により硬化させることができる。
図2は、図1(b)に示した断面図の一部を拡大した拡大断面図である。
第1フィルタ膜部11の貫通孔13bの径(r)は、図2に示すように、第2表面13asにおける貫通孔13bの径とする。また、図2に示すように、貫通孔間の距離(d)は、第2表面13asにおける貫通孔13bの端部から最も近い他の貫通孔13bの端部までの最短距離とする。
貫通孔13bの径(r)及び貫通孔13b間の距離(d)は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、接着前の第1フィルタ膜部11を第2表面13asの側から撮影することにより得られた写真からその値を測定することができる。第2フィルタ膜部15の貫通孔17bの径(r)も同様に規定することができ、同様の方法で測定することができる。
本発明のフィルタ膜10において、第1フィルタ膜部11の第1層12と第2層13との界面12bsが第1表面12asと平行でない場合には、第1表面12asに対して垂直な断面において、第1層12と第2層13との界面を延長した線と凸部12aの壁面120aを延長した線とが交わった点pにおける第1表面12asとの最短距離を、第1層11の厚さ(t)とする。
第2層13の厚さ(t)は、フィルタ膜の全体の厚さ(T)から第1層12の厚さ(t)を引いた値とする。第2フィルタ膜部15の第1層16の厚さ及び第2層17の厚さも同様に規定することができる。
また、図2において、第1表面12asから続く凸部12aの壁面120aと第1表面12asとのなす角度は、αで表示される。これらは、第1フィルタ膜部11及び第2フィルタ膜部15の両方について、同様である。
本発明のフィルタ膜において、上記第1フィルタ膜部の貫通孔の径(r)は、0.1〜10μmであり、上記第2フィルタ膜部の貫通孔の径(r)は、0.1〜10μmであることが望ましい。
貫通孔の径(r、r)は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、フィルタ膜の第2表面を撮影することにより得られた写真からその値を測定することができる。
第2表面から見た貫通孔の形状は、特に限定されるものではなく、円形でもよく、楕円形であってもよく、レーストラック形状であってもよく、その他の曲線から構成される形状であってもよい。第2表面から見た貫通孔の形状は、四角形等の多角形であってもよいが、濾過をスムーズに行うためには、円、楕円等の曲線から構成される形状が好ましい。
また、本発明のフィルタ膜において、第2表面から平面視した貫通孔の形状が円でない場合には、最も幅の狭い部分を貫通孔の径(r、r)とする。
本発明のフィルタ膜で、上記貫通孔の径(r)が0.1〜10μmであると、非常に微細な粉塵、ウィルス等を含むガス等から粉塵、ウィルス等を除去することができる。また、細胞を構成するような液中の微細な成分も、濾過により選択的に分離することができる。
本発明のフィルタ膜において、上記貫通孔の径(r)が0.1μm未満であると、貫通孔の径が小さすぎるため、正確な貫通孔を形成しようとすると、貫通孔形成の費用が高くなりすぎる。一方、貫通孔の径(r)が10μmを超えると、貫通孔の径が大きくなりすぎ、濾過が容易になるので、本発明のような構成の貫通孔を有するフィルタ膜を作製しても、本発明のフィルタ膜の特徴を充分に発揮することができない。
また、第1フィルタ膜部の貫通孔の径(r)を第2フィルタ膜部の貫通孔の径(r)よりも大きく設定し、第1フィルタ膜部で大きな濾過対象外物を取り除いた後、第2フィルタ膜部で目的の大きさの物のみを濾過することにより、スムーズに濾過を行うことができる。この場合、第1フィルタ膜部と第2フィルタ膜部との間に、第1フィルタ膜部を通過し、第2フィルタ膜部を通過できないものが残差として残留することが考えらえるが、逆向きに液を流すことにより、上記残差を取り除くことができる。
本発明のフィルタ膜において、上記貫通孔同士の間隔(d)と貫通孔の径(r)との関係は、0.2r≦d≦1.2rであることが望ましい。
本発明のフィルタ膜で、上記貫通孔同士の間隔(d)と貫通孔の径(r)との関係が、0.2r≦d≦1.2rであると、貫通孔の単位面積当たりの数が充分に多く、かつ、機械的強度も保つことができ、耐久性に優れたフィルタ膜を用いて効率よく濾過を行うことができる。
貫通孔同士の間隔(d)が貫通孔の径(r)に対して0.2r未満であると、間隔(d)が短すぎるため、フィルタ膜の強度が低下し、破壊され易くなる。一方、貫通孔同士の間隔(d)が貫通孔の径(r)に対して1.2rを超えると、貫通孔同士の間隔が広すぎるため、貫通孔の単位面積当たりの数が少なくなり、濾過の効率が低下してしまう。
