JP2019187457A - 吸引システムおよび処置方法 - Google Patents

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正臣 今井
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雄輝 増渕
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和明 金本
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Abstract

【課題】生体管腔内を流れる物体を効果的に除去でき、かつ安定した手技を提供できる吸引システムおよび処置方法を提供する。【解決手段】血管内に挿入されて当該血管内の血栓300を捕集するための吸引システム1であって、長尺なシャフト部24と、複数の間隙21Aを備えて弾性的に変形可能な筒体であり、外力の作用しない自然状態において筒体の両側の端部よりも中央部の外径が大きい拡張部20と、拡張部20の近位側に設けられる近位側連結部60と、シャフト部24を移動可能に収容するとともに吸引力を作用させる吸引カテーテル30と、を有し、吸引カテーテル30は、近位側連結部60が当接または入り込む遠位側開口部36を有し、吸引孔37の開口面積は吸引ルーメン30の断面積よりも大きい。【選択図】図8

Description

本発明は、生体管腔に挿入される吸引システムおよび当該吸引システムを用いた処置方法に関する。
例えば、静脈の一部に血栓が詰ると痛みや腫れが生じることがある。この治療のために、経皮的にデバイスを挿入して、血栓を物理的に破砕して除去する方法がある。このような治療において、血管壁から完全剥離または一部剥離した血栓が血流に乗り肺に達すると、肺塞栓が生じる危険がある。このため、このような治療を行う際には、治療前後および/または治療中に血栓溶解剤を使用したり、治療中にできるだけ剥離血栓を吸引して除去したりする。しかしながら、このような処置を施しても、臨床的に問題になる大きさの剥離血栓が肺等に至る可能性がある。
このような肺塞栓を回避するために、血管内を流れる血栓を捕集するフィルターを血管内に留置する方法が知られている。例えば、特許文献1には、長尺に延びるワイヤの遠位部に、血栓を捕集するフィルターを設置し、この近位側でカテーテルにより血栓を吸引して除去する方法が記載されている。
米国特許出願公開第2005/0004594号明細書
フィルターを血管内に配置すると、速い血流によって血栓がフィルターに押し付けられて張り付く。このため、血管内に挿入するカテーテルにより、血栓を吸引することは容易ではない。また、フィルターに対する吸引カテーテルの位置は、手技者によって異なる。このため、手技が手技者の技術に依存して安定しない。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、生体管腔内を流れる物体を効果的に除去でき、かつ安定した手技を提供できる吸引システムおよび処置方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る吸引システムは、生生体管腔内に挿入されて当該生体管腔内の物体を捕集して吸引可能な吸引システムであって、長尺なシャフト部と、複数の間隙を備えて弾性的に変形可能な筒体であり、外力の作用しない自然状態において前記筒体の両側の端部よりも中央部の外径が大きい拡張部と、前記拡張部の近位側に設けられ、前記シャフト部に連結されている近位側連結部と、前記シャフト部を移動可能に収容するとともに吸引力を作用させるための吸引ルーメンが設けられる吸引カテーテルと、を有し、前記吸引カテーテルは、遠位側の端部に前記近位側連結部が当接または入り込む遠位側開口部を有し、前記吸引カテーテルの吸引可能な前記遠位側開口部または他の開口部の開口面積は、前記吸引ルーメンの断面積よりも大きい。
上記目的を達成する本発明に係る処置方法は、上記の吸引システムを使用して生体管腔内の物体を捕集して吸引するための処置方法であって、前記拡張部を収容したシースを前記生体管腔内に挿入するステップと、前記生体管腔内の病変部よりも下流側で前記拡張部を前記シースから押し出し、前記拡張部を自己の弾性力により拡張させて生体管腔内に留置するステップと、前記生体管腔内の前記病変部に生じた物体を前記病変部から脱落させるステップと、前記シャフト部に沿って前記生体管腔内に前記吸引カテーテルを挿入し、前記近位側連結部を前記遠位側開口部に当接または挿入するステップと、前記拡張部によって捕集された物体を前記吸引カテーテルの吸引可能な前記遠位側開口部または他の開口部から吸引するステップと、前記吸引カテーテルを生体管腔内から抜去するステップと、前記拡張部を収縮させて生体管腔内から抜去するステップと、を有する。
上記のように構成した吸引システムおよび処置方法は、吸引カテーテルの吸引可能な遠位側開口部または他の開口部の開口面積が、吸引ルーメンの断面積よりも大きい。このため、広い範囲を吸引でき、かつ大きな物体をも吸引でき、物体を効果的に吸引できる。また、吸引カテーテルの遠位側開口部を、生体管腔内で物体を捕集するデバイスに接触させつつ吸引できるため、吸引カテーテルの位置が安定し、手技者に依存しない安定した手技を提供できる。
第1実施形態に係る吸引システムを示す平面図である。 第1実施形態に係る吸引システムの拡張器具、押圧シャフトおよびシースを組み合わせた状態を示す平面図である。 拡張器具の拡張部を示す平面図であり、(A)は拡張部が拡張した状態、(B)は拡張部が収縮した状態を示す。 近位側連結部および遠位側連結部を示す拡大断面図である。 図4のA−A線に沿う断面図である。 図4のB−B線に沿う断面図である。 自然状態における拡張部および閉鎖部を示す断面図である。 折り返し状態における拡張部および閉鎖部を示す断面図である。 吸引カテーテルの遠位部を示す図であり、(A)は平面図、(B)は断面図である。 撹拌デバイスを示す平面図である。 血管内の状態を示す断面図であり、(A)は拡張部を血管内に挿入した際の状態、(B)は拡張部を血管内で拡張させた状態を示す。 血管内の状態を示す断面図であり、(A)は拡張部を折り返し状態として血管に留置した状態、(B)は撹拌デバイスを血管内に挿入した状態を示す。 拡張部を折り返し状態として血管に留置した状態を示す断面図である。 血管内の拡張器具を示す概略図である。 血管内の状態を示す断面図であり、(A)は撹拌デバイスの破砕部を拡張させた状態、(B)は拡張させた破砕部により血栓等を破砕した際の状態を示す。 拡張部および閉鎖部により捕集した血栓等を吸引カテーテルにより吸引している状態を示す断面図である。 吸引カテーテルにより血栓等を吸引している状態を示す平面図である。 吸引カテーテルに拡張部を収容した状態を示す。 第1実施形態に係る吸引システムの変形例を示す断面図である。 第1実施形態に係る吸引システムのさらに変形例を示す断面図である。 第2実施形態に係る吸引システムの吸引カテーテルを示す平面図である。 第2実施形態における吸引カテーテルの遠位部を拡大した平面図である。 第2実施形態における吸引カテーテルの遠位部を拡大した斜視図である。 第2実施形態における吸引カテーテルの変形例を示す斜視図である。 拡張部により捕集した血栓等を吸引カテーテルにより吸引している状態を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
本発明の実施形態に係る吸引システム1は、血管内の血栓やプラークなどの物体を吸引して除去するために、血管内の流れを部分的に抑制するために用いられる。なお、本明細書では、デバイスの血管に挿入する側を「遠位側」、操作する手元側を「近位側」と称することとする。また、除去する物体は、必ずしも血栓やプラークに限定されず、生体管腔内に存在し得る物体は、全て該当し得る。また、本明細書では、血管内の血液の流れの源側を「上流側」と称し、血液の流れが向かう側を「下流側」と称する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る吸引システム1は、図1、2に示すように、血管内の血液の流れを制限する拡張器具10と、拡張器具10を収納可能な吸引カテーテル30と、拡張器具10を吸引カテーテル30から押し出すために使用される押圧シャフト40とを備えている。なお、血液の流れを制限することは、血管の軸に対して垂直な断面を部分的に閉塞する、または、断面を減少させることにより、血液の流量を低下させることである。
