以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1に示される本実施形態のファンモータ10は、例えば乗用自動車等の車両に搭載される送風装置に好適に用いられる。このファンモータ10は、モータシャフト12と、ロータ14と、ステータ16と、モータホルダ18と、センターピース20と、回路基板22と、回路ケース24と、ヒートシンク26とを備えている。なお、各図において、矢印Z1は、ファンモータ10の軸方向一方側を示しており、矢印Z2は、ファンモータ10の軸方向他方側を示している。
ロータ14は、開口28Aを有する有天円筒状のロータハウジング28と、ロータハウジング28の周壁部の内側に固着されたロータマグネット30を有する。ロータハウジング28の天井部の中央部には、円筒状の固定部32が形成されており、この固定部32の内側には、モータシャフト12が圧入されている。このモータシャフト12の先端部は、ロータハウジング28の軸方向一方側に突出している。
ステータ16は、ロータハウジング28の内側に収容されている。このステータ16は、ロータマグネット30の径方向内側にロータマグネット30と対向して配置されている。ステータ16は、ステータコア34と、複数の巻線36を有する。複数の巻線36は、ステータコア34に放射状に形成された複数のティース38に樹脂製のインシュレータを介して巻回されている。
ステータコア34の中央部には、ステータコア34の軸方向に貫通する貫通孔40が形成されており、このステータコア34及び複数の巻線36を含むステータ16の全体は、環状を成している。上述のモータシャフト12、ロータ14、及び、ステータ16は、ブラシレスモータであるモータ部42を構成している。
モータホルダ18は、例えば、樹脂製であり、ロータハウジング28の周囲に設けられている。このモータホルダ18は、ロータハウジング28の周囲を囲う円筒部44と、この円筒部44から円筒部44の径方向外側に拡がる円環部46とを有する。この円環部46は、ロータハウジング28の軸方向を板厚方向とする円環板状に形成されている。円環部46の周方向の複数の箇所には、車体等の取付対象物に固定される結合部48がそれぞれ形成されている。
センターピース20は、例えば、樹脂製である。このセンターピース20は、ロータハウジング28の開口28Aと対向する板状部50と、この板状部50の中央部からステータ16側に突出する円筒状の支持部52と、この支持部52の軸方向一方側から支持部52に組み付けられた円筒状の支持部材54とを有する。板状部50は、モータ部42の軸方向を板厚方向として形成されている。板状部50は、ロータハウジング28の開口28Aの全体と対向する大きさを有している。この板状部50には、上述の結合部48と対応する位置に被結合部56が形成されている。この結合部48及び被結合部56がボルト58で結合されることにより、モータホルダ18は、センターピース20に組み付けられている。
支持部52の先端部は、環状に形成されたステータコア34の内側に圧入されており、これにより、ステータ16は、センターピース20に支持されている。さらに、センターピース20に設けられた支持部52及び支持部材54には、軸受60がそれぞれ収容されており、この軸受60の内側には、モータシャフト12が圧入されている。このようにしてモータシャフト12が軸受60を介して支持部52及び支持部材54に支持されることにより、ロータ14は、センターピース20及びステータ16に対して回転可能とされている。
回路基板22は、板状部50に対するステータ16と反対側に配置された板状の基板本体62と、基板本体62における板状部50側の面62Aに実装された発熱素子64とを有する。基板本体62は、モータ部42の軸方向を板厚方向として配置されている。発熱素子64は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。この発熱素子64は、一例として、表面実装品である。
図2に示されるように、発熱素子64は、基板本体62における板状部50側の面62Aに表面実装されることにより、ロータハウジング28の径方向の範囲R内に配置されている。ロータハウジング28の径方向の範囲R内は、ロータハウジング28の周壁部よりも径方向内側に相当する。
ここで、仮に、発熱素子64が端子部及び本体部を有するスルーホール実装品である場合には、端子部がロータハウジング28の径方向外方に向けて延びることにより、発熱素子64の本体部がロータハウジング28の径方向外方に配置されることがある。
しかしながら、本実施形態では、発熱素子64がロータハウジング28の径方向外方に向けて延びる端子部を有しない表面実装品であるため、発熱素子64がロータハウジング28の径方向の範囲R内に配置されている。この発熱素子64は、平盤状に形成されており、基板本体62に重ね合わされた状態で基板本体62に表面実装されている。
