JP2019183200A - 銅合金及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】優れた防錆効果を有し、メッキを不要とし、廃液問題の解決、加工時間短縮、製造コスト削減及び生産性向上につながる、新たな合金を提供する。【解決手段】Ｆｅ（鉄）を１％〜５％、Ｃｒ（クロム）またはＳｎ（錫）を０．１％〜４％含有し、残部がＣｕ（銅）及び不可避的不純物からなる銅合金。【選択図】なし

Description

本発明は、銅合金（銅基合金）及びその製造方法に関するものであり、具体的には、銅と鉄が所定比率の銅鉄２元合金に第３元素を混ぜてなり、防錆効果を有する合金及びその製造方法に関するものである。

従来の防錆方法は対象物にＮｉ（ニッケル）やＳｎ（錫）メッキを施すものであったが、廃液問題、加工時間、製造コスト、生産性の点で問題があり、新たな技術の開発が強く望まれていた。

そこで、この出願に係る発明の目的は、優れた防錆効果を有し、メッキを不要とし、廃液問題の解決、加工時間短縮、製造コスト削減及び生産性向上につながる、新たな合金及びその製造方法を提供することにある。

本願発明者らは、鋭意研究の結果、銅と鉄が所定比率の銅鉄２元合金に第３元素を混ぜることで防錆効果を発現させることを見出すに至った。

すなわち、前述した目的は、
２元銅鉄合金中のＦｅ（鉄）の含有率を１％〜５％にし、Ｃｒ（クロム）もしくはＳｎ（錫）を０．１％〜４％混ぜる（Ｒｅｍ＝Ｃｕ）ことによって達成される。

なお、この出願で言及する２元銅鉄合金とは銅と鉄を主成分とする合金であり、不純物レベルの超微量の他元素の混入が有っても２元銅鉄合金と定義される。

本発明によれば、優れた防錆効果を有する合金を提供することができる。

また、本発明を利用することでメッキが不要となり、廃液問題の解決、加工時間短縮、製造コスト削減及び生産性向上につながる。

本発明は、銅と鉄が所定比率の銅鉄２元合金に第３元素を混ぜて防錆効果を発現させる技術に関するものである。
以下、本発明の具体的実施形態について説明する。

本発明に係る銅合金（銅基合金）は、
Ｆｅ（鉄）を１％〜５％、
Ｃｒ（クロム）を０．１％〜４％含有し、
残部がＣｕ（銅）及び不可避的不純物からなるものである。

上記銅合金では、Ｆｅ（鉄）を１％〜５％としているが、Ｆｅ（鉄）を１％〜２％とするのがより好ましい。
また、上記銅鉄合金では、Ｃｒ（クロム）を０．１％〜４％としているが、Ｃｒ（クロム）を０．５％〜１％とするのがより好ましい。

また、本発明に係る銅合金は、
Ｆｅ（鉄）を１％〜５％、
Ｓｎ（錫）を０．１％〜４％含有し、
残部がＣｕ（銅）及び不可避的不純物からなるものである。

また、本発明に係る銅合金の製造方法では、
２元銅鉄合金中のＦｅ（鉄）の含有率を１％〜５％にし、残部をＣｕ（銅）とするものに対し、Ｃｒ（クロム）を０．１％〜４％混ぜる。

また、本発明に係る銅合金の製造方法では、
２元銅鉄合金中のＦｅ（鉄）の含有率を１％〜５％にし、残部をＣｕ（銅）とするものに対し、Ｓｎ（錫）を０．１％〜４％混ぜる。

以下、本発明の具体的実施例について説明する。

表１に示す組成の試験片を用意し、実施例１〜９、比較例とした。
実施例１〜６では、銅鉄２元合金にＣｒ（クロム）を所定量混ぜたもの、すなわちＣｕ−Ｆｅ−Ｃｒ合金を試験片とした。
実施例７〜９では、銅鉄２元合金にＳｎ（錫）を所定量混ぜたもの、すなわちＣｕ−Ｆｅ−Ｓｎ合金を試験片とした。
比較例では、銅版を試験片とした。
各試験片のサイズは、２００ｍｍ×２００ｍｍ×５ｍｍとした。

表１に示す実施例及び比較例の各試験片について、塩水噴霧試験を連続１０００時間にわたって実施し、塩水噴霧試験の前後における各試験片の外観変化を目視で評価した。結果を表２に示す。

表２に示すとおり、実施例１〜９の銅合金は、塩水噴霧試験（連続１０００時間）の前後でその外見に変化は無く、すなわち、塩水噴霧試験を通じて錆の発生はまったく認められず、また、変色も無く、優れた防錆効果を有することが確認された。

したがって、本発明を使えばメッキが不要となり、廃液問題の解決、加工時間短縮、製造コスト削減及び生産性向上につながることが明らかとなった。

Claims (2)

1. Ｆｅ（鉄）を１％〜５％、
   Ｃｒ（クロム）またはＳｎ（錫）を０．１％〜４％含有し、
   残部がＣｕ（銅）及び不可避的不純物からなる銅合金。
2. 請求項１に記載の銅合金の製造方法であって、
   ２元銅鉄合金中のＦｅ（鉄）の含有率を１％〜５％にし、残部をＣｕ（銅）とするものに対し、Ｃｒ（クロム）もしくはＳｎ（錫）を０．１％〜４％混ぜる、ことを特徴とする銅合金の製造方法。