拡張器具10は、図3、4に示すように、複数の間隙21Aを備える網状の筒体である拡張部20と、拡張部20の内周面に配置される閉鎖部70と、拡張部20に連結される長尺なシャフト部24と、拡張部20よりも遠位側に設けられる補助拡張部80とを備えている。
シャフト部24は、図1、3に示すように、手元から拡張部20を貫通し、補助拡張部80まで延在する長尺なワイヤである。
シャフト部24の構成材料は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、形状記憶合金などが好適に使用できる。
拡張部20は、血栓等を捕集するためにフィルターとして機能する部位である。拡張部20は、図3に示すように、間隙21Aを有する筒体を構成するように網状に編組される柔軟に変形可能な複数の線状体21と、シャフト部24に固定的に連結される遠位側連結部50と、シャフト部24に摺動可能に連結される近位側連結部60とを備えている。複数の線状体21は、編組することによって線状体21同士の間に間隙21Aを有している。複数の線状体21により構成される筒体は、近位部の内周面に膜状の閉鎖部70が固定されている。このため、外力が作用しない自然状態において、拡張部20の近位部の外径は、閉鎖部70の影響を受けて遠位部の外径よりも大きい。すなわち、拡張部20は、遠位部と近位部が非対称な構造である。拡張部20の閉鎖部70が固定されていない部位は、拡張部20の閉鎖部70が固定されている部位よりも変形が容易である。なお、拡張部20は、遠位部と近位部が対称な構造であってもよい。
遠位側連結部50は、図4、5に示すように、線状体21の内側に位置する内管51と、線状体21の外側に位置する外管52を備えている。内管51および外管52の間には、線状体21の遠位側の端部およびシャフト部24が挟まれて固定されている。内管51の内面側は、ガイドワイヤを挿入可能なガイドワイヤルーメン54となっている。
近位側連結部60は、図4、6に示すように、線状体21の内側に位置する内管61と、内管61の外側に位置する外管62と、内管61と外管62の間に挟まれるガイド用管体63を備えている。内管61と外管62の間には、線状体21の近位側の端部およびガイド用管体63が挟まれて固定されている。ガイド用管体63の内部には、シャフト部24が摺動可能に配置されている。したがって、近位側連結部60は、シャフト部24に沿って軸方向へ移動可能である。内管61の内面側は、ガイドワイヤを挿入可能なガイドワイヤルーメン64となっている。近位側連結部60の軸方向に垂直な断面積は、シャフト部24の軸方向に垂直な断面積よりも大きい。
拡張部20は、外力が作用しない自然状態において、線状体21の自己の弾性力(復元力)により拡径した拡張状態(図3(A)を参照)となる。拡張部20が拡張状態となる際には、近位側連結部60がシャフト部24に対して遠位側へ摺動し、遠位側連結部50に近づく。また、拡張部20は、吸引カテーテル30(図1、2を参照)に収容されることで、弾性的に変形して外径が小さくなる収縮状態(図3(B)を参照)となる。拡張部20が収縮状態となる際には、近位側連結部60がシャフト部24に対して近位側へ摺動し、遠位側連結部50から離れる。近位側連結部60と遠位側連結部50の間の距離が変化することで、編組された拡張部20の外径は変化可能となっている。
拡張部20は、近位側に位置する近位側テーパ部20Aと、遠位側に位置する遠位側テーパ部20Cと、近位側テーパ部20Aと遠位側テーパ部20Cの間に位置する中央部20Bとを有する。近位側テーパ部20Aは、近位側連結部60から遠位側に向かって内外径がテーパ状に増加する。遠位側テーパ部20Cは、遠位側連結部50から近位側に向かって内外径がテーパ状に増加する。中央部20Bは、近位側テーパ部20Aから遠位側テーパ部20Cへ向かって、内外径がテーパ状に減少する。中央部20Bは、拡張部20が拡張した際に、血管内壁に接触する部位である。なお、拡張部20が拡張した際に血管内壁に接触する部位は、近位側テーパ部20Aまたは遠位側テーパ部20Cであることもあり得る。
線状体21の数は、特に限定されないが、例えば4〜72本である。また、線状体21の編組の条件は、特に限定されない。線状体21の外径は、線状体21の材料や拡張部20の用途により適宜選択可能であるが、例えば20〜300μmである。
線状体21の構成材料は、柔軟性がある材質であることが好ましく、例えば、熱処理により形状記憶効果や超弾性が付与される形状記憶合金、ステンレス、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、白銀(Pt)、金(Au)、タングステン(W)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミド、などが好適に使用できる。形状記憶合金としては、Ni−Ti系、Cu−Al−Ni系、Cu−Zn−Al系またはこれらの組み合わせなどが好ましく使用される。複数の材料を組み合わせた構造としては、例えば、造影性を付与するためにPtからなる芯線にNi−Ti合金を被覆した構造や、Ni−Ti合金からなる芯線に金メッキを施した構造が挙げられる。
外管52、62の外径は、特に限定されない。例えば0.3〜3.0mmである。内管51、61の内径は、特に限定されない。例えば0.1〜2.0mmである。
内管51、61および外管52、62の構成材料は、特に限定されない。例えばステンレス鋼などが好適に使用できる。
拡張部20の拡張状態における最大外径は、適用する血管の内径に応じて適宜選択可能である。例えば、1〜40mmである。拡張部20の収縮状態における外径は、適用する血管の内径に応じて適宜選択可能である。例えば、0.3〜4.0mmである。拡張部20の拡張状態における軸方向への長さは、適用する血管に応じて適宜選択可能である。例えば、20〜150mmである。
閉鎖部70は、図7に示すように、拡張部20の近位側の内周面に固定される薄い膜状の部材である。閉鎖部70は、拡張部20の間隙21Aを塞いでいる。閉鎖部70は、拡張部20に追従して柔軟に変形可能である。閉鎖部70は、後述する折り返し状態(図8を参照)において、適用される血管を完全に塞がないように、拡張状態の拡張部20の軸方向長さの半分以下の範囲に配置されることが好ましいが、これに限定されない。閉鎖部70の厚さは、特に限定されない。例えば0.01〜0.2mmである。
閉鎖部70の構成材料は、柔軟性がある材質であることが好ましく、例えばウレタン、天然ゴム、シリコーン樹脂などが好適に使用できる。閉鎖部70は、通気性や通液性を有する部材であってもよい。一例として、閉鎖部70は、拡張部20に対してディッピングにより固定される。なお、閉鎖部は、拡張部20の外周面側に設けられてもよい。また、閉鎖部は、拡張部20の内周面と外周面の間、すなわち間隙21Aの空間内に設けられてもよい。なお、閉鎖部は、間隙21Aの通気性や通液性を制限でき、かつ拡張部20とともに変形できるのであれば、構成は限定されない。
拡張部20は、図8に示すように、近位側連結部60がシャフト部24に対して遠位側へ摺動し、遠位側連結部50に近づいて拡張部20の内部に位置することで、軸方向に折り返された折り返し状態となることができる。拡張部20の内部とは、拡張部20の内表面と中心軸に囲まれる領域である。拡張部20の内表面とは、線状体21が編組されて構成される筒体の内表面を意味する。折り返し状態において、拡張部20は、折り返されて軸方向の近位側の端部を構成する折り返し部25と、折り返されて径方向の内側に位置する折り込み部26と、を有する。閉鎖部70は、折り返し部25よりも折り込み部26が設けられる側、すなわち近位側連結部60に近い側(中心側)に配置されている。すなわち、閉鎖部70は、折り返し部25から折り込み部26の範囲において、一部にのみ配置されている。このため、閉鎖部70は、折り返し状態において、シャフト部24の軸方向から視て、拡張部20に対して部分的に配置される。折り返し状態において、閉鎖部70の最大外径は、拡張部20の最大外径よりも小さい。したがって、閉鎖部70は、適用される血管を部分的に塞ぎ、完全に塞がない。
