JP2019183105A - 金属ナノワイヤ成長制御剤、金属ナノワイヤの製造方法及び金属ナノワイヤ分散液の製造方法 - Google Patents

金属ナノワイヤ成長制御剤、金属ナノワイヤの製造方法及び金属ナノワイヤ分散液の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019183105A
JP2019183105A JP2018202798A JP2018202798A JP2019183105A JP 2019183105 A JP2019183105 A JP 2019183105A JP 2018202798 A JP2018202798 A JP 2018202798A JP 2018202798 A JP2018202798 A JP 2018202798A JP 2019183105 A JP2019183105 A JP 2019183105A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal nanowire
meth
metal
control agent
acrylamide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018202798A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7110910B2 (ja
Inventor
長谷川 俊之
Toshiyuki Hasegawa
俊之 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko PMC Corp
Original Assignee
Seiko PMC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko PMC Corp filed Critical Seiko PMC Corp
Priority to JP2018202798A priority Critical patent/JP7110910B2/ja
Publication of JP2019183105A publication Critical patent/JP2019183105A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7110910B2 publication Critical patent/JP7110910B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)

Abstract

【課題】 従来からの諸問題を解決し得る金属ナノワイヤ成長制御剤、金属ナノワイヤの製造方法及び金属ナノワイヤ分散液の製造方法を提供する。【解決手段】1−ビニル−2−ピロリジノン(a)及びN置換(メタ)アクリルアミド類(b)を構成単位として有する共重合物(c)を含有し、1−ビニル−2−ピロリジノン(a):N置換(メタ)アクリルアミド類(b)=65:35〜98:2の質量比の範囲であることを特徴とする、金属ナノワイヤ成長制御剤。【選択図】なし

