以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
(第1実施形態)
図1(A),(B)は、それぞれ第1実施形態の旅客搭乗橋の一例を示す図である。図1(A)は、同旅客搭乗橋のトンネル部が最も伸長したときの状態を側方から視た概略図であり、図1(B)は、同旅客搭乗橋のトンネル部が最も収縮したときの状態を側方から視た概略図である。
以下、便宜上、旅客搭乗橋1のトンネル部3の全長が伸縮する伸縮方向を前後方向とし、旅客搭乗橋1に重力が作用する方向を上下方向として説明する。また、図1(A)、(B)に示すように、旅客搭乗橋1において、航空機側を「前」とし、ターミナルビル側を「後」として説明する。
本実施形態の旅客搭乗橋1は、空港のターミナルビルの乗降口に接続されて鉛直軸の回りに回転自在に支持されたロタンダ(後方円形室)2と、基端がロタンダ2に接続されて先端が昇降するように上下方向に揺動可能なトンネル部3と、トンネル部3の先端に回転自在に設けられたキャブ(図示せず)と、トンネル部3の先端寄りでトンネル部3を支持するドライブコラム4と、供給システム6と、を備えている。
トンネル部3は、断面積の異なる筒状の複数のトンネル31〜33が入れ子式に嵌合されて前後方向に相互に相対移動して伸縮可能に構成されている。トンネル部3は、基端側から最も断面積の小さい第1トンネル31、次に断面積の大きい第2トンネル32、最も断面積の大きい第3トンネル33が入れ子式に嵌合されて、その内部空間に乗客の歩行通路を形成する。トンネル部3が伸長したときには、基端側から第1トンネル31、第2トンネル32、第3トンネル33の順に並び、第3トンネル33が最も先端側となる。このトンネル部3において、隣り合うトンネルは、外側と内側との相対関係を有し、外側のトンネルが先端側のトンネルとなるように嵌合されている。すなわち先端側のトンネルほど外側となる(基端側のトンネルほど内側となる)ように嵌合されている。よって、第3トンネル33が最も外側のトンネルとなり、その内側に第2トンネル32が嵌合され、第2トンネル32の内側に第1トンネル31が嵌合されるよう構成されている。なお、トンネル部3の前後方向は、トンネル部3及び各トンネル31〜33の長手方向に等しい。
ロタンダ2は、ターミナルビルの乗降口に接続されて上下方向の軸に対して回転自在に支持されており、第1トンネル部31の後端部に接続されている。キャブは、第3トンネル33の前端に接続され、回転自在に設けられている。
ドライブコラム4は、トンネル部3を支持するよう、例えばトンネル部3の前方寄りの適所(具体的には最も前方の第3トンネル33の適所)に設けられている。
そして、ドライブコラム4は、走行装置として機能し、その下端の駆動輪4aがエプロン上を前後方向に走行すると、トンネル部3に、前後方向の伸縮運動の動力が伝わる。そして、トンネル部3の全長が伸びることにより、トンネル部3の前方端に配されたキャブが航空機の乗降口に到達すると、ターミナルビルの乗降口と航空機の乗降口との間の乗客の歩行通路が形成される。また、ドライブコラム4は、上下方向に伸縮可能に構成され、ドライブコラム4の上下方向の伸縮運動により、トンネル部3が、ターミナルビルの乗降口近傍のロタンダ2を基準に、上下方向に揺動運動できる。
次に、トンネル部3の上部には、トンネル部3内に、またはトンネル部3を介して航空機内に給電または給水を行う供給システム6が取り付けられている。本実施形態では、供給システム6は、トンネル部3に電気を供給するものである。
供給システム6は、供給ラインとしての給電用のケーブル(図4のケーブルL1,L2を参照)と、ケーブルを支持する支持装置7と、内部にケーブルが挿通される保護案内部材81〜83とを備えている。
支持装置7は、筒状の複数の支持体(第1〜第3支持体71〜73)が入れ子式に嵌合されて前後方向に相互に相対移動して伸縮可能に構成されている。この詳細については後述する。
保護案内部材81〜83は、例えば、ケーブルベヤ(登録商標)を用いて構成することができ、あらゆる部分において屈曲可能に構成されている。ただし、保護案内部材81〜83は、曲がり部の位置が適宜に変更可能であれば、その一部が屈曲不能であってもよい。