折り返し状態において、近位側連結部60と遠位側連結部50の距離は、適宜設定され得る。近位側連結部60と遠位側連結部50の距離は、適用される血管の内径によって、異なってもよい。閉鎖部70は、拡張部20の遠位部の内周面と接触してもよいが、接触しなくてもよい。拡張部20が拡張状態から折り返し状態となる際に、閉鎖部70は、少なくとも一部が裏返ることになる。閉鎖部70が裏返った状態から元の状態(図7を参照)に戻るには、ある程度の力が必要となる。このため、折り返し状態にある拡張部20および閉鎖部70は、ある程度の形状安定性を有する。
折り返し状態において、拡張部20の折り返し部25の内周面同士は、接触して重ならない。したがって、折り返し部25において、拡張部20は、離れた状態で折り返されている。なお、拡張部20の内表面とは、線状体21が編組された筒体の内表面を意味し、拡張部20の外表面とは、筒体の外表面を意味する。
折り返し状態において、拡張部20は、折り返し部25から拡張部20の内部に位置する近位側連結部60に向かって、径が一旦減少する減少部27と、減少部27から径が増加する増加部28を有する。これにより、折り返し状態において、拡張部20の軸方向に窪んだ内部空間29が、入口よりも内部で広がる。拡張部20が折り返し状態から元の状態(図7を参照)に戻るには、増加部28が減少部27の内側を通り抜ける必要があるため、ある程度の力が必要となる。このため、折り返し状態にある拡張部20は、ある程度の形状安定性を有する。
また、拡張部20は、遠位部よりも近位部の径が大きいため、折り返し状態において、内部空間29が広くなる。このため、血栓等の物体を収容する空間を広く確保できる。
吸引カテーテル30は、図1、2および9に示すように、シース管体31と、ハブ32と、耐キンクプロテクタ33とを備えている。吸引カテーテル30は、拡張器具10を収容できるとともに、血管内の血栓等を吸引して体外へ除去することができる。
シース管体31は、拡張器具10を収容可能であり、かつ近位側から吸引力を作用させることが可能な吸引ルーメン34を備えている。シース管体31は、遠位側の端部に、吸引ルーメン34が開口する遠位側開口部36を有している。また、シース管体31は、遠位側開口部36よりも近位側の側面に、吸引ルーメン34が開口する吸引孔37(吸引可能な開口部)を有している。シース管体31は、近位側に位置する直線状の基部31Aと、基部31Aの遠位側に位置する曲げ部38と、曲げ部38の遠位側に位置する遠位側管状部31Bを有する。曲げ部38は、湾曲または屈曲している。このため、遠位側管状部31Bは、基部31Aの中心軸に対して所定の方向Xへ傾斜している。遠位側管状部31Bが基部31Aに対して傾斜する角度αは、特に限定されない。例えば10〜90度であり、より好ましくは30〜80度であり、さらに好ましくは50〜70度である。吸引孔37は、基部31Aに対して遠位側管状部31Bが傾斜する方向Xと反対方向を向いて開口している。吸引孔37は、曲げ部38に設けられる。なお、吸引孔37が設けられる位置は、曲げ部38の方向Xと反対方向側でなくてもよく、また曲げ部38でなくてもよい。また、シース管体31は、吸引孔37が設けられる部位を補強する補強部39を有する。補強部39は、シース管体31の吸引孔37を含む範囲に設けられる。したがって、補強部39は、吸引孔37の縁部を構成する。補強部39は、吸引孔37が設けられることで剛性が低下するシース管体31の折れ曲がりや潰れを抑制する。このため、吸引カテーテル30は、操作性の低下を抑制でき、かつ吸引力を適切に維持できる。
遠位側開口部36は、図8に示すように、拡張した状態の拡張部20の近位側に位置する近位側連結部60を収容して保持できる。吸引孔37の遠位側開口部36からの距離L1(図9を参照)は、近位側連結部60の軸方向長さL2(図3を参照)以上であることが好ましい。これにより、遠位側開口部36から吸引ルーメン34に挿入された近位側連結部60が、吸引孔37に到達せず、吸引孔37に干渉しない。吸引ルーメン34の内径は、吸引ルーメン34内で近位側連結部60が軸方向および回転方向に摺動できるように、近位側連結部60の外径よりも大きい。吸引ルーメン34に近位側連結部60が挿入された際の吸引ルーメン34の内周面と近位側連結部60の外周面の間のクリアランスは、特に限定されない。例えば0.1〜1mmであり、より好ましくは0.2〜0.6mmであり、さらに好ましくは0.25〜0.4mmである。クリアランスが小さ過ぎると、近位側連結部60が吸引ルーメン34内で摺動できなくなる。クリアランスが大き過ぎると、近位側連結部60が吸引ルーメン34を良好に塞ぐことができず、吸引孔37に吸引力を集中させることが困難となる。
遠位側開口部36に位置する吸引ルーメン34の軸方向に垂直な断面積は、近位側連結部60の軸方向に垂直な断面積よりも大きい。また、近位側連結部60の軸方向に垂直な断面積は、シャフト部24の軸方向に垂直な断面積よりも大きい。このため、遠位側開口部36に近位側連結部60が当接または入り込む場合の方が、遠位側開口部36がシャフト部24に沿って配置される場合よりも、遠位側開口部36の内部に維持される隙間(ギャップ)が小さい。このため、シャフト部24または近位側連結部60に対する吸引カテーテル30の径方向の位置ずれが少なく、吸引孔37から安定して物体を吸引可能である。
吸引孔37の開口面積(シース管体31の側面における面積)は、吸引ルーメン34の中心軸と直交する断面における断面積よりも大きい。すなわち、吸引孔37は、シース管体31の側面に設けられることで、軸方向へ長くすることができ、吸引ルーメン34の断面積よりも大きくすることができる。
拡張部20が折り返し状態において、近位側連結部60が遠位側開口部36に挿入された際の吸引孔37の全てまたは一部は、折り返し部25よりも遠位側に位置することが好ましい。また、拡張部20が折り返し状態において、近位側連結部60が遠位側開口部36に挿入された際の吸引孔37の開口方向(シース管体31の軸方向と直交する方向)に、折り返し部25または折り込み部26の閉鎖部70が設けられない部位が位置することが好ましい。これにより、吸引孔37の正面に、フィルターとして機能する拡張部20が位置する。このため、拡張部20に張り付く血栓を、吸引孔37から効率よく吸引可能となる。なお、折り返し状態において、近位側連結部60が遠位側開口部36に挿入された際の吸引孔37は、折り返し部25よりも近位側であってもよい。したがって、吸引孔37の開口方向に、拡張部20が存在しなくてもよい。
また、シース管体31の曲げ部38よりも近位側の中心軸からシース管体31の遠位側端部までの離間距離H(図9を参照)は、折り返し状態の折り返し部25の半径(内部空間29の入口の半径)以上である。これにより、シース管体31を回転させることで、シース管体31を拡張部20に接触させやすくなる。このため、シース管体31の撹拌力、シース管体31の拡張部20に張り付く血栓への直接的な接触、または拡張部20に伝わる衝撃力により、拡張部20から血栓が容易に離れることができる。したがって、流れがある中でも血栓を吸引孔37から効率よく吸引可能となる。シース管体31が拡張部20に接触する際には、拡張部20の形状に沿って、シース管体31の曲がる位置が変化してもよい。また、シース管体31が拡張部20に接触する際には、拡張部20が変形したり、近位側連結部60の位置が変動したりしてもよい。
近位側連結部60が遠位側開口部36に入り込んだ状態において、吸引カテーテル30の遠位側開口部36が設けられる部位の遠位側に、閉鎖部70が位置する。閉鎖部70は、血管内の流れを制限するため、吸引カテーテル30の遠位側開口部36の近傍では、血管内の流れが制限されて、血栓が拡張部20に張り付かずに浮遊する。したがって、この領域は、強く吸引力を作用させる必要性が低い。このため、遠位側開口部36を近位側連結部60により塞ぎ、その代わりに、強い吸引力を必要とする吸引孔37に吸引力を集中させることができる。
ハブ32は、シース管体31の近位側の端部に固定されている。ハブ32は、図1、2、および18に示すように、吸引ルーメン34と連通するハブ開口部35を備えている。ハブ開口部35は、側管191を備えるYコネクタ190を連結可能である。Yコネクタ190を連結することで、ハブ開口部35に、長尺なデバイス(例えば、シャフト部24)を挿入した状態で、負圧を生じさせるシリンジ180を連通させることができる。また、Yコネクタ190の側管191にシリンジ180を接続することによって、シリンジ180から血栓溶解剤をシース管体31の内腔に注入することもできる。耐キンクプロテクタ33は、シース管体31およびハブ32の連結部位を覆う柔軟な部材である。耐キンクプロテクタ33は、シース管体31のキンクを抑制する。
