JP2019190372A - 電動圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸入ポートから吸入された作動流体が電動機の熱によって膨張することを抑制する。【解決手段】電動圧縮機(1)のハウジング(2)には、ハウジング(2)内に収容される電動機(4)の一端側に吸入ポート(40)が形成されている。ハウジング(2)内において電動機(4)の一端側及び他端側に延出する駆動軸(8)は、電動機(4)の一端側から他端側まで駆動軸(8)の軸方向に延びる軸方向孔(81)と、電動機(4)の一端側において軸方向孔(81)と連通して軸方向孔(81)に作動流体が流入するための流入孔(82)と、電動機(4)の他端側において軸方向孔(81)と連通して軸方向孔(81)から作動流体が流出するための流出孔(84)と、を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、車両用空調装置の冷凍サイクル等に用いることができる電動圧縮機に関する。
従来、電動圧縮機として、作動流体を圧縮する圧縮機構と、圧縮機構を駆動する電動機と、を有する電動圧縮機が知られている。電動機は、インバータ装置により回転駆動され、駆動軸を介して圧縮機構を駆動する。圧縮機構、電動機およびインバータは、吸入ポートと吐出ポートとを有するハウジングに、この順で収容されている。電動圧縮機は、吸入ポートから吸入した作動流体を圧縮機構で圧縮し、吐出ポートから吐出する。
このような電動圧縮機では、吸入ポートから吸入された作動流体は、電動機とインバータ装置との間に流入し、インバータ装置を冷却する。このインバータ装置の冷却に用いられた作動流体は、電動機の構成部品間の隙間や電動機の周囲の隙間を通って圧縮機構まで導かれる。したがって、この作動流体は、圧縮機構に導入される前に、インバータ装置の発する熱だけでなく電動機の発する熱をも吸収する。この結果、当該作動流体は、圧縮機構に取り込まれる前に著しく膨張して、その密度が低下する。このことは、冷凍サイクルの成績係数COP(Coefficient of Performance)の低下に繋がる。
したがって、電動機の発する熱による作動流体の膨張を抑制することが望まれる。なお、電動圧縮機は一般に小型化が望まれており、その外形寸法が大きくなることは望ましくない。
特開2000−291557号公報
本発明は、電動圧縮機の外形寸法の増大を抑制しつつ、吸入ポートから吸入された作動流体が電動機の熱によって膨張することを抑制するよう構成された電動圧縮機を提供することを目的としている。
本発明の一実施形態によれば、電動機と、電動機の一端側に配置されて電動機を駆動制御するインバータ装置と、電動機に取り付けられて電動機により回転される駆動軸であって電動機の一端側及び他端側に延出する駆動軸と、電動機の他端側において駆動軸に接続される圧縮機構と、電動機とインバータ装置と駆動軸と圧縮機構とを収容するハウジングと、を備えた電動圧縮機が提供される。
この電動圧縮機において、ハウジングは、ハウジングに作動流体を吸入するための吸入ポートと、圧縮機構により圧縮された作動流体をハウジングから吐出するための吐出ポートを有している。
そして、駆動軸は、電動機の一端側から他端側まで駆動軸の軸方向に延びる軸方向孔と、電動機の一端側において軸方向孔と連通して軸方向孔に作動流体が流入するための流入孔と、電動機の他端側において軸方向孔と連通して軸方向孔から作動流体が流出するための流出孔と、を有している。
上記の本発明の実施形態によれば、駆動軸内に軸方向孔等を設けたことにより、電動圧縮機の外形寸法を増大させることなく電動圧縮機内に作動流体の流路を確保することができる。また、吸入ポートから吸入された作動流体が電動機の熱によって膨張することを抑制することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るスクロール型電動圧縮機の全体的な構成を示す軸方向断面図である。 図2は、図1に示す電動機と駆動軸とを示す分解斜視図である。 図3は、図1に示す電動圧縮機の変形例を説明するための図であって、変形例に係る電動圧縮機の全体的な構成を示す軸方向断面図である。 図4は、図1に示す電動圧縮機の他の変形例を説明するための図であって、他の変形例に係る電動圧縮機の全体的な構成を示す軸方向断面図である。 図5は、図4に示す電動機と駆動軸と遮蔽部材とを示す分解斜視図である。
以下、本発明に係るスクロール型電動圧縮機を図面に基づき詳述する。
