JP2019186155A - 高分子電解質 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現することができる高分子電解質を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の高分子電解質は、側鎖に、脂肪族環、芳香族環、及びスルホン酸基を有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、高分子電解質、上記高分子電解質を含む高分子電解質溶液、上記高分子電解質を含む電極触媒層、上記電極触媒層を備える膜電極接合体、上記膜電極接合体を備える燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池を構成する膜電極接合体(MEA)には、白金等の触媒及び高分子電解質から形成される電極触媒層が設けられている。白金等の触媒は高価であるため、その使用量の低減が求められているが、触媒の使用量を削減すると電池の性能が低下する傾向がある。この不利益を回避するために、電極触媒層を形成する高分子電解質の酸素透過性を向上させて、電極中に酸素を行き渡らせる試みがなされてきた。
特許文献1には、酸素透過性が高く、カソード側触媒層高分子電解質として好適な高分子電解質として、ラジカル重合により主鎖に脂肪族環構造を有するポリマーを与える含フッ素モノマーに基づく繰り返し単位と、フッ素系スルホン酸含有モノマーに基づく繰り返し単位とを含む共重合体が記載されている。
特許文献2には、主鎖又は側鎖にフッ素系脂肪族環構造、スルホンイミド基、及びスルホン酸基を有することで、高酸素透過性と撥水性を保ったまま、高プロトン伝導性を発現できることが記載されている。
特開2002−260705号公報 特開2012−38515号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示されている高分子電解質は、実際の燃料電池の運転環境に近い低加湿条件及び高加湿条件のいずれにおいても高い発電性能を発現することに対しては改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑み、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現することができる高分子電解質を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、側鎖に、脂肪族環、芳香族環、及びスルホン酸基を有する高分子電解質が、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]
側鎖に、脂肪族環、芳香族環、及びスルホン酸基を有することを特徴とする、高分子電解質。
[2]
前記脂肪族環がエーテル結合をその環構造中に含み、前記芳香族環が置換基を含む、[1]に記載の高分子電解質。
[3]
前記側鎖に、前記脂肪族環と前記芳香族環とが直接結合した構造、又は前記脂肪族環と前記芳香族環との間に、置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、エーテル結合、及びチオエーテル結合からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上を有する構造を有する、[1]又は[2]に記載の高分子電解質。
[4]
前記芳香族環の環構造を構成する原子のうち少なくとも3個の原子に、フッ素原子、酸素原子、スルホン酸基、エーテル結合を含む置換されていてもよい炭素数1以上のフッ素化炭化水素基、及びスルホンアミド基からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の構造が結合している、[1]〜[3]のいずれかに記載の高分子電解質。
[5]
前記側鎖が、下記式(1)で表わされる構造と、下記式(2)で表わされる構造とを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の高分子電解質。
Figure 2019186155
(式中、Xは、F、Cl、又は置換されていてもよい炭素数1〜3のフッ素化炭化水素基を表す。kは0〜2の整数、nは0〜8の整数を表す。n個のXは、同一でも異なっていてもよい。Yは、F又はClを表す。mは1〜6の整数を表す。m個のYは、同一でも異なっていてもよい。Zは、H、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属を表す。)
Figure 2019186155
(式中、Xは、F、Cl、又は置換されていてもよい炭素数1〜3のフッ素化炭化水素基を表す。kは0〜2の整数、nは0〜8の整数を表す。n個のXは、同一でも異なっていてもよい。Yは、F又はClを表す。mは1〜6の整数を表す。m個のYは、同一でも異なっていてもよい。Zは、NR12を表す。NR12は、前記脂肪族環及び前記芳香族環を含み、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基又はHを表わす。)
[6]
[1]〜[5]のいずれかに記載の高分子電解質と水とを含むことを特徴とする、高分子電解質溶液。
[7]
[1]〜[5]のいずれかに記載の高分子電解質を含むことを特徴とする、電極触媒層。
[8]
[7]に記載の電極触媒層を備えることを特徴とする、膜電極接合体。
[9]
[8]に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする、燃料電池。
本発明の高分子電解質は、側鎖に、脂肪族環、芳香族環、及びスルホン酸基を有することで、低〜高加湿の広い加湿範囲に渡って良好な電池性能を実現できる。さらに、電極触媒層に使用する触媒量を低減することも可能である。本発明の膜電極接合体及び燃料電池は、低加湿、高加湿のいずれの条件下においても発電性能に優れる。
