JP2019188918A - 軌道識別装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】走行中の線路に分岐が存在する場合、撮像画像から分岐線路を精度よく検出することが可能な軌道識別装置を提供する。【解決手段】軌道識別装置10は、画像取得部10aと、線路検出部10cと、分岐線路検出部10dと、線路検出結果出力部と、を備える。画像取得部は、鉄道車両の進行方向の領域を撮像することで得られる撮像画像を取得する。線路検出部は、撮像画像における複数の画素群ごとに、所定の基準に基づく線路らしさを表す尺度となり得る特徴量に基づき、線路を検出する。分岐線路検出部は、検出された線路に対して、分岐線路が存在するか否かを検出する。線路検出結果出力部は、線路検出部の検出結果と分岐検出部の検出結果を出力する。【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、軌道識別装置に関する。
従来から、鉄道車両の走行中に、線路の検査や、当該線路内に存在する障害物(注視が必要な注視物)の検出などを目的として、鉄道車両の進行方向の領域を撮像することで得られる撮像画像から線路(が写った領域)を検出する技術が種々検討されている。
特開2015−210388号公報
上記のような従来の技術では、撮像画像から線路をより精度良く検出することが望まれる。特に、走行中の線路に分岐が存在する場合、撮像画像から分岐線路を精度よく検出できれば、さらに有意義である。
実施形態にかかる軌道識別装置は、画像取得部と、線路検出部と、分岐線路検出部と、線路検出結果出力部と、を備える。画像取得部は、鉄道車両の進行方向の領域を撮像することで得られる撮像画像を取得する。線路検出部は、撮像画像における複数の画素群ごとに、所定の基準に基づく線路らしさを表す尺度となり得る特徴量に基づき、線路を検出する。分岐線路検出部は、検出された線路に対して、分岐線路が存在するか否かを検出する。線路検出結果出力部は、線路検出部の検出結果と分岐検出部の検出結果を出力する。
図1は、第1実施形態にかかる軌道識別装置を含む車両システムの構成を示した例示的かつ模式的な図である。 図2は、第1実施形態にかかる軌道識別装置を含む車両システムの機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。 図3は、第1実施形態において、線路の検出のために設定する初期エリアを示した例示的かつ模式的な図である。 図4は、第1実施形態において、初期エリア以降のエリアから線路(の一部)を初期エリアで検出した線路に基づいて検出する例を説明するための例示的かつ模式的な図である。 図5は、第1実施形態において、初期エリア以降のエリアから線路(の一部)を検出する場合に用いる扇形の探索領域の例示的かつ模式的な図である。 図6は、第1実施形態において、扇形の探索領域を用いて線路(の一部)を探索する場合の手法を説明するための例示的かつ模式的な図である。 図7は、第1実施形態において、分岐線路の分岐位置を探索する場合の扇形の探索領域を説明するための例示的かつ模式的な図である。 図8は、第1実施形態において、既に検出済みの線路と交差する線分が検出された状態を説明するための例示的かつ模式的な図である。 図9は、第1実施形態において、検出された線分に基づき探索対象の分岐線路の探索範囲を設定する例を説明するための例示的かつ模式的な図である。 図10は、第1実施形態において、図9で設定した分岐線路の探索範囲にさらに探索余裕幅を持たせることを説明するための例示的かつ模式的な図である。 図11は、第1実施形態において、設定された分岐線路の探索エリアに対して扇形の探索領域を用いて分岐線路を探索する様子を説明するための例示的かつ模式的な図である。 図12は、第1実施形態において、ハフ変換を用いて分岐線路を検出する場合に、図10で設定した探索余裕幅に基づき設定した、分岐線路の探索エリアを説明するための例示的かつ模式的な図である。 図13は、第1実施形態において、線路の検出および障害物の検知をする場合の処理の流れを示した例示的かつ模式的なフローチャートである。 図14は、図13のフローチャートにおける、S102の線路位置取得の処理の流れを詳細に示した例示的なフローチャートである。 図15は、図14のフローチャートにおける、S126の線路分岐位置探索の処理の流れを詳細に示した例示的なフローチャートである。 図16は、第2実施形態にかかる軌道識別装置を含む車両システムの機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。 図17は、第2実施形態にかかる軌道識別装置で利用する分岐情報を説明するための例示的かつ模式的な図である。 図18は、第2実施形態において、線路の検出および障害物の検出をする場合の処理の流れを示した例示的なフローチャートである。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
<第1実施形態>
まず、第1実施形態の構成について説明する。
図1は、第1実施形態にかかる軌道識別装置10を含む車両システム100の構成を示した例示的かつ模式的な図である。図1に示されるように、車両システム100は、一対のレールにより構成される線路R上を方向Dに沿って走行する鉄道車両RVに搭載されている。
また、図1に示されるように、車両システム100は、軌道識別装置10に加え、撮像部としてのカメラ12と、表示部14と、障害物検知装置16と、を有している。
カメラ12は、鉄道車両RVの端部(例えば運転席)に設けられ、鉄道車両RVの進行方向の領域を撮像する。カメラ12によって得られる撮像画像には、線路Rが含まれる。
表示部14は、各種の画像を表示する装置である。表示部14は、鉄道車両RVの運転席などに設けられる。
軌道識別装置10は、例えば、プロセッサやメモリなどといったハードウェアを有したコンピュータとして構成される。