図1に示すスクロール型電動圧縮機1は、冷媒を作動流体とする冷凍サイクルに適した電動型圧縮機である。図1に示す電動圧縮機1において、アルミ合金で構成されたハウジング2内には、電動機4と、電動機4の一端側(図中左側)に配置されたインバータ装置60と、電動機4に取り付けられて電動機4により回転される駆動軸8と、電動機4の他端側(図中右側)に配置された圧縮機構3と、が設けられている。駆動軸8は、電動機4の一端側及び他端側に延出している。駆動軸8の他端部には、圧縮機構3が接続されている。なお、図1において、図中左側を圧縮機の前方とし、図中右側を圧縮機の後方としている。
ハウジング2の側面には、このハウジング2内に冷媒を吸入するための吸入ポート40と、圧縮機構3により圧縮された冷媒をこのハウジング2から吐出するための吐出ポート45とを有している。
図示の例では、ハウジング2は、圧縮機構3が収容される圧縮機構収容ハウジング部材2Aと、電動機4が収容されるモータ収容ハウジング部材2Bと、インバータ装置60が収容されるインバータ収容ハウジング部材2Cと、を有している。そして、隣り合う圧縮機構収容ハウジング部材2Aとモータ収容ハウジング部材2Bは、図示しない位置決めピンによって位置決めされると共に、締結ボルト5で駆動軸8の軸Axの延びる方向(図1の左右方向、以下「軸方向」とも称する)に固定されている。また、隣り合うモータ収容ハウジング部材2Bとインバータ収容ハウジング部材2Cは、図示しない位置決めピンによって位置決めされる共に、締結ボルト6で軸方向に固定されている。
圧縮機構収容ハウジング部材2Aは、モータ収容ハウジング部材2Bと対峙する側が開放された有底の筒形形状に形成されており、円柱状の内部空間に圧縮機構3を収容している。また、圧縮機構収容ハウジング部材2Aには、上述した吐出ポート45が形成されている。
モータ収容ハウジング部材2Bは、電動機4が固定される筒状のモータ固定部11と、圧縮機構収容ハウジング部材2Aと対峙する側に位置するエンドプレート12と、を有している。モータ固定部11とエンドプレート12とは、一体に形成されている。モータ固定部11には、上述した吸入ポート40が形成されている。
エンドプレート12は、後述する圧縮機構3の揺動スクロール32の軸方向荷重を揺動スクロール側端面12aで支持するようになっている。また、エンドプレート12には、駆動軸8の後端部を支持する軸支部14が一体に形成されている。
軸支部14には、後述するバランスウエイト9を収容するウエイト収容部14aと、ベアリング21を収容するベアリング収容部14bと、が形成されている。ウエイト収容部14aは、圧縮機構収容部23側に開口する環状凹所である。また、ベアリング収容部14bは、モータ固定部11の内部空間側に開口する環状凹所である。また、軸支部14には、ウエイト収容部14aとベアリング収容部14bとを駆動軸8に沿って連通させる貫通孔14cが形成されている。駆動軸8の後端部は、ベアリング収容部14b、貫通孔14cおよびウエイト収容部14a内を延びている。
インバータ収容ハウジング部材2Cは、インバータ収容部16と、モータ収容ハウジング部材2Bと対峙する側に位置するエンドプレート17とが一体に形成されている。エンドプレート17には、軸支部18が一体に形成されている。軸支部18は、モータ固定部11の内部空間側に開口する環状凹所である。軸支部18には、ベアリング22が収容されている。
インバータ収容ハウジング部材2Cのエンドプレート17の軸支部18において、駆動軸8の前端部が、ベアリング22を介して回転可能に支持されている。また、モータ収容ハウジング部材2Bのエンドプレート12の軸支部14において、駆動軸8の後端部が、ベアリング21を介して回動可能に支持されている。駆動軸8の後端部には、駆動軸8と一体をなして回転するバランスウエイト9が設けられている。バランスウエイト9は、上述したウエイト収容部14a内に収容され、ウエイト収容部14a内において、駆動軸8とともに回転する。
ハウジング2の内部は、上述したエンドプレート12、17により、圧縮機構3を収納する圧縮機構収容部23、電動機4を収納するモータ収容部24、及び、インバータ装置60を収容するインバータ収容部25に、後方側からこの順に仕切られている。なお、モータ収容ハウジング部材2Bのエンドプレート12には、モータ収容部24と圧縮機構収容部23とを連通する孔12hが設けられている。また、この例において、インバータ収容部25は、蓋26がインバータ収容ハウジング部材2Cの開口部に図示しないボルト等で固定されることによって閉じられる。
インバータ収容ハウジング部材2Cに収容されるインバータ装置60は、電動機4を駆動制御する。具体的には、インバータ装置60は、エンドプレート17に形成された図示しない貫通孔に取付けられるターミナル(気密端子)を介して電動機4と電気的に接続され、電動機4に対して給電するようになっている。
