JP2019183246A - 部分メッキ方法及びスパークプラグ用の主体金具の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【目的】被メッキ物におけるメッキ非対象部分を、メッキ液の液面から露出させて、液中に浸漬している部分にのみ電気メッキで、部分メッキする方法で、メッキの進行中、メッキ液の液面の波立、反射波による液位の変動を小さくして、その液面寄りのメッキ精度の低下を防ぐ。【解決手段】メッキ槽101の周方向全域の内壁面105a,107a,108a,109aの近傍であって、液面200eよりも上方の位置から、メッキ槽101の底面103aに向かう所定範囲に消波手段301を設けておき、メッキの進行中における被メッキ物10を対向する両内壁面105a,109a相互間で水平方向において往復直線運動させる。往復直線運動により、気泡の付着除去ができ、液面に波立が生じるとしても、消波手段301にてその波のエネルギーを吸収するから、反射波の発生を低減できるので、液面の振幅を小さくでき、メッキ精度を高められる。【選択図】 図1
Description
本発明は、金属部品や金属製品(以下、金属部材又は単に部材ともいう)の表面(露出面)の全部(全体)ではなく、その一部、又は大部分など、その特定の部分を電気メッキによってメッキする部分メッキ方法、及び、スパークプラグ用の主体金具の製造工程のうちの該主体金具へのメッキ方法に、該部分メッキ方法を用いるスパークプラグ用の主体金具の製造方法に関する。
従来、金属部材の表面のうち、例えば、その一部を除く大部分の部位(メッキ対象部分)に電気メッキ(以下、単にメッキともいう)をする部分メッキ方法としては、被メッキ物である部材のうち、メッキ非対象部分(メッキ不要部位)に、樹脂の塗布等によるマスキング(絶縁)をしてメッキをする方法がある。この方法ではマスキングした被メッキ物を、通常の全体メッキと同様に、直接、又は回転バレルに入れてメッキ液中に浸漬してメッキの析出を行い、メッキ後においてマスキング材を除去することになる。この方法だと、メッキ前のマスキングのための作業だけでなく、メッキ後のその除去といった面倒な作業が必要となる。また、部分メッキではなく、全体をメッキした後で、メッキ非対象部分を特定の酸液(酸性の溶液)に浸漬して、その不要部位のメッキ被膜(以下、単にメッキともいう)を事後的に剥離、除去することで、必要な部分にのみメッキ被膜を形成するということも行われている。
一方、部分メッキでも、メッキ非対象部分が、被メッキ物の一端側の一部又は部分であるような場合には、メッキ槽内に供給するメッキ液を循環させ、所定の液位でオーバーフロー等させることにより、その液面の高さを所定位置(液位)に保持するようにしながら、被メッキ物をメッキ液中にメッキ非対象部分がその液面の上方に露出(突出)するように浸漬し、浸漬させているメッキ対象部分の表面にのみメッキ被膜を形成することも提案されている(特許文献1)。しかし、このような方法による部分メッキにおいては、次のような解決すべき課題があった。
電気メッキにおいては、給電開始(電極間への通電開始)に伴うメッキ液中の薬品の反応により、そのメッキの進行中(液中の金属イオンの被メッキ物(陰極)の表面への析出過程)に、メッキ液中において多量のガス(例えば、水素ガス)が微小な気泡となって無数、発生する。このような気泡は液中を上昇して液面に浮遊し、滞留するため、被メッキ物の液没している部位(メッキ対象部分)のうち、その液面近傍(液面寄り部位)の表面に付着し易い。例えば、図6に示した被メッキ物10(メッキ槽101中に図示)のように、異径筒状の筒状部材(以下、本体部分ともいう)11の先端面(図示、上端面)13に、相対的に小さな横断面で上方に延びる棒材31を有するような構造のものにおいて、その棒材31の部位はメッキをかけずに、本体部分11にはその先端面13についても、それより図示下方の部分(浸漬部分)と同様の膜厚で確実にメッキをしたいという場合がある。このような場合には、同図に示したように、棒材31の略全体をメッキ液200の液面200eの上に突出させ、かつ、その液面200eが本体部分11の先端面13の少し(例えば数mm)上に位置するようにして浸漬する必要がある。結果、その先端面13の上においては実質的な液200の深さ(液面200eと先端面13との距離)200dが、例えば数mmと浅くなる。この液の浅い部位は、液中で発生し、本体部分11の外側面に沿って上昇する気泡群の影にもなり、したがって、その部位には、気泡が溜る気泡溜りとなり易い。すなわち、このような部材の部分メッキにおいては、とくにその本体部分11の先端面13の上に、図6の拡大図中に示したように、多くの気泡(気泡群)Kが滞留し、付着しがちとなる。
