JP2018165571A - テンショナ - Google Patents
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【解決手段】圧油室11内のオイル圧を調整する圧力調整機構50を備え、圧力調整機構50は、シリンダ部51と、圧油室11側に接近および離間可能な状態でシリンダ部51内に設置されたピストンユニット60と、ピストン付勢手段52とを備え、シリンダ部51とピストンユニット60との間は、ピストンユニット60が最も圧油室11側に移動した位置から最も調整空間12側に移動した位置までの間のいずれの位置においても、液密状態で保持されるように構成されているテンショナ10。
【選択図】図2
Description
これにより、圧油室内のオイル圧が上昇した場合に、ピストンユニットが圧油室から離間する方向に向けて移動して、ピストンユニットの移動量に応じて圧油室の容積が増加し、チェーンに対するプランジャの押し付け力を徐々に低下させることが可能であるため、簡素な構成で、圧油室内のオイル圧およびプランジャの押し付け力を安定させることができる。
また、リリーフ機構を設けた従来のテンショナのようにオイルの一部を外部に放出することを回避できるため、オイル消費量を低減することができ、油圧発生源の動力の小型化を実現することができ、また、テンショナへのオイルの供給が止まるエンジン停止時に、圧油室内のオイルが外部に徐々に漏れ出すことを回避できるため、圧油室のオイル量を長期間に亘って維持でき、エンジンの再稼働時に、異音発生等の不具合が生じることを防止できる。
本請求項3に係る発明によれば、圧力調整機構が、ピストンユニットの調整空間側への移動を規制する第1規制部を有していることにより、ピストンユニットの移動範囲を制限することで、高精度に加工する必要のあるシリンダ内周面のピストン移動方向における寸法を短くすることが可能であるため、製造負担を低減でき、また、組み付け時においてピストンユニットを位置決めする部位として第1規制部を利用することも可能であるため、組み付け負担を低減できる。
本請求項4に係る発明によれば、圧力調整機構が、ピストンユニットの圧油室側への移動を規制する第2規制部を有していることにより、ピストンユニットの移動範囲を制限することで、高精度に加工する必要のあるシリンダ内周面のピストン移動方向における寸法を短くすることが可能であるため、製造負担を低減でき、また、組み付け時においてピストンユニットを位置決めする部位として第2規制部を利用することも可能であるため、組み付け負担を低減できる。
本請求項5に係る発明によれば、ピストン付勢手段としてのピストンスプリングのばね力は、メイン付勢手段としてのメインスプリングのばね力よりも大きく設定されていることにより、メインスプリングがピストンユニットを押すように、メインスプリングを設置した場合であっても、通常時において、ピストンユニットを第2規制部に押し付けた状態とすることができる。
本請求項6に係る発明によれば、テンショナが、ハウジングの外部と調整空間とを連通させるオイル供給路を有し、ピストンユニットが、調整空間側から圧油室側へのオイルの流入を許容するとともに圧油室側から調整空間側へのオイルの流出を防止するチェックバルブとして構成されていることにより、圧油室に供給されるオイルを貯留可能なオイルリザーバとして、調整空間を利用することができ、また、ピストンユニットにチェックバルブとしての機能を担わせることによって、部品点数を低減し、テンショナの構造を簡素化することができる。
本請求項7に係る発明によれば、ピストンユニットが、チェックバルブユニットと、チェックバルブユニットの外周側に配置される外筒部材とを有し、外筒部材がシリンダ部に対向するピストン外周面を有していることにより、高精度に加工する必要のあるピストン外周面を、チェックバルブユニットに形成する必要が無いため、既存のチェックバルブユニットを使用することができる。
本請求項8に係る発明によれば、圧力調整機構が、プランジャ穴内に配置されるインナースリーブを備え、インナースリーブ内に、ピストン付勢手段としてのピストンスプリングが配置され、インナースリーブが、ピストンユニットに嵌合していることにより、プランジャ穴内におけるピストンユニットの姿勢を安定させることができるとともに、ピストンスプリングの座屈等の不具合を回避でき、また、ピストンユニットとピストンスプリングとインナースリーブとを一体のものとして取り扱うことも可能であるため、組み付け負担を低減することができる。