以下、本発明を具体的に説明する。
(高分子電解質)
本実施形態の高分子電解質は、側鎖に、脂肪族環、芳香族環、及びスルホン酸基を有する。これら3つを組み合わせることで、燃料電池の運転温度においても高酸素透過性、高プロトン伝導性、強酸性条件下での高耐熱性が実現でき、低〜高加湿の広い加湿範囲に渡って良好な電池性能を実現することにつながる。
本実施形態の高分子電解質の側鎖に含まれる脂肪族環としては、シクロペンタン等の炭素数3〜10のシクロアルカン等の飽和脂肪族環;シクロペンテン等の炭素数3〜10のシクロアルケン等の不飽和脂肪族環;2個以上の原子(例えば、炭素原子と酸素原子)から構成される飽和又は不飽和複素環等の置換された脂肪族環;又はこれらの組み合わせ(複環);等の構造が挙げられる。
上記脂肪族環は、中でも、エーテル結合を含むものが好ましい。脂肪族環にエーテル結合を含むことで、より一層酸素溶解度が向上し、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現することにつながる。
エーテル結合を含む脂肪族環の構造としては、以下に限定されないが、例えば、下記式(3a)、(3b)、(4b)、又は(4b)で表わされる構造が挙げられる。
Figure 2019186155
(式(3a)及び(3b)中、R1〜R6は、それぞれ独立して、フッ素原子、水素原子、アリール基、又は置換されていてもよい炭素数が1〜10のフッ素化炭化水素基を表す。前記置換されていてもよい炭素数が1〜10のフッ素化炭化水素基の炭素数は、より好ましくは1〜5である。)
Figure 2019186155
(式(4a)及び(4b)中、R1〜R8は、それぞれ独立して、フッ素原子、水素原子、アリール基、又は置換されていてもよい炭素数が1〜10のフッ素化炭化水素基を表す。前記置換されていてもよい炭素数が1〜10のフッ素化炭化水素基の炭素数は、より好ましくは1〜5である。)
本実施形態の高分子電解質の側鎖に含まれる芳香族環としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ヘリセン、ピレン等の置換されていてもよい芳香族炭化水素環、フラン、ピラン、ジオキシン、ジベンゾジオキシン、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の置換されていてもよい芳香族複素環等の構造が挙げられる。
上記芳香族環は、中でも、置換基を含むものが好ましい。
上記置換基としては、以下に限定されないが、例えば、フッ素原子等ハロゲン原子、酸素原子、スルホン酸基、フッ素化炭化水素基、スルホンアミド基、エーテル結合を含む置換されていてもよい炭素数1以上のフッ素化炭化水素基等が挙げられる。
さらに、上記芳香族環は、芳香族環の環構造を構成する原子のうち少なくとも3個の原子に、フッ素原子、酸素原子、スルホン酸基、エーテル結合を含む置換されていてもよい炭素数1以上のフッ素化炭化水素基、及びスルホンアミド基からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の構造が結合していることが好ましい。上記構造は、芳香族環の環構造を構成する原子のうち、4つ以上に結合していることがより好ましく、5つ以上であることが更に好ましい。
上記置換されていてもよい炭素数1以上のフッ素化炭化水素基の炭素数としては、1〜10が好ましく、より好ましくは1〜5である。フッ素化炭化水素基の炭素数が2以上である場合、炭素−炭素結合間にエーテル結合が挿入されていてもよい。上記エーテル結合を含む置換されていてもよい炭素数1以上のフッ素化炭化水素基としては、例えば、−(CF22O(CF22SO3H、−OCF2CF2SO3H、−OCF2CFH−OCF2CF2SO3H、−O−(CF2CF−CF3)−OCF2CF2SO3H、−O−(CF2CF−CF3)−OCF2CF2CF3等が挙げられる。
上記高分子電解質の側鎖が芳香族環を有し、かつ上記構造が芳香族環に結合していることで、高分子電解質の結晶性が崩れるとともに、Pt/高分子電解質界面での高分子電解質密度が低下し、酸素溶解度が高くなり、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現する。その中でも特に、高加湿条件において、Pt活性サイトへのスルホン酸基の吸着を抑制でき、低電流密度領域での電圧性能向上に良好な結果を与える。
また、本実施形態の高分子電解質の側鎖に、上記脂肪族環と上記芳香族環とが直接結合した構造、又は上記脂肪族環と上記芳香族環との間に、置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、エーテル結合、及びチオエーテル結合からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上を有する構造を有することが好ましい。脂肪族環の環構造をなす結合と芳香族環の環構造をなす結合とは兼ねていてもよい。
上記置換されていてもよい炭素数1〜10のフッ素化炭化水素基の炭素数は、より好ましくは1〜5である。
上記高分子電解質の側鎖に、上記脂肪族環と上記芳香族環とが結合した構造を含む場合、芳香族環のππスタックによる結晶化を抑制することで酸素溶解度を高くすることができるため、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現することにつながる。その中でも特に、高加湿条件において、Pt活性サイトへのスルホン酸基の吸着を抑制でき、低電流密度領域での電圧性能向上に良好な結果を与える。
本実施形態の高分子電解質の側鎖は、スルホン酸基を含む。
上記高分子電解質の側鎖にスルホン酸基を含むことで、プロトン伝導性及び強酸性条件下での高耐熱性をも実現でき、結果、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現することにつながる。
