JP2019182978A - カーボンマスターバッチの作製方法およびゴム組成物の製造方法ならびに空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カーボンの分散状態が従来よりも高く、また、経日変化が少なく加工性に優れたカーボンマスターバッチを得ることができるカーボンマスターバッチの混練技術を提供し、さらに、カーボンの分散性が優れたゴム組成物、および早期摩耗やチッピングの発生が抑制された空気入りタイヤを提供する。【解決手段】天然ゴムにカーボンブラックを加えて混練することによりカーボンマスターバッチを作製するカーボンマスターバッチの作製方法であって、天然ゴムとカーボンブラックとの混練加工を、天然ゴムとカーボンブラックとを密閉式混練機に投入して、圧縮空気を注入しながら、110〜130℃の温度で行うカーボンマスターバッチの作製方法。【選択図】なし
Description
本発明は、カーボンマスターバッチの作製方法、およびゴム組成物の製造方法、ならびに空気入りタイヤの製造方法に関し、詳しくは、天然ゴムにカーボンブラックを加えて混練することによりカーボンマスターバッチを作製するカーボンマスターバッチの作製方法、および、前記カーボンマスターバッチを用いてタイヤ用ゴム組成物を製造するゴム組成物の製造方法、ならびに、前記ゴム組成物を用いて空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法に関する。
空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)は、トレッドゴムなど様々なゴム部材を用いて製造されている。これらのゴム部材は、通常、要求される各特性に応じて処方された配合に従って混練されたゴム組成物を成形加工することにより製造されている。
これらのゴム部材の内、トレッドゴムは地面と直接接するため、高い摩耗特性が求められており、特に、トラック・バス用などの大型タイヤのトレッドゴムには、より高い摩耗特性が強く望まれているが、タイヤ製造時、加工性を確保することが難しいという問題があった。
そこで、従来より、大型タイヤのトレッドゴムの製造に際しては、予め、天然ゴムにカーボンブラック(以下、単に「カーボン」ともいう)を加えて混練することによりカーボンを分散させたカーボンマスターバッチを作製した後、その他の配合材料と合わせて混練してトレッドゴム用ゴム組成物とすることにより、加工性を確保しようとしている。
このカーボンマスターバッチの作製時やトレッドゴム用ゴム組成物の製造時、カーボンの分散の程度が高レベルに確保されていなければ、製造されたタイヤに早期摩耗やチッピングの問題が発生する恐れがある。
そこで、カーボンマスターバッチを作製する際には、以下の手順で混練加工を行うことにより、天然ゴムのムーニー粘度(以下、単に「粘度」という)を低下させて、カーボンの分散を図っている。
まず、天然ゴムと共に素練り促進剤としてのしゃく解剤を投入して、温度を適切に制御しながら、機械力によるせん断(以下、「機械せん断」という)と化学反応によるせん断(以下、「化学せん断」という)を加えることにより、天然ゴムのムーニー粘度(以下、単に「粘度」という)を低下させる。その後、カーボンを投入して混練する。このとき、ゴムは粘度が低下しているため、投入されたカーボンを十分に分散させることができる。
具体的には、まず、ラムを上昇させた密閉式混練機へ天然ゴムと共に素練り促進剤としてのしゃく解剤を投入した後、ラムを下降させて110〜130℃の温度(低温領域)で所定の時間混練することにより、天然ゴムを素練りする。次に、ラムを上昇させてカーボンを投入した後、ラムを下降させて140℃以上の温度で所定の時間混練することにより、カーボンマスターバッチの作製を行っている。
このように、カーボンマスターバッチの作製時、温度を上記のような温度プロファイルとしているのは、天然ゴムは素練りの温度を110〜130℃(低温領域)とした場合、ゴムに十分な機械せん断を与えて効率的に粘度を低下させることができ、その後、カーボン投入後に140℃以上の温度(高温領域)になると、しゃく解剤による化学せん断が促進されて、さらに粘度が低下すると考えられていたからである。
しかしながら、この方法を用いても、カーボンマスターバッチやゴム組成物におけるカーボンの分散は、未だ十分とは言えなかった。
また、しゃく解剤を使用して作製されたカーボンマスターバッチは、しゃく解剤に起因するゴムの経日変化が大きく、ゴム組成物において安定した加工性を確保することが難しかった。