貫通孔同士の間隔と貫通孔の径との関係については、第2フィルタ膜部も同様である。
本発明のフィルタ膜では、上記第1フィルタ膜部の上記凸部を含む上記第1表面に垂直な断面の形状において、上記凸部の壁面と、上記第1表面とのなす角度(α)は、43〜80°であることが望ましい。
本発明のフィルタ膜において、上記凸部の壁面と上記第1表面とのなす角度が(α)43〜80°であると、上記凹部の上記第1表面に平行な断面の面積は、上記第1表面に近づくに従ってより大きくなるように形成されているので、フィルタ膜が濾過対象外物質で塞がりにくく、濾過を長時間に渡って連続的に行うことができ、効率よく濾過工程を終了することができる。
第2フィルタ膜部に関し、第2フィルタ膜部を通過する濾液は、既に大きな濾過対象外物質は取り除かれているので、第2フィルタ膜部の凸部を含む第1表面に垂直な断面の形状において、凸部の壁面と、第1表面とのなす角度は、特には限定されない。
また、第1フィルタ膜部及び第2フィルタ膜部の厚さは、いずれも15μm以下であることが好ましい。
本発明のフィルタ膜において、第1フィルタ膜部及び第2フィルタ膜部の厚さが、いずれも15μm以下と薄いと、貫通孔の形状を均一に保つことができ、再現性に優れたデータを得やすい。また、フィルタ膜が薄いので、濾過対象物が通過しやすくなり、効率的に迅速に濾過を行うことができる。
第1フィルタ膜部及び第2フィルタ膜部の厚さに関し、具体的には、いずれも第1層の厚さ(t)は、3〜10μmであり、第2層の厚さ(t)は、1〜5μmであることが望ましい。
本発明のフィルタ膜において、第1層の厚さ(t)が3〜10μmであり、第2層の厚さ(t)が1〜5μmであると、機械的強度を有し、耐久性に優れたフィルタ膜を用いて効率よく濾過を行うことができる。
本発明のフィルタ膜の上記第1フィルタ膜部及び上記第2フィルタ膜部において、上記第1フィルタ膜部及び上記第2フィルタ膜部において、平面視した際のフィルタ膜の総面積(A)に対する上記凸部を構成する上記第1表面の合計面積(a)の割合は、20〜50%であることが望ましい。
本発明のフィルタ膜の上記第1フィルタ膜部及び上記第2フィルタ膜部において、上記第1フィルタ膜部及び上記第2フィルタ膜部において、平面視した際のフィルタ膜の総面積(A)に対する上記凸部を構成する上記第1表面の合計面積(a)の割合は、20〜50%であると、処理媒体が供給される側と反対側となる凸部の面積(容積)がより大きくなるので、より機械的強度の高いフィルタ膜となるとともに、貫通孔が形成されている部分も広い濾過面積をとることができる。
次に、本発明のフィルタ膜の具体的な形状について説明する。
本発明のフィルタ膜においては、第1フィルタ膜部及び第2フィルタ膜部の具体的な形状は特に限定されるものではないが、本発明のフィルタ膜を第1表面側から平面視した際、凸部を構成する第1表面は、図1(a)に示すように、互いに繋がり合って形成され、全体的に連続した第1表面を形成しており、その形状としては、ハニカム形状を構成する所定幅の辺の形状、格子形状を構成する所定幅の辺の形状等が挙げられるほか、所定幅の帯状体が2次元的に繋がりあった構成であれば、他の形状であってもよく、異なる多角形や円、楕円等の形状を構成する所定幅の辺が組み合わされた構成であってもよい。
また、凸部を構成する第2表面自体が多角形形状をなし、これらの多角形が所定幅の帯状体で繋がれたような構成であってもよい。
さらに、場合によっては、第1フィルタ膜部及び第2フィルタ膜部のいずれかの凸部を構成する第1表面は、全体的に繋がり合ってなくてもよい。一方のフィルタ膜部の凸部を構成する第1表面が繋がり合っていれば、フィルタ膜の機械的な強度は充分に大きくなるからである。
本発明のフィルタ膜の形状、構造等の別の一例について、さらに詳述する。
図3(a)は、本発明のフィルタ膜の一例を模式的に示す平面図であり、図3(b)は、図3(a)に示すフィルタ膜のB−B線断面図である。
図3(a)〜(b)に示す本発明のフィルタ膜20は、第1フィルタ膜部21と第2フィルタ膜部25の2枚のフィルタ膜部からなる。
第1フィルタ膜部21は、処理媒体が供給される側である第2表面22asを有する第1層22と、第1表面22asと反対側の第2表面23asを有する第2層23とを備える。そして、第1層22は、第2層23と第1層22との界面22bsから第1表面22asに向かって形成され、第1表面22asに平行な断面積が第1表面22asに近づくに従って次第に小さくなるように設定された凸部22aと、第2層23と第1層22の界面22bsに底部を有する凹部22bとから構成され、第2層23は、第1層22の凹部22bから第2表面23asに貫通する貫通孔23bと貫通孔以外の第2層膜部23aとから構成されている。