本実施形態の高分子電解質の側鎖は、下記式(1)で表わされる構造と、下記式(2)で表わされる構造とを含むことが好ましい。
Figure 2019186155
(式中、Xは、F、Cl、又は置換されていてもよい炭素数1〜3のフッ素化炭化水素基を表す。kは0〜2の整数、nは0〜8の整数を表す。n個のXは、同一でも異なっていてもよい。Yは、F又はClを表す。mは1〜6の整数を表す。m個のYは、同一でも異なっていてもよい。Zは、H、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属表す。)
上記式(1)において、特に、kが0又は2、nが0、mが2、ZがHであることが好ましい。
Figure 2019186155
(式中、Xは、F、Cl、又は置換されていてもよい炭素数1〜3のフッ素化炭化水素基を表す。kは0〜2の整数、nは0〜8の整数を表す。n個のXは、同一でも異なっていてもよい。Yは、F又はClを表す。mは1〜6の整数を表す。m個のYは、同一でも異なっていてもよい。Zは、NR12を表す。NR12は、前記脂肪族環及び前記芳香族環を含み、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基又はHを表わす。)
上記式(2)において、特に、kが0又は2、nが0、mが2であることが好ましい。
上記R1及びR2は、それらに含まれる原子が互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記高分子電解質は、当量重量EW(プロトン交換基1当量あたりのパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の乾燥質量グラム数)が100〜2000g/eqである。即ち、上記EWの範囲内となるように共重合比やスルホン酸導入率を制御することが好ましい。EWの上限は、好ましくは1000g/eqであり、より好ましくは900g/eqである。EWの下限は、好ましくは300g/eqであり、より好ましくは500g/eqである。EWが上記の範囲内にあることにより、加工性に一層優れ、電極触媒層の伝導度が低くなりすぎず、熱水への溶解性も小さい。
上記当量重量EWは次の方法により測定することができる。イオン交換基の対イオンがプロトンの状態となっているポリマーの膜、およそ2〜20cm2を、25℃、飽和NaCl水溶液30mLに浸漬し、攪拌しながら30分間放置する。次いで、飽和NaCl水溶液中のプロトンを、フェノールフタレインを指示薬として0.01N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定する。中和後に得られた、イオン交換基の対イオンがナトリウムイオンの状態となっている高分子電解質膜を、純水ですすぎ、さらに真空乾燥して秤量する。中和に要した水酸化ナトリウムの物質量をM(mmol)、イオン交換基の対イオンがナトリウムイオンの高分子電解質膜の重量をW(mg)とし、下記式により当量重量EW(g/eq)を求める。
EW=(W/M)−22
上記高分子電解質は、例えば、重縮合、ラジカル重合、アニオン重合等の従来公知の方法にて合成することができ、中でも、重縮合又はラジカル重合が好ましく用いられる。
上記高分子電解質粒子が水に分散又は溶解したエマルションの形態で、上記高分子電解質が得られる。
上記ラジカル重合は、界面活性剤の存在下に行ってもよい。界面活性剤としては、公知の含フッ素アニオン界面活性剤が好ましい。
上記ラジカル重合は、重合開始剤を添加して行うことが好ましい。重合開始剤としては、重合温度でラジカルを発生しうるものであれば特に限定されず、公知の油溶性及び/又は水溶性の重合開始剤を使用することができる。また、レドックス開始剤を使用してもよい。上記重合開始剤の濃度は、目的とする重合体の分子量、反応速度によって適宜決定される。
上記重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ジコハク酸パーオキシド、ジグルタル酸パーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド等の有機過酸化物が挙げられる。上記レドックス開始剤としては、過硫酸塩又は有機過酸化物と、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、亜硫酸水素ナトリウム等の重亜硫酸塩、臭素酸塩、ジイミン、シュウ酸等の還元剤とを組み合わせたものが挙げられる。
ラジカル重合は、0.05〜5.0MPaの圧力下で行うことができる。好ましい圧力の範囲は0.1〜1.5MPaである。また、ラジカル重合は、5〜100℃の温度で行うことができる。好ましい温度の範囲は10〜90℃である。ラジカル重合では、また、目的に応じて、公知の安定剤、連鎖移動剤等を添加してもよい。
(高分子電解質溶液)
本実施形態の高分子電解質溶液は、上記高分子電解質と水とを含むことが好ましく、上記高分子電解質、水、及び/又は有機溶媒を含むことがより好ましい。上記高分子電解質溶液は、燃料電池の電極触媒層を形成する原料として好適に用いることができる。上記高分子電解質溶液は、燃料電池の電極触媒層形成用高分子電解質溶液であることが好ましい。
上記高分子電解質溶液の上記高分子電解質の含有量は、2〜50質量%であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。
上記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、グリセリン等のプロトン性有機溶媒や、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性溶媒等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
上記高分子電解質溶液は、有機系添加剤を含んでもよい。また、上記高分子電解質溶液は、無機系添加剤を含んでもよい。