ところで、従来から、鉄道車両RVの走行中に、線路Rの検査や、当該線路R内に存在する障害物(注視が必要な注視物)の検出などを目的として、鉄道車両RVの進行方向の領域を撮像することで得られる撮像画像から線路R(が写った領域)を検出する技術が種々検討されている。このような技術では、撮像画像から線路Rをより精度良く検出することが望まれる。また、走行中の線路に分岐が存在する場合には、撮像画像から分岐線路を精度よく検出することで、さらに実用的なシステムを得ることができる。
そこで、第1実施形態は、軌道識別装置10に以下のような機能を持たせることで、撮像画像から分岐位置および分岐線路を検出して、自己車両(鉄道車両RV)が走行すべき分岐先の線路Rをより精度良く検出することを実現する。
図2は、第1実施形態にかかる軌道識別装置10および障害物検知装置16の機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。図2に示されるように、軌道識別装置10は、画像取得部10a、特徴量取得部10b、線路検出部10c、分岐線路検出部10d(分岐検出部)、記憶部10e等を有している。また、障害物検知装置16は、判定領域特定部16a、障害物検出部16b、出力制御部16c、記憶部16d等を有している。
画像取得部10a、特徴量取得部10b、線路検出部10c、分岐線路検出部10dといった機能モジュール群の一部または全部は、ハードウェアとソフトウェアとの協働によって実現される。より具体的には、軌道識別装置10のプロセッサが記憶部10e等のメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって各機能モジュールは実現される。同様に、判定領域特定部16a、障害物検出部16b、出力制御部16cといった機能モジュール群の一部または全部は、ハードウェアとソフトウェアとの協働によって実現される。より具体的には、障害物検知装置16のプロセッサが記憶部16d等のメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって各機能モジュールは実現される。なお、第1実施形態では、これらの機能モジュール群の一部または全部が、専用のハードウェア(回路)によって実現されてもよい。
軌道識別装置10における記憶部10eおよび障害物検知装置16における記憶部16dは、それぞれメモリを含む揮発性または不揮発性の様々な記憶媒体によって実現される。記憶部10eは、軌道識別装置10のプロセッサが実行する上記のプログラムや、当該プログラムに従った線路Rの検出に用いられる線路情報10f(例えば、検出済線路情報、線路幅情報、初期エリア情報、線路位置情報等)を記憶する。また、記憶部16dは、障害物検知装置16のプロセッサが実行する上記のプログラムや、当該プログラムに従った障害物の検知に用いられる障害物情報16e(例えば、人物、動物、倒木、車両等、線路内に存在する可能性のある障害物の形状情報(注視点情報)等)を記憶する。
本実施形態において、線路Rは、カメラ12によって撮像された撮像画像における複数の画素群(探索エリア)ごとに、所定の基準に基づく線路らしさを表す尺度となり得る特徴量に基づき検出される。
画像取得部10aは、カメラ12により撮像された撮像画像を取得する。撮像画像は、例えばカラー画像である。画像取得部10aは、取得した撮像画像に視点変換処理などを施すことで、カメラ12が撮像した領域を上方から俯瞰で見た鳥瞰画像を生成することができる。
特徴量取得部10bは、線路Rを精度良く検出するために着目すべき特徴量を、撮像画像(鳥瞰画像)の撮像環境や、検出対象の線路Rの部位など、状況に応じて取得する。
撮像画像における線路Rの写り込みは、撮像環境(例えば周囲の明るさなど)に応じて変化する。例えば、線路Rに対応した領域が、周囲の領域よりも明るく写り込んでいる場合がある。このような場合、線路Rが光の反射を起こしやすい撮像環境で取得されたと見なすことができる。このような場合、特徴量として、例えば、輝度値そのものに着目して線路Rを検出する手法が有効である。線路Rに対応した領域が他の領域よりも相対的に明るく写り込んでいるため、鳥瞰画像としての画像全体を、輝度値が閾値以上の領域と、輝度値が閾値未満の領域と、に2分(2値化)した特徴データを取得すれば、線路Rに対応した領域を精度良く検出することが可能である。この場合、特徴量として着目するものが単一であるのでノイズに対して頑健であり、また、ハフ変換やRANSACなどといった既存の線分検出アルゴリズムを利用した線路検出アルゴリズムへの適用が容易であるため、有用である。
逆に、線路Rに対応した領域が、周囲の領域よりも暗く写り込んでいる場合がある。このような場合、線路Rが光の反射を起こしにくい撮像環境において取得されたと見なすことができる。このような場合、特徴量として、輝度値の勾配(着目する画素と当該画素に隣接する画素との輝度値の差分)に着目して線路Rを検出する手法が有効である。なお、輝度値の勾配は、SOBELフィルタや、Laplacianフィルタ、Robinsonフィルタ、Cannyフィルタなどによって算出可能である。
ところで、一般に、線路Rは、カメラ12の視点で手前側から奥側に向かって延びるため、通常は、輝度値の横軸(x軸)方向の勾配が特徴量として着目される。一方、線路Rに対応した領域が、カメラ12の視点で手前側から奥側に向かう途中でカーブしている場合、奥側の領域で、輝度値の横軸方向の勾配よりも、輝度値の縦軸(y軸)方向の勾配の方が大きくなる。そこで、線路Rに対応した領域が、周囲の領域よりも暗く写り込んでいるような撮像環境では、特徴量として、輝度値の横軸方向の勾配と縦軸方向の勾配との両方に着目し、検出対象となるエリア(画素群)に応じて着目する勾配を切り替えながら特徴データを取得する手法が有効である。この手法は、特徴量として着目するものが増加することでノイズが増加する可能性はあるものの、カーブした線路Rを当該線路Rの延びる方向に応じて適切に検出することが可能であるため、有用である。
このように、線路Rを精度良く検出するために着目すべき特徴量は、撮像画像(鳥瞰画像)の撮像環境や、検出対象の線路Rの部位など、状況に応じて様々に異なる。したがって、どのような撮像画像(鳥瞰画像)からも線路Rを精度良く検出するためには、線路Rの検出に用いる特徴量を、状況に応じて適宜切り替えればよい。
