JP2019184810A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられ、結着樹脂と電荷発生材料と正孔輸送材料と電子輸送材料とを含有する単層型の感光層と、
を有し、
温度23℃、30%RHの環境下における前記感光層の表面の測定値として、マルテンス硬度をa[N/mm2]、ヤング率をb[MPa]、及び弾性変形率をc[%]としたとき、下記式(1)の関係を満たす電子写真感光体。
式(1):−4.1≦Y≦−3.1 Y=0.06×a−0.0018×b−0.19×c
<2>
前記マルテンス硬度aが、185N/mm2以上215N/mm2以下、前記ヤング率bが、3900MPa以上4800MPa以下、前記弾性変形率cが、34%以上43%以下である<1>に記載の電子写真感光体。
<3>
前記マルテンス硬度aが、200N/mm2以上205N/mm2以下、前記ヤング率bが、4000MPa以上4300MPa以下、前記弾性変形率cが、38%以上40%以下である<2>に記載の電子写真感光体。
<4>
前記感光層が、さらに、ターフェニル構造を有する化合物を含有する<1>〜<3>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<5>
前記ターフェニル構造を有する化合物が、m−ターフェニルである<4>に記載の電子写真感光体。
<1>〜<5>のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
<7>
<1>〜<5>のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
<8>
前記転写手段が、前記トナー像を前記記録媒体の表面に直接転写する直接転写方式の転写手段であり、
前記現像手段が、前記電子写真感光体と対向して設けられ、前記電子写真感光体の表面に現像剤を付着させ、転写後の前記電子写真感光体の表面に残留するトナーを、前記電子写真感光体から回収する現像剤保持体を有し、前記トナーを回収するときの前記現像剤保持体に印加する現像電位と帯電電位との差(帯電電位−現像電位)が280V以上380V以下である現像手段である<7>に記載の画像形成装置。
<9>
前記現像手段が、非磁性一成分現像方式の現像手段である<8>に記載の画像形成装置。
<10>
帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えない<8>又は<9>に記載の画像形成装置。
<4>、<5>に係る発明によれば、温度23℃、30%RHの環境下における前記感光層の表面を測定したときのマルテンス硬度、ヤング率、及び弾性変形率の測定値に基づく、式(1)で示される値として、Yが−4.1未満である場合、又はYが−3.1を超える場合に比べ、感光層に、ターフェニル構造を有する化合物を含んでいても、高温高湿環境下で繰り返し画像を形成したときの点欠点の発生が抑制される電子写真感光体が提供される。
<8>に係る発明によれば、温度23℃、30%RHの環境下における前記感光層の表面を測定したときのマルテンス硬度、ヤング率、及び弾性変形率の測定値に基づく、式(1)で示される値として、Yが−4.1未満である場合、又はYが−3.1を超える電子写真感光体を備える場合に比べ、転写手段が、トナー像を前記記録媒体の表面に直接転写する直接転写方式の転写手段であり、前記現像手段が、前記電子写真感光体と対向して設けられ、前記電子写真感光体の表面に現像剤を付着させ、転写後の前記電子写真感光体の表面に残留するトナーを、前記電子写真感光体から回収する現像剤保持体を有し、前記トナーを回収するときの前記現像剤保持体に印加する現像電位と帯電電位との差(帯電電位−現像電位)が280V以上380V以下である現像手段であっても、高温高湿環境下で繰り返し画像を形成したときの点欠点の発生が抑制される電子写真感光体を備える画像形成装置が提供される。
<9>に係る発明によれば、温度23℃、30%RHの環境下における前記感光層の表面を測定したときのマルテンス硬度、ヤング率、及び弾性変形率の測定値に基づく、式(1)で示される値として、Yが−4.1未満である場合、又はYが−3.1を超える電子写真感光体を備える場合に比べ、現像手段が、非磁性一成分現像方式の現像手段であっても、高温高湿環境下で繰り返し画像を形成したときの点欠点の発生が抑制される電子写真感光体を備える画像形成装置が提供される。
<10>に係る発明によれば、温度23℃、30%RHの環境下における前記感光層の表面を測定したときのマルテンス硬度、ヤング率、及び弾性変形率の測定値に基づく、式(1)で示される値として、Yが−4.1未満である場合、又はYが−3.1を超える電子写真感光体を備える場合に比べ、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えていなくても、高温高湿環境下で繰り返し画像を形成したときの点欠点の発生が抑制される電子写真感光体を備える画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体と、前記導電性基体上に設けられ、結着樹脂と電荷発生材料と正孔輸送材料と電子輸送材料とを含有する単層型の感光層と、を有する。そして、温度23℃、30%RHの環境下における前記感光層の表面の測定値として、マルテンス硬度をa[N/mm2]、ヤング率をb[MPa]、及び弾性変形率をc[%]としたとき、下記式(1)の関係を満たす。
