以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、複数の住戸を有する集合住宅について具体化している。集合住宅は、一階部分と二階部分とを有する二階建てのアパートとされている。図1は、その集合住宅の一階部分を示す平面図となっている。
図1に示すように、集合住宅10は、複数の住戸11と、それら各住戸11に通じる共用部12とを備える。住戸11は、一階部分及び二階部分において横並びに複数(具体的には3つ)ずつ設けられている。共用部12は、一階部分及び二階部分にそれぞれ設けられた共用廊下13と、一階部分及び二階部分の各共用廊下13を連絡する共用階段14とを有する。
共用廊下13は、各住戸11の並ぶ方向に延びており、それら各住戸11にそれぞれ通じている。各住戸11にはそれぞれ玄関口17が設けられている。この玄関口17を通じて共用廊下13から住戸11内へ出入りすることが可能となっている。また、玄関口17には、玄関扉18が設けられている。
一階部分には共用出入口15が設けられている。この共用出入口15を通じて屋外から共用部12(一階部分の共用廊下13)に出入りすることが可能となっている。また、共用出入口15には、共用扉16が設けられている。
一階部分及び二階部分において、各住戸11の屋外側にはバルコニー20が連続して設けられている。バルコニー20は、共用廊下13とは反対側に設けられている。バルコニー20は、各住戸11の住戸内空間11a(屋内空間)と外壁部21により仕切られている。外壁部21には、住戸内空間11aからバルコニー20への出入りを可能とする出入口22が設けられている。この出入口22にはガラス戸23が設けられている。また、バルコニー20には、外壁部21と対向する位置に腰壁部24が設けられている。この腰壁部24が手摺部に相当する。
バルコニー20には、各住戸11間の境界部に隔て板26が設けられている。隔て板26は、外壁部21と腰壁部24とに跨がるようにして設けられている。この隔て板26によりバルコニー20が各住戸11ごとに区画されている。
続いて、バルコニー20周辺の構成について図2に基づいて説明する。図2は、バルコニー20周辺の構成を示す縦断面図である。なお、図2は、バルコニー20周辺を隔て板26と平行な面で切断した断面図となっている。また、図2では、二階部分におけるバルコニー20周辺の構成を示している。
図2に示すように、バルコニー20には、バルコニー床部31と、そのバルコニー床部31と上下に対向するバルコニー天井部32とが設けられている。バルコニー床部31は、複数のバルコニー床梁33〜35を備えている。これらバルコニー床梁33〜35には、外壁部21の下方で外壁部21に沿って延びるバルコニー床梁33と、腰壁部24の下方で腰壁部24に沿って延びるバルコニー床梁34と、それら各バルコニー床梁33,34の間に架け渡されて設けられた複数のバルコニー床梁35とが含まれている。これら各バルコニー床梁33〜35はいずれもH形鋼からなり、集合住宅10において建物躯体の一部を構成している。なお、バルコニー床部31が「床部」に相当する。
バルコニー床梁35は、各隔て板26の下方詳しくは真下に配置され、隔て板26の幅方向(板幅方向)に沿って延びている。バルコニー床梁35は、その一端部がバルコニー床梁33に連結金具37を介して固定され、その他端部がバルコニー床梁34に連結金具37を介して固定されている。
各バルコニー床梁33〜35の上にはALC床からなる床下地材38が設置されている。床下地材38上には発砲ポリスチレン樹脂等からなる床断熱材39が敷設され、その床断熱材39上には耐水皮膜(例えば塩化ビニル膜)が施された鋼板よりなる防水板41が敷設されている(図3も参照)。この防水板41によりバルコニー床部31の防水層が形成されている。また、この防水板41によりバルコニー20の床面が形成されている。