特徴量取得部10bは、画像取得部10aにより生成された鳥瞰画像をy軸方向(画像の奥側、上側)に分割した、複数の画素群(エリア)ごとに、所定の基準に基づいて、線路らしさを表す尺度となりうる複数の特徴量から、線路Rの検出に用いる1つの特徴量を取得する。そして、複数のエリアの各々から、取得された1つの特徴量に基づく特徴データを取得する。
線路検出部10cは、特徴量取得部10bで取得された特徴データに基づいて、撮像画像(鳥瞰画像)から線路Rを検出する。
線路検出部10cは、図3に示すように、画像300に含まれる複数の画素群(エリア)のうち、最初の検出対象となる初期エリアA1から線路R(レール301L、レール301R)の一部を検出した後、検出した線路Rの一部を基準とした次のエリアから線路Rの一部をさらに検出する処理を順次繰り返すことで、撮像画像(鳥瞰画像)の全体から線路Rを検出する。そして、特徴量取得部10bは、線路検出部10cにより線路Rの一部が検出されるごとに、上述した所定の基準として、少なくとも、線路検出部10cにより既に検出済の線路Rの一部に関する情報を用いて、次のエリアに対応した1つの特徴量を取得する。なお、図3等では、本実施形態の概要を判り易くするために、撮像画像を用いて説明を行う。なお、撮像画像を鳥瞰画像に変換して、線路検知を行った場合でも、求められた線路位置を、元の撮像画像上に再変換することで、図3等と同様の線路検知画像を得ることができる。
特徴量取得部10bは、上述した所定の基準として、線路検出部10cにより既に検出済の線路Rの一部の撮像画像(鳥瞰画像)内での明暗に関する画像統計量を用いて、次のエリアに対応した1つの特徴量を選択する。明暗に関する画像統計量とは、例えば平均輝度値である。既に検出済の線路Rの一部の平均輝度値に着目すると、処理対象の鳥瞰画像が、線路Rが光の反射を起こしやすい撮像環境で取得された撮像画像に基づくものか、線路Rが光の反射を起こしにくい撮像環境で取得された撮像画像に基づくものか、を判定することができる。
例えば、既に検出済の線路Rの一部の平均輝度値が閾値以上である場合、当該線路Rの一部に対応した領域は、撮像画像(鳥瞰画像)内で他の領域よりも明るく写り込んでいると言える。このような場合、前述したように、次のエリアに対応した特徴量としては、輝度値そのものに着目することが有効である。一方、既に検出済の線路Rの一部の平均輝度値が閾値未満である場合、当該線路Rの一部に対応した領域は、撮像画像(鳥瞰画像)内で他の領域よりも暗く写り込んでいると言える。このような場合、前述したように、次のエリアに対応した特徴量としては、輝度値の勾配に着目することが有効である。したがって、特徴量取得部10bは、既に検出済の線路Rの一部の平均輝度値と閾値との大小関係に応じて、次のエリアの特徴量として、輝度値そのものを選択するか、または、輝度値の勾配を選択するか、を決定する。
なお、前述したように、特徴量としての輝度値の勾配は、横軸方向の勾配と縦軸方向の勾配との2つが存在し、これら2つのいずれが適切であるかは、線路Rのカーブの有無などに応じて異なる。そこで、特徴量取得部10bは、線路検出部10cにより既に検出済の線路Rの一部の角度(線路Rの一部が延びる方向)に基づいて、次のエリアから線路Rの一部を検出するために用いる1つの特徴量として、輝度値の横軸方向の勾配を選択するか、または、輝度値の縦軸方向の勾配を選択するか、を決定する。
ところで、初期エリアA1は、最初の検出対象となるエリアであるので、上述したような参照すべき直前の結果は存在しない。したがって、初期エリアA1からの線路Rの一部の検出には、過去(例えば1フレーム前)の撮像画像(鳥瞰画像)に対する線路Rの検出結果を用いる。すなわち、画像取得部10aは、鉄道車両RVの進行とともに撮像画像を複数回取得する。そして、特徴量取得部10bは、あるタイミングで得られた撮像画像(鳥瞰画像)における初期エリアA1に対応した1つの特徴量を選択する場合、当該1つの特徴量を選択するための所定の基準として、少なくとも、あるタイミングよりも前のタイミングで得られた鳥瞰画像(1フレーム前の撮像画像に基づく鳥瞰画像)における初期エリアA1から検出された線路Rの一部に関する情報(上述した平均輝度値などといった画像統計量)を用いる。なお、1フレーム前の撮像画像に基づいて検出された線路Rに関する情報は、線路情報10fとして記憶部10eに記憶されているものとする。
ここで、撮像画像(鳥瞰画像)における各エリアから線路R(の一部)を検出するための手法について説明する。まず、初期エリアA1から線路R(の一部)を検出するための手法について説明する。前述したように、初期エリアA1は、線路Rの検出の起点となる領域として予め決められた位置に設定されている。初期エリアA1の位置は、線路情報10fとして記憶部10eに予め記憶されている。線路検出部10cは、まず、記憶部10eの線路情報10fを参照することで、上記の手法で選択された特徴量に基づいて取得された特徴データから初期エリアA1に対応した領域のデータを抽出する。そして、線路検出部10cは、抽出したデータに対してハフ変換やRANSACなどといった線分検出アルゴリズムに基づく処理を実行することで、初期エリアA1内に存在する線路R(の一部)の候補を抽出する。なお、正規の線路Rを構成する一対のレール301L,301Rの幅は、予め決まっている。したがって、正規の線路Rを構成する一対のレール301L,301Rの幅に関する情報を取得すれば、上記のように抽出された候補から、正規の線路R(の一部)を特定することが可能である。そこで、本実施形態においては、線路Rを構成する一対のレール301L,301Rの幅が、線路情報10fとして記憶部10eに予め記憶されているとしてもよい。
そして、線路検出部10cは、線路情報10fの線路幅を参照し、上記のように抽出された候補から、線路情報10fで示された線路幅にマッチする幅を有する候補をさらに抽出することで、正規の線路Rを特定(検出)する。そして、線路検出部10cは、特定した線路Rを構成する複数の座標点を、線路位置情報として記憶部10eに記憶する。例えば、図4に示される例では、線路R(レール401L,401R)に含まれる座標点L1,R1,L2,R2等が記憶部10eに記憶される。