一方、第2フィルタ膜部25は、処理媒体が供給される側である第1表面26asを有する第1層26と、第1表面26asと反対側の第2表面27asを有する第2層27とを備える。そして、第1層26は、第2層27と第1層26との界面26bsから第1表面26asに向かって形成され、第1表面26asに平行な断面積が第1表面26asに近づくに従って次第に小さくなるように設定された凸部26aと、第2層27と第1層26の界面26bsに底部を有する凹部26bとから構成され、第2層27は、第1層26の凹部26bから第2表面27asに貫通する貫通孔27bと貫通孔以外の第2層膜部27aとから構成されている。
そして、第1フィルタ膜部21の第2表面23as側の縁部と第2フィルタ膜部25の第1表面26as側の縁部とは、接着層24を介して接着されている。
また、図3(a)に示す平面図より明らかなように、第1フィルタ膜部21と第2フィルタ膜部25の凸部22a、26aを構成する第1表面22as、26asは、平面視、格子形状を構成する所定幅の辺の形状に形成され、全体的に繋がり合っており、凹部22b、26bは、平面視四角形状に形成され、島状に散在している。図3(a)には、図示されていないが、上記したように、第2フィルタ膜部25も同様に構成されている。
第1フィルタ膜部21に関し、凸部22aの第1表面22asに平行な断面の面積は、第1表面22asに近づくに従って次第に小さくなるように形成されているので、逆に、凹部22bの第1表面22asに平行な断面の断面積は、第1表面22asに近づくに従って大きくなっており、その結果、濾過の際、貫通孔23bよりも大きな濾過対象外物質が第1表面22asに近づいても、貫通孔23bと濾過対象外物質との間に空隙が形成され易く、貫通孔23bが塞がりにくく、その結果、フィルタ膜が濾過対象外物質で塞がりにくい。
本発明のフィルタ膜20では、第1フィルタ膜部21及び第2フィルタ膜部25の両方とも、第1層22、26の凸部22a、26aと第2層23、27とを含む厚さの厚い部分(リブ部)がフィルタ膜の全体に渡って連続的に存在するので、機械的強度が高く、自己支持性を有し、他の支持体等に支持されていなくてもフィルム膜単独で形状を維持でき、かつ、フィルム膜が塊状に不可逆な凝集を起こさない。さらに、上記特性に起因して、温度変化やフィルタ使用時の圧力に起因するフィルタ膜の破損を防止することができる。
本発明のフィルタ膜20は、図3(a)及び(b)に示すように、第1フィルタ膜部21及び第2フィルタ膜部25の第1層22、26の凹部22b、26bが形成された領域には、第2表面23as、27asに貫通する貫通孔23b、27bが形成されているので、この貫通孔23b、27bがフィルタとして機能し、処理媒体中の特定の物質を、他の物質から選択的に分離するフィルタ膜として使用することができる。
また、本発明のフィルタ膜20では、第1フィルタ膜部21と第2フィルタ膜部25とからなり、2枚のフィルタ膜部を縁部で接着することにより本発明のフィルタ膜20が形成されており、縁部で囲まれた第1フィルタ膜部21と第2フィルタ膜部25との間に、一旦、第1フィルタ膜部21で濾過された濾液を溜めることができ、第1フィルタ膜部21と第2フィルタ膜部25の間で濾液を滞留させた後、再度濾過させることができるので、第2フィルタ膜部25の貫通孔27bの単位面積当たりの数や貫通孔27bの大きさ等、第2フィルタ膜部25の種々の条件を適宜設定することにより、濾過タイミングをコントロールすることができる。
図3(a)〜(b)に示す本発明のフィルタ膜のその他の構成やその効果は、図1(a)〜(b)に示す本発明のフィルタ膜と同様であるので、ここではその詳しい説明は省略することとする。
次に、本発明のフィルタ膜の製造方法について説明する。
本発明のフィルタ膜の製造方法は、特に限定されるものではないが、以下に説明する工程からなることが望ましい。下記する工程により、第1フィルタ膜部、及び、第2フィルタ膜部を形成し、第1フィルタ膜部、及び、第2フィルタ膜部が縁部で接着された本発明のフィルタ膜を製造することができる。
(1)マスターモールド作製工程
最初に、平板状の基体部と、上記基体部上に形成され、第1フィルタ膜部又は第2フィルタ膜部と同様の形状のマスターモールドを作製するマスターモールド作製工程を行う。
