JP2019191990A - 維持管理支援システム及び維持管理支援方法 - Google Patents

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浩人 横井
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信幸 中村
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晴茂 斉藤
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豊 三宮
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Abstract

【課題】プラントが備える設備機器等の状態に応じたプラントの運転制御、及び不具合発生に備えた勤務シフトを実現する。【解決手段】本発明の一態様は、プロセス・品質データベースに格納された各情報と、保守点検結果データベースに格納された各情報とを用いて、設備機器及び機器グループのリスクを評価するリスク評価部と、このリスク評価部によるリスク評価結果に基づいてプラントの運転モードの判定を行う運転モード判定部と、この運転モード判定部で設定された運転モードと人材情報データベースの人材情報とから、プラントにおける作業者の勤務シフトを設定する勤務シフト設定部と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、水道施設等のプラントの維持管理業務を支援する維持管理支援システム及び維持管理支援方法に関する。
浄水場は河川水や地下水などの原水に浄水処理や消毒処理を行い、最終的に配管を経由して水道水として需要家に供給している。浄水処理施設の多くは河川水などの表流水を水源としており、原水水質は季節や天候により変化する。そのため、浄水処理の維持管理者(作業者)は原水水質に応じた運転調整を行う必要がある。浄水場等はプラントの運転・監視データに基づいて運転されるが、より合理的に24時間連続給水を実現するためにICT(Information and Communication Technology)やIoT(Internet of Things)を活用した監視制御技術や設備機器の異常診断技術が導入されてきている。しかし、異常診断は過去の不具合事象を学習することが必要であるため、過去に例のない不具合事業には人が関与する部分が残る。そのため、平常時の運転、非定常時、不具合発生時に応じた作業者の配置を適切に行うことが重要である。
一方、経営の合理化のため、上下水道に関わる熟練作業者数の減少や、設備機器の老朽化が進むと予想されている。そのため、熟練作業者が持つプラントの維持管理に係る技術の伝承、及び、設備機器の計画的な更新につながる点検保守を、日常的に考慮した運用が今後一層求められる。
これらの課題を解決する手段として、運用ノウハウの蓄積、及び、作業者の配置の適正化を目的とした方法やシステムが下記の特許文献で提案されている。
例えば、特許文献1には、上水道施設又は下水道施設の維持管理において、必要な業務内容に応じた作業計画策定とそれを実行するのに適切な作業者の配置を行うための維持管理支援システムが開示されている。特許文献1に記載の維持管理支援システムは、作業計画が表示されるとともに、その実施内容又はその結果のうちの少なくとも何れかが入力される情報端末手段と、施設・設備管理に関して作業者が実施した業務内容情報が格納される業務履歴記憶手段と、維持管理のための業務内容情報が格納される作業内容記憶手段と、少なくとも情報端末手段に入力された最新の情報と作業者の業務履歴とを用いて業務内容に応じた作業計画を策定処理する作業計画策定手段とを備え、情報ネットワーク手段を介してこれらの構成要素間で情報通信が行われている。
特許文献1の維持管理支援システムによれば、上水道・下水道の施設の維持管理に係る作業に関して、定常、非定常、緊急の各作業(計画)に合った能力の作業者を関連する施設の中から選定し、適切な場所に配置することができるとともに、作業者による維持管理ノウハウの蓄積と必要な業務の継続的な改善を行うことができるとしている。
特開2009−128918号公報
しかしながら、特許文献1に記載の維持管理支援システムでは、上水道施設の定常状態において所定の運転をすることにしている。より効率的な運転管理を実現するためには、年間の大部分を占める定常運転における適切な運用の選択及び保守業務の実施、作業者の教育の実施が必要であるが、特許文献1に記載の技術を始めとする従来の技術では改善できないという問題があった。
上下水道のプラントなどでは、十分な保守点検や運転管理と省人化とは、通常トレードオフとなる。連続供給が必要な水道事業では、水質、水量、水圧の点でサービスレベルを保つことが必要であるが、プラントの維持管理の合理化も求められている。これらを両立させるとともに具体的な勤務シフトを策定する手段及びシステムが必要とされている。
上記の状況から、プラントが備える設備機器等の状態に応じたプラントの運転制御、及びプラントの維持管理業務にかかる勤務シフトを実現する手法が要望されていた。
本発明の一態様の維持管理支援システムは、プラントの運転状態を示す情報、及びプラントの処理対象の品質を示す情報を格納するプロセス・品質データベースと、対象機器、点検結果、及び保守履歴の各情報を格納する保守点検結果データベースと、プラントに備わる設備機器のリスク、及び設備機器を組み合わせて性能を実現する機器グループのリスクに関して、リスク評価アルゴリズム、及びリスクレベル判定のための基準値を格納するリスク評価データベースと、作業者の業務遂行能力を反映する人材情報を格納する人材情報データベースと、を備える。また、維持管理支援システムは、プロセス・品質データベースに格納された各情報と、保守点検結果データベースに格納された各情報とを用いて、設備機器及び機器グループのリスクを評価するリスク評価部と、リスク評価部によるリスク評価結果に基づいて、プラントの運転モードの判定を行う運転モード判定部と、運転モード判定部で設定された運転モードと、人材情報データベースの人材情報とから、プラントにおける作業者の勤務シフトを設定する勤務シフト設定部と、を備える。