バルコニー天井部32は、複数のバルコニー天井梁43〜45を備えている。これらバルコニー天井梁43〜45には、外壁部21の上方で外壁部21に沿って延びるバルコニー天井梁43と、腰壁部24の上方で腰壁部24に沿って延びるバルコニー天井梁44と、それら各バルコニー天井梁43,44の間に架け渡されて設けられた複数のバルコニー天井梁45とが含まれている。これら各バルコニー天井梁43〜45はいずれもH形鋼からなり、集合住宅10において建物躯体の一部を構成している。なお、バルコニー天井部32が「天井部」に相当する。
バルコニー天井梁45は、各隔て板26の上方詳しくは真上に配置され、隔て板26の幅方向(板幅方向)に沿って延びている。バルコニー天井梁45は、その一端部がバルコニー天井梁43に連結金具37を介して固定され、その他端部がバルコニー天井梁44に連結金具37を介して固定されている。
各バルコニー天井梁45とバルコニー天井梁44とには、その下面側に野縁46が取り付けられている。野縁46は木製の角材からなり、取付金具47(図6参照)を介して各バルコニー天井梁44,45に取り付けられている。野縁46は、バルコニー天井梁45の長手方向と直交する方向(換言すると隔て板26の厚み方向)に延びており、上記長手方向に所定の間隔で複数配置されている。また、これら野縁46の下面には天井面材48が固定されている。この天井面材48によりバルコニー20の天井面が形成されている。
外壁部21は、バルコニー床部31とバルコニー天井部32とに跨がるように設けられている。外壁部21は、バルコニー20に面して設けられた外壁面材51と、住戸内空間11a(屋内空間)に面して設けられた内壁面材52と、それら外壁面材51及び内壁面材52の間に設けられた壁内断熱材53とを有している。外壁面材51は耐火性能等に優れたALC(軽量気泡コンクリート)からなり、内壁面材52は耐火性能等に優れた石膏ボードからなる。また、壁内断熱材53は、断熱性能等に優れたグラスウールからなる。
隔て板26を挟んで外壁部21とは反対側には腰壁部24が設けられている。腰壁部24は、その外面側(屋外側)に設けられた外側壁面材55と、その内面側(バルコニー20側)に設けられた内側壁面材56と、それら各壁面材55,56の上端部を覆うように設けられた笠木57とを有している。笠木57は、腰壁部24の壁幅方向に延びており、その上部に手摺り部57aを有している。
次に、バルコニー20における隔て板26の設置構造について説明する。
隔て板26は、上下方向に長い長方形状をなしており、矩形枠状のフレーム部61と、そのフレーム部61の内部に組み込まれた板材62とを有して構成されている。フレーム部61は、軽量鉄骨材からなる縦桟61a及び横桟61b〜61dを有している。縦桟61aは互いに離間して一対設けられ、それら各縦桟61aに複数の横桟61b〜61dが架け渡されることでフレーム部61が構成されている。また、複数の横桟61b〜61dには、各縦桟61aの下端部の間に架け渡された下桟61bと、各縦桟61aの上端部の間に架け渡された上桟61cと、各縦桟61aの中間部の間に架け渡された中間桟61dとが含まれている。また、板材62は不燃性を有するケイカル板(珪酸カルシウム板)からなる。
ここで、本実施形態では、隔て板26が、その下端部においてバルコニー床部31に固定され、その上端部においてバルコニー天井部32に固定されている。そして、かかる固定状態で、隔て板26がバルコニー20において設置されている。本実施形態では、かかる隔て板26の設置構造に特徴を有しており、以下においては、その設置構造について説明する。
まず、バルコニー床部31に対する隔て板26の固定構成について図3に基づいて説明する。図3は、バルコニー床部31に対する隔て板26の固定構成を示す縦断面図である。図3に示すように、隔て板26は、その下端部がバルコニー床部31に下側取付具65を介して固定されている。下側取付具65は、バルコニー床梁35(詳しくはその上フランジ)の上面に固定された支柱部66と、支柱部66の上面に固定された取付プレート67と、取付プレート67の上面に固定され隔て板26が取り付けられる下側取付金物68とを有する。