(2)転写モールド作製工程
次に、上記工程により作製されたマスターモールドに、透明な熱可塑性樹脂フィルムを熱ラミネートし、上記マスターモールドの凹凸形状を転写した後剥離し、ミラーイメージモールドを作製する転写モールド作製工程を行う。
(3)フィルタ膜部作製工程
このフィルタ膜部作製工程では、別の基体部71上に感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成し、透明なミラーイメージモールド68を押し付け、ミラーイメージモールドに形成されたフィルタ膜の形状を転写し、そのままの状態で感光性樹脂層を硬化させ、上記基体部上に上記した本発明の第1フィルタ膜部又は第2フィルタ膜部と同様の形状のフィルタ膜部を作製する。
(4)接着工程
上記した(1)マスターモールド作製工程、(2)転写モールド作製工程、及び、(3)フィルタ膜部作製工程を行うことにより、第1フィルタ膜部と第2フィルタ膜部とを形成することができ、得られた第1フィルタ膜部の第2表面側の縁部及び上記第2フィルタ膜部の第1表面側の縁部の少なくとも一方の縁部に接着剤を塗布し、第1フィルタ膜部の第2表面側の縁部と、上記第2フィルタ膜部の第1表面側の縁部とを、接着層を介して接着することにより発明のフィルタ膜の製造を終了する。
なお、第1フィルタ膜部と第2フィルタ膜部とは、貫通孔の径や凸部の形状がお互いに異なるフィルタ膜を形成してもよい。その場合には、別々に(1)マスターモールド作製工程、(2)転写モールド作製工程、及び、(3)フィルタ膜部作製工程を行って別々の構成を有する第1フィルタ膜部及び上記第2フィルタ膜部を作製し、その後、(4)接着工程を行う。
上述のように、本発明のフィルタ膜の製造方法では、マスターモールド作製工程でマスターモールドを作製し、作製したマスターモールドを利用して転写モールド作製工程を行ってミラーイメージモールドを作製し、このミラーイメージモールドを使用して、最終的な第1フィルタ膜部及び第2フィルタ膜部を作製し、両者を接着することにより本発明のフィルタ膜を製造する。このように、ミラーイメージモールドを1回作製すれば、このミラーイメージモールドを使用して第1フィルタ膜部及び第2フィルタ膜部を多数回に渡って作製することができ、貫通孔の形状等の構成が設計通りのフィルタ膜を多数回に渡って再現性よく製造することができる。
次に、本発明のフィルタ膜の製造方法について、さらに詳しく説明する。
(1)マスターモールド作製工程
本発明のフィルタ膜の製造方法では、マスターモールド作製工程として、平板状の基体部と、上記基体部上に形成され、上記した第1フィルタ膜部又は第2フィルタ膜部と同様の形状のマスターモールドを作製するマスターモールド作製工程を行う。
マスターモールド作製方法は、特に限定されるものではないが、上記基体部上にフォトリソグラフィー及びエッチングの手法のうち、少なくともいずれか一方の方法を用いて樹脂製のマスターモールドを作製する方法を採用することができる。
図4(a)〜(f)は、本発明のフィルタ膜の製造方法の一例におけるマスターモールド作製工程を模式的に示した断面図である。なお、図4に示す製造方法では、マスターモールドとして樹脂製のものを作製する。
マスターモールドを構成する樹脂は、特に限定されるものではないが、本発明のフィルタ膜を構成する樹脂材料と同じものを使用することができる。上記樹脂材料としては、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、シリカハイブリッドコンポジット等が挙げられる。上記樹脂は、高い柔軟性を有するので、機械的特性に優れ、ミラーイメージモールドを多数回作製しても、摩耗しにくい。下記の処理では、上記した樹脂でネガ型の感光性樹脂を使用しているが、ポジ型の感光性樹脂を使用してもよい。
すなわち、いずれの感光性樹脂(レジスト)を使用するかは、形成する第1凸部を構成する第1表面の大きさや幅、貫通孔の大きさ等に応じて決定すればよく、例えば、2μm以下の幅の第1表面を有する第1凸部や貫通孔を形成する場合には、高性能なポジ型のレジストを使用し、2μm以上の幅の第1表面を有する第1凸部や貫通孔を形成する場合には、ネガ型のレジストを使用することが考えられる。
このマスターモールド作製工程では、まず、基体部38上に上記樹脂を溶剤等に溶解させた塗布液を調製した後、該塗布液を塗布し、乾燥させ、塗布層33´を形成する(図4(a)参照)。塗布層33´の形成後、塗布層33´を硬化させて硬化樹脂層33とし、続いて、平面視した際、貫通孔の形状の硬化樹脂層表面330b以外の部分が露光するようにパターン形成されたガラス板36aをマスクとして設置し、露光する(図4(b)参照)。露光の光源としては、ランプ等が使用される。