シース管体31の構成材料は、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミドまたはこれらの組み合わせなどが好適に使用できる。シース管体31は、複数の材料によって構成されてもよく、線材などの補強部材が埋設されてもよい。
補強部39の構成材料は、シース管体31の構成材料よりも硬いことが好ましく、例えばステンレス鋼などが好適に使用できる。
押圧シャフト40は、吸引カテーテル30の吸引ルーメン34内に収容可能な管体である。押圧シャフト40は、内部に拡張器具10のシャフト部24を挿入可能な押し出し用ルーメン41を有している。押し出し用ルーメン41の内径は、拡張器具10の近位側連結部60の外径よりも小さい。このため、近位側連結部60は、押し出し用ルーメン41内に入り込むことができない。したがって、押圧シャフト40の遠位側の端面により、近位側連結部60を遠位側へ押圧できる。
次に、血管内に挿入して血栓を撹拌して破砕するための撹拌デバイス100について説明する。
撹拌デバイス100は、図10に示すように、長尺であって回転駆動される駆動シャフト110と、駆動シャフト110に対してスライド可能なスライド部111と、駆動シャフト110によって回転する破砕部140とを備えている。撹拌デバイス100は、さらに、駆動シャフト110を回転させる駆動源(例えば、モータ)を備える回転駆動部150と、ガイドワイヤを挿入可能なガイドワイヤ用管体170と、ガイドワイヤ用管体170の近位側端部に設けられるハブ160とを備えている。駆動シャフト110は、Yコネクタ190を介して、吸引カテーテル30に収容可能である。
駆動シャフト110は、近位側端部が回転駆動部150に位置している。駆動シャフト110は、回転駆動部150によって周方向に沿って往復動可能とされている。ただし、駆動シャフト110は往復動するものに限られず、一方向に回転するものであってもよい。
ガイドワイヤ用管体170は、駆動シャフト110の中空内部に、遠位側端部からハブ160にわたって設けられる。ガイドワイヤ用管体170は、ガイドワイヤを挿入可能なガイドワイヤルーメンを有している。
破砕部140は、駆動シャフト110の遠位部に設けられている。破砕部140は、複数(本実施形態では6本)の線材141を備えている。各々の各線材141は、3次元的に湾曲している。なお、線材141の数は、特に限定されない。各々の線材141は、駆動シャフト110の軸方向に沿っていずれも同じ周方向に向かう捻りを施されている。各線材141の近位側端部は、駆動シャフト110に対してスライド可能なスライド部111に固定されている。各線材141の遠位側端部は、駆動シャフト110に対して固定されている固定部112に固定されている。固定部112およびスライド部111に対する各線材141の固定位置は、周方向に並んでいる。また、各線材141の湾曲する軸方向の略中央部は、駆動シャフト110から径方向に離れた位置で、周方向に並んでいる。これにより、破砕部140は、全体としては周方向に均一な膨らみを有している。駆動シャフト110が回転すると、それに伴い破砕部140も回転し、血管内の血栓を破壊したり、あるいは破壊した血栓を撹拌したりすることができる。
破砕部140を構成する線材141は、可撓性を有する金属製の細線によって構成されている。駆動シャフト110を目的部位に挿入するまでは、破砕部140は吸引カテーテル30の内部に納められた状態となっている。駆動シャフト110を目的部位まで挿入した後、吸引カテーテル30を駆動シャフト110に対して近位側に摺動させると、破砕部140が吸引カテーテル30の外部に露出して拡張する。このため、線材141は、形状記憶性を有した材料で形成されることが望ましい。
次に、本実施形態に係る吸引システム1および撹拌デバイス100の使用方法を、血管(生体管腔)内の血栓(物体)を吸引して除去する場合を例として説明する。
まず、血管の血栓300よりも上流側(近位側)において血管内へ経皮的にイントロデューサシース(図示せず)を挿入し、このイントロデューサシースを介して、ガイドワイヤ90を血管内へ挿入する。次に、ガイドワイヤ90を押し進め、血栓300の遠位側まで到達させる。
次に、図2に示すように、拡張器具10および押圧シャフト40を吸引カテーテル30内に収容した吸引システム1を準備する。吸引カテーテル30のハブ32には、Yコネクタ190が接続されている。拡張部20および補助拡張部80は、シース管体31の遠位側端部に近い位置に配置され、収縮状態で形状が拘束されている。シャフト部24は、ハブ32のハブ開口部35からYコネクタ190を通って近位側に突出している。
次に、体外に位置するガイドワイヤ90の近位側端部を、吸引システム1のガイドワイヤルーメン54、64(図7を参照)に挿入する。続いて、図11(A)に示すように、ガイドワイヤ90に沿って、吸引システム1を血栓300の遠位側まで到達させる。なお、ガイドワイヤ90を血栓300の遠位側へ到達させるために、別途準備されるサポートカテーテルを使用することもできる。
次に、押圧シャフト40の移動を手で抑えつつ、吸引カテーテル30を近位側へ移動させる。このとき、押圧シャフト40の遠位側端部が近位側連結部60に接触する。これにより、拡張部20、閉鎖部70および補助拡張部80の移動が抑えられるため、血管内における拡張部20、閉鎖部70および補助拡張部80の位置を、任意に調整できる。そして、押圧シャフト40に対して吸引カテーテル30が近位側に移動することで、補助拡張部80、拡張部20および閉鎖部70が、シース管体31から順次放出される。これにより、図11(B)に示すように、まず、補助拡張部80が自己の復元力により拡張し、血管を押し広げつつ血管に食い込み、血管に対して強固に固定される。
拡張部20および閉鎖部70が、シース管体31から放出されると、遠位側連結部50が近位側連結部60に近づくように移動する。そして、拡張部20が自己の復元力により最適な大きさに拡張し、血管の内壁面に接触する。拡張部20は、メッシュ状に形成されているため、血管の内壁面に対して食い込み、強固に固定される。使用される拡張部20の拡張可能な最大径は、挿入される血管径よりも大きい。このため、拡張部20は、血管内で完全には拡張しない状態となり、拡張力を発生させて血管壁へ効果的に固定される。
次に、押圧シャフト40を遠位側へ移動させ、押圧シャフト40の遠位側端部により、近位側連結部60を遠位側に押し込む。これにより、図12(A)、図13に示すように、拡張部20は、折り返し部25で折り返された折り返し状態となる。閉鎖部70は、折り込み部26の折り返し部25よりも中心側、すなわち近位側連結部60に近い側に位置する。このため、閉鎖部70は、折り返し状態において、血管を完全に塞がない。このため、血流を確保でき、生体への負担を低減できる。折り返し状態において、補助拡張部80の最大外径は、折り返し部25の最大外径よりも大きい。また、折り返し状態において、補助拡張部80の最大外径は、折り込み部26の最大外径よりも大きい。また、折り返し状態において、補助拡張部80の最大外径は、閉鎖部70の最大外径よりも大きい。
拡張部20を折り返す際に、拡張部20は、遠位方向へ力を受ける。しかしながら、拡張部20の遠位側に補助拡張部80が設けられているため、拡張部20は補助拡張部80に支持され、適切な位置を維持できる。
次に、吸引カテーテル30を残して押圧シャフト40を生体外へ抜去する。このとき、拡張部20の軸方向に窪んだ内部空間29が、入口よりも内部で広がっているため、拡張部20の折り返し状態を安定して維持できる。また、少なくとも一部が裏返った閉鎖部70も、形状が安定性するため、拡張部20の折り返し状態をより安定して維持できる。さらに、閉鎖部70が血流から遠位側へ向かう力を受けるため、拡張部20の折り返し状態をより安定して維持できる。
折り返し状態となった拡張部20および補助拡張部80は、図14に示すように、大静脈200の腎静脈201との合流部よりも近位側(下肢側)に位置することが好ましい。血栓300は、例えば腸骨静脈202に位置する。これにより、血栓300から脱落する血栓301が、腎静脈201へ流入することを抑制でき、腎圧の上昇等を抑えて安全性が向上する。