本発明の少なくとも一態様によれば、プラントが備える設備機器等の状態に応じたプラントの運転制御、及びプラントの維持管理業務にかかる勤務シフトを実現することができる。すなわち、設備機器や機器グループのリスク評価結果に応じたプラントの運転モードの選択、及び、運転モードと人材情報とに基づいて保守点検や不具合発生等に備えた勤務シフトの計画が可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る水道施設の全体構成例を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る維持管理支援システムの構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る設備機器リスク評価部の処理例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係る運転モード判定部の処理例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係る運転モードの例を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る各運転モードにおける維持管理の体制及び方法を示す表である。 本発明の第1の実施形態に係る勤務シフト設定部の処理例を示すフローチャートである。 図8Aは本発明の第1の実施形態に係る勤務シフトの一例を示し、図8Bは本発明の第1の実施形態に係る勤務シフトの他の例を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る勤務シフト設定部の処理例を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)の例について、添付図面を参照しながら説明する。本明細書及び添付図面において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
<1.第1の実施形態>
[水道施設の全体構成]
まず、本発明の第1の実施形態に係る維持管理支援システムが適用される水道施設の全体構成例を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る水道施設の全体構成例を示す説明図である。
図1に示すように、維持管理支援システム22が管理する対象のプラントは水道施設1であり、水道施設1は、取水施設2、浄水処理施設3、送配水施設4、及び給水施設5から構成される。浄水処理施設3は、原水を受ける着水井10、凝集剤を添加し急速攪拌する混和池11、緩速攪拌してフロックを成長させるフロック形成池12、成長したフロックを沈降分離する沈殿池13、ろ過池14、及び浄水処理した水を蓄える浄水池15を有する。
水道施設1では、処理流量や水質等を計測する手段として、濁度計16a〜16cと、流量計17とを備える。濁度計16aと流量計17は、着水井10に設置され、原水の水質と浄水処理する水量(流量)を測定する。濁度計16bは沈殿池13の出口に設置され、沈殿処理の性能を判定する。さらに、濁度計16cは、ろ過池14の出口に設置され、ろ過後の水質を測定する。
浄水処理施設3では薬液を注入して水処理を行っており、水酸化ナトリウム溶液などのアルカリ剤を着水井10へ注入するアルカリ剤注入設備(図示略)、及びPAC(ポリ塩化アルミニウム)などの凝集剤を混和池11に注入する凝集剤注入設備(図示略)を備える。これらの計測情報及び運転情報は、通信回線の一例である制御LAN21を介して、プラントの監視や制御を行う監視制御システム20、及びプラントの維持管理支援システム22に送信される。
上述した監視制御システム20及び維持管理支援システム22の構成は一例であり、監視制御システム20が、維持管理支援システム22の構成を備えていてもよいし、その逆でもよい。
[維持管理支援システムの構成]
図2は、維持管理支援システム22の構成例を示すブロック図である。
維持管理支援システム22は、通信I/F31、制御部32、記憶部33、表示部34、操作部35、及び内部バス36を有する。内部バス36を通じて、各部が相互にデータ送受信可能に接続されている。
通信I/F31は、制御LAN(Local Area Network)21に接続されており、水道施設1の設備機器(以下、「機器」と略称することがある)から運転条件や水質等の計測結果を取得することができる。これらのデータは設定された頻度でプロセス・水質データベース331に格納される。
制御部32は、維持管理支援システム22の各部の制御を司り、管理者若しくは作業者による水道施設1の維持管理業務を支援する。制御部32は、CPU(Central Processing Unit)からなる演算処理装置と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリを備える。ROMには、制御部32のCPUが実行するプログラム又はプログラムの実行時に使用するデータ等が記憶されている。なお、CPUに代えてMPU(Micro-Processing Unit)を用いてもよい。
記憶部33は、制御部32のCPUがプログラムを実行する際に使用するパラメータ、又はプログラムを実行して得られたデータなどが記憶される。本実施形態では、記憶部33に、プロセス・水質データベース331、保守点検結果データベース332、リスク評価データベース333、及び人材情報データベース334が記憶されている。なお、記憶部33に、制御部32のCPUが実行するプログラムを格納してもよい。なお、以降の説明において、プロセス・水質データベースを「プロセス・水質DB」、保守点検結果データベースを「保守点検結果DB」、リスク評価データベースを「リスク評価DB」、及び人材情報データベースを「人材情報DB」と表記する。
制御部32は、作業者等の操作に基づく操作信号を操作部35から受信し、該操作信号に応じた制御を行う。操作部35は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル等である。また、制御部32は、表示部34に表示信号を出力し、表示部34が、各種操作指示や設定情報を入力するための各種設定画面、及び各種処理結果等を表示部34に表示する。
本実施形態では、表示部34は、設備機器リスク評価部321、運転モード判定部322、又は勤務シフト設定部323の出力情報、すなわち、設備機器やプロセス(機器グループ)のリスクの値、リスクに基づいて推奨される運転モードの種類、勤務シフト表、及び、実施するべき業務の予定などを表示する。表示部34には、例えば液晶ディスプレイ等が用いられる。なお、制御部32は、表示部34に表示されるこれらの情報を、作業者が携帯する携帯端末などの外部装置の画面に表示するようにしてもよい。