次に、初期エリアA1以降のエリアから線路R(の一部)を検出するための手法について説明する。
図5、図6は、初期エリアA1以降のエリアから線路R(の一部)を検出するための手法の概略を説明するための例示的かつ模式的な図である。図5に示される例では、直近の処理により、線路Rの一部として、座標点L1,L2が検出済となっているものとする。線路検出部10cは、まず、図5に示されるように、直近に検出された2つの座標点に基づく所定の扇形の領域を設定する。扇形の領域とは、直近に検出された2つの座標点L1,L2のうち初期エリアA1とは反対側の座標点L2から、当該2つの座標点L1,L2を結ぶ直線Lを中心として左右に同一の角度θで広がるように延びる仮想線VRおよび仮想線VLで区画される領域である。なお、角度θは、予め設定された角度であって、例えば、線路Rの規格などで規定された最大曲率の範囲をカバーする角度である。また、仮想線VRおよび仮想線VLの長さは、予め設定された長さである。
上記のような扇形の領域を設定すると、線路検出部10cは、図6に示されるように、扇形の領域の上端の任意の一箇所と、当該扇形の領域の起点(要)となる座標点L2とを網羅的に結ぶ複数の線分を設定する。これらの複数の線分が、線路R(の一部)の候補となる。
そして、線路検出部10cは、上記のように設定した複数の候補を鳥瞰画像上にあてはめ、複数の候補のうち、特徴量取得部10bにより選択された特徴量の平均値が最も大きいものを、正規の線路R(の一部)として特定(検出)する。
ところで、図5に示された2つの座標点は、線路Rを構成する一対のレール301L.301Rのうちの一方である、例えば、レール301Lに沿ったものであり、実際には、他方のレール301Rに沿った2つの座標点も検出済である。したがって、線路検出部10cは、他方のレール301Rについても上記の同様の手法で正規の線路Rを特定(検出)する。
線路検出部10cは、上記の手順が順次繰り返されることにより、図4に示す画像400(撮像画像、鳥瞰画像)の全ての領域から線路R(レール401L,401R)の全体が検出される。そして、検出された線路R(の全体)に関する情報は、検出済線路情報として記憶部10eに記憶される。なお、上述の線路Rの検出手法の場合、図6に示されるように、扇形の領域に複数の線分(直線の線路候補)を設定し、特徴量の平均値が最も大きいものを正規の線路R(の一部)として特定する例を示した。別の例では、扇形の領域に複数の放物線の線路候補を設定し、特徴量の平均値が最も大きいものを正規の線路R(の一部)として特定するようにしてもよい。この場合、より実際の線路Rに近い形状の線路候補で線路Rの探索を実行することになる。その結果、より精度よく線路Rの検出ができる。一方、上述したように、線路候補を線分(直線)で設定して探索を行う場合、処理負荷の軽減、処理時間の短縮等に寄与することができる。
図2に戻り、分岐線路検出部10dは、線路検出部10cが検出した線路Rに対して、分岐線路が存在するか否かを検出する。線路検出部10cの場合、撮像画像(鳥瞰画像)を例えば、手前側から奥側に向かって、複数のエリアに分割して、そのエリアごとに特徴量の平均値が最も大きいものを、正規の線路R(の一部)として特定(検出)している。その結果、図4に示されるように、線路Rの途中に分岐線路SR(レール402L,レール402R)が存在する場合は、分岐の発生している位置とエリアの分割の位置とが一致しないと、分岐線路SRを検出できない場合がある。
そこで、分岐線路検出部10dは、検出済みの線路Rに対して分岐線路SRの分岐位置を特定する共に、その分岐位置の基づき、当該分岐位置に連なる分岐線路SRをさらに検出する。
分岐線路検出部10dは、図7に示されるように、線路検出部10cで画像700に含まれる検出済みの線路Rを構成する点(特徴データ、例えば座標点LAや座標点LB等)を中心として、図6で説明した扇形の領域(探索領域)と同様な扇形の探索領域を設定する。図7の場合、一対のレール701Lとレール701Rのうち、レール701Lについて探索領域を設定している例である。そして、扇形の探索領域に含まれる線分群(分岐線路候補)上に、線路R(一対のレール701L,701L)を結ぶ線分(横切る線分、交差する線分)が存在するか否かを探索する。例えば、特徴量の平均値が一定値以上の線分を検出する。なお、この場合、一定値以上の特徴量の平均値とは、線路検出部10cが検出した線路Rの特徴量の平均値を用いることができる。
図8は、扇形の探索領域における線分(分岐線路候補)による探索の結果、線路R(レール701Lとレール701R)を結ぶ(横切る)線分801(線分LB−RA)が検出された状態を示す。図8は、レール701L上の座標点LBを探索の基点として扇形の探索領域を設定した場合に、線分801が検出された例である。分岐線路検出部10dは、線分801、つまり、線路検出部10cが検出した線路Rに対する分岐線路SRの交点を当該分岐線路SRの分岐位置として取得する。そして、分岐線路検出部10dは、この分岐位置を基準に分岐線路SRの探索を精度よく行うことができる。なお、別の例では、扇形の領域に複数の放物線の分岐線路候補を設定し、特徴量の平均値が最も大きいものを線路R(レール701Lとレール701R)を結ぶ(横切る)、分岐線路SR(の一部)としてもよい。この場合、より実際の形状に近い分岐線路候補で分岐線路SRの探索を実行することになる。その結果、より精度よく分岐線路SR(の一部)の検出ができる。一方、上述したように、分岐線路候補を線分(直線)に設定して探索を行う場合、処理負荷の軽減、処理時間の短縮等に寄与することができる。