このように、液面上に被メッキ物の部分を露出させてメッキする部分メッキ方法(以下、露出による部分メッキ方法、又は単に「部分メッキ方法」ともいう)において、その液面200eの近傍(液面寄り部位)において、気泡Kの滞留や付着があると、その影響により、該液面寄り部位における被メッキ物(陰極)への金属イオンが供給されないため、その部位の表面においてメッキの進行(メッキ(金属)の析出)が妨げられる。結果、この液面寄り部位のメッキ(被膜)の厚みが他に比べて薄くなる。とりわけ上記した図6に例示したような形状、構造の被メッキ物10のようなものに、部分メッキをする場合にはこうした問題が顕在化しやすい。すなわち、このような被メッキ物10では、その本体部分11における先端面13のメッキ(被膜)の厚みが他より薄くなるなど、メッキの膜厚精度の低下が大きくなる。因みに、図6に例示した被メッキ物(部材)10は、その詳細は後述するが、スパークプラグ用の主体金具(仕掛品)である。
一方、電気メッキの進行中においては、メッキ液の濃度を所定濃度に均一に保持する必要があるため、メッキ槽を含む循環流路では、メッキ液を、ろ過しつつ、新たなメッキ液を補充することが行われて循環されるのが普通である。ここで、この循環を、例えば、メッキ槽の一方の槽壁である内壁面から対向する他方の内壁面に向けて、そのメッキ槽内の液中に循環させるメッキ液を噴射して、その槽内の液に液流を付与し、他方の内壁面の上端(又は、所定の液位となるよう設けられたオーバーフロー口)でオーバーフローさせて、液を流路中において循環させることで、その液流により、被メッキ物の表面に滞留又は付着する気泡(以下、付着する気泡)を分散、除去する、ということが考えられる。しかし、メッキ液にこのような液流を付与する場合には、気泡の除去等は得られるとしても、不可避的にその液面に波が立ち、液面の上下動(変位)が生じる。そして、このような波(入射波)は、メッキ槽の内壁面で反射して反射波となって逆に内壁面から離れるように進行するが、波の周期等により、内壁面に向かって来る別の入射波と重ね合されて、その波高さ(波の振幅)を増大させる。このようにメッキ液に液流を付与する場合には、波立が生じる結果、液面の変位を増大させることになるため、被メッキ物の液面寄り部位におけるメッキ範囲内で析出するメッキの厚みや長さにバラツキが生じるといったメッキ精度の低下を招くという問題があった。
また、このような部分メッキの進行中においては、メッキ液の噴射を行うことなく、被メッキ物をメッキ液に対して水平方向に往復直線運動等の移動をさせることでも、メッキ液に相対的な液流を付与できることから、上記したような気泡の除去等の作用が得られる。しかし、このような場合にも、被メッキ物を水平方向に移動させることにより、前記したのと同様に、メッキ液の液面に波立が生じる。結果、その波が槽の内壁面で反射することによる反射波が、内壁面に向かって来る別の入射波と重ね合されて、その波高さ(波の振幅)が増大し、液面の変位を増大させることになる。このため、前記したのと同様、メッキ精度の低下を招いてしまうという問題がある。
こうしたことから理解されるが、上記したような部分メッキ方法においては、メッキ(メッキ被膜の厚みや長さ)に高精度が要求される部材(以下、精密メッキ部品(製品))への適用は不向きである。図6に示したような被メッキ物10であるスパークプラグ用の主体金具では、その棒材31の部分は、後工程で、火花ギャップの形成のためにL字形に曲げ加工され、しかも、その変形に伴う棒材31表面への影響(曲げ変形による表面の伸縮等)は、その大部分に及ぶ一方で、その本体部分11の先端面13には所望とする厚さのメッキが高精度で要求される。このため、このような精密メッキ部品たる主体金具には、従来は上記したように、全体をメッキした後、メッキ不要箇所を酸液(酸性の溶液)等に浸漬して事後的に不要のメッキ被膜として、これを剥離、除去するか、マスキング法をとることを余儀なくされており、これがその製造効率を低下させているといった問題があった。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、上記したような部分メッキ方法において、気泡除去等の作用を得てメッキ精度の向上を図るため、メッキ液に液流を付与したり、或いは、被メッキ物に水平方向の動きを付与したりすることで、その液面に生じる波立ち、それに起因する上記したような反射波の発生を低減ないし防止することで、被メッキ物における液面寄り部位のメッキ精度の低下を防止することをその目的とする。
請求項1に記載の発明は、メッキ槽内のメッキ液の液面を所定の液位に保持し、その保持状態の下で、被メッキ物を、その液面の上方にメッキ非対象部分を露出させつつ前記メッキ槽内の前記メッキ液中に浸漬し、浸漬されているメッキ対象部分の表面にのみ電気メッキによるメッキ被膜を形成する部分メッキ方法において、
前記メッキ槽の内壁面又は該内壁面の近傍であって、前記液面又は該液面よりも上方の位置から該メッキ槽の底面に向かう所定範囲に消波手段を設けておくことを特徴とする部分メッキ方法である。
前記メッキ槽の内壁面又は該内壁面の近傍であって、前記液面又は該液面よりも上方の位置から該メッキ槽の底面に向かう所定範囲に消波手段を設けておくことを特徴とする部分メッキ方法である。
請求項2に記載の発明は、メッキ槽内のメッキ液の液面を所定の液位に保持し、その保持状態の下で、被メッキ物を、その液面の上方にメッキ非対象部分を露出させつつ前記メッキ槽内の前記メッキ液中に浸漬し、浸漬されているメッキ対象部分の表面にのみ電気メッキによるメッキ被膜を形成する部分メッキ方法において、