本実施形態では、制御部32は、設備機器リスク評価部321、運転モード判定部322、及び勤務シフト設定部323の処理を実行するように構成されている。制御部32の各部の機能は、一例としてCPUがROM等に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
設備機器リスク評価部321は、プロセス・水質DB331の各情報と、保守点検結果DB332の各情報を用いて、設備機器及び機器グループのリスクを評価し、リスク評価結果をリスク評価DB333に保存する。例えば設備機器リスク評価部321は、プロセス・水質DB331の各データ、並びに、保守点検結果DB332に格納されている作業者が手分析して得られた水質データ、設備機器の点検データ、設備機器の保守データ、及び、外部から入手する降雨量などの情報を元に、設備機器単体及びプロセスのリスクを算出する。リスクの算出方法及び算出結果はリスク評価DB333に格納する。
運転モード判定部322は、設備機器リスク評価部321のリスク評価結果に基づいて、水道施設1の運転モードの判定及び設定を行う。運転モードとは、言い換えると、プラント運転における評価指標を何に設定し、その指標を所定のレベルに維持するための運転制御及び保守点検内容をどのようにするかの区分である。例えば、プラントをより省エネルギーの状態で運転するモード、設備機器の不具合に対し短時間のうちに対応できるモード、より少人数での安定運転を目指す省人モードなどを設定する。
勤務シフト設定部323は、運転モード判定部322による運転モードの判定結果と、人材情報DB334の人材情報を用いて、週〜数ヶ月単位で作業者の昼間及び夜間の勤務シフトを計画(設定)する。勤務シフトとは、労働者が交替制で勤務する勤務体制(シフト勤務)において、労働者の勤務時間の割当てのことである。以降において、勤務シフトを単に「シフト」ということもある。
ここで、記憶部33について詳細に説明する。プロセス・水質DB331は、プロセス・品質データベースの一例である。プロセス・水質DB331は、図1で示した濁度計や流量計の測定値など、水道施設1内に設置された計器によって監視している情報をそれぞれ格納する。データを記録する頻度は、計測項目により異なるが、取水や薬注の流量、ろ過池の差圧や送水ポンプの吐出圧などのプロセスデータ(運転状態を示す情報の一例)は1分毎、濁度、pH、水温、残留塩素濃度などの水質データ(処理対象の品質を示す情報の一例)は10分毎、望ましくは1分毎のデータを記録するのがよい。一方、機械設備の状態監視のための計測値、例えば、ポンプの振動計測データは、msec(ミリ秒)程度の頻度で記録されることが望ましい、ただし、データ量が膨大になるため、良好な運転ができている期間のデータは、一定期間を過ぎた後に削除してもよい。また、監視制御システム20から発報されるアラートも記録する。
また、プロセス・水質DB331には、水道施設1内の計測結果だけでなく、外部の情報を定期的に取得して格納する。例えば外部から取得する情報としては、降雨量や気温などの気象に係る実績値及び予報値、水源としている河川の水位やダムの貯水量、ダムの放流量がある。また、同じ水系を水源としている他の水道施設における管理情報も、水質事故や原水水質の変化を取水の前に把握する上で有効である。これらの各情報は、オンラインで収集されプロセス・水質DB331に格納される。
保守点検結果DB332は、日常的に実施されている定期巡回点検(対象機器、点検結果)、水道施設1の試運転の結果、臨時の点検結果、保守の履歴などを格納する。これらは、オンラインでプロセス・水質DB331に格納されるデータ以外の項目であり、いわゆる作業者が手分析で測定する水質検査結果、作業者の五感を使った点検結果(目視、異音、異臭、異常な温度など)、作業者(手動)による設備機器の操作(バルブ開閉、ポンプ入替えなど)のデータを格納する。記録の形式としては、数値、レベル(○×△、abcdなど)、予め設定した選択肢、キーワード選択、自由記述を採る。また、保守の履歴として、実施時期、対象機器、対象部位、交換部品(消耗品、非消耗品)、保守内容、実施担当者、異常の有無などが記録される。
これらの情報は、プロセス・水質DB331が記録対象とするような定期的に取得されるデータとは異なり、かつ、項目が多岐にわたる。そのため、記録する項目をテーブルの各列に割り当てて、計測日時と紐付けして記録する形でもよいが、記録項目については別にマスターテーブルを設けて設定し、データ記録用のテーブルに、計測日時、記録項目、及び、計測結果の少なくとも3つを1レコードに格納する方法でもよい。
次に、リスク評価DB333は、設備機器や機器ループのリスクを算出するために設備機器リスク評価部321が用いるリスク評価式(リスク評価アルゴリズムの一例)、入力項目、及び、リスクレベル判定(リスクのランク分け)のための基準値(境界値)、リスク評価結果等を格納する。ここで、リスク算出方法の一例を説明する。
[リスク算出方法]
個別の設備機器(以下「個別機器」と称する)に対するリスク評価式として、式(1)に示す発生頻度と重篤度の掛け算や、式(2)に示す発生頻度と重篤度の足し算などがある。また、個別機器を組み合わせて性能を実現する機器グループのリスク評価式として、式(3)及び式(4)のようなものがある。
単体リスク1=(発生頻度ランク)×(重篤度ランク)・・・・(1)
単体リスク2=(発生頻度ランク)+(重篤度ランク)・・・・(2)
機器グループのリスク1
={Σ(単体リスク1)i}/[Σ{(発生頻度最大値)・(重篤度ランク最大値)}i]
・・・・(3)
機器グループのリスク2
={Σ(単体リスク2)i}/[Σ{(発生頻度最大値)・(重篤度ランク最大値)}i]
・・・・(4)
ここで、例えば発生頻度ランクを5段階(1:10年に一回程度、2:1年に一回程度、3:数ヶ月に1回程度、4:週に一回程度、5:毎日)に設定する。また、重篤度ランクも5段階(1:水の供給には影響なく、特別な対応措置も不要、2:水の供給に影響ないが、修理等の対応が必要、3:水の供給に影響があり、対応措置の準備が必要(状況に応じて対応措置を取る)、4:水の供給に大きな影響があり、対応措置が必要、5:緊急復旧と需要家への広報が必要)に設定する。
重篤度ランクについては、経験的に設定する方法だけでなく、監視制御システム20に設定されている、重故障、軽故障の区分により設定してもよい。この場合は、警報が設定されていない状態を含め3段階に設定することができる。また、信頼性工学に基づいて、対象の機器や機器グループにおけるアベイラビリティ(可用性)を算出し、その値に応じてランク分けしてもよい。アベイラビリティは以下の式(5)で算出できる。