そこで、例えば、混練中において機械せん断の程度を左右する密閉式混練機のモーターに掛かる負荷を監視し、その負荷に基づいて、適宜、しゃく解剤の添加量を変えることにより、しゃく解剤の使用量を低減させながらも、十分な機械せん断を可能とする技術が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、上記した方法によっても、未だ、カーボンマスターバッチやゴム組成物におけるカーボンの分散の程度は十分高いとは言えず、また、しゃく解剤に起因するゴムの経日変化も十分抑制できているとは言えず、さらなる改良が求められている。
そこで、本発明は、カーボンの分散状態が従来よりも高く、また、経日変化が少なく加工性に優れたカーボンマスターバッチを得ることができるカーボンマスターバッチの混練技術を提供し、さらに、カーボンの分散性が優れたゴム組成物、および早期摩耗やチッピングの発生が抑制された空気入りタイヤを提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、以下に記載する発明により上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
請求項1に記載の発明は、
天然ゴムにカーボンブラックを加えて混練することによりカーボンマスターバッチを作製するカーボンマスターバッチの作製方法であって、
天然ゴムとカーボンブラックとの混練加工を、天然ゴムとカーボンブラックとを密閉式混練機に投入して、圧縮空気を注入しながら、110〜130℃の温度で行うことを特徴とするカーボンマスターバッチの作製方法である。
天然ゴムにカーボンブラックを加えて混練することによりカーボンマスターバッチを作製するカーボンマスターバッチの作製方法であって、
天然ゴムとカーボンブラックとの混練加工を、天然ゴムとカーボンブラックとを密閉式混練機に投入して、圧縮空気を注入しながら、110〜130℃の温度で行うことを特徴とするカーボンマスターバッチの作製方法である。
請求項2に記載の発明は、
前記混練加工において、前記密閉式混練機に投入する前記カーボンブラックの量が、前記天然ゴム100質量部に対して、10〜30質量部であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
前記混練加工において、前記密閉式混練機に投入する前記カーボンブラックの量が、前記天然ゴム100質量部に対して、10〜30質量部であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
請求項3に記載の発明は、
前記混練加工において、100〜60質量部の天然ゴムと0〜40質量部の合成ゴムとにより、ゴム成分100質量部が構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
前記混練加工において、100〜60質量部の天然ゴムと0〜40質量部の合成ゴムとにより、ゴム成分100質量部が構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
請求項4に記載の発明は、
前記天然ゴムが、ブロック状の天然ゴムであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
前記天然ゴムが、ブロック状の天然ゴムであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
請求項5に記載の発明は、
前記合成ゴムが、ブタジエンゴムおよび/またはスチレンブタジエンゴムであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
前記合成ゴムが、ブタジエンゴムおよび/またはスチレンブタジエンゴムであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
請求項6に記載の発明は、
前記混練加工においてしゃく解剤を投入する場合、前記しゃく解剤の投入量が、前記天然ゴム100質量部に対して0.5質量部以下に制限されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
前記混練加工においてしゃく解剤を投入する場合、前記しゃく解剤の投入量が、前記天然ゴム100質量部に対して0.5質量部以下に制限されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
請求項7に記載の発明は、
前記圧縮空気の圧力が、0.1〜1.2MPaであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
前記圧縮空気の圧力が、0.1〜1.2MPaであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
請求項8に記載の発明は、
前記圧縮空気の温度が、20〜80℃であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