基体部の材料は特に限定されるものではなく、例えば、ビスマレイミドトリアジン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂、シリコン等の金属、アルミナ、ガラス等のセラミック等が挙げられる。本発明のフィルタ膜の製造方法においては、以下の説明において使用する基材部も上記と同じ材料を使用することができる。
次に、硬化樹脂層33を所定の時間、現像液と接触させ、硬化樹脂層表面330bを含む部分を溶解除去し、貫通孔33b及び第2層膜部33aを形成する(図4(c)参照)。
次に、再度、上記塗布液を塗布し、乾燥させ、塗布層32´を形成する(図4(d)参照)。次に、塗布層32´を硬化させて硬化樹脂層32とし、凹部の形状の硬化樹脂層表面320b以外の部分が露光するようにパターン形成されたガラス板36bをマスクとして設置し、露光する(図4(e)参照)。
次に、硬化樹脂層32を所定の時間、現像液と接触させ、硬化樹脂層表面320bを含む部分を溶解除去して凹部32b及び貫通孔33bを形成する。これにより、基体部38上に第2層膜部33aと貫通孔33bと凸部32aと凹部32bとを有するマスターモールド30aの作製を終了する(図4(f)参照)。なお、第2層膜部33aは、2回目の露光で溶解しないように処理されている。また、基体部38は、上記現像液と接触してもエッチングされない材料である必要がある。
上記工程では、2回塗布層を形成し、2回現像処理することにより、貫通孔と凹部とを形成しているが、1回の塗布層形成と1回の現像処理により、貫通孔と凹部とを形成してもよい。
(2)転写モールド作製工程
図5(a)〜(d)は、本発明のフィルタ膜の製造方法の一例における転写モールド作製工程を模式的に示した断面図である。
本発明の転写モールド作製工程では、上記マスターモールド作製工程により作製された基体部38上に第2層膜部33aと貫通孔33bと凸部32aと凹部32bとを有するマスターモールド30a(図5(a)参照)に、透明な熱可塑性樹脂フィルム40´を用い(図5(b)参照)、熱可塑性樹脂フィルム40´を熱ラミネートしてマスターモールドの凹凸形状を転写し(図5(c)参照)、その後剥離することにより、ミラーイメージモールド40aを作製する(図5(d)参照)。
転写モールド作製工程で用いる透明な熱可塑性樹脂フィルムの材料としては、シクロオレフィンポリマー、ポリ塩化ビニール(PVC)、ポリカーボネート(PC)系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。
上記工程では、透明な熱可塑性樹脂フィルム40´を熱ラミネートすることによりミラーイメージモールド40aを作製していたが、マスターモールド38上に、液状の樹脂を塗布し、加熱等により硬化させた後、剥離することにより、ミラーイメージモールドを作製してもよい。この方法によれば、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用してミラーイメージモールドを作製することができる。
熱ラミネートの温度は、80〜200℃が好ましく、熱ラミネートの時間は、0.5〜5分が好ましい。
(3)フィルタ膜部作製工程
図6(a)〜(c)は、本発明のフィルタ膜の製造方法の一例におけるフィルタ膜部作製工程を模式的に示した断面図である。
本発明のフィルタ膜部作製工程では、平坦な表面を有する別の基体部65上に感光性樹脂からなる感光性樹脂層50´を形成し(図6(a)参照)、ミラーイメージモールド40aを感光性樹脂層50´に押し付け、本発明の処理媒体が供給される側のフィルタ膜の形状を転写する(図6(b)参照)。この後、紫外線等を透明なミラーイメージモールド40aを介して照射し、感光性樹脂層50´を硬化させ、フィルタ膜と同様の形状のフィルタ膜50を作製し、ミラーイメージモールド40aを剥離することにより、第1フィルタ膜部又は第2フィルタ膜部からなるフィルタ膜部50を作製する(図6(c)参照)。
感光性樹脂層50´は、溶剤に溶かした感光性樹脂を平坦な表面を有する別の基体部65上に塗布することにより形成することができる。感光性樹脂としては、例えば、ポリシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリカハイブリッドコンポジット等が挙げられる。