血管の内壁面に拡張部20および補助拡張部80が設置されると、閉鎖部70が、血管を部分的に塞ぐ。これにより、血管内の血流が低減される。このとき、血管は完全に塞がれていないため、血流を確保でき、生体への負担を低減できる。
次に、撹拌デバイス100のガイドワイヤルーメンに、シャフト部24の近位側端部を挿入する。次に、シャフト部24をガイドとして、吸引カテーテル30に接続されたYコネクタ190に、破砕部140を含む駆動シャフト110の遠位部の遠位部を挿入する。続いて、駆動シャフト110を押し進め、図12(B)に示すように、撹拌デバイス100を血栓300の近位側へ挿入する。この後、吸引カテーテル30を近位側へ移動させると、図14、図15(A)に示すように、破砕部140が血管内で広がる。
血栓を破砕するために、破砕部140を回転および軸方向へ移動させる際には、吸引カテーテル30の手元側の側管191に、血栓溶解剤を収容したシリンジ180を接続することができる。そして、破砕部140による血栓300の破壊と同時に、シリンジ180の押し子を押し、吸引カテーテル30の遠位側端部から血栓溶解剤を噴出させることも可能である。血栓溶解剤の噴出は連続的、断続的のいずれでもよく、噴出速度、噴出量も任意に変更可能である。血栓溶解剤を断続的に噴出する場合は、噴出を停止している間に吸引することも可能である。このとき、血栓が形成されている領域の血流が低減されているため、血栓溶解剤が高い濃度で保たれ、血栓溶解剤が高い効果を発揮する。なお、血栓溶解剤は、使用しなくてもよい。また、破砕部140を回転および軸方向へ移動させる際には、吸引カテーテル30の手元側の側管191に、吸引用のシリンジ180を接続することができる。そして、破砕部140による血栓300の破壊と同時に、シリンジ180の押し子を引き、吸引カテーテル30により破砕された血栓301を吸引することもできる。なお、破砕の際に、血栓301を吸引しなくてもよい。
次に、破砕部140が血栓300の近傍まで進入した状態で、回転駆動部150により駆動シャフト110を回転させる。これにより、図15(B)に示すように、破砕部140が回転し、血管内で固着した状態となっていた血栓300を破砕する。
破砕部140に破砕された血栓301は、図16に示すように、下流側に位置する拡張部20に到達する。折り返し状態にある拡張部20の間隙21Aは、閉鎖部70によって部分的に塞がれている。したがって、血液は、閉鎖部70により塞がれている範囲において滞留する。このため、破砕された血栓301は、滞留している血管内で浮遊した状態となる。そして、血液は、閉鎖部70に閉鎖されていない間隙21Aを通って拡張部20を通過できる。折り返し部25において、拡張部20は、内表面同士が接触せずに離れた状態で折り返されている。このため、折り返し部25にて拡張部20が重ならず、拡張部20の間隙21Aを良好に確保できる。したがって、拡張部20の間隙21Aを流れる血液を適切に維持でき、生体への負担を低減できる。また、折り返し部25にて拡張部20の内表面同士が重ならないことで、拡張部20のフィルターとして機能する範囲を広く確保できる。すなわち、拡張部20の内表面同士が重なると、拡張部20が潰れた状態となり、血液が拡張部20の外表面から内表面へ流れることができる範囲が少なくなる。これに対し、拡張部20のフィルターとして機能する範囲を広く確保できることで、間隙21Aが物体によって目詰まりすることを抑制できる。
折り返し状態において閉鎖部70の外側に位置する拡張部20の間隙21Aを通過した血栓301は、拡張部20の外表面側から内表面側に入り込む。そして、血栓301は、折り返し状態において折り込み部26よりも遠位側に位置する拡張部20の内周面に捕集される。ところで、折り返し部25において拡張部20の内周面同士が重なっている場合、拡張部20が潰れた状態となるため、血栓301が間隙21Aを通過する際に、重なる2つの間隙21Aを同時に通過する。このため、折り返し部25において拡張部20の内周面同士が重なっている場合、拡張部20の間隙21Aを外周面側から通過した血栓301が、拡張部20の内周面側に保持されない可能性がある。これに対し、拡張部20は、折り返し部25において内周面同士が離れた状態で折り返されているため、血流とともに折り返し部25の間隙21Aを外周面側から通過した血栓301は、拡張部20の内周面側に保持されやすい。このため、折り返されることで2重となる拡張部20の外表面および内表面の両方を有効に利用して、血栓301を良好に捕集できる。
折り返されることで2重となる拡張部20を通過した血栓301は、フィルターとして機能する補助拡張部80によって、さらに捕集される。
次に、駆動シャフト110の回転動を停止する。この後、吸引カテーテル30に破砕部140を収容し、拡張器具10および吸引カテーテル30を残して撹拌デバイス100を血管から抜去する。なお、吸引カテーテル30のハブ32に、Yコネクタ190が接続された状態が維持される。
次に、吸引カテーテル30をシャフト部24に沿って遠位側へ移動させる。これにより、吸引カテーテル30が拡張部20の近位側に位置する。次に、Yコネクタ190に吸引用のシリンジ180を接続する。次に、近位側連結部60を、遠位側開口部36に挿入する。これにより、遠位側開口部36が閉鎖される。
次に、図17に示すように、ハブ32およびYコネクタ190を把持して回転させつつ、シリンジ180の押し子を引く。これにより、吸引ルーメン34内に負圧を生じさせることができる。遠位側開口部36は、近位側連結部60により塞がれているため、吸引孔37に吸引力を集中させることができる。吸引孔37は、折り返し部25よりも遠位側に位置する。そして、吸引孔37の正面(開口方向)に、閉鎖部70により間隙21Aが塞がれていない拡張部20が位置しているため、拡張部20に捕集された血栓301を効果的に吸引できる。さらに、シース管体31は、曲げ部38で曲がっているため、吸引孔37を拡張部20に近づけることができる。このため、拡張部20に捕集された血栓301を、吸引孔37から効果的に吸引できる。また、シース管体31が回転することで、曲げ部38が振れ回り、血液を撹拌し、場合によってシース管体31の側面が拡張部20や拡張部20に捕集された血栓301に接触する。これにより、拡張部20に張り付いた血栓301は、血液の流れ、シース管体31の血栓301への接触、またはシース管体31から拡張部20に伝わる衝撃力により、拡張部20から離れることができる。拡張部20から離れた血栓301は、吸引孔37から効果的に吸引される。そして、吸引孔37が、曲げ部38の凸状となる側に位置しているため、シース管体31が回転することで、吸引孔37が回転の外側に位置する。このため、吸引孔37は、拡張部20や拡張部20に張り付く血栓301に近づき、場合によっては拡張部20や血栓301に接触し、拡張部20に張り付いた血栓301を効果的に吸引できる。
また、遠位側開口部36の遠位側に閉鎖部70が位置するため、シース管体31が回転すると、閉鎖部70により血流が制限された範囲において、滞留している血栓301が撹拌される。これにより、血栓301が移動し、吸引孔37に吸引される。閉鎖部70により流れを制限されている範囲では、血栓301は拡張部20に張り付かずに滞留するため、遠位側開口部36が塞がれていても、吸引孔37から吸引可能である。すなわち、この領域は、吸引力を作用させる必要性が低い。したがって、遠位側開口部36を近位側連結部60により塞ぐことで、吸引孔37に吸引力を集中させることができる。これにより、拡張部20に捕集される血栓301を、吸引孔37から効果的に吸引できる。そして、吸引孔37の開口面積が、吸引ルーメン34の断面積よりも大きいため、軸方向に沿う広い範囲を吸引できる。さらに、吸引孔37に吸引する血栓301が詰まり難くなり、高い吸引力を維持できる。
また、遠位側開口部36に近位側連結部60を挿入することで、拡張部20と吸引カテーテル30の位置が安定する。これにより、手技者の技術に依存せず、安定した手技を提供できる。