アベイラビリティ=MTBF/(MTBF+MTTR)・・・・(5)
ここで、MTBF(Mean time between failure)は平均故障間隔、MTTR(Mean time to repair)は平均修理時間である。
一方、発生頻度ランクの設定に関しては、実際の計測結果や観測結果からランクに割り当てる方法として、単一の計測や観測の値に対して基準値(境界値)を複数設ける方法がある。例として、「ポンプの振動の大きさ」と「発生頻度」のデータをそれぞれクラス分けし、双方を掛け算することで発生頻度ランクを決める。この方法による掛け算の結果は、異常な振動の発生頻度に、重みとして振動の大きさを掛け合わせた指標といえる。
また、設備機器の不具合の予兆診断として、強化学習やクラスタ分析などを用い、発生頻度ランクに換算する方法も取り得る。この方法を適用するための条件は、主要機器に過去に不具合(故障や動作不良など)が発生しており、不具合発生パターンを学習させるためのデータが存在することである。実際の不具合発生データが得られない場合は、不具合発生確率の式を予め仮定し、実データが得られる段階で確立分布のモデルをチューニング(改善)していくことができる。例えば、機器の故障確率はワイブル分布に従うといわれている。また、河川情報や気象情報を用いて水道原水の濁度が所定の値を越える確率を算出する事例の報告もあり、このような事例を本発明に適用することもできる。
次に、プロセスの一部又は全部のリスク評価の手法としては、FMEA(Failure Mode and Effect Analysis)を適用できる。この場合、システムの冗長性などを考慮することでシステムとしての不具合発生は抑制される評価になる。一方で、実際の水道施設などのプラントにおいては、故障が発生した際は、緊急対応とならないケースであっても、設備機器の切替や応急処置など応急/恒久の対応に人手がかかる。そのため、システムとしてのリスク評価としては、個々の故障リスクとバックアップなどの機器の構成を考慮した全体評価だけでなく、すべての個別機器のリスクをそのまま足し合わせて評価指標とすることも有効といえる。
人材情報DB334は、作業者の業務遂行能力を反映する情報(人材情報)を格納する。人材情報としては、例えば水道施設1の運転管理、定期的な保守点検や不具合発生時の修理に関連する作業者の情報(業務履歴)がある。運転管理とは、水道施設1の取水、浄水処理、消毒処理、送配水、及び、汚泥処理のためのポンプや攪拌機等の機器を操作し、技術的な要求水準にあった水質、水量、水圧の水道水を供給する一連の業務である。ここでは、運転管理を担当した水処理プロセス、運転時間、運転方法(制御方法や手動での操作)と各時間、運転中の原水水質の悪化、機器等の不具合、監視制御システム20による警報の発生回数などの情報が、業務履歴として人材情報DB334に格納される。
また、保守点検とは、設備機器の状態をチェックし、適切な時期に消耗品等を交換/補充する業務と定義する。この業務には、実際の設備機器の音や振動、電流・電圧等の確認、自動では取得されない水質項目や場所での水質測定、上水や薬剤や燃料の貯蔵量の確認、電気・機械設備の動作確認、計測器の校正、機器の法定点検やオーバーホールなどを含む。消耗品等の交換/補充としては、ろ過砂、膜、パッキンなどの交換、注油、薬剤の受け入れなどがある。
また、不具合発生時の修理内容は、各機器により異なるが、部品や基板の交換、予備機への切替、目詰まりした配管の洗浄や交換業務などを含む。人材情報DB334では、これらを項目別に設定し、各業務の難しさ、及び各作業者が業務を担当した回数を格納しておく。
さらに、人材情報DB334には、各作業者に関して、水道施設1の維持管理に関する公式、及び非公式の資格を保有するかどうかの情報が格納される。
[設備機器リスク評価部の処理]
以下、制御部32の各部による処理について説明する。まず、設備機器リスク評価部321の処理について説明する。図3は、設備機器リスク評価部321の処理例を示すフローチャートである。リスク算出に関しては上述しており、ここでは、リスク評価処理におけるデータの取り込みやリスク評価対象の取り扱いの流れを説明する。
まず、設備機器リスク評価部321は、リスク評価DB333から、リスク評価(リスク算出)を行う設備機器若しくは機器グループ、及び評価項目をリスク評価条件として取り込む(S1)。例えば、設備機器がポンプである場合、リスク評価条件には、ポンプの吐出流量及び振動などの評価項目が含まれる。次に、設備機器リスク評価部321は、取り込んだリスク評価条件(設備機器と評価項目)に合った運転データなどをプロセス・水質DB331から取り込む(S2)。さらに、設備機器リスク評価部321は、リスク評価に関連する機器に対する保守点検で得られた結果を保守点検結果DB332から取得する(S3)。
取得対象となる期間は、少なくとも保守点検結果のデータが1セット存在する時まで遡り、それ以降の運転データや保守点検結果のデータをそれぞれ取得対象期間とする。本実施形態においては、1セットの保守点検結果のデータとは、例えば水道施設1のすべての設備機器についてのデータを想定しているが、予め設定された設備機器、又は所定のプロセスに含まれる設備機器(機器グループ)についてのデータでもよい。
続いて、設備機器リスク評価部321は、ステップS2とステップS3で取得した情報を使って、リスク評価アルゴリズム(例えば式(1)又は式(2))に基づいて設備機器単体のリスクを算出する(S4)。次いで、設備機器リスク評価部321は、リスク評価対象の設備機器がまだあるかどうか、すなわち、ステップS1において取り込んだすべてのリスク評価条件についてリスク算出を実施したかどうかを判定する(S5)。リスク評価対象の設備機器が残っている場合には(S5のNo)、設備機器リスク評価部321は、ステップS4に移行してリスク評価対象となっている次の設備機器単体のリスクを算出する。
一方、すべてのリスク評価対象の設備機器についてリスク算出を終了した場合には(S5のYes)、設備機器リスク評価部321は、予め設定されている一連の処理に関与する機器グループのリスクを算出する(S6)。この機器グループのリスク算出についても上述したが、機器グループとして組み合わせる機器群の情報は、予めリスク評価DB333に格納しておく。