上記有機系添加剤としては、例えば原子がラジカルにより引き抜かれやすい、例えば、3級炭素に結合した水素、あるいは、炭素−ハロゲン結合等を構造中に有する化合物等が挙げられる。具体的には、ポリアニリンのような上記の官能基で一部置換された芳香族化合物、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサジアゾール、フェニル化ポリキノキサリン、フェニル化ポリキノリン等の不飽和の複素環化合物を挙げることができる。
また、チオエーテル化合物も挙げられる。例えば、ジメチルチオエーテル、ジエチルチオエーテル、ジプロピルチオエーテル、メチルエチルチオエーテル、メチルブチルチオエーテルのようなジアルキルチオエーテル;テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロアピランのような環状チオエーテル;メチルフェニルスルフィド、エチルフェニルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジベンジルスルフィドのような芳香族チオエーテル;等が挙げられる。
無機系添加剤としては、例えば金属酸化物が挙げられる。具体的には、例えば、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、酸化鉄(Fe23、FeO、Fe34)、酸化銅(CuO、Cu2O)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y23)、酸化ニオブ(Nb25)、酸化モリブデン(MoO3)、酸化インジウム(In23、In2O)、酸化スズ(SnO2)、酸化タンタル(Ta25)、酸化タングステン(WO3、W25)、酸化鉛(PbO、PbO2)、酸化ビスマス(Bi23)、酸化セリウム(CeO2、Ce23)、酸化アンチモン(Sb23、Sb25)、酸化ゲルマニウム(GeO2、GeO)、酸化ランタン(La23)、酸化ルテニウム(RuO2)等が挙げられる。これら金属酸化物は、単独で用いても、混合物を用いてもよいし、例えば、スズ添加酸化インジウム(ITO)、アンチモン添加酸化スズ(ATO)、酸化アルミニウム亜鉛(ZnO・Al23)等に挙げられる複合酸化物を挙げることができる。
上記高分子電解質溶液は、有機溶媒を含む場合、有機溶媒と水との質量比は10/90〜90/10であることが好ましく、30/70以上であることがより好ましく、70/30以下であることがより好ましい。
上記高分子電解質は、触媒ペーストを形成する原料として好適に用いることができる。上記触媒ペーストは、上記高分子電解質、水及び/又は有機溶媒、並びに、触媒を含むことが好ましい。上記触媒ペーストは、燃料電池の電極触媒層を形成する原料として好適に用いることができる。上記触媒ペーストは、燃料電池の電極触媒層形成用触媒ペーストであることが好ましい。
上記触媒としては、電極触媒層において活性を有し得るものであれば特に限定されず、上記電極触媒層が用いられる燃料電池の使用目的に応じて適宜選択される。上記触媒は、触媒金属であることが好ましい。
上記触媒としては、水素の酸化反応及び酸素の還元反応を促進する金属であることが好ましく、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウム、及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも一種の金属であることがより好ましい。中でも、白金が好ましい。触媒金属の粒子径は限定されないが、10〜1000オングストロームが好ましく、より好ましくは10〜500オングストローム、最も好ましくは15〜100オングストロームである。
上記触媒ペースト中の上記高分子電解質の含有量は、上記触媒ペーストに対して、5〜30質量%であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。
上記触媒ペースト中の上記触媒の含有量は、上記高分子電解質に対して、50〜200質量%であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100%質量%以上であることが更に好ましく、150質量%以下であることがより好ましく、130質量%以下であることが更に好ましい。
上記触媒ペーストは、更に、導電剤を含むことが好ましい。上記触媒及び上記導電剤は、上記触媒の粒子を担持した導電剤からなる複合粒子(例えば、Pt担持カーボン等)であることも好ましい形態の一つである。この場合、上記高分子電解質は、バインダーとしても機能する。
導電剤としては、導電性を有する粒子(導電性粒子)であれば限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛及び各種金属(触媒金属を除く。)からなる群より選択される少なくとも1種の導電性粒子であることが好ましい。これら導電剤の粒子径としては、好ましくは10オングストローム〜10μm、より好ましくは50オングストローム〜1μm、最も好ましくは100〜5000オングストロームである。
上記複合粒子としては、導電性粒子に対する触媒粒子の含有量が、好ましくは1〜99質量%、より好ましくは10〜90質量%、最も好ましくは30〜70質量%である。具体的には、田中貴金属工業(株)製TEC10E40E、TEC10E50E、TEC10E50HT等のPt触媒担持カーボンが好適な例として挙げられる。
複合粒子の含有量は、上記高分子電解質に対して、1.0〜3.0質量%であることが好ましく、より好ましくは1.4〜2.9質量%、更に好ましくは1.7〜2.9質量%、特に好ましくは1.7〜2.3質量%である。
上記触媒ペーストは、更に、撥水剤を含んでもよい。
上記触媒ペーストは、撥水性の向上のため、更にポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)を含有してもよい。この場合、PTFEの形状としては特に限定されないが、定形性のものであればよく、粒子状、繊維状であることが好ましく、これらが単独で使用されても混合して使用されていてもよい。