前記圧縮空気の温度が、20〜80℃であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
請求項9に記載の発明は、
前記圧縮空気の注入量が、5.0〜12.0m3/分であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
前記圧縮空気の注入量が、5.0〜12.0m3/分であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
請求項10に記載の発明は、
前記密閉式混練機が、バンバリーミキサーであることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
前記密閉式混練機が、バンバリーミキサーであることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法である。
請求項11に記載の発明は、
請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法により作製されたカーボンマスターバッチを用いてタイヤ用ゴム組成物を製造するゴム組成物の製造方法であって、
前記カーボンマスターバッチに加硫薬品を除く配合材料を投入して混練する第1混練工程と、
その後、加硫薬品を投入して、さらに混練する第2混練工程とを備えていることを特徴とするゴム組成物の製造方法である。
請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法により作製されたカーボンマスターバッチを用いてタイヤ用ゴム組成物を製造するゴム組成物の製造方法であって、
前記カーボンマスターバッチに加硫薬品を除く配合材料を投入して混練する第1混練工程と、
その後、加硫薬品を投入して、さらに混練する第2混練工程とを備えていることを特徴とするゴム組成物の製造方法である。
請求項12に記載の発明は、
前記第1混練工程が、前記密閉式混練機内へ圧縮空気を注入しながら、110〜130℃の温度で行う混練工程であることを特徴とする請求項11に記載のゴム組成物の製造方法である。
前記第1混練工程が、前記密閉式混練機内へ圧縮空気を注入しながら、110〜130℃の温度で行う混練工程であることを特徴とする請求項11に記載のゴム組成物の製造方法である。
請求項13に記載の発明は、
前記ゴム組成物が、大型タイヤのトレッドゴム用のゴム組成物であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載のゴム組成物の製造方法である。
前記ゴム組成物が、大型タイヤのトレッドゴム用のゴム組成物であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載のゴム組成物の製造方法である。
請求項14に記載の発明は、
請求項11ないし請求項13のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法により製造されたゴム組成物を用いてタイヤ用ゴム部材を成形して、空気入りタイヤを製造することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法である。
請求項11ないし請求項13のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法により製造されたゴム組成物を用いてタイヤ用ゴム部材を成形して、空気入りタイヤを製造することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法である。
請求項15に記載の発明は、
前記タイヤ用ゴム部材が、キャップトレッドであることを特徴とする請求項14に記載の空気入りタイヤの製造方法である。
前記タイヤ用ゴム部材が、キャップトレッドであることを特徴とする請求項14に記載の空気入りタイヤの製造方法である。
本発明によれば、カーボンの分散状態が従来よりも高く、また、経日変化が少なく加工性に優れたカーボンマスターバッチを得ることができるカーボンマスターバッチの混練技術を提供し、さらに、カーボンの分散性が優れたゴム組成物、および早期摩耗やチッピングの発生が抑制された空気入りタイヤを提供することができる。
以下、実施の形態に基づいて、本発明を具体的に説明する。
[1]カーボンマスターバッチの作製方法
本実施の形態に係るカーボンマスターバッチの作製方法は、天然ゴムの素練りを110〜130℃の温度(低温領域)で行う点では、従来と同様であるが、混練の途中、密閉式混練機内へ、圧縮空気を注入している点で、従来と異なっている。
本実施の形態に係るカーボンマスターバッチの作製方法は、天然ゴムの素練りを110〜130℃の温度(低温領域)で行う点では、従来と同様であるが、混練の途中、密閉式混練機内へ、圧縮空気を注入している点で、従来と異なっている。