前記メッキ槽の、少なくとも相互に対向する位置関係にある両内壁面、又は該両内壁面のそれぞれの近傍であって、前記液面又は該液面よりも上方の位置から該メッキ槽の底面に向かう所定範囲に消波手段を設けておき、
前記メッキ液に浸漬した前記被メッキ物を該両内壁面相互間で水平方向において往復直線運動させることを特徴とする部分メッキ方法である。
前記メッキ槽の、少なくとも相互に対向する位置関係にある両内壁面、又は該両内壁面のそれぞれの近傍であって、前記液面又は該液面よりも上方の位置から該メッキ槽の底面に向かう所定範囲に消波手段を設けておき、
前記メッキ液に浸漬した前記被メッキ物を該両内壁面相互間で水平方向において往復直線運動させることを特徴とする部分メッキ方法である。
請求項3に記載の発明は、前記メッキ槽内のメッキ液には前記両内壁面のいずれか一方から他方に向う水平方向の液流を付与することを特徴とする請求項2に記載の部分メッキ方法である。
請求項4に記載の発明は、メッキ槽内のメッキ液の液面を所定の液位に保持し、その保持状態の下で、被メッキ物を、その液面の上方にメッキ非対象部分を露出させつつ前記メッキ槽内の前記メッキ液中に浸漬し、浸漬されているメッキ対象部分の表面にのみ電気メッキによるメッキ被膜を形成する部分メッキ方法において、
前記メッキ槽の周方向全域の内壁面、又は該周方向全域の内壁面の近傍であって、前記液面又は該液面よりも上方の位置から該メッキ槽の底面に向かう所定範囲に消波手段を設けておき、
前記メッキ液に浸漬した前記被メッキ物を水平方向に動かすことを特徴とする部分メッキ方法である。
前記メッキ槽の周方向全域の内壁面、又は該周方向全域の内壁面の近傍であって、前記液面又は該液面よりも上方の位置から該メッキ槽の底面に向かう所定範囲に消波手段を設けておき、
前記メッキ液に浸漬した前記被メッキ物を水平方向に動かすことを特徴とする部分メッキ方法である。
請求項5に記載の発明は、前記メッキ槽内のメッキ液には、水平方向の液流を付与することを特徴とする請求項4に記載の部分メッキ方法である。
請求項6に記載の発明は、前記被メッキ物が、筒状部材の先端面に、火花ギャップ形成用の接地側電極用の棒材が突き合せ状に固定されてなるスパークプラグ用の主体金具であって、前記メッキ非対象部分が該棒材の自由端である先端を含む大部分であり、前記メッキ対象部分が、前記筒状部材の全体と、該棒材におけるメッキ非対象部分以外の部分である、スパークプラグ用の主体金具であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の部分メッキ方法である。
請求項7に記載の発明は、スパークプラグ用の主体金具の製造工程のうちの該主体金具へのメッキ方法に、請求項6に記載の部分メッキ方法を用いることを特徴とする、スパークプラグ用の主体金具の製造方法である。
上記したよう、部分メッキの進行中において、被メッキ物に水平方向の動きを付与したり、メッキ液に液流を付与したりすると、メッキ液の液面にはその動きや液流に起因して不可避的に波が生じ、それがメッキ槽の内壁面に向かう入射波となり、その内壁面で反射する反射波は、寄せ来る別の入射波と重ね合されるため、その波の高さ(振幅)が高くなる。これにより、被メッキ物のうちの液面寄り部位のメッキの長さがバラツキ、メッキの長さや膜厚の精度低下を招いてしまう。
これに対し、請求項1に記載の本発明では、上記したように消波手段を設けているため、被メッキ物を水平方向に動かしたり、メッキ液に液流を付与したりして、その液面に波が発生し、その波がメッキ槽の内壁面に向かっても、そこに設けられている前記消波手段に当たることで、その波(入射波)のエネルギーの一部ないし大部分が吸収される。このように本発明によれば、上記したように消波手段を設けているため、波が消され、或いは弱められることから、発生する波は分散、減衰あるいは消失する。そして、たとえ消波手段に当たった波(入射波)による反射波が生じるとしても、その波の高さを小さくできるから、内壁面に向ってくる別の波(入射波)との重なりによる波の高さ(振幅)の増大や、液位の変動を小さくできる。このため、メッキの進行中に、メッキ液中において発生し、被メッキ物における液面寄り部位に付着し、付着しようとする気泡の除去や、メッキ膜厚均一化等のために、被メッキ物を水平方向に移動したり、メッキ液に液流を付与することに起因する液位の変動を小さくできる。かくして、本発明によれば、被メッキ物における液面寄り部位のメッキ精度を高めることができる。
前記消波手段は、発生する入射波の反射が問題となる位置にある内壁面、又はその近傍(以下、単に「内壁面」ともいう)に設ければよい。そして、その反射は、被メッキ物の運動方向、或いは、メッキ液に付与される水平方向の液流の方向、それらの速度によっても、そして、メッキ槽の大きさ等によっても、その影響の程度が異なる上、消波作用が求められる内壁面も、周方向全域である必要もない場合がある。よって、前記消波手段は、消波作用が必要となる位置の内壁面に選択的に設けることとしてもよい。また、該消波手段は、内壁面の高さ方向において、その全体に設けてもよいが、発生する波の高さを考慮し、すなわち、発生する波を消波できればよい。このため、その上端は液面と同じか、それよりも上にしておくのがよいが、その下端は、該メッキ槽の底面まではなくともよく、該メッキ槽の底面に向かう所定範囲に設けておけばよい。