次に、電動機4について説明する。電動機4は、駆動軸8を回転駆動することによって圧縮機構3を駆動するものである。電動機4は、ステータ4aとロータ4bとにより構成されている。
ステータ4aは、鉄心とこれに巻回されたコイルとで構成されている。図2に示すステータ4aから引き出されたリード線4cの端子(クラスタ端子とも呼ばれる)4dは、上述のターミナルピンを介して、インバータ収容部25内のインバータ装置60に電気的に接続されている。図1に示すように、ステータ4aの外周部は、モータ固定部11の内面に形成されたステータ接触部11aにおいて、しまりばめ(圧入、焼き嵌め等)により固定されている。
ロータ4bは、マグネットからなり、駆動軸8の外周側に固定されている。ロータ4bは、ステータ4aの内側に回転可能に収容されている。そして、ロータ4bは、ステータ4aによって形成される回転磁力により駆動軸8と一体に回転させられるようになっている。
次に、圧縮機構3について説明する。圧縮機構3は、固定スクロール31と、これに対向配置された揺動スクロール32と、を有するスクロールタイプのものである。
固定スクロール31は、ハウジング2(圧縮機構収容ハウジング部材2A)に対して、軸方向の動きが許容されつつ、径方向への動きが阻止されるようになっている。具体的には、固定スクロール31は、モータ収容ハウジング部材2Bのエンドプレート12に固定された軸方向に延びる位置決めピン33によって、その径方向における動きが規制されている。そして、この固定スクロール31は、円板状の基板31aと、この基板31aの外縁に沿って全周に亘って設けられると共に前方に向かって立設された外周壁31bと、その外周壁31bの内側において前記基板31aから前方に向かって延設された渦巻状の渦巻壁31cと、から構成されている。基板31aの略中央には、後述する圧縮室37で圧縮された冷媒ガスを吐出するための吐出孔44が形成されている。
揺動スクロール32は、図1に示されるように、円板状の基板32aと、この基板32aから後方に向かって立設された渦巻状の渦巻壁32cと、から構成されている。基板32aの背面中央には、エンドプレート12側に開口する嵌合凹部34が形成されている。嵌合凹部34には、ラジアル軸受35が収容されている。そして、揺動スクロール32は、このラジアル軸受35を介して、駆動軸8の後端部に形成された偏心軸36に支持されている。このため、揺動スクロール32は、駆動軸8の軸Axと偏心軸36の軸との偏心量に応じ、駆動軸8の軸Axを中心とした公転運動をすることができる。
なお、揺動スクロール32には、駆動軸8の回転に伴って自転力が発生する。このため、揺動スクロール32の自転を規制した状態で、揺動スクロール32を駆動軸8の軸Axの周りに公転運動させる必要がある。図示の例では、揺動スクロール32の基板32aとモータ収容ハウジング部材2Bのエンドプレート12との間に自転防止機構を設けることによって、揺動スクロール32の自転を規制している。
図示の例では、自転防止機構として、ピン&リングカップリングが採用されている。この自転防止機構は、エンドプレート12から後方に延び出す複数のピン50と、これらピン50に係合する複数のリング部材51と、それぞれのリング部材51を収容する複数の円筒状凹部52と、を含む。
円筒状凹部52は、図1に示されるように、揺動スクロール32の基板32aの背面(エンドプレート12に対向する面)に形成された円筒状の窪みである。円筒状凹部52は、揺動スクロール32の嵌合凹部34の周囲に等間隔(例えば60度間隔)に形成されている。リング部材51は、鉄製であり、円環状に形成されている。リング部材51は、円筒状凹部52の内径よりも小さい外径を有しており、円筒状凹部52に遊嵌されるようになっている。また、このリング部材51は、軸方向の幅が円筒状凹部52の軸方向の幅にほぼ等しいか又は円筒状凹部52の軸方向の幅よりも小さく形成されている。
ピン50は、鉄製であり、円柱状に形成されている。ピン50は、リング部材51の内径よりも小さい外径を有している。また、ピン50は、エンドプレート12の揺動スクロール32に対向する揺動スクロール側端面12a且つウエイト収容部14aの周囲に、円筒状凹部52の位置に合わせて等間隔に固定されている。ピン50は、エンドプレート12に形成されたピン取付孔に圧入されて固定されている。
エンドプレート12に固定されたピン50が円筒状凹部52に収容されたリング部材51内まで延びていることにより、揺動スクロール32の自転が規制される。この結果、揺動スクロール32は、駆動軸8の軸Axに対して公転運動のみが許容される。