この回路基板22は、巻線36の励磁を切替制御する機能を有する。回路基板22によって巻線36の励磁が切替制御されると、ステータ16に回転磁界が形成される。また、ステータ16に回転磁界が形成されると、ステータ16とロータ14との間に吸引及び反発力が作用し、ロータ14が回転する。
回路ケース24は、扁平容器状に形成されており、開口を板状部50側に向けた状態で板状部50に組み付けられている。回路ケース24は、回路基板22に対する板状部50と反対側に配置されて回路基板22と対向する底壁部66を有している。この底壁部66と板状部50との間の空間には、上述の回路基板22が収容されている。
この回路ケース24及び上述のモータホルダ18には、モータ部42の径方向外方に延出する延出部68が形成されている。この延出部68は、ダクト状に形成されている。この延出部68の先端部には、空気取入口70が形成されている。この空気取入口70は、モータホルダ18に形成されており、モータ部42の軸方向一方側を向いて開口している。また、延出部68の内側は、空気取入流路72を形成している。この空気取入流路72は、空気取入口70から回路基板22の側に向けて延びている。
ヒートシンク26は、伝熱性の高い例えばアルミニウム等の金属で形成される。ヒートシンク26は、回路基板22に対する板状部50側に配置された放熱部74と、放熱部74から空気取入口70の側へ延びる傾斜部76とを有する。
放熱部74は、モータ部42の軸方向を板厚方向とする板状に形成されている。この放熱部74は、伝熱材78を介して発熱素子64と接触している。回路基板22には、複数の発熱素子64(図3参照)が集約して実装されており、放熱部74は、複数の発熱素子64と伝熱材78を介して接触している。放熱部74は、ネジ80によって基板本体62に固定されている。
傾斜部76は、放熱部74に対して屈曲されており、回路基板22の外側に突出している。この傾斜部76は、モータ部42の径方向内側に向かうに従ってモータ部42の軸方向一方側に向かうように、換言すれば、回路基板22側に向かうに従って板状部50側に向かうように、モータ部42の径方向に対して傾斜している。傾斜部76は、底壁部66と基板本体62との間の隙間を空気取入口70の側から埋めるように配置されている。
以上の構成であるファンモータ10(図1参照)は、上述の通り、例えば乗用自動車等の車両に搭載される送風装置に好適に用いられる。ファンモータ10が車両に搭載される送風装置に用いられる場合、モータシャフト12の先端部には、ファン100(例えばシロッコファン)が取り付けられ、モータホルダ18は、ファン100を収容するダクト102に組み付けられる。
ファン100は、回転に伴いファン100の軸方向一方側に向けて送風するように構成されている。ダクト102におけるファン100と対向する位置には、送風口104が形成されており、さらに、ダクト102の側部には、ダクト102の軸方向に延びる連絡流路106が形成されている。連絡流路106の一端部は、ダクト102の内側と連通されており、連絡流路106の他端部は、上述の空気取入口70と連通されている。
そして、このファンモータ10では、ロータ14と共にファン100が回転すると、ファン100の軸方向一方側が正圧になり、ファン100の軸方向他方側が負圧になる。また、このとき、図2の矢印Aで示されるように、連絡流路106に空気が流入し、連絡流路106の内側をダクト102の軸方向一方側から他方側に向けて空気が流れる。この空気は、空気取入口70を通じて空気取入流路72に流入し、空気取入流路72に流入した空気は、ヒートシンク26の側に向けて流れる。
ところで、従来のファンモータでは、発熱素子64が端子部及び本体部を有するスルーホール実装品とされている。そして、発熱素子64の本体部は、ロータハウジング28の径方向外方に向けて延びる端子部を介して基板本体62に固定されることにより、ロータハウジング28の径方向外方(ロータハウジング28の径方向の範囲Rよりも径方向外側)に配置される。また、この発熱素子64の本体部に接触するヒートシンク26も、ロータハウジング28の径方向外方に配置される。
つまり、従来のファンモータでは、発熱素子64の本体部及びヒートシンク26が空気取入流路72に配置される。このため、空気取入流路72に流入した空気で、発熱素子64の本体部及びヒートシンク26を冷却することが可能である。
しかしながら、本実施形態では、発熱素子64が表面実装品とされている。そして、発熱素子64は、ロータハウジング28の径方向外方に向けて延びる端子部を有しないため、発熱素子64がロータハウジング28の径方向の範囲R内に配置されている。
ここで、従来のファンモータでは、空気取入口70から取り入れられた空気がロータハウジング28の開口28Aに達すると、この開口28Aからロータハウジング28の内側に流入する。したがって、発熱素子64がロータハウジング28の径方向の範囲R内に配置されていると、発熱素子64やヒートシンク26に十分な空気を供給することができず、発熱素子64の冷却が不足する虞がある。