分岐線路検出部10dは、検出された線分801と線路Rとの交点のうち奥側(画像800の上側)に存在する交点(図8の場合、座標点RA)を基準に分岐線路SR探索するための新たな探索領域を設定する。この場合、分岐線路検出部10dは、図9の画像900に示されるように、まず、線分801(線分LB−RA)の長さを利用し、同じ長さの線分901を、線路検出部10cによって検出済みのレール701Rの延在方向に沿って設定する。この場合、図9等に示されるように、探索される分岐線路SRは特性上、分岐線路SRの一方のレールが線路Rを横切り、他方のレールは線路Rを横切らない。したがって、線路Rを横切らない方の分岐線路SRのレールは、横切る方の分岐線路SRのレールより画像900において手前側に存在する。したがって、探索領域を決める線分901は、座標点RAからレール701Rに沿って、画像900の手前側に延在するように設定される。そして、線分901の端部を座標点RBとする。
さらに、分岐線路検出部10dは、図10に画像1000に示されるように、分岐線路SRの探索範囲に余裕を持たせるために、座標点RAの位置から線路検出部10cにより検出済みのレール701Rに沿って奥側(画像1000の上側)に向かい、線分901の所定の長さ(例えば1/2)の長さ分だけ分奥側探索範囲を拡大して座標点RCを設定する。同様に、座標点RBの位置からレール701Rに沿って手前側(画像1000の下側)に向かい、線分901の所定の長さ(例えば1/2)の長さ分だけ手前側探索範囲を拡大して座標点RDを設定する。つまり、線分RC−RDを分岐線路SRの探索範囲として確定する。
分岐線路検出部10dは、分岐線路SRの探索範囲(線分RC−RD)が確定すると、図11に画像1100で示されるように、図6で説明した扇形の領域(探索領域)と同様な扇形の探索領域Sを設定する。つまり、分岐線路検出部10dは、分岐線路SRの分岐位置を要として、扇形状の探索領域Sを設定することで分岐線路SR(レール1101R,1101L)の一部の検出が可能になる。そして、扇形の探索領域Sに含まれる線分群(分岐線路候補)上に、特徴量の平均値が一定値以上の線分を検出する。この場合、検出した分岐位置を起点とする分岐線路SRの扇状の探索領域Sの角度(図5におけるθ参照)は、線分801(線分801の角度、姿勢)を基準(中心)に分岐線路SRに規定される分岐線路SRがとり得る最大曲率の範囲を含む角度で設定することができる。この場合、探索対象の分岐線路SRが存在し得る方向に限定した探索が可能になり、効率的な分岐線路SRの検出ができる。また、扇形の探索領域Sに含まれる線分群(分岐線路候補)に基づき分岐線路SRを検出する際は、特徴量の平均値が一定値以上の線分を検出するが、この場合、分岐線路検出部10dは、線路検出部10cが検出した線路Rとの類似度を利用してもよい。線路検出部10cが検出した線路Rと、分岐線路検出部10dが検出しようとする分岐線路SRとは連続している。したがって、画像1100上の線路Rと分岐線路SRとの特徴は類似点が多いと考えられる。このように、線路Rとの類似度(類似する特徴量)を用いることで、分岐線路SRの検出のための処理負荷を軽減することができるとともに、探索基準の絞り込みができるので、分岐線路SRをより正確に検出することができる。
図11に示されるように、分岐線路検出部10dが実行する扇状の探索領域Sによる探索で、分岐線路SRの分岐初期部分が検出されたら、線路検出部10cは、図4で説明した初期エリアA1以降のエリアの線路R(の一部)の検出処理を実行する。その結果、分岐線路SRの全体を検出することができる。分岐線路検出部10dは、線路検出部10cが検出した線路R(分岐線路SR)について、分岐線路を検出する分岐線路検出処理をさらに実行する。つまり、検出される全ての分岐位置に対して分岐線路検出処理を繰り返し実行する。その結果、現在処理対象としている撮像画像(鳥瞰画像、例えば画像1100)に存在する全ての分岐線路SRの検出を精度よく実行することができる。
なお、上述した実施形態では、分岐線路検出部10dは、分岐線路SR(の一部)を示す線分の検出を図5、図6に示すような扇形の探索領域を用いて実行する例を示した。別の例では、ハフ変換等の方法を用いて分岐線路SR(の一部)を示す線分を検出してもよい。この場合、探索領域は、図12で示すように、図10で説明した余裕を持たせた探索範囲(線分RC−RD)に基づいて設定することができる。例えば、画像1200に写り込んでいる分岐線路SRの場合、分岐線路検出部10dが検出した線分801は上端の交点が下端の交点より右側に存在する。つまり、分岐線路SRは右方向にカーブして分岐すると推定される。この場合、分岐線路検出部10dは、例えば、座標点RCと座標点RDのうち、より右側に存在する点(例えば、座標点RD)に画像1200のx方向(右方向)に所定の長さ(予め実験等で設定済みとする)を足した座標点REを設定する。そして、座標点REと同じx座標で、座標点RCと同じy座標の位置に座標点RFを設定する。そして、座標点RC,RD,RE,RFで形成される領域Pをハフ変換時の検出領域とする。このように、領域Pを設定することにより、分岐線路SRが存在すると推定される領域に対して効率的にハフ変換を実行することができる。
図2に戻り、障害物検知装置16は、軌道識別装置10が検出した線路Rに対して、鉄道車両RVが線路Rを走行する際に注視する障害物(注視物)が存在するか否かの検知を行い、表示部14等に検知の結果を表示させる。
判定領域特定部16aは、線路検出部10cの検出結果と分岐線路検出部10dの検出結果に基づいて、撮像画像内における線路Rの付近の領域を、障害物(注視が必要な注視物)の有無の判定の対象となる判定領域として特定する。したがって、線路検出部10cと分岐線路検出部10dは、それぞれの検出結果を障害物検知装置16側に出力する線路検出結果出力部として機能する。
障害物検出部16bは、判定領域特定部16aにより特定された判定領域内に注視物が存在するか否かを監視(検出)する。注視物の有無を判定するための情報(テンプレート)は、障害物情報16eとして記憶部16dに記憶されている。障害物検出部16bは、障害物情報16eと、特徴量取得部10bにより検出された特徴データと、に基づいて、障害物(注視物)のテンプレートにマッチする画素群が判定領域内に存在するか否かを判定する。