図2(A)は、保護案内部材81〜83が明瞭となるように特化した旅客搭乗橋1の拡大側面図であり、図2(B)は、図2(A)に対応する同旅客搭乗橋1の平面図(一部透視図)である。
保護案内部材81は、その一端81aが第1支持体71の先端部(前端部)に固定され、他端81bが第2支持体72の内側底面の前後方向中央付近に固定されている。保護案内部材81は、一端81aから基端側に向かって延びてから屈曲して第2支持体72の内側底面に沿い、さらに先端側に向かうように延びて他端81bに至る。
この保護案内部材81は、第1支持体71の外側底面に沿う部分と、第2支持体72の内側底面に沿う部分との間の部分が、側面視U字状に屈曲する屈曲部分81cとなる。そして、支持装置7の伸縮に伴って屈曲部分81cの保護案内部材81における位置が変化する。すなわち、支持装置7が伸長する場合は、第1支持体71の外側底面に沿う部分が短くなり、第2支持体72の内側底面に沿う部分が長くなるように、屈曲部分81cの位置が変化する。支持装置7が収縮する場合は、上記の伸長する場合とは逆になる。
また、保護案内部材82は、その一端82aが第2支持体72の内側底面の前方部分に固定され、他端82bが第3トンネル33の基端(後端)寄り部分の外側天面に固定されている。保護案内部材82は、一端82aから第3支持体73内を先端側に向かって延びてから屈曲して第3支持体73の下方に至り、さらに基端側に向かうように延びて他端82bに至る。
この保護案内部材82は、第3支持体73の内側底面に沿う部分と、第3支持体73の下方の第3トンネル33の外側天面に沿う部分との間の部分が、側面視U字状に屈曲する屈曲部分82cとなる。この屈曲部分82cが第3支持体73の先端寄り部分を通るよう、第3支持体73の先端寄り部分の底面が開口されている。そして、支持装置7の伸縮に伴って屈曲部分82cの保護案内部材82における位置が変化する。すなわち、支持装置7が伸長する場合は、第3支持体73の内側底面に沿う部分が長くなり、第3トンネル33の外側天面に沿う部分が短くなるように、屈曲部分82cの位置が変化する。支持装置7が収縮する場合は、上記の伸長する場合とは逆になる。
また、保護案内部材83は、保護案内部材82の側方に配され、その一端83aが第2支持体72の内側底面の前寄り部分に固定され、他端83bがパイプ22の先端(前端)に固定されている。この保護案内部材83も、支持装置7の伸縮に伴って屈曲部分83cの位置が変化する。
次に、支持装置7が伸縮する原理の一例について説明する。図3は、支持装置7が伸縮する原理の一例を説明するための支持装置7の伸縮機構を示す概念図である。
第1トンネル31の後端部の外側天面上に支持脚11が設けられている。第1支持体71は、その後端部が支持脚11に支持されて所定高さに固定されている。
第2支持体72には、2つの滑車P1,P2が取り付けられている。滑車P1は、第2支持体72の後寄りの所定位置に固定されている。滑車P1にはワイヤーロープW1が掛けられている。ワイヤーロープW1の一端W1aは、第1支持体71の前部に固定され、他端W1bは、第3支持体73の後部に固定されている。また、滑車P2は、第2支持体72の前寄りの所定位置に固定されている。滑車P2にはワイヤーロープW2が掛けられている。ワイヤーロープW2の一端W2aは、第1支持体71に固定され、他端W2bは、第3支持体73の後部に固定されている。
次に、第3支持体73には、2つの滑車P3,P4が取り付けられている。滑車P3は、第3支持体73の後寄りの所定位置に固定され、滑車P4は、第3支持体73の前寄りの所定位置に固定されている。2つの滑車P3,P4には無端のワイヤーロープW3が掛けられている。ワイヤーロープW3の所定の接続箇所W3aが、第2トンネル32に固定された接続部20に接続されている。また、ワイヤーロープW3の接続箇所W3aとは前後反対方向に相対的に移動する部分における別の接続箇所W3bが、第3トンネル33の後端付近の外側天面上に固定された接続部24に接続されている。