図4は、支柱部66及び取付プレート67の構成を示す分解斜視図である。以下、図3に加え、この図4を参照しながら下側取付具65の構成について説明する。図3及び図4に示すように、支柱部66は、バルコニー床梁35の上面に固定された下側支柱部71と、その下側支柱部71の上側に固定された上側支柱部72とを有する。下側支柱部71は、短尺のH形鋼からなり、上下方向に延びるウェブ71aと、そのウェブ71aを挟んで上下両側に設けられた上フランジ71b及び下フランジ71cを有している。この場合、下側支柱部71には、ウェブ71aを挟んだ両側にそれぞれ側方に開口する一対の溝部71dが設けられている。下側支柱部71には、それら各溝部71dに上フランジ71b及び下フランジ71cに跨がる状態で補強板74が配設され、その補強板74は各フランジ71b,71cにそれぞれ溶接により固定されている。
上側支柱部72は、上下方向に延びる筒状(詳しくは円筒状)の筒状部72aと、その筒状部72aの上端開口を塞ぐように設けられる円板状の蓋部72bとを有する。筒状部72aと蓋部72bとはいずれも金属製であり、溶接により互いに固定され一体化されている。また、上側支柱部72(筒状部72a)は、その下端部が下側支柱部71の上面(詳しくは上フランジ71bの上面)に溶接により固定されている。これにより、上側支柱部72と下側支柱部71とは互いに一体化され、それにより支柱部66が構成されている。
バルコニー床部31において、床下地材38と床断熱材39と防水板41とには支柱部66を挿通するための挿通孔84〜86が形成されている。支柱部66は、これら挿通孔84〜86に挿通された状態でバルコニー床梁35上に設けられている。この場合、支柱部66は、その一部が防水板41よりも上方に突出した状態で配置されている。
なお、本実施形態では、床下地材38と床断熱材39と防水板41とにより床下地層が形成され、その床下地層がバルコニー床梁33〜35により支持されている。そして、その床下地層に当該床下地層を貫通する挿通孔(挿通孔84〜86)が形成されている。また、床下地層には、防水板41からなる防水層が含まれている。
支柱部66の設置構成について詳しく説明すると、各挿通孔84〜86のうち、床下地材38に設けられた挿通孔84には支柱部66の下側支柱部71が挿通され、床断熱材39に設けられた挿通孔85と防水板41に設けられた挿通孔86とには上側支柱部72が挿通されている。下側支柱部71は、その下フランジ71cがバルコニー床梁35の上フランジ35aの上面に載置され、その載置状態で下フランジ71cがボルト77及びナット78を用いて上フランジ35aに固定されている。詳しくは、下側支柱部71の下フランジ71cにはボルト77を挿通可能な孔部81が形成され、バルコニー床梁35の上フランジ35aにも同様に、ボルト77を挿通可能な孔部82が形成されている。そして、ボルト77がこれら各孔部81,82にそれぞれ挿通された状態でナット78と締結されている。
下側支柱部71は、その高さ寸法が床下地材38の厚み寸法と同じとされ、その(詳しくは上フランジ71bの)上面が床下地材38の上面と同じ高さ位置に設定されている。この場合、床下地材38上に設けられた床断熱材39は、その支柱部66(換言すると挿通孔85)の周囲部分が下側支柱部71の上面における上側支柱部72の外側領域に載置された状態で設けられている。これにより、支柱部66が床下地層(38,39,41)の挿通孔84〜86に挿通された状態で配置される構成にあって、床下地層を安定した状態で敷設することが可能となる。
上側支柱部72は、床断熱材39及び防水板41の各挿通孔85,86に挿通された状態で、その一部が防水板41よりも上方に突出している。この場合、各挿通孔85,86はいずれも円形状をなしており、その内径が上側支柱部72の外径と同じとされている。そして、上側支柱部72は、その外周部が各挿通孔85,86の内周面に密着されている。これにより、防水板41上から各挿通孔85,86を通じて雨水等の水がバルコニー20下に入り込むことが防止されている。また、図示は省略するが、防水板41上において上側支柱部72の外周部には挿通孔85,86への水を入り込みを防止する防水処理(コーキング材や防水シート等を用いた防水処理)が施されている。