そして、出力制御部16cは、障害物検出部16bにより障害物(注視物)が存在すると判定された場合に、障害物に対応する注視画像(マーク、アイコン、シンボル、キャラクタ等)を障害物情報16e等から読み出す。そして、出力制御部16cは、表示部14に表示されている画像(線路Rや分岐線路SR等が写り込んでいる実画像)の対応する位置に注視画像を重畳して表示させる処理等を実行することで、警報を出力する。なお、この場合、音声やアラームによる警報を併せて出力するようにしてもよい。
以上のように構成される軌道識別装置10を含む車両システム100の動作について図13〜図15のフローチャートを用いて説明する。
図13は、第1実施形態にかかる軌道識別装置10を含む車両システム100が実行する処理の全体的な流れを示した例示的なフローチャートである。この図13に示される処理フローは、鉄道車両RVの走行中に繰り返し実行される。
図13に示される処理フローでは、まず、S100において、軌道識別装置10の画像取得部10aは、カメラ12から撮像画像を取得する。なお、画像取得部10aは取得した撮像画像を鳥瞰画像に変換する。
そして、S102において、軌道識別装置10は、特徴量取得部10b、線路検出部10c、分岐線路検出部10dにより、図3〜図11(図12)で説明した処理を実行し、線路Rおよび分岐線路SRの検出、つまり線路位置の取得を行う。
具体的には、図14のフローチャートに示されるように、S120において、特徴量取得部10bは、検索対象の鳥瞰画像の各画素に線路らしさを表す線路Rの特徴量を取得する。例えば、図3は鉄道車両RVの前方を撮像した画像(鳥瞰画像)に対してエッジ強度を算出した例である。
続いて、S122において、線路検出部10cは、図3で説明したように、画像300に含まれる複数の画素群(エリア)のうち、最初の検出対象となる初期エリアA1から自車両(鉄道車両RV)が走行する線路R(レール301L,301R)の一部を検出する。なお、別の実施例として、画像300における手前側領域における鉄道車両RVが走行する線路Rは形状が限定できる。そこで、記憶部10eに線路情報10fとして線路Rの形状パターンを記憶させておき、その形状パターンとのマッチング処理を実行することで、画像300の手前側の線路R(初期エリアA1の線路R)の検出を行ってもよい。
そして、S124において、線路検出部10cは、S122で検出した線路Rの初期位置を基準にして、図4〜図6で説明した手法を用いて、画像400の手前側(下側)から奥側(上側)に向かって順次線路Rの探索(検出)を実行する。
続いて、S126において、分岐線路検出部10dは、S124で検出した線路Rに対して、図7〜図11(図12)で説明した手順に基づき、分岐線路SR(の位置、分岐位置)の検出を実行する。
S126の処理を図15のフローチャートを用いて説明する。まず、分岐線路検出部10dは、S130において、図7で説明したように、扇形の検索領域を用いて線路間線分(図8の線分801)の探索を行う。なお、線路間線分の探索の際に複数の線分が検出される場合がある。例えば、線路の分岐位置が接近している場合である。この場合、検出された線路間線分ごとに以下のステップで示す処理を実行すればよい。
続いて、S132で、分岐線路検出部10dは、S130で検出された線路間線分(線分801)に基づき、図9、図10(または図12)で説明したように、分岐線路SRの探索範囲(領域)を決定する。
そして、S134におきて、分岐線路検出部10dは、S132で決定された分岐線路SRの探索範囲(領域)に対して、図11で説明したように、扇形の探索領域で分岐線路候補を用いた探索を実行し、分岐線路候補にマッチする分岐線路SR(の一部)の検出を実行する。
図14のフローチャートに戻り、S128において、線路検出部10cおよび分岐線路検出部10dは、線路Rおよび分岐線路SRの検出の終了条件が満たされたか否かを判定する。終了条件とは、例えば、線路検出部10cや分岐線路検出部10dによる検出処理の繰り返しの回数が所定以上になることや、線路検出部10cにより最後に特定された線路R(の一部)の端部が鳥瞰画像において所定の位置よりも上端側に位置すること、などが考えられる。
S128において、終了条件が満たされていないと判定された場合(S128のNo)、未検出の線路R(の一部)が残っている。したがって、この場合、S124に処理が戻り、次のエリアからの線路R(の一部)または分岐線路SR(の一部)の検出がさらに繰り返される。
一方、S128において、終了条件が満たされたと判断された場合(S128のYes)、未検出の線路R(の一部)または分岐線路SR(の一部)は残っていない。したがって、この場合、現在の画像(鳥瞰画像)に対する線路Rおよび分岐線路SRの検出処理が完了したと判定し、一旦、線路検索処理を終了させる。検出された線路Rや分岐線路SRに関する情報は、記憶部10eに記憶される。
図13のフローチャートに戻り、現在の処理対象の画像(鳥瞰画像)に対して、軌道識別装置10により線路Rおよび分岐線路SRの検出が完了すると、S104において、障害物検知装置16の判定領域特定部16aは、障害物(注視が必要な注視物)の有無判定の対象となる線路R(分岐線路SR)の付近の判定領域を設定する。
そして、S106において、障害物検知装置16の障害物検出部16bは、S104で特定された判定領域内に障害物が存在するか否かを判断する。
S108において、障害物が存在すると判断された場合、障害物の存在を鉄道車両RVの運転者に通知し、注意喚起を行う必要がある。したがって、この場合、S108において、障害物検知装置16の出力制御部16cは、障害物に対応する注視画像(マーク、アイコン、シンボル、キャラクタ等)を障害物情報16e等から読み出す。そして、出力制御部16cは、表示部14に表示されている画像(線路Rや分岐線路SR等が写り込んでいる実画像)の対応する位置に注視画像を重畳して表示させる処理等を実行することで、警報を出力する。そして、処理対象の画像に対する一連の処理が終了する。なお、障害物が発見されない場合には、注意喚起を行う必要は特にない。したがって、この場合、表示部14には、カメラ12が撮像した現在の画像(実画像)が表示されることになる。