式(1):−4.1≦Y≦−3.1 Y=0.06×a−0.0018×b−0.19×c
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体7の一部の断面を概略的に示している。図1に示す電子写真感光体7は、例えば、導電性基体3と、導電性基体3上に、下引層1と、単層型の感光層2が、この順で設けられている。
なお、下引層1は、必要に応じて設けられる層である。即ち、単層型の感光層2は、導電性基体3上に直接設けられていてもよく、下引層1を介して設けられてもよい。
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
本実施形態における単層型の感光層は、点欠点の発生を抑制する点で、温度23℃、30%RHの環境下における前記感光層の表面の測定値として、マルテンス硬度をa[N/mm2]、ヤング率をb[MPa]、及び弾性変形率をc[%]としたとき、下記式(1)の関係を満たす。
式(1):−4.1≦Y≦−3.1 Y=0.06×a−0.0018×b−0.19×c
まず、測定対象となる感光層を有する感光体を、温度23℃、30%RHの環境下において、フィッシャー・インストルメンツ社製の測定装置(PICODENTOR HM500)にセットする。そして、感光体表面(感光層)に対してビッカース圧子を用いて連続的に荷重を増加させ、0.5μm押し込んだときに測定される各物性(マルテンス硬度a、ヤング率b、及び弾性変形率c)について求める。測定箇所は、両端から40mmの位置、80mmの位置、及び中央部の5箇所とし、この5箇所における測定値の平均値をそれぞれの物性値とする。
マルテンス硬度aは、上記条件で圧子を押し込んだとき、試験荷重を圧子の表面積で除して求める。
ヤング率bは、上記条件で圧子を押し込んだとき、押込み深さ−荷重曲線を測定し、負荷を最大押込み深さ500nmで与え、続いて除荷をした場合の除荷曲線の傾きをヤング率として求める。
弾性変形率cは、上記条件で圧子を押し込んだとき、荷重頂点までの変位量と、荷重を開放したのちの変位戻り量を測定し、その比を感光層の弾性変形率として求める。
結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールTP等の単独重合型、又はこれらの共重合型等)、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上混合して用いてもよい。
まず、感光体から測定対象となる感光層を露出させる。そして、その感光層の一部を切り出し測定用試料を準備する。
次に、測定試料から結着樹脂を抽出する。抽出した結着樹脂1g分をメチレンクロライド100cm3に溶解し、25℃の測定環境下でウベローデ粘度計にて、その比粘度ηspを測定する。そして、ηsp/c=〔η〕+0.45〔η〕2cの関係式(ただしcは濃度(g/cm3)より極限粘度〔η〕(cm3/g)を求め、H.Schnellによって与えられている式、〔η〕=1.23×10−4Mv0.83の関係式より粘度平均分子量Mvを求める。
電荷発生材料としては、例えば、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
なお、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料を併用する場合には、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料とクロロガリウムフタロシアニン顔料との比率は、質量比で、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料:クロロガリウムフタロシアニン顔料=9:1乃至3:7(好ましくは9:1乃至6:4)であることがよい。
特に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、例えば、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がより優れた分散性が得られる観点から望ましい。
正孔輸送材料としては、特に制限はないが、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体;1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体;トリフェニルアミン、N,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物;N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体;4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体;2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体;6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体;p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体;エナミン誘導体;N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体;ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等;上記した化合物で構成される基を主鎖又は側鎖に有する重合体;などが挙げられる。これらの正孔輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正孔輸送材料の具体例としては、例えば、下記一般式(B−1)で示される化合物及び下記一般式(B−2)で示される化合物が挙げられる。
