JP2019194937A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、配光特性を特定の正面集光型とすることにより、一定範囲内で製造条件が変動しても安定な配光を可能とする、高い強靭性(ロバストネス)を有した有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。【解決手段】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板、第1電極層、一つ又は複数の有機機能層、及び第2電極層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、基板、第1電極層、一つ又は複数の有機機能層、及び第2電極層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記第1電極層と隣接する前記有機機能層との界面と、前記第2電極層と隣接する前記有機機能層との界面との距離を100〜150nmの範囲内にすることにより、正面輝度が1000±300cd/m2のときの光束発散度(lm/m2)を正面輝度で除した値が、1.5〜3.2(lm/cd)の範囲内に調整されていることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関し、より詳しくは、一定範囲内で製造条件が変動しても安定な正面集光型の配光を可能とする、高い強靭性(ロバストネス)を有した有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
従来、一重項励起子と三重項励起子の全てをエレクトロルミネッセンス(ElectroLuminescence:以下ELともいう。)に利用し、高発光効率を実現する発光材料を用いた有機EL素子が提案されている。有機EL素子においては、高い発光効率と発光寿命の両方で実用域の材料が開発され、ディスプレイや照明に利用されている。
このような有機EL素子は、2枚の電極間に有機材料からなる発光層が配置された構成であり、発光層で生じた発光光は電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は透明電極として構成され、透明電極側から発光光が取り出される。
また、近年では、有機EL素子の面発光や可撓性といった特性を活かし、デザイン性の高い照明器具として、例えば車両用灯具(テールランプやインジケーター等)に適用することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
面発光源である有機EL素子を湾曲させた状態で車両等に搭載する場合、例えば、湾曲した基板にタイル状の有機EL素子を湾曲部に沿って配置することによって、結果的に全方向に高強度の光が放出されることとなり、好ましい。
しかしながら、有機EL素子の生産段階において製造条件が変動したりすると、配光特性として正面方向の輝度のばらつきが大きくなり、必ずしも全方向への均一な配光が得られないという問題があることが分かった。
特開2015−5552号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、一定範囲内で製造条件が変動しても安定な正面集光型の配光を可能とする、高い強靭性(ロバストネス)を有した有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、第1電極層と第2電極層間に挟持される有機機能層の層厚を特定の範囲内にすることにより、正面輝度が1000±300cd/mのときの光束発散度を正面輝度で除した値が、特定の範囲内に調整されている有機エレクトロルミネッセンス素子によって、一定範囲内で製造条件が変動しても安定な正面集光型の配光が可能となることを見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.基板、第1電極層、一つ又は複数の有機機能層、及び第2電極層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記第1電極層と隣接する前記有機機能層との界面と、前記第2電極層と隣接する前記有機機能層との界面との距離を100〜150nmの範囲内にすることにより、
正面輝度が1000±300cd/mのときの光束発散度(lm/m)を正面輝度で除した値が、1.5〜3.2(lm/cd)の範囲内に調整されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
2.前記光束発散度を正面輝度で除した値が、1.7〜2.8(lm/cd)の範囲内であることを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.前記第1電極層及び前記第2電極層の少なくとも一方が、少なくとも有機化合物層と金属層の積層体からなり、当該有機化合物層を構成する有機化合物が、窒素原子、硫黄原子の少なくとも一方の原子を有し、かつ、当該金属層が銀(Ag)を含有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明の上記手段により、一定範囲内で製造条件が変動しても安定な正面集光型の配光を可能とする、高い強靭性(ロバストネス)を有した有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
通常の照明用光源として、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いる場合、配光特性はランバートであることが好ましいと考えられている。一方で、特定用途、例えばイルミネーション用やインジケーション用に用いる場合、高い意匠性が要求される場合が多くなっているため、発光面が曲面になる場合など、配光特性がランバートであることが必ずしも好ましいとは言えない場合がある。
例えば、パネルの発光面を凸に湾曲させる場合、配光特性を正面集光型にすると、結果的にあらゆる方向から見た場合でも、より発光強度が高く感じられる。一方パネルの発光面を凹に湾曲させる場合でも、同様の効果が得られることになる。
このような配光特性とするために本発明者らは検討を加えた結果、有機エレクトロルミネッセンス素子において、第1電極層の有機機能層側の界面と、第2電極層の有機機能層側の界面との距離を特定の範囲内に調整することによって、当該有機エレクトロルミネッセンス素子から出射される光束発散度を正面輝度で除した値が、ランバートな配向特性以下の特定の領域に調整でき.層厚制御等の製造条件が変動しても安定な正面集光型の配光を可能とし、高い強靭性(ロバストネス)を有した有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができることを見出した。
すなわち、前記光束発散度を正面輝度で除した値は、ランバートな配向特性ではおよそ3.14近傍になるが、1.5〜3.2(lm/cd)の範囲、好ましくは1.7〜2.8(lm/cd)の範囲になるように、前記界面間の距離を調整することによって、イルミネーション用途やインジケーション用途に用いる場合の好ましい正面集光型の発光特性とすることができ、製造条件が変動しても安定で、高い強靭性(ロバストネス)を有した有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
本発明の有機EL素子の一例を示す断面図
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板、第1電極層、一つ又は複数の有機機能層、及び第2電極層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記第1電極層と隣接する有機機能層との界面と、前記第2電極層と隣接する有機機能層との界面との距離を100〜150nmの範囲内にすることにより、正面輝度が1000±300cd/mのときの光束発散度を正面輝度で除した値が、1.5〜3.2の範囲内に調整されていることを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記光束発散度を正面輝度で除した値が、1.7〜2.8の範囲内に調整されていることが、イルミネーション用途やインジケーション用途に用いる場合の好ましい正面集光型の発光特性を得る観点から、好ましい。
また、前記第1電極層及び前記第2電極層の少なくとも一方が、少なくとも有機化合物層と金属層の積層体からなり、当該有機化合物層を構成する有機化合物が、窒素原子、硫黄原子の少なくとも一方の原子を有し、かつ、当該金属層が銀(Ag)を含有することが、電極層を薄膜で形成可能であり、光散乱等を低減することが可能となるため、正面集光型でより高強度な配光特性を得る観点から、好ましい実施態様である。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の概要≫
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と表記する。)は、基板、第1電極層、一つ又は複数の有機機能層、及び第2電極層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記第1電極層と隣接する有機機能層との界面と、前記第2電極層と隣接する有機機能層との界面との距離を100〜150nmの範囲内にすることにより、正面輝度が1000±300cd/mのときの光束発散度を正面輝度で除した値が、1.5〜3.2(lm/cd)の範囲内に調整されていることを特徴とする。
〔有機EL素子の構成〕
本発明の有機EL素子は、種々の構成をとり得るが、本発明の有機EL素子の一例を示す断面図を図1に示す。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
図1では有機EL素子に用いる基板として、透明基板を用いる場合について説明する。