上記PTFEの含有量は、上記高分子電解質に対して、0.01〜30.0質量%であることが好ましく、より好ましくは1.0〜25.0質量%、更に好ましくは2.0〜20.0質量%、特に好ましくは5.0〜10.0質量%である。
上記触媒ペーストは、親水性向上のため、更に金属酸化物を含有してもよい。上記金属酸化物としては特に限定はないが、Al23、B23、MgO、SiO2、SnO2、TiO2、V25、WO3、Y23、ZrO2、Zr23及びZrSiO4からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物であることが好ましい。中でも、Al23、SiO2、TiO2及びZrO2からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物であることが好ましく、SiO2が特に好ましい。
金属酸化物の形態としては、粒子状や繊維状といったものを用いても構わないが、特に非定形であることが望ましい。ここで言う非定形とは、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察しても、粒子状や繊維状の金属酸化物が観察されないことを言う。特に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電極触媒層を数10万倍までに拡大して観察しても、粒子状や繊維状の金属酸化物は観察されない。また、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて電極触媒層を数10万倍〜数100万倍に拡大して観察しても、明確に粒子状や繊維状の金属酸化物は観察することができない。このように現状の顕微鏡技術の範囲内では、金属酸化物の粒子状や繊維状を確認することができないことを指す。
上記金属酸化物の含有量は、上記高分子電解質に対して、0.01〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜45質量%、更に好ましくは0.01〜25質量%、特に好ましくは0.5〜6.0質量%である。
(電気触媒層)
本実施形態の電気触媒層としては、上記高分子電解質を用いた電極触媒層であることが好ましい。上記電極触媒層は、上記触媒ペーストからなることが好ましい。上記電極触媒層は、安価に製造することができる上、酸素透過性が高い。上記電極触媒層は、燃料電池用として好適に用いることができる。
上記電極触媒層は、上記高分子電解質及び上記触媒からなることが好ましい。上記電極触媒層は、電極面積に対する上記高分子電解質の担持量が、好ましくは0.001〜10mg/cm2、より好ましくは0.01〜5mg/cm2、更に好ましくは0.1〜1mg/cm2である。
本実施形態の電極触媒層は、高分子電解質、触媒及び導電剤からなるものであることが好ましい。上記電極触媒層は、高分子電解質と、触媒の粒子及びこれを担持した導電剤からなる複合粒子(例えば、Pt担持カーボン等)と、からなるものであることも好ましい形態の一つである。この場合、上記高分子電解質は、バインダーとしても機能する。
上記導電剤としては、導電性を有する粒子(導電性粒子)であれば限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛及び各種金属(触媒金属を除く。)からなる群より選択される少なくとも1種の導電性粒子であることが好ましい。これら導電剤の粒子径としては、好ましくは10オングストローム〜10μm、より好ましくは50オングストローム〜1μm、最も好ましくは100〜5000オングストロームである。
上記複合粒子としては、導電性粒子に対して触媒粒子が、好ましくは1〜99質量%、より好ましくは10〜90質量%、最も好ましくは30〜70質量%である。具体的には、田中貴金属工業(株)製TEC10E40E等のPt触媒担持カーボンが好適な例として挙げられる。
上記複合粒子の含有率は、電極触媒層の全質量に対し、20〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜90質量%、更に好ましくは50〜85質量%、特に好ましくは60〜80質量%である。電極触媒層が燃料電池の電極触媒層として用いられる場合、電極面積に対する触媒金属の担持量としては、電極触媒層を形成した状態で、好ましくは0.001〜10mg/cm2、より好ましくは0.01〜5mg/cm2、更に好ましくは0.1〜1mg/cm2、更により好ましくは0.2〜0.5mg/cm2である。電極触媒層の厚みとしては、好ましくは0.01〜200μm、より好ましくは0.1〜100μm、最も好ましくは1〜50μmである。
上記電極触媒層は、必要に応じて撥水剤を含んでもよい。
上記電極触媒層は、撥水性の向上のため、更にポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)を含有してもよい。この場合、PTFEの形状としては特に限定されないが、定形性のものであればよく、粒子状、繊維状であることが好ましく、これらが単独で使用されても混合して使用されていてもよい。電極触媒層がPTFEを含有する場合、PTFEの含有率としては、電極触媒層の全質量に対し、好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%、最も好ましくは0.1〜5質量%である。
上記電極触媒層は、親水性向上のため、更に金属酸化物を含有してもよい。この場合、金属酸化物としては特に限定はないが、Al23、B23、MgO、SiO2、SnO2、TiO2、V25、WO3、Y23、ZrO2、Zr23及びZrSiO4からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物であることが好ましい。中でもAl23、SiO2、TiO2及びZrO2からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物であることが好ましく、SiO2が特に好ましい。