前記したように、素練りの温度を110〜130℃とした場合、ゴムに十分な機械せん断を与えることができ、効率的に粘度が低下する。しかし、従来のカーボンマスターバッチの作製方法の場合には、素練りの温度を110〜130℃に設定していても、素練り時、密閉式混練機の回転するローターとゴムとの間に発生する摩擦熱などによってゴムが発熱するため、110〜130℃の練り温度を維持することができず、短時間にゴムの温度が上昇する。その結果、ゴムに十分な機械せん断を与えることができなくなり、機械せん断による粘度低減の効果を十分に得ることができない状況となっていた。
これに対して、本実施の形態においては、混練の途中、密閉式混練機内へ、圧縮空気を注入して、ゴムを冷却するようにしている。この結果、110〜130℃の練り温度を維持したままで素練りを行うことができるようになり、ゴムに十分な機械せん断を与えて、機械せん断による粘度低減の効果を十分に得ることができる。
そして、圧縮空気を連続的に注入することにより、ゴムのせん断を促進させて、さらなる粘度低減を図ることができる。この結果、しゃく解剤の投入量を大きく削減することが可能となり、しゃく解剤の使用を不要にしても、十分な粘度低下を図ることができる。
そして、十分に粘度低下が図られた後にカーボンを投入して混練するため、投入されたカーボンをゴム中に十分に分散させたカーボンマスターバッチを得ることができる。また、このカーボンマスターバッチはしゃく解剤の量が低減されているため、しゃく解剤に起因するゴムの経日変化を抑制して、安定した加工性が確保されたゴム組成物を提供することができる。
なお、本実施の形態において、圧縮空気の圧力は0.1〜1.2MPaであることが好ましい。0.1MPa以上とすることにより、ゴムが練られている箇所に圧縮空気を確実に送ることができるという効果を得ることができ、1.2MPa以下とすることにより、圧縮空気によって分散していないカーボンが飛散することを防止できるという効果を得ることができる。0.5〜0.8MPaであるとより好ましい。
そして、圧縮空気の温度は20〜80℃であることが好ましい。20℃以上とすることにより、ゴムの流動性を確保できるという効果を得ることができ、80℃以下とすることにより、発熱の高いゴムの冷却を助けるという効果を得ることができる。30〜60℃であるとより好ましく、30〜40℃であるとさらに好ましい。
また、圧縮空気の注入量は5.0〜12.0m3/分であることが好ましい。5.0m3/分以上とすることにより、練られているゴムの間に空気を注入できるという効果を得ることができ、12.0m3/分以下とすることにより、エネルギー効率の良い練りを実施できるという効果を得ることができる。7.0〜11.0m3/分であるとより好ましく、8.0〜10.0m3/分であるとさらに好ましい。
そして、本実施の形態において、密閉型混練機としては、加圧ニーダーやバンバリーミキサーなど、特に限定されないが、練り効率などの面からバンバリーミキサーが好ましく、ローターの形状は、接線式、噛み合い式のいずれであってもよい。
[2]ゴム組成物および空気入りタイヤの製造方法
次に、上記したカーボンマスターバッチの作製方法により作製されたカーボンマスターバッチを用いたゴム組成物の製造方法、および、このゴム組成物を用いた空気入りタイヤの製造方法について説明する。
次に、上記したカーボンマスターバッチの作製方法により作製されたカーボンマスターバッチを用いたゴム組成物の製造方法、および、このゴム組成物を用いた空気入りタイヤの製造方法について説明する。
(1)ゴム組成物の製造方法
具体的には、まず、上記で得られたカーボンマスターバッチ、および、加硫薬品を除く配合材料を投入して混練して(第1混練工程)、160℃以下の温度で排出する。その後、加硫薬品を投入して、さらに混練する(第2混練工程)ことにより、ゴム組成物を製造することができる。
具体的には、まず、上記で得られたカーボンマスターバッチ、および、加硫薬品を除く配合材料を投入して混練して(第1混練工程)、160℃以下の温度で排出する。その後、加硫薬品を投入して、さらに混練する(第2混練工程)ことにより、ゴム組成物を製造することができる。
このとき、カーボンマスターバッチは、しゃく解剤の使用量を低減させても、十分な粘度の低減が図られており、カーボンが十分に分散されている。この結果、しゃく解剤を使用して作製された従来のカーボンマスターバッチを用いた場合と異なり、しゃく解剤に起因するゴムの経日変化を小さくさせて、安定した加工性が確保されたゴム組成物を得ることができる。
なお、第1混練工程においても、上記したカーボンマスターバッチの作製時と同様に、圧縮空気を注入して、ゴムを冷却しながら混練することが好ましい。これにより、ゴム組成物の混練においても十分な機械せん断を与えることができ、さらなる粘度低下を図ることができる。