Description

本発明は、金属ナノワイヤ成長制御剤、金属ナノワイヤの製造方法及び金属ナノワイヤ分散液の製造方法に関する。より詳しくは、1−ビニル−2−ピロリジノン(a)及びN置換(メタ)アクリルアミド類(b)を構成単位として有する共重合物(c)を構成単位として含む金属ナノワイヤ成長制御剤、有機溶媒への分散性及び塗工膜中での均一性を向上した金属ナノワイヤ及びその分散液の製造方法に関する。
近年、タッチパネルを搭載した情報端末機器の急速な普及に伴い、高光線透過率や低ヘイズといった高品位の透明電極の要求が高まっている。従来、これらの透明電極に用いられる透明導電膜には酸化インジウムスズ(ITO)が用いられてきた。
しかしながら、ITOの成分であるインジウムは産出量が少ないレアメタルであり、産出地域の片寄も大きいため、供給の不安や価格の高騰といった問題を有している。また、現在ITOはスパッタ法を代表とするドライプロセスにより導電膜を形成していることから、大規模な高真空製造装置が必要となり、生産速度やコストの面が問題となる。
そこで、最近ではダイコート法やロールコート法等により導電膜を形成するウェットプロセスが適用可能なカーボンナノチューブ(CNT)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の導電性高分子、銀ナノワイヤ等の金属ナノワイヤ、といった微細繊維状導電体を使用する方法が注目されている。ウェットプロセスによる加工は、大面積の導電膜を短時間で形成することが可能で製造コストを低減できる。
これらの中でも金属ナノワイヤを含有した導電膜は低抵抗で高光線透過率であることが注目され、タッチパネル等の透明電極材料としての実用化が始まっている。
国際公開第2013/121556号公報 特開2015−035381号公報 特開2018−014252号公報
しかしながら、金属ナノワイヤ成長制御剤として一般的に用いられるポリビニルピロリドンの場合、得られる金属ナノワイヤ導電膜の表面抵抗率、光線透過率及びヘイズは良好であるが、フィルムの移動方向(以下、MD方向と称する)とフィルムの移動方向と直角方向(以下、TD方向と称する)間での抵抗の差が大きくなるという課題がある。
特許文献1及び特許文献2では、乾燥工程中での乾燥風の温度、風速及び温度を調整することでMD方向の抵抗に対するTD方向の抵抗の比を1に近づけることが開示されている。また、特許文献3では、積極的にマランゴニ対流を生じさせることでウエット塗膜内の銀ナノワイヤを攪乱し、ランダム配置を取らせることで導電膜面内の表面抵抗率を均一化することを開示している。一方で、いずれの文献においても金属ナノワイヤ合成法の変更による改善方法については検討されていない。
本発明は、従来からの前記した諸問題を解決し得る金属ナノワイヤ成長制御剤、金属ナノワイヤの製造方法及び金属ナノワイヤ分散液の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決すべく本願発明者らが鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有する単量体を構成単位として有する共重合物を含む金属ナノワイヤ成長制御剤を用いて合成された金属ナノワイヤが、TD方向での抵抗がよりMD方向の抵抗に近く、さらに導電膜面内での表面抵抗率の均一性が高い金属ナノワイヤ分散液を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(1)1−ビニル−2−ピロリジノン(a)及びN置換(メタ)アクリルアミド類(b)を構成単位として有する共重合物(c)を含有し、1−ビニル−2−ピロリジノン(a):N置換(メタ)アクリルアミド類(b)=65:35〜98:2の質量比の範囲であることを特徴とする、金属ナノワイヤ成長制御剤、
(2)前記N置換(メタ)アクリルアミド類(b)が、下記一般式(1)で示されるモノマー(d)及びアクリロイルモルホリンから選ばれる1種以上からなることを特徴とする前記(1)に記載の金属ナノワイヤ成長制御剤、
(d)〔一般式(1)〕
Figure 2019183105
(但し、一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、Rは炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基もしくは1,1−ジメチル−3−オキソブチル基を示す。)
(3)前記N置換(メタ)アクリルアミド類(b)が、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド及びアクリロイルモルホリンから選ばれる1種以上からなることを特徴とする前記(2)に記載の金属ナノワイヤ成長制御剤、
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ成長制御剤を用いることを特徴とする金属ナノワイヤの製造方法、
(5)(4)に記載の金属ナノワイヤの製造方法で得られた金属ナノワイヤが、水及び有機溶媒から選ばれる1種以上の溶媒に分散されたものであることを特徴とする金属ナノワイヤ分散液の製造方法、
(6)下記i)〜iii)の工程を有することを特徴とする前記(5)に記載の金属ナノワイヤ分散液の製造方法、
i)金属ナノワイヤ成長制御剤を含むポリオール中で、金属化合物を25〜180℃で反応させて金属ナノワイヤを合成する工程
ii)金属ナノワイヤを合成した反応液から、金属ナノワイヤを取り出す工程
iii)取り出した金属ナノワイヤを溶媒あるいは樹脂溶液に分散する工程
(7)前記工程iii)で用いる溶媒あるいは樹脂溶液が、水及び有機溶媒から選ばれる1種類以上の溶媒を含むことを特徴とする前記(6)に記載の金属ナノワイヤ分散液の製造方法、
である。
本発明の金属ナノワイヤ成長制御剤を用いて合成された金属ナノワイヤは、TD方向の抵抗とMD方向の抵抗との差が小さく、塗膜とした際の表面抵抗率の均一性に優れる塗工体を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<金属ナノワイヤ成長制御剤>
本発明の金属ナノワイヤ成長制御剤は、1−ビニル−2−ピロリジノン(a)及びN置換(メタ)アクリルアミド類(b)を構成単位として有する共重合物(c)を含有する金属ナノワイヤ成長制御剤である。
<1−ビニル−2−ピロリジノン(a)>
1−ビニル−2−ピロリジノン(a)は、N−ビニル−2−ピロリドンとも称される分子内環状カルボン酸アミドである。
<N置換(メタ)アクリルアミド類(b)>
N置換(メタ)アクリルアミド類(b)は、(メタ)アクリルアミドのN位の少なくとも一つの水素原子が他の官能基で置換されているものであればよく、分子内環状N−置換アクリルアミドも含まれる。N位の水素が他の官能基で少なくとも1つ置換されているものであれば特に限定されず、これらの中から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
N置換(メタ)アクリルアミドの具体例としては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドヘキサン酸、(メタ)アクリルアミドドデカン酸、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
これらの中でも、前記N置換(メタ)アクリルアミド類(b)は、下記一般式(1)で示されるモノマー(d)及びアクリロイルモルホリンから選ばれる1種以上であることが好ましい。
(d)〔一般式(1)〕
Figure 2019183105