本発明の有機EL素子100は、透明基板110上に設けられており、透明基板110側から順に、少なくとも第1電極層101、有機材料等を用いて構成された有機機能層103、第2電極層(対向電極)102、及び封止部材105をこの順に積層して構成されている。第1電極層101(金属層101b)の端部は、取出し電極の形状を有し、第1電極層101と外部電源(図示略)とは、取出し電極を介して、電気的に接続される。有機EL素子100は、発生させた光(発光光h)は、透明基板110側から取り出すように構成されており、一般的にボトムエミッション型の素子である。
上記発光光hは、透明基板110側から直接取り出される発光光h1と光反射性の第2電極層102によって反射されて透明基板110側から取り出される反射光h2の合算になるため、発光輝度の向上が達成される。
本発明の有機EL素子100は、少なくとも透明基板、第1電極層、一つ又は複数の有機機能層、第2電極層及び封止部材で構成され、当該透明基板と当該封止部材とがいずれも可撓性を有していることが、フレキシブルな有機EL素子を形成する観点から、好ましい。
前記第1電極層101又は第2電極層102は、有機化合物層101aと前記金属層101bの積層体からなる場合は、電極層を薄膜で形成でき、光散乱等を低減することが可能となるため、正面集光型でより高強度な配光特性を得る観点から、好ましい。
図1では、第1電極層101が前記有機化合物層101aと前記金属層101bの積層体からなる構成を示している。当該金属層101bは銀(Ag)を主成分として含有することが好ましく、「主成分」とは、当該金属層を構成する材料の成分として、80質量%以上、より好ましくは90質量%以上を占める成分をいう。
また、有機EL素子100の層構造は限定されることはなく、一般的な層構造であってよい。ここでは、第1電極層101がアノード(すなわち陽極)として機能し、第2電極層102がカソード(すなわち陰極)として機能することとする。この場合、例えば、有機機能層103は、アノードである第1電極層101側から順に正孔注入層103a/正孔輸送層103b/電子阻止層103c/発光層103d/電子輸送層103e/電子注入層103fを積層した構成が例示されるが、このうち、少なくとも有機材料を用いて構成された発光層103cを有することが必須である。正孔注入層103a及び正孔輸送層103bは、正孔輸送注入層として設けられてもよい。電子輸送層103d及び電子注入層103eは、電子輸送注入層として設けられてもよい。また、これらの有機機能層103のうち、例えば、電子注入層103fは無機材料で構成されている場合もある。
また、有機機能層103は、これらの層の他にも正孔阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていても良い。さらに、発光層103dは、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の中間層を介して積層させた構造としても良い。中間層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能しても良い。さらに、カソードである第2電極層102も、必要に応じた積層構造であっても良い。このような構成において、第1電極層101と第2電極層102とで有機機能層103が挟持された部分のみが、有機EL素子100における発光領域となる。
また、上記有機機能層は、上記正孔注入層103a/正孔輸送層103b/電子阻止層103c/発光層103d/電子輸送層103e/電子注入層103f等を一つの発光ユニットとして、中間電極層等を介して、複数の発光ユニットを積層することもできる。
また、以上のような層構成においては、第1電極層101の低抵抗化を図ることを目的とし、第1電極層101の金属層101bに接して補助電極(不図示)が設けられていてもよい。
以上のような構成の有機EL素子100は、有機材料等を用いて構成された有機機能層103の劣化を防止することを目的として、透明基板110上において封止部材105によって封止されている。この封止部材105はその表面に接着剤層を介して透明基板110側に固定されている。ただし、第一電極101の取出し電極部及び第2電極層102の端子部分は、透明基板110上において有機機能層103によって互いに絶縁性を保った状態で封止部材105から露出させた状態で設けられていることとする。そのために、第2電極層102上に有機機能層103より広い面積で無機絶縁層104を設けることも好ましい。また、その場合、封止部材105は、有機機能層103より広い面積で、かつ無機絶縁層104よりは狭い領域で形成することが好ましい。
さらに、透明基板110及び封止部材105は、有機機能層103を外部環境の湿度等から保護するため、ガスバリアー層を有することが好ましい。
また、発光層103dの第1電極層側の界面から第1電極層の有機機能層側の界面までの距離を(a)とし、発光層103dの第2電極層側の界面から第2電極層の有機機能層側の界面までの距離(b)としたときに、(a)/(b)の値の範囲を、1.0〜4.0の範囲内とすることが、正面輝度を高める観点から好ましい態様である。好ましくは、2.0〜3.0の範囲内である。
〔正面輝度、及び光束発散度を正面輝度で除した値〕
本発明の有機EL素子は、前記第1電極層と隣接する有機機能層との界面と、前記第2電極層と隣接する有機機能層との界面との距離を100〜150nmの範囲内にすることにより、正面輝度が1000±300cd/mのときの光束発散度を正面輝度で除した値が、1.5〜3.2(lm/cd)の範囲内に調整されていることを特徴とする。
前述したとおり、本発明者らの検討によれば、ランバートな配光特性の場合の当該値は3.14(lm/cd)近傍であるが、3.2(lm/cd)を超える領域になると正面輝度が明らかに低下する現象がみられた。また、1.5(lm/cd)未満である領域では、正面集光型にはなるが、発光の範囲が狭くなりすぎて、逆に正面輝度としては低下することが分かった。したがって、有機EL素子を正面集光型に設計する場合は、当該値を1.5〜3.2(lm/cd)の範囲内に調整することが必要であることを見出したものである。当該値は、好ましくは、1.7〜2.8(lm/cd)の範囲内であり、ランバートな配光特性よりも、より正面集光型にすることが、イルミネーション用途やインジケーション用途に用いる場合には、好ましい。
ここで、「正面輝度」とは、有機EL素子の発光領域に対する法線方向を0度(正面)として、当該方向において測定される輝度(cd/cm)をいう。
「光束発散度」とは、JIS Z 8113:1998に規定されており、面光源のある1か所の点から放出される光の明るさをいい、単位面積当たりの光束(lm)をいう。単位はlm/mである。
「正面集光型」とは、有機EL素子の視野角45度から方向から測定したときの輝度に対する0度(正面)方向から測定したときの輝度が、110%以上であることをいう。
本発明に係る正面輝度及び光束発散度は以下の手順にて測定することができる。
(正面輝度及び光束発散度の測定)
前記したように、本発明において正面とは、有機EL素子の発光領域の所定位置に対する法線方向(0度方向)をいい、有機EL素子が湾曲した状態にある場合には、有機EL素子の発光領域の所定位置に対する法線方向をいう。
正面輝度の測定は、有機EL素子をゴニオフォトメーターのような自動的に回転させる回転ステージにセットし、25±2℃の環境下、受光器として分光放射輝度計(コニカミノルタ社製、CS−2000)を用いて光量分布及びスペクトルを測定することにより輝度を求めることができる。当該測定においては、有機EL素子に一定の電流量(例えば、5mA/cm)を流し発光させながら、有機EL素子の発光領域に対する前記法線方向を0度(正面)とし、輝度を複数回測定し平均して正面輝度(cd/m)とする。
光束発散度(lm/m)は、市販の積分球付きの全光束測定機器によって単位面積当たりの全光束を測定する。例えば、φ250mmの積分球を用いて一定電流における光束を測定する。機器としては、コニカミノルタ(株)製積分球システムISP500等を用いることができる。
本発明では、有機EL素子の前記正面輝度が1000±300cd/mのときの光束発散度を測定し、当該正面輝度で除した値が、1.5〜3.2(lm/cd)の範囲内にあることが特徴であり、当該範囲内に調整する方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。
好ましい方法としては、有機EL素子の前記第1電極層と隣接する有機機能層との界面と、前記第2電極層と隣接する有機機能層との界面との距離を調整することにより、有機EL素子の配光特性が上記数値範囲となるように調整する方法である。有機EL素子においては、発光層で生じた光を取り出す際、発光層から第1電極層を通じて直接取り出される光と、第1電極層と対極に位置する第2電極層で反射されてから取り出される光とが、干渉を起こすことが知られている。したがって、有機EL素子を構成する各有機機能層の層厚を調整することで、発光層における発光点から第1電極層との界面又は第2電極層との界面までの距離を種々変更することができ、有機EL素子の配光特性を調整することが可能となる。
有機EL素子の配光特性を上記数値範囲とするための各層の層厚は、従来公知の光取出し計算ソフトを用いて導出することができる。そのような光取出し計算ソフトとしては、例えば、setfos(登録商標)(Fluxim AG社製)を用いることができる。
有機EL素子の配光特性を上記数値範囲とするための各有機層の具体的な層厚は、各有機機能層を構成する材料等により種々変動するものであり、特に限定されるものではないが、好ましい一例について以下に示す。
例えば、図1に示すような第1電極層101と第2電極層102との間に、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、電子輸送層及び電子注入層からなる場合、各層厚として、正孔注入層は3〜15nmの範囲、正孔輸送層は50〜80nmの範囲、電子阻止層は5〜20nmの範囲、発光層は10〜40nmの範囲、電子輸送層は25〜40nmの範囲、及び電子注入層は1.5nm程度で設計し、総層厚、すなわち前記第1電極層と隣接する有機機能層との界面と、前記第2電極層と隣接する有機機能層との界面との距離を100〜150nmの範囲内にすることにより、正面輝度が1000±300cd/mのときの光束発散度を正面輝度で除した値が、1.5〜3.2(lm/cd)の範囲内に調整することができる。前記第1電極層及び第2電極層と隣接する有機機能層との界面との距離は、115〜140nmであることが好ましい。