上述の2つの滑車P3,P4及びワイヤーロープW3等を用いて第3支持体73を移動させる移動機構M1が構成されている。また、2つの滑車P1,P2及びワイヤーロープW1,W2等を用いて第2支持体72を移動させる移動機構M2が構成されている。これら2つの移動機構M1,M2によって支持装置7の伸縮機構が構成されている。
なお、ドライブコラム4(図1)が前後方向へ移動(走行)すると、第3トンネル33も前後方向へ移動する。第2トンネル32は、第3トンネル33が前後方向に移動すると、第3トンネル33と同方向へ、第3トンネル33の半分の速度で移動するよう構成されている。これは、周知の構成である。
ここで、ドライブコラム4の移動によってトンネル部3が伸長する際、例えば、第3トンネル33が矢印S1で示す前方向へ距離(x)移動すると、第2トンネル32は、第3トンネル33の半分の距離(x/2)だけ前方向へ移動する。これにより、ワイヤーロープW3の接続箇所W3bが前方向へ距離(x)移動し、接続箇所W3aが前方向へ距離(x/2)移動する。これによって、滑車P3がワイヤーロープW3に引っ張られて、滑車P3とともに第3支持体73及び滑車P4が前方向へ移動する。この移動距離は、{x+(x/2)}×(1/2)=3x/4である。
そして、第3支持体73が前方向へ距離(3x/4)移動すると、第3支持体73に固定されたワイヤーロープW1の他端W1bも前方向へ距離(3x/4)移動する。これにより、滑車P1が前方向へ引っ張られて、滑車P1とともに第2支持体72及び滑車P2が前方向へ距離(3x/8)移動する。
すなわち、第3トンネル33が前方向へ距離(x)移動すると、移動機構M1によって第3支持体73は前方向へ距離(3x/4)移動する。そして、第3支持体73が前方向へ距離(3x/4)移動すると、移動機構M2によって第2支持体72は前方向へ距離(3x/8)移動する。
一方、ドライブコラム4の移動によってトンネル部3が収縮する際、例えば、第3トンネル33が矢印S2で示す後方向へ距離(x)移動すると、第2トンネル32は、第3トンネル33の半分の距離(x/2)だけ後方向へ移動する。これにより、第3支持体73は後方向へ距離(3x/4)移動する。
そして、第3支持体73が後方向へ距離(3x/4)移動すると、第3支持体73に固定されたワイヤーロープW2の他端W2bも後方向へ距離(3x/4)移動する。これにより、滑車P2が後方向へ引っ張られて、滑車P2とともに第2支持体72及び滑車P1が後方向へ距離(3x/8)移動する。
すなわち、第3トンネル33が後方向へ距離(x)移動すると、移動機構M1によって第3支持体73は後方向へ距離(3x/4)移動する。そして、第3支持体73が後方向へ距離(3x/4)移動すると、移動機構M2によって第2支持体72は後方向へ距離(3x/8)移動する。
以上のように、トンネル部3の伸縮に応じて支持装置7が伸縮する。このトンネル部3及び支持装置7が伸長又は収縮する際には、上述のように第3支持体73の移動速度が第3トンネル33の移動速度よりも遅くなるよう移動機構M1が構成され、第2支持体72の移動速度が第3支持体73の移動速度よりも遅くなるよう移動機構M2が構成されている。
なお、図3では、2つの滑車P1,P2のそれぞれに対してワイヤーロープW1,W2が設けられているが、これに限らない。例えば、ワイヤーロープW1,W2の一端W1a,W2aを第1支持体71の同一箇所に固定し、他端W1b,W2bを第3支持体73の同一箇所に固定し、2つの滑車P1,P2が上下方向及び左右方向において同一レベルに配置されることを想定すれば、2つの滑車P3,P4に対するワイヤーロープW3の場合と同様、ワイヤーロープW1,W2を無端の1つのワイヤーロープで構成することができる。逆に、2つの滑車P3,P4に対する1つのワイヤーロープW3を、2つの滑車P1,P2に対するワイヤーロープW1,W2のように、2つのワイヤーロープに分離することも可能である。
次に、図4は、支持装置7を含む供給システム6を説明するための概念図である。図3の支持装置7の伸縮機構の原理図に対し、図4では、支持装置7を伸縮させる構造を図1(A),(B)に示す例に近づけて示している。