(但し、一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、Rは炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基もしくは1,1−ジメチル−3−オキソブチル基を示す。)
より好ましくは、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド、もしくは、アクリロイルモルホリンであり、最も好ましくはN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドである。
前記1−ビニル−2−ピロリジノン(a)と前記N置換(メタ)アクリルアミド類(b)の質量比は、1−ビニル−2−ピロリジノン(a):N置換(メタ)アクリルアミド類(b)=65:35〜98:2である必要がある。前記範囲内であれば、TD方向の抵抗がMD方向の抵抗により近く、塗膜とした際の表面抵抗率の均一性に優れるものとなる。より好ましくは、(a):(b)=85:15〜98:2である。
前記N置換(メタ)アクリルアミド類(b)を前記1−ビニル−2−ピロリジノン(a)と共重合することによる、塗膜とした際の表面抵抗率の均一性向上、TD方向の抵抗がMD方向の抵抗に近づく現象の機構は定かではないが、N置換(メタ)アクリルアミド類(b)のアミド基や置換基といった官能基が1−ビニル−2−ピロリジノン(a)と比較し、アクリル構造のためビニル構造よりも主鎖から炭素一つ分離れていて近隣の物質とより相互作用しやすいために金属ナノワイヤ上に微量残留する金属ナノワイヤ成長制御剤の主鎖から伸びた官能基が、基材に対してアンカー効果を発揮しやすく、金属ナノワイヤ表面に極微量残存する成長制御剤により、金属ナノワイヤが基材上に配置された瞬間から基材にしっかりと吸着し、外力が加わっても基材から動きにくくなるためではないかと考えられる。
本発明の金属ナノワイヤ成長制御剤は、ポリオールへの溶解性や、金属ナノワイヤの形成を阻害しない程度に、前記1−ビニル−2−ピロリジノン(a)、前記N置換(メタ)アクリルアミド類(b)以外の単量体を共重合物(c)の構成単位として有してもよく、その含有率は共重合物(c)中の10質量%以下が好ましい。
共重合可能な他の単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル(異性体を含む)、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル類;(メタ)アクリルアミド;酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;(メタ)アリルアルコール、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルアミン等の(メタ)アリル化合物類;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルカルボン酸アミド類;4−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等のビニル基含有複素環類が挙げられる。イオン性を有するモノマーに関しては、それらの塩類も使用できる。
本発明の金属ナノワイヤ成長制御剤に用いる共重合物(c)の製造方法としては、従来公知の各種の方法を採用することができる。例えば、撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた反応容器に前記1−ビニル−2−ピロリジノン(a)、N置換(メタ)アクリルアミド類(b)及び溶媒を仕込み、重合開始剤を添加した後、反応温度20〜150℃で0.5〜12時間反応させて得られる。重合形態は溶液重合、懸濁重合、乳化重合、沈殿重合等いずれでもよい。反応操作は回分反応、半回分反応、連続反応のいずれでもよい。
本発明の金属ナノワイヤ成長制御剤に用いる共重合物(c)を合成するための反応溶媒は重合反応を行えるものであれば従来公知の溶媒を用いればよい。具体的な例としては、水、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、メチルエチルケトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
本発明の金属ナノワイヤ成長制御剤に用いる共重合物(c)を合成するための重合開始剤は従来公知の物質を用いればよい。具体的な例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩類;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物類;過硫酸塩類や過酸化物類と亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、ブドウ糖、アスコルビン酸等の還元剤との組み合わせによるレドックス開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物類;ベンゾフェノン等の光重合開始剤;さらにはこれら過硫酸塩類、過酸化物類、レドックス開始剤、アゾ化合物類、光重合開始剤等を組み合わせた重合開始系が挙げられる。
共重合物(c)の溶液粘度を調整するため、重合時に従来公知の連鎖移動剤を用いてもよい。具体的な例としては、メルカプトエタノール、ラウリルメルカプタン、チオグリセリン、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸等のチオール類、2−プロパノール等のアルコール類、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルアルコール等の(メタ)アリル化合物類、ホスフィン酸ナトリウムの様なホスフィン酸塩類が挙げられる。
共重合物(c)は、金属ナノワイヤの合成を考慮すると後述するポリオール溶液としておくことが好ましい。プロピレングリコール溶液とすることがより好ましく、5質量%プロピレングリコール溶液とした際の25℃におけるB型粘度が500〜4000mPa・sの範囲であることが好ましい。この範囲であれば、金属ナノワイヤ合成時に金属ナノワイヤ形状の制御が良好となる。
共重合物(c)は、本発明の金属ナノワイヤ成長制御剤として、次の本発明の金属ナノワイヤの合成に供する。この際、金属ナノワイヤ成長制御剤は共重合物(c)の重合に用いた溶媒を含んだ状態で用いても、他の溶媒で溶媒置換して用いても、加熱乾燥、スプレー乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥等により乾燥固形化した後に所望の溶媒で溶解して用いてもいずれでもよい。
金属ナノワイヤは、通常、前記した共重合物(c)を含有する金属ナノワイヤ成長制御剤、塩化物イオンの存在下、ポリオールを還元剤として、金属化合物を還元することにより得られる。
<金属ナノワイヤの合成方法>
金属ナノワイヤの合成方法としては、少量の金属イオンを還元剤で金属ナノ粒子に変換し、これを結晶核粒子とし、金属イオン、還元剤を逐次添加することで前記結晶核粒子を金属ナノワイヤに成長させる方法(以下、逐次添加成長法と略する)、全金属イオンを還元剤により一旦金属ナノ粒子とした後オストワルド熟成によってワイヤ化する方法(以下、熟成成長法と略する)等が一般に用いられる。本発明においては逐次添加成長法、熟成成長法どちらの製造方法を採用してもよい。また、反応操作としては、回分反応、半回分反応、連続反応のいずれを採用してもよい。
<ポリオール>