なお、床下地材38の挿通孔84は、平面視の大きさが床断熱材39及び防水板41の各挿通孔85,86よりも大きくされ、また下側支柱部71よりも大きくされている。したがって、下側支柱部71と挿通孔84との間には所定の隙間が形成されている。また、挿通孔84の形状は、円形状であっても矩形形状であってもよい。
上側支柱部72(支柱部66)の上面側には取付プレート67が固定されている。取付プレート67は、平板状の鋼板により略長方形状に形成され、詳しくはその4隅が面取り加工されている。取付プレート67は、その長手方向を隔て板26の幅方向に向けた状態で上側支柱部72の蓋部72b上にボルト91を用いて固定されている。
詳しくは、取付プレート67には、その長手方向の中央部に矩形の孔部87が形成されている。また、取付プレート67には、その下面に孔部87を塞ぐようにして矩形の鋼製プレート88が溶接固定され、このプレート88には複数の孔部89が形成されている。そして、上側支柱部72の蓋部72bには各孔部89に対応させて複数のねじ孔部92が形成されている。かかる構成にあって、取付プレート67は、そのプレート88が蓋部72b上に載置され、その載置状態でボルト91がプレート88の孔部89を介して蓋部72bのねじ孔部92にねじ込まれている。これにより、取付プレート67が上側支柱部72の上面側にボルト91を用いて固定されている。
取付プレート67の上面には下側取付金物68が固定されている。図5は、下側取付金物68に隔て板26が取り付けられる様子を示す斜視図である。以下、図3に加え図5を用いながら下側取付金物68の構成について説明する。
図3及び図5に示すように、下側取付金物68は、鋼板により断面コ字状に形成され、その溝部69を上方に開口させた状態で取付プレート67の上面に固定されている。下側取付金物68は、隔て板26の幅方向に延びるように形成され、その長さが隔て板26の幅(横幅)の半分以下、詳しくは隔て板26の幅の1/3以下とされている(図2参照)。
下側取付金物68は、取付プレート67の上面にボルト94及びナット95を用いて固定された固定板部68aと、その固定板部68aの幅方向の両端部からそれぞれ上方に延びる一対の側板部68bとを有する。この場合、固定板部68aと各側板部68bとにより囲まれた内側が溝部69となっている。固定板部68aにはボルト94を挿通する挿通孔(図示略)が複数(具体的には2つ)形成され、これと同様に、取付プレート67にはボルト94を挿通する挿通孔99が複数(具体的には2つ)形成されている。そして、これら各挿通孔99にボルト94が挿通され、そのボルト94がナット95と締結されている。これにより、固定板部68aひいては下側取付金物68が取付プレート67に固定されている。
下側取付金物68には、その溝部69に上方から隔て板26の下端部、詳しくはフレーム部61の下桟61bが挿し入れられており、その状態で下桟61bが下側取付金物68に固定されている。下桟61bは、その幅が下側取付金物68の溝部69の幅と同じか又はそれよりも若干小さくされている。下桟61bは、下側取付金物68の各側板部68bにビス97により固定されている。詳しくは、各側板部68bには、下側取付金物68の長手方向に所定間隔で複数(具体的には3つ)のビス孔98が設けられている。そして、それらビス孔98にビス97が挿通された状態で下桟61bにねじ込まれている。なお、各ビス孔98は上下に長い長孔形状とされている。また、ビス97に代えて、釘やボルト等、他の固定具を用いてもよい。
隔て板26が下側取付金物68に固定された状態で、下側取付金物68は、隔て板26においてその幅方向の中央部を含む位置に配置されている(図2参照)。詳しくは、下側取付金物68は、隔て板26においてその幅方向における外壁部21寄りの位置に配置されている。
続いて、バルコニー天井部32に対する隔て板26の固定構成について図6に基づいて説明する。図6は、バルコニー天井部32に対する隔て板26の固定構成を示す縦断面図である。
