JP2019184045A - テンショナ - Google Patents

Abstract

【課題】構造が簡単で、組み立てが容易であり、かつ、軽量化を図ることができ、圧油室内のオイル圧を適正に維持することが可能なテンショナを提供すること。【解決手段】ハウジング１３０におけるプランジャ収容穴１３１と共に圧油室１１１を形成するプランジャ穴１２２を有するプランジャ１２０内に配置されるオリフィス部材１５０が、変形してプランジャ穴１２２の内周面に嵌合する変形嵌合部１５５と、プランジャ１２０の天面と当接する面と圧油室１１１側の面とを連通する連通部１６０と、プランジャ１２０の天面と当接する面において連通部１６０及びプランジャ１２０に設けられた外部リリーフ孔１２３と連通してオリフィスを構成するように形成されたオリフィス溝１５３とを有する構成とされる。【選択図】図２

Description

本発明は、走行するチェーンやベルト等に適正張力を付与するテンショナに関する。

従来から、チェーン等の張力を適正に保持するためにテンショナを用いることが慣用されている。例えば、エンジンルーム内のクランク軸とカム軸の夫々に設けたスプロケット間に無端懸回したローラチェーン等の伝動チェーンをテンショナレバーによって摺動案内を行なうチェーンガイド機構において、チェーン等の張力を適正に保持するために、テンショナによってテンショナレバーを付勢するものが公知である。
このようなチェーンガイド機構に用いられるテンショナとして、後方側に開口したプランジャ穴を有するプランジャと、前記プランジャを摺動可能に収容する前方側に開口したプランジャ収容穴を有するハウジングと、前記プランジャを前方側に向けて付勢するメイン付勢手段と、前記プランジャ収容穴と前記プランジャ穴の間に形成される圧油室を有するものは周知であり、プランジャとプランジャ収容穴との摺動部からのオイルのリークにより、圧油室の圧力変動を緩和しつつプランジャの往復動にダンピング効果を付与している。
また、圧油室の急激な圧力上昇を緩和するために別途の独立したオイルリーク経路を設けたものも公知である。

独立したオイルリーク経路を設けた公知のテンショナとして、図１０に示すように、後方側に開口したプランジャ穴７２２を有するプランジャ７２０と、プランジャ７２０を収容する前方側に開口したプランジャ収容穴７３１を有するハウジング７３０と、圧油室７１１内のオイル圧が高まった時に圧油室７１１のオイルをプランジャ７２０外にリリーフするリリーフ機構７８０と、プランジャ７２０およびプランジャ収容穴７３１の間に形成される圧油室７１１に伸縮自在に収納されてプランジャ７２０を前方側に向けて付勢するメイン付勢手段７７０とを備えたテンショナ７１０が知られている（例えば特許文献１を参照）。

この特許文献１に記載のテンショナ７１０では、プランジャ７２０の底部に、圧油室７１１に連通する圧力通路７２４と、圧力通路７２４とプランジャ７２０の外部とを連通する流出口７２３と、圧力通路７２４の前方側に形成されたばね収容室７２５とが形成され、また、リリーフ機構７８０が、圧力通路７２４に摺動自在に嵌挿される弁体７８１と、ばね収容室７２５内に配置されて弁体７８１を圧油室７１１側に向けて付勢するリリーフスプリング７８２とから構成されている。
そして、このテンショナ７１０では、圧油室７１１内のオイル圧が高まった際に、リリーフスプリング７８２の付勢力に抗して弁体７８１が前方側に向けて移動し、圧力通路７２４が流出口７２３と連通して、流出口７２３からオイルがリリーフされる。
このようなテンショナ７１０では、プランジャ７２０の構造が複雑となり、加工精度が要求され、組み立ても複雑となるという問題があった。
そこで、プランジャ内にオリフィスを構成する部材を挿入し、プランジャには外部空間と連通する外部リリーフ孔を設けることで、プランジャの構造を簡素化し、組み立てを容易としたものが公知である（例えば特許文献２等参照。）。