電子輸送材料としては、特に制限はないが、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、9−ジシアノメチレン−9−フルオレノン−4−カルボン酸オクチル等のフルオレノン系化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン系化合物;3,3’−ジ−tert−ペンチル−ジナフトキノン等のジナフトキノン系化合物;3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルジフェノキノン、3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジフェノキノン等のジフェノキノン系化合物;上記した化合物で構成される基を主鎖又は側鎖に有する重合体;などが挙げられる。これらの電子輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
RC11〜RC14が示すアルキル基は、置換アルキル基であってもよい。置換アルキル基の置換基としては、シクロアルキル基、フッ素置換アルキル基等が挙げられる。
正孔輸送材料と電子輸送材料との比率は、質量比(正孔輸送材料/電子輸送材料)で、50/50以上90/10以下が望ましく、より望ましくは60/40以上80/20以下である。
単層型の感光層には、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の周知のその他添加剤を含んでいてもよい。例えば、フッ素樹脂粒子、シリコーンオイル等を含んでいてもよい。
単層型の感光層は、上記成分を溶剤に加えた感光層形成用塗布液を用いて形成される。
溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は単独又は2種以上混合して用いる。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
また、画像形成装置100は、画像形成装置100の各装置及び各部材と接続され、各装置及び各部材の動作を制御する制御装置62も備えている。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
現像剤供給ローラ112は、現像剤収容室111に収容された現像剤Tと接触し、且つ、現像ローラ113に近接又は接触するように設けられており、現像剤収容室111中の現像剤Tを現像ローラ113の表面に供給する。
現像ローラ113は、現像剤供給ローラ112から供給された現像剤Tを保持し、現像剤Tを電子写真感光体7へと運び、電子写真感光体7の表面に形成された静電潜像を現像(顕像化)してトナー像を形成する。トナー層規制部材114は、現像ローラ113上のトナー層の厚さを規制する。そして、転写後の前記電子写真感光体の表面に残留するトナーは、現像ローラ113によって、電子写真感光体から回収される。そして、現像装置11Aでは、現像ローラ112に電圧を印加するための電源116によって現像ローラ112に電圧が印加され、図2に示す制御装置62において、トナーを回収するときの現像ローラ112に印加する現像電位と帯電電位との差(帯電電位−現像電位)が280V以上380V以下となるように制御されている。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
制御装置62は、画像形成装置全体の制御及び各種演算を行うコンピュータとして構成されている。具体的には、制御装置62は、例えば、CPU(中央処理装置; Central Processing Unit)、各種プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)、プログラムの実行時にワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)、各種情報を記憶する不揮発性メモリ、及び入出力インターフェース(I/O)を備えている。CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ、及びI/Oの各々は、バスを介して接続されている。そして、I/Oには、電子写真感光体7、帯電装置8、露光装置9、現像装置11、転写装置40、クリーニング装置13等の画像形成装置100の各部が接続されている。
転写手段が直接転写方式である場合は、感光体上に形成されたトナー像は、電子写真感光体と転写装置とが、用紙搬送ベルトを介して接する箇所にて、用紙搬送ベルト上を搬送される記録用紙へ転写される。記録媒体搬送ベルトとしては、例えば、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のものが使用される。