次いで、設備機器リスク評価部321は、リスク評価対象の機器グループがまだあるかどうか、すなわち、すべてのリスク評価すべき機器グループについてリスク算出を実施したかどうかを判定する(S7)。リスク評価対象の機器グループが残っている場合には(S7のNo)、設備機器リスク評価部321は、ステップS6に移行してリスク評価対象となっている次の機器グループのリスクを算出する。
一方、すべてのリスク評価対象の機器グループについてリスク算出を終了している場合には(S7のYes)、設備機器リスク評価部321は、リスク算出の結果をリスク評価DB333へ出力する(S8)。これにより、リスク評価DB333に、(1)機器単体のリスク、(2)機器グループのリスクが格納される。ステップS8の処理が完了後、本フローチャートの処理を終了する。
[運転モード判定部の処理]
次に、運転モード判定部322の処理について説明する。図4は、運転モード判定部322の処理例を示すフローチャートである。図5は、運転モードの例を示す説明図である。図6は、各運転モードにおける維持管理の体制及び方法を示す表である。ここでは、運転モード判定部322は、リスクの値、維持管理上のイベント(法定点検や外部の業者による作業など)を元に、推奨される運転モードを判定する。このイベントには、法定点検のような定期点検の他に、プラントが連続運転ではない状態になるようなイベントが該当する。
図5及び図6に示すように、本実施形態では、運転モードを5種類に設定する。具体的には、(1)リスク対応を優先するとともに監視を強化するリスク対応優先・監視強化モード、(2)監視強化モード、(3)通常運転モード、(4)シフト人数を減らした省人モード、及び(5)エネルギー消費量を抑える省エネ・省人モードを用意する。例えば設備機器の状態としては、モード(1)は“非常に調子が悪い”、モード(2)は“調子が悪い”、モード(3)は“通常”、モード(4)は“調子がよい”、モード(5)は“非常に調子がよい”というように分類することもできる。
図5に示すように運転モードは、シフト人数(作業者数)、点検業務数、及び、運転制御方法により規定される。各運転モードは、シフト人数(例えば昼間と夜間の割当て)、点検業務数、及び、運転制御方法の組み合わせがそれぞれ異なる。図6の表に、各モードの内容の一例を示す。シフト人数に関しては、水道施設1のリスクが高いモードの順に、対象期間に従事する作業員の人数が多い。例えば図6の例では、最もリスクが高いモード(1)では昼/夜のシフト人数は4人/3人であるが、最もリスクが低いモード(5)では昼/夜のシフト人数が2人/1人であり省人化される。
点検業務に関して、「通常運転モード」では場内設備(例えば浄水処理施設3内の設備)、場外設備の点検をそれぞれ実施(総数“2”)するが、「リスク対応優先・監視強化モード」ではこれらに加え、リスクが高い設備機器の点検も実施し、点検業務の総数を“3”とする。逆に「省人モード」では、場外設備の点検を省略して、点検業務の総数を“1”にする。なお、ここで挙げた点検業務数は一例であり、実際にはもっと多いと考えてもよい。
運転制御方法としては、水質や貯水量等の水量の設定値を変更することで“安全側”、“通常”、“省エネ”の区別とする。また、監視制御システム20への手動介入を促す運転(手動介入優先運転)を監視強化モードとして設定する。省エネ・省人モードにおいては、運転制御を“省エネ制御”とする。具体的には、例えば、送水ポンプの運転がトータルで省エネルギー(低電力消費)になるよう、取水と配水のコントロールを適用する。
次に、図4のフローチャートを説明する。まず、運転モード判定部322は、設備機器リスク評価部321から個別機器及び/機器グループのリスクの算出結果を取得する(S11)。各リスクの算出結果をリスク評価DB333から取得するようにしてもよい。本実施形態では、個別機器のリスクの値を「RI1i」、機器グループとしてのリスクの値を「RG1i」のように記載する。ここで、「i」はそれぞれリスク評価対象の個別機器、機器グループの番号を表す。
次に、運転モード判定部322は、運転モード選択のためのリスクの基準値(閾値の一例)をリスク評価DB333から取得する(S12)。これらも個別機器、機器グループでそれぞれ設定しておき、「RG0k」,「RI0k」とする。ここで、kはモード(1)〜(5)に振り分ける際の対象モードの基準値(境界値)を示し、k=12,23,34,45(図5参照)がある。
次いで、運転モード判定部322は、イベントの有無を判定し(S13)、イベントがない場合には(S13のNo)、ステップS17の処理に進む。一方、イベントがある場合には(S13のYes)、作業者が操作部35を介してイベントに応じた、リスクの基準値の補正係数を入力し(S14)、運転モード判定部322は、入力された補正係数を取得する(S15)。
なお、図4では、責任者等が補正係数を入力する形態としているが、予めスケジュールに組み込まれているイベントはデータベース化しておいてもよい。例えば、予めリスク評価DB333にイベントの内容と補正係数を対応づけた補正テーブルを用意し、運転モード判定部322が、リスク評価DB333の補正テーブルからイベントに応じた補正係数を読み出すようにしてもよい。この場合でも、計画外のイベントが発生する場合もあるため、操作部35からの補正係数の入力は可能とする。計画外のイベントとしては、例えば突発的な故障、水流系統や電気系統の切り替えによる運転環境の変化などが考えられる。
補正係数は、ユーザーが自由に設定することができるが、ルールとして、例えばイベントへの対応に要する時間に対して値を決める方法(例:1+{(イベント対応時間)/(当初の総業務時間)})がある。また、設備機器が停止することに伴って水質や水量などのサービスレベルが低下する可能性を考慮して値を設定する方法もある。運転モード判定部322は、取得した補正係数の値を使って、リスクの基準値を補正する(S16)。例えば、機器グループのリスク「RG0k」及び個別機器のリスク「RI0k」はそれぞれ、「RG0’k(=RG0k+A)」及び「RI0’k(=RI0k+a)」に補正される。
次いで、運転モード判定部322は、機器グループのリスクから該当する運転モードを判定する(S17)。具体的には、運転モード判定部322は、評価指標として評価対象になっている機器グループのリスクの合計「Σ(RG1i)」を求め、モードごとの基準値「RG0k」(補正した場合には「RG0’k」)との比較を行い、大小関係を判断する。そして、運転モード判定部322は、その判定結果に従って、対応する運転モードを決定する。