固定スクロール31と揺動スクロール32は、それぞれの渦巻壁31c、32cを互いに噛み合わせた状態で配置されている。そして、固定スクロール31の外周壁31bと揺動スクロール32の渦巻壁32cの最外周部との間には、モータ収容部24内の冷媒を吸入する吸入室42が形成されている。また、固定スクロール31の基板31a及び渦巻壁31cと、揺動スクロール32の基板32a及び渦巻壁32cとによって、圧縮室37が画成される。
以上の構成において、圧縮機構3は、電動機4によって駆動軸8が回転駆動されると、駆動軸8の偏心軸36に支持された揺動スクロール32が駆動され、駆動軸8の軸Axを中心として公転運動する。これにより、モータ収容部24内の冷媒は、エンドプレート12の孔12hを介して、圧縮機構3の吸入室42に導かれ、圧縮室37に取り込まれる。圧縮機構3の圧縮室37は、揺動スクロール32の公転運動により、固定スクロール31の渦巻壁31cと揺動スクロール32の渦巻壁32cの外周側から中心側へ容積を徐々に小さくしつつ移動する。その結果、吸入室42から圧縮室37内に取り込まれた冷媒ガスは、揺動スクロール32の公転運動に伴って圧縮される。そして、この圧縮された冷媒ガスは、固定スクロール31の吐出孔44から吐出される。
ハウジング2内の固定スクロール31の後方側で且つ固定スクロール31と圧縮機構収容ハウジング部材2Aの後端壁2Aaとの間には、吐出室43が形成されている。吐出室43には、圧縮機構3で圧縮された冷媒ガスが、吐出孔44を通じて吐出される。この吐出室43は、吐出ポート45を介して外部冷媒回路と連通している。
なお、図示の例では、固定スクロール31がモータ収容ハウジング部材2Bのエンドプレート12に直接組み付けられ、揺動スクロール32の軸方向荷重がエンドプレート12の揺動スクロール側端面12aで直接支持されるようになっているが、これに限定されない。例えば、固定スクロール31の外周壁31bとエンドプレート12との間に薄板状の環状のスラストレース(図示せず)を介在させ、固定スクロール31とエンドプレート12とがスラストレースを介して突き合わされると共に、揺動スクロール32の軸方向荷重がスラストレースを介してエンドプレート12で支持されるようにしてもよい。
ところで、吸入ポート40を通じてハウジング2内に吸入された冷媒は、エンドプレート17と電動機4との間の空間に流入して、インバータ装置60を冷却する。この冷媒は、エンドプレート17を介して、インバータ収容部25内のインバータ装置60の発する熱を吸収する。インバータ装置60の熱を吸入した冷媒は、一般に、圧縮機構3に至るまでの間に、ステータ4a内部の隙間や、ステータ4aとロータ4bとの間の隙間、ステータ4aとモータ収容ハウジング部材2Bとの間の隙間を通じて、圧縮機構3に導かれる。しかしながら、冷媒が圧縮機構3に至るまでの間にこのような隙間を通ると、電動機4の発する熱を吸収してしまう。この結果、当該冷媒は著しく膨張して、その密度が低下する。このことは、冷凍サイクルの成績係数COP(Coefficient of Performance)の低下に繋がる。
このような事情を考慮して、図1に示す圧縮機1では、駆動軸8内に冷媒の流路が形成されている。電動機4の主な発熱源はステータ4aに巻回されたコイルであるため、駆動軸8内の温度は、一般に、ステータ4a近傍の温度と比較して、低い。そして、このような駆動軸8内に形成された流路を通じて、エンドプレート17と電動機4との間の空間に流入した冷媒の少なくとも一部を圧縮機構3に導くことで、当該冷媒が圧縮機構3に至るまでの間に電動機4の熱を吸収することを、抑制することができる。したがって、エンドプレート17と電動機4との間の空間に流入した冷媒全体として電動機4から吸収する熱量を、抑えることができる。
なお、電動機4はインバータ装置60と同程度の発熱量を有するが、電動機4がしまりばめされるモータ収容ハウジング部材2Bのモータ固定部11の広い外周面を介して外気に電動機4の熱を放出できる。このため、電動機4の冷媒による冷却量が低減しても問題とならない。
図1および図2を参照して、駆動軸8内に形成された冷媒の流路について詳述する。図1および図2に示すように、駆動軸8は、電動機4の前端側から後端側まで駆動軸8の軸方向に延びる軸方向孔81と、電動機4の前端側において軸方向孔81と駆動軸8の外部とを連通する流入孔82と、電動機4の後端側において軸方向孔81と駆動軸8の外部とを連通する流出孔84と、を有している。流入孔82は、軸方向孔81に冷媒を流入させるための孔であり、流出孔84は、軸方向孔81から冷媒を流出させるための孔である。
