JP2019184181A - ロータリーキルン - Google Patents

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真司 神谷
修 中谷
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修 中谷
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【課題】機械的強度が強く、且つ耐熱性及び耐腐食性を高めた円筒状のロータリーキルン本体を安価な構成で製造することができる、腐食性気体が発生する粉体を回転動作に伴って移送するロータリーキルン本体を備えたロータリーキルンを提供する。【解決手段】ロータリーキルン1は、腐食性気体が発生する粉体Sを回転動作に伴って移送するロータリーキルン本体2を備える。ロータリーキルン本体2は、耐熱性金属からなる円筒状の外筒21と、外筒21に挿入される、外筒21よりも短いNi−Cr−Mo−Nb合金製の円筒状の内筒22と、内筒22の端部の内周側を支持した状態で外筒21の内周面に固定される内筒支持部材23とを備える。内筒支持部材23は、内筒22の端面22aとの間に所定の隙間δを設けた状態で固定されるとともに、外筒21の内周面に固定された状態における露出面にNi−Cr−Mo−Nb合金の合金層23cを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、腐食性気体が発生する粉体を回転動作に伴って移送するロータリーキルン本体を備えたロータリーキルンに関する。
一般的なロータリーキルンは、回転する円筒状のロータリーキルン本体に被処理物を供給し、不活性ガスや空気などの導入ガスを所望の雰囲気となるように供給しながら、ロータリーキルン本体の外部から加熱して、乾燥、焼成などを行う。そして、被処理物から発生したガスを、供給したガスともにロータリーキルン本体の外部へ排気する。
このロータリーキルンとして、従来、例えば、特許文献1乃至5に示すものが知られている。
特許文献1に示す外熱式ロータリーキルンは、円筒状の耐熱金属製キルン本体の内周面に、所定の形状に分割した多数の高純度セラミックス製ライナーを相互に隣接させ隙間なく装着したものである。
また、特許文献2に示すセラミック仮焼炉は、回転動作に伴ってセラミック原料を移送する円筒状の炉心管を備え、この炉心管が、高純度かつ高密度のセラミック素材からなる内筒を耐熱性金属からなる外筒に挿入した構造を有するものである。
また、特許文献3に示すロータリーキルンは、耐熱鋼製の外筒と、外筒に嵌め込まれた、セラミックス製又は黒鉛製の複数個の短尺円筒体を連結して構成した内筒とを備えた回転円筒を有するものである。
更に、特許文献4に示すロータリーキルンは、円筒炉心管を有するロータリーキルンであって、円筒炉心管を支持し且つ外部からの回転駆動を炉心管に伝達する支持部を分割可能な構造としたものである。
また、特許文献5に示す熱処理装置は、炉心管を、その少なくとも一部又は全体をセラミックやカーボンなどの耐熱性非金属を含む材料で形成するか、あるいは、炉心管の全体をインコネル(登録商標)などのニッケル基合金、コバルト基合金、クロム合金などの耐熱性金属を含む材料で形成したものである。
特開2000−274948号公報 特開平6−3054号公報 特開2016−38140号公報 特開平11−72290号公報 特開2017−211125号公報
ところで、このようなロータリーキルンにおいて、乾燥、焼成などを行う被処理物が、腐食性気体(例えば、塩素)が発生する粉体である場合がある。
この場合、特許文献1〜3に示すロータリーキルンにおいては、円筒状のロータリーキルン本体(特許文献1の場合は耐熱金属製キルン本体、特許文献2の場合は炉心管、特許文献3の場合は回転円筒)の内筒をセラミック素材としてある。このため、ロータリーキルン本体の内部で当該粉体の乾燥、焼成を行う際に、当該粉体から発生した腐食性気体がセラミッス素材の内筒に遮断されてステンレスなどの耐熱性金属からなる外筒に腐食性気体が直接触れることを阻止できる。これにより、耐熱性金属の粒界腐食および応力腐食割れを防止することができる。
しかしながら、セラミックスは、脆性材料であるため、外部からの機械的応力あるいは熱応力を受けた際に耐え得る応力が低く、破壊されやすい。このため、内筒が破壊されることによってステンレスなどの耐熱性金属からなる外筒に腐食性気体が直接触れてしまい、結果として耐熱性金属の粒界腐食および応力腐食割れの要因となってしまうことがある。