次いで、運転モード判定部322は、個別機器のリスクによるモード補正の要否を判断する(S18)。これは、機器グループのリスクは個別機器のリスクを均した結果であるために、機器単体で注意が必要なものがあれば維持管理において特に考慮することが目的である。ここでは、運転モード判定部322は、注意を要する機器のリスク「RI1i」と、ステップS17で判断された運転モードの基準値「RI0k」(補正した場合には「RI0’k」)とを比較し、大小関係を判断する。そして、運転モード判定部322は、その判定結果に従って、モード補正の要否を決定する。
ステップS18においてモード補正が必要である、すなわち機器グループのリスクよりも機器単体のリスクが高い場合には(S18のYes)、運転モード判定部322は、運転モードを一段階上げる補正を行う(S19)。例えば、当初判定された運転モードがモード(3)の通常運転モードである場合、補正後はモード(2)の監視強化モードとなる。
ステップS18においてモード補正の必要がない場合(S18のNo)、又は、ステップS19の処理後、最終的に決定された運転モードを出力する(S20)。ステップS20の処理が完了後、本フローチャートの処理を終了する。制御部32は、最終的に決定された運転モードで水道施設1を運転する。
[勤務シフト設定部の処理]
次に、勤務シフト設定部323の処理について説明する。図7は、勤務シフト設定部323の処理例を示すフローチャートである。ここでは、勤務シフト設定部323は、運転モードに応じた作業者の勤務シフトを具体的に作成する。
まず、勤務シフト設定部323は、運転モード判定部322による運転モードの選定結果を取り込む(S31)。次いで、勤務シフト設定部323は、水道施設1を適切に維持管理するために、対象期間の運転モードに応じた必要な作業員の人数を、勤務時間帯(例えば昼間、夜間など)ごとに設定する(S32)。対象期間は一ヶ月を基本とするが、週や半年単位でもよい。
次いで、勤務シフト設定部323は、リスク評価DB333からシフト設定条件を取り込む(S33)。シフト設定条件とは、実際に作業に当たる作業者に関する情報(役職、資格、休暇予定など)、シフト設定における制約条件(作業者の連続勤務時間、作業者の所定の期間における労働時間、作業者の組み合わせ、外部業者の営業日、イベント日程など)とする。一例として制約条件は、作業者の連続勤務時間、及び作業者の所定の期間における労働時間だけでもよい。
次いで、勤務シフト設定部323は、対象期間の運転モードに応じた必要な人数に基づいて、各対象期間の勤務シフトをランダム(無作為)に設定する(S34)。次いで、勤務シフト設定部323は、ここで設定された勤務シフトと、読み込んだシフト設定条件とを比較し、勤務シフトを実行できるかどうかの判定指標を求める(S35)。判定指標としては、シフト設定条件を満足しない勤務シフトの数(日数)や、満足していない状態になっている時間とすることができる。
図8Aは勤務シフトの一例を示し、図8Bは勤務シフトの他の例を示す。図8Aにおいて、4月6日(4/6)の昼間のシフトに作業者A,B、同日の夜間のシフトに作業者Cが入り、翌4月7日(4/7)の昼間のシフトに作業者A,B、同日の夜間のシフトに作業者Dが入っている。作業者Cは4月6日の夜間に休暇を申請しているため、図8Aの勤務シフトはNGである。
一方、図8Bにおいて、4月6日(4/6)の昼間のシフトに作業者A,B、同日の夜間のシフトに作業者Dが入り、翌4月7日(4/7)の昼間のシフトに作業者A,B、同日の夜間のシフトに作業者Dが入っている。図8Bの勤務シフトでは、4月6日に休暇を取得する作業者Cが入っていないため、図8Bの勤務シフトはOKである。
次いで、勤務シフト設定部323は、ランダム設定した勤務シフトがシフト設定条件を所定の範囲内で満足するかどうかを判断する(S36)。具体的には、勤務シフト設定部323は、判定指標の値が所定の閾値εよりも小さいか否かを判定し、判定指標の値が所定の閾値εよりも小さい場合に、勤務シフトがシフト設定条件を所定の範囲内で満足すると判断する。当該勤務シフトがシフト設定条件を所定の範囲内で満足しない場合には(S36のNo)、勤務シフト設定部323は、ステップS34の処理に戻り、再度、勤務シフトを設定する。
一方、設定した勤務シフトがシフト設定条件を所定の範囲内で満足する場合には(S36のYes)、勤務シフト設定部323は、当該勤務シフトの設定及び評価をした回数が所定値よりも多いか否かを判定する(S37)。勤務シフト設定部323は、当該勤務シフトの設定及び評価をした回数が所定値以下である場合には(S37のNo)、条件を満たさないと判断してステップS34の処理に戻る。勤務シフトの設定及び評価を行う回数を一定数以上とすることにより、様々な勤務シフトの設定及び出力を行うことができる。
一方、勤務シフト設定部323は、当該勤務シフトの設定及び評価をした回数が所定値よりも多い場合には(S37のYes)、シフト設定条件を所定範囲内で満足し、かつ判定指標の値が優位な勤務シフトの候補を出力する(S38)。本実施形態の場合では、シフト設定条件を逸脱する勤務シフトの数が少ない順に、勤務シフトの候補を所定の数だけ出力する。ステップS38の処理が完了後、本フローチャートの処理を終了する。
ここで、水道施設1の個別機器として、例えば凝集剤注入ポンプ、取水ポンプ、フラッシュミキサー、フロッキュレーター、ろ過池逆洗ポンプ、送水ポンプ、濁度計、及び流量計とし、機器グループの例として凝集沈殿・ろ過処理に関する機器とする。この場合、凝集沈殿・ろ過処理のリスクを示す値としては、原水濁度、沈殿処理水濁度、及び、ろ過水濁度から求めることができる。一方、個別機器のリスクは、出力電流と流量の関係や巡回点検時の異常、計測器の校正時期などから算出するように設定する。運転モード判定部322は、機器グループとしてのリスクが高ければ、リスクに応じて運転モード(1)〜(3)のいずれかに設定する。また、個別機器のリスクが高い場合には、点検業務としてポンプなどの該当機器の点検を追加する。
上述した第1の実施形態によれば、設備機器やプラントの状態に応じた運転制御と維持管理方法及び体制を構築できるため、不具合発生の抑制、不具合の早期発見、早期対応が、適切な時期に実施可能となる。また、これとは逆に、第1の実施形態によれば、少人数や省エネルギーモードでの運用が適切な時期に実施可能となり、業務を合理化することができる。