このように、第1実施形態の車両システム100によれば、軌道識別装置10によって、自車両(鉄道車両RV)が走行する線路Rのみならず、線路Rに存在する分岐線路SRに関しても、正確な認識(検出)が実行される。その結果、現在処理対象となっている画像に存在する線路Rおよび分岐線路SRに対する障害物検知処理を高精度で行うことが可能となり、車両システム100の信頼性の向上、使い勝手の向上等を図ることができる。
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、検出対象の画像(鳥瞰画像)に対して、全範囲を検出対象とする例を示した。その結果、検出漏れを抑制し、信頼性の高い線路R(分岐線路SR)の検出および障害物の検知を実現することができる。
ところで、鉄道車両RVは、運行管理が詳細に行われている。したがって、車両システム100は、検出対象の画像(鳥瞰画像)に写り込んでいる線路R(分岐線路SR)のうちどの方向に向かう線路R(分岐線路SR)を通過するかを事前に取得することが可能である。そこで、車両システム100は、自車両(鉄道車両RV)の位置および運行情報等に基づき自車両(鉄道車両RV)がこれから走行する線路R(分岐線路SR)に限定して、第1実施形態で説明した軌道識別処理および障害物検知処理を実行すれば、より正確な軌道識別処理および障害物検知処理を実現し、さらに、処理負荷の軽減および処理時間の短縮を実現することができる。
図16は、第2実施形態にかかる軌道識別装置10Aおよび障害物検知装置16の機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。なお、図16示されるように、第2実施形態の軌道識別装置10Aは、図2に示される第1実施形態の軌道識別装置10に対して、分岐情報取得部18および記憶部10eが記憶する分岐情報18aが追加されている以外は同じ構成をとり得る。また、第2実施形態の障害物検知装置16の構成は第1実施形態の障害物検知装置16の構成と同じである。したがって、第2実施形態において、第1実施形態と実施的に同じ構成、機能を有する部分に関しては、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。また、第2実施形態の車両システム100は、運行情報取得装置20を備える。
運行情報取得装置20は、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)やGPS(Global Positioning System)等の絶対位置を取得する装置を含んで構成することができる。また、運行情報取得装置20は、タコジェネレータ(tachogenerator:TG)等のように移動距離を取得できる装置を含んで構成されてもよい。また、運行情報取得装置20は、進行方向取得部20a、現在位置情報取得部20b、線路情報入力部20c等の機能モジュールを含む。これらの機能モジュール群の一部または全部は、ハードウェアとソフトウェアとの協働によって実現され得る。例えば、運行情報取得装置20のプロセッサが記憶部等のメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって各機能モジュールは実現される。また、別の例では、これらの機能モジュール群の一部または全部が、専用のハードウェア(回路)によって実現されてもよい。
進行方向取得部20aは、自車両(鉄道車両RV)の進行方向(上り、下り)の情報を取得する。進行方向は、上位のシステムから取得してもよいし、手入力により取得されてもよい。現在位置情報取得部20bは、線路R上に設定される固有の位置を示す指標である「キロ程」を取得する。線路情報入力部20cは、線路情報の入力を受け付ける。
また、軌道識別装置10Aの記憶部10eに含まれる分岐情報18aは、図17(a)、図17(b)に示すような、キロ程に基づく、分岐情報と、進行方向とを示すデータベースである。図17(a)、図17(b)は、分岐Jおよび当該分岐Jに関する分岐情報18aの一例を示した例示的かつ模式的な図である。例えば、図17(a)に示されるような2つの分岐J1およびJ2が線路Rに存在している場合、分岐情報18aは、図17(b)に示されるようなテーブル形式の分岐情報18aとして記憶部10eに保持される。図17(b)に示される分岐情報18aは、分岐(分岐線路SR)の有無を示す情報として、分岐J1が存在するポイントB1および分岐J2が存在するポイントB2の位置を示す「キロ程」と、分岐J1およびJ2によって分かれる線路Rの本数(分岐線路SRの数)を示す「進路の数」と、分岐J1およびJ2において鉄道車両RVがどの進路を選択するかを示す進行方向(分岐先)に関する情報と、の対応関係を保持している。なお、「進路の数」は、図17(a)に示される例において鉄道車両RVが矢印C1の方向に走行する場合を想定している。また、「進行方向」は、線路RLの運用に関する運用情報や、鉄道車両RVのダイヤなどの運行情報などに基づいて決定される。つまり、分岐情報18aは、進行方向取得部20aや線路情報入力部20c等によって取得(入力)される情報によって変化する。
分岐情報取得部18は、運行情報取得装置20で取得される鉄道車両RVの現在位置情報に基づき、分岐情報18aを参照して現在の処理対象の画像(鳥瞰画像)における分岐線路SRの情報(例えば、分岐位置、分岐数、進行方向等の情報)を取得する。軌道識別装置10Aの線路検出部10cや分岐線路検出部10dは、分岐情報取得部18が取得した情報に基づき、処理対象の画像(鳥瞰画像)に対し、限定的な線路検出処理を実行することができる。
図18は、第2実施形態の軌道識別装置10Aを含む車両システム100の処理の流れを説明する例示的なフローチャートである。なお、分岐情報取得部18が取得した情報に基づき、処理対象の画像(鳥瞰画像)に対し、限定的な領域で線路検出処理を実行する以外は、図13に示す第1実施形態のフローチャートと同じであり、実質的に同じ処理部分には、同じステップ番号を付し、詳細な説明は省略する。