また、特許文献4に示すロータリーキルンの場合には、円筒炉心管を支持し且つ外部からの回転駆動を炉心管に伝達する支持部を分割可能な構造とする。これにより、円筒炉心管の材質がセラミックやガラスなどの非常に破損し易い材質であっても、安全に円筒炉心管の取付けや取り外しを行うことができる。
しかしながら、特許文献4に示すロータリーキルンの場合、円筒炉心管の材質自体を脆性材料から延性材料にその機械的性質を変えるものではない。このため、円筒炉心管が外部からの機械的応力あるいは熱応力を受けた際に耐え得る応力が低く、破壊されやすい性質は変わらない。
一方、特許文献5に示す熱処理装置において、炉心管の全体をインコネル(登録商標)などのニッケル基合金などの耐熱性金属を含む材料で形成した場合には、金属材料であるから、機械的特性が良好であるとともに、腐食性気体に対しても優れた耐性を備えている。
しかしながら、インコネル(登録商標)などのニッケル基合金、コバルト基合金、クロム合金などの耐熱性金属を含む材料は、非常に高価であり、炉心管の全体を当該材料で構成すると、炉心管を含むロータリーキルンを安価に製造することができない。
従って、本発明はこれら従来の問題点を解消するためになされたものであり、機械的強度が強く、且つ耐熱性及び耐腐食性を高めた円筒状のロータリーキルン本体を安価な構成で製造することができる、腐食性気体が発生する粉体を回転動作に伴って移送するロータリーキルン本体を備えたロータリーキルンを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るロータリーキルンは、腐食性気体が発生する粉体を回転動作に伴って移送する円筒状のロータリーキルン本体を備えたロータリーキルンであって、前記ロータリーキルン本体は、耐熱性金属からなる円筒状の外筒と、該外筒に挿入される、前記外筒よりも短いNi−Cr−Mo−Nb合金製の円筒状の内筒と、該内筒の端部の内周側を支持した状態で前記外筒の内周面に固定される内筒支持部材とを備え、前記内筒支持部材は、前記内筒の端面との間に所定の隙間を設けた状態で前記外筒の内周面に固定されるとともに、前記外筒の内周面に固定された状態における露出面にNi−Cr−Mo−Nb合金の合金層を備えていることを要旨とする。
本発明に係るロータリーキルンによれば、機械的強度が強く、且つ耐熱性及び耐腐食性を高めた円筒状のロータリーキルン本体を安価な構成で製造することができる、腐食性気体が発生する粉体を回転動作に伴って移送するロータリーキルン本体を備えたロータリーキルンを提供できる。
本発明の一実施形態に係るロータリーキルンの概略構成図である。 図1における矢印A方向から見た矢視図である。 図1における矢印Bで示す部分の拡大図である。
以下、本発明の実施形態に係るロータリーキルンについて図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
本発明の一実施形態に係るロータリーキルンは、図1に示されており、このロータリーキルン1は、腐食性気体が発生する粉体Sを収納した状態で回転駆動し、この回転駆動に伴って当該粉体Sを移送する円筒状のロータリーキルン本体2を備えている。ロータリーキルン本体2の外周には複数(本実施形態にあっては2個)のタイヤ24が固定されている。各タイヤ24は、回転可能な例えばローラ等で構成される回転体25上に載置され、回転体25が回転することにより、各タイヤ24が回転し、ロータリーキルン本体2が回転するようになっている。ここで、腐食性気体が発生する粉体Sとは、例えば、廃酸(鉄分を含んだ塩酸)を噴霧焙焼して得た酸化鉄を水洗した酸化鉄スラリーであり、腐食性気体は、当該粉体Sから発生する塩素を意味する。
このロータリーキルン本体2は、軸方向である前後方向(図1における左右方向)に延びる円筒状に形成され、前端及び後端のそれぞれが開口している。そして、ロータリーキルン本体2の前端(図1における右端)には、ロータリーキルン本体2との間に空間を形成してロータリーキルン本体2の前端を塞ぐ前側閉塞部材3が設けられている。また、ロータリーキルン本体2の後端(図1における左端)には、ロータリーキルン本体2との間に空間を形成してロータリーキルン本体2の後端を塞ぐ後側閉塞部材6が設けられている。ロータリーキルン本体2は、前側閉塞部材3及び後側閉塞部材6のそれぞれに軸受を介して回転可能に支持されている。