特開２００１−１２５６９号公報 特開２００３−１９４１６４号公報

ところが、特許文献２に記載のテンショナでは、オリフィスを構成する部材（ベントディスク３２）がプランジャを付勢するスプリングの先端とプランジャの内部空間の底面とにより挟持されており、オリフィス構成部材の外周面とプランジャの内部空間の内周面との間の隙間を通って、オイルまたは空気が排出される構成とされている。このため、プランジャ穴の内周面とオリフィス構成部材の外周面との間隙が、周方向において偏りを生じることがあり、混入空気が溜まる重力方向の上方側に間隙が狭くなった部分が位置された場合には、混入空気が抜け難いという問題がある。

また、当該間隙の影響によるオリフィスの長さのバラツキによってオイルの流出量にバラツキが生じやすくなると共に、オリフィス構成部材とプランジャの内部空間の底面との間に間隙が形成されやすくなり（オリフィス構成部材が浮きやすくなり）、圧油室内のオイル圧を適正に維持することが困難となる、という問題がある。さらには、メンテナンス時においてプランジャが抜け落ちた場合に、プランジャの内部に配置される構成部品の保証が出来なくなる、という問題がある。
また、テンショナを構成するハウジングやプランジャは、一般に、金属製であるため、質量が大きく、テンショナが搭載される自動車の低燃費化の需要のある昨今には芳しくないことから、テンショナの軽量化が求められている。

そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、構造が簡単で、組み立てが容易であり、かつ、軽量化を図ることができ、圧油室内のオイル圧を適正に維持することが可能なテンショナを提供することを目的とするものである。

本発明は、後方側に開口したプランジャ穴を有するプランジャと、前記プランジャを収容する前方側に開口したプランジャ収容穴を有するハウジングと、前記プランジャを前方側に向けて付勢するメイン付勢手段と、前記プランジャ収容穴と前記プランジャ穴の間に形成される圧油室内と外部空間とを連通するオリフィス部材とを備えたテンショナであって、前記プランジャは、前記プランジャ穴の前方側の天面に開口し、外部空間と連通する外部リリーフ孔を備え、前記オリフィス部材は、変形して前記プランジャ穴の内周面に嵌合する変形嵌合部と、前記天面と当接する面に設けられたオリフィス溝と、前記天面と当接する面と前記圧油室側の面とを連通する連通部とを有し、前記オリフィス溝が、前記連通部及び前記外部リリーフ孔と連通してオリフィスを構成するように形成されていることにより、前記課題を解決するものである。

本請求項１に係る発明によれば、オリフィス部材が、変形してプランジャ穴の内周面に嵌合する変形嵌合部を有することにより、オリフィス部材を軽い力でプランジャに嵌合させて固定することができるため、組み立てが容易となり、テンショナの組立時の自由度および設計の自由度を高くすることができると共にメンテナンス時の組付け不具合が生じることを防止することが可能となる。
また、オリフィス部材におけるオリフィス溝が形成された面とプランジャの前方側の天面との間に隙間が生ずることを確実に防止することができると共に、オリフィス部材のプランジャに対する中心位置を決めることができてオリフィスの長さのバラツキによる油流出量のバラツキが生ずることを回避することができる。
従って、圧油室内のオイル圧が高まった時に、オリフィス部材に形成された連通部、オリフィス部材に形成されたオリフィス溝とプランジャの天面とによって構成されたオリフィス、および、プランジャに設けられた外部リリーフ穴を通じて、圧油室内のオイルをプランジャの外部に排出することができ、オリフィス部材をプランジャ内に配置するという簡単な構造でありながら、圧油室内のオイル圧を適切に維持することができる。このため、過大な押圧力によるチェーンの張り過ぎを防止することができる。

本請求項２に係る構成によれば、オリフィス部材が樹脂材料よりなることにより、テンショナの軽量化を実現することができると共に組み立てがさらに容易となり、また、成形も容易となるため、このテンショナを搭載した自動車の燃費向上及びコストダウンに貢献することができる。