図4に示すように、図3において、第1支持体71に固定されていたワイヤーロープW2の一端W2aは、第1支持体71が支持されている支持脚11に接続されている。
また、ワイヤーロープW3の接続箇所W3aが接続される接続部20が、第2トンネル32の後端に固定された支柱部21と、支柱部21の上端に一端が固定されたパイプ22と、パイプ22の他端に固定された接続部23とで構成されている。そして、接続部23がワイヤーロープW3の接続箇所W3aに接続されている。
この図4のように支持装置7の伸縮機構を変形しても、支持装置7が伸縮する原理は図3の場合と同様である。
図5(A)は、支持装置7の伸縮機構が明瞭となるように特化した旅客搭乗橋1の拡大側面図であり、図5(B)は、図5(A)に対応する同旅客搭乗橋1の平面図(一部透視図)である。
また、図6は、第2支持体72の滑車P1及びワイヤーロープW1の取付位置等の具体例を示す概略斜視図である。図7は、第2支持体72の滑車P2及びワイヤーロープW2の取付位置等の具体例を示す概略斜視図である。図8は、第3支持体73の滑車P3,P4及びワイヤーロープW3の取付位置等の具体例を示す概略斜視図である。なお、図6〜図8において示されている各トンネル31〜33は、その外側天面のみ図示されている。
図5(A),(B)及び図6に示すように、滑車P1は、その回転軸が垂直となる姿勢で、第2支持体72の後端部に適宜の取付部材(図示せず)を用いて取り付けられている。ワイヤーロープW1の一端W1aは、第1支持体71の前部に固定された接続部12に接続され、他端W1bは、第3支持体73の後部に固定された接続部13に接続されている。
また、図5(A),(B)及び図7に示すように、滑車P2は、その回転軸が水平となる姿勢で、第2支持体72の前端付近に適宜の取付部材(図示せず)を用いて取り付けられている。ワイヤーロープW2の一端W2aは、第1支持体71を支持する支持脚11に接続され、他端W2bは、第3支持体73の後端部に固定された接続部14に接続されている。
また、図5(A),(B)及び図8に示すように、滑車P3は、その回転軸が垂直となる姿勢で、第3支持体73の後端付近に適宜の取付部材(図示せず)を用いて取り付けられている。また、滑車P4は、その回転軸が垂直となる姿勢で、第3支持体73の前端付近に適宜の取付部材(図示せず)を用いて取り付けられている。ワイヤーロープW3の一方の接続箇所W3aは、前述のパイプ22に固定された接続部23に接続され、他方の接続箇所W3bは、第3トンネル33の外側天面に固定された接続部24に接続されている。
次に、図4に示すように、給電用のケーブルL1は、ターミナルビルから延びて第3トンネル33に設けられている制御盤5に接続されている。具体的には、ケーブルL1は、ターミナルビルの電源部等から延びて第1支持体71、保護案内部材81、保護案内部材81,82間の第2支持体72、保護案内部材82の順に、その内部を通り、保護案内部材82の他端82bから第3トンネル33内へ引き込まれて、制御盤5に接続されている。そして、第3トンネル33内の室内灯等への給電は、制御盤5から別途引き出されたケーブル(図示せず)によって行われる。
また、ケーブルL2は、第2トンネル32内の室内灯等への給電用のケーブルである。このケーブルL2は、制御盤5から引出されて、保護案内部材82、保護案内部材83、パイプ22の順に、その内部を通り、パイプ22の支柱部21寄りの端部から第2トンネル32内へ引き込まれる。なお、保護案内部材82の一端82aと保護案内部材83の一端83aとの間におけるケーブルL2の引き回しは第2支持体72の内部で行われている。
上述の各ケーブルL1,L2のトンネル部3の外側に存在する部分の全部が、支持装置7の伸縮状態にかかわらず、支持装置7の最も先端(前端)部分よりも常に基端側(後端側)に存在するよう構成されている。各ケーブルL1,L2は、屈曲自在な構成である。
なお、第1トンネル31内の室内灯等への給電は、ターミナルビルからロタンダ2内を通って第1トンネル31へ引き込まれるケーブル(図示せず)によって行われる。