〔有機エレクトロルミネッセンス素子の構成〕
以下に、本発明に係る有機EL素子の構成の代表例及び詳細を説明する。
(i)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔注入輸送層/発光層/正孔阻止層/電子注入輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔注入輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子注入輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(v)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(vi)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
更に、発光層間には非発光性の中間層を有していてもよい。
本発明に適用可能な有機EL素子の概要については、例えば、特開2013−157634号公報、特開2013−168552号公報、特開2013−177361号公報、特開2013−187211号公報、特開2013−191644号公報、特開2013−191804号公報、特開2013−225678号公報、特開2013−235994号公報、特開2013−243234号公報、特開2013−243236号公報、特開2013−242366号公報、特開2013−243371号公報、特開2013−245179号公報、特開2014−003249号公報、特開2014−003299号公報、特開2014−013910号公報、特開2014−017493号公報、特開2014−017494号公報等に記載されている構成を挙げることができる。
更に、有機EL素子を構成する各層について説明する。
〔透明基板〕
本発明に係る有機EL素子に適用可能な透明基板としては、例えば、ガラス、プラスチック等の透明材料を挙げることができる。好ましく用いられる透明な透明基板としては、ガラス、石英、樹脂フィルムを挙げることができる。
ガラス材料としては、例えば、シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、隣接する層との密着性、耐久性、平滑性の観点から、必要に応じて、研磨等の物理的処理、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜を形成することができる。
樹脂フィルムを構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類及びそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル及びポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)及びアペル(商品名三井化学社製)等のシクロオレフィン系樹脂等を挙げることができる。
有機EL素子においては、上記説明した透明基板上に、必要に応じて、ガスバリアー層を設ける構成であってもよい。
ガスバリアー層を形成する材料としては、水分や酸素など、有機EL素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素などの無機物を用いることができる。更に、ガスバリアー層の脆弱性を改良するため、これら無機層と有機材料からなる有機層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
また、ガスバリアー層のガスバリアー性は、基材上に当該ガスバリアー層を形成させた積層体で算出した際、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3cm/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%)が、1×10−3g/(m・24h)以下の高ガスバリアー性であることが好ましい。
〔第1電極層〕
本発明の有機EL素子を構成する第1電極層は陽極(アノード)として作用することが好ましく、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。
具体的には、Ag、Au等の金属又は金属を主成分とする合金、CuI、又はインジウム−スズの複合酸化物(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、SnO及びZnO等の金属酸化物を挙げることができるが、金属又は金属を主成分とする合金であることが好ましく、更に好ましくは、銀又は銀を主成分とする合金である。
第1電極層を、透明薄膜電極にするために、銀を主成分として構成する場合、銀の純度としては、99%以上であることが好ましい。また、銀の安定性を確保するためにパラジウム(Pd)、銅(Cu)及び金(Au)等が添加されていてもよい。
第1電極層は銀を主成分として構成されている層とした場合、具体的には、銀単独で形成しても、又は銀(Ag)を含有する合金から構成されていてもよい。そのような合金としては、例えば、銀・マグネシウム(Ag・Mg)、銀・銅(Ag・Cu)、銀・パラジウム(Ag・Pd)、銀・パラジウム・銅(Ag・Pd・Cu)、銀・インジウム(Ag・In)などが挙げられる。
上記第1電極層を構成する各構成材料の中でも、本発明の有機EL素子を構成する第1電極層としては、銀を主成分として構成し、厚さが2〜20nmの範囲内にある透明電極であることが好ましいが、更に好ましくは厚さが4〜12nmの範囲内である。厚さが20nm以下であれば、透明電極の吸収成分及び反射成分が低く抑えられ、高い光透過率が維持され、正面輝度が向上するため好ましい。
本発明でいう銀を主成分として構成されている層とは、透明電極中の銀の含有量が60質量%以上であることをいい、好ましくは銀の含有量が80質量%以上であり、より好ましくは銀の含有量が90質量%以上であり、特に好ましくは銀の含有量が98質量%以上である。また、本発明に係る第1電極層でいう「透明」とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
第1電極層においては、銀を主成分として構成されている層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。
また、本発明においては、第1電極層が、銀を主成分として構成する透明電極である場合には、形成する透明電極の銀膜の均一性を高める観点から、その下部に、有機化合物層101aを設けることが好ましい。有機化合物層としては、特に制限はないが、窒素原子又は硫黄原子を有する有機化合物を含有する層であることが好ましく、当該有機化合物層上に電極層101bを設け、第1電極層101を形成する方法が好ましい態様である。
さらに、前記有機化合物層が含有する有機化合物が、芳香族性に関与しない有効非共有電子対を持つ窒素原子を有する化合物であることが好ましい。
本発明においては、銀を主成分とする第1電極層とする際に、その下部に窒素原子又は硫黄原子を有する有機化合物を含有する有機化合物層を設けることにより、銀原子と、有機化合物層が含有している有機化合物の窒素原子又は硫黄原子とが相互作用し、その結果、銀原子の有機化合物層表面上における拡散距離が減少し、銀の凝集体の生成を抑制することができ、高い均一性を有する透光性電極膜を形成することができる。
一般的には銀原子は、核成長型(Volumer−Weber:VW型)での膜成長により島状に孤立しやすいが、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって成膜されるようになる。したがって、薄い膜厚でありながらも、均一な膜厚の透光性第1電極層が得られるようになる。また、第1電極層は、有機化合物層上に形成されることにより、形成後の高温アニール処理(例えば、150℃以上の加熱プロセス)等がなくても十分に導電性を有することができる。
本発明においては、少なくとも窒素原子又は硫黄原子を有する有機化合物としては、特に制限はないが、例えば、国際公開第2013/105569号、国際公開第2013/141097号、国際公開第2013/161750号に記載の化合物を挙げることができる。
第1電極層の形成方法としては、例えば、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタリング法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられるが、蒸着法により形成することが好ましい。
蒸着法としては、主には、真空蒸着法が用いられ、真空蒸着装置内の蒸着用の抵抗加熱ボートに、透明陽極の構成材料である銀や、必要に応じてその他の合金を充填する。この蒸着用の抵抗加熱ボートは、モリブデン製又はタングステン製材料で作製されたものが用いられている。透明陽極形成時には、真空蒸着装置内の真空度を、例えば、1×10−2〜1×10−6Paの範囲内まで減圧した後、銀等の透明陽極形成用材料の入った上記蒸着用の抵抗加熱ボートに通電して加熱し、所定の蒸着速度(nm/秒)で、樹脂基材上又は下地層上に、銀薄膜を蒸着して、厚さ2〜20nmの範囲内にある透明陽極を形成する。
以上の構成によって、第1電極層は、導電性の向上と光透過性の向上との両立を図ることが可能になる。
〔有機機能層〕
有機EL素子を構成する各種機能層について、発光層、電荷注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び阻止層の順に説明する。
(発光層)
本発明に係る有機EL素子は、特に限定されるものではないが、イルミネーション用途やインジケーション用途に用いる場合には、発光色は赤色であることが好ましく、発光材料の選択により、正面輝度L1が1000cd/mであるときの正面の色度が、CIE−xy色度図において0.29≦y≦0.335、y+x≧0.98であることが好ましい。これにより、赤色の発光光を得ることができる。