本実施の形態に係るゴム組成物の製造方法における作業プロファイルの一例を図1に、また、従来のゴム組成物の製造方法における作業プロファイルの一例を図2に示す。図1および図2において、横軸は経過時間(秒)を示し、縦軸は凡例に示した各指標の値を示している。
図1に示すように、本実施の形態に係るゴム組成物の製造方法においては、圧縮空気の注入により、開始後180秒を超えても低温領域が維持されている。このため、機械せん断を十分に与えて、粘度を十分に低下させて、安定した加工性を確保することができる。一方、従来のゴム組成物の製造方法においては、圧縮空気の注入を行っていないため、図2に示すように、135秒を超えたあたりで低温領域から高温領域へと変化している。このため、機械せん断を十分に与えて粘度を十分に低下させることができず、安定した加工性を確保することができない。
(2)空気入りタイヤの製造方法
そして、上記で得られたカーボンの分散状態が高レベルに確保されているゴム組成物を用いてトレッドなどタイヤ用ゴム部材の成形を行い、空気入りタイヤを製造することにより、早期摩耗やチッピングの発生する恐れが大きく低減された高品質の空気入りタイヤを安定して提供することができる。
そして、上記で得られたカーボンの分散状態が高レベルに確保されているゴム組成物を用いてトレッドなどタイヤ用ゴム部材の成形を行い、空気入りタイヤを製造することにより、早期摩耗やチッピングの発生する恐れが大きく低減された高品質の空気入りタイヤを安定して提供することができる。
特に、タイヤ用ゴム部材としてキャップトレッドを製造し、このキャップトレッドを用いて大型タイヤを製造した場合、上記した各効果が顕著に発揮されて、高い摩耗特性を備えた大型タイヤを提供することができる。
[3]本実施の形態において用いられる各種材料
本実施の形態におけるカーボンマスターバッチ、およびゴム組成物は、以下に示す各材料を適宜配合して混練することにより得ることができる。
本実施の形態におけるカーボンマスターバッチ、およびゴム組成物は、以下に示す各材料を適宜配合して混練することにより得ることができる。
1.ゴム成分
最初に、主成分であるゴム成分について説明する。本実施の形態において、ゴム成分としては、ジエン系ゴムを用いることが好ましい。ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)やジエン系合成ゴムを使用することができる。
最初に、主成分であるゴム成分について説明する。本実施の形態において、ゴム成分としては、ジエン系ゴムを用いることが好ましい。ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)やジエン系合成ゴムを使用することができる。
(1)天然ゴム
天然ゴムとしては特に限定されず、SIR20、RSS#3、TSR20など、ゴム工業において一般的な天然ゴムを使用することができる。なお、本実施の形態においては、低温領域での混練を十分に確保して十分な機械せん断を与えることができるため、シート状に素練り加工を施す必要がなくなり、ブロック状のまま、混練機に投入してカーボンマスターバッチを作製することができ、カーボンマスターバッチの作製効率を向上させることができる。
天然ゴムとしては特に限定されず、SIR20、RSS#3、TSR20など、ゴム工業において一般的な天然ゴムを使用することができる。なお、本実施の形態においては、低温領域での混練を十分に確保して十分な機械せん断を与えることができるため、シート状に素練り加工を施す必要がなくなり、ブロック状のまま、混練機に投入してカーボンマスターバッチを作製することができ、カーボンマスターバッチの作製効率を向上させることができる。
(2)ジエン系合成ゴム
ジエン系合成ゴムとしては、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などを挙げることができ、単独で使用することもできるが、2種以上を併用してもよい。
ジエン系合成ゴムとしては、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などを挙げることができ、単独で使用することもできるが、2種以上を併用してもよい。
上記した各ゴム成分の内、本実施の形態においては、タイヤにおける低燃費性およびウェットグリップ性をバランスよく発揮するという観点から、NRとBRおよび/またはSBRとを併用してゴム成分を構成することが好ましい。
具体的には、ゴム成分100質量部を、100〜60質量部の天然ゴムと0〜40質量部の合成ゴム(BRおよび/またはSBR)とにより構成することが好ましい。
2.配合材料(加硫薬品を除く)
