JP2019186306A - ボロン系膜の成膜方法および成膜装置 - Google Patents

ボロン系膜の成膜方法および成膜装置 Download PDF

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Abstract

【課題】密着性が良好なボロン系膜を成膜することができるボロン系膜の成膜方法および成膜装置を提供する。【解決手段】基板上にボロンを主体とするボロン系膜を形成するボロン系膜の成膜方法は、基板上にCVDにより初期ボロン系膜を成膜する第1工程と、次いで、成膜された初期ボロン系膜をプラズマ処理し、基板表面と初期ボロン系膜を反応させて界面密着層を形成する第2工程と、次いで、界面密着層の上にCVDにより主ボロン系膜を成膜する第3工程とを有する。【選択図】図1

Description

本開示は、ボロン系膜の成膜方法および成膜装置に関する。
近時、半導体製造技術の発展により、半導体装置の微細化が進み、14nm以下、さらには10nm以下のものが出現している。また、さらなる半導体装置の集積化のために半導体素子を立体的に構築する技術が進められている。このため、半導体ウエハ上に形成する薄膜の積層数が増加し、例えば3次元NANDを用いたフラッシュメモリにおいては、酸化珪素(SiO)膜や窒化珪素(SiN)膜等を含む、厚さが1μm以上の厚い積層膜をドライエッチングにより微細加工する工程が必要となっている。
微細加工を行うためのハードマスクとしては、従来、アモルファスシリコン膜やアモルファスカーボン膜が用いられているが、エッチング耐性が低い。したがって、これらの膜をハードマスクとして用いた場合は膜厚を厚くせざるを得ず、1μm以上もの厚い膜を形成する必要がある。
さらに次世代のハードマスク材料として、アモルファスシリコン膜やアモルファスカーボン膜よりもエッチング耐性が高いタングステン等の金属材料膜が検討されている。しかし、非常にエッチング耐性が高いタングステン膜等の金属材料膜は、ドライエッチング加工後の剥離やメタル汚染等への対策が難しい。
このため、アモルファスシリコン膜やアモルファスカーボン膜よりもドライエッチング耐性が高く、SiO膜等に対して高い選択比を有する新たなハードマスク材料としてボロン系膜が検討されている。特許文献1には、CVDにより成膜したボロン系膜をハードマスクとして使用できることが記載されている。一般的に、CVD等により成膜された膜は、下地に対する密着性が要求される。
特表2013−533376号公報
本開示は、密着性が良好なボロン系膜を成膜することができるボロン系膜の成膜方法および成膜装置を提供する。
本開示の一態様に係るボロン系膜の成膜方法は、基板上にボロンを主体とするボロン系膜を形成するボロン系膜の成膜方法であって、基板上にCVDにより初期ボロン系膜を成膜する第1工程と、次いで、成膜された前記初期ボロン系膜をプラズマ処理し、前記基板表面と前記初期ボロン系膜を反応させて界面密着層を形成する第2工程と、次いで、前記界面密着層の上にCVDにより主ボロン系膜を成膜する第3工程とを有する。
本開示によれば、密着性が良好なボロン系膜を成膜することができるボロン系膜の成膜方法および成膜装置が提供される。
一実施形態に係るボロン系膜の成膜方法を示すフローチャートである。 一実施形態に係るボロン系膜の成膜方法の各工程を模式的に示す工程断面図である。 初期ボロン系膜を成膜後、プラズマ処理により界面密着層を形成する原理を説明するための図である。 ボロン系膜の成膜装置の第1の例を示す断面図である。 ボロン系膜の成膜装置の第2の例を示す断面図である。
以下、添付図面を参照して実施の形態について説明する。
<経緯>
最初に、本開示のボロン系膜の成膜方法に至った経緯について説明する。
ボロン系膜はハードマスクとして有望視されており、従来、CVDにより成膜されている。ボロン系膜の中でも、特に、ボロン単独のボロン膜が優れた特性を有することがわかっている。
一方、CVDで成膜されたボロン系膜は、基板に対する密着性が必ずしも十分ではなく、デバイスのインテグレーション製造工程中の膜剥がれを防止する観点から、ボロン系膜の密着性を向上させることが要求される。
膜の密着性を改善する技術としては、一般的に、基板の表面処理(クリーニング、プラズマでの表面改質処理)、基板と対象膜との間に密着性の高い異なる材料の界面層を介装させる技術が存在するが、これらの技術によるボロン系膜の密着性改善効果は確認されていない。また、異なる材料の界面層を用いる場合は、ガスの追加が必要である。
そこで、発明者らが検討した結果、ボロン系膜の本成膜に先立って、基板上に薄い初期ボロン系膜を形成した後、プラズマ処理を実施して中間層を形成し、その後本成膜することが有効であることが見出された。
<ボロン系膜の成膜方法>
次に、一実施形態に係るボロン系膜の成膜方法について説明する。図1は、一実施形態に係るボロン系膜の成膜方法を示すフローチャート、図2は一実施形態に係るボロン系膜の成膜方法の各工程を模式的に示す工程断面図である。
本実施形態のボロン系膜の成膜方法は、基板201上にCVDにより薄い初期ボロン系膜202を成膜する工程(ステップ1、図2の(a))と、次いで、成膜された初期ボロン系膜202をプラズマ処理し、基板表面と初期ボロン系膜を反応させて中間組成の界面密着層203を形成する工程(ステップ2、図2の(b))と、次いで、界面密着層203の上にCVDにより主ボロン系膜を成膜する工程(ステップ3、図2の(c))とを有する。
基板201としては、半導体基板(半導体ウエハ)、典型的にはシリコン基板を挙げることができる。シリコン基板の表面にSiO膜等の膜が形成されたものであってもよい。表面に形成される膜としては、他にSi−N−O、Si−C−N、Si等を挙げることができる。