又は、本発明においては、前記正面輝度L1が1000cd/mであるときの正面の色度が、CIE−xy色度図においてy≧0.39、y≧0.79−0.67x、y≧x−0.120であることが好ましい。これにより、アンバー色の発光光を得ることができる。
上記色度は、例えば、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて、有機EL素子に対し所定値の電流密度を与え、正面輝度L1が1000cd/mであるときの色度を測定することで得られる。
有機EL素子を構成する発光層は、発光材料としてリン光発光性化合物が含有されている構成が好ましい。
この発光層は、電極又は電子輸送層から注入された電子と、正孔輸送層から注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接する層との界面であってもよい。
このような発光層としては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。この場合、各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。
発光層の厚さの総和は、1〜100nmの範囲内にあることが好ましく、より低い駆動電圧を得ることができることから1〜40nmの範囲内がさらに好ましく、10〜40nmの範囲が特に好ましい。なお、発光層の厚さの総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む厚さである。
以上のような発光層は、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(ラングミュア・ブロジェット、Langmuir Blodgett法)及びインクジェット法等の公知の方法により形成することができる。
また発光層は、複数の発光材料を混合してもよく、リン光発光材料と蛍光発光材料(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう。)を同一発光層中に混合して用いてもよい。発光層の構成としては、ホスト化合物(発光ホスト等ともいう。)及び発光材料(発光ドーパントともいう。)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
〈ホスト化合物〉
発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらにリン光量子収率が0.01未満であることが好ましい。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、又は、複数種のホスト化合物を用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機電界発光素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
発光層に用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
本発明に適用可能なホスト化合物としては、例えば、特開2001−257076号公報、同2001−357977号公報、同2002−8860号公報、同2002−43056号公報、同2002−105445号公報、同2002−352957号公報、同2002−231453号公報、同2002−234888号公報、同2002−260861号公報、同2002−305083号公報、米国特許公開第2005/0112407号明細書、米国特許公開第2009/0030202号明細書、国際公開第2001/039234号、国際公開第2008/056746号、国際公開第2005/089025号、国際公開第2007/063754号、国際公開第2005/030900号、国際公開第2009/086028号、国際公開第2012/023947号、特開2007−254297号公報、欧州特許第2034538号明細書等に記載されている化合物を挙げることができる。
〈発光材料〉
本発明で用いることのできる発光材料としては、リン光発光性化合物(リン光性化合物、リン光発光材料又はリン光発光ドーパントともいう。)及び蛍光発光性化合物(蛍光性化合物又は蛍光発光材料ともいう。)が挙げられる。
〈リン光発光性化合物〉
リン光発光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は、種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明においてリン光発光性化合物を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて、上記リン光量子収率として0.01以上が達成されればよい。
リン光発光性化合物は、一般的な有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、白金化合物(白金錯体系化合物)又は希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明においては、少なくとも一つの発光層が、2種以上のリン光発光性化合物が含有されていてもよく、発光層におけるリン光発光性化合物の濃度比が発光層の厚さ方向で変化している態様であってもよい。
本発明に使用できる公知のリン光発光性化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物等が挙げられる。
Nature 395,151(1998)、Appl.Phys.Lett.78,1622(2001)、Adv.Mater.19,739(2007)、Chem.Mater.17,3532(2005)、Adv.Mater.17,1059(2005)、国際公開第2009/100991号、国際公開第2008/101842号、国際公開第2003/040257号、米国特許公開第2006/835469号明細書、米国特許公開第2006/0202194号明細書、米国特許公開第2007/0087321号明細書、米国特許公開第2005/0244673号明細書等に記載の化合物を挙げることができる。
また、Inorg.Chem.40,1704(2001)、Chem.Mater.16,2480(2004)、Adv.Mater.16,2003(2004)、Angew.Chem.lnt.Ed.2006,45,7800、Appl.Phys.Lett.86,153505(2005)、Chem.Lett.34,592(2005)、Chem.Commun.2906(2005)、Inorg.Chem.42,1248(2003)、国際公開第2009/050290号、国際公開第2009/000673号、米国特許第7332232号明細書、米国特許公開第2009/0039776号、米国特許第6687266号明細書、米国特許公開第2006/0008670号明細書、米国特許公開第2008/0015355号明細書、米国特許第7396598号明細書、米国特許公開第2003/0138657号明細書、米国特許第7090928号明細書等に記載の化合物を挙げることができる。
また、Angew.Chem.lnt.Ed.47,1(2008)、Chem.Mater.18,5119(2006)、Inorg.Chem.46,4308(2007)、Organometallics 23,3745(2004)、Appl.Phys.Lett.74,1361(1999)、国際公開第2006/056418号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2006/082742号、米国特許公開第2005/0260441号明細書、米国特許第7534505号明細書、米国特許公開第2007/0190359号明細書、米国特許第7338722号明細書、米国特許第7279704号明細書、米国特許公開第2006/103874号明細書等に記載の化合物も挙げることができる。
さらには、国際公開第2005/076380号、国際公開第2008/140115号、国際公開第2011/134013号、国際公開第2010/086089号、国際公開第2012/020327号、国際公開第2011/051404号、国際公開第2011/073149号、特開2009−114086号公報、特開2003−81988号公報、特開2002−363552号公報等に記載の化合物も挙げることができる。
本発明においては、好ましいリン光発光性化合物としてはIrを中心金属に有する有機金属錯体が挙げられる。さらに好ましくは、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含む錯体が好ましい。
リン光発光性化合物(リン光発光性金属錯体ともいう)としては、例えば、Organic Letter誌、vol3、No.16、2579〜2581頁(2001)、Inorg.Chem.第30巻、第8号、1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻、第7号、1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻、第12号、3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry 第26巻、1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻、695〜709頁(2004年)、さらにこれらの文献中に記載されている参考文献等に開示されている方法を適用することにより合成することができる。
〈蛍光発光性化合物〉
蛍光発光性化合物としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素及び希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
(電荷注入層)