(4)接着工程
上記した(1)マスターモールド作製工程、(2)転写モールド作製工程、及び、(3)フィルタ膜部作製工程を行うことにより、第1フィルタ膜部と第2フィルタ膜部とを形成することができ、得られた第1フィルタ膜部の第2表面側の縁部及び上記第2フィルタ膜部の第1表面側の縁部に接着剤を塗布し、第1フィルタ膜部の第2表面側の縁部と、上記第2フィルタ膜部の第1表面側の縁部とを、接着層を介して接着することにより発明のフィルタ膜の製造を終了する。上記接着工程は、簡単であるので、図示はしないこととする。
上記フィルタ膜部作製工程では、感光性樹脂を使用しているが、熱硬化性のシリコーン系樹脂等を使用し、ミラーイメージモールド40aを熱硬化性のシリコーン系樹脂等に押し付けた後、加熱等を行うことにより、樹脂を硬化させてもよい。
第1フィルタ膜部と第2フィルタ膜部とで、貫通孔等の形状が異なるものを製造する場合には、それぞれの形状に対応したマスターモールド作製工程を行うことにより、それぞれ異なる形状のフィルタ膜部を製造することができる。
本発明のフィルタ膜の製造方法においては、マスターモールド作製工程において、フォトリソグラフィー及び/又はエッチングの手法を用いて、上記基体部とその上に形成するフィルタ膜の一部とが一体的に形成されたシリコン製又はガラス製のマスターモールドを作製してもよい。
図7(a)〜(f)は、本発明の別のフィルタ膜の製造方法の一例におけるマスターモールド作製工程を模式的に示した断面図である。図7(a)〜(f)に示した製造方法では、マスターモールドとしてシリコン製又はガラス製のものを作製する。
マスターモールド作製工程では、まず、フォトリソグラフィーの手法を用い、シリコン製又はガラス製の基材71の表面に、平面視した際、貫通孔の形状の基材表面730bが露出するようにエッチングレジスト層76を形成する(図7(a)参照)。
ガラスの材料は特に限定されるものではなく、例えば、ソーダガラス等の汎用ガラス、石英ガラス、テンパックス等の耐熱ガラスを使用することができる。
次に、基材表面730bを所定の時間、エッチングガスと接触させ、基材71に貫通孔となる貫通孔73bを形成し(図7(b)参照)、エッチンングレジスト層76を剥離する(図7(c)参照)。
次に、フォトリソグラフィーの手法を用い、貫通孔用凹部72bを有する基材71上に、凹部の形状の基材表面720bが露出するように別のエッチングレジスト層77を形成する(図7(d)参照)。
次に、エッチングレジスト層77が形成された基材表面720bを、所定時間エッチングガスと接触させることにより、基材71に所定深さの凹部72b及び貫通孔73bを形成し(図7(e))、エッチングレジスト層77を剥離することにより第2層膜部73aと貫通孔73bと凸部72aと凹部72bとを有するシリコン製又はガラス製のマスターモールド70aを作製する(図7(f))。作製されたマスターモールドでは、基体部とフィルタ膜部とが一体的に形成されている。
作製されたマスターモールド71及び該マスターモールドを用いた本発明のフィルタ膜の製造方法は、上述の図5〜6を用いて説明したフィルタ膜の製造方法と同様であるので、ここではその説明を省略する。
(実施例)
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)マスターモールド作製工程
ビスマレイミドトリアジン樹脂からなる基体部38の表面に、感光性のアクリル樹脂をジエチレングリコールジメチルエーテルに溶解させて調製した該塗布液を塗布し、乾燥させ、塗布層33´を形成した(図4(a)参照)。塗布層33´の形成後、塗布層33´を硬化させて硬化樹脂層33とし、平面視した際、貫通孔の形状の硬化樹脂表面330b以外の部分が露光するようにパターン形成されたガラス板36aをマスクとして設置し、露光した(図4(b)参照)。
次に、硬化樹脂層33を所定の時間、現像液と接触させ、硬化樹脂層表面330bを含む部分を溶解除去し、貫通孔33bを形成した(図4(c)参照)。
次に、再度、上記塗布液を塗布し、乾燥させ、塗布層32´を形成した(図4(d)参照)。次に、塗布層32´を硬化させて硬化樹脂層32とし、凹部の形状の硬化樹脂層表面320b以外の部分が露光するようにパターン形成されたガラス板36bをマスクとして設置し、露光した(図4(e)参照)。
次に、硬化樹脂層32を所定の時間、現像液と接触させ、硬化樹脂層表面320bを含む部分を溶解除去して凹部32b及び貫通孔33bを形成した。これにより、第2層膜部33aと貫通孔33bと凸部32aと凹部32bとを有するマスターモールド30aの作製を終了した(図4(f))。なお、第2層膜部33aは、2回目の露光で溶解しないように処理されている。