本発明の金属ナノワイヤの合成に供する還元剤にはポリオールを用いることが好ましい。ポリオールとしては、金属イオンを還元できる化合物であれば特に制限はなく、2つ以上の水酸基を有する化合物から少なくとも一種類を目的に応じて適宜選択することができる。本発明で好ましく用いることができるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、等のジオール類及びこれらの異性体;グリセリン、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘキサントリオール等のトリオール類及びこれらの異性体;ブタンテトラオール、ペンタンテトラオール、ヘキサンテトラオール等のテトラオール類及びこれらの異性体;ペンタンペンタオール、ヘキサンペンタオール等のペンタオール類及びこれらの異性体;ヘキサンヘキサオール等のヘキサオール類及びこれらの異性体等が挙げられる。これらの中でも、常温で液体であることや、金属ナノワイヤ成長制御剤の溶解のし易さ、といった点から、炭素数が1〜5である飽和炭化水素のジオール、炭素数が1〜5である飽和炭化水素のトリオールが好ましい。中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンがより好ましい。
<反応溶媒>
本発明の金属ナノワイヤの合成に供する還元剤のポリオールは、反応溶媒としても機能しているが、金属ナノワイヤ成長制御剤の溶解性や金属ナノワイヤの生成を阻害しない程度にポリオール以外の反応溶媒を加えてもよい。例えば、水;あるいは、メタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、ターピネオール等のアルコール類及びこれらの異性体;あるいはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸アミル、プロピオン酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン等のアミド類;ジメチルスルホキシド等の有機硫黄化合物類が挙げられる。
<金属化合物>
本発明の金属ナノワイヤの合成に供する金属化合物としては、ポリオールによって還元される化合物が好ましく、特に制限はない。具体的な例としては、金、白金、パラジウム、銀、銅等の無機酸塩類あるいは有機酸塩類が挙げられる。金属種としては銀が好ましく、銀の無機酸塩類がより好ましく、硝酸銀が特に好ましい。
<塩化物イオン>
本発明の金属ナノワイヤの合成に供する塩化物イオンは、無機塩化物あるいは有機塩化物を極性溶媒中に溶解することによって生成される。塩化物イオンとすることができる塩の具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物;塩化マグネシウム、塩化カルシウム等のアルカリ土類金属塩化物;塩化アルミニウム等の土類金属塩化物;塩化亜鉛等の亜鉛族金属塩化物;塩化スズ等の炭素族金属塩化物;塩化マンガン、塩化鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、オキシ塩化ジルコニウム等の遷移金属塩化物;アンモニア塩酸塩(以下、塩化アンモニウムと略する場合がある)、ヒドラジン塩酸塩、メチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、トリエチルアミン塩酸塩、エチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、トリエチルアミン塩酸塩、プロピルアミン塩酸塩、ジプロピルアミン塩酸塩、トリプロピルアミン塩酸塩、ブチルアミン塩酸塩、ジブチルアミン塩酸塩、トリブチルアミン塩酸塩、ペンチルアミン塩酸塩、ヘキシルアミン塩酸塩、エタノールアミン塩酸塩、ジエタノールアミン塩酸塩、トリエタノールアミン塩酸塩、ジメチルエタノールアミン塩酸塩、メチルジエタノールアミン塩酸塩、シクロヘキシルアミン塩酸塩、エチレンジアミン塩酸塩、ジエチレンテトラミン塩酸塩、トリエチレンペンタミン塩酸塩、アニリン塩酸塩、トルイジン塩酸塩、グルコサミン塩酸塩、アセトアミジン塩酸塩等のアミン塩酸塩、アラニン塩酸塩、アルギニン塩酸塩、リシン塩酸塩、システイン塩酸塩、グルタミン酸塩酸塩、オルニチン塩酸塩、シスチン二塩酸塩等のアミノ酸塩酸塩;塩化テトラブチルホスホニウム、塩化メトキシメチルトリフェニルホスホニウム、塩化ベンジルトリフェニルホスホニウム等の塩化ホスホニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、塩化リチウム、塩化ナトリウム、オキシ塩化ジルコニウム、塩化メトキシメチルトリフェニルホスホニウム、塩化アンモニウムが好ましい。
<その他の添加物>
その他の添加物として、金属ナノワイヤの分散性を補助するための界面活性剤や高分子系増粘剤、金属ナノワイヤの酸化を防止するための酸化防止剤、金属ナノワイヤの硫化を防止するための硫化防止剤、系内の水素イオン濃度を調整するための無機酸あるいは有機酸といった酸成分及びアンモニア、アミン類、金属水酸化物といったアルカリ成分等を金属ナノワイヤの生成を阻害しない程度に適宜添加することができる。
<反応温度>
本発明の金属ナノワイヤの合成における反応温度は、銀ナノワイヤが形成可能な温度であればどのような温度でもよいが、25〜180℃であることが好ましい。25℃よりも低いと金属ナノワイヤ形成に時間がかかりすぎ、180℃を超えると金属ナノワイヤ成長制御剤の変質の可能性がある。
<反応時間>
本発明の金属ナノワイヤの合成における反応時間は、金属ナノワイヤが形成可能な時間であれば任意に設定できるが、製造コストの観点から72時間以内が好ましい。
<各原料の仕込み方法>
本発明の金属ナノワイヤの合成における各原料の仕込み方法は、あらかじめ使用溶媒で溶解した後反応容器に仕込んでも、反応容器に使用溶媒を仕込んでから各原料を仕込んでもどちらでもよいが、均一混合のし易さから、あらかじめ使用溶媒に溶解してから仕込むことが好ましく、あらかじめ使用溶媒に溶解してから仕込む場合は滴下仕込みでも一括仕込みでもどちらでもよい。各原料の仕込み順序は特に指定はないが、反応初期段階でより良好な金属ナノ粒子を生成しやすくするため、金属ナノワイヤ成長制御剤、塩化物イオンを含む塩、その他の添加物を仕込んだ後、金属化合物を最後に仕込むことが好ましい。
<金属化合物の反応濃度>
本発明の金属ナノワイヤの合成における反応系中の金属化合物の濃度は、良好な金属ナノワイヤを形成するという観点から、0.0006〜2mol/kgが好ましく、0.006〜0.8mol/kgがさらに好ましい。金属化合物の濃度が0.0006mol/kgを下回ると金属ナノワイヤの生成量が少なくなって製造コストがかかりすぎ、2mol/kgを上回ると良好な形態の金属ナノワイヤが得られにくくなる。
<金属ナノワイヤ成長制御剤の反応濃度>
本発明の金属ナノワイヤの合成における金属ナノワイヤ成長制御剤の濃度は、良好な金属ナノワイヤの形成の点から、金属ナノワイヤ成長制御剤を構成する重合体の単量体単位換算で、0.0006〜2.5mol/kgが好ましく、0.001〜2mol/kgがより好ましく、0.01〜1mol/kgがさらに好ましい。金属ナノワイヤ成長制御剤の濃度が0.0006mol/kgを下回ると良好な形態の金属ナノワイヤが得られにくくなる。また、2.5mol/kgを上回ると良好な形態の金属ナノワイヤが得られにくくなるうえに、金属ナノワイヤを単離する際に金属ナノワイヤ成長制御剤の除去操作が煩雑になることから製造コストの上昇を招く。
<塩化物イオンの反応濃度>