電荷注入層は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、電極と発光層の間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)にその詳細が記載されており、正孔注入層と電子注入層とがある。
電荷注入層としては、一般には、正孔注入層であれば、陽極と発光層又は正孔輸送層との間、電子注入層であれば陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させることができるが、本発明においては、電極に隣接して電荷注入層を配置させることが好ましい。
〈正孔注入層〉
正孔注入層は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、第1電極層である陽極に隣接して配置されるで層であり、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、正孔注入層に用いられる材料としては、例えば、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、イソインドール誘導体、アントラセンやナフタレン等のアセン系誘導体、フルオレン誘導体、フルオレノン誘導体、及びポリビニルカルバゾール、芳香族アミンを主鎖又は側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー、ポリシラン、導電性ポリマー又はオリゴマー(例えば、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン):PSS(ポリスチレンスルホン酸)、アニリン系共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン等)等が挙げられる。
トリアリールアミン誘導体としては、α−NPD(4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル)に代表されるベンジジン型や、MTDATA(4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン)に代表されるスターバースト型、トリアリールアミン連結コア部にフルオレンやアントラセンを有する化合物等が挙げられる。
また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体も同様に正孔輸送材料として用いることができる。
〈電子注入層〉
電子注入層は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、陰極と発光層との間に設けられる層のことであり、第2電極層が陰極である場合には、当該電極層に隣接して設けられ、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、電子注入層に好ましく用いられる材料の具体例としては、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等に代表されるアルカリ金属化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等に代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデン、酸化アルミニウム等に代表される金属酸化物、リチウム8−ヒドロキシキノレート(Liq)等に代表される金属錯体等が挙げられる。また、本発明における第2電極層が陰極の場合は、金属錯体等の有機材料が特に好適に用いられる。電子注入層はごく薄い膜であることが望ましく、構成材料にもよるが、その層厚は1nm〜10μmの範囲が好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層及び電子阻止層も正孔輸送層の機能を有する。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー及びチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物を用いることができ、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(略称:TPD)、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン及びN−フェニルカルバゾール等が挙げられる。
正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法及びLB法(ラングミュア・ブロジェット、Langmuir Blodgett法)等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲である。この正孔輸送層は、上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
また、正孔輸送層の材料に不純物をドープすることにより、p性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報及びJ.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このように、正孔輸送層のp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する材料から構成され、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は、単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
単層構造の電子輸送層及び積層構造の電子輸送層において、発光層に隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる。)としては、カソードより注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。このような材料としては、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層の材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した高分子材料又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(略称:Znq)等及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層の材料として用いることができる。
電子輸送層は、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法及びLB法等の公知の方法により、薄膜化することで形成することができる。電子輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる単一構造であってもよい。
(阻止層)
阻止層としては、正孔阻止層及び電子阻止層が挙げられ、上記説明した有機層3の各構成層の他に、必要に応じて設けられる層である。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層等を挙げることができる。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層の機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ、電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に適用する正孔阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜30nmの範囲である。
〔第2電極層〕
第2電極層は、第1電極層が陽極(アノード)の場合は、陰極(カソード)として機能する電極であり、有機層に正孔を供給するために機能する電極膜であり、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。具体的には、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
前記第1電極層を透明電極として形成する場合は、第2電極層は光反射性の金属を用いて形成されることが好ましい。上記金属の中でも、金、アルミニウム、銀、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物であることがより好ましい。
第2電極層は、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させて作製することができる。また、第2電極層としてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常5nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で選ばれる。
〔封止部材〕
有機EL素子を封止するのに用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と、第2電極層及び透明基板とを後述する樹脂接着層を形成して接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また、透明性を有する場合は、波長550nmでの光透過率が50%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上である。
具体的には、ガラス板、ポリマー板、ポリマーフィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子を透明で薄膜化することできる観点から、ガラス及びポリマーフィルムを好ましく使用することができる。さらに、ポリマーフィルムは、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された温度25±0.5℃、相対湿度90±2%RHにおける水蒸気透過度が、1×10−3g/m・24h以下であることが好ましく、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3mL/m・24h・atm(1atmは、1.01325×10Paである)以下であって、温度25±0.5℃、相対湿度90±2%RHにおける水蒸気透過度が、1×10−3g/m・24h以下であることが好ましい。