ステップ1の初期ボロン系膜202の成膜およびステップ3の主ボロン系膜の成膜は、CVDにより行われる。熱CVD、プラズマCVDのいずれでもよいが、膜質が良好なボロン系膜が得られるプラズマCVDが好ましい。プラズマCVDのプラズマは特に限定されず、容量結合プラズマ、誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ等を用いることができる。これらの中では、低電子温度かつラジカル主体であり、低ダメージで高密度のプラズマを生成可能なマイクロ波プラズマCVDで成膜することが好ましい。
初期ボロン系膜202と主ボロン系膜204とは、同じ成膜手法であることが好ましい。例えば、初期ボロン系膜202がマイクロ波プラズマCVDのときは、マイクロ波プラズマCVDで行うことが好ましい。
初期ボロン系膜202は、プラズマ中のイオンが被処理基板表面に届く程度に薄いことが好ましく、5nm以下、さらには2nm以下であることが好ましい。プラズマ中のイオンが被処理基板表面に届くことにより、被処理基板表面と初期ボロン系膜の反応が生じ、有効に界面密着層203を形成することができる。また、初期ボロン系膜202は、十分な厚さの界面密着層203が形成できる程度の厚さであることが好ましく、0.5nm以上であることが好ましい。
CVD、特にプラズマCVDにより成膜されたボロン系膜は、エッチング耐性が高いという特性を有している。主ボロン系膜204は、このような特性を生かしてハードマスクに適用することができる。主ボロン系膜204の膜厚は、用途に応じて適宜設定されるが、ハードマスクに適用される場合は、例えば、1μm以上と厚く形成される。
ボロン系膜は、ボロンを50at.%以上含有するボロンを主体とする膜であり、ボロンおよび不可避不純物からなるボロン膜であってもよいし、ボロンに意図的に窒素(N)、炭素(C)、珪素(Si)等の他の元素を添加した膜であってもよい。ただし、高いエッチング耐性を得る観点からは、他の添加元素を含まないボロン膜が好ましい。CVDで成膜されたボロン系膜には、膜中に成膜原料等に由来する不可避不純物として主に水素(H)が5〜15at.%程度含まれる。
CVDによりボロン系膜を成膜する際には、ボロン含有ガスを含む処理ガスが用いられる。プラズマCVDによりボロン系膜を成膜する際には、処理ガスとして、プラズマ励起用の希ガスを含むことが好ましい。ボロン系膜としてボロンに他の元素を添加したものを用いる場合には、処理ガスとして、さらに添加しようとする元素を含むガスを用いる。処理ガスとしては、他に水素ガスを含んでいてもよい。
ボロン含有ガスとしては、ジボラン(B)ガス、三塩化ホウ素(BCl)ガス、アルキルボランガス、デカボランガス等を挙げることができる。アルキルボランガスとしては、トリメチルボラン(B(CH)ガス、トリエチルボラン(B(C)ガスや、B(R1)(R2)(R3)、B(R1)(R2)H、B(R1)H(R1,R2,R3はアルキル基)で表されるガス等を挙げることができる。これらの中ではBガスを好適に用いることができる。
ステップ1の初期ボロン系膜202の成膜条件と、ステップ3の主ボロン系膜204の成膜条件は基本的に同じでよいが、初期ボロン系膜202は薄く形成されるので、ボロン含有ガスの流量を相対的に少なくすることが好ましい。
初期ボロン系膜202および主ボロン系膜204を成膜する際には、圧力が0.67〜133.3Pa(5〜1000mTorr)の範囲、温度が500℃以下(より好ましくは、60〜500℃の範囲、例えば300℃)が好ましい。
ステップ2の界面密着層203を形成する際のプラズマ処理には、希ガスのプラズマを用いることができる。希ガスの中では、原子数が大きくイオンのスパッタ効果が大きいアルゴンガスが好ましい。このときのプラズマ処理により、基板201の表面と初期ボロン系膜202が反応して中間組成の界面密着層203が形成される。
この際のメカニズムを、図3を参照して説明する。
初期ボロン系膜202を成膜後、アルゴンプラズマを生成させると、プラズマ中のイオン(Ar)がプラズマシースにより加速され、初期ボロン系膜202および基板201の表面をスパッタする。これにより、初期ボロン系膜202からボロン原子(B)が叩き出され、基板201表面から表面原子(原子A(A))が叩き出される。これらBおよびAは、プラズマ中のイオン(Ar)により後方散乱し、基板201上に再堆積する。これにより、ボロン原子と基板201の表面原子とが基板201上で再配列され、これら原子が混合されて、ボロン原子と基板201の表面原子とが反応して結合し(A−B結合)、基板201に強固に密着された界面密着層203が形成される。
このときの反応をまとめると以下のようになる。
Figure 2019186306
基板表面がSiOの場合、基板201の表面原子はSiおよびOとなり、以下のような反応により、Si−B−Oからなる界面密着層203が形成される。
Figure 2019186306
ステップ2のプラズマ処理は、特に限定されず、容量結合プラズマ、誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ等を用いることができる。初期ボロン系膜202をプラズマCVDで行う場合は、初期ボロン系膜202の際と同じプラズマ源を用いることが好ましい。
ステップ2の圧力および温度は、0.67〜133.3Pa(5〜1000mTorr)、60〜500℃が好ましい。また、処理時間は10〜200secが好ましい。
ステップ2のプラズマ処理は、基板201および初期ボロン系膜202に対するイオンの作用を高める観点から、基板201に高周波バイアスを印加して希ガスイオンを被処理基板に引き込むことが好ましい。このときの高周波バイアスのパワーは50〜500W、パワー密度は71〜710mW/cmであることが好ましい。