次に、支持装置7のスライド構造等について説明する。図9(A)は、図1(A)におけるA−A断面図であり、図9(B)は、図1(A)におけるB−B断面図であり、図9(C)は、図1(A)におけるC−C断面図である。なお、図9(A)〜図9(C)において、保護案内部材81,82の内部を通るケーブルは図示されていない。
まず、図9(A)に示すように、第1支持体71の4つのコーナ部の外側にローラR1〜R4が取り付けられ、これらのローラR1〜R4を案内する前後方向に延びるレールG1〜G4が第2支持体72の内側に取り付けられている。このような構成によって、第2支持体72は、第1支持体71に対して前後方向にスライド可能である。
また、図9(B)に示すように、第2支持体72の外側底面に前後方向に延びるレールG5,G6が取り付けられている、そして、第2トンネル32の後端の天面に固定されたローラ取付部材41にローラR5〜R8が図示されるように取り付けられている。このような構成によって、第2支持体72は、第2トンネル32に対してローラR6、R7によって左右方向が位置決めされ、かつローラR5、R8によって支持された状態で前後方向にスライド可能である。
また、図9(C)に示すように、第3支持体73の内側には前後方向に延びるレールG7〜G10が取り付けられている。これは、第2支持体72の4つのコーナ部の外側に取り付けられたローラ(図示せず)を案内するものである。このような構成によって、第2支持体72と第3支持体73とは、互いに前後方向にスライド可能である。
さらに、第3支持体73の外側底面に前後方向に延びるレールG11,G12が取り付けられている、そして、第3トンネル33の後端の天面に固定されたローラ取付部材42,43にローラR9〜R12が図示されるように取り付けられている。また、第3支持体73の前端の左右両側には、ローラR20(図1)が取り付けられ、これらのローラR20を案内する一対のレール(図示せず)が第3トンネル33の天面に取り付けられている。このような構成によって、第3支持体73は、第3トンネル33に対して左右方向が位置決めされつつ支持された状態で前後方向にスライド可能である。
以上に述べた支持装置7が伸縮する際のスライド構造は、適宜変更可能である。
本実施形態では、図1(A),(B)に示すように、トンネル部3及び支持装置7の伸縮状態にかかわらず、トンネル部3の最も基端側のトンネル31と支持装置7の最も基端側の支持体71との長手方向における相対的位置が常に不変である。そして、トンネル部3及び支持装置7の伸縮状態にかかわらず、支持装置7の先端部分がトンネル部3の先端部分から基端寄りに所定距離SL1離れた位置よりも常に基端側に位置するよう構成されている。換言すれば、トンネル部3の先端部分(すなわち、最も先端側のトンネル33の先端部分)から基端寄りに所定距離SL1離れた位置までの範囲を制限エリアとし、トンネル部3及び支持装置7の伸縮状態にかかわらず、支持装置7の先端部分が上記の制限エリアよりも常に基端側に位置するよう構成されている。
なお、支持装置7の伸縮機構は、前述の例に限らない。例えば、第3トンネル33の移動によって第3支持体73が移動する構成として、第3トンネル33に長手方向に離れた2つのストッパ(前方側ストッパと後方側ストッパ)を設け、第3支持体73に上記2つのストッパの間に配置され上記ストッパと当接可能な当接部を設ける。そして、トンネル部3が伸長する際、第3トンネル33が前方へ移動するときに、後方側ストッパが第3支持体73の当接部に当接して前方へ押すことにより第3支持体73が前方へ移動するようにする。一方、トンネル部3が収縮する際、第3トンネル33が後方へ移動するときに、前方側ストッパが第3支持体73の当接部に当接して後方へ押すことにより第3支持体73が後方へ移動するようにする。もちろんこれとは逆に、第3支持体73に2つのストッパを設け、第3トンネル33に当接部を設けても構わない。