本発明の金属ナノワイヤの合成における塩化物イオンの反応濃度は、良好な金属ナノワイヤの形成の点から0.01〜50mmol/kgが好ましく、0.05〜10mmol/kgがさらに好ましく、0.05〜0.15mmol/kgが特に好ましい。塩化物イオンの濃度が50mmol/kgを上回る場合には、良好な形態の金属ナノワイヤが得られにくくなる。
上述した金属ナノワイヤの合成方法によれば、金属ナノワイヤの長軸長を任意に制御可能であり、該合成方法で得られる反応液を精製することで、断面直径が1μm未満であり、アスペクト比(長軸長/直径)が2以上である構造体なる本発明の金属ナノワイヤを得ることができる。
<金属ナノワイヤの直径>
金属ナノワイヤを透明導電膜として用いる場合、透明性を高めるためには、金属ナノワイヤの直径は小さい方が有利であり、かつ好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤの直径として250nm未満が好ましく、150nm未満であることがより好ましく、100nm未満であることがさらに好ましい。なお、金属ナノワイヤの直径は、走査型電子顕微鏡を用い、100個の金属ナノワイヤを観察し、その算術平均値から求めることができる。
<金属ナノワイヤの長軸長>
金属ナノワイヤを含有する透明電導膜は、金属ナノワイヤが互いに接触し合い、3次元的な導電ネットワーク構造が空間的に広く分布して形成されることにより、導電性を発現する。したがって、透明導電膜の用途に応じて最適な長軸長を有する金属ナノワイヤが好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤの長軸長として0.5〜1000μmが好ましい。なお、金属ナノワイヤの長軸長は、走査型電子顕微鏡を用い、100個の金属ナノワイヤを観察し、その算術平均値から求めることができる。
<金属ナノワイヤ分散液の製造方法>
本発明の金属ナノワイヤ分散液の製造方法は、下記i)〜iii)の工程を有することを特徴とする。
i)金属ナノワイヤ成長制御剤を含むポリオール中で、金属化合物を25〜180℃で反応させて金属ナノワイヤを合成する工程。
ii)金属ナノワイヤを合成した反応液から、金属ナノワイヤを取り出す工程。
iii)取り出した金属ナノワイヤを溶媒あるいは樹脂溶液に分散する工程。
金属ナノワイヤを合成した反応液から金属ナノワイヤを取り出す方法としては、遠沈法、濾過法、傾瀉法、水簸法、溶媒による沈殿後再分散処理する方法等従来公知の方法を用いることができる。
取り出した金属ナノワイヤを溶媒あるいは樹脂溶液に分散する方法としては、撹拌翼型撹拌機、超音波分散機、震盪機、自転公転撹拌機等を用いる従来公知の方法を用いることができる。
溶媒は金属ナノワイヤを分散可能なものであれば特に制限はない。具体例としては、水;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、ターピネオール等のアルコール類;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等のポリオール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、乳酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、3−メチル−2−ヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族類;及びこれらの2種類以上からなる溶媒が挙げられる。
樹脂溶液は、金属ナノワイヤを分散可能な溶媒に樹脂を溶解したものであれば特に制限はない。樹脂の具体例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、ガティガム、ローカストビーンガム、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム等の多糖類及びその誘導体;(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド等を単独あるいは共重合したポリ(メタ)アクリル樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリエステル樹脂;アルキッド樹脂;エポキシ樹脂;エチレン酢酸ビニル樹脂;ポリビニルアルコール及びその誘導体等があげられる。
本発明の金属ナノワイヤ及びその分散液は、例えば、透明導電膜を形成し、液晶ディスプレイ用電極材、プラズマディスプレイ用電極材、有機エレクトロルミネセンスディスプレイ用電極材、電子ペーパー用電極材、タッチパネル用電極材、薄膜型アモルファスSi太陽電池用電極材、色素増感太陽電池用電極材、電磁波シールド材、帯電防止材等の各種デバイスなどに幅広く適用される。
以下、好ましい金属化合物として、硝酸銀を用い、本発明の実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に記載がない限り、「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を表す。
なお、本文中あるいは表中の各薬剤の略号、商標、商品名は以下のことを意味する。
HEAA:N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、商品名HEAA、KJケミカルズ(株)製
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド、商品名DMAA、KJケミカルズ(株)製
DEAA:N,N−ジエチルアクリルアミド、商品名DEAA、KJケミカルズ(株)製
NIPAM:N−イソプロピルアクリルアミド、商品名NIPAM,KJケミカルズ(株)製
TBAA:N−t−ブチルアクリルアミド、商品名TBAA、MCCユニテック(株)製
HEAA:2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、商品名HEAA、KJケミカルズ(株)製
ACMO:アクリロイルモルホリン、商品名ACMO、KJケミカルズ(株)製
DAAM:N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、商品名DAAM、KHネオケム(株)製
NMMA:N−メトキシメチルアクリルアミド、商品名NMMA、MCCユニテック(株)製
CBA:アクリル酸2−エトキシエトキシエチル、商品名ビスコート#190、大阪有機化学工業(株)製
HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル、商品名HEA、大阪有機化学工業(株)製
PG:プロピレングリコール、商品名工業用プロピレングリコール、(株)ADEKA製
<銀ナノワイヤ成長制御剤の合成例>
(成長制御剤PG溶液1)
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコに水769部、プロピレングリコール66部、1−ビニル−2−ピロリジノン127部、アクリロイルモルホリン23部を仕込んだ。窒素ガスを送入しながらフラスコ内温を70℃に昇温したのち、5質量%2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)プロピレングリコール溶液15部を添加した。重合熱による昇温が停止したことを確認後内温90℃で保持し3時間反応させた。