(2)転写モールド作製工程
マスターモールド作製工程により作製された基体部38上に第2層膜部33aと貫通孔33bと凸部32aと凹部32bとを有するマスターモールド30a(図5(a)参照)に、シクロオレフィンポリマーからなる透明な熱可塑性樹脂フィルム40´を用い(図5(b)参照)、熱可塑性樹脂フィルム40´を熱ラミネートしてマスターモールドの凹凸形状を転写し(図5(c)参照)、その後剥離することにより、ミラーイメージモールド40aを作製した(図5(d)参照)。
(3)フィルタ膜部作製工程
平坦な表面を有する別の基体部65上に感光性樹脂からなる感光性樹脂層50´を形成し(図6(a)参照)、ミラーイメージモールド40aを感光性樹脂層50´に押し付け、処理媒体が供給される側のフィルタ膜の形状を転写した(図6(b)参照)。この後、紫外線等を透明なミラーイメージモールド40aを介して照射し、感光性樹脂層50´を硬化させ、フィルタ膜と同様の形状のフィルタ膜50を作製し、ミラーイメージモールド40aを剥離することにより、第1フィルタ膜部50の作製を終了した(図6(c)参照)。
次に、同様の工程を行うことにより、第2フィルタ膜部を作製した。
(4)接着工程
上記した(1)マスターモールド作製工程、(2)転写モールド作製工程、及び、(3)フィルタ膜部作製工程を行うことにより、第1フィルタ膜部と第2フィルタ膜部とを形成することができた。そして、得られた第1フィルタ膜部の第2表面側の縁部及び第2フィルタ膜部の第1表面側の縁部に接着剤を塗布し、第1フィルタ膜部の第2表面側の縁部と、上記第2フィルタ膜部の第1表面側の縁部とを、接着層を介して接着することにより発明のフィルタ膜の製造を終了した。
製造されたフィルタ膜において、第1フィルタ膜部及び第2フィルタ膜部の貫通孔の第2表面における径は、いずれも0.5μmであった。
この実施例1では、ネガ型の感光性樹脂を使用してフィルタ膜を製造したが、ポジ型の感光性樹脂を使用しても同様の構成からなるフィルタ膜を製造することができる。すなわち、ポジ型の感光性樹脂を使用して、マスターモールドを作製し、フィルタ膜作製工程では、ネガ型の感光性樹脂を使用してフィルタ膜を製造してもよい。
(実施例2)
(1)マスターモールド作製工程
図8(a)〜(c)は、実施例2のフィルタ膜の製造方法におけるマスターモールド作製工程を模式的に示した断面図である。
まず、基体部81上に上記樹脂を溶剤等に溶解させた塗布液を調製した後、該塗布液を塗布し、乾燥させ、塗布層86´を形成した(図8(a)参照)。
塗布層86´の形成後、塗布層86´を硬化させて硬化樹脂層86とし、凹部及び貫通孔形状の硬化樹脂表面88が露光するようにパターン形成されたガラス板87をマスクとして設置し、露光するが、その際、ガラス板87のパターンとして、凹部となる部分と貫通孔となる部分で、濃淡を付けたパターンを形成しており、露光することにより、凹部及び貫通孔となる部分を一括して露光することができる(図8(b)参照)。
この後、硬化樹脂層86を所定の時間、現像液と接触させ、硬化樹脂層表面88を含む部分を溶解除去し、凹部82b及び貫通孔83bを形成した。これにより、第2層膜部83aと貫通孔83bと凸部82aと凹部82bとを有するマスターモールド80aの作製を終了した(図8(c))。
この後、実施例1と同様に(2)転写モールド作製工程及び(3)フィルタ膜部作製工程を行い、本発明の第1フィルタ膜部及び第2フィルタ膜部とを作製した。
(2)接着工程
得られた第1フィルタ膜部の第2表面側の縁部及び第2フィルタ膜部の第1表面側の縁部に接着剤を塗布し、第1フィルタ膜部の第2表面側の縁部と、第2フィルタ膜部の第1表面側の縁部とを、接着層を介して接着することにより本発明のフィルタ膜の製造を終了した。
製造されたフィルタ膜において、第1フィルタ膜部及び第2フィルタ膜部の貫通孔の第2表面における径は、いずれも0.5μmであった。
(実施例3)
(1)マスターモールド作製工程
まず、シリコン製の基材71の表面に、フォトリソグラフィーの手法を用い、平面視した際、貫通孔の形状の基材表面730bが露出するようにエッチングレジスト層76を形成した(図7(a)参照)。
次に、基材表面730bを所定の時間、エッチングガスと接触させ、基材71に貫通孔73bを形成し(図7(b)参照)、エッチンングレジスト層76を剥離した(図7(c)参照)。