そこで、本実施形態では、ロータハウジング28の径方向の範囲R内に配置された発熱素子64及び放熱部74に空気を引き込むために、次のような構造が追加されている。すなわち、板状部50には、モータ部42の軸方向に放熱部74と対向するガイド部90が形成されている。ガイド部90は、モータ部42の軸方向を板厚方向とする板状に形成されている。
そして、このガイド部90は、放熱部74との間に空気取入口70から取り入れられた空気をモータ部42の径方向外側から中心側に向けて案内する空気案内流路92を形成している。この空気案内流路92は、空気取入流路72と連通している。したがって、空気案内流路92に空気が流れることにより、空気がロータハウジング28の開口28Aからロータハウジング28の内側に流入することが抑制される。これにより、空気案内流路92を形成するヒートシンク26の放熱部74に空気が供給されるので、発熱素子64がロータハウジング28の径方向の範囲R内に配置されていても、発熱素子64の冷却性が確保される。
また、板状部50には、空気供給口94が形成されている。この空気供給口94は、ガイド部90に対するモータ部42の中心側に位置すると共に、ステータ16側に向けて開口している。そして、この空気供給口94は、空気案内流路92に案内された空気をステータ16に供給する。この空気供給口94からステータ16側に供給された空気は、ステータ16における複数のティース38の間のスロットに流入する。これにより、空気案内流路92に案内された空気を利用してステータ16が冷却されるので、発熱素子64の冷却性に加えて、ステータ16の冷却性も確保される。
また、板状部50には、ロータハウジング28の開口28Aとの対向面50A(一般面;図3、図4参照)が形成されており、ガイド部90は、対向面50Aよりもロータハウジング28側(矢印Z1側)に突出している。このように構成されることで、ガイド部90と放熱部74との間隔G(モータ部42の軸方向に沿った間隔;図4参照)が広がり、空気案内流路92に流入する空気の流量が増加されるようになっている。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
以上詳述したように、本実施形態に係るファンモータ10によれば、図2に示されるように、回路基板22に対する板状部50側には、ヒートシンク26の放熱部74が配置されており、この放熱部74は、発熱素子64と伝熱材78を介して接触している。また、板状部50には、モータ部42の軸方向に放熱部74と対向するガイド部90が形成されており、このガイド部90は、放熱部74との間に空気取入口70から取り入れられた空気をモータ部42の径方向外側から中心側に向けて案内する空気案内流路92を形成している。
したがって、空気案内流路92に空気が流れることにより、空気がロータハウジング28の開口28Aからロータハウジング28の内側に流入することを抑制できる。これにより、空気案内流路92を形成するヒートシンク26の放熱部74に空気を供給することができるので、発熱素子64がロータハウジング28の径方向の範囲R内に配置されていても、発熱素子64の冷却性を確保できる。
また、板状部50には、ガイド部90に対するモータ部42の中心側に位置すると共に、ステータ16側に向けて開口する空気供給口94が形成されている。そして、空気案内流路92に案内された空気は、空気供給口94からステータ16に供給される。これにより、空気案内流路92に案内された空気を利用してステータ16を冷却することができるので、発熱素子64の冷却性に加えて、ステータ16の冷却性も確保できる。
また、ガイド部90は、板状部50におけるロータハウジング28の開口28Aとの対向面50A(図3、図4参照)よりもロータハウジング28側(矢印Z1側)に突出している。これにより、ガイド部90と放熱部74との間隔G(図4参照)が広がることで、空気案内流路92に流入する空気の流量を増加させることができるので、発熱素子64の冷却性を向上させることができる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態において、放熱部74は、発熱素子64と伝熱材78を介して接触しているが、発熱素子64と直接接触していても良い。
また、上記実施形態において、発熱素子64は、一例として、表面実装品とされているが、端子部及び本体部を有するスルーホール実装品とされていても良い。また、スルーホール実装品である発熱素子64が、ロータハウジング28の径方向の範囲R内に配置されていても良い。
また、上記実施形態において、ガイド部90は、より好ましくは、板状部50におけるロータハウジング28の開口28Aとの対向面50A(図3、図4参照)よりもロータハウジング28側(矢印Z1側)に突出するが、ガイド部90におけるロータハウジング28の開口28Aとの対向面90A(図3参照)が、板状部50におけるロータハウジング28の開口28Aとの対向面50Aと面一状に形成されていても良い。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。