図示の例では、流入孔82は、駆動軸8の軸方向に、軸方向孔81と連続して延びている。したがって、駆動軸8に対して軸方向に穴加工を行うだけで、軸方向孔81および流入孔82を共に形成することができる。
一方、流出孔84は、駆動軸8の軸方向とは非平行な方向に延びている。流出孔84が軸方向とは非平行な方向に延びていることにより、駆動軸8が回転すると、遠心力によって、流出孔84内の冷媒を駆動軸8の外に流出させることができる。これにより、軸方向孔81内の冷媒に、流出孔84へ向かう流れが形成され、また、駆動軸8の前端側の周囲の冷媒に、流入孔82へ向かう流れが形成される。すなわち、流出孔84が駆動軸8の軸方向とは非平行な方向に延びていることにより、駆動軸8の周囲の冷媒を、流入孔82を通じて駆動軸8内に流入させて流出孔84から駆動軸8の外に流出させる、ということを促進することができる。図示の例では、流出孔84は、駆動軸8の半径方向に延びている。これにより、流出孔84内の冷媒を遠心力によって駆動軸8の外に流出させ易くなる。この結果、駆動軸8の周囲の冷媒を、流入孔82を通じて駆動軸8内に流入させて流出孔84から駆動軸8の外に流出させる、ということを、さらに促進することができる。
なお、図1に示す例においては、吸入ポート40は、駆動軸8の軸方向において、エンドプレート17と電動機4との間(インバータ装置60と電動機4との間)に設けられている。吸入ポート40を電動機4よりもインバータ装置60の側に設けることで、吸入ポート40から吸入されたばかりの比較的低温の冷媒をインバータ装置60の冷却に用いることができる。また、吸入ポート40が設けられる位置は上記に限定されない。例えば、吸入ポート40が、駆動軸8の軸方向において、エンドプレート17と電動機4との間よりも圧縮機構3側に設けられている場合でも、吸入された冷媒が、インバータ装置60側へ流れるように冷媒の流路が構成されたスクロール型電動圧縮機であればよい。
次に、図1を参照して、圧縮機1の動作について説明する。
電動機4によって駆動軸8が回転駆動されて、圧縮機構3の揺動スクロール32が公転すると、モータ収容部24内の冷媒が、エンドプレート12の孔12hを通じて、圧縮機構3の吸入室42に吸入される。吸入室42に吸入された冷媒は、固定スクロール31の渦巻壁31cと揺動スクロール32の渦巻壁32cとの間に形成される少なくとも1つの圧縮室37内に取り込まれ、当該圧縮室37で圧縮される。圧縮室37で圧縮された冷媒は、吐出孔44から吐出室43に吐出される。この圧縮のメカニズムは当業者において周知であるため詳細な説明は省略する。
モータ収容部24内の冷媒が圧縮機構3に導入されることにより、モータ収容部24内の冷媒Fには、上記電動機4の前端側から後端側へ向かう流れが生じる。さらに、このとき、回転駆動される駆動軸8の流出孔84からは、遠心力によって駆動軸8内の冷媒が流出する。これにより、駆動軸8内の冷媒には、流出孔84へ向かう流れが生じる。この結果、駆動軸8の前端部の周囲の冷媒が駆動軸8の流入孔82に流入する。流入孔82には、駆動軸8の前端部の周囲の冷媒だけでなく、当該前端部を支持するベアリング22と電動機4の前端部との間の空間の冷媒も、ベアリング22内の隙間を通じて流入し得る。そして、流入孔82に流入した冷媒は、軸方向孔81を通じて電動機4の後端側へ移動し、流出孔84から駆動軸8の外に流出する。なお、電動機4の前端側の他の冷媒Fは、ステータ4a内の隙間や、ステータ4aとロータ4bとの間の隙間、ステータ4aの外周部とハウジング2との間の隙間を通って、電動機4の後端側へ移動する。
モータ収容部24内の冷媒が電動機4の後端側へ移動することにより、吸入ポート40を通じて新たな冷媒Fがモータ収容部24内に流入する。吸入ポート40から流入した冷媒Fは、電動機4の前端部と、インバータ収容ハウジング部材2Cのエンドプレート17との間の空間に流入する。そして、エンドプレート17を介してインバータ収容部25内のインバータ装置60を冷却する。その後、冷媒Fの一部は、駆動軸8の流入孔82に流入し、軸方向孔81を通って電動機4の後端側へ移動し、流出孔84から流出する。また、他の冷媒Fは、ステータ4a内の隙間や、ステータ4aとロータ4bとの間の隙間、ステータ4aの外周部とハウジング2との間の隙間を通って、電動機4の後端側へ移動する。
このように、冷媒Fの一部が駆動軸8内を通ることにより、吸入ポート40から吸入される冷媒F全体が電動機4から吸収する熱量を抑えることができる。したがって、冷媒Fが熱を吸収して膨張することによって、圧縮機構3に取り込まれる冷媒Fの単位時間当たりの質量が低下する、ということを抑制することができる。