図18に示される処理フローでは、まず、S100において、軌道識別装置10Aの画像取得部10aは、カメラ12から撮像画像を取得する。なお、画像取得部10aは取得した撮像画像を鳥瞰画像に変換する。
そして、S102において、軌道識別装置10Aは、図14、図15の処理フローにしたがい、特徴量取得部10b、線路検出部10c、分岐線路検出部10dにより、図3〜図11(図12)で説明した処理を実行し、線路Rおよび分岐線路SRの検出、つまり分岐線路SRの分岐位置の取得を行う。
続いて、S200において、分岐線路検出部10dは、分岐情報取得部18が取得した自車両(鉄道車両RV)が走行を予定している方向について分岐線路SRの検索処理を実行して、分岐先の分岐線路SRを取得する。例えば、分岐が3方向に分かれている場合は、自車両(鉄道車両RV)が走行を予定している線路以外の線路が存在する可能性のある領域に関しては、分岐線路SRの検索を省略する。その結果、処理対象の画像に対する処理時間の短縮および処理負荷の軽減ができる。なお、分岐線路検出部10dは、分岐情報取得部18が取得する分岐情報に基づいて、自車両の走行予定の線路が存在する可能性のある領域を限定することができるので、例えば、図10で説明した探索範囲(線分RC−RD)を縮小設定することができる。この点においても、検出処理の効率化、負荷の軽減に寄与できる。
S200において、自車両(鉄道車両RV)が走行する予定の分岐線路SRが取得(検出)された場合、S104において、障害物検知装置16の判定領域特定部16aは、障害物(注視が必要な注視物)の有無判定の対象となる分岐線路SRの付近の判定領域を設定する。つまり、第1実施形態おける判定領域より、限定した範囲を設定することができる。
そして、S106において、障害物検知装置16の障害物検出部16bは、S104で特定された限定された判定領域内に障害物が存在するか否かを判断する。
S108において、障害物が存在すると判断された場合、出力制御部16cは、表示部14に表示されている画像(線路Rや分岐線路SR等が写り込んでいる実画像)の対応する位置に注視画像(マーク、アイコン、シンボル、キャラクタ等)を重畳して表示させる処理等を実行することで、警報を出力する。そして、処理対象の画像に対する一連の処理が終了する。なお、この場合、音声やアラームによる警報を併せて出力するようにしてもよい。障害物が発見されない場合には、注意喚起を行う必要は特にない。したがって、この場合、表示部14には、カメラ12が撮像した現在の画像(実画像)が表示されることになる。
このように、第2実施形態の車両システム100によれば、自車両(鉄道車両RV)の位置および運行情報等に基づき自車両(鉄道車両RV)がこれから走行する線路R(分岐線路SR)に限定して、軌道識別処理および障害物検知処理が実行できる。その結果、より正確な軌道識別処理および障害物検知処理を実現し、さらに、処理負荷の軽減および処理時間の短縮を実現することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10,10A 軌道識別装置
10a 画像取得部
10b 特徴量取得部
10c 線路検出部
10d 分岐線路検出部
10e 記憶部
10f 線路情報
12 カメラ
14 表示部
16 障害物検知装置
18 分岐情報取得部
18a 分岐情報
20 運行情報取得装置
20a 進行方向取得部
20b 現在位置情報取得部
20c 線路情報入力部
100 車両システム
RV 鉄道車両

Claims (9)

  1. 鉄道車両の進行方向の領域を撮像することで得られる撮像画像を取得する画像取得部と、
    前記撮像画像における複数の画素群ごとに、所定の基準に基づく線路らしさを表す尺度となり得る特徴量に基づき、線路を検出する線路検出部と、
    検出された前記線路に対して、分岐線路が存在するか否かを検出する分岐線路検出部と、
    前記線路検出部の検出結果と前記分岐検出部の検出結果を出力する線路検出結果出力部と、
    を備える、軌道識別装置。
  2. 前記分岐線路検出部は、前記線路検出部が検出した前記線路に対する前記分岐線路の交点を当該分岐線路の分岐位置として取得する、請求項1に記載の軌道識別装置。
  3. 前記分岐線路検出部は、前記線路検出部が検出した前記線路について、前記分岐線路を検出する分岐線路検出処理を、検出された全ての前記分岐位置に対して繰り返し実行する、請求項2に記載の軌道識別装置。
  4. 前記分岐線路検出部は、前記分岐位置を要として、扇形状の探索領域を設定して前記分岐線路を検出する請求項2または請求項3に記載の軌道識別装置。
  5. 前記分岐線路検出部は、前記線路検出部が検出した前記線路に対して、交差する線分を前記分岐線路として取得する、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の軌道識別装置。
  6. 前記分岐線路検出部は、検出した前記分岐位置を起点とする前記分岐線路の扇状の探索領域を前記線分を基準に前記分岐線路がとり得る最大曲率の範囲を含む角度で設定する、請求項5に記載の軌道識別装置。
  7. 前記分岐線路検出部は、前記線路検出部が検出した前記線路との類似度に基づき、前記分岐線路を検出する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の軌道識別装置。
  8. 前記鉄道車両の現在位置で取得される前記撮像画像の撮像領域に対応する領域に含まれる前記分岐線路の有無、前記分岐線路の数、前記鉄道車両が進行する分岐先の少なくとも一つの分岐情報を取得する分岐情報取得部を、さらに備え、
    前記分岐線路検出部は、前記分岐情報に基づき前記鉄道車両が走行する前記分岐線路を特定する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の軌道識別装置。
  9. 前記分岐線路検出部は、前記分岐情報取得部が取得する分岐情報に基づき、前記分岐線路の探索領域を設定する、請求項8に記載の軌道識別装置。
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