封止部材と有機EL素子の表示領域(発光領域)との間隙には、気相及び液相では窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙を真空とすることや、間隙に吸湿性化合物を封入することもできる。
〔有機EL素子の製造方法〕
有機EL素子の製造方法としては、透明基板上に、第1電極層、一つ又は複数の有機機能層及び第2電極層を積層して積層体を形成する。
まず、透明基板を準備し、該透明基板上に、所望の電極物質、例えば、第1電極層用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは5〜20nm、好ましくは10〜15nmの範囲内の膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、第1電極層を形成する。同時に、第1電極層端部に、外部電源と接続する部分を形成する。
次に、この上に、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、電子輸送層、電子注入層等を含む有機機能層を順に積層する。
これらの各層の形成は、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な層が得られやすく、かつ、ピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。更に、層ごとに異なる形成法を適用しても良い。これらの各層の形成に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10−6〜1×10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層厚0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが望ましい。
以上のようにして有機機能層を形成した後、この上部に第2電極層を蒸着法やスパッタリング法などの適宜の形成法によって形成する。この際、陰極は、有機機能層によって第1電極層に対して絶縁状態を保ちつつ、有機機能層の上方から透明基板の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成することが好ましい。
第2電極層の形成後、これら透明基板、第1電極層、有機機能層及び第2電極層を封止部材で封止する。すなわち、陽極及び陰極の端子部分を露出させた状態で、透明基板上に、少なくとも有機層を覆う封止部材を設ける。
〔有機EL素子のその他の層〕
(無機絶縁層)
第2電極層の絶縁及び有機機能層への水蒸気の浸入を防止するために、無機絶縁層を第2電極層上に設けることが好ましい。
無機絶縁層は、無機材料被膜だけでなく、有機材料との複合材料からなる被膜、又は、これらの被膜を積層したハイブリッド被膜であっても良い。無機絶縁層の性能としては、水蒸気透過度(環境条件:25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が約0.01g/[m・day・atm]以下、酸素透過度が約0.01cm/[m・day・atm]以下、抵抗率が1×1012Ω・cm以上、光線透過率は可視光領域で約80%以上であるような、ガスバリアー性を有する透明絶縁膜であることが好ましい。より好ましくは、酸素透過度が0.0001cm/[m・day・atm]以下の値であり、かつ、水蒸気透過度が約0.0001g/[m・day・atm]以下の値となるようなハイガスバリアー性の多層膜で構成することが特に好ましい。なお、本明細書でいう「水蒸気透過度」は、JIS(日本工業規格)−K7129(1992年)に準拠した赤外センサー法により測定された値であり、「酸素透過度」は、JIS−K7126(1987年)に準拠したクーロメトリック法により測定された値である。
無機絶縁層の材料としては、例えば、水や酸素等、有機EL素子1の劣化をもたらすものの浸入を抑制できる材料であれば良く、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化モリブデン等の無機材料を用いることができる。更に、無機絶縁層22の脆弱性を改良するため、これら無機材料と有機材料との複合材料からなる層、又は、これら無機材料層に有機材料層を積層した構造とすることが好ましい。無機材料層と有機材料層からなる構造である場合、無機材料層と有機材料層の積層順序は任意であり、両者が交互に複数積層されて構成されていても良いが、無機絶縁層の最表面は無機材料層とすることが絶縁性やガスバリアー性の観点から好ましい。無機絶縁層の層厚は、上記性能を満たせば任意で設定できるが、素子の可撓性を考慮して、総厚で50〜1000nmの範囲内が好ましい。
また、無機絶縁層の形成方法としては、無機絶縁層を第2電極層上に形成できれば、いずれの形成方法であっても良い。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法(特開2004−68143号公報参照)、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、レーザーCVD法、熱CVD法、ALD(原子層堆積)法、湿式塗布等の方法を用いることができる。
(樹脂接着層)
樹脂接着層の材料としては、例えば、アクリル酸系オリゴマー又はメタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化性又は熱硬化性接着剤等が挙げられる。また、樹脂接着層の材料としては、例えば、エポキシ系等の熱硬化性又は化学硬化性(二液混合)接着剤、ホットメルト型材料(例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン)、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤等が用いられる。
本発明では、製造プロセス簡略化の観点から、樹脂接着層を熱硬化性接着剤で形成することが好ましい。また、樹脂接着層の形態としては、シート状に加工された熱硬化性接着剤を用いることが好ましい。シート状タイプの熱硬化性接着剤を用いる場合には、常温(25℃程度)では非流動性を示し、50〜120℃の温度範囲内では流動性を発現するものが好ましい。
樹脂接着層の材料として用いられる熱硬化性接着剤としては、任意の接着剤を使用することができ、樹脂接着層と隣接する無機絶縁層等との密着性や、製造プロセスにおける貼り合わせ方法及び硬化方法等を考慮して、適宜好適な熱硬化性接着剤が選択される。例えば、分子の末端又は側鎖にエチレン性二重結合を有する化合物と、熱重合開始剤とを主成分とする樹脂等を用いることができ、より具体的には、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等からなる熱硬化性接着剤を使用することができる。
また、樹脂接着層の含水率は、有機EL素子の長寿命化等を考慮して、約1.0%以下の値とすることが好ましい。なお、ここでいう含水率は、ASTM(米国材料試験協会)−D570に準拠した手法で測定された値である。
〔その他の構成要素〕
(取出し電極)
取出し電極は、第1電極層、透光性中間電極及び透光性第2電極層と外部電源とを電気的に接続するものであって、その材料としては特に限定されるものではなく公知の素材を好適に使用できるが、例えば、3層構造からなるMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等の金属膜を用いることができる。
取出し電極の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法などが挙げられるが、スパッタリング法であることが生産効率上好ましい。
(補助電極)
補助電極は、透光性電極の抵抗を下げる目的で設けるものであって、第1電極層に接して設けられる。補助電極を形成する材料は、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗が低い金属が好ましい。これらの金属は光透過性が低いため、光取出し面からの発光光hの取出しの影響のない範囲でパターン形成される。このような補助電極の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法などが挙げられる。補助電極の線幅は、光を取り出す開口率の観点から50μm以下であることが好ましく、補助電極の厚さは、導電性の観点から1μm以上であることが好ましい。
(保護膜、保護板)
保護膜若しくは保護板は、有機EL素子を機械的に保護するためのものであり、特に封止部材が封止膜である場合には、有機EL素子に対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護膜若しくは保護板を設けることが好ましい。
以上のような保護膜若しくは保護板は、ガラス板、ポリマー板、これよりも薄型のポリマーフィルム、金属板、これよりも薄型の金属フィルム、又はポリマー材料膜や金属材料膜が適用される。このうち特に、透光性に有利であり、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
(ハードコート層)
前記透明基板又は封止部材の外側に、素子の機械的強度を高めるために、ハードコート層を設けてもよい。
ハードコート層は、好ましくは硬化性樹脂を含む。硬化性樹脂としては特に制限されず、活性エネルギー線硬化性材料等に対して紫外線等の活性エネルギー線を照射し硬化させて得られる活性エネルギー線硬化性樹脂や、熱硬化性材料を加熱することにより硬化して得られる熱硬化性樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂は、単独でも、又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