以上のように、本実施形態に係る電動圧縮機1は、電動機4と、電動機4の一端側に配置されて電動機4を駆動制御するインバータ装置60と、電動機4に取り付けられて電動機4により回転される駆動軸8であって電動機4の一端側及び他端側に延出する駆動軸8と、電動機4の他端側において駆動軸8に接続される圧縮機構3と、電動機4とインバータ装置60と駆動軸8と圧縮機構3とを収容するハウジング2と、を備えている。ハウジング2は、ハウジング2に作動流体を吸入するための吸入ポート40と、圧縮機構3により圧縮された作動流体をハウジング2から吐出するための吐出ポート45を有している。駆動軸8は、電動機4の一端側から他端側まで駆動軸8の軸方向に延びる軸方向孔81と、電動機4の一端側において軸方向孔81と連通して軸方向孔81に作動流体が流入するための流入孔82と、電動機4の他端側において軸方向孔81と連通して軸方向孔81から作動流体が流出するための流出孔84と、を有している。そして、流出孔84は、駆動軸8の軸方向とは非平行な方向に延びている。
このような電動圧縮機1によれば、駆動軸8内に流入孔82、軸方向孔81および流出孔84を設けたことにより、電動圧縮機1の外形寸法を増大させることなく、電動圧縮機1内に作動流体の流路を確保することができる。また、インバータ装置60と電動機4との間に流入した作動流体の少なくとも一部を比較的低温の駆動軸8内を通じて電動機4の一端側から他端側へ移動させることにより、当該作動流体が電動機4の熱によって膨張することを抑制することができる。なお、流出孔84が駆動軸8の軸方向とは非平行な方向に延びていることにより、駆動軸8が回転駆動される間、流出孔84内の空気を遠心力によって流出させて、駆動軸8内の作動流体に流出孔84に向かう流れを形成することができる。この結果、駆動軸8の周囲の作動流体を駆動軸8の流入孔82に流入させて流出孔84から流出させる、ということを促進することができる。すなわち、作動流体を、駆動軸8を通じて電動機4の一端側から他端側へ移動させ易くなる。なお、上述した実施形態において、流出孔84は、駆動軸8の半径方向に延びている。このため、流出孔84内の作動流体を遠心力によって流出させ易くなる。この結果、駆動軸8の周囲の作動流体を駆動軸8の流入孔82に流入させて流出孔84から流出させる、ということを効果的に促進することができる。
また、流入孔82は、駆動軸8の軸方向に延びている。これにより、流入孔82と軸方向孔81とを、駆動軸8に軸方向の穴加工を施すことにより、同時に形成することができる。
なお、上述してきた実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、いくつかの変形例について説明する。
<変形例1>
図3を参照して、上述の一実施の形態における電動圧縮機1の変形例1について説明する。図3は、変形例1による電動圧縮機1Aの全体的な構成を示す軸方向断面図である。
図3に示す変形例1では、図1および図2に示す電動圧縮機1と比較して、駆動軸8Aが軸方向とは非平行な方向に延びる流入孔83を有している点で異なっている。他の構成は、図1および図2に示す電動圧縮機1と略同一である。図3に示す変形例1において、図1および図2に示す一実施の形態と同一の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図3に示す電動圧縮機1Aの駆動軸8Aは、図1に示す駆動軸8と同様に、軸方向孔81、流入孔82および流出孔84を有する。さらに、駆動軸8Aは、軸方向とは非平行な方向に延びる流入孔83を有している。流入孔83は、駆動軸8の前端部を支持するベアリング22と電動機4の前端部との間に開口している。これにより、駆動軸8Aの半径方向外側の冷媒が駆動軸8A内に流入し易くなる。とりわけ図示の例では、駆動軸8Aには、駆動軸8Aの軸方向に延びる流入孔82も設けられているため、冷媒を、駆動軸8Aの軸方向外側および半径方向外側から、駆動軸8A内に流入させることができる。また、図示の例では、流入孔83は、駆動軸8Aの半径方向に延びている。このため、駆動軸8Aに流入孔83を設けるための穴加工を、容易に施すことができる。
なお、流出孔84の開口面積は、流入孔83の開口面積よりも大きい。これにより、駆動軸8Aが回転駆動される際、流出孔84内において遠心力が働く冷媒の量が、流入孔83内において遠心力が働く冷媒の量よりも多くなる。この結果、流入孔83内の冷媒に働く力としては、遠心力よりも軸方向孔81を通じて流出孔84に向かう力が勝り、駆動軸8A内に、流入孔83から流出孔84へ向かう冷媒の流れが形成される。
以上のように、変形例1に係る電動圧縮機1Aにおいて、流入孔83は、駆動軸8Aの軸方向とは非平行な方向に延びている。これにより、駆動軸8Aの半径方向外側の作動流体が駆動軸8A内に流入し易くなる。