そして、前側閉塞部材3には、ロータリーキルン本体2内に熱風を供給して、移送される粉体Sを乾燥、焼成させる燃焼炉4が設置されている。ロータリーキルン本体2内の温度は、当該熱風により約800℃程度に加熱される。燃焼炉4には、燃焼ガス及び燃焼空気が供給される。また、前側閉塞部材3には、ロータリーキルン本体2内に腐食性気体が発生する粉体Sを供給する粉体供給部材5が設置されている。
一方、後側閉塞部材6の下側には、ロータリーキルン本体2内で移送され、乾燥、焼成された粉体S、具体的には酸化鉄スラリーが乾燥、焼成した酸化鉄が排出される粉体排出用開口部7が形成されている。また、後側閉塞部材6の上側には、ロータリーキルン本体2内で発生した気体を排出するための気体排出用開口部8が形成されている。
また、ロータリーキルン本体2内には、ロータリーキルン本体2と同軸に前後方向に延びる、外周に複数の撹拌羽根11を取り付けた撹拌羽根軸10が回転可能に設けられている。撹拌羽根軸10は、前方部が前側閉塞部材3を貫通して前方に伸び、後方部が後側閉塞部材6を貫通して後方に伸び、前方部及び後方部のそれぞれが軸受12によって回転可能に支持されている。撹拌羽根軸10の前方部は、回転駆動モータ13の回転軸14に減速機を介して連結されている。撹拌羽根軸10は、ロータリーキルン本体2とともに回転し、ロータリーキルン本体2内を移送される粉体Sを撹拌羽根11によって撹拌する。
次に、ロータリーキルン本体2の構成について、図1乃至図3を参照して詳細に説明する。
ロータリーキルン本体2は、前後方向に延びる円筒状の外筒21と、外筒21内に挿入される、前後方向に延びる円筒状の内筒22とを備えている。
外筒21は、例えばオーステナイト系ステンレス鋼材(SUS310S)などの耐熱性金属で構成された円筒体で形成され、その板厚は約9mm程度である。
また、内筒22は、その外周面が外筒21の内周面に嵌め込む程度の外径を有し、前後方向の長さが外筒21よりも短いNi−Cr−Mo−Nb合金製の円筒体の円筒体で構成される。Ni−Cr−Mo−Nb合金としては、例えば、インコネル625(インコネルは登録商標)を用いる。内筒22の厚さは、約4mm程度である。
また、ロータリーキルン本体2は、内筒22の端部の内周側を支持した状態で外筒21の内周面に溶接固定される内筒支持部材23を備えている。内筒22の端部の内周側を支持した状態で内筒支持部材23を外筒21の内周面に溶接固定することにより、内筒22は、外筒21の内周面に固定される。内筒支持部材23は、図1に示すように、内筒22の軸方向(前後方向)の両端において、図2に示すように、それぞれ4個ずつ備えられ、内筒22の周方向に等間隔で配置される。内筒支持部材23の外筒21の内周面への固定は、溶接以外にもボルトや接着剤を用いて固定してもよいが、強度、耐久性の点から溶接が好ましい。
各内筒支持部材23は、図3に示すように、内筒22の端部の内周面を支持する支持板部23aと、支持板部23aの端面に固定され、支持板部23aと直交する方向に延びて外筒21の内周面に溶接固定される固定板部23bとを備えている。各内筒支持部材23は、例えばステンレス鋼などの構成部材であり、一体に形成される。
支持板部23aは、その外周面が内筒22の内周面と同一の曲率半径を有する円形面に形成されて、内筒22に端部の内周面を内側から支持するようになっている。また、固定板部23bは、その外周面が外筒21の内周面と同一の曲率半径を有する円形面に形成される。
また、固定板部23bは、軸方向内側面(図3においては左右方向左側面)23dと内筒22の端面22aとの間に所定の隙間δを設けた状態で外筒21の内周面に溶接固定される。溶接部wは、固定板部23bの軸方向外側面(図3においては左右方向右側面)と外筒21の内周面との間に形成される。
また、各内筒支持部材23は、外筒21の内周面に固定された状態における露出面に、図3に示すように、Ni−Cr−Mo−Nb合金を溶射した合金層23cを備えている。Ni−Cr−Mo−Nb合金としては、例えば、インコネル625(インコネルは登録商標)を用いる。Ni−Cr−Mo−Nb合金層の形成は、溶射以外にもメッキ、クラッド等の方法があるが、簡便性等の点から溶射が好ましい。
外筒21の内周面は、外筒21の内周面に嵌め込んだNi−Cr−Mo−Nb合金製の内筒22と、露出面に合金層(Ni−Cr−Mo−Nb合金層)23cを形成した内筒支持部材23とにより覆われる。