シース管体31は、近位側連結部60の軸方向長さL2(図3を参照)の範囲で、近位側連結部60に対して軸方向へ移動させることができる。すなわち、近位側連結部60がシース管体31から抜けない範囲で、シース管体31を移動させることができる。この範囲においては、遠位側開口部36が近位側連結部60に塞がれているため、吸引孔37の吸引力が低下しない。そして、この範囲において、シース管体31を軸方向に移動させることで、吸引孔37も移動し、拡張部20に対して軸方向の広い範囲を吸引可能となる。吸引孔37に吸引された血栓301は、吸引ルーメン34を通ってシリンジ180へ排出される。
本実施形態では、閉鎖部70が血液の流れを部分的に制限しているために、滞留する血液に破砕された血栓301が浮遊する。このため、吸引孔37から血栓301を効率よく吸引し、血管内から取り除くことができる。また、血液が流れていると、血栓301を吸引するために強い吸引力が必要となるが、本実施形態では、閉鎖部70が血流を制限している。このため、吸引孔37の吸引力を作用させやすくなり、より効果的に血栓301を吸引できる。したがって、拡張部20の閉鎖部70が設けられていない部位に張り付いた血栓301をも、効果的に吸引して除去できる。
また、閉鎖部70は、折り返し部25よりも折り込み部26側に配置されている。このため、折り返し状態において拡張部20の軸方向に窪んだ内部空間29に対応した位置に閉鎖部70が配置される。したがって、内部空間29内で血液の流れを効果的に低減させて、内部空間29内に流れ込む血栓301を良好に捕集できる。また、閉鎖部70は、拡張部20の折り込み部26が位置する側(近位側)の端部に配置されている。これにより、シャフト部24をガイドとして、閉鎖部70が配置されて血液が滞留している領域(特に、内部空間29内)に、吸引を行う吸引孔37を導きやすい。このため、内部空間29に大量に捕集される浮遊する血栓301を、吸引孔37から効率よく吸引できる。
また、閉鎖部70は、折り返し状態において血管を完全に塞がないため、血流が確保される。このため、図14に示すように、拡張部20や補助拡張部80の設置位置の近傍に側枝203が存在しても、側枝203に血栓301が流入し難くなり、安全性が向上する。
そして、血栓300を破砕して吸引カテーテル30により吸引して除去する際に、拡張部20、閉鎖部70および補助拡張部80は、血流や吸引カテーテル30から力を受ける。しかしながら、拡張部20、閉鎖部70および補助拡張部80の位置は、補助拡張部80によって適切に維持される。このため、吸引システム1により血栓301を捕集、吸引して除去する処置を、適切に行うことができる。
血栓301の吸引が完了した後、図18に示すように、吸引カテーテル30を往復動させながら遠位側へ押し込む。これにより、線状体21が徐々に吸引ルーメン34の内部に収容される。これにより、近位側連結部60が吸引ルーメン34内を近位側へ移動し、遠位側連結部50から離れる。そして、拡張部20および閉鎖部70は、折り返し状態から戻りつつ縮径して、吸引カテーテル30の内部に収容される。さらに、吸引カテーテル30を遠位側へ押し込み、またはシャフト部24を近位側へ牽引することで、補助拡張部80も、縮径して吸引カテーテル30に収容される。このとき、補助拡張部80は、遠位側に向かって傾斜しているため、吸引カテーテル30の内部に円滑に収容できる。拡張部20、閉鎖部70および補助拡張部80を吸引カテーテル30の内部に収容する際には、これらに付着した血栓301も、吸引カテーテル30内に収容できるため、安全性が高い。
拡張部20、閉鎖部70および補助拡張部80を吸引カテーテル30の内部に収容した後、拡張器具10を吸引カテーテル30とともに血管から抜去し、処置が完了する。
以上のように、第1実施形態に係る吸引システム1は、血管(生体管腔)内に挿入されて当該血管内の血栓301(物体)を捕集して吸引可能なシステムであって、長尺なシャフト部24と、複数の間隙21Aを備えて弾性的に変形可能な筒体であり、外力の作用しない自然状態において筒体の両側の端部よりも中央部の外径が大きい拡張部20と、拡張部20の近位側に設けられ、シャフト部24に位置固定的または移動可能に連結されている近位側連結部60と、シャフト部24を移動可能に収容するとともに吸引力を作用させることができる吸引ルーメン34が設けられる吸引カテーテル30と、を有し、吸引カテーテル30は、遠位側の端部に近位側連結部60が当接または入り込む遠位側開口部36を有し、吸引カテーテル30の吸引可能な吸引孔37の開口面積は、吸引ルーメン30の断面積よりも大きい。上記のように構成した吸引システム1は、吸引孔37により、広い範囲を吸引でき、かつ大きな血栓301をも吸引でき、血栓301を効果的に吸引できる。また、吸引カテーテル30の遠位側開口部36を、生体管腔内で血栓301を捕集する拡張部20の近位側の近位側連結部60に接触させるため、拡張部20に対する吸引カテーテル30の位置が安定する。このため、手技者に依存しない安定した手技を提供できる。さらに、吸引孔37に吸引する血栓301が詰まり難くなり、高い吸引力を維持できる。なお、吸引ルーメン34の断面積よりも大きな血栓301を吸引孔37から吸引した場合、吸引ルーメン34内の陰圧により血栓301が崩れ、吸引ルーメン34内を搬送される。
また、近位側連結部60は、シャフト部24よりも、軸方向に垂直な断面積が大きい。これにより、遠位側開口部36に近位側連結部60が当接または入り込むことで、遠位側開口部36の近位側連結部60に対する位置が安定する。このため、吸引孔37から安定して血栓301を吸引できる。
また、吸引カテーテル30の遠位部の側面に、吸引ルーメン34が開口する吸引孔37が設けられる。これにより、吸引孔37の開口面積を吸引カテーテル30の吸引ルーメン34の断面積よりも大きくすることができる。このため、軸方向に沿う広い範囲を吸引孔37により吸引できるとともに、吸引孔37に吸引する血栓301が詰まり難くなり、高い吸引力を維持できる。
また、吸引カテーテル30の遠位側の端部は、拡張部20に当接可能である。これにより、拡張部20に対する吸引カテーテル30の位置が安定する。このため、吸引孔37から安定して血栓301を吸引できる。
また、近位側連結部60の全体が、吸引カテーテル30の遠位側の端部から吸引孔37の間に位置可能である。これにより、吸引孔37が近位側連結部60に塞がれず、血栓301を効果的に吸引できる。
また、吸引カテーテル30は、遠位部に軸方向において曲がる曲げ部38を有する。これにより、吸引カテーテル30を回転させることで曲げ部38を振れ回らせることができる。このため、振れ回る曲げ部38により血液を撹拌し、場合によってシース管体31の側面が拡張部20や拡張部20に捕集された血栓301に接触する。これにより、拡張部20に張り付いた血栓301は、血液の流れ、シース管体31の血栓301への接触、またはシース管体31から拡張部20に伝わる衝撃力により、拡張部20から離れることができる。また、閉鎖部70により浮遊している血栓301も、シース管体31による撹拌により移動して、吸引孔37から吸引される。したがって、流れがある中でも血栓301を吸引孔37から効果的に吸引可能となる。
また、吸引孔37は、曲げ部38に位置する。これにより、吸引カテーテル30は、拡張部20に近づいて撹拌力を作用させる曲げ部38に設けられる吸引孔37から、拡張部20に張り付いた血栓301を効果的に吸引できる。
また、吸引孔37は、曲げ部38の凸状となる側に位置する。これにより、吸引孔37は、回転して撹拌力を作用させる曲げ部38の回転する際の外側に位置する。このため、拡張部20に張り付いた血栓301を、吸引孔37から効果的に吸引できる。
また、拡張部20は、一端部が当該拡張部20の内部に位置するように拡張部20を軸方向に折り返した折り返し状態となることが可能であり、吸引カテーテル30の曲げ部38よりも近位側の中心軸から吸引カテーテル30の遠位側端部までの離間距離Hは、折り返し状態において拡張部20が折り返されて軸方向の端部を構成する折り返し部25の半径以上である。これにより、吸引カテーテル30を回転させることで、吸引カテーテル30を拡張部20に接触させることが容易となる。このため、衝撃力により拡張部20に張り付いた血栓301を拡張部20から容易に離れさせることができ、流れがある中でも血栓301を吸引孔37から効率よく吸引可能となる。