図2に示す例では、流入孔83は、駆動軸8Aの半径方向に延びている。これにより、駆動軸8Aに流入孔83を設けるための穴加工を施すことが、容易である。
また、流出孔84の開口面積は、流入孔83の開口面積よりも大きい。これにより、駆動軸8Aが回転駆動される際、流出孔84内において遠心力が働く作動流体の量が、流入孔83内において遠心力が働く作動流体の量よりも多くなり、駆動軸8A内に流入孔83から流出孔84へ向かう作動流体の流れが形成され易くなる。
とりわけ、図示の例では、駆動軸8Aは、電動機4の一端側において軸方向孔81と連通して軸方向孔81に作動流体が流入するための流入孔82であって、駆動軸8Aの軸方向に延びる流入孔82と、電動機4の一端側において軸方向孔81と連通して軸方向孔81に作動流体が流入するための流入孔83であって、駆動軸8Aの軸方向とは非平行な方向に延びる流入孔83と、を有する。これにより、冷媒を、駆動軸8Aの半径方向外側からだけでなく、軸方向外側からも、駆動軸8A内に流入させることができる。
また、流出孔84の開口面積は、流入孔82、83のうち、駆動軸8Aの軸方向とは非平行な方向に延びる流入孔83の開口面積よりも大きい。これにより、駆動軸8Aが回転駆動される際、流出孔84内において遠心力が働く作動流体の量が、流入孔83内において遠心力が働く作動流体の量よりも多くなり、駆動軸8A内に、流入孔83から流出孔84へ向かう作動流体の流れが形成され易くなる。
<変形例2>
次に、図4および図5を参照して、上述の一実施の形態における電動圧縮機1の変形例2について説明する。図4は、変形例2による電動圧縮機1Bの全体的な構成を示す軸方向断面図である。また、図5は、図4に示す電動機と駆動軸と遮蔽部材とを示す分解斜視図である。
図4および図5に示す変形例2では、図3に示す電動圧縮機1Aと比較して、電動機4の両端側に一対の遮蔽部材(バッフルプレート)91、92が配置されている点で異なっている。他の構成は、図3に示す電動圧縮機1Aと略同一である。図4および図5に示す変形例2において、図3に示す変形例1と同一の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図5に示すように、バッフルプレート91、92は、それぞれ、駆動軸8Aの半径方向外側の領域において、電動機4の前端部および後端部を覆う円盤状の部材である。バッフルプレート91、92の中央には、それぞれ、駆動軸8Aが貫通する貫通孔91a、92aが設けられている。また、電動機4の前端側(インバータ装置60の側)に配置されるバッフルプレート91には、ステータ4aから引き出されたリード線4cの端子4dを挿通させるための切り欠き91cが設けられている。図示の例では、バッフルプレート91、92は、少なくともステータ4a並びにステータ4aとロータ4bとの隙間を覆っている。図4に示すように、バッフルプレート91、92が設けられていることにより、吸入ポート40から吸入された冷媒が、ステータ4a内の隙間や、ステータ4aとロータ4bとの隙間を通って電動機4の後端側へ移動することが抑制される。この結果、冷媒全体として電動機4から吸収する熱量を、さらに効果的に抑えることができる。
また、バッフルプレート91,92は、断熱部材である。これにより、モータ収容部24内の、電動機4の前端側および後端側の空間内の冷媒が、電動機4の発する熱を吸収して膨張することが抑制される。
なお、図示の例では、電動機4の両端側にバッフルプレート91、92が設けられているが、電動機4の前端側または後端側にのみバッフルプレートが設けられていてもよい。この場合も、冷媒がステータ4a内の隙間やステータ4aとロータ4bとの隙間を通過することを、抑制することができる。また、モータ収容部24内の、電動機4の前端側および後端側の空間内のうち、少なくともバッフルプレートが設けられた側の空間において、冷媒が電動機4の発する熱を吸収することを、抑制することができる。
以上のように、変形例2に係る電動圧縮機1Bにおいて、電動圧縮機1Bは、駆動軸8Aの半径方向外側の領域において電動機4の一端側の端部および/または他端側の端部の少なくとも一部を覆う遮蔽部材91,92をさらに備えている。このような遮蔽部材91,92により、電動機4の一端側(図3の左側)の作動流体が電動機4のステータ4a内の隙間やステータ4aとロータ4bとの隙間を通って電動機4の発する熱を吸収する、ということが抑制される。