このように、本実施形態によれば、プラントが備える設備機器等の状態に応じたプラントの運転制御、及びプラントの維持管理業務にかかる勤務シフトを実現することができる。すなわち、設備機器や機器グループのリスク評価結果に応じたプラントの運転モードの選択、及び、運転モードと人材情報とに基づいて保守点検や不具合発生等に備えた勤務シフトの計画が可能となる。それゆえ、プラント運用の適正化、例えば省エネルギー、品質(例えば水道水の水質)維持、保守点検や不具合対応、業務の省人化といった効果を期待できる。
また、本実施形態によれば、運転モードの設定根拠となる機器単体又は機器グループのリスク算出を、運転データや点検データに基づいて行う構成であるため、客観的なリスク判断ができる。それゆえ、本実施形態は、異なる敷地や方式の水道施設や水処理施設(下水処理施設、産業排水処理施設等)、又は、異なる業務のプラント(化学プラントなど)へも広範に適用することができる。
[第1の実施形態の変形例]
本実施形態の変形例として、以下の例を説明する。第1の実施形態では、運転モードの一つとして、“省エネ・省人モード”を設けたが、この例に限らない。例えば、浄水膜ろ過を採用している浄水場や、消毒のみの浄水場、又は、外部から用水を受水し配水のみ実施している施設などでは、監視制御システム20の機能を適切なものとし、無人で運転する“無人モード”を設けてもよい。
また、勤務シフト設定部323により勤務シフトを設定する際に、リスク評価DB333に格納されたシフト設定条件を用いるが、シフト設定条件から作業者が余っていると判断した場合に、該当作業者を勤務シフトに組み入れて業務に尤度を持たせてもよい。また、勤務シフト設定部323は、遠隔で集中監視する担当者がいる場合には、これを作業員としてカウントし、勤務シフトの人数を削減したりしてもよい。すなわち、省人モード時の勤務シフトを組む手法として、不具合発生時のバックアップ体制を考慮し、待機作業者や遠隔にいる担当者を準備しておく。例えば“省エネ制御”による運転を常に実施することとし、安全性への配慮は、バックアップ体制に担当させるようにしてもよい。
<2.第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る維持管理支援システムについて説明する。本実施形態の基本的な構成は、第1の実施形態と同様であるが、本実施形態では、作業者に対する教育訓練の効果を考慮して勤務シフト設定部323の処理を一部変更している。
図9は、本発明の第2の実施形態に係る勤務シフト設定部323の処理例を示すフローチャートである。図9のステップS41,S42は図7のステップS31,S32に相当し、図9のステップS48〜S51は、図7のステップS35〜S38に相当する。以下、図9について、図7との相違点を中心に説明する。
まず、勤務シフト設定部323は、運転モードの選定結果を取り込み(S41)、対象期間の運転モードに応じた必要な作業員の人数を、勤務時間帯(例えば昼間、夜間など)ごとに求める(S42)。次いで、勤務シフト設定部323は、リスク評価DB333からシフト設定条件を取り込む(S43)。
ここでは、責任者又は従事者は予め、操作部35により教育的配慮をするべき個別業務を選定しておく。例えば、教育的配慮をするべき個別業務として、「河川での水質事故に関連する取水施設の点検業務」や「浄水処理施設の運転管理業務」などを設定する。また、人材情報DB334に、教育的配慮をするべき個別業務と教育を受けるべき作業員の選定条件(例えば「勤務経験」、「資格の有無の必要性」など)とを対応づけた選定テーブルを予め格納しておく。勤務シフト設定部323は、選定された教育的配慮をするべき個別業務を元に、当該選定テーブルから教育を受けるべき作業員の選定条件として、例えば「勤務経験」、「資格の有無の必要性」などを取り込む。
次に、勤務シフト設定部323は、これから実施する運転モード(例えば点検業務)の中に、教育的配慮をするべき個別業務が含まれるか否かを判断する(S44)。運転モードの中に、教育的配慮をするべき個別業務が含まれない場合には(S44のNo)、ステップS47の処理に移行する。
一方、運転モードの中に、教育的配慮をするべき個別業務が含まれる場合には(S44のYes)、勤務シフト設定部323は、人材情報DB334から教育的配慮を適用する該当者を抽出する(S45)。教育的配慮を適用する該当者を抽出する際の基準として、例えば教育的配慮をするべき個別業務への各作業者の従事回数、又は従事時間を利用することができる。次いで、勤務シフト設定部323は、該当者の勤務シフトの配置(S46)、及び非該当者(例えば該当業務を経験した熟練作業者)の勤務シフトの配置(S47)をそれぞれ設定する。なお、ステップS44においてNoの場合、若しくは、ステップS49のNo又はステップS50のNoを経てステップS47の処理を実行する場合には、教育的配慮をしないため該当者と非該当者の区別なく全作業員を対象に勤務シフトを設定してもよい。
次いで、勤務シフト設定部323は、第1の実施形態(図7)のステップS35〜S38と同様に、判定指標の算出(S48)、設定した勤務シフトがシフト設定条件を満足するかどうかの判断(S49)、設定・評価の回数の確認(S50)を行い、得られた勤務シフトの候補を出力する(S51)。
なお、ステップS49のNoの場合(シフト設定条件を満足しない)、及び、ステップS50のNoの場合(設定・評価の回数が所定値以下)には、勤務シフト設定部323は、ステップS44の判定結果に応じて、ステップS46又はステップS47の処理に進む。具体的には、ステップS44において、運転モードの中に、教育的配慮をするべき個別業務が含まれると判定されていた場合には(S44のYes)、ステップS49のNo又はステップS50のNoからステップS46に進む。一方、ステップS44において、運転モードの中に、教育的配慮をするべき個別業務が含まれないと判定されていた場合には(S44のNo)、ステップS49のNo又はステップS50のNoからステップS47に進む。
上述した第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、運転経験の少ない作業者に、通常よりも不具合発生の可能性が高い状況での運転管理や点検業務を経験させたり、不具合対応に対応する機会を増加させたりすることができるという効果が得られる。また、運転経験の少ない作業者に対し、特定の運転状況や不具合対応を経験する機会を増加させるような勤務シフトを組んだり、熟練作業者と同じ勤務シフトを組んだりすることで、運転経験の少ない作業者を、より早期に熟練作業者の熟練度に近づけさせる(運転ノウハウを蓄積させる)ことができる。