本請求項9に係る発明によれば、インナースリーブに、その内周面から外周面に貫通するスリーブ貫通孔が形成されていることにより、インナースリーブの内側の空間をオイルリザーバとして利用する場合に、インナースリーブの外周側を流動するオイルを、スリーブ貫通孔を通してインナースリーブの内側に回収し、オイルリザーバ内のオイル量を充分に確保することができる。
本請求項10に係る発明によれば、円筒状のプランジャ本体の前端側に取り付けられるキャップ部材が、キャップ本体部の底面から下方に向けて延びる柱部を一体に有し、柱部が、ピストン付勢手段としてのピストンスプリングの内周側に配置され、ピストンユニットの調整空間側への移動を規制する第1規制部として機能する。これにより、プランジャ本体に取り付けられるキャップ部材を利用して、簡素な構成で、ピストンユニットの調整空間側への移動を規制することができるばかりでなく、柱部をピストンスプリングの内周側に配置することで、ピストンスプリングの径を大きく設計することが可能であるため、ピストンスプリングの姿勢の安定性を確保できるとともに、ピストンスプリングによる付勢力を大きく設計することもできる。
また、プランジャ穴21には、調整空間12側から圧油室11側に向けて縮径する段差部が形成されており、この段差部が、後述するピストンユニット60の圧油室11側への移動を規制する第2規制部54として機能する。
また、プランジャ20の外周面には、ラチェット80に係合するためのラック歯22が形成されている。
本実施形態では、図2や図3に示すように、プランジャ穴21を有したプランジャ20の前後方向における一部分がシリンダ部51として機能し、言い換えると、プランジャ穴21の内周面の前後方向における一部分が、円筒状のシリンダ内周面51aとして機能する。
なお、チェックバルブユニット61の具体的構成については、圧油室11へのオイルの流入を許容するとともに圧油室11からのオイルの流出を防止するものであれば、如何なるものでもよく、例えば、ボールスプリング61dを無くしてもよい。
外筒部材62の圧油室11側の大径部は、シリンダ内周面51aに対向して配置される円筒状のピストン外周面62aとして機能する。
シリンダ内周面51aおよびピストン外周面62aの径の差は、シリンダ内周面51aおよびピストン外周面62aの間が液密状態で保持される程度に僅かであり、これにより、シリンダ内周面51aおよびピストン外周面62aの間を抜けてオイルが流動することを阻止できる。
また、外筒部材62の外周面には、外筒部材62の調整空間12側の一端から大径部の途中に亘って形成された面取り部62bが、180°対称な位置にそれぞれ形成されている。
また、外筒部材62の内周面において、設置部62cと圧油室11側の小径部との間に形成された段差部は、チェックバルブユニット61の圧油室11側への移動を規制する規制部62dとして機能する。
また、インナースリーブ55の後方側の底部付近には、インナースリーブ55の内周面から内側に突出する円環部55bが形成されている。
また、インナースリーブ55には、その内周面から外周面に貫通する複数のスリーブ貫通孔55cが形成されている。
このような凹溝55aやスリーブ貫通孔55cを設けることにより、インナースリーブ55の外周側のオイルを、圧油室11に供給されるオイルを貯留可能なオイルリザーバとして機能するインナースリーブ55の内周側に回収することができる。
また、本実施形態では、インナースリーブ55の前端部(圧油室11側の部分)が、ピストンユニット60の調整空間12側への移動を規制する第1規制部53として機能する。
ピストンスプリング52は、その一端がピストンユニット60(チェックバルブユニット61)に当接するとともに、その他端がインナースリーブ55の円環部55bに当接して配置されている。
ピストンスプリング52のばね力は、メインスプリング40のばね力よりも大きく設定されている。
プランジャ本体20Aは、鉄等の金属から形成され、キャップ部材20Bは、合成樹脂や金属等から構成されている。
なお、この外部リリーフ孔を設けなくともよいが、調整空間12内の圧力が過剰に上昇することを防止する観点から設けた方が好ましい。
また、ピストンユニット60が、略円柱状の単一部品として構成されている。
また、第2規制部54が、プランジャ本体20Aのプランジャ穴21の内周壁から内周側に突出して形成された部位として構成されている。