図6に示すように、隔て板26は、その上端部がバルコニー天井部32に上側取付金物75を介して固定されている。バルコニー天井部32には、上述したように、天井面材48を上方から支持するとともに隔て板26の厚み方向に延びる複数の野縁46が設けられている。これら複数の野縁46には、互いに近接させて配置された一対の野縁46aが含まれている。これら一対の野縁46aは、互いの間隔が野縁46aの幅寸法と略同じ大きさに設定されている。なお、これら各野縁46aが近接野縁に相当する。
ここで、各野縁46aが近接させて配置されているとは、各野縁46aの間の間隔が野縁46aの幅の2倍以下の大きさとなっていることである。各野縁46aが近接配置されていれば、各野縁46aの間の間隔は必ずしも野縁46aの幅と同じである必要はなく、野縁46aの幅より大きくしてもよい。
各野縁46aは、複数のバルコニー天井梁45に跨がって延びており、それら各バルコニー天井梁45(詳しくはその下フランジ)の下面側に取付金具47を介して取り付けられている。取付金具47はL字型の鋼板からなり、バルコニー天井梁45の下面に吊りボルト101を用いて固定された水平板部47aと、その水平板部47aから下向きに延び野縁46aの側面にビス102により固定された鉛直板部47bとを有する。なお、各吊りボルト101は、各野縁46aを挟んだ両側に配置されている。
各野縁46aの下面には、天井面材48がビス103により固定されている。そして、この天井面材48の下面側には上側取付金物75が固定されている。以下においては、図6に加え図7を用いながら上側取付金物75に関する構成を説明する。図7は、上側取付金物75に隔て板26が取り付けられる様子を示す斜視図である。
図6及び図7に示すように、上側取付金物75は、鋼板により断面L字状に形成されている。上側取付金物75は、隔て板26の幅方向に延びるように形成され、その長さが隔て板26の幅(横幅)の半分以下、詳しくは隔て板26の幅の1/3以下とされている(図2参照)。本実施形態では、上側取付金物75の長さが下側取付金物68の長さと同じとされている。なお、上側取付金物75が上側取付具に相当する。
上側取付金物75は、天井面材48の下面において各野縁46aに跨がるようにして配置され、その配置状態で各野縁46aに天井面材48を介してビス103により固定されている。したがって、上側取付金物75は、天井面材48とともに共通のビス103により各野縁46aに固定されている。詳しくは、上側取付金物75は、天井面材48の下面に設けられ各野縁46aにビス103により固定された固定板部75aと、固定板部75aから下方に延びる側板部75bとを有する。なお、ビス103に代えて、釘やボルト等、他の固定具を用いてもよい。
上側取付金物75の側板部75bには、隔て板26の上端部、詳しくはフレーム部61の上桟61cがビス104により固定されている。側板部75bには、上側取付金物75の長手方向に所定の間隔で複数(具体的には3つ)のビス孔105が設けられ、それらビス孔105にビス104が挿通された状態で上桟61cにねじ込まれている。なお、各ビス孔105は上下に長い長孔形状とされている。また、ビス104に代えて、釘やボルト等、他の固定具を用いてもよい。
隔て板26が上側取付金物75に固定された状態で、上側取付金物75は、隔て板26においてその幅方向の中央部を含む位置に配置されている(図2参照)。詳しくは、上側取付金物75は、隔て板26においてその幅方向における外壁部21寄りの位置に配置されている。また、本実施形態では、上側取付金物75が、隔て板26の幅方向において下側取付金物68と同じ位置に配置されている。
以上説明したように、隔て板26は、その下端部が下側取付具65を介してバルコニー床部31に固定され、その上端部が上側取付金物75を介してバルコニー天井部32に固定されている。そして、隔て板26は、かかる固定状態でバルコニー20に設置されている。詳しくは、隔て板26は、その幅方向の両端部が外壁部21及び腰壁部24に固定されてはおらず、そのため、隔て板26は、その上端部及び下端部のみがそれぞれバルコニー床部31及びバルコニー天井部32に固定されている。より詳しくは、隔て板26の下端部には下側取付具65(下側取付金物68)が1つしか設けられておらず、隔て板26の上端部には上側取付金物75が1つしか設けられていない。そのため、隔て板26は、それら1つずつの下側取付具65及び上側取付金物75を介してバルコニー床部31及びバルコニー天井部32に固定されている。