次に、加硫薬品を除く配合材料について説明する。
次に、加硫薬品を除く配合材料について説明する。
(1)カーボンブラック
カーボンブラックとしては、特に限定されず、例えば、N110〜N660のランク品を挙げることができる。そして、このようなカーボンブラックの具体的な市販品としては、例えば、東海カーボン社製のN220等を挙げることができる。なお、カーボンブラックは1種のみを用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、例えば、N110〜N660のランク品を挙げることができる。そして、このようなカーボンブラックの具体的な市販品としては、例えば、東海カーボン社製のN220等を挙げることができる。なお、カーボンブラックは1種のみを用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーボンブラックの配合量としては、ゴム成分100質量部に対して、10〜100質量部であることが好ましい。10質量部以上とすることにより、タイヤに必要な補強性を得ることができる。一方、100質量部以下とすることにより、十分な加工性を確保することができる。20〜80質量部であるとより好ましく、40〜70質量部であるとさらに好ましい。
なお、カーボンマスターバッチの作製に際しては、上記したゴム成分への分散性を考慮して、上記した範囲のカーボンブラックの内から、天然ゴム100質量部に対して10〜30質量部に相当する量のカーボンを投入する。そして、残りのカーボンブラックは、ゴム組成物の製造時に他の配合材料と共に投入する。
(2)老化防止剤
老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩、ワックスなどを挙げることができ、これらの内から、適宜選択して、使用することができる。具体的な老化防止剤の一例としては、例えば、住友化学社製の「アンチゲン6C」(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)などを挙げることができる。
老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩、ワックスなどを挙げることができ、これらの内から、適宜選択して、使用することができる。具体的な老化防止剤の一例としては、例えば、住友化学社製の「アンチゲン6C」(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)などを挙げることができる。
(3)軟化剤
軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤、大豆油、パーム油、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤、トール油、サブ、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリンなどのワックス類、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸などの脂肪酸などを挙げることができる。軟化剤の配合量としては、ウェットグリップ性能の確保という観点から、ゴム成分100質量部に対して100質量部以下とすることが好ましい。
軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤、大豆油、パーム油、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤、トール油、サブ、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリンなどのワックス類、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸などの脂肪酸などを挙げることができる。軟化剤の配合量としては、ウェットグリップ性能の確保という観点から、ゴム成分100質量部に対して100質量部以下とすることが好ましい。
(4)その他
本実施の形態において、ゴム組成物には、その他の補強剤、各種オイル、可塑剤、カップリング剤など、タイヤ用または一般のゴム組成物用に配合される各種配合剤および添加材を使用することができる。
本実施の形態において、ゴム組成物には、その他の補強剤、各種オイル、可塑剤、カップリング剤など、タイヤ用または一般のゴム組成物用に配合される各種配合剤および添加材を使用することができる。
3.加硫薬品
次に、加硫薬品について説明する。なお、加硫薬品は、ゴム組成物の第1混練工程で投入すると、ゴム温度の上昇によって混練中に加硫が開始して部分的に加硫されたゴム組成物が製造されるため、第2混練工程において投入する。