上記金属酸化物の形態としては、粒子状や繊維状といったものを用いても構わないが、特に非定形であることが望ましい。ここで言う非定形とは、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察しても、粒子状や繊維状の金属酸化物が観察されないことを言う。特に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電極触媒層を数10万倍までに拡大して観察しても、粒子状や繊維状の金属酸化物は観察されない。また、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて電極触媒層を数10万倍〜数100万倍に拡大して観察しても、明確に粒子状や繊維状の金属酸化物は観察することができない。このように現状の顕微鏡技術の範囲内では、金属酸化物の粒子状や繊維状を確認することができないことを指す。
上記金属酸化物の含有率としては、電極触媒層の全質量に対し、好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%、最も好ましくは0.1〜5質量%である。
上記電極触媒層の空隙率としては特に限定されないが、好ましくは10〜90体積%、より好ましくは20〜80体積%、最も好ましくは30〜60体積%である。
上記高分子電解質溶液は、濃縮することが可能である。濃縮の方法としては特に限定されない。例えば、加熱し、溶媒を蒸発させる方法や、減圧濃縮する方法等がある。その結果得られる塗工溶液の固形分率は、取り扱い性及び生産性を考慮して、最終的な塗工溶液の固形分率は0.5〜50質量%が好ましい。
上記高分子電解質溶液は、粗大粒子成分を除去する観点から、濾過されることがより好ましい。濾過方法は、特に限定されず、従来行われている一般的な方法が適用できる。例えば、通常使用されている定格濾過精度を有する濾材を加工したフィルターを用いて、加圧濾過する方法が代表的に挙げられる。フィルターについては、90%捕集粒子径が粒子の平均粒子径の10〜100倍の濾材を使用することが好ましい。この濾材は濾紙でもよいし、金属焼結フィルターのような濾材でもよい。特に濾紙の場合は、90%捕集粒子径が粒子の平均粒子径の10〜50倍であることが好ましい。金属焼結フィルターの場合は、90%捕集粒子径が粒子の平均粒子径の50〜100倍であることが好ましい。当該90%捕集粒子径を平均粒径の10倍以上に設定することは、送液するときに必要な圧力が高くなりすぎることを抑制したり、フィルターが短期間で閉塞したりすることを抑制し得る。一方、平均粒子径の100倍以下に設定することは、フィルムで異物の原因となるような粒子の凝集物や樹脂の未溶解物を良好に除去する観点から好ましい。
上記製造方法は、得られた高分子電解質溶液に上記触媒を分散させて触媒ペーストを調製する工程と、触媒ペーストを基材に塗布する工程と、基材に塗布した触媒ペーストを乾燥させて電極触媒層を得る工程と、を含む。
得られた高分子電解質溶液に上記触媒を分散させて触媒ペーストを調製する工程は、得られたエマルジョン又は高分子電解質溶液に、触媒の粒子及びこれを担持した導電剤からなる複合粒子を分散させた触媒ペーストを調製するものであることが好ましい。
上記触媒ペーストの塗布は、スクリーン印刷法、スプレー法等の一般的に知られている各種方法を用いることが可能である。
(膜電極接合体)
本実施形態の膜電極接合体(membrane/electrode assembly)(以下、「MEA」ともいう。)は、上記電極触媒層を備えることが好ましい。本実施形態の膜電極接合体は、上記電極触媒層を備えるため、電池特性並びに機械的強度に優れ、安定性に優れる。上記膜電極接合体は、燃料電池用として好適に用いることができる。
電解質膜の両面にアノードとカソードの2種類の電極触媒層が接合したユニットは、膜電極接合体(以下「MEA」ともいう。)と呼ばれる。電極触媒層のさらに外側に一対のガス拡散層を対向するように接合したものについても、MEAと呼ばれる場合がある。電極触媒層はプロトン伝導性を有することが必要となる。
アノードとしての電極触媒層は、燃料(例えば水素)を酸化して容易にプロトンを生ぜしめる触媒を包含し、カソードとしての電極触媒層は、プロトン及び電子と酸化剤(例えば酸素や空気)を反応させて水を生成させる触媒を包含する。アノードとカソードのいずれについても、触媒としては上述した触媒金属を好適に用いることができる。
ガス拡散層としては、市販のカーボンクロスもしくはカーボンペーパーを用いることができる。前者の代表例としては、米国DE NORA NORTH AMERICA社製カーボンクロスE−tek、B−1が挙げられ、後者の代表例としては、CARBEL(登録商標、ジャパンゴアテックス(株))、東レ社製TGP−H、SPECTRACORP社製カーボンペーパー2050等が挙げられる。
また、電極触媒層とガス拡散層が一体化した構造体は「ガス拡散電極」と呼ばれる。ガス拡散電極を電解質膜に接合しても、MEAが得られる。市販のガス拡散電極の代表例としては、米国DE NORA NORTH AMERICA社製ガス拡散電極ELAT(登録商標)(ガス拡散層としてカーボンクロスを使用)が挙げられる。
MEAは、例えば、電極触媒層の間に電解質膜を挟みこみ、熱プレスにより接合することにより作製することができる。より具体的には、上記高分子電解質をアルコールと水の混合溶液に分散又は溶解したものに、触媒として市販の白金担持カーボン(例えば、田中貴金属(株)製TEC10E40E)を分散させてペースト状にする。これを2枚のPTFEシートのそれぞれの片面に一定量塗布して乾燥させて電極触媒層を形成する。次に、各PTFEシートの塗布面を向かい合わせにして、その間に電解質膜を挟み込み、100〜200℃で熱プレスにより転写接合してから、PTFEシートを取り除くことにより、MEAを得ることができる。当業者にはMEAの作製方法は周知である。MEAの作製方法は、例えば、JOURNAL OF APPLIED ELECTROCHEMISTRY,22(1992)p.1−7に詳しく記載されている。