以上のように、本実施形態では、基板201上に初期ボロン系膜202を成膜した後、プラズマ処理を行って界面密着層203を形成し、その上に主ボロン系膜204を成膜する。これにより、基板上に直接ボロン系膜を成膜する場合に比べて基板201に対して密着性が良好なボロン系膜を成膜することができる。
つまり、ステップ2のプラズマ処理により界面密着層203が基板201の上に強固に密着した状態で形成され、しかも、界面密着層203とボロンは化学的に結合するので、主ボロン系膜204は界面密着層203と良好な密着性を有する。したがって、結果的に主ボロン系膜204は、基板201に対して良好な密着性を有することとなる。
また、初期ボロン系膜201の成膜は、主ボロン系膜204と同じガス系で成膜することができ、また、ステップ2のプラズマ処理は、ボロン系膜を成膜する際の希ガスで行うことができるので、ガスの追加が不要である。
ステップ1〜3は、同一チャンバ内で連続して行うことが好ましい。これにより、高スループットでボロン系膜を形成することができる。特に、ボロン系膜をプラズマCVDで行う場合は、希ガスのプラズマを維持したまま、ボロン含有ガス等の成膜ガスのオン・オフのみで、ステップ1〜3を同一チャンバ内で連続して行うことができる。
このとき、ステップ1〜3は、いずれも圧力が0.67〜133.3Pa(5〜1000mTorr)の範囲内、温度が500℃以下の範囲内で行うことが好ましく、ステップ1〜3を同一の温度で行うことが好ましい。
<ボロン系膜の成膜装置の第1の例>
次に、ボロン系膜の成膜装置の第1の例について説明する。
図4は、ボロン系膜の成膜装置の第1の例を示す断面図である。本例の成膜装置100は、上記ステップ1〜3を行ってボロン系膜としてのボロン膜を成膜するマイクロ波プラズマCVD装置として構成される。
この成膜装置100は、気密に構成され、接地された略円筒状のチャンバ1を有している。チャンバ1は、例えばアルミニウムおよびその合金等の金属材料によって構成されている。チャンバ1の上部にはマイクロ波プラズマ源20が設けられている。マイクロ波プラズマ源20は、例えばRLSA(登録商標)マイクロ波プラズマ源として構成される。
チャンバ1の底壁の略中央部には円形の開口部10が形成されており、底壁にはこの開口部10と連通し、下方に向けて突出する排気室11が設けられている。
チャンバ1内には、基板である半導体ウエハ(以下単にウエハと記す)Wを水平に支持するためのAlN等のセラミックスからなる円板状の載置台2が設けられている。この載置台2は、排気室11の底部中央から上方に延びる円筒状のAlN等のセラミックスからなる支持部材3により支持されている。また、載置台2には抵抗加熱型のヒーター5が埋め込まれており、このヒーター5はヒーター電源(図示せず)から給電されることにより発熱し、それにより載置台2を介してウエハWが所定の温度に加熱される。また、載置台2には電極7が埋め込まれており、電極7には整合器8を介してバイアス電圧印加用高周波電源9が接続されている。バイアス電圧印加用高周波電源9は、50kHz〜13.56MHzの高周波電力(高周波バイアス)を載置台2に印加する。高周波バイアスのパワーは可変であり、例えば30〜500Wの範囲で変化させることができる。整合器8は、バイアス電圧印加用高周波電源9の内部(または出力)インピーダンスに負荷インピーダンスを整合させるもので、チャンバ1内にプラズマが生成されているときにバイアス電圧印加用高周波電源9の内部インピーダンスと負荷インピーダンスとが見かけ上一致するように機能する。
載置台2には、ウエハWを支持して昇降させるためのウエハ支持ピン(図示せず)が載置台2の表面に対して突没可能に設けられている。
排気室11の側面には排気管23が接続されており、この排気管23には真空ポンプや自動圧力制御バルブ等を含む排気装置24が接続されている。排気装置24の真空ポンプを作動させることによりチャンバ1内のガスが、排気室11の空間11a内へ均一に排出され、排気管23を介して排気され、自動圧力制御バルブによりチャンバ1内が所定の真空度に制御される。
チャンバ1の側壁には、成膜装置100に隣接する真空搬送室(図示せず)との間でウエハWの搬入出を行うための搬入出口25が設けられており、この搬入出口25はゲートバルブ26により開閉される。
チャンバ1の上部は開口部となっており、その開口部の周縁部がリング状の支持部27となっている。マイクロ波プラズマ源20はこの支持部27に支持される。
マイクロ波プラズマ源20は、誘電体、例えば石英やAl等のセラミックスからなる円板状のマイクロ波透過板28と、複数のスロットを有する平面スロットアンテナ31と、遅波材33と、同軸導波管37と、モード変換部38と、導波管39と、マイクロ波発生器40とを有している。
マイクロ波透過板28は、支持部27にシール部材29を介して気密に設けられている。したがって、チャンバ1は気密に保持される。
平面スロットアンテナ31は、マイクロ波透過板28に対応する円板状をなし、導電性材料で構成されており、マイクロ波透過板28に密着するように設けられている。この平面スロットアンテナ31はチャンバ1の側壁上端に係止されている。
平面スロットアンテナ31は、例えば表面が銀または金メッキされた銅板またはアルミニウム板からなり、マイクロ波を放射するための複数のスロット32が所定パターンで貫通するように形成された構成となっている。スロット32のパターンは、マイクロ波が均等に放射されるように適宜設定される。例えば、パターンの例としては、T字状に配置された2つのスロット32を一対として複数対のスロット32が同心円状に配置されているものを挙げることができる。スロット32の長さや配列間隔は、マイクロ波の実効波長(λg)に応じて決定され、例えばスロット32は、それらの間隔がλg/4、λg/2またはλgとなるように配置される。なお、スロット32は、円形状、円弧状等の他の形状であってもよい。さらに、スロット32の配置形態は特に限定されず、同心円状のほか、例えば、螺旋状、放射状に配置することもできる。