本請求項３に係る構成によれば、連通部がオリフィス部材の外周面に設けられた切り欠き溝部により構成されていることにより、テンショナの取り付け姿勢との関係において、油圧室内の混入空気が抜け易くなるよう連通部の位置決めを容易に行うことができる。このため、オイル供給開始後にすばやく空気が排出されてエンジン始動時においてテンショナを迅速に機能させることができ、チェーンのバタツキ異音を抑制することができる。

本請求項４に係る構成によれば、オリフィス部材が、メイン付勢手段であるコイルバネのバネ受け部を兼ねることにより、オリフィス部材のプランジャの天面に対する面圧を稼ぐことができ、オリフィス部材におけるオリフィス溝が形成された面とプランジャの天面との間に隙間が生ずることを一層確実に防止することができる。

本請求項５に係る構成によれば、オリフィス部材が、メイン付勢手段であるコイルバネの内部に挿通されてコイル軸に沿って延びる延長部を有することにより、油圧室の容積を小さくすることができる。このため、エンジン始動時の油圧室へのオイルの充填時間を短縮することができるので、エンジン始動時においてテンショナを迅速に機能させることができ、チェーンのバタツキ異音を抑制することができる。また、テンショナに供給されるオイル量を低減することができるため、オイルポンプを駆動する内燃機関の負荷を軽減することができ、内燃機関の燃費の悪化につながることを回避することができる。

本発明のテンショナの一構成例を示す断面図である。 図１に示すテンショナの要部を示す拡大断面図である。 図１に示すテンショナにおけるオリフィス部材を示す図であって、（ａ）基体部の一面側から見た斜視図、（ｂ）基体部の他面側から見た平面図である。 オリフィス部材の他の構成例を示す図であって、（ａ）基体部の一面側から見た斜視図、（ｂ）基体部の他面側から見た斜視図である。 オリフィス部材のさらに他の構成例を示す図であって、（ａ）基体部の一面側から見た斜視図、（ｂ）基体部の他面側から見た平面図である。 本発明に係るテンショナの他の構成例における要部を示す拡大断面図である。 オリフィス部材のさらに他の構成例を示す図であって、（ａ）基体部の他面側から見た斜視図、（ｂ）基体部の一面側から見た平面図である。 オリフィス部材のさらに他の構成例を示す図であって、（ａ）基体部の一面側から見た斜視図、（ｂ）基体部の他面側から見た平面図である。 オリフィス部材のさらに他の構成例を示す図であって、（ａ）基体部の一面側から見た斜視図、（ｂ）基体部の他面側から見た平面図である。 従来のテンショナの一構成例を示す断面図である。 テンショナを組み込んだタイミングシステムを示す説明図である。

以下に、本発明のテンショナについて、図面に基づいて説明する。
まず、テンショナ１１０は、自動車エンジンのタイミングシステム等に用いられるチェーン伝動装置に組み込まれるものであり、図１１に示すように、エンジンブロック（図示しない）に取り付けられ、複数のスプロケットＳ１〜Ｓ３に掛け回された伝動チェーンＣＨの弛み側にテンショナレバーＧを介して適正な張力を付与し、走行時に生じる振動を抑止するものである。

図１は、本発明のテンショナの一構成例を示す断面図である。図２は、図１に示すテンショナの要部を示す拡大断面図である。
このテンショナ１１０は、プランジャ１２０と、ハウジング１３０と、メイン付勢手段１７０と、オリフィス部材１５０とを備えている。

プランジャ１２０は、円筒形状に構成されており、後方側に開口したプランジャ穴１２２を有する。
プランジャ１２０の外周面には、軸方向におけるプランジャ１２０の移動を規制する弾性リング１７５が係合してラチェット機構を構成する凹凸溝１２１が設けられている。
プランジャ１２０は、テンショナ１１０の外部空間と連通する外部リリーフ孔１２３を備えている。外部リリーフ孔１２３は、一端がプランジャ穴１２２の前方側の天面に開口すると共に他端がプランジャ１２０の径方向の外周面に開口している