上記MEA(一対のガス拡散電極が対向した構造のMEAを含む。)は、更にバイポーラプレートやバッキングプレート等の一般的な燃料電池に用いられる構成成分と組み合わされて、燃料電池が構成される。
(燃料電池)
本実施形態の燃料電池は、上記膜電極接合体を備えることが好ましい。本実施形態の燃料電池は、固体高分子形燃料電池であることが好ましい。本実施形態の燃料電池は、上記膜電極接合体を有するものであれば特に限定されず、通常、燃料電池を構成するガス等の構成成分を含むものであってよい。本実施形態の燃料電池は、上記電極触媒層を有する膜電極接合体を備えるものであるため、電池特性並びに機械的強度に優れ、安定性に優れる。
バイポーラプレートとは、その表面に燃料や酸化剤等のガスを流すための溝を形成させたグラファイトと樹脂との複合材料、又は金属製のプレート等を意味する。バイポーラプレートは、電子を外部負荷回路へ伝達する機能の他、燃料や酸化剤を電極触媒近傍に供給する流路としての機能を持っている。こうしたバイポーラプレートの間にMEAを挿入して複数積み重ねることにより、燃料電池が製造される。
次に本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
(酸素溶解度)
ポリマーの膜の酸素溶解度測定はクロノアンペロメトリー法を用いて行った。ガラス封入した100μmφの白金微小電極を厚さ200μm程度のサンプルに押し当てて、温度、湿度を調整した。窒素又は酸素雰囲気下にて、電位を1100mV(vs.SHE)に保持した後、400mVにステップして電流値を測定した。窒素及び酸素雰囲気下で観測された電流値の差分を印加時間の−1/2乗に対してプロットし、直線性が得られた範囲において下記式を用いて酸素溶解度を算出した。
I=4πFrDc[1+r/(πDt)1/2+0.2732exp{−0.3911r/(Dt)1/2}]
ただし、Iは電流値(A)、Fはファラデー定数(96500C/mol)、rは電極半径(cm)、Dは酸素拡散係数(cm2/s)、cは酸素溶解度(mol/m3)、tは時間(s)である。
(触媒ペースト作製、電極作製、燃料電池評価)
高温低加湿条件下におけるMEAの性能を評価するため、以下のような手順で発電試験を実施した。
(1)電極触媒インクの調製
固形分濃度15質量%の高分子電解質溶液、電極触媒(TEC10E40E、田中貴金属工業(株)製、白金担持量36.7wt%)を白金/パーフルオロスルホン酸ポリマーが1/1.15(重量)となるように配合し、次いで、固形分(電極触媒とパーフルオロスルホン酸ポリマーの和)が11wt%となるようにエタノールを加え、ホモジナイザー(アズワン社製)により回転数が3000rpmで10分間、撹拌することで電極触媒インクを得た。
(2)MEAの作製
自動スクリーン印刷機(製品名:LS−150、ニューロング精密工業株式会社製)を用い、高分子電解質膜の両面に上記電極触媒インクを、白金量がアノード側0.2mg/cm2、カソード側0.3mg/cm2となるように塗布し、140℃、5分の条件で乾燥・固化させることでMEAを得た。
(3)燃料電池単セルの作製
上記MEAの両極にガス拡散層(製品名:GDL35BC、MFCテクノロジー社製)を重ね、次いでガスケット、バイポーラプレート、バッキングプレートを重ねることで燃料電池単セルを得た。
(4)発電試験
上記燃料電池単セルを評価装置(東陽テクニカ社製燃料電池評価システム890CL)にセットして、発電試験を実施した。
発電の試験条件は、高加湿条件が、セル温度65℃、アノード及びカソードの加湿ボトル60℃に設定し、低加湿条件が、セル温度90℃、アノード及びカソードの加湿ボトル61℃に設定し、アノード側に水素ガス、カソード側に空気ガスを、それぞれ900ml/minの条件で供給した。また、アノード側とカソード側の両方を無加圧(大気圧)とした。
上記高加湿条件において、電流密度0.2A/cm2において電圧値が0.830V以上であれば◎(優れる)、0.820V超0.830V未満であれば○(良好)、0.820V以下であれば×(劣る)、電流密度0.8A/cm2において電圧値が0.685V以上であれば◎(優れる)、0.675V超0.685V未満であれば○(良好)、0.675V以下であれば×(劣る)として表記した。
また、上記低加湿条件において、電流密度0.2A/cm2において電圧値が0.750V以上であれば◎(優れる)、0.720V超0.750V未満であれば○(良好)、0.720V以下であれば×(劣る)、電流密度0.8A/cm2において電圧値が0.0.550V以上であれば◎(優れる)、0.440V超0.550V未満であれば○(良好)、0.440V以下であれば×(劣る)として表記した。
[実施例1]
100mLの三つ口フラスコに水素化ナトリウム(0.27g)を加え、系内を窒素置換後、フラスコを氷浴に付けながら、6−アミノ−2,2,3,3,7−ペンタフルオロ−1,4−ベンゾジオキサン(2.29g)を溶解させた1,2−ジメトキシエタン(40mL)溶液を滴下した。次にフラスコの中に、ラジカル重合法で取得した、テトラフルオロエチレンとCF2=CFOCF2CF2SO2Fとの共重合体(5.0g)を投入し、80℃で2時間反応させた。反応後、4Mの塩酸(100mL)を添加した後、フラスコから反応生成物を取り出し、80℃の熱水で十分に洗浄した。該反応生成物を、水酸化カリウム(15質量%)とメタノール(50質量%)とを溶解した水溶液中に80℃で20時間接触させ、60℃水中に5時間浸漬後、60℃の2N塩酸水溶液に1時間浸漬させる処理を5回繰り返した後、イオン交換水で水洗し、乾燥させて、高分子電解質(A1)(4.2g)(下記式(5))を得た。