なお、チェックバルブユニット70の具体的構成については、圧油室11へのオイルの流入を許容するとともに圧油室11からのオイルの流出を防止するものであれば、如何なるものでもよく、例えば、チェックボール72をボールシート71側に向けて付勢するボールスプリングをチェックボール72とリテーナ73との間に配置してもよい。
柱部20Bbは、キャップ本体部20Baよりも小径に形成され、ピストンスプリング52の内周側に配置され、ピストンユニット60の調整空間12側への移動を規制する第1規制部53として機能する。このように、ピストンスプリング52の内周に第1規制部53を配置することにより、ピストンスプリング52の径を大きく設計でき、ピストンスプリング52による付勢力を大きく設計することもできる。
また、図7に示す変形例では、調整空間12とプランジャ20の外部を連通させる外部リリーフ孔が、キャップ本体部20Baに、横方向に沿って延びるように形成されている。
また、上述した実施形態では、テンショナ10がテンショナレバーGを介して伝動チェーンCHに張力を付与するものとして説明したが、プランジャ20の先端で直接的に伝動チェーンCHの摺動案内を行い、伝動チェーンCHに張力を付与するようにしてもよい。
さらに、伝動チェーンCHによる伝動機構に限らず、ベルト、ロープ等の類似の伝動機構に適用されてもよく、長尺物に張力を付与することが求められる用途であれば、種々の産業分野において利用可能である。
また、上述した実施形態では、プランジャ20を収容するハウジング30が、エンジンブロック等に取り付けられる所謂テンショナボディであるものとして説明したが、ハウジング30の具体的態様は、上記に限定されず、テンショナボディに形成されたボディ穴内に挿入される円筒状の所謂スリーブであってもよい。
また、上述した実施形態では、プランジャ穴21の内周面の一部をシリンダ内周面51aとして利用するものとして説明したが、シリンダ内周面51a(シリンダ部51)の具体的態様はこれに限定されず、例えば、プランジャ20とは別途に形成されたシリンダ部材をプランジャ穴21内に配置し、当該シリンダ部材の内周面をシリンダ内周面51aとして利用してもよい。
また、上述した実施形態では、第1規制部53や第2規制部54を設けることにより、ピストンユニット60の圧油室11側または調整空間12側への移動を規制するものとして説明したが、このような規制部53、54を設けることなく、メインスプリング(メイン付勢手段)40およびピストンスプリング(ピストン付勢手段)52のばね力(付勢力)を調整することにより、ピストンユニット60の位置を制御するように構成してもよい。
また、上述した第1実施形態では、図2に示すように、圧油室11を前方側に配置するとともにオイルリザーバ(調整空間12)を後方側に配置し、これら圧油室11およびオイルリザーバ(調整空間12)の間にシリンダ部51およびピストンユニット(チェックバルブ)60を設置するものとして説明した。しかしながら、圧油室11を後方側に配置するとともにオイルリザーバ(調整空間12)を前方側に配置し、これら圧油室11およびオイルリザーバ(調整空間12)の間にシリンダ部51およびピストンユニット(チェックバルブ)60を設置してもよい。なお、この場合、ハウジング30の外部からオイルリザーバ(調整空間12)とを連通させるオイル供給路33を、ハウジング30やプランジャ20に形成された溝や孔から構成すればよい。
11 ・・・ 圧油室
12 ・・・ 調整空間
20 ・・・ プランジャ
20A ・・・ プランジャ本体
20B ・・・ キャップ部材
20Ba ・・・ キャップ本体部
20Bb ・・・ 柱部
21 ・・・ プランジャ穴
22 ・・・ ラック歯
30 ・・・ ハウジング
31 ・・・ プランジャ収容穴
32 ・・・ 底部
33 ・・・ オイル供給路
34 ・・・ 取付部
35 ・・・ オイル供給孔
40 ・・・ メインスプリング(メイン付勢手段)
50 ・・・ 圧力調整機構
51 ・・・ シリンダ部
51a ・・・ シリンダ内周面
52 ・・・ ピストンスプリング(ピストン付勢手段)
53 ・・・ 第1規制部
54 ・・・ 第2規制部
55 ・・・ インナースリーブ
55a ・・・ 凹溝
55b ・・・ 円環部
55c ・・・ スリーブ貫通孔
60 ・・・ ピストンユニット
61 ・・・ チェックバルブユニット
61a ・・・ チェックボール
61b ・・・ ボールシート