さらに、第3支持体73の移動によって第2支持体72が移動する構成として、第3支持体73に長手方向に離れた2つのストッパ(前方側ストッパと後方側ストッパ)を設け、第2支持体72に上記2つのストッパの間に配置され上記ストッパと当接可能な当接部を設ける。そして、トンネル部3が伸長する際、第3支持体73が前方へ移動するときに、後方側ストッパが第2支持体72の当接部に当接して前方へ押すことにより第2支持体72が前方へ移動するようにする。一方、トンネル部3が収縮する際、第3支持体73が後方へ移動するときに、前方側ストッパが第2支持体72の当接部に当接して後方へ押すことにより第2支持体72が後方へ移動するようにする。もちろんこれとは逆に、第2支持体72に2つのストッパを設け、第3支持体73に当接部を設けても構わない。
本実施形態によれば、トンネル部3上方に配置された支持装置7が、トンネル部3を構成するトンネル31〜33の個数と同数の支持体71〜73を備え、トンネル部3の伸縮に伴って伸縮する。そして、トンネル部3の伸縮状態にかかわらず、支持装置7の先端部分が、トンネル部3の先端部分から基端寄りに所定距離SL1離れた位置(位置yとする)よりも常に基端側に位置するよう構成されている。これにより、トンネル部3の先端側上部にスペースを設けることが可能となり、このスペースに空調機等の他の装置を配置することができる。上記の所定距離SL1離れた位置yを、ドライブコラム4が第3トンネル33を支持する位置もしくは当該支持する位置よりも基端側の位置とすることにより、図1(A),(B)に示されるように、支持装置7の先端部分がドライブコラム4よりも常に基端側に位置するよう構成され、トンネル部3の先端側上部に広いスペースが設けられる。
(第2実施形態)
前述の第1実施形態では、トンネル部が3個のトンネルからなる場合について述べたが、第2実施形態では、トンネル部が2個のトンネルからなる場合について説明する。
この第2実施形態では、トンネル部及び供給システム以外の構成は、第1実施形態の場合と基本的に同様である。以下では、主に、第2実施形態におけるトンネル部及び供給システムの構成について説明する。
図10(A)は、第2実施形態における旅客搭乗橋のトンネル部が最も伸長したときのトンネル部及び供給システムの状態を側方から視た概略図であり、図10(B)は、図10(A)に対応するトンネル部及び供給システムの平面図(一部透視図)である。また、図11(A)は、第2実施形態におけるトンネル部が最も収縮したときのトンネル部及び供給システムの状態を側方から視た概略図であり、図11(B)は、図11(A)に対応するトンネル部及び供給システムの平面図(一部透視図)である。図12は、第2実施形態における供給システムを示す概念図である。
本実施形態におけるトンネル部3Aは、2個のトンネル31,32が入れ子式に嵌合されて前後方向に相互に相対移動して伸縮可能に構成されている。
また、供給システム6Aは、供給ラインの一例である給電用の屈曲自在なケーブルL11(図12)と、ケーブルL11を支持する支持装置7Aと、内部にケーブルが挿通される保護案内部材84とを備えている。
支持装置7Aは、筒状の2個の支持体71,72が入れ子式に嵌合されて前後方向に相互に相対移動して伸縮可能に構成されている。
第1支持体71の後端部は、第1トンネル31の後端部の外側天面上に設けられた支持脚11に支持されて所定高さに固定されている。
第2支持体72には、2つの滑車P5,P6が取り付けられている。滑車P5は、その回転軸が垂直となる姿勢で、第2支持体72の後寄りの所定位置に固定されている。滑車P6は、その回転軸が垂直となる姿勢で、第2支持体72の前寄りの所定位置に固定されている。2つの滑車P5,P6には無端のワイヤーロープW4が掛けられている。ワイヤーロープW4の所定の接続箇所W4aが、第1支持体71に固定された接続部25に接続されている。また、ワイヤーロープW4の接続箇所W4aとは前後反対方向に相対的に移動する部分における別の接続箇所W4bが、第2トンネル32の後端付近の外側天面上に固定された接続部26に接続されている。
保護案内部材84は、前述の保護案内部材81等と同様、あらゆる部分において屈曲可能に構成されている。この保護案内部材84は、その一端84aが第1支持体71の先端部(前端部)に固定され、他端84bが第2トンネル32の基端(後端)寄り部分の外側天面に固定されている。また、保護案内部材84は、一端84aから第2支持体72内を先端側に向かって延びてから屈曲して第2支持体72の下方に至り、さらに基端側に向かうように延びて他端84bに至る。