続いて、隔て板26をバルコニー20に設置する際の作業手順について簡単に説明する。なお、隔て板26をバルコニー20に設置するに際しては、あらかじめ下側取付具65をバルコニー床部31に固定しておくとともに、上側取付金物75をバルコニー天井部32に固定しておく。
隔て板26をバルコニー20に設置する際には、まず隔て板26の下桟61bを下側取付具65の下側取付金物68の溝部69に挿し入れる(図5参照)。これにより、隔て板26の厚み方向(換言するとバルコニー20の長手方向)の位置決めがなされる。次に、隔て板26の下桟61bを溝部69に挿し入れた状態で、隔て板26を幅方向において位置調整する。この場合、隔て板26と外壁部21との間隔(クリアランス)、及び隔て板26と腰壁部24との間隔(クリアランス)が所定の間隔となるように、位置調整を行う。
隔て板26の位置調整が終了した後、下桟61bを下側取付金物68にビス97により固定する。これにより、隔て板26の下端部が下側取付具65を介してバルコニー床部31に固定される。
次に、隔て板26の上桟61cを上側取付金物75にビス104により固定する。これにより、隔て板26の上端部が上側取付金物75を介してバルコニー天井部32に固定される。以上により、隔て板26の設置作業が完了する。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
隔て板26を、その下端部においてバルコニー床部31に固定し、その上端部においてバルコニー天井部32に固定することで設置した。この場合、隔て板26が上下の端部でそれぞれ固定されるため、固定箇所を少なくしても安定した状態で隔て板26を設置することが可能となる。これにより、隔て板26の設置作業について工数低減を図ることが可能となる。
隔て板26の下端部を下側取付具65を介してバルコニー床部31に固定し、隔て板26の上端部を上側取付金物75を介してバルコニー天井部32に固定した。また、かかる構成にあって、下側取付具65及び上側取付金物75をそれぞれ1つだけ設けた。この場合、隔て板26が下側取付具65及び上側取付金物75(上側取付具に相当)を介してバルコニー床部31及びバルコニー天井部32に固定される構成にあって、取付具65,75の固定箇所及び隔て板26の固定箇所を少なくすることができるため、隔て板26の設置作業について工数低減を図ることができる。また、各取付具65,75が1つずつしか設けられていないものの、隔て板26の上下端部で固定される構成となっているため、隔て板26を安定した状態で設置することができる。
下側取付具65の下側取付金物68に隔て板26の下端部が挿し入れられる溝部69を設けた。この場合、上述したように、隔て板26の設置に際し、溝部69に隔て板26の下端部を挿し入れることで隔て板26の厚み方向への位置決めを行うことができるとともに、隔て板26の幅方向の位置調整を行うことが可能となる。よって、この場合、隔て板26の設置作業を容易にすることが可能となる。
下側取付金物68及び上側取付金物75をいずれも隔て板26における幅方向の中央部を含む位置に配置したため、上下にそれぞれ1つだけ取付金物68,75が設けられる構成にあって、それら各取付金物68,75に隔て板26を安定した状態で取り付けることができる。
また、詳しくは、各取付金物68,75を隔て板26において外壁部21寄りに配置したため、隔て板26がバルコニー20において外壁部21に沿って吹く風を受けた場合に、その風に対する抵抗力を高めることができる。この場合、かかる風により隔て板26が各取付金物68,75を軸として回転してしまうといった事態が生じるのを抑制することができるため、隔て板26をより安定した状態で設置することが可能となる。