本発明における消波手段は、内壁面に一体で設けてもよいが、既存のメッキ槽におけるような場合等には、内壁面に、それとは別に接するように設けてもよいし、接することなく、適当な間隔をあけてその近傍に設けることとしてもよい。そして、前記消波手段は、液面(液面寄り部位)において発生し、内壁面に向かう波(入射波)が、消波手段自身に衝突、若しくは当たり、又は通過する際に、そのエネルギー(運動エネルギー)の少なくとも一部、又は大部分を吸収し、或いはそのエネルギーを減衰させることができる等により、反射波を発生させないか、発生させるとしてもその波高(振幅)を小さくできる手段であればよい。メッキ処理において、メッキ液、及び被メッキ物に影響を与えない素材(材料)からなるもので、メッキ槽(メッキ液)中において安定して設けることができるものであれば、各種の形状、構造の公知の消波手段を適用すればよい。
例示すれば、砂浜等の海岸に沿って設置される波消しブロックを、縮小、小型化したブロック形状物を、多数、網袋や網状ケースに収容し、絡み合い状態でランダムに積み上げ、所定の壁厚さの集合体(壁、又は防波堤構造)としてなるものの他、公知の各種の消波手段を用いることができる。詳細は後述するが、水平方向に突出する突起を、内壁面に無数設けるか、無数の穴をあけてなるパネル(板)、或いは、無数の水平スリットを細い格子群で形成してなる格子体を、内壁面に近接して配置して設けてもよいし、内壁面又はその近傍に立体網構造のパネルを設けるなど、各種の形状、構造の消波手段を設ければよい。
本発明における消波手段を設ける範囲は、上記したように、発生する波の反射が問題となる内壁面を対象として設ければよく、例えば、適宜の間隔で水平に配置した多数の被メッキ物(被メッキ物群)を水平方向に往復直線運動をさせる場合には、請求項2に記載のように、その直線運動の始端側と終端側に位置することになる対向する位置関係にある両内壁面に消波手段を設けるだけでもよい。なお、直線運動の速度は、メッキ対象部分における液面寄り部位の表面(以下、単に「表面」ともいう)に滞留又は付着する気泡(気泡群)が、洗い落とされ等により除去される作用が得られるよう、試験メッキ等に基づいて適宜のものとすればよい。そして、この場合においてメッキ液に液流を付与するときは、請求項3に記載のように、前記両内壁面のいずれか一方から他方に向う水平方向の液流とすればよい。こうすることで、液面又はその近傍において被メッキ物の表面に付着する気泡の除去、洗い落とし作用も高められるため、メッキ精度のより向上も図られる。液流の流速は、被メッキ物の水平方向の往復直線運動速度との関係で、適宜に設定すればよい。例えば、その液流(流れ方向)は一定でも良いし、変化させてもよい。
なお、消波手段は、請求項4に記載のように、メッキ槽の周方向全域の内壁面等に設けるのが、全方位に進む入射波の消波作用がえられるので好ましい。すなわち、このようにしておけば、いずれの方向に向って進む波(入射波)も消波できるし、メッキの進行中において前記被メッキ物を水平方向に動かすときのその方向の制約もなくすことができる。したがって、その水平方向の動きは、上記した往復直線運動はもとより、平面視、所定の位置(点)の回りに所定の半径で円運動(公転)させたり、所定の矩形経路を通る動きとするなど、任意の動きとすることができる。そして、この場合においても、請求項5に記載のように、メッキ液には水平方向の液流を付与するのが、上記したようにメッキ精度の向上の観点からして好ましい。
本発明において、「所定の液位」は、被メッキ物におけるメッキ対象部分の上端(メッキ対象部分と、メッキ非対象部分との境界)となるべき位置(液面の高さ位置)であり、所定の液位(液面の高さ)は、要求されるメッキ精度に基づいて付与される許容範囲内において設定される。すなわち、前記液面を所定の液位に保持する際には、メッキ領域の寸法精度、すなわち、メッキ領域の上端位置の寸法精度に基づいて付与される許容範囲内で、その液位として設定される。
そして、請求項6に記載の発明のように、前記被メッキ物が、筒状部材の先端面における外側に、火花ギャップ形成用の接地側電極用の棒材が突き合せ状に固定されてなるスパークプラグ用の主体金具であって、前記メッキ非対象部分が該棒材の自由端である先端を含む大部分であり、前記メッキ対象部分が、前記筒状部材の全体と、該棒材におけるメッキ非対象部分以外の該筒状部材の先端面寄りの基端部分であるものにおいては、筒状部材の先端面においても、前記気泡の滞留又は付着を有効に防止できる上に、メッキ精度の高い主体金具が効率よく得られる。このため、スパークプラグ用の主体金具の製造工程のうちの該主体金具へのメッキ方法に、このような部分メッキ方法を用いるスパークプラグ用の主体金具の製造方法によれば、スパークプラグ自体のコストの低減も期待される。