その後ナス型フラスコに成長制御剤反応液333部、プロピレングリコール800部を投入し、ロータリーエバポレーターによって含有している水の理論量よりも少し上回る蒸留液を留去し溶媒置換を行った。溶媒置換後の液を直径約5cmのアルミカップに約1g量りとり、150℃の強制対流電気乾燥機で恒量になるまで乾燥させて固形分を測定し、濃度5質量%に調整するために必要なプロピレングリコール量を算出した。算出量のプロピレングリコールを溶媒置換後の液に加えて撹拌し、濃度5質量%の成長制御剤PG溶液1を調製した。B型粘度計による粘度は25℃において1560mPa・sであった。
(成長制御剤PG溶液2〜17)
単量体組成を表1に記載のように変更した以外は成長制御剤PG溶液1と同様にして成長制御剤PG溶液2〜17を合成した。
Figure 2019183105
<銀ナノワイヤ合成例>
(銀ナノワイヤ反応原液1)
撹拌装置、温度計、窒素導入管を具備した四つ口フラスコに窒素を送入しながら、成長制御剤PG溶液1を137部、ヒドロキシアセトン2部、プロピレングリコール714部、濃度1.5質量%の塩化ナトリウムのプロピレングリコール溶液5部、濃度2.5質量%の臭化ナトリウムのプロピレングリコール溶液2部を加え、室温で30分間撹拌した。次いで、内温を145℃まで昇温し、濃度5質量%の硝酸銀のプロピレングリコール溶液140部を15分かけて加え、さらに30分撹拌し、銀ナノワイヤ反応原液1を合成した。
(銀ナノワイヤ反応原液2〜17)
成長制御剤PG溶液1を成長制御剤PG溶液2〜17に換えた以外は銀ナノワイヤ反応原液1と同様にして銀ナノワイヤ反応原液2〜17を得た。
<銀ナノワイヤ水分散液合成例>
(銀ナノワイヤ水分散液1)
上記銀ナノワイヤ反応原液1 100部に水100部を加えて希釈し、メンブレンフィルターで吸引濾過した。さらに残渣上に水を加えて吸引濾過を5回繰り返すことで銀ナノワイヤを単離した。得られた銀ナノワイヤを、水で銀濃度が1質量%になるように銀ナノワイヤ水分散液1を調製した。銀ナノワイヤの平均直径は50nm以下であった。
(銀ナノワイヤ水分散液2〜17)
上記銀ナノワイヤ反応原液1を銀ナノワイヤ反応原液2〜17に換えた以外は銀ナノワイヤ水分散液1と同様にして銀ナノワイヤ水分散液2〜17を得た。銀ナノワイヤの平均直径は、銀ナノワイヤがほとんど得られなかった銀ナノワイヤ水分散液17を除き、いずれも50nm以下であった。
<セルロース系バインダ調製例>
撹拌装置を具備した四つ口フラスコに水995部を投入したのち撹拌下、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名メトセル311、ダウ・ケミカル(株)製)5部を投入して溶解し、0.5質量%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を得た。
<銀ナノワイヤインク調製例>
(銀ナノワイヤインク1)
撹拌装置を具備した四つ口フラスコに水725部を投入したのち撹拌下、0.5質量%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液200部、上記銀ナノワイヤ水分散液1 75部を順に投入し均一に分散させ、銀ナノワイヤインク1を得た。
(銀ナノワイヤインク2〜16)
銀ナノワイヤ水分散液1を銀ナノワイヤ水分散液2〜16に換えた以外は銀ナノワイヤインク1と同様にして銀ナノワイヤインク2〜16を得た。なお、銀ナノワイヤがほとんど得られなかった銀ナノワイヤ水分散液17からは実用的でないことから銀ナノワイヤインクを調製しなかった。
<銀ナノワイヤインク塗工例>
(実施例1)
銀ナノワイヤインク1を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:ルミラーU403、東レ(株)製、厚さ100μm)にバーコーターNo.14を用いて塗工後、120℃の強制対流式電気乾燥機で2分間乾燥し、銀ナノワイヤ塗工フィルム1を得、評価に供した。
(実施例2〜13、比較例1〜3)
銀ナノワイヤインク1を、銀ナノワイヤインク2〜16に換えた以外は同様にして、銀ナノワイヤ塗工フィルム2〜16を得た。
(評価方法)
得られた銀ナノワイヤ塗工フィルムの、各評価項目における評価方法及び測定方法は以下の方法に従った。
(銀ナノワイヤ長)
暗視野顕微鏡(商品名:BX51、オリンパス(株)製)を用い、1000本以上の銀ナノワイヤを撮影し、画像処理ソフトウエア(商品名:Image−Pro Premier、Media Cybernetics, Inc製)を用いて銀ナノワイヤ長を算出した。
[全光線透過率]
NDH5000(日本電色工業(株)製)を用い、銀ナノワイヤ塗工フィルムの全光線透過率を測定した。さらに下式により、未塗工のフィルムと塗工後のフィルムとの前光線透過率の差を算出して、Δ全光線透過率とした。
Δ全光線透過率(%)=未塗工のフィルムの全光線透過率−塗工後のフィルムの全光線透過率
ここで、Δ全光線透過率はその絶対値が小さいほど優れていることを示し、Δ全光線透過率の絶対値が1.5%以下であれば実用上問題ないレベルである。
[ヘイズ]
NDH5000(日本電色工業(株)製)を用い、銀ナノワイヤ塗工フィルムのヘイズを測定した。さらに下式により、未塗工のフィルムと塗工後のフィルムとのヘイズの差を算出して、Δヘイズとした。
Δヘイズ(%)=未塗工のフィルムのヘイズ−塗工後のフィルムのヘイズ
ここで、Δヘイズはその絶対値が小さいほど優れていることを示し、Δヘイズの絶対値が1%以下であれば実用上問題ないレベルである。
(銀ナノワイヤ塗工フィルムの表面抵抗率)
銀ナノワイヤ塗工フィルム上の異なる10部位の表面抵抗率(Ω/□)を測定し、その算術平均値から銀ナノワイヤ塗工フィルムの平均表面抵抗率を求めた。表面抵抗率の測定には、非接触式表面抵抗率測定器EC−80P(ナプソン(株)製)を用いた。
ここで、表面抵抗率は値が小さいほど優れていることを示し、表面抵抗率が60Ω/□未満であれば実用上問題ないレベルである。
また、標準偏差(Ω/□)および平均表面抵抗率(Ω/□)から、下式により変動係数(%)を算出した。
変動係数(%)=標準偏差/平均表面抵抗率×100
ここで、変動係数は0%に近いほど優れていることを示し、変動係数が20%以下であれば実用上問題ないレベルである。
(銀ナノワイヤ塗工フィルム2点間の抵抗)
銀ナノワイヤ塗工フィルム上の異なる5部位の抵抗(Ω)をMD方向及びTD方向においてテスター(商品名:デジタルマルチメータPM3、三和電気計器(株)製)を用いて測定し、その算術平均値から各抵抗を求めた。さらに下式により、MD方向の抵抗に対するTD方向の抵抗の比を算出して、TD/MD比とした。
TD/MD比=TD方向の抵抗/MD方向の抵抗
ここで、TD/MD比は1に近いほど優れていることを示し、TD/MD比が1.2以下であれば実用上問題ないレベルである。
Figure 2019183105
表2中、「|Δ全光線透過率|」、「|Δヘイズ|」はそれぞれ、Δ全光線透過率の絶対値、Δヘイズの絶対値を表す。
(実施例1〜13)
本願発明で規定する共重合物(c)を含有する成長制御剤を使用しているために、すべての評価項目において実用上問題ないレベルにある。
(比較例1)
実施例1〜13と比べ、1−ビニル−2−ピロリジノンのみを含有する成長制御剤を使用しているために、表面抵抗率、表面抵抗率の変動係数、及びTD/MD比において実用上問題がある。
(比較例2)
実施例1〜13と比べ、N−置換(メタ)アクリルアミド(b)のみを含有し、1−ビニル−2−ピロリジノンを含有しない成長制御剤を使用しているために、Δ全光線透過率の絶対値及びΔヘイズの絶対値において実用上問題がある。
(比較例3)
実施例1〜13と比べ、N−置換(メタ)アクリルアミド(b)を含有せず、N−置換(メタ)アクリルアミド(b)以外の単量体を含有する成長制御剤を使用しているために、表面抵抗率、表面抵抗率の変動係数、及びTD/MD比において実用上問題がある。