この保護案内部材84は、第2支持体72の内側底面に沿う部分と、第2支持体72の下方の第2トンネル32の外側天面に沿う部分との間の部分が、側面視U字状に屈曲する屈曲部分84cとなる。この屈曲部分84cが第2支持体72の先端寄り部分を通るよう、第2支持体72の先端寄り部分の底面が開口されている。そして、支持装置7Aの伸縮に伴って屈曲部分84cの保護案内部材84における位置が変化する。すなわち、支持装置7Aが伸長する場合は、第2支持体72の内側底面に沿う部分が長くなり、第2トンネル32の外側天面に沿う部分が短くなるように、屈曲部分84cの位置が変化する。支持装置7Aが収縮する場合は、上記の伸長する場合とは逆になる。
次に、図12に示すように、給電用のケーブルL11は、ターミナルビルから延びて第2トンネル32に設けられた制御盤5Aに接続されている。具体的には、ケーブルL11は、ターミナルビルの電源部等から延びて第1支持体71、保護案内部材84の順に、その内部を通り、保護案内部材84の他端84bから第2トンネル32内へ引き込まれて、制御盤5Aに接続されている。そして、第2トンネル32内の室内灯等への給電は、制御盤5Aから別途引き出されたケーブル(図示せず)によって行われる。ケーブルL11のトンネル部3Aの外側に存在する部分の全部が、支持装置7Aの伸縮状態にかかわらず、支持装置7Aの最も先端(前端)部分よりも常に基端側(後端側)に存在するよう構成されている。
なお、第1トンネル31内の室内灯等への給電は、第1実施形態同様、ターミナルビルからロタンダ内を通って第1トンネル31へ引き込まれるケーブル(図示せず)によって行われる。
次に、支持装置7Aの伸縮機構について説明する。この支持装置7Aの伸縮機構は、2つの滑車P5,P6及びワイヤーロープW4等を用いて第2支持体72を移動させる移動機構M3によって構成されている。
第2実施形態の場合、ドライブコラム4(図1参照)が第2トンネル32の適所(中央よりやや前方位置)に設けられている。ドライブコラム4が前後方向へ移動すると、第2トンネル32も前後方向へ移動し、トンネル部3Aが伸縮する。
ここで、トンネル部3Aが伸長する際、例えば、第2トンネル32が矢印S1で示す前方向へ距離(x)移動すると、ワイヤーロープW4の接続箇所W4bが前方向へ距離(x)移動する。これによって、滑車P5がワイヤーロープW4に引っ張られて、滑車P5とともに第2支持体72及び滑車P6が前方向へ移動する。この移動距離は、(x/2)である。
一方、トンネル部3Aが収縮する際、例えば、第2トンネル32が矢印S2で示す後方向へ距離(x)移動すると、ワイヤーロープW4の接続箇所W4bが後方向へ距離(x)移動する。これによって、滑車P6がワイヤーロープW4に引っ張られて、滑車P6とともに第2支持体72及び滑車P5が後方向へ移動する。この移動距離は、(x/2)である。
以上のように、トンネル部3Aの伸縮に応じて支持装置7Aが伸縮する。このトンネル部3A及び支持装置7Aが伸長又は収縮する際には、上述のように第2支持体72の移動速度が第2トンネル32の移動速度よりも遅くなるよう移動機構M3が構成されている。
なお、支持装置7Aが伸縮する際に支持体72を前後方向にスライドさせるために、ローラ及びローラを案内するレール等を用いて適宜の構造が設けられている。第1支持体71に対する第2支持体72のスライド構造は、例えば図9(A)に示すような第1実施形態の場合と同様に構成することができる。また、図10(A)及び図11(A)に示すように、第2支持体72には、その後端部に第1トンネル31上を転がるローラR31の付いた支持脚が設けられ、前端部に第2トンネル32上を転がるローラR32の付いた支持脚が設けられている。さらに、第2トンネル32の後端部の天面上にローラR33が取り付けられ、第2支持体72の下端には、ローラR33と接して前後方向に延びるレールG33が設けられている。このようなスライド構造は、適宜変更可能である。