遅波材33は、平面スロットアンテナ31の上面に密着して設けられている。遅波材33は、真空よりも大きい誘電率を有する誘電体、例えば石英、セラミックス(Al)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドなどの樹脂からなる。遅波材33はマイクロ波の波長を真空中より短くして平面スロットアンテナ31を小さくする機能を有している。
マイクロ波透過板28および遅波材33の厚さは、遅波板33、平面スロットアンテナ31、マイクロ波透過板28、およびプラズマで形成される等価回路が共振条件を満たすように調整される。遅波材33の厚さを調整することにより、マイクロ波の位相を調整することができ、平面スロットアンテナ31の接合部が定在波の「はら」になるように厚さを調整することにより、マイクロ波の反射が極小化され、マイクロ波の放射エネルギーが最大となる。また、遅波材33とマイクロ波透過板28を同じ材質とすることにより、マイクロ波の界面反射を防止することができる。
なお、平面スロットアンテナ31とマイクロ波透過板28との間、また、遅波材33と平面スロットアンテナ31との間は、離間して配置されていてもよい。
チャンバ1の上面には、これら平面スロットアンテナ31および遅波材33を覆うように、例えばアルミニウムやステンレス鋼、銅等の金属材からなる冷却ジャケット34が設けられている。冷却ジャケット34には、冷却水流路34aが形成されており、そこに冷却水を通流させることにより、遅波材33、平面スロットアンテナ31、マイクロ波透過板28を冷却するようになっている。
同軸導波管37は、冷却ジャケット34の上壁の中央形成された開口部の上方からマイクロ波透過板28に向けて挿入されている。同軸導波管37は、中空棒状の内導体37aと円筒状の外導体37bが同心状に配置されてなる。内導体37aの下端は平面スロットアンテナ31に接続されている。同軸導波管37は上方に延びている。モード変換器38は、同軸導波管37の上端に接続されている。モード変換器38には、水平に延びる断面矩形状の導波管39の一端が接続されている。導波管39の他端にはマイクロ波発生器40が接続されている。導波管39にはマッチング回路41が介在されている。
マイクロ波発生器40は、例えば周波数が2.45GHzのマイクロ波を発生し、発生したマイクロ波はTEモードで導波管39を伝播し、モード変換器38でマイクロ波の振動モードがTEモードからTEMモードへ変換され、同軸導波管37を介して遅波材33に向けて伝播する。そして、マイクロ波は、遅波材33の内部を径方向外側に向かって放射状に広がり、平面スロットアンテナ31のスロット32から放射され、マイクロ波透過板28を透過してチャンバ1内のマイクロ波透過板28の直下領域に電界を生じさせ、マイクロ波プラズマを生成させる。マイクロ波透過板28の下面の一部には、導入されたマイクロ波による定在波の発生を容易にするためのテーパ上に凹んだ環状の凹部28aが形成されており、マイクロ波プラズマが効率よく生成可能となっている。
なお、マイクロ波の周波数としては、2.45GHzの他、8.35GHz、1.98GHz、860MHz、915MHz等、種々の周波数を用いることができる。また、マイクロ波パワーは2000〜5000W、パワー密度は2.8〜7.1W/cmが好ましい。
成膜装置100は、ボロン含有ガスを含む処理ガスを供給するためのガス供給機構6を有している。ボロン含有ガスとしては、上述したような、ジボラン(B)ガス、三塩化ホウ素(BCl)ガス、アルキルボランガス、デカボランガス等を挙げることができる。
また、処理ガスはプラズマ励起用の希ガスを含んでいる。さらにHガス等を含んでいてもよい。希ガスとしてはHeガスやArガスなどが用いられる。以下では、ボロン含有ガスとしてBガス、希ガスとしてArガスおよびHeガスを含む処理ガスを用いる場合を例にして説明する。
ガス供給機構6は、ウエハWの中央に向かってガスを吐出する第1のガス供給部61と、ウエハWの外方からガスを吐出する第2のガス供給部62とを備えている。第1のガス供給部61は、モード変換器38および同軸導波管37の内導体37aの内部に形成されたガス流路63を含み、このガス流路63の先端のガス供給口64は、例えばマイクロ波透過板28の中央部において、チャンバ1内に開口している。ガス流路63には、配管65、66、および67が接続されている。配管65にはボロン含有ガスであるBガスを供給するBガス供給源68が接続されており、配管66には希ガスであるArガスを供給するArガス供給源69が接続されおり、配管67には希ガスであるHeガスを供給するHeガス供給源70が接続されている。配管65には、マスフローコントローラのような流量制御器65aおよび開閉バルブ65bが設けられ、配管66には、流量制御器66aおよび開閉バルブ66bが設けられ、配管67には、流量制御器67aおよび開閉バルブ67bが設けられている。
第2のガス供給部62は、チャンバ1の内壁に沿ってリング状に設けられたシャワーリング71を備えている。シャワーリング71には、環状に設けられたバッファ室72と、バッファ室72から等間隔でチャンバ1内に臨むように設けられた複数のガス吐出口73とが設けられている。配管65、66、および67からは、それぞれ配管74、75、および76が分岐しており、配管74、75、および76は合流してシャワーリング71のバッファ室72に接続されている。配管74には、流量制御器74aおよび開閉バルブ74bが設けられ、配管75には、流量制御器75aおよび開閉バルブ75bが設けられ、配管76には、流量制御器76aおよび開閉バルブ76bが設けられている。