Claims (7)

  1. 1−ビニル−2−ピロリジノン(a)及びN置換(メタ)アクリルアミド類(b)を構成単位として有する共重合物(c)を含有し、1−ビニル−2−ピロリジノン(a):N置換(メタ)アクリルアミド類(b)=65:35〜98:2の質量比の範囲であることを特徴とする、金属ナノワイヤ成長制御剤。
  2. 前記N置換(メタ)アクリルアミド類(b)が、下記一般式(1)で示されるモノマー(d)及びアクリロイルモルホリンから選ばれる1種以上からなることを特徴とする請求項1に記載の金属ナノワイヤ成長制御剤。
    (d)〔一般式(1)〕
    Figure 2019183105
    (但し、一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、Rは炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基もしくは1,1−ジメチル−3−オキソブチル基を示す。)
  3. 前記N置換(メタ)アクリルアミド類(b)が、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド及びアクリロイルモルホリンから選ばれる1種以上からなることを特徴とする請求項2に記載の金属ナノワイヤ成長制御剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ成長制御剤を用いることを特徴とする金属ナノワイヤの製造方法。
  5. 請求項4に記載の金属ナノワイヤの製造方法で得られた金属ナノワイヤが、水及び有機溶媒から選ばれる1種以上の溶媒に分散されたものであることを特徴とする金属ナノワイヤ分散液の製造方法。
  6. 下記i)〜iii)の工程を有することを特徴とする請求項5に記載の金属ナノワイヤ分散液の製造方法。
    i)金属ナノワイヤ成長制御剤を含むポリオール中で、金属化合物を25〜180℃で反応させて金属ナノワイヤを合成する工程
    ii)金属ナノワイヤを合成した反応液から、金属ナノワイヤを取り出す工程
    iii)取り出した金属ナノワイヤを溶媒あるいは樹脂溶液に分散する工程
  7. 前記工程iii)で用いる溶媒あるいは樹脂溶液が、水及び有機溶媒から選ばれる1種類以上の溶媒を含むことを特徴とする請求項6に記載の金属ナノワイヤ分散液の製造方法。
JP2018202798A 2018-10-29 2018-10-29 金属ナノワイヤ成長制御剤、金属ナノワイヤの製造方法及び金属ナノワイヤ分散液の製造方法 Active JP7110910B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018202798A JP7110910B2 (ja) 2018-10-29 2018-10-29 金属ナノワイヤ成長制御剤、金属ナノワイヤの製造方法及び金属ナノワイヤ分散液の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018202798A JP7110910B2 (ja) 2018-10-29 2018-10-29 金属ナノワイヤ成長制御剤、金属ナノワイヤの製造方法及び金属ナノワイヤ分散液の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019183105A true JP2019183105A (ja) 2019-10-24
JP7110910B2 JP7110910B2 (ja) 2022-08-02