また、吸引カテーテル30の吸引孔37は、折り返し状態の拡張部20に突き当たるまで吸引カテーテル30をシャフト部24に沿って遠位側へ移動させた状態において、吸引孔37の少なくとも一部は、拡張部20が折り返されて軸方向の端部を構成する折り返し部25よりも遠位側に位置する。これにより、折り返し状態となって拡張部20の軸方向に窪んだ内部空間29に吸引孔37を配置できる。したがって、内部空間29内に流れ込んで大量に捕集される血栓301を効果的に吸引できる。
また、本発明は、前述の吸引システム1を使用して血管(生体管腔)内の血栓301(物体)を捕集して吸引するための処置方法をも有する。当該処置方法は、拡張部20を収容した吸引カテーテル30(シース)を血管内に挿入するステップと、血管内の病変部よりも下流側で拡張部20を吸引カテーテル30から押し出し、拡張部20を自己の弾性力により拡張させて血管内に留置するステップと、血管内の病変部に生じた血栓301を病変部から脱落させるステップと、シャフト部24に沿って血管内に吸引カテーテル30を挿入し、近位側連結部60を遠位側開口部36に当接または挿入するステップと、拡張部20によって捕集された血栓301を吸引カテーテル30の吸引可能な吸引孔37から吸引するステップと、吸引カテーテル30を血管内から抜去するステップと、拡張部20を収縮させて血管内から抜去するステップと、を有する。上記のように構成した処置方法は、吸引孔37により、広い範囲を吸引でき、かつ大きな血栓301をも吸引でき、血栓301を効果的に吸引できる。また、吸引カテーテル30の遠位側開口部36を、生体管腔内で血栓301を捕集する拡張部20の近位側の近位側連結部60に接触させるため、拡張部20に対する吸引カテーテル30の位置が安定する。このため、手技者に依存しない安定した手技を提供できる。さらに、吸引孔37に吸引する血栓301が詰まり難くなり、高い吸引力を維持できる。
なお、図19に示す第1実施形態の変形例のように、閉鎖部400は、拡張部20の近位側(外周面側)に配置されてもよい。これにより、閉鎖部400は、シース管体31の遠位側端部に接触可能となる。このため、柔軟な膜状の閉鎖部400により、近位側連結部60により閉鎖される遠位側開口部36をより確実に封鎖し、吸引孔37の吸引力をさらに高めることができる。
また、図20に示す第1実施形態の他の変形例のように、近位側連結部410は、線状体21を固定している部位に、別の延長部材411が固定されてもよい。これにより、近位側連結部410を軸方向へ長くすることができる。したがって、シース管体31を、近位側連結部410の長い範囲内で、吸引孔37の吸引力を落とさずに軸方向へ移動させることができる。シース管体31を移動させることで、吸引孔37は、閉鎖部70に囲まれる範囲と、閉鎖部70が設けられていない拡張部20に囲まれる範囲の両方へ移動できてもよい。これにより、閉鎖部70に囲まれて浮遊する血栓301と、拡張部20に張り付く血栓301の両方を効果的に吸引できる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る吸引システムは、図21〜23に示すように、吸引カテーテル500を構成するシース管体501の構成のみが、第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同様の機能を有する部位は、同一の符号を付し、説明を省略する。
シース管体501は、拡張器具10(図1を参照)を収容可能であり、かつ近位側から吸引力を作用させることが可能な吸引ルーメン502を備えている。シース管体501は、近位側に位置する直線状の基部503と、基部503の遠位側に位置する曲げ部504と、曲げ部504の遠位側に位置する遠位側管状部505を有する。曲げ部504は、湾曲または屈曲している。このため、遠位側管状部505は、基部503の中心軸に対して所定の方向Xへ傾斜している。遠位側管状部505が基部503に対して傾斜する角度βは、特に限定されない。例えば10〜90度であり、より好ましくは30〜80度であり、さらに好ましくは50〜70度である。遠位側管状部505は、遠位側の端部に、吸引ルーメン502が開口する遠位側開口部506を有している。遠位側開口部506は、遠位側管状部505の軸方向に垂直な面に対して傾斜している。遠位側開口部506は、基部503に対して遠位側管状部505が傾斜する方向Xと反対方向を向いて開口している。遠位側管状部505の軸方向に沿う遠位側開口部506の長さL3は、近位側連結部60の軸方向の長さL4よりも長いことが好ましい(図25を参照)。
遠位側開口部506は、最も遠位側の第1の部位511と、最も近位側の第2の部位512と、第1の部位511と第2の部位512の間に位置する第3の部位513とを備える。遠位側管状部505の中心軸に対する第1の部位511の傾斜角度γ1は、遠位側管状部505の中心軸に対する第3の部位513の傾斜角度γ3よりも大きい。傾斜角度γ1は、遠位側に向かって大きくなる。傾斜角度γ1が遠位側に向かって小さくなる場合、第1の部位511の遠位側の端部は、細く鋭利となる。これに対し、傾斜角度γ1が遠位側に向かって大きくなる場合、第1の部位511の遠位側の端部は、細くなり過ぎない。
遠位側管状部505の中心軸に対する第2の部位512の傾斜角度γ2は、第3の部位513から近位側に向かって、傾斜角度γ3よりも一旦大きくなった後、小さくなる。傾斜角度γ2が近位側に向かって小さくなると、第2の部位512の近位側の端部における縁部514が、近位側へ向かって細くなる。なお、図24に示す変形例のように、第2の部位512の近位側の端部に、近位側へ向かって細くなる縁部が設けられなくてもよい。
次に、第2実施形態に係る吸引システムの使用方法について説明する。
まず、第1実施形態と同様に、吸引カテーテル500のシース管体501を用いて生体管腔内に拡張部20を設置する。次に、撹拌デバイス100により血栓300を破砕する。なお、拡張部20は、閉鎖部70が設けられないものとして説明する。次に、撹拌デバイス100を吸引カテーテル500から抜去する。続いて、シャフト部24に沿って吸引カテーテル500を遠位側へ移動させる。これにより、図25に示すように、遠位側開口部506は、拡張した状態の拡張部20の近位側に位置する近位側連結部60に当接する。次に、ハブ32およびYコネクタ190を把持して回転させつつ、シリンジ180の押し子を引く。これにより、吸引ルーメン502内に負圧を生じさせることができる。これによって、遠位側開口部506から血栓301を吸引できる。このとき、遠位側開口部506に近位側連結部60が当接するため、拡張部20と吸引カテーテル500の位置が安定し、手技者に依存しない安定した手技を提供できる。
また、シース管体501は、曲げ部504で曲がっている。さらに、遠位側開口部506は、基部503に対して遠位側管状部505が傾斜する方向Xと反対方向を向いて開口している。このため、シャフト部24は、図23、25に示すように、遠位側開口部506の近位側に位置する第2の部位512に誘導されやすい。また、第2の部位512の近位側の縁部514は、細くなっている。このため、長尺なシャフト部24をガイドとして吸引カテーテル500を移動させた場合に、シャフト部24が遠位側開口部506の細い縁部514に入り込む。これにより、遠位側開口部506の遠位側の広い範囲が、シャフト部24に阻害されずに確保される。また、遠位側開口部506は、遠位側管状部505が傾斜する方向Xと反対方向を向いて開口しているため、シャフト部24が細い縁部514に入り込むと、遠位側開口部506は遠位側を向きやすい。また、シャフト部24は、近位側連結部60の径方向外側に偏って配置されている。このため、遠位側開口部506は、シャフト部24を挟んで近位側連結部60の反対側に位置しやすい。このため、拡張部20に捕集された血栓301を、遠位側開口部506から効果的に吸引できる。遠位側開口部506は、遠位側管状部505の軸方向に垂直な面に対して傾斜しているため、開口面積が、吸引ルーメン502の断面積よりも大きい。このため、広い範囲を吸引できる。さらに、遠位側開口部506に吸引する血栓301が詰まり難くなり、高い吸引力を維持できる。なお、吸引ルーメン502の断面積よりも大きな血栓301を遠位側開口部506から吸引した場合、吸引ルーメン502内の陰圧により血栓301が崩れ、吸引ルーメン502内を搬送される。