ハードコート層の形成に用いられる活性エネルギー線硬化性材料として、具体的には、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR(登録商標)シリーズ(シリカ微粒子に重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる化合物)を用いることができる。また、熱硬化性材料として、具体的には、クラリアント社製のトゥットプロムシリーズ(有機ポリシラザン)、セラミックコート株式会社製のSP COAT耐熱クリアー塗料、(株)ADEKA製のナノハイブリッドシリコーン、DIC株式会社製のユニディック(登録商標)V−8000シリーズ、EPICLON(登録商標) EXA−4710(超高耐熱性エポキシ樹脂)、信越化学工業株式会社製のシリコーン樹脂 X−12−2400(商品名)、日東紡績株式会社製の無機・有機ナノコンポジット材料SSGコート、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミドアミン−エピクロルヒドリン樹脂等が挙げられる。
ハードコート層の層厚は0.1〜10μm程度の厚さであることが好ましく、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、又は米国特許第2761419号明細書、米国特許第2761791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法等の湿式塗布方式で形成することが好ましい。
(紫外線遮蔽層)
本発明に係る有機機能層を紫外線から保護するために、紫外線遮蔽層を前記透明基板又は封止部材の外側に設けることが好ましい。
紫外線遮蔽層は、バインダー樹脂に紫外線吸収剤を分散又は溶解して含有する層であることが好ましく、光波長200〜350nmの範囲の光を吸収して遮蔽する機能を有する。
紫外線吸収剤としては、無機系紫外線吸収剤として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄等が挙げられる。また、有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系等が挙げられる。
無機系紫外線吸収剤として、酸化チタン又は酸化亜鉛を用いることが好ましく、平均粒径が5〜50nmの範囲内である微粒子酸化チタン又は微粒子酸化亜鉛を用いることが、機能性シートに高い透過率を付与する観点から好ましい。
前記微粒子酸化チタン又は微粒子酸化亜鉛としては、市販品の例として、石原産業(株)製微粒子酸化チタンTTOシリーズ(TTO−51シリーズ、TTO−55シリーズ、TTO−Fシリーズ、TTO−W−5等)、及びシーアイ化成(株)製超微粒子ZnO含有紫外線カットマスターペレット等が挙げられる。
有機系紫外線吸収剤であるベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサルチレート、2−4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。ヒンダードアミン系紫外線吸収剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線遮蔽層の全質量に対し、0.1〜20質量%の範囲内、好ましくは1〜15質量%の範囲内、より好ましくは3〜10質量%の範囲内である。使用量をこれらの範囲内にすることで、他の構成層との密着性を良好に保ちつつ、耐候性を向上させることが可能となる。
紫外線遮蔽層の形成に用いる湿式塗布方式としては、特に制限されず、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、又は米国特許第2761419号明細書、米国特許第2761791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法などを適宜用いることができる。
また、紫外線遮蔽層として市販の紫外線吸収性を有する樹脂フィルムを用いることも好ましく、例えば、帝人デュポンフィルム株式会社製PETフィルム(商品名テオネックスHB)、PENフィルム(商品名テオネックスQ65H又は65HA)等が挙げられる。
(集光シート)
本発明に係る有機EL素子は、光取出し側に、例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設ける加工や、いわゆる集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を二次元に配列する。一辺は10〜100μmの範囲内が好ましい。この範囲内とすることで、厚さが厚すぎることなく、回折の効果により色付くこともないため好ましい。
集光シートとしては、例えば液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)などを用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、有機EL素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)などを用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
実施例1
<有機EL素子101の作製>
下記の方法に従って、図1に記載の構成の有機EL素子101を作製した。
(第1電極層の形成)
透明なガラス製の基板(30mm×300mm)の上に厚さ150nmとなる条件でITO(In:SnO=90:10(質量%比))をスパッタリング法で成膜した後、パターニングを行い、ITO層から成る第1電極層(陽極)を形成した。次いで、ITO層を設けた基板を、イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
(有機機能層の形成)
上記作製したガラス基板の第1電極層上に、下記に示す手順に従って、有機EL素子を作製した。なお、ガラス基板は、露点−80℃以下、酸素濃度1ppm以下のグローブボックスにおいて乾燥させた後、グローブボックスから大気に晒すことなく、有機機能層を形成する真空蒸着装置内に移送した。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を、各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
続いて、真空蒸着装置のチャンバーを真空度1×10−4Paにまで減圧し、下記化学式で表される化合物M−1(MTDATA)を、蒸着速度0.1nm/秒で第1電極層上に蒸着し、層厚15nmの正孔注入層(表中、HILと表記、以下同)を形成した。
Figure 2019194937
次いで、下記化学式で表される化合物M−2(α−NPD)を、正孔注入層上に蒸着し、層厚30nmの正孔輸送層(HTL)を形成した。
Figure 2019194937
この上に、電子阻止層(EBL)として、N,N′−ビス−(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−1,1′−ビフェニル−4,4′−ジアミン(NPB)を5nmの厚さに蒸着した。
次いで、下記化学式で表される化合物H−2の入った加熱ボートと、下記化学式で表される化合物RD−1の入った加熱ボートをそれぞれ独立に通電して、発光ホストであるH−2と発光ドーパントであるRD−1の蒸着速度(nm/秒)が100:6になるように調節し、膜厚20nmの赤色を呈するリン光発光層(EML)を形成した。発光層の大きさは17mm×17mmとした。
Figure 2019194937
その後、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq3)の入った前記加熱ボートを通電して加熱し蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚25nmの電子輸送(ETL)層を形成した。
更に、LiFを蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚1nmの電子注入層(EIL)を形成した。
(第2電極層の形成)
次に、アルミニウムを厚さ70nmで蒸着して第2電極層(陰極;反射電極、光不透過性)を形成した。
(取出し電極の形成)
作製した素子の第1電極層及び第2電極層の引出し部分に対し、第1取出し電極部として、MAM(Moモリブデン/Alアルミニウム/Moモリブデン)を150nmの厚さにて形成して接続した後に、第2取出し電極部として、MAM(Moモリブデン/Alアルミニウム/Moモリブデン)を断面形状が台形状になるように形成して接続した。
(素子の封止)
最後に、上記で得られた素子をガラスケースで覆い、厚さ300μmのガラス基板を封止部材として用い、周囲にシール材としてエポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、第2取出し電極部及び素子の基板とを密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化・封止して、有機EL素子101を得た。
<有機EL素子102〜110の作製>
有機EL素子101の作製において、有機機能層の層厚を表1に記載のように変化させた以外は同様にして、有機EL素子102〜110を作製した。
≪評価≫
(1)光束発散度を正面輝度で除した値の測定
作製した有機EL素子101〜110の正面輝度の評価、及び光束発散度を正面輝度で除した値を、下記手順にて求めた。
(正面輝度及び光束発散度の測定)
有機EL素子を25±2℃の環境下で、自動的に回転させる回転ステージにセットし、分光放射輝度計(コニカミノルタ社製、CS−2000)を用いて光量分布及びスペクトルを測定することにより輝度を求めた。当該測定においては、有機EL素子に一定の電流量(5mA/cm)を流し発光させながら、有機EL素子の発光領域に対する法線方向を0度(正面)とし、正面輝度(cd/m)とした。