ハウジング１３０は、プランジャ１２０を摺動可能に収容する前方側に開口したプランジャ収容穴１３１を有する。プランジャ１２０はその開放端側からプランジャ収容穴１３１内に挿入されて配置されており、プランジャ穴１２２およびプランジャ収容穴１３１の間、すなわちプランジャ収容穴１３１の内部空間とプランジャ穴１２２の内部空間とによって圧油室１１１が形成されている。
なお、ハウジング１３０は簡略的に図示しており、プランジャ１２０の外周面に設けられた凹凸溝１２１に係合するラチェット爪等の詳細な構成は割愛した。

ハウジング１３０内の底部側には、オイル供給孔１３３を通じて外部から圧油室１１１へのオイルの流入を許容するとともに、オイル供給孔１３３からのオイルの流出を防止する逆止弁を構成するチェックバルブ１４０が配置されている。
チェックバルブ１４０は、プランジャ収容穴１３１の底部に密着して配置されたボールシート１４１と、ボールシート１４１に密着可能に着座する球状のチェックボール１４２と、チェックボール１４２の前方に配置されチェックボール１４２の移動を規制するリテーナ１４３とから構成されている。
なお、チェックボール１４２をボールシート１４１側に向けて付勢するボールスプリングをチェックボール１４２とリテーナ１４３との間に配置してもよい。

メイン付勢手段１７０は、プランジャ１２０を前方側に向けて付勢するものであって、例えばコイルバネ１７１によって構成されている。
コイルバネ１７１は、圧油室１１１内において、コイル軸がプランジャ１２０の中心軸に沿って延びるよう配置されている。

オリフィス部材１５０は、圧油室１１１内とテンショナ１１０の外部空間とを連通させ、圧油室１１１内に混入した空気をテンショナ１１０の外部に排出するとともに圧油室１１１からのオイルの流出量を規制する部材である。

オリフィス部材１５０は、図３に示すように、一面１５２から他面１５４に向かって拡径する円錐台状の基体部１５１と、基体部１５１の他面１５４に連続して他面１５４に対して垂直な方向に延びるロッド状の延長部１６５とを有している。
このオリフィス部材１５０は、プランジャ穴１２２に対して圧入されて基体部１５１の一面１５２がプランジャ穴１２２の前方側の天面に当接された状態で固定され、延長部１６５がコイルバネ１７１の内周側に延びる状態すなわちコイルバネ１７１の内部に挿通されてコイル軸に沿って延びる状態で配置されている。
オリフィス部材１５０は、コイルバネ１７１のバネ受け部を兼ねており、基体部１５１の圧油室１１１側に位置される他面１５４にコイルバネ１７１の一端面が当接されている。

基体部１５１には、プランジャ穴１２２に対して圧入されることにより変形されてプランジャ穴１２２の内周面に嵌合する変形嵌合部１５５が形成されている。
このオリフィス部材１５０においては、基体部１５１の他面１５４における外周縁側の位置に、周方向の全周にわたって延びる外周溝１５７が形成されており、外周溝１５７の径方向外方に位置される薄肉の筒状部分１５６によって変形嵌合部１５５が構成されている。

本実施形態のテンショナ１１０において、オリフィス部材１５０は、例えば樹脂材料で形成されている。オリフィス部材１５０を形成する樹脂材料としては、優れた耐熱性を発揮するものであることが好ましく、具体的には例えば、ナイロン４６、ナイロン６６、ガラス繊維強化ナイロンといったポリアミド樹脂などを用いることができる。

また、オリフィス部材１５０の基体部１５１には、プランジャ穴１２２の前方側の天面と当接される一面１５２と圧油室１１１側に位置される他面１５４とを連通する連通部１６０が形成されている。
このオリフィス部材１５０における連通部１６０は、基体部１５１の外周面に設けられた切り欠き溝部１６１によって構成されている。

オリフィス部材１５０における基体部１５１の一面１５２には、螺旋状に延びる断面Ｖ字状のオリフィス溝１５３が、連通部１６０及びプランジャ１２０における外部リリーフ孔１２３と連通してオリフィスを構成するように、形成されている。