本発明に係る部分メッキ方法を具体化した実施の形態例について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本形態例においては、図6に示したスパークプラグ用の主体金具を被メッキ物10とする。この被メッキ物(以下、主体金具ともいう)10は、上記もしたように異径の筒状部材(本体部分)11の先端面(図示の上端面)13の一側に、火花ギャップ形成用の接地側電極用の棒材31が突き合せ状態で溶接等により固定されてなるものである。そして、図6に示したように、メッキ非対象部分は、該棒材31の自由端である先端33を含むその大部分の図示上下領域(メッキ液200の液面200eより上に露出する部分)であり、メッキ対象部分が、筒状部材11の上下間の全体と、該棒材31のうち、該筒状部材11の先端面13からその先端33に向かう数mmの所定の上下領域(図6における深さ領域200d)である。このため、以下の部分メッキにおいては、メッキの進行中において、筒状部材11の軸線Gを鉛直にし、その先端面13を上にしてこのメッキ対象部分を液中に浸漬させ、棒材31の自由端である先端33を含む所定部位をメッキ液200の液面200eの上方に突出させ、電気メッキ(例えば、Znメッキ)するものとする。なお、このように部分メッキとして棒材31の大部分をメッキ非対象部分(メッキ不要部分)とするのは、詳細は後述するが、この棒材31部分は、メッキ付きの主体金具とした後のスパークプラグとしての組み立て、製造過程で、上記もしたように、火花ギャップの形成のため、L字状に折り曲げ加工されることから、その際の曲げ変形の発生に伴うメッキの剥離や、それら等に起因する異常放電の発生防止のためである。
図1、図2を参照しながら、まず、本例方法の電気メッキに用いるメッキ装置について説明する。この装置をなすメッキ槽(以下、単に槽ともいう)101は、例えば、平面視したとき(上から見たとき)において、多数の被メッキ物10を水平方向において適度の間隔で配置できる大きさを有して、上方を開口する矩形槽形状を呈しており、矩形底部(底板)103の周囲において立ち上がる所定の高さの槽壁105〜108を有している。ただし、このメッキ槽101は、その図示左端寄り部位において、他より高さが低い槽壁(仕切り壁)109で仕切られ、その槽壁(仕切り壁)109の図示右側が実際にメッキを進行させる「メッキ槽」をなし、その左側がオーバーフロー用貯留槽111をなしている。
本例では、メッキ槽101に貯められているメッキ液(亜鉛メッキ用のメッキ液)200は、仕切り壁109の上端を、その液面(液位)として保持するよう設定されている。そして、その保持は、メッキ槽101内の図示右側において、循環手段を介してメッキ液を送り込み、その送り込みにより、仕切り壁109の上端113でオーバーフローさせて、オーバーフロー用貯留槽111に流れ込ませることで行われる。すなわち、オーバーフロー用貯留槽111に流れ込まされたメッキ液は、その底部に設けられた戻し配管131を介してメッキ槽101の下の貯液槽135に戻され、ろ過され、適宜、新規のメッキ液の補充がなされて所定の濃度、温度等に管理され、そして、循環ポンプ137により、供給配管(往路配管の主管)140を介して搬送され、槽101内の右側において分岐配管された枝管143に水平配置で設けられたノズル145から、槽101内のメッキ液200中に向けて所定の流量で水平に吐出(噴出)して送込むことで、その循環が行われ、液位が一定に保持される設定されている。なお、本例ではノズル145は、図示右の槽壁105における内壁面105a側から、それと向き合う位置にある槽壁(仕切り壁)109の内壁面109a側に、液が、図中、槽101内において破線矢印で示してように、水平方向の層流となって流れるように、右の内壁面105aの幅方向、高さ方向の全域に、縦横に所定の間隔をおいて複数設けられている。なお、メッキ槽101内の適所には、図示はしないが、被メッキ物(陰極)10の配置に応じ、必要な陽極(亜鉛、鉄、カーボンまたはチタン)が配置されている。
一方、このようなメッキ槽101の各槽壁105,107〜109には、その内壁面のうち、本例では、メッキ液200の液面200eより上方の位置から、例えばメッキ槽101の底面103aまでの高さ範囲にわたり、その各内壁面105a,107a,108a,109aと適宜の間隔を保持して消波手段301が設けられている。本例ではこの消波手段301は、内壁面105a,107a,108a,109の周方向全域を覆うように設けられている。また、本例では、海岸に積み上げ状に設けられる消波ブロックを小型化(マイクロ化)してなるブロック形状のもの(ブロック状消波体)が使用されている。ただし、このようなブロック状消波体は、例えば、適度の大きさの網袋内に多数、積み上げるように収容し、そのブロック状消波体を収容する多数の網袋を、適宜の保持体(図示せず)を介することで、各内壁面105a,107a,108a,109aに沿い、各内壁面に接触していてもよいが、本例では、適宜の間隔を保持する形で、各内壁面105a,107a,108a,109aの近傍において積み上げて壁構造をなしており、各内壁面を覆うように設けられている。なお、ノズル145が設けられている内壁面105aにおいては、ノズル145の先端がふさがれないよう、消波手段301が設けられている。