天井面材48を支持する複数の野縁46のうち、2つ(一対)の野縁46aを互いに近接させて配置し、それら各野縁46aに天井面材48を介して上側取付金物75を固定した。この場合、天井面材48の下地である野縁46を利用して上側取付金物75を固定することができるため、上側取付金物75を固定するための固定下地を別途設ける必要がなく、構成の簡素化等を図りながら上側取付金物75をバルコニー天井部32に固定することができる。
隔て板26の下端部を下側取付具65を介してバルコニー床梁35に固定し、隔て板26の上端部を上側取付金物75を介して(詳しくは、さらに天井面材48や野縁46a等を介して)バルコニー天井梁45に固定した。この場合、隔て板26が、建物躯体の一部を構成するバルコニー床梁35及びバルコニー天井梁45に固定されているため、隔て板26を安定した状態で設置することができる。
隔て板26の幅方向において当該隔て板26を挟んで両側に配置した外壁部21の外壁面材51及び腰壁部24の内側壁面材56のうち、外壁面材51をALC(軽量気泡コンクリート)により形成した。ALCは耐火性能等に優れる反面、脆い性質を有している。そのため、ALC製の外壁面材51に隔て板26を固定する場合、外壁面材51に割れが生じる等、破損のおそれがある。その点、隔て板26をバルコニー床部31及びバルコニー天井部32に固定するようにした上記実施形態の構成によれば、かかる外壁面材51に破損が生じるのを回避しながら、隔て板26を設置することが可能となる。なお、この場合、外壁面材51及び内側壁面材56がそれぞれ「壁材」に相当する。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上側取付金物75の構成は必ずしも上記実施形態のものに限定されない。例えば図8(a)に示すように、上側取付具110を断面コ字状に形成してもよい。図8(a)の例では、バルコニー天井部111において天井面材48の上方に隔て板26の幅方向に延びる下地材112が設けられている。この下地材112は、例えば角形鋼管よりなり、野縁46とは別で設けられている。かかる構成において、上側取付具110は、その溝部110aを下方に向けた状態で、下地材112に天井面材48を介してビス113により固定されている。そして、この上側取付具110の溝部110aに隔て板26の上桟61cが挿し入れられた状態で、当該上桟61cが上側取付具110にビス114により固定されている。この場合、上桟61cをより強固に固定することが可能となる。
図8(b)に示す例では、上側取付金物116が、下地材112に固定される固定板部116aと、その固定板部116aの幅方向の両端部から下方に延びる一対の鉛直板部116bと、それら各鉛直板部116bの下端部から互いに離間する側に延びる一対の水平板部116cとを有している。そして、隔て板26の上桟61cが、各水平板部116cの下面にビス117により固定されている。この場合にも、隔て板26の上端部を上側取付金物116を介してバルコニー天井部111に固定することができる。
図8(c)に示す例では、上側取付金物118が、アルミによる押し出し成形により形成されている。図8(c)の例では、天井面材48に隔て板26の幅方向に延びるスリット状の孔部119が形成されている。そして、その孔部119に上側取付金物118が挿入された状態で、当該上側取付金物118がバルコニー天井梁45に吊りボルト121を介して固定されている。また、上側取付金物118は、孔部119よりも下方に延びる垂下板部118aを有し、その垂下板部118aに隔て板26の上桟61cがビス122により固定されている。この場合、隔て板26の上端部を上側取付金物118を介してバルコニー天井梁45に固定することが可能となる。