本例では、第1のガス供給部61および第2のガス供給部62には、同じガス供給源68、69、70から同じ種類のボロン含有ガスや希ガスが、それぞれ流量を調整された状態で供給され、それぞれ、マイクロ波透過板28の中央およびチャンバ1の周縁からチャンバ1内に吐出される。なお、第1のガス供給部61および第2のガス供給部62から別個のガスを供給することもでき、それらの流量比等を個別に調整することもできる。
第1、第2のガス供給部61、62からは、例えば1000〜10000sccmの範囲、ボロン膜の成膜速度を向上させるため、好適には2000〜10000sccmの範囲の流量の処理ガスが供給される。
ガス供給機構6は、第1、第2のガス供給部61、62、Bガス供給源68、Arガス供給源69、Heガス供給源70、配管、流量制御器、バルブ等を全て含む。
成膜装置100は、制御部50を有している。制御部50は、成膜装置100の各構成部、例えばバルブ類、流量制御器、マイクロ波発生器40、ヒーター電源、バイアス電圧印加用高周波電源9等を制御する。制御部50は、CPUを有する主制御部と、入力装置、出力装置、表示装置、および記憶装置を有している。記憶装置には、成膜装置100で実行される処理を制御するためのプログラム、すなわち処理レシピが格納された記憶媒体がセットされ、主制御部は、記憶媒体に記憶されている所定の処理レシピを呼び出し、その処理レシピに基づいて成膜装置100に所定の処理を行わせるように制御する。
以上のように構成される成膜装置100においては、まず、ゲートバルブ26を開け、基板であるウエハWとして、例えばシリコン基体上にSiO膜が形成されたものをチャンバ1に搬入し、載置台2に載置するとともにゲートバルブ26を閉じる。
このとき、載置台2の温度は、500℃以下、好ましくは60〜500℃、例えば300℃に設定される。チャンバ1を真空排気した後、ArガスおよびHeガスをチャンバ1内に流してサイクルパージを行い、ArガスおよびHeガスによるチャンバ1内の圧力を例えば53.3Pa(400mTorr)程度としてウエハWの温度を安定化させる。そして、マイクロ波発生器40から、2000〜5000W(2.8〜7.1W/cm)、例えば3500W(5.0W/cm)のマイクロ波を導入してプラズマ着火を行う。その後、マイクロ波パワーを着火時と同じ値に維持したまま、チャンバ1内の圧力を0.67〜33.3Pa(5〜250mTorr)、例えば6.7Pa(50mTorr)に調圧する。このとき、第1のガス供給部61および第2のガス供給部62から、BガスならびにArガスおよびHeガスを供給して、初期ボロン系膜として、厚さ5nm以下の初期ボロン膜の成膜を行う。このとき、Bガス(B濃度:例えば15vol%、Heガス希釈)を50〜1000sccm、例えば70sccm(B正味:10.5sccm)の流量で供給し、ArガスおよびHeガスを、合計で100〜1000sccm、例えば500sccmの流量で供給する。初期ボロン膜の成膜の際には、ボロン膜の膜質および表面粗さの悪化や、界面付近からの膜剥がれを抑制するために、バイアス電圧印加用高周波電源9からの高周波バイアスは印加しないことが好ましい。
初期ボロン膜の成膜が終了後、Bガスを停止し、チャンバ1内を排気しつつHeガスおよびArガスを導入してチャンバ1内のパージを行う。そして、ガスをArガスのみとし、初期ボロン膜の成膜の際と同様、所定パワーのマイクロ波を導入してArプラズマ処理を行う。このとき、バイアス電圧印加用高周波電源9から50〜500W(71〜710mW/cm)、例えば300W(420mW/cm)の高周波バイアスを印加してArイオンの作用を高めることが好ましい。このArプラズマによる処理により、例えばSi−B−Oからなる界面密着層を形成する。このとき圧力は、0.67〜33.3Pa(5〜250mTorr)の範囲、さらには0.67〜26.7Pa(5〜200mTorr)の範囲が好ましい。また、この際の温度は、初期ボロン膜成膜の際と同一であることが好ましい。
Arプラズマによる界面密着層の形成後、チャンバ1内を排気しつつHeガスおよびArガスを導入してチャンバ1内のパージを行う。そして、Bガス、Arガス、Heガスを導入し、初期ボロン膜の成膜の際と同様、所定パワーのマイクロ波を導入してマイクロ波プラズマを生成し、例えば1μm以上の厚さの主ボロン膜を成膜する。主ボロン膜の成膜は、Bガスの流量を初期ボロン膜よりも多くすることが好ましいが、それ以外の条件は、初期ボロン膜の成膜の際と同様とすることが好ましい。また、バイアス電圧印加用高周波電源109からのバイアス電圧(高周波バイアス)は印加しないことが好ましい。
このように、初期ボロン膜の成膜、Arプラズマによる界面密着層の形成、および主ボロン膜の成膜を、ウエハWをチャンバ1内の載置台2上に載置したまま連続して行い、所望の膜厚のボロン膜を成膜する。このため、追加のガスラインを用いることなく、高スループットで、密着性が良好なボロン膜を成膜することができる。
<ボロン系膜の成膜装置の第2の例>
次に、ボロン系膜の成膜装置の第2の例について説明する。
図5は、ボロン系膜の成膜装置の第2の例を示す断面図である。本例の成膜装置200は、上記ステップ1〜3を行ってボロン系膜としてのボロン膜を成膜する容量結合型平行平板プラズマCVD装置として構成される。
この成膜装置200は、気密に構成され、接地された略円筒状のチャンバ101を有している。チャンバ101は、例えばアルミニウムおよびその合金等の金属材料によって構成されている。