次に、フォトリソグラフィーの手法を用い、貫通孔73bを有する基材71上に、凹部の形状の基材表面720bが露出するように別のエッチングレジスト層77を形成した(図7(d)参照)。
次に、エッチングレジスト層77が形成された基材表面720bを、所定時間エッチングガスと接触させることにより、基材71に所定深さの凹部72b及び貫通孔73bを形成し(図7(e))、エッチングレジスト層77を剥離することにより第2層膜部73aと貫通孔73bと凸部72aと凹部72bとを有するシリコン製のマスターモールド70aを作製した(図7(f))。
この後、実施例1と同様に(2)転写モールド作製工程及び(3)フィルタ膜部作製工程を行い、本発明の第1フィルタ膜部及び第2フィルタ膜部を作製した。
(2)接着工程
得られた第1フィルタ膜部の第2表面側の縁部及び第2フィルタ膜部の第1表面側の縁部に接着剤を塗布し、第1フィルタ膜部の第2表面側の縁部と、上記第2フィルタ膜部の第1表面側の縁部とを、接着層を介して接着することにより発明のフィルタ膜の製造を終了した。
製造されたフィルタ膜において、第1フィルタ膜部及び第2フィルタ膜部の貫通孔の第2表面における径は、いずれも0.5μmであった。
10、20 フィルタ膜
11、21 第1フィルタ膜部
12、16、22、26 第1層
12a、16a、22a、26a 凸部
12as、16as、22as、26as 第1表面
12b、16b、22b、26b 凹部
13、17、23、27 第2層
13a、17a、23a、27a 第2層膜部
13as、17as、23as、27as 第2表面
12bs、16bs、22bs、26bs 第1層と第2層との界面
13b、17b、23b、27b 貫通孔
15、25 第2フィルタ膜部

Claims (9)

  1. 複数の貫通孔が形成され、前記貫通孔を利用して処理媒体中の特定の材料を、他の材料から選択的に分離するフィルタ膜であって、
    前記フィルタ膜は、第1フィルタ膜部と第2フィルタ膜部との2枚のフィルタ膜部からなり、
    前記第1フィルタ膜部及び前記第2フィルタ膜部は、ともに、記処理媒体が供給される側である第1表面を有する第1層と、前記第1表面と反対側の第2表面を有する第2層とを備えるとともに、
    前記第1層は、前記第2層と前記第1層との界面から前記第1表面に向かって形成され、前記第1表面に平行な断面積が前記第1表面に近づくに従って次第に小さくなるように設定された凸部と、前記第2層と前記第1層の界面に底部を有する凹部とから構成され、
    前記第2層は、前記第1層の凹部から前記第2表面に貫通する貫通孔と貫通孔以外の第2層膜部とから構成され、
    前記第1フィルタ膜部の第2表面側の縁部と、前記第2フィルタ膜部の第1表面側の縁部とは、接着層を介して接着されていることを特徴とするフィルタ膜。
  2. 前記フィルタ膜は、全体的に同一材料からなり、前記フィルタ膜を構成する前記第1フィルタ膜部と前記第2フィルタ膜部とは、それぞれ一体的に形成されている請求項1に記載のフィルタ膜。
  3. 前記第1フィルタ膜部及び/又は前記第2フィルタ膜部の前記凸部を構成する第1表面は、全体的に連続して形成され、繋がり合っている請求項1又は2に記載のフィルタ膜。
  4. 前記第1フィルタ膜部及び/又は前記第2フィルタ膜部の前記凸部を構成する前記第1表面は、ハニカム形状を構成する所定幅の辺の形状に形成されている請求項3に記載のフィルタ膜。
  5. 前記第1フィルタ膜部及び/又は前記第2フィルタ膜部の前記凸部を構成する前記第1表面は、格子形状を構成する所定幅の辺の形状に形成されている請求項3に記載のフィルタ膜。
  6. 前記第1フィルタ膜部の前記凸部を含む前記第1表面に垂直な断面の形状において、
    前記凸部の壁面と、前記第1表面とのなす角度は、43〜80°である請求項1〜5のいずれか1に記載のフィルタ膜。
  7. 前記第1フィルタ膜部の貫通孔の径は、0.1〜10μmであり、前記第2フィルタ膜部の貫通孔の径は、0.1〜10μmである請求項1〜6のいずれか1に記載のフィルタ膜。
  8. 前記第1フィルタ膜部及び前記第2フィルタ膜部の厚さは、いずれも15μm以下である請求項1〜7のいずれか1に記載のフィルタ膜。
  9. 前記第1フィルタ膜部及び前記第2フィルタ膜部において、平面視した際のフィルタ膜の総面積(A)に対する前記凸部を構成する前記第1表面の合計面積(a)の割合は、20〜50%である請求項1〜8のいずれか1に記載のフィルタ膜。
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