次いで、有機EL素子の前記正面輝度が1000±300cd/mのときの光束発散度(lm/m)の値を、コニカミノルタ(株)製積分球システムISP500等を用いて、測定した。得られた光束発散度の値から、当該光束発散度を前記正面輝度で除した値(lm/cd)を求めた。
(2)正面輝度(相対値)の評価
(1)で求めた有機EL素子101の正面輝度を100としたときの、有機EL素子102〜108の正面輝度の相対値を算出した。
Figure 2019194937
表1から、本発明の有機EL素子102〜108は、有機機能層の合計層厚及び光束発散度/正面輝度が本発明で規定する範囲内であることにより、正面輝度が比較例に対して高く、正面集光型であることが分かる。
また、有機機能層の各層厚が変化しても、いずれも高い正面輝度を有していることから、製造段階でのロバストネスにも優れていることが分かる。
実施例2
<有機EL素子201の作製>
(ガスバリアー層付フレキシブル基材の準備)
フレキシブル基板として、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製フィルム、以下、PENと略記する。)を用い、基板の表面上(第1電極層を形成する面側)に、下記の手順にてガスバリアー層を形成し、ガスバリアー層付フレキシブル基板を作製した。
放電プラズマ化学気相成長装置(アプライドマテリアルズ社製プラズマCVD装置 Precision5000)に、樹脂基材をセットし、ロールtoロールで連続搬送させた。次に、成膜ローラー間に磁場を印加するとともに、各成膜ローラーに電力を供給して、成膜ローラー間にプラズマを発生させ、放電領域を形成した。次に、形成した放電領域に、成膜ガスとして、原料ガスであるヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と反応ガスである酸素ガス(放電ガスとしても機能する)の混合ガスを、ガス供給管から供給し、下記条件にて、層厚120nmのガスバリアー層を成膜した。
(成膜条件)
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン、HMDSO)の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
反応ガス(O)の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
フィルムの搬送速度:0.8m/min
(高屈折率層及び有機化合物層の形成)
ガスバリアー層を形成したフレキシブル基板を市販の電子ビーム蒸着装置の基材ホルダーに固定し、酸化ニオブ(Nb)を加熱ボートに入れ、これら基板ホルダー及び加熱ボートを電子ビーム蒸着装置の真空槽に取り付けた。
次に、電子ビーム蒸着装置の真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、酸化ニオブ(Nb)の入った加熱ボートに電子ビームを照射して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒でフレキシブル基板上に厚さ30nmのNbからなる高屈折率層を設けた。そして、フレキシブル基板を大気に曝露することなく、プラズマ処理用チャンバーから、真空蒸着装置の真空槽に移送した。
次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、窒素含有化合物である下記化合物1の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒で層厚が15nmの有機化合物層を形成した。
Figure 2019194937
(第1電極層の形成)
ガスバリアー層を形成したフレキシブル基板を真空槽に装着し、4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒で膜厚13nmの銀からなる第1電極層を形成した。
次いで、実施例1の有機EL素子101と同様にして正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、電子輸送層及び電子注入層を形成した。
(第2電極層の形成)
次に、アルミニウムを厚さ70nmで蒸着して第2電極層(陰極;反射電極、光不透過性)を形成した。
(取出し電極の形成)
作製した素子の第1電極層及び第2電極層の引出し部分に対し、第1取出し電極部として、MAM(Moモリブデン/Alアルミニウム/Moモリブデン)を150nmの厚さにて形成して接続した後に、第2取出し電極部として、MAM(Moモリブデン/Alアルミニウム/Moモリブデン)を断面形状が台形状になるように形成して接続した。
(無機絶縁層の形成)
作製した第2電極層上に、真空下、SiHガス、Nガス、Hガスを用いたプラズマCVD法により、SiNからなる300nmの無機絶縁層を形成した。
(素子の封止)
次のようにして、形成した第1電極層及び第2電極層までを被覆するように封止フィルムを封止部材として貼り合わせて封止した。
厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板に接着剤を塗布して、120℃で2分間乾燥し、厚さ20μmの接着層を形成した。この接着層に、厚さ100μmのアルミニウム箔を貼り合わせた、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートを貼り合わせて、封止フィルムとした。この封止フィルムを、窒素雰囲気下に24時間以上放置した後、剥離シートを除去し、80℃に加熱した真空ラミネーターにより、上記陰極を被覆するように貼り合わせた。更に、120℃で30分間加熱して封止した。このようにして、13mm×13mmの発光領域を有する有機EL素子201を作製した。
<有機EL素子202〜209の作製>
有機EL素子201の作製において、有機機能層の層厚を表2に記載のように変化させた以外は同様にして、有機EL素子202〜209を作製した。
≪評価≫
実施例1と同様にして、(1)光束発散度を正面輝度で除した値の測定、(2)正面輝度(相対値)の評価を行い、結果を表2に示した。
Figure 2019194937
表2から、本発明の有機EL素子202〜207は、実施例1を再現し、有機機能層の合計層厚及び光束発散度/正面輝度が本発明で規定する範囲内であることにより、正面輝度が比較例に対して高く、正面集光型であることが分かる。
また、有機機能層の各層厚が変化しても、いずれも高い正面輝度を有していることから、製造段階でのロバストネスにも優れていることが分かる。
さらに基材及び封止材にガスバリアー性樹脂フィルムを使用していることから、フレキシブルな有機EL素子を実現することができた。
実施例3
<有機EL素子301の作製>
実施例2の有機EL素子205の作製において、第1電極層の層厚を18nmとし、15mm×16mmの発光領域とした以外は同様にして、有機EL素子301を作製した。
<有機EL素子302の作製>
有機EL素子301の作製において、第1電極層の層厚を9nmとした以外は同様にして、有機EL素子302を作製した。
<有機EL素子303〜305の作製>
有機EL素子301の作製において、第1電極層、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層の各層厚を表3に記載のように変化させた以外は同様にして、有機EL素子303〜305を作製した。
≪評価≫
実施例1と同様にして、(1)光束発散度を正面輝度で除した値の測定、(2)正面輝度(相対値)の評価を行い、加えて下記条件で保存性を行い、結果を表3に示した。
(3)保存性
作製した有機EL素子を、100枚を85℃・湿度成行きにて500時間保存し、以下の評価基準にて保存性を評価した。
○:素子100枚がすべて点灯する。
△:素子100枚のうち1枚以上が点灯しないものがある
評価結果を、表3に示す。
Figure 2019194937
表3から、本発明の有機EL素子301〜305は、実施例1及び実施例2を再現し、有機機能層の合計層厚及び光束発散度/正面輝度が本発明で規定する範囲内であることにより、正面輝度が比較例に対して高く、正面集光型であることが分かる。
また、有機機能層の各層厚が変化しても、いずれも高い正面輝度を有していることから、製造段階でのロバストネスにも優れていることが分かる。
さらに、HIL+HTL+EBLの合計層厚(nm)(a)と、ETL+EIL(b)の合計層厚(nm)(b)との比の値が、(a)/(b)が2.0〜3.0の範囲内にあることで、保存性にもより優れることが分かった。
100 有機EL素子
101 第1電極層
101a 有機化合物層
101b 金属層
102 第2電極層層
103 有機機能層
103a 正孔注入層
103b 正孔輸送層
103c 発光層
103d 電子輸送層
103e 電子注入層
104 無機絶縁層
105 封止部材
110 透明基板
h 発光光

Claims (3)

  1. 基板、第1電極層、一つ又は複数の有機機能層、及び第2電極層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記第1電極層と隣接する前記有機機能層との界面と、前記第2電極層と隣接する前記有機機能層との界面との距離を100〜150nmの範囲内にすることにより、
    正面輝度が1000±300cd/mのときの光束発散度(lm/m)を正面輝度で除した値が、1.5〜3.2(lm/cd)の範囲内に調整されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記光束発散度を正面輝度で除した値が、1.7〜2.8(lm/cd)の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記第1電極層及び前記第2電極層の少なくとも一方が、少なくとも有機化合物層と金属層の積層体からなり、当該有機化合物層を構成する有機化合物が、窒素原子、硫黄原子の少なくとも一方の原子を有し、かつ、当該金属層が銀(Ag)を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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