チャンバ101内の底部には、基板であるウエハWを水平に支持するための、下部電極として機能する載置台102が設けられている。載置台102は、チャンバ101の底面に配置された金属製の支持部材103および絶縁部材104を介して支持されている。また、載置台102には抵抗加熱型のヒーター105が埋め込まれており、このヒーター105はヒーター電源(図示せず)から給電されることにより発熱し、それにより載置台102を介してウエハWが所定の温度に加熱される。
成膜装置200は、ボロン含有ガスを含む処理ガスを供給するためのガス供給機構136を有している。ボロン含有ガスとしては、上述したような、ジボラン(B)ガス、三塩化ホウ素(BCl)ガス、アルキルボランガス、デカボランガス等を挙げることができる。
また、処理ガスはプラズマ励起用の希ガスを含んでいる。さらにHガス等を含んでいてもよい。希ガスとしてはHeガスやArガスなどが用いられる。以下では、ボロン含有ガスとしてBガス、希ガスとしてArガスおよびHeガスを含む処理ガスを用いる場合を例にして説明する。
ガス供給機構136は、ガスシャワーヘッド110、Bガス供給源168、Arガス供給源169、Heガス供給源170、配管165、166、167を有している。
ガスシャワーヘッド110は、チャンバ101内の上部に、載置台102と対向するように設けられ、上部電極として機能する。ガスシャワーヘッド110は金属製であり、円板状をなしている。ガスシャワーヘッド110の内部にはガス拡散空間111が形成されている。ガスシャワーヘッド110の下面には多数のガス吐出孔112が形成されている。
ガスシャワーヘッド110の上面中央部には、ガス流路113が接続されている。ガス流路113を構成するガス配管113aは絶縁部材114を介してチャンバ101に固定されており、ガスシャワーヘッド110はガス配管113aによりチャンバ101に支持されている。
上記配管165、166、および167の一端は、ガス供給機構ガス流路113に接続されている。Bガス供給源168は、ボロン含有ガスであるBガスを供給するものであり、配管165に接続されている。Arガス供給源169は、希ガスであるArガスを供給するものであり、配管166に接続されている。Heガス供給源170は、希ガスであるHeガスを供給するものであり、配管167に接続されている。これらガス供給源168、169、170から配管165、166、167およびガス流路113を介してBガス、Arガス、Heガスがシャワーヘッド110のガス拡散空間111に至り、ガス吐出孔112からチャンバ101内のウエハWに向けて吐出される。
配管165には、マスフローコントローラのような流量制御器165aおよび開閉バルブ165bが設けられ、配管166には、流量制御器166aおよび開閉バルブ166bが設けられ、配管167には、流量制御器167aおよび開閉バルブ167bが設けられている。
チャンバ101の側壁下部には排気口122を有し、排気口には排気管123が接続されている。排気管123には真空ポンプや自動圧力制御バルブ等を含む排気装置124が接続されている。排気装置124の真空ポンプを作動させることによりチャンバ101内のガスが排気管123を介して排気され、自動圧力制御バルブによりチャンバ101内が所定の真空度に制御される。
チャンバ101の側壁には、成膜装置200に隣接する真空搬送室(図示せず)との間でウエハWの搬入出を行うための搬入出口125が設けられており、この搬入出口125はゲートバルブ126により開閉される。
載置台102には、プラズマ生成用の第1周波数の第1高周波電力を供給するプラズマ生成用高周波電源107と、バイアス電圧印加用の、第1周波数よりも低い第2周波数の第2高周波電力を供給するバイアス電圧印加用高周波電源109とを有する。プラズマ生成用高周波電源107は、第1整合器106を介して載置台102に電気的に接続される。バイアス電圧印加用高周波電源109は、第2整合器108を介して載置台102に電気的に接続される。プラズマ生成用高周波電源107は、40MHz以上、例えば60MHzの第1高周波電力を載置台102に印加する。バイアス電圧印加用高周波電源109は、50kHz〜13.56MHzの第2高周波電力を載置台102に印加する。なお、第1高周波電力は、ガスシャワーヘッド110に印加してもよい。ガスシャワーヘッド110には、インピーダンス調整回路130が接続されている。
第1整合器106は、プラズマ生成用高周波電源107の内部(または出力)インピーダンスに負荷インピーダンスを整合させるもので、チャンバ101内にプラズマが生成されている時にプラズマ生成用高周波電源107の出力インピーダンスと負荷インピーダンスが見かけ上一致するように機能する。第2整合器108は、バイアス電圧印加用高周波電源109の内部(または出力)インピーダンスに負荷インピーダンスを整合させるもので、チャンバ101内にプラズマが生成されているときにバイアス電圧印加用高周波電源109の内部インピーダンスと負荷インピーダンスとが見かけ上一致するように機能する。
プラズマ生成用高周波電源107の周波数を40MHz以上と高くし、かつインピーダンス調整回路130を設けることにより、ウエハWに対するイオンの衝撃を小さくすることができ、ボロン膜の表面粗さの増大を抑制することができる。
成膜装置200は、制御部150を有している。制御部150は、ボロン系膜形成装置200の各構成部、例えばバルブ類、流量制御器、ヒーター電源、高周波電源107、109等を制御する。制御部150は、CPUを有する主制御部と、入力装置、出力装置、表示装置、および記憶装置を有している。記憶装置には、ボロン系膜形成装置200で実行される処理を制御するためのプログラム、すなわち処理レシピが格納された記憶媒体がセットされ、主制御部は、記憶媒体に記憶されている所定の処理レシピを呼び出し、その処理レシピに基づいてボロン系膜形成装置200に所定の処理を行わせるように制御する。