また、軸方向に沿う遠位側開口部506の長さL3は、軸方向に沿う近位側連結部60の長さL4よりも長い。これにより、遠位側開口部506による吸引が、近位側連結部60により影響を受け難くなる。このため、遠位側開口部506から血栓301を効果的に吸引できる。また、遠位側開口部506の長さL3は、近位側連結部60の近位部から内部空間29の最も遠位側に位置する拡張部20までの長さL5以下である。これにより、遠位側管状部505の遠位側の端部が、拡張部20の間隙21Aに入り込み難くなる。このため、吸引カテーテル500と拡張部20の干渉を抑制して、安全性を向上できる。
また、遠位側開口部506の第1の部位511の傾斜角度γ1が、遠位側に向かって大きくなっているため、第1の部位511の遠位側の端部は、細くなり過ぎない。このため、遠位側管状部505の遠位側の端部が、拡張部20の間隙21Aに入り込み難くなる。このため、吸引カテーテル500と拡張部20の干渉を抑制して、安全性を向上できる。
また、拡張部20は、近位部が当該拡張部20の内部に位置するように拡張部20を軸方向に折り返した折り返し状態となることが可能である。このため、折り返した拡張部20により血栓301を効果的に捕集した後、吸引カテーテル500により血栓301を効果的に吸引可能である。
拡張部20が折り返し状態において、遠位側開口部506が近位側連結部60に当接した際の遠位側開口部506の全てまたは一部は、折り返し部25よりも遠位側に位置する。これにより、遠位側開口部506の正面に、フィルターとして機能する拡張部20が位置する。このため、拡張部20に張り付く血栓を、遠位側開口部506から効率よく吸引可能となる。なお、折り返し状態において、遠位側開口部506は、折り返し部25よりも近位側であってもよい。
血栓301の吸引が完了した後、吸引カテーテル500に拡張器具10を収容して血管から抜去し、処置が完了する。
以上のように、第2実施形態における遠位側開口部506は、軸方向に垂直な面に対して傾斜し、近位側連結部60は、遠位側開口部506の近位部に当接する。これにより、遠位側開口部506に近位側連結部60が入り込まず、または近位側連結部60の一部のみが入り込み、遠位側開口部506から血栓301を吸引できる。また、遠位側開口部506に近位側連結部60が当接するため、拡張部20と吸引カテーテル500の位置が安定し、手技者に依存しない安定した手技を提供できる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、第1、第2実施形態は、吸引システム1を、患部の上流側からアクセスさせる構造となっているが、患部の下流側からアクセスさせる構造としてもよい。
また、吸引システム1が挿入される生体管腔は、血管に限定されず、例えば、脈管、尿管、胆管、卵管、肝管等であってもよい。
また、第1、第2実施形態では、シャフト部24に沿って血管内に挿入されるデバイスは、破砕部140を備える撹拌デバイス100であるが、物体を破砕できるのであれば、挿入されるデバイスの構成は限定されない。また、本実施形態では、拡張部20および閉鎖部70を収容して目的の位置まで搬送するためのシースに、吸引カテーテル30を用いている。しかしながら、拡張部20および閉鎖部70を収容して目的の位置まで搬送するためのシースは、吸引カテーテル30とは異なるデバイスであってもよい。
また、第1、第2実施形態では、拡張部20の近位側に位置する近位側連結部60が、シャフト部24に対して摺動可能であり、遠位側に位置する遠位側連結部50が、シャフト部24に連結されている(図8を参照)。しかしながら、拡張部20の近位側に位置する近位側連結部が、シャフト部24に連結され、拡張部20の遠位側に位置する遠位側連結部が、シャフト部24に対して摺動可能であってもよい。なお、シャフト部24に連結されていることは、シャフト部24に対して固着されていることに限定されず、相対的に回転や移動が可能に連結されることも含む。
また、吸引システム1は、拡張部20が折り返されなくてもよい。また、シース管体は、曲げ部が設けられなくてもよい。また、吸引孔は、複数設けられてもよい。
1 吸引システム、
10 拡張器具、
20 拡張部、
21 線状体、
21A 間隙、
24 シャフト部、
25 折り返し部、
26 折り込み部、
29 内部空間、
30、500 吸引カテーテル、
31、501 シース管体、
31A 基部、
31B 遠位側管状部、
34、502 吸引ルーメン、
35 ハブ開口部、
36、506 遠位側開口部、
37 吸引孔(吸引可能な開口部)、
38、504 曲げ部、
39 補強部、
50 遠位側連結部、
60 近位側連結部、
70 閉鎖部、
100 撹拌デバイス、
180 シリンジ、
201 腎静脈、
202 腸骨静脈、
300、301 血栓(物体)。

Claims (12)

  1. 生体管腔内に挿入されて当該生体管腔内の物体を捕集して吸引可能な吸引システムであって、
    長尺なシャフト部と、
    複数の間隙を備えて弾性的に変形可能な筒体であり、外力の作用しない自然状態において前記筒体の両側の端部よりも中央部の外径が大きい拡張部と、
    前記拡張部の近位側に設けられ、前記シャフト部に連結されている近位側連結部と、
    前記シャフト部を移動可能に収容するとともに吸引力を作用させるための吸引ルーメンが設けられる吸引カテーテルと、を有し、
    前記吸引カテーテルは、遠位側の端部に前記近位側連結部が当接または入り込む遠位側開口部を有し、
    前記吸引カテーテルの吸引可能な前記遠位側開口部または他の開口部の開口面積は、前記吸引ルーメンの断面積よりも大きい吸引システム。
  2. 前記吸引カテーテルは、遠位部に軸方向において曲がる曲げ部を有する請求項1に記載の吸引システム。
  3. 前記近位側連結部は、前記シャフト部よりも、軸方向に垂直な断面積が大きい請求項2に記載の吸引システム。
  4. 前記遠位側開口部は、軸方向に垂直な面に対して傾斜し、前記近位側連結部は、前記遠位側開口部の近位部に当接する請求項2または3に記載の吸引システム。
  5. 前記吸引カテーテルの遠位部の側面に、前記吸引ルーメンが開口する吸引孔が設けられる請求項2または3に記載の吸引システム。
  6. 前記吸引カテーテルの遠位側の端部は、前記拡張部に当接可能である請求項5に記載の吸引システム。
  7. 前記近位側連結部の全体が、前記吸引カテーテルの遠位側の端部から前記吸引孔の間に位置可能である請求項5または6に記載の吸引システム。
  8. 前記吸引孔は、前記曲げ部に位置する請求項5〜7のいずれか1項に記載の吸引システム。
  9. 前記吸引孔は、前記曲げ部の凸状となる側に位置する請求項8に記載の吸引システム。
  10. 前記拡張部は、一端部が当該拡張部の内部に位置するように前記拡張部を軸方向に折り返した折り返し状態となることが可能であり、
    前記吸引カテーテルの曲げ部よりも近位側の中心軸から前記吸引カテーテルの遠位側端部までの離間距離は、前記折り返し状態において前記拡張部が折り返されて軸方向の端部を構成する折り返し部の半径以上である請求項5〜9のいずれか1項に記載の吸引システム。
  11. 折り返し状態の前記拡張部に突き当たるまで前記吸引カテーテルを前記シャフト部に沿って遠位側へ移動させた状態において、前記吸引孔の少なくとも一部は、前記拡張部が折り返されて軸方向の端部を構成する折り返し部よりも遠位側に位置する請求項5〜10のいずれか1項に記載の吸引システム。
  12. 請求項1に記載の吸引システムを使用して生体管腔内の物体を捕集して吸引するための処置方法であって、
    前記拡張部を収容したシースを前記生体管腔内に挿入するステップと、
    前記生体管腔内の病変部よりも下流側で前記拡張部を前記シースから押し出し、前記拡張部を自己の弾性力により拡張させて生体管腔内に留置するステップと、
    前記生体管腔内の前記病変部に生じた物体を前記病変部から脱落させるステップと、
    前記シャフト部に沿って前記生体管腔内に前記吸引カテーテルを挿入し、前記近位側連結部を前記遠位側開口部に当接または挿入するステップと、
    前記拡張部によって捕集された物体を前記吸引カテーテルの吸引可能な前記遠位側開口部または他の開口部から吸引するステップと、
    前記吸引カテーテルを生体管腔内から抜去するステップと、
    前記拡張部を収縮させて生体管腔内から抜去するステップと、を有する処置方法。
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