図3に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
なお、画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300に代えて、プロセスカートリッジ330を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置としてもよい。
−感光体(1)の作製−
まず、電荷発生材料として、表1に示すクロロガリウムフタロシアニン顔料(CG−1)を1質量部と、表1に示す電子輸送材料(ET−A)を8質量部と、表1に示す正孔輸送材料(HT−A)を32質量部と、結着樹脂として、表1に示すビスフェノールZポリカーボネート樹脂(PCZ200)を結着樹脂59質量部と、溶剤としてテトラヒドロフランを250質量部とを混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散処理を行い、感光層形成用塗布液を得た。
表1にしたがって、結着樹脂の種類と量、電荷発生材料の種類と量、電子輸送材料の種類と量、及び正孔輸送材料の種類と量を変更した以外は、実施例1と同様にして、各例の電子写真感光体を作製した。なお、表1及び表2中の量は質量部である。
表2にしたがって、結着樹脂の種類と量、電荷発生材料の種類と量、電子輸送材料の種類と量、及び正孔輸送材料の種類と量を変更し、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を得た。そして、得られた感光層形成用塗布液を、浸漬塗布法にて、直径30mm、長さ244.5mm、肉厚1mmのアルミニウム基体上に塗布し、115℃、20分の乾燥硬化を行い、厚さ30μmの単層型の感光層を形成した。
電荷発生材料として、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(CG−2)を1質量部と、表2に示す電子輸送材料(ET−F)を13質量部と、表2に示す正孔輸送材料(HT−F)を36質量部と、結着樹脂として、表2に示すビフェニル骨格とビスフェノールZ骨格とを有するビフェニル共重合型のポリカーボネート樹脂(BPZ)結着樹脂50質量部と、溶剤としてテトラヒドロフラン250質量部とを混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散処理を行い、感光層形成用塗布液を得た。
電荷発生材料として、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(CG−2)を2質量部と、表2に示す電子輸送材料(ET−F)を13質量部と、表2に示す正孔輸送材料(HT−F)を34質量部と、結着樹脂として、表2に示すビフェニル骨格とビスフェノールZ骨格とを有するビフェニル共重合型のポリカーボネート樹脂(BPZ800;分子量80000)結着樹脂40質量部と、添加剤として、m−ターフェニルを11質量部と、溶剤としてテトラヒドロフラン250質量部とを混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散処理を行い、感光層形成用塗布液を得た。
(マルテンス硬度a、ヤング率b、弾性変形率c、式(1)のY値の評価)
各例で得られた感光体の感光層について、既述の方法によりマルテンス硬度a、ヤング率b、弾性変形率cを求めた。そして、式(1)に代入し、Y値を求めた。
重回帰分析を行った結果から、下記式(2)を求めた。そして、各例の感光層表面を測定して得られたマルテンス硬度a、ヤング率b、及び弾性変形率cの結果を式(2)に代入し、Zの値を求めた。Zは、感光層の摩耗量を表す。Zの値が1μm以上2μm以下の範囲であれば、点欠点の発生が抑制される。
式(2) Z=0.06×a−0.0018×b−0.19×c+5.37
点欠点の評価は、温度33℃、湿度80%の環境下において、画像形成装置として、Brother社製HL−2360DNを使用し、現像ローラを取り除いた状態(現像器レス)で1kpv(k Print Volume;使用した用紙の枚数を千枚単位で表す。)耐久印字させて、感光体表面に紙粉を付着させた。その後、現像装置と、実施例及び比較例で得られた電子写真感光体を、感光ユニットに取り付け、3kpv耐久印字(印字率4%)させた。その後、3kpv耐久印字後に白ベタに画像を形成し、感光体ピッチで発生している点欠陥(黒点)の個数をカウントした。なお、現像装置は、帯電電位と、残留するトナーを回収するときの現像ローラに印加する現像電位との電位差(帯電電位−現像電位;表1及び表2中、Vclnと表記)を280V、又は380Vとした。
また、3kpv耐久印字後に、黒ベタ画像を印刷し、感光体ピッチで発生している点欠陥(白点)の個数をカウントした。
−評価基準−
5:大変良い(点欠陥がほとんどなく問題なし)
4:良い(点欠陥が少しあるが問題ない範囲)
3:普通(点欠陥があるが、問題になる可能性がある範囲)
2:悪い(点欠陥があり問題になる範囲)
1:大変悪い(点欠陥が多くあり問題になる範囲)
−結着樹脂−
PCZ200:ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(ビスフェノールZの単独重合型ポリカーボネート樹脂;Mv20000)
PCZ300:ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(ビスフェノールZの単独重合型ポリカーボネート樹脂;Mv30000)