例えば、作業員の教育や将来の責任者育成のための要件(現場知識の豊富さ、研修受講の有無、現場での指揮経験など)を制約条件として、勤務シフトを計画するように構成する。これにより、プラントに従事する作業員や責任者のプラントの維持管理に係る技術を継続的に向上させることができるため、長期的に安定した維持管理を実現することができる。
また、不具合対応を見越して熟練作業者が必ず必要であるという従来の考えや業務の体制とは異なり、運転モードに応じて熟練作業者の勤務シフトを組むため、熟練作業者にかかる業務負荷を軽減できるという効果も期待できる。
<3.その他>
上述した各実施形態において、リスクとして水質、水量、水圧、及び作業者の安全性を考慮してもよい。また、省エネルギーや消耗品の使用量などの項目をコストとして比較し、比較結果をコスト面から適切な運転モードを選択するための指標としてもよい。具体的には、委託業務等における上記リスクやコスト等についての要求仕様を、運転モード選択時の制約条件にできるようにする。これにより、例えば水道サービスの要求仕様を満足することで、契約を遵守できる。
また、上述した各実施形態において、維持管理業務や勤務シフトの計画を円滑に行うために、設備機器若しくは機器グループのリスク情報を元に、設備機器の更新(更新機能の適正化)、自動化機能の導入を判断するようにしてもよい。この判断は、制御部32が自動的に行ってもよいし、責任者又は作業者が提示されたリスク情報を元に行ってもよい。これにより、データ(リスク情報)に基づいた、アセットマネージメント(試算の管理・運用)が可能となる。
さらに、本発明は上述した各実施形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施形態例は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。また、ある実施形態例の構成の一部を他の実施形態例の構成要素に置き換えることは可能である。また、ある実施形態例の構成に他の実施形態例の構成要素を加えることも可能である。また、各実施形態例の構成の一部について、他の構成要素の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、上記の各構成要素、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路の設計などによりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成要素、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又はICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
1…水道施設、 2…取水施設、 3…浄水処理施設、 4…送配水施設、 5…給水施設、 16a〜16c…濁度計、 17…流量計、 20…監視制御システム、 21…制御LAN、 22…維持管理支援システム、 321…設備機器リスク評価部、 322…運転モード判定部、 323…勤務シフト設定部、 34…表示部、 35…操作部、 331…プロセス・水質データベース(プロセス・水質DB)、 332…保守点検結果データベース(保守点検結果DB)、 333…リスク評価データベース(リスク評価DB)、 334…人材情報データベース(人材情報DB)

Claims (6)

  1. プラントの運転状態を示す情報、及び前記プラントの処理対象の品質を示す情報を格納するプロセス・品質データベースと、
    対象機器、点検結果、及び保守履歴の各情報を格納する保守点検結果データベースと、
    前記プラントに備わる設備機器のリスク、及び前記設備機器を組み合わせて性能を実現する機器グループのリスクに関して、リスク評価アルゴリズム、及びリスクレベル判定のための基準値を格納するリスク評価データベースと、
    作業者の業務遂行能力を反映する人材情報を格納する人材情報データベースと、
    前記プロセス・品質データベースに格納された各情報と、前記保守点検結果データベースに格納された各情報とを用いて、前記設備機器及び前記機器グループのリスクを評価するリスク評価部と、
    前記リスク評価部によるリスク評価結果に基づいて、前記プラントの運転モードの判定を行う運転モード判定部と、
    前記運転モード判定部で設定された前記運転モードと、前記人材情報データベースの前記人材情報とから、前記プラントにおける作業者の勤務シフトを設定する勤務シフト設定部と、を備える
    維持管理支援システム。
  2. 前記運転モード判定部は、シフト人数、点検業務数、及び運転制御方法によって前記運転モードを規定する
    請求項1に記載の維持管理支援システム。
  3. 前記勤務シフト設定部において、前記勤務シフトを設定する際の制約条件として、前記作業者の連続勤務時間、所定期間内の労働時間を用いる
    請求項1に記載の維持管理支援システム。
  4. 前記勤務シフト設定部において、前記勤務シフトを設定する際の制約条件として、教育的配慮をするべき個別業務に対する各作業者の従事回数又は従事時間を用いる
    請求項1又は3に記載の維持管理支援システム。
  5. 前記プラントが水道のための浄水処理又は送配水を行う施設を含む
    請求項1に記載の維持管理支援システム。
  6. プラントの運転状態を示す情報、及び前記プラントの処理対象の品質を示す情報を格納するプロセス・品質データベースと、対象機器、点検結果、及び保守履歴の各情報を格納する保守点検結果データベースと、前記プラントに備わる設備機器のリスク、及び前記設備機器を組み合わせて性能を実現する機器グループのリスクに関して、リスク評価アルゴリズム、及びリスクレベル判定のための基準値を格納するリスク評価データベースと、を備える維持管理支援システムによる維持管理支援方法であって、
    前記プロセス・品質データベースに格納された各情報と、前記保守点検結果データベースに格納された各情報とを用いて、前記設備機器及び前記機器グループのリスクを評価する手順と、
    前記設備機器及び前記機器グループのリスク評価結果に基づいて、前記プラントの運転モードの判定を行う手順と、
    前記運転モードと、作業者の業務遂行能力を反映する人材情報を格納する人材情報データベースの前記人材情報とから、前記プラントにおける作業者の勤務シフトを設定する手順と、を含む
    維持管理支援方法。
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