他方、本例では、メッキ槽101の上方、すなわち、メッキ液200の液面200eの上方には、平面視したとき、複数の被メッキ物10を適宜の間隔で保持して吊り下げるよう配置された複数のチャック装置(チャック装置群)401が、チャック本体405に設けられている。このチャック本体405は、各チャック装置401のチャック爪にて、各被メッキ物(主体金具)10の棒材31における先端部位(露出部位の上端寄り部位)をつかみ、吊り下げ状にして所定量、下降させることで、複数の被メッキ物(主体金具)10のそれぞれにおける上記したメッキ対象部分をメッキ液中に浸漬すると共に、その浸漬状態で、水平方向において、本例ではそのいずれの方向にも、所定の速度で移動、制御できるようされている。
このような本例では、メッキ前処理をした各主体金具10を、上記したようにして各チャック装置401により保持し、チャック本体405を所定量下降することで、所定液位まで溜められているメッキ液200の液面200eの上方に、メッキ非対象部分を所定量露出させて浸漬し、その浸漬状態(深さ)を一定に保持しつつ、チャック本体405を図1における左右に、所定の速度で、所定のストローク、往復直線運動させる。なお、この速度は、試験メッキ等により求められるところの、メッキ対象部分における液面200e寄り部位の表面である先端面13に付着する気泡(図6の拡大図参照)の除去が可能な速さ、勢いを基準に設定される。
他方、このチャック本体405(チャック装置)の往復直線運動の開始と共に、循環ポンプ137を作動して各ノズル145から循環させるメッキ液を供給して、該液面200eに沿う一定方向の流れ(液流)を付与し、電気メッキのための給電を開始する。なお、この液流の流速は、往復直線運動の速度より小さくする。かくして、被メッキ物10は、対向する内壁面105a,109a相互間において所定ストロークで往復直線動させられ、メッキ液に浸漬されている部位には、メッキの析出が進み、メッキが進行する。なお、このメッキの進行過程では、メッキ液200は、図示左の内壁(仕切り壁109)側に設けられた消波手段301の中(ブロック状消波体相互の隙間)を通過し、仕切り壁109の上端113においてオーバーフローしてオーバーフロー用貯留槽111に流れ込み、その底部に設けられた戻し配管131を介してメッキ槽101外の貯液槽135に戻され、ろ過され所定の濃度、温度等に管理されて、循環ポンプ137を介して供給配管(往路配管の主管)140を介して、槽内の右側において分岐配管された枝管143に水平配置で設けられたノズル145から槽101内の液200中に、所定流量で吐出され、その循環が連続して行われる。
このような本例では、所望とするメッキ被膜の厚みが得られるまで、メッキの進行(メッキ時間)を継続させることになるが、その工程中においては、被メッキ物10に水平方向の往復直線運動が行われるため、それに付着しており、或いは付着しようとする気泡の除去作用が得られる。一方、被メッキ物10の往復直線運動等に伴い、液面200eには波が立つものの、各内壁面105a,107a,108a,109aに向って進行する入射波は、ブロック状消波体の積み上げによる消波手段301にてそのエネルギーが吸収されることになり、反射波の発生を低減ないし防止できる。これにより、消波手段301を設けない従来のメッキ工程において発生していたような、反射波と、寄せ来る別の入射波との重畳による波の振幅の増大化を低減ないし防止できる。結果、液面200eの変化、変動を小さくできるため、その分、被メッキ物10における液面200e寄り部位のメッキ精度の低下を防止できることになり、メッキ精度を高めることができる。なお、本例では、被メッキ物10の移動速度を、液流の速度より大きくして往復直線運動させているため、被メッキ物10に対する液200の上流を、往路、復路で交互に変換できるから、その点からもメッキ被膜の厚みの均一化が図られ、メッキ精度が高められる。所定のメッキ時間経過後は、チャック本体405の往復直線運動を止めて、それを引き上げ(上昇させ)、被メッキ物を後処理工程に送ればよい。
かくして、本例の部分メッキ方法によれば、メッキ被膜(Znメッキ層)が、被メッキ物(主体金具)10における筒状部材11の全体と、棒材31における所望とする領域(基端寄り部位)に、高精度でメッキ被膜が形成されたスパークプラグ用の主体金具10を得ることができる。このような主体金具は、その処理工程後において、スパークプラグとしての組み立て過程に送られ、そこでは、図3−A、Bに示したように、この主体金具10に対し、中心電極41等を含む中空軸状の碍子51が組み付けられ、主体金具10の後端15をカシメ加工することで固定される(図3−C)。そして、図3−Cに示したように、接地側電極用の棒材31における先端側をL字状に折り曲げることで、その折り曲げ後の棒材31の先端33と、碍子51の先端から突出するその中心電極41の先端との間で火花ギャップが形成され、スパークプラグ90として組立てられる。なお、このようにして組立て、製造されるスパークプラグ90の構造自体は従来公知のものである。因みに、主体金具10を構成する筒状部材11は、図3−Cの上から、プラグホールへのネジ込み用のネジ部16、ネジ込み時の位置決めフランジ17、ねじ込み用多角形部18、そして、カシメ用の後端15等からなっている。