以上のように構成された本実施形態のテンショナ１１０においては、プランジャ１２０が伝動チェーンＣＨから衝撃、荷重等を受けて圧油室１１１内のオイル圧が上昇すると、圧油室１１１内のオイルがオリフィス部材１５０における連通部１６０を介して基体部１５１の一面側に形成されたオリフィスに流入し、オリフィスからプランジャ１２０における外部リリーフ孔１２３を介してリークする。これにより、圧油室１１１内のオイル圧が適切な大きさに維持される。
また、圧油室１１１内に空気が混入した場合にも同様に、混入空気がオリフィス部材１５０における連通部１６０を介して基体部１５１の一面側に形成されたオリフィスに進入し、オリフィスからプランジャ１２０における外部リリーフ孔１２３を介して外部空間に排出される。

本実施形態のテンショナ１１０においては、オリフィス部材１５０がプランジャ穴１２２に対して圧入されることにより基体部１５１における筒状部分１５６が径方向内方側に撓むよう変形される。このため、オリフィス部材１５０を軽い力でプランジャ１２０に嵌合させて固定することができるので、組み立てが容易となり、テンショナ１１０の組立時の自由度および設計の自由度を高くすることができると共にメンテナンス時の組付け不具合が生じることを防止することが可能となる。また、テンショナ１１０の組立時において、従来における金属製のオリフィス構成部材をプランジャに圧入するための既存の圧入設備を転用することも可能であり、所期のテンショナ１１０を有利に製造することができる。
また、オリフィス部材１５０における基体部１５１の一面１５２とプランジャ１２０の天面との間に隙間が生ずることを確実に防止することができると共に、オリフィス部材１５０のプランジャ１２０に対する中心位置を決めることができてオリフィスの長さのバラツキによるオイルの流出量のバラツキが生ずることを回避することができる。従って、オリフィス部材１５０をプランジャ１２０内に配置するという簡単な構造でありながら、圧油室１１１内の油圧が高まった時に、連通部１６０、オリフィス、および、外部リリーフ穴１２３を通じて、圧油室１１１内のオイルをプランジャ１２０の外部に排出することにより圧油室１１１内のオイル圧を適切に維持することができ、過大な押圧力による伝動チェーンＣＨの張り過ぎを防止することができる。

本実施形態のテンショナ１１０においては、オリフィス部材１５０が樹脂材料よりなるため、テンショナ１１０の軽量化を実現することができると共に組み立てがさらに容易となり、また、成形も容易となるため、このテンショナ１１０を搭載した自動車の燃費向上及びコストダウンに貢献することができる。
また、樹脂材料よりなるオリフィス部材１５０によれば、圧入力によるプランジャ穴１２２の内壁に対する押圧力を小さくできるため、プランジャ１２０自体の肉厚を小さくすることが可能となり、この点においても、テンショナ１１０の軽量化を実現することができる。

さらにまた、本実施形態のテンショナ１１０においては、連通部１６０が基体部１５１の外周面に設けられた切り欠き溝部１６１により構成されていることにより、連通部１６０の位置決めを容易に行うことができる。従って、テンショナ１１０が、例えばプランジャ１２０の中心軸が上方に向かう傾斜方向を指向する姿勢で、取り付けられる場合に、連通部１６０が重力方向上方側に位置されることにより、オイル供給開始後にすばやく空気が排出されてエンジン始動時においてテンショナを迅速に機能させることができ、伝動チェーンＣＨのバタツキ異音を抑制することができる。

さらにまた、本実施形態のテンショナ１１０においては、オリフィス部材１５０が、メイン付勢手段１７０であるコイルバネ１７１のバネ受け部を兼ねることにより、オリフィス部材１５０のプランジャ１２０の天面に対する面圧を稼ぐことができ、オリフィス部材１５０における基体部１５１の一面１５２とプランジャ１２０の天面との間に隙間が生ずることを一層確実に防止することができる。

さらにまた、本実施形態のテンショナ１１０においては、オリフィス部材１５０が、コイルバネ１７１の内部に挿通されてコイル軸に沿って延びる延長部１６５を有することにより、油圧室１１１の容積を小さくすることができる。このため、エンジン始動時の油圧室１１１へのオイルの充填時間を短縮することができるので、エンジン始動時においてテンショナ１１０を迅速に機能させることができ、伝動チェーンＣＨのバタツキ異音を抑制することができる。また、テンショナ１１０に供給されるオイル量を低減することができるため、オイルポンプを駆動する内燃機関の負荷を軽減することができ、内燃機関の燃費の悪化につながることを回避することができる。