また、遮蔽部材91,92は、断熱部材である。これにより、電動機4の一端側および/または他端側の作動流体が、圧縮機構3に取り込まれる前に、電動機4の発する熱を吸収して膨張することが抑制される。そして、圧縮機構3に取り込まれる作動流体の単位質量辺りの質量が低下するということを、さらに効果的に防止することができる。
以上、スクロール型電動圧縮機を例に挙げて説明してきたが、本発明は、低圧容器型の圧縮機であれは、他の圧縮機にも適用可能である。例えば、ベーンロータリー型や、ローリングピストン型、スクリュー型の圧縮機にも適用可能である。
1、1A、1B 電動圧縮機
2 ハウジング
3 圧縮機構
4 電動機
4a ステータ
4b ロータ
4d 端子
8、8A 駆動軸
31 固定スクロール
32 揺動スクロール
40 吸入ポート
45 吐出ポート
60 インバータ装置
81 軸方向孔
82、83 流入孔
84 流出孔

Claims (11)

  1. 電動機(4)と、前記電動機(4)の一端側に配置されて前記電動機(4)を駆動制御するインバータ装置(60)と、前記電動機(4)に取り付けられて前記電動機(4)により回転される駆動軸(8、8A)であって前記電動機(4)の一端側及び他端側に延出する駆動軸(8、8A)と、前記電動機(4)の他端側において前記駆動軸(8、8A)に接続される圧縮機構(3)と、前記電動機(4)と前記インバータ装置(60)と前記駆動軸(8、8A)と前記圧縮機構(3)とを収容するハウジング(2)と、を備えた電動圧縮機(1、1A、1B)において、
    前記ハウジング(2)は、前記ハウジング(2)に作動流体を吸入するための吸入ポート(40)と、前記圧縮機構(3)により圧縮された作動流体を前記ハウジング(2)から吐出するための吐出ポート(45)を有し、
    前記駆動軸(8、8A)は、前記電動機(4)の一端側から他端側まで前記駆動軸(8,8A)の軸方向に延びる軸方向孔(81)と、前記電動機(4)の一端側において前記軸方向孔(81)と連通して前記軸方向孔(81)に作動流体が流入するための流入孔(82,83)と、前記電動機(4)の他端側において前記軸方向孔(81)と連通して前記軸方向孔(81)から作動流体が流出するための流出孔(84)と、を有している、電動圧縮機(1、1A、1B)。
  2. 前記流出孔(84)は、前記駆動軸(8,8A)の軸方向とは非平行な方向に延びている、請求項1に記載の電動圧縮機(1、1A、1B)。
  3. 前記流出孔(84)は、前記駆動軸(8,8A)の半径方向に延びている、請求項2に記載の電動圧縮機(1、1A、1B)。
  4. 前記流入孔(82)は、前記駆動軸(8、8A)の軸方向に延びている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電動圧縮機(1、1B)。
  5. 前記流入孔(83)は、前記駆動軸(8A)の軸方向とは非平行な方向に延びている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電動圧縮機(1A、1B)。
  6. 前記流入孔(83)は、前記駆動軸(8A)の半径方向に延びている、請求項5に記載の電動圧縮機(1A、1B)。
  7. 前記流出孔(84)の開口面積は、前記流入孔(83)の開口面積よりも大きい、請求項5または6に記載の電動圧縮機(1A、1B)。
  8. 前記駆動軸(8A)は、
    前記電動機(4)の一端側において前記軸方向孔(81)と連通して前記軸方向孔(81)に作動流体が流入するための流入孔(82)であって、前記駆動軸(8A)の軸方向に延びる流入孔(82)と、
    前記電動機(4)の一端側において前記軸方向孔(81)と連通して前記軸方向孔(81)に作動流体が流入するための流入孔(83)であって、前記駆動軸(8A)の軸方向とは非平行な方向に延びる流入孔(83)と、を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電動圧縮機(1A、1B)。
  9. 前記流出孔(84)の開口面積は、前記駆動軸(8A)の軸方向とは非平行な方向に延びる流入孔(83)の開口面積よりも大きい、請求項8に記載の電動圧縮機(1A、1B)。
  10. 前記駆動軸(8A)の半径方向外側の領域において前記電動機(4)の一端側の端部および/または他端側の端部の少なくとも一部を覆う遮蔽部材(91,92)をさらに備えた、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電動圧縮機(1B)。
  11. 前記遮蔽部材(91,92)は、断熱部材である、請求項10に記載の電動圧縮機(1B)。
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