Ni−Cr−Mo−Nb合金は、様々な腐食性媒体に対して優れた耐性を有する。このため、ロータリーキルン本体2の内部で腐食性気体が発生する粉体Sの乾燥、焼成を行う際に、当該粉体Sから発生した腐食性気体が外筒21の内周面を覆うNi−Cr−Mo−Nb合金により遮断される。これにより、耐熱性金属からなる外筒21に腐食性気体が直接触れることを阻止でき、耐熱性金属の粒界腐食および応力腐食割れを防止することができる。また、内筒支持部材23の露出面にNi−Cr−Mo−Nb合金を溶射した合金層23cを形成したから、内筒支持部材23自体を構成する鋼製部材も当該合金層23cによって腐食環境から保護される。
また、Ni−Cr−Mo−Nb合金は、650〜900℃の温度に耐熱性を有することから、ロータリーキルン本体2内が高温(約800℃程度)に加熱されていても、その特性が劣化することはない。
更に、Ni−Cr−Mo−Nb合金は、機械的特性も良好であり、セラミックスのように脆性材料ではないため、外部から機械的応力あるいは熱応力を受けた際に耐え得る応力が高く、破壊され難い。このため、内筒22が破壊されることによって外筒21に腐食性気体が直接触れてしまうおそれは少ない。
また、Ni−Cr−Mo−Nb合金は非常に高価であるが、ロータリーキルン本体2の内筒22及び内筒支持部材23の露出面のみに使用し、ロータリーキルン本体2全体には用いていないので、ロータリーキルン本体2を安価に製造することができる。
従って、本実施形態に係るロータリーキルン1によれば、機械的強度が強く、且つ耐熱性及び耐腐食性を高めた円筒状のロータリーキルン本体2を安価な構成で製造することができる、腐食性気体が発生する粉体Sを回転動作に伴って移送するロータリーキルン本体2を備えたロータリーキルン1を提供できる。
なお、内筒支持部材23は、内筒22の端面22aとの間に所定の隙間δを設けた状態で外筒21の内周面に溶接固定される。これにより、外筒21と内筒22との材質の相違による熱膨張率の差に基づく熱伸びの差を吸収することができ、その熱伸びの差を要因とする外筒21及び内筒22の応力割れを防止することができる。内筒支持部材23と内筒22の端面22aとの間の隙間δの大きさは、外筒21及び内筒22の軸方向長さ(前後方向の長さ)、外径及び内径の大きさによって適宜決定される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、内筒支持部材23は、内筒22の軸方向(前後方向)の両端において、それぞれ4個ずつ備えられているが、これに限定されない。内筒支持部材23は、内筒22の軸方向の両端において4個未満であってもよいし、4個以上であってもよい。また、内筒支持部材23を、内筒22の軸方向の両端においてそれぞれ1つで構成する場合、内筒22の内周面の全周を1つの内筒支持部材23で支持してもよいし、内筒22の内周面の全周に対して所定の範囲だけ1つの内筒支持部材23で支持してもよい。また、内筒支持部材23を、内筒22の軸方向の両端においてそれぞれ複数で構成する場合、内筒22の内周面の周方向に対して等間隔で配置してもよいし、不均等な間隔で配置してもよい。
また、腐食性気体が発生する粉体としては、腐食性気体(例えば、硝酸など)が発生する粉体であれば、廃酸(鉄分を含んだ塩酸)を噴霧焙焼して得た酸化鉄を水洗した酸化鉄スラリーに限らない。
1 ロータリーキルン
2 ロータリーキルン本体
3 前側閉塞部材
4 燃焼炉
5 粉体供給部材
6 後側閉塞部材
7 粉体排出用開口部
8 気体排出用開口部
10 撹拌羽根軸
11 撹拌羽根
12 軸受
13 回転駆動モータ
14 回転軸
21 外筒
22 内筒
23 内筒支持部材
23a 支持板部
23b 固定板部
23c 合金層
23d 軸方向内側面
24 タイヤ
25 回転体
S 粉体
w 溶接部

Claims (1)

  1. 腐食性気体が発生する粉体を回転動作に伴って移送する円筒状のロータリーキルン本体を備えたロータリーキルンであって、
    前記ロータリーキルン本体は、耐熱性金属からなる円筒状の外筒と、該外筒に挿入される、前記外筒よりも短いNi−Cr−Mo−Nb合金製の円筒状の内筒と、該内筒の端部の内周側を支持した状態で前記外筒の内周面に固定される内筒支持部材とを備え、
    前記内筒支持部材は、前記内筒の端面との間に所定の隙間を設けた状態で前記外筒の内周面に固定されるとともに、前記外筒の内周面に固定された状態における露出面にNi−Cr−Mo−Nb合金の合金層を備えていることを特徴とするロータリーキルン。
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