61c ・・・ リテーナ
61d ・・・ ボールスプリング
62 ・・・ 外筒部材
62a ・・・ ピストン外周面
62b ・・・ 面取り部
62c ・・・ 設置部
62d ・・・ 規制部
70 ・・・ チェックバルブユニット
71 ・・・ ボールシート
72 ・・・ チェックボール
73 ・・・ リテーナ
80 ・・・ ラチェット
Claims (10)
- 後方側に開口したプランジャ穴を有するプランジャと、前記プランジャを収容する前方側に開口したプランジャ収容穴を有するハウジングと、前記プランジャおよび前記プランジャ収容穴の間に形成される圧油室に伸縮自在に収納されて前記プランジャを前方側に向けて付勢するメイン付勢手段と、前記圧油室内のオイル圧を調整する圧力調整機構とを備えたテンショナであって、
前記圧力調整機構は、シリンダ部と、前記圧油室側に接近および離間可能な状態で前記シリンダ部内に設置され、前記プランジャおよび前記ハウジングの間に形成される空間を前記圧油室と調整空間とに区画するピストンユニットと、前記ピストンユニットを前記圧油室側に向けて付勢するピストン付勢手段とを備え、
前記シリンダ部と前記ピストンユニットとの間は、前記ピストンユニットが最も前記圧油室側に移動した位置から最も前記調整空間側に移動した位置までの間のいずれの位置においても、液密状態で保持されるように構成されていることを特徴とするテンショナ。 - 前記プランジャ穴の内周面の前後方向における一部分が、前記ピストンユニットに対向するシリンダ内周面として機能することを特徴とする請求項1に記載のテンショナ。
- 前記圧力調整機構は、前記ピストンユニットの前記調整空間側への移動を規制する第1規制部を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のテンショナ。
- 前記圧力調整機構は、前記ピストンユニットの前記圧油室側への移動を規制する第2規制部を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のテンショナ。
- 前記ピストン付勢手段としてのピストンスプリングのばね力は、前記メイン付勢手段としてのメインスプリングのばね力よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項4に記載のテンショナ。
- 前記テンショナは、前記ハウジングの外部と前記調整空間とを連通させるオイル供給路を有し、
前記ピストンユニットは、前記調整空間側から前記圧油室側へのオイルの流入を許容するとともに前記圧油室側から前記調整空間側へのオイルの流出を防止するチェックバルブとして構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のテンショナ。 - 前記ピストンユニットは、チェックバルブユニットと、前記チェックバルブユニットの外周側に配置される外筒部材とを有し、
前記外筒部材は、前記シリンダ部に対向するピストン外周面を有していることを特徴とする請求項6に記載のテンショナ。 - 前記圧力調整機構は、前記プランジャ穴内に配置されるインナースリーブを備え、
前記インナースリーブ内には、前記ピストン付勢手段としてのピストンスプリングが配置され、
前記インナースリーブは、前記ピストンユニットに嵌合していることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のテンショナ。 - 前記インナースリーブには、その内周面から外周面に貫通するスリーブ貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項8に記載のテンショナ。
- 前記プランジャは、円筒状のプランジャ本体と、前記プランジャ本体の前端側に取り付けられたキャップ部材とを有し、
前記キャップ部材は、キャップ本体部と、前記キャップ本体部の底面から下方に向けて延びる柱部とを一体に有し、
前記ピストン付勢手段は、前記調整空間内に配置されたピストンスプリングから構成され、
前記柱部は、前記ピストンスプリングの内周側に配置され、前記ピストンユニットの前記調整空間側への移動を規制する第1規制部として機能することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のテンショナ。
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