(2)下側取付金物68の構成は必ずしも上記実施形態のものに限定されない。例えば、図9(a)に示すように、下側取付金物124を断面L字状に形成してもよい。また、図9(b)に示す下側取付金物126は、取付プレート67の上面に固定された固定板部126aと、固定板部126aの幅方向の両端部から上方に延びる一対の鉛直板部126bと、それら各鉛直板部126bの上端部から互いに離間する側に延びる一対の水平板部126cとを有している。そして、隔て板26の下桟61bが各水平板部126cの上面にビス127により固定されている。
(3)上記実施形態では、隔て板26の下端部を下側取付具65を介してバルコニー床部31に固定したが、隔て板26の下端部を下側取付具65を介さずにバルコニー床部31に直接固定するようにしてもよい。例えば、隔て板26の下端部(下桟61b)をバルコニー床部31(防水板41)の上に載置した状態で、下桟61bをバルコニー床部31(例えば防水板41や床下地材38)にビス等により固定することが考えられる。この場合、下側取付具65を設けなくてよい分、構成の簡素化を図る等の利点を得ることができる。
また、上記実施形態では、隔て板26の上端部を上側取付金物75(上側取付具に相当)を介してバルコニー天井部32に固定したが、隔て板26の上端部を上側取付金物75を介さずにバルコニー天井部32に直接固定するようにしてもよい。例えば、隔て板26の上端部(上桟61c)を天井面材48の下面に当接させた状態で、上桟61cをバルコニー天井部32(例えば野縁46a)にビス等により固定することが考えられる。この場合、上側取付金物75を設けなくてよい分、構成の簡素化を図る等の利点を得ることができる。
(4)上記実施形態では、隔て板26の下端部をバルコニー床部31に固定する下側取付具65を1つだけ設けたが、かかる下側取付具65を2つ以上設けてもよい。また、上記実施形態では、隔て板26の上端部をバルコニー天井部32に固定する上側取付金物75を1つだけ設けたが、かかる上側取付金物75を2つ以上設けるようにしてもよい。但し、これらの場合、隔て板26の固定箇所が増大して隔て板26の設置工数増大を招くおそれがある。したがって、その点を鑑みると、下側取付具65と上側取付金物75とはそれぞれ1つずつ設けるのが望ましい。
(5)例えば、バルコニー天井梁45の下面に下方へ延びる支柱部を固定し、その支柱部の下端部に上側取付金物75を固定するようにしてもよい。この場合、天井面材48に、支柱部を挿通させる孔部を形成し、その孔部を通じて支柱部を配設することが考えられる。そして、天井面材48の下方にて上側取付金物75を支柱部に固定することが考えられる。なお、この場合、上側取付金物75及び支柱部により「上側取付具」が構成される。
(6)上記実施形態では、隔て板26の幅方向の両側に配置される(外壁部21の)外壁面材51及び(腰壁部24の)内側壁面材56のうち、外壁面材51をALC製としたが、これに代えて又は加えて、内側壁面材56をALC製としてもよい。この場合にも、内側壁面材56が破損するのを回避しながら、隔て板26を設置することが可能となる。
(7)腰壁部24として、その壁幅方向に所定の間隔で立設される複数の支柱と、それら支柱に跨がって設けられる壁面材とを有して構成されるものがある。ここで、かかる腰壁部が設けられたバルコニー20に隔て板26を幅方向の両端部で固定する場合、すなわち隔て板26の幅方向の両端部を腰壁部24及び外壁部21に固定する構成とする場合、腰壁部24に対してはその支柱に固定することになると考えられる。そのため、かかる場合には、腰壁部24の支柱を隔て板26の幅方向に隣接して配置する必要があり、さらには、その関係で壁面材の割り付けを考慮する必要が生じうる。その点、隔て板26を、その上下の端部でバルコニー床部31及びバルコニー天井部32に固定するようにした本発明の構成によれば、かかる割り付けの配慮等をしなくてもよいという利点も得ることができる。
なお、手摺部は必ずしも腰壁部24(壁状)とする必要はなく、例えば手摺部を、その長手方向に所定の間隔で立設された手摺支柱と、それら手摺支柱に跨がって延びる手摺棒とを有する構成としてもよい。
(8)上記実施形態では、集合住宅10としてアパートを想定し、そのアパートに本発明を適用したが、マンション等、アパート以外の集合住宅に本発明を適用してもよい。