本実施形態のテンショナ１１０においては、オリフィス部材１５０の変形嵌合部１５５が、基体部１５１の他面１５４に形成された外周溝１５７の径方向外方に位置された薄肉の筒状部分１５６によって構成されているが、オリフィス部材１５０の変形嵌合部１５５は、プランジャ穴１２２に対して圧入されることにより変形されてプランジャ穴１２２の内周面に嵌合する構成とされていれば特に限定されるものではない。

図４は、オリフィス部材の他の構成例を示す図である。
このオリフィス部材２５０は、基体部１５１の外周面における互いに周方向に離間して並んだ位置に形成された径方向外方に突出する複数の突起部２５８により変形嵌合部２５５が形成されていることの他は、図３に示すオリフィス部材１５０と同一の構成を有する。
このオリフィス部材２５０の突起部２５８の各々は、プランジャ穴１２２の内周面に圧接される外面が基体部１５１の一面側から他面側に向かって突出高さが大きくなるようテーパ状に形成されている。各々の突起部２５８の他面には、弾性穴２５９が形成されており、突起部２５８の内部は空洞とされている。
このオリフィス部材２５０においては、プランジャ穴１２２に対して圧入されることにより基体部１５１における複数の突起部２５８の各々の外面が径方向内方側に撓むよう変形され、オリフィス部材２５０がプランジャ穴１２２の内周面に嵌合されて固定される。

また、図５に示すように、変形嵌合部３５５を構成する複数の突起部３５８の各々は、内部に空洞を有さない構成とされていてもよい。このオリフィス部材３５０においては、プランジャ穴１２２に対して圧入されることにより基体部１５１における複数の突起部３５８の各々が径方向に圧潰されるよう変形され、オリフィス部材３５０がプランジャ穴１２２の内周面に嵌合されて固定される。

図４に示すオリフィス部材２５０および図５に示すオリフィス部材３５０において、突起部２５８，３５８の数は適宜設定することができ、少なくとも３つあれば、オリフィス部材２５０，３５０を適正な姿勢で固定することができる。

さらにまた、例えば図６に示すように、オリフィス部材４５０の変形嵌合部４５５は、メイン付勢手段１７０であるコイルバネ１７１の一端側部分（前方側部分）を受容する空間を形成するよう構成されていてもよい。このオリフィス部材４５０の変形嵌合部４５５は、図７に示すように、基体部１５１の他面１５４における外周縁位置において基体部１５１の他面１５４より軸方向外方に突出して延びるよう形成された筒状部分４５６により構成されている。この筒状部分４５６の外周面は基体部１５１の外周面と連続するテーパ状とされている。このオリフィス部材４５０は、変形嵌合部４５５の構成が異なることの他は、図３に示すオリフィス部材１５０と同一の構成を有する。
このオリフィス部材４５０においては、プランジャ穴１２２に対して圧入されることにより筒状部分４５６が径方向内方側に撓むよう変形され、オリフィス部材４５０がプランジャ穴１２２の内周面に嵌合されて固定される。

このようなオリフィス部材２５０，３５０，４５０を備えたテンショナにおいても、上記構成のオリフィス部材１５０を備えたテンショナ１１０と同様の効果を得ることができる。

また、オリフィス部材１５０の連通部１６０は、プランジャ１２０の天面と当接する一面１５２と圧油室１１１側の他面１５４とを連通する構成とされていれば、切り欠き溝部１６１により構成されている必要はなく、例えば図８に示すように、連通部５６０が基体部１５１の厚み方向に延びる貫通孔５６２により構成されていてもよい。
このような構成のオリフィス部材５５０を備えたテンショナにおいても、テンショナの取り付け姿勢との関係において、油圧室１１１内の混入空気が抜け易くなるよう連通部５６０の位置決めを容易に行うことができる。