以上のように構成される成膜装置200においては、まず、ゲートバルブ126を開け、基板であるウエハWとして、例えばシリコン基体上にSiO膜が形成されたものをチャンバ1に搬入し、載置台2に載置するとともにゲートバルブ26を閉じる。
載置台102の温度を500℃以下、好ましくは60〜500℃、例えば300℃に設定する。ArガスおよびHeガスをチャンバ101内に供給してチャンバ1内の圧力を、好ましくは0.67〜133.3Pa(5〜1000mTorr)、例えば50mTorr(6.7Pa)に調圧する。そして、Bガスを所定流量でチャンバ101内に供給しつつ、プラズマ生成用高周波電源107から載置台102にプラズマ生成用の第1の高周波電力を印加する。これにより、上部電極であるガスシャワーヘッド110と下部電極である載置台102との間に高周波電界を形成し、容量結合プラズマを生成してプラズマCVDにより、初期ボロン系膜として、厚さ2nm以下の初期ボロン膜を成膜する。このとき、バイアス電圧印加用高周波電源109からのバイアス電圧(高周波バイアス)は印加しないことが好ましい。このときのガス流量は、第1の例の装置の場合と同様の範囲に設定すればよい。
初期ボロン膜の成膜が終了後、Bガスを停止し、チャンバ1内を排気しつつHeガスおよびArガスを導入してチャンバ1内のパージを行う。そして、ガスをArガスのみとし、初期ボロン膜の成膜の際と同様、容量結合プラズマを生成してArプラズマ処理を行う。このとき、バイアス電圧印加用高周波電源109から50〜500W(71〜710mW/cm)、例えば300W(420mW/cm)の高周波バイアスを印加してArイオンの作用を高めることが好ましい。このArプラズマによる処理により、例えばSi−B−Oからなる界面密着層を形成する。このとき圧力は、26.7〜133.3Pa(200〜1000mTorr)の範囲が好ましい。また、この際の温度は、初期ボロン膜成膜の際と同一であることが好ましい。
Arプラズマによる界面密着層の形成後、チャンバ1内を排気しつつHeガスおよびArガスを導入してチャンバ1内のパージを行う。そして、Bガス、Arガス、Heガスを導入し、初期ボロン膜の成膜の際と同様、容量結合プラズマを生成してプラズマCVDにより、例えば1μm以上の厚さの主ボロン膜を成膜する。主ボロン膜の成膜は、Bガスの流量を初期ボロン膜よりも多くすることが好ましいが、それ以外の条件は、初期ボロン膜の成膜の際と同様とすることが好ましい。また、バイアス電圧印加用高周波電源109からのバイアス電圧(高周波バイアス)は印加しないことが好ましい。
このように、第2の例の成膜装置においても、初期ボロン膜の成膜、Arプラズマによる界面密着層の形成、および主ボロン膜の成膜を、ウエハWをチャンバ1内の載置台2上に載置したまま連続して行い、所望の膜厚のボロン膜を成膜する。このため、追加のガスラインを用いることなく、高スループットで、密着性が良好なボロン膜を成膜することができる。
<実験例>
次に、実験例について説明する。
ここでは、シリコン基体上にSiO膜が形成されたウエハを基板として用い、上述した図4に示すマイクロ波プラズマCVD装置により、以下のケース1〜3の手法でボロン膜の成膜を行った。
ケース1は、上記実施形態の成膜方法に従って、上述したステップ1〜3によりボロン膜の成膜を行った。ステップ1では、マイクロ波パワーを3500Wとして膜厚2nmの初期ボロン膜を成膜した。ステップ2では、マイクロ波パワーを3500W、高周波バイアス(400kHz)パワー300WとしてArプラズマ処理を90sec行った。ステップ3では、マイクロ波パワーを3500Wとして膜厚1〜1.5μmの主ボロン膜を成膜した。
ケース2では、ケース1のステップ3のみを実施した。また、ケース3では、最初にマイクロ波パワー3500WとしてArプラズマによる表面処理(表面汚染部やOHを除去する処理)を10sec行った後、ケース1のステップ3を実施した。
ケース1〜3の各手法で成膜した膜について、m−ELT(modified - Edge Lift-off Test)法にて密着性を評価した。m−ELT法では、成膜した膜の表面にエポキシ樹脂を塗布した後、所定の大きさの試料に切断し、その後試料を冷却して、剥離開始温度とエポキシ樹脂の厚さから密着強度を求めた。また、そのときの試料の状況を観察した。その結果を表1に示す。なお、試料数は、各ケース20個ずつとした。
Figure 2019186306
表1の「膜剥離試料数」は、試験により膜が剥離した試料の数を示し、「基板破壊試料数」は、試験により基板で破壊が生じた試料の数を示し、「混在剥離試料数」は、膜剥離と基板破壊が混在した試料の数を示す。基板で破壊が生じれば、得られた密着強度の数値は基板の破壊強度を反映していることとなり、膜界面の密着強度は基板破壊強度よりも強いと推定される。また、膜剥離と基板破壊が混在した試料は、膜剥離が発生する強度と基板破壊が発生する強度は近い値であったと推測される。
表1に示すように、Arプラズマによる表面処理を行った後にボロン膜を形成したケース3では、膜剥離試料数が15個、混在剥離試料数が5個と膜剥離の試料数が多く、膜の密着強度は0.279MPa・m1/2と小さい値であった。また、単に基板上にボロン膜を形成したケース2では、膜剥離試料数が6個あり、膜の密着強度は0.335MPa・m1/2とケース3よりも密着強度は良好であるものの不十分な値であった。これに対して、上記実施形態の成膜方法に従ってステップ1〜3によりボロン膜を成膜したケース1は、全ての試料が基板破壊か混在剥離であり、膜剥離試料が存在せず、密着強度が0.362MPa・m1/2と高い値であった。これらの結果から、上記実施形態の方法により密着性の高いボロン膜が得られることが確認された。