PCZ400:ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(ビスフェノールZの単独重合型ポリカーボネート樹脂;Mv40000)
BP/PCE/PCZ:ビフェニル骨格と、ビスフェノールEポリカーボネート骨格と、ビスフェノールZポリカーボネート骨格とを有する3元共重合型のポリカーボネート樹脂
BPZ:ビフェニル骨格とビスフェノールZ骨格とを有するビフェニル共重合型のポリカーボネート樹脂(ビフェニル骨格/ビスフェノールZ骨格比率(質量比)=25/75、Mv45000)
PCZ800:ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(ビスフェノールZの単独重合型ポリカーボネート樹脂;Mv80000)
・CG−1:クロロガリウムフタロシアニン顔料。CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.4°、16.6°、25.5°、28.3°の位置に回折ピークを有する(600nmから900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長780nm、平均粒径0.15μm、最大粒径0.2μm、BET比表面積56m2/g)。
・CG−2:ヒドロキシガリウムフタロシアニン(V型)顔料。CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3°、16.0°、24.9°、28.0°の位置に回折ピークを有する(600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長=820nm、平均粒径=0.12μm、最大粒径=0.2μm、比表面積値=60m2/g)
・CG−3:Y型のチタニルフタロシアニン顔料。CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも9.6°、27.3°の位置に回折ピークを有する。
・ET−A: 下記構造の電子輸送材料ET−A
・ET−B: 下記構造の電子輸送材料ET−B
・ET−C: 下記構造の電子輸送材料ET−C
・ET−D: 下記構造の電子輸送材料ET−D
・ET−E: 下記構造の電子輸送材料ET−E
・ET−F: 下記構造の電子輸送材料ET−F
・HT−A: 下記構造の正孔輸送材料HT−A
・HT−B: 下記構造の正孔輸送材料HT−B
・HT−C: 下記構造の正孔輸送材料HT−C
・HT−D: 下記構造の正孔輸送材料HT−D
・HT−E: 下記構造の正孔輸送材料HT−E
・HT−F: 下記構造の正孔輸送材料HT−F
・D−1:既述の構造式(D−1)で示されるm−ターフェニル
Claims (10)
- 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられ、結着樹脂と電荷発生材料と正孔輸送材料と電子輸送材料とを含有する単層型の感光層と、
を有し、
温度23℃、30%RHの環境下における前記感光層の表面の測定値として、マルテンス硬度をa[N/mm2]、ヤング率をb[MPa]、及び弾性変形率をc[%]としたとき、下記式(1)の関係を満たす電子写真感光体。
式(1):−4.1≦Y≦−3.1 Y=0.06×a−0.0018×b−0.19×c - 前記マルテンス硬度aが、185N/mm2以上215N/mm2以下、前記ヤング率bが、3900MPa以上4800MPa以下、前記弾性変形率cが、34%以上43%以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
- マルテンス硬度aが、200N/mm2以上205N/mm2以下、前記ヤング率bが、4000MPa以上4300MPa以下、前記弾性変形率cが、38%以上40%以下である請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記感光層が、さらに、ターフェニル構造を有する化合物を含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記ターフェニル構造を有する化合物が、m−ターフェニルである請求項4に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。 - 前記転写手段が、前記トナー像を前記記録媒体の表面に直接転写する直接転写方式の転写手段であり、
前記現像手段が、前記電子写真感光体と対向して設けられ、前記電子写真感光体の表面に現像剤を付着させ、転写後の前記電子写真感光体の表面に残留するトナーを、前記電子写真感光体から回収する現像剤保持体を有し、前記トナーを回収するときの前記現像剤保持体に印加する現像電位と帯電電位との差(帯電電位−現像電位)が280V以上380V以下である現像手段である請求項7に記載の画像形成装置。 - 前記現像手段が、非磁性一成分現像方式の現像手段である請求項8に記載の画像形成装置。
- 帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えない請求項8又は請求項9に記載の画像形成装置。
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