そして、このような主体金具10は、上記メッキ方法を用いたことで、その先端面13及びその近傍における防蝕性の低下を招くこともない、メッキ精度の高い主体金具となすことができる。このように、上記メッキ工程を含む主体金具10の製造方法によれば、上記メッキ工程においてその先端面13等のメッキ精度が高められるから、棒材31の曲げ加工のため、従来のように、全体のメッキ後に不要のメッキを剥離、除去する必要もないし、マスキング法をとる必要もない。このため、部分のメッキが要求されるものでありながらも、メッキ精度の高い主体金具が効率よく得られる。そして、その部品としてだけでなく、スパークプラグとしての製造効率も高められることになるから、スパークプラグ自体のコストの低減も期待される。
上記例では、槽内の内壁面に設ける消波手段を、周方向全域の内壁面に対して設けたが、メッキの進行中において発生する波(入射波)が、主として、被メッキ物の往復直線運動方向に位置する対向する内壁面側に向けて進行し、反射波もそれと反対側への進行となるような場合には、その相互に対向する位置関係にある両内壁面、又は該両内壁面のそれぞれの近傍に消波手段を設けるだけとしてもよい。
ただし、上記例におけるように、槽101内の内壁面に設ける消波手段301を、周方向全域の各内壁面105a,107a,108a,109aに設けた場合には、全方位へ進む入射波による反射波の発生を低減できる。よって、このような場合には、被メッキ物10の移動方向の設定の自由度が高められる。被メッキ物の形状、構造、大きさ等に応じ、気泡の滞留又は付着が、平面視における周囲の全体において問題となるような場合であり、被メッキ物の動きを単に往復直線運動とするだけでは、その除去作用が不十分な場合に効果的である。すなわち、入射波の進行方向がいずれであっても、それによる反射波の発生を低減ないし防止できるからである。そして、上記例におけるように、消波手段301を、周方向全域の内壁面に設けた場合には、水平方向の液流の流れ方位の変更に対しても効果的である。液位を一定に保持するのは、本例におけるようにオーバーフローさせるのが簡易であり、好ましいといえるが、水平方向の液流の流れ方位を変更するような場合には、その変更後の各下流側となる内壁面の上端においてオーバーフローさせるようにしておけばよい。
上記例では、消波手段として、海岸に設置される波消しブロックを小型化(マイクロ化)したものを多数、ネットに入れ、これを保持体で所定位置において壁構造となるように積み重ねたものとして具体化したが、本発明における消波手段は、波のエネルギーを吸収して、反射波の発生を低減できればよく、したがって、それに代えて、立体網構造のパネルや、無数の連続気孔を有する多孔質体パネルを上記例におけるものと同様に配置することとしても消波手段とし得る。以下、図示しながら、他の別例等について説明する。ただし、消波手段以外は、上記例におけるものと同じである。よって、上記例と同一又は共通するところは、適宜、その説明を省略し、相違点のみ説明する。
図4の消波手段501は、内壁面(自体)109aに垂直で水平方向に延びる突起を、その内壁面109aに無数設け、その無数の突起群を消波手段501とし、波消し作用が得られるようにしたものである。このような消波手段501を備える内壁面109aに向って進む入射波は、その無数の突起相互の間に入ることで、その分、単なる平面からなる内壁面に向って進むことで当たる入射波に比べ、波のエネルギーが吸収されるため、反射波の発生を低減できる。そして、このような消波手段501は、上記したような液流のオーバーフローが要される内壁面109aにおいても、その液は、無数の突起群501の液面寄りの相互の間において、内壁面109aの上端113をオーバーフローすることで、その循環を行うことができる。なお、この場合の消波手段501の上端は、液位と同じとなる。
図5の消波手段601は、内壁面109aに近接して(間隔をあけて)、無数の水平スリットを細い格子群で形成してなる格子体を配置してなるものである。このものでも、内壁面109aに向って進む入射波は、その無数の水平スリット相互の間に入ることで、その分、単なる平面からなる内壁面に向って進むことで当たる入射波に比べ、波のエネルギーが吸収されるため、反射波の発生を低減できる。なお、このような消波手段601は、液流のオーバーフローが要されない内壁面107aに対しては、それに接するように設けてもよい。このように、本発明における消波手段は、消波作用として波のエネルギーを吸収できるもので、電気メッキに支障がないものであれば、各種のものを用いることができるし、それら異なる種類の消波手段を組合せとて用いることとしてもよい。