Figure 2019186155
得られた高分子電解質(A1)とエタノール水溶液(水:エタノール=50:50(質量比))とを5Lオートクレーブ中に入れて密閉し、攪拌しながら160℃まで昇温して3時間保持した。その後、オートクレーブを自然冷却して、固形分濃度10質量%の均一なポリマー溶液を作製した。
得られた固形分濃度10質量%のポリマー溶液を80℃で減圧濃縮して、固形分濃度15質量%のポリマー溶液(AS1)を得た。
上記AS1をキャスト製膜して、厚み200μmの膜(AM1)を作製した。AM1のEWは931であり、側鎖に導入された6−アミノ−2,2,3,3,7−ペンタフルオロ−1,4−ベンゾジオキサンの導入率は10mol%であった。
AM1の酸素溶解度と発電性能の結果を表1に示す。
実施例1は、低加湿及び高加湿の両方の条件における発電性能が著しく高いことが分かる。
[実施例2]
電極中の白金量をアノード側0.2mg/cm2、カソード側0.1mg/cm2とした以外は全て実施例1と同様にして発電試験を実施した。結果を表1に示す。
[比較例1]
市販のナフィオン溶液(Nafion DE2020CS、SIGMA−ALDRICH社製)を用いて、実施例1と同様にして、厚み200μmの膜を作製した。
得られたNafion DE2020CS膜のEWは954であった。
Nafion DE2020CS膜の酸素溶解度と発電性能の結果を表1に示す。
Nafion DE2020CSは、脂肪族環及び芳香族環を有さない為、酸素溶解度が低く、低加湿及び高加湿の両方の条件における発電性能が低いことが分かる。
[比較例2]
ラジカル重合法で得られた、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)とCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fとの共重合体(69.8mol%/30.2mol%)を用い、実施例1と同様の方法で、加水分解処理によりパーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)/CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO3Hからなる高分子電解質を取得し、厚み200μmの膜を作製した。
得られた高分子電解質膜のEWは1010であった。
該高分子電解質膜の酸素溶解度と発電性能の結果を表1に示す。
酸素溶解度は比較的高いが、高加湿条件の高電流密度領域での発電性能は低く、全ての条件で高い電圧を満足し得る結果は得られなかった。
Figure 2019186155

Claims (9)

  1. 側鎖に、脂肪族環、芳香族環、及びスルホン酸基を有することを特徴とする、高分子電解質。
  2. 前記脂肪族環がエーテル結合をその環構造中に含み、前記芳香族環が置換基を含む、請求項1に記載の高分子電解質。
  3. 前記側鎖に、前記脂肪族環と前記芳香族環とが直接結合した構造、又は前記脂肪族環と前記芳香族環との間に、置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、エーテル結合、及びチオエーテル結合からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上を有する構造を有する、請求項1又は2に記載の高分子電解質。
  4. 前記芳香族環の環構造を構成する原子のうち少なくとも3個の原子に、フッ素原子、酸素原子、スルホン酸基、エーテル結合を含む置換されていてもよい炭素数1以上のフッ素化炭化水素基、及びスルホンアミド基からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の構造が結合している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子電解質。
  5. 前記側鎖が、下記式(1)で表わされる構造と、下記式(2)で表わされる構造とを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子電解質。
    Figure 2019186155
    (式中、Xは、F、Cl、又は置換されていてもよい炭素数1〜3のフッ素化炭化水素基を表す。kは0〜2の整数、nは0〜8の整数を表す。n個のXは、同一でも異なっていてもよい。Yは、F又はClを表す。mは1〜6の整数を表す。m個のYは、同一でも異なっていてもよい。Zは、H、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属を表す。)
    Figure 2019186155
    (式中、Xは、F、Cl、又は置換されていてもよい炭素数1〜3のフッ素化炭化水素基を表す。kは0〜2の整数、nは0〜8の整数を表す。n個のXは、同一でも異なっていてもよい。Yは、F又はClを表す。mは1〜6の整数を表す。m個のYは、同一でも異なっていてもよい。Zは、NR12を表す。NR12は、前記脂肪族環及び前記芳香族環を含み、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基又はHを表わす。)
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子電解質と水とを含むことを特徴とする、高分子電解質溶液。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子電解質を含むことを特徴とする、電極触媒層。
  8. 請求項7に記載の電極触媒層を備えることを特徴とする、膜電極接合体。
  9. 請求項8に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする、燃料電池。
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