<他の適用>
以上、実施形態について説明したが、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
例えば、上記実施形態では、ボロン系膜として主にボロン膜について説明したが、原理上、例えばボロンリッチなBN膜やボロンリッチなBC膜等、ボロンに他の添加元素を意図的に加えた他のボロン系膜であっても適用可能なことはいうまでもない。他の添加元素を意図的に加えたボロン系膜を成膜する際には、成膜の際の処理ガスとして添加元素を含むガスを加えればよい。
また、上記実施形態では、ボロン系膜の用途としてハードマスクを示したが、これに限らず、薄膜用途では拡散防止用のバリア膜等の他の用途にも適用可能である。
さらに、上記実施の形態においては、成膜装置としてマイクロ波プラズマCVD装置、容量結合型平行平板プラズマCVD装置を例にとって説明した。しかし、これに限るものでなく、他のプラズマ生成手段を用いたものであってもよく、プラズマを用いない熱CVDであってもよい。
201;基板
202;初期ボロン系膜
203;界面密着層
204;主ボロン系膜

Claims (13)

  1. 基板上にボロンを主体とするボロン系膜を形成するボロン系膜の成膜方法であって、
    基板上にCVDにより初期ボロン系膜を成膜する第1工程と、
    次いで、成膜された前記初期ボロン系膜をプラズマ処理し、前記基板表面と前記初期ボロン系膜を反応させて界面密着層を形成する第2工程と、
    次いで、前記界面密着層の上にCVDにより主ボロン系膜を成膜する第3工程と
    を有する、ボロン系膜の成膜方法。
  2. 前記初期ボロン系膜は、5nm以下の厚さで形成される、請求項1に記載のボロン系膜の成膜方法。
  3. 前記第1工程および前記第3工程は、プラズマCVDにより行われる、請求項1または請求項2に記載のボロン系膜の成膜方法。
  4. 前記初期ボロン系膜および前記主ボロン系膜は、ボロンと不可避的不純物とからなるボロン膜である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボロン系膜の成膜方法。
  5. 前記第2工程は、希ガスのプラズマを生成し、前記プラズマ中のイオンによるスパッタにより、前記初期ボロン系膜からボロン原子が、前記基板表面から表面原子が叩き出され、前記ボロン原子および前記表面原子がプラズマ中のイオンにより後方散乱されて前記基板上に再堆積され、これら原子の反応により前記界面密着層を形成する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のボロン系膜の成膜方法。
  6. 前記基板の表面がSiOであり、前記第2工程において、プラズマ中のイオンにより前記表面原子としてシリコン原子および酸素原子が叩き出され、前記界面密着層としてSi−B−Oが形成される、請求項5に記載のボロン系膜の成膜方法。
  7. 前記第2工程は、アルゴンプラズマにより行われる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のボロン系膜の成膜方法。
  8. 前記第2工程は、前記基板に高周波電力によるバイアス電圧を印加しながら行われる、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のボロン系膜の成膜方法。
  9. 第1工程から前記第3工程は、同一チャンバ内で連続して行われる、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のボロン系膜の成膜方法。
  10. 基板上にボロンを主体とするボロン系膜を成膜する成膜装置であって、
    基板を収容するチャンバと、
    前記チャンバ内で基板を支持する載置台と、
    前記チャンバ内にボロン含有ガスおよび希ガスを含む処理ガスを供給するガス供給機構と、
    前記チャンバ内にプラズマを生成するプラズマ生成手段と、
    前記ガス供給機構と前記プラズマ生成手段とを制御する制御部と
    を有し、
    前記制御部は、
    前記ガス供給機構に、前記ボロン含有ガスを含むガスを供給させて、CVDにより基板上に初期ボロン系膜を成膜する第1工程を実行させ、
    次いで、前記ガス供給機構に、希ガスを供給させ、前記プラズマ生成手段により希ガスのプラズマを生成させ、成膜された前記初期ボロン系膜をプラズマ処理し、前記基板表面と前記初期ボロン系膜を反応させて界面密着層を形成する第2工程を実行させ、
    次いで、前記ガス供給機構に、前記ボロン含有ガスを含むガスを供給させて、CVDにより前記界面密着層上に主ボロン系膜を成膜する第3工程を実行させる、
    ボロン系膜の成膜装置。
  11. 前記制御部は、前記第1工程および前記第3工程の際に、前記プラズマ生成手段に、プラズマを生成させて、プラズマCVDにより前記初期ボロン系膜および前記主ボロン系膜を成膜させる、請求項10に記載のボロン系膜の成膜装置。
  12. 前記希ガスのプラズマはアルゴンプラズマである、請求項10または請求項11に記載のボロン系膜の成膜装置。
  13. 前記載置台上の前記基板にバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加用高周波電源をさらに有し、
    前記制御部は、前記第2工程の際に、前記バイアス電圧印加用高周波電源に、前記基板へ前記バイアス電圧を印加させる、請求項10から請求項12のいずれか1項に記載のボロン系膜の成膜装置。
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