さらにまた、本発明のテンショナにおいては、例えば図９に示すように、オリフィス部材６５０は、延長部を有さない構成とされていてもよい。このオリフィス部材６５０は、延長部を有さないことの他は、図３に示すオリフィス部材１５０と同一の構成を有する。

以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
例えば、上述した実施形態では、テンショナ１１０が自動車エンジン用のタイミングシステムに組み込まれるものとして説明したが、テンショナ１１０の具体的用途はこれに限定されない。
また、上述した実施形態では、テンショナ１１０がテンショナレバーＧを介して伝動チェーンＣＨに張力を付与するものとして説明したが、プランジャ１２０の先端で直接的に伝動チェーンＣＨの摺動案内を行い、伝動チェーンＣＨに張力を付与するようにしてもよい。

さらに、伝動チェーンＣＨによる伝動機構に限らず、ベルト、ロープ等の類似の伝動機構に適用されてもよく、長尺物に張力を付与することが求められる用途であれば、種々の産業分野において利用可能である。
また、上述した実施形態では、プランジャ１２０を収容するハウジング１３０が、エンジンブロック等に取り付けられる所謂テンショナボディであるものとして説明したが、ハウジング１３０の具体的態様は、上記に限定されず、テンショナボディに形成されたボディ穴内に挿入される円筒状の所謂スリーブであってもよい。

１１０、 ７１０ テンショナ
１１１ ７１１ 圧油室
１２０ ７２０ プランジャ
１２１ 凹凸溝
１２２ ７２２ プランジャ穴
１２３ 外部リリーフ孔
７２３ 流出口
７２４ 圧力通路
７２５ ばね収容室
１３０ ７３０ ハウジング
１３１ ７３１ プランジャ収容穴
１３３ オイル供給孔
１４０ チェックバルブ
１４１ ボールシート
１４２ チェックボール
１４３ リテーナ
１４５ ボールガイド
１５０、２５０、３５０、４５０、５５０、６５０ オリフィス部材
１５１ 基体部
１５２ 一面
１５３ オリフィス溝
１５４ 他面
１５５、２５５、３５５、４５５ 変形嵌合部
１５６、 ４５６ 筒状部分
１５７ 外周溝
２５８、３５８ 突起部
２５９ 弾性穴
１６０ ５６０ 連通部
１６１ 切り欠き溝部
５６２ 貫通孔
１６５ 延長部
１７０ ７７０ メイン付勢手段
１７１ コイルバネ
１７５ 弾性リング
７８０ リリーフ機構
７８１ 弁体
７８２ リリーフスプリング
Ｓ１〜Ｓ３ スプロケット
ＣＨ 伝動チェーン
Ｇ テンショナレバー

Claims (5)

1. 後方側に開口したプランジャ穴を有するプランジャと、前記プランジャを摺動可能に収容する前方側に開口したプランジャ収容穴を有するハウジングと、前記プランジャを前方側に向けて付勢するメイン付勢手段と、前記プランジャ収容穴と前記プランジャ穴の間に形成される圧油室内と外部空間とを連通するオリフィス部材とを備えたテンショナであって、
   前記プランジャは、前記プランジャ穴の前方側の天面に開口し、外部空間と連通する外部リリーフ孔を備え、
   前記オリフィス部材は、変形して前記プランジャ穴の内周面に嵌合する変形嵌合部と、前記天面と当接する面に設けられたオリフィス溝と、前記天面と当接する面と前記圧油室側の面とを連通する連通部とを有し、
   前記オリフィス溝が、前記連通部及び前記外部リリーフ孔と連通してオリフィスを構成するように形成されていることを特徴とするテンショナ。
2. 前記オリフィス部材が、樹脂材料で形成されていることを特徴とする請求項１に記載のテンショナ。
3. 前記連通部が、前記オリフィス部材の外周面に設けられた切り欠き溝部であることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のテンショナ。
4. 前記メイン付勢手段がコイルバネであり、
   前記オリフィス部材が、前記コイルバネのバネ受け部を兼ねることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれかに記載のテンショナ。
5. 前記オリフィス部材が、前記コイルバネの内周側に延びる延長部を有することを特徴とする請求項４に記載のテンショナ。

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