この第2実施形態でも、第1実施形態同様、トンネル部3A及び支持装置7Aの伸縮状態にかかわらず、トンネル部3Aの最も基端側のトンネル31と支持装置7Aの最も基端側の支持体71との長手方向における相対的位置が常に不変である。そして、トンネル部3A及び支持装置7Aの伸縮状態にかかわらず、支持装置7Aの先端部分がトンネル部3Aの先端部分から基端寄りに所定距離SL2離れた位置よりも常に基端側に位置するよう構成されている。換言すれば、トンネル部3Aの先端部分(すなわち、最も先端側のトンネル32の先端部分)から基端寄りに所定距離SL2離れた位置までの範囲を制限エリアとし、トンネル部3A及び支持装置7Aの伸縮状態にかかわらず、支持装置7Aの先端部分が上記の制限エリアよりも常に基端側に位置するよう構成されている。
なお、支持装置7Aの伸縮機構は、前述の例に限らない。例えば、第2トンネル32の移動によって第2支持体72が移動する構成として、第2トンネル32に長手方向に離れた2つのストッパ(前方側ストッパと後方側ストッパ)を設け、第2支持体72に上記2つのストッパの間に配置され上記ストッパと当接可能な当接部を設ける。そして、トンネル部3Aが伸長する際、第2トンネル32が前方へ移動するときに、後方側ストッパが第2支持体72の当接部に当接して前方へ押すことにより第2支持体72が前方へ移動するようにする。一方、トンネル部3Aが収縮する際、第2トンネル32が後方へ移動するときに、前方側ストッパが第2支持体72の当接部に当接して後方へ押すことにより第2支持体72が後方へ移動するようにする。もちろんこれとは逆に、第2支持体72に2つのストッパを設け、第2トンネル32に当接部を設けても構わない。
この第2実施形態によれば、トンネル部3Aの上方に配置された支持装置7Aが、トンネル部3Aを構成するトンネル31,32の個数と同数の支持体71,72を備え、トンネル部3Aの伸縮に伴って伸縮する。そして、トンネル部3Aの伸縮状態にかかわらず、支持装置7Aの先端部分がトンネル部3Aの先端部分から基端寄りに所定距離SL2離れた位置よりも常に基端側に位置するよう構成されている。これにより、第1実施形態同様、トンネル部3Aの先端側上部にスペースを設けることが可能となり、このスペースに空調機等の他の装置を配置することができる。
上記の第1,第2実施形態では、支持装置7,7Aを構成する支持体の個数を、トンネル部3,3Aを構成するトンネルの個数と同数としたが、トンネルの個数以上の個数とすることができる。例えば、2個のトンネルで構成されるトンネル部3Aの場合、支持装置を3個の支持体で構成してもよい。但し、支持体を多くするほど構造が複雑化することを考慮すれば、支持体の個数をトンネルの個数と同数とすることが適当である。
また、第2実施形態では、支持装置7Aを、2つの支持体71,72が入れ子式に嵌合されて互いに前後方向にスライド自在に設けられた構成としたが、2つの支持体71,72が互いに前後方向にスライド自在に設けられていれば、入れ子式に嵌合されていなくてもよい。例えば、支持体71の上方において、支持体72が支持体71に対して前後方向にスライド自在に設けられるように構成してもよい。この場合、支持体71,72の形状、保護案内部材の配置等が適宜変更されてもよい。
同様に、第1実施形態において、3つの支持体71〜73が入れ子式に嵌合されていない構成も可能である。例えば、支持体71の上方において支持体72が前後方向にスライド自在に設けられ、支持体72の上方において支持体73が前後方向にスライド自在に設けられるように構成してもよい。この場合、支持体71〜73の形状、保護案内部材の配置等が適宜変更されてもよい。
また、第1、第2実施形態では、支持装置7,7Aがトンネル部3,3Aの上方(一の外表面側)に配置されているが、これに限られない。トンネル部3,3Aは、断面が略四角形の筒状の複数のトンネルからなり、支持装置7,7Aは、トンネル部3,3Aの4つの外表面(上面、下面及び2つの側面)のうちのいずれか一の外表面側に配置されていればよい。よって、支持装置7,7Aは、トンネル部3,3Aの上方(上面側)、下方(下面側)、右方(右側面側)または左方(左側面側)に配置されるように構成することができる。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。