Family

ID=68339845

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018202798A Active JP7110910B2 (ja) 2018-10-29 2018-10-29 金属ナノワイヤ成長制御剤、金属ナノワイヤの製造方法及び金属ナノワイヤ分散液の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7110910B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112216438A (zh) * 2020-02-27 2021-01-12 海泰纳鑫科技(成都)有限公司 纳米银线涂布液及其制备方法和应用
CN114685714A (zh) * 2020-12-29 2022-07-01 上海朗亿功能材料有限公司 改性聚合物、抗菌组合物、制备方法、织物整理、应用

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012140701A (ja) * 2010-12-17 2012-07-26 Seiko Pmc Corp 銀ナノワイヤの製造方法及び銀ナノワイヤ成長制御剤
JP2017508869A (ja) * 2013-12-31 2017-03-30 ローディア オペレーションズ 銀ナノ構造体の作製方法
JP2017078207A (ja) * 2015-10-20 2017-04-27 公立大学法人 滋賀県立大学 銀ナノワイヤおよびその製造方法並びに分散液およびインク

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012140701A (ja) * 2010-12-17 2012-07-26 Seiko Pmc Corp 銀ナノワイヤの製造方法及び銀ナノワイヤ成長制御剤
JP2017508869A (ja) * 2013-12-31 2017-03-30 ローディア オペレーションズ 銀ナノ構造体の作製方法
JP2017078207A (ja) * 2015-10-20 2017-04-27 公立大学法人 滋賀県立大学 銀ナノワイヤおよびその製造方法並びに分散液およびインク

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112216438A (zh) * 2020-02-27 2021-01-12 海泰纳鑫科技(成都)有限公司 纳米银线涂布液及其制备方法和应用
CN112216438B (zh) * 2020-02-27 2023-11-03 宁波鑫智达新材料有限公司 纳米银线涂布液及其制备方法和应用
CN114685714A (zh) * 2020-12-29 2022-07-01 上海朗亿功能材料有限公司 改性聚合物、抗菌组合物、制备方法、织物整理、应用
CN114685714B (zh) * 2020-12-29 2023-09-22 上海朗亿功能材料有限公司 改性聚合物、抗菌组合物、制备方法、织物整理、应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP7110910B2 (ja) 2022-08-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101888343B1 (ko) 은 나노와이어의 제조방법 및 은 나노와이어 성장 제어제
TWI671146B (zh) 用於製備銀奈米結構之方法、由該等方法製得之銀奈米結構、含有該等銀奈米結構之分散體、及利用該分散體製得之導電塗層
CN101001912B (zh) 含纳米物质组合物、其制造方法以及使用该组合物的复合体
TW201313602A (zh) 透明導電性塗佈膜、透明導電性墨水、及使用其的觸控式面板
JP7110910B2 (ja) 金属ナノワイヤ成長制御剤、金属ナノワイヤの製造方法及び金属ナノワイヤ分散液の製造方法
KR20130042558A (ko) 2 차 전지용 수계 전극 바인더
JP2009155570A (ja) カーボンナノチューブ含有組成物、これからなる塗膜を有する複合体およびその製造方法
JP6119873B2 (ja) 分散安定性に優れる金属ナノワイヤ分散液、透明導電膜、透明導電体
KR20140080710A (ko) 공중합물 캡핑제를 이용한 은 나노와이어 제조방법
JP6440093B2 (ja) 金属ナノワイヤ成長制御剤、該金属ナノワイヤ成長制御剤を用いて合成された金属ナノワイヤ及び金属ナノワイヤ分散液、並びに金属ナノワイヤ分散液の製造方法
JP2008056765A (ja) カーボンナノチューブ含有構造体及びその製造方法
JP6524265B2 (ja) 金属ナノ粒子の分散物
JP6530512B2 (ja) 金属ナノ粒子の分散物
JP6736035B2 (ja) 銀ナノワイヤの製造方法
JP6760548B1 (ja) 銀ナノワイヤの製造方法
CN102492137B (zh) 一种光敏性导电聚苯胺纳米粒子的制备方法
JPH11172104A (ja) ポリアニリン誘導体
WO2023074722A1 (ja) 導電性エラストマー形成用組成物、導電性エラストマー、及び、重合体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210812

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220511

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220526

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220602

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220621

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220704

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7110910

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150