本発明は、上記したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜、変更して具体化できる。例えば、液位の保持については、液流の下流に位置する槽壁の上端をオーバーフローさせるものとしたが、これに代えて、槽の各壁面にオーバーフロー口を設けたり、槽を平面視したとき、適所に複数のオーバーフロー管を立ち上げ、そのオーバーフロー管の上端(開口)からオーバーフローする液を流下させ、液位がオーバーフロー管の上端となるようにしておいてもよい。また、上記例では、チャック装置401のチャック爪にて、被メッキ物(主体金具)10の棒材31における先端部位(露出部位の上端寄り部位)をつかみ、吊り下げ状にしていたが、これに代えて、被メッキ物の孔内に棒状の治具を挿入して、下側から被メッキ物を支えて保持する保持装置であってもよい。また、上記例では、被メッキ物として、スパークプラグ用の主体金具としたが、本発明では、これに限られず、露出による部分メッキ方法が適用できる部材である限り、形状、構造、そして、それらが精密メッキ部品であると否とに限らず広く適用できる。なお、メッキ金属は、Znに限られず、Ni等各種の電気メッキにおいても適用できることは明らかである。
10 被メッキ物(スパークプラグ用の主体金具)
101 メッキ槽
103a メッキ槽の底面
105a,107a,108a,109a メッキ槽の内壁面
200 メッキ液
200e 液面
301,501,601 消波手段
101 メッキ槽
103a メッキ槽の底面
105a,107a,108a,109a メッキ槽の内壁面
200 メッキ液
200e 液面
301,501,601 消波手段
Claims (7)
- メッキ槽内のメッキ液の液面を所定の液位に保持し、その保持状態の下で、被メッキ物を、その液面の上方にメッキ非対象部分を露出させつつ前記メッキ槽内の前記メッキ液中に浸漬し、浸漬されているメッキ対象部分の表面にのみ電気メッキによるメッキ被膜を形成する部分メッキ方法において、
前記メッキ槽の内壁面又は該内壁面の近傍であって、前記液面又は該液面よりも上方の位置から該メッキ槽の底面に向かう所定範囲に消波手段を設けておくことを特徴とする部分メッキ方法。 - メッキ槽内のメッキ液の液面を所定の液位に保持し、その保持状態の下で、被メッキ物を、その液面の上方にメッキ非対象部分を露出させつつ前記メッキ槽内の前記メッキ液中に浸漬し、浸漬されているメッキ対象部分の表面にのみ電気メッキによるメッキ被膜を形成する部分メッキ方法において、
前記メッキ槽の、少なくとも相互に対向する位置関係にある両内壁面、又は該両内壁面のそれぞれの近傍であって、前記液面又は該液面よりも上方の位置から該メッキ槽の底面に向かう所定範囲に消波手段を設けておき、
前記メッキ液に浸漬した前記被メッキ物を該両内壁面相互間で水平方向において往復直線運動させることを特徴とする部分メッキ方法。 - 前記メッキ槽内のメッキ液には前記両内壁面のいずれか一方から他方に向う水平方向の液流を付与することを特徴とする請求項2に記載の部分メッキ方法。
- メッキ槽内のメッキ液の液面を所定の液位に保持し、その保持状態の下で、被メッキ物を、その液面の上方にメッキ非対象部分を露出させつつ前記メッキ槽内の前記メッキ液中に浸漬し、浸漬されているメッキ対象部分の表面にのみ電気メッキによるメッキ被膜を形成する部分メッキ方法において、
前記メッキ槽の周方向全域の内壁面、又は該周方向全域の内壁面の近傍であって、前記液面又は該液面よりも上方の位置から該メッキ槽の底面に向かう所定範囲に消波手段を設けておき、
前記メッキ液に浸漬した前記被メッキ物を水平方向に動かすことを特徴とする部分メッキ方法。 - 前記メッキ槽内のメッキ液には、水平方向の液流を付与することを特徴とする請求項4に記載の部分メッキ方法。
- 前記被メッキ物が、筒状部材の先端面に、火花ギャップ形成用の接地側電極用の棒材が突き合せ状に固定されてなるスパークプラグ用の主体金具であって、前記メッキ非対象部分が該棒材の自由端である先端を含む大部分であり、前記メッキ対象部分が、前記筒状部材の全体と、該棒材におけるメッキ非対象部分以外の部分である、スパークプラグ用の主体金具であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の部分メッキ方法。
- スパークプラグ用の主体金具の製造工程のうちの該主体金具へのメッキ方法に、請求項6に記載の部分メッキ方法を用いることを特徴とする、スパークプラグ用の主体金具の製造方法。
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JP2018078756A JP2019183246A (ja) | 2018-04-16 | 2018-04-16 | 部分メッキ方法及びスパークプラグ用の主体金具の製造方法 |
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JP2017145438A (ja) * | 2016-02-15 | 2017-08-24 | 日本特殊陶業株式会社 | 部分メッキ方法及びスパークプラグ用の主体金具の製造方法 |
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