次に、加硫薬品について説明する。なお、加硫薬品は、ゴム組成物の第1混練工程で投入すると、ゴム温度の上昇によって混練中に加硫が開始して部分的に加硫されたゴム組成物が製造されるため、第2混練工程において投入する。
(1)加硫剤
加硫剤としては、有機過酸化物もしくは硫黄系加硫剤を使用できる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン等を挙げることができる。また、硫黄系加硫剤としては、例えば、硫黄、モルホリンジスルフィドなどを挙げることができる。これらの加硫剤の内でも、硫黄を使用することが好ましい。
加硫剤としては、有機過酸化物もしくは硫黄系加硫剤を使用できる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン等を挙げることができる。また、硫黄系加硫剤としては、例えば、硫黄、モルホリンジスルフィドなどを挙げることができる。これらの加硫剤の内でも、硫黄を使用することが好ましい。
(2)加硫促進剤
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系加硫促進剤などを挙げることができる。具体的な加硫促進剤の一例としては、例えば、大内新興化学社製の「ノクセラーCZ」(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)や、ノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)などを挙げることができる。なお、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系加硫促進剤などを挙げることができる。具体的な加硫促進剤の一例としては、例えば、大内新興化学社製の「ノクセラーCZ」(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)や、ノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)などを挙げることができる。なお、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(3)加硫助剤
加硫助剤としては、ステアリン酸、酸化亜鉛(亜鉛華)などを挙げることができる。
加硫助剤としては、ステアリン酸、酸化亜鉛(亜鉛華)などを挙げることができる。
4.しゃく解剤
本実施の形態においても、従来と同様に、しゃく解剤を使用することができるが、本実施の形態においては、前記したように、110〜130℃の低温領域を維持して十分な機械せん断を与えることにより、十分な粘度低減を図ることができるため、使用量を従来よりも少なくでき、使用しなくてもよい。
本実施の形態においても、従来と同様に、しゃく解剤を使用することができるが、本実施の形態においては、前記したように、110〜130℃の低温領域を維持して十分な機械せん断を与えることにより、十分な粘度低減を図ることができるため、使用量を従来よりも少なくでき、使用しなくてもよい。
具体的なしゃく解剤としては、例えば、芳香族メルカプタン系、芳香族ジスルフィド系、芳香族メルカプタン金属塩系等、ゴム工業において一般的に使用されるしゃく解剤を使用することができ、単独で使用することもできるが、2種以上を併用してもよい。
芳香族メルカプタン系のしゃく解剤としては、例えば、キシレンチオール、ペンタクロロチオフェノール、β−ナフチルメルカプタン、p−t−ブチルチオフェノール、t−ブチル−o−チオクレゾール、o−ベンズアミドチオフェノール等を挙げることができる。芳香族ジスルフィド系としては、例えば、o,o’−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド、ビス(2,4−ジメチルフェニル)ジスルフィド等を挙げることができる。芳香族メルカプタン金属塩系としては、上記芳香族メルカプタン系の金属塩(亜鉛塩等)を挙げることができる。
しゃく解剤の融点としては、40〜160℃が好ましく、45〜150℃であるとより好ましい。40℃未満であると環境温度が高い場合にブロッキングが生じる恐れがあり、160℃を超えるとゴム練り中に溶解しない恐れがある。
[1]実験1
1.試験用サンプルの作製
(1)カーボンマスターバッチおよびゴム組成物の作製
本実験においては、表1に示すゴム成分及び配合材料を使用して、以下の4工程に従って、まず、カーボンマスターバッチを作製し、その後、得られたカーボンマスターバッチを用いてゴム組成物を製造した。なお、第2工程が本実施の形態における第1混練工程に、第4工程が本実施の形態における第2混練工程に相当する。
・第1工程:天然ゴムとカーボンとを投入して混練し、カーボンマスターバッチを得
る工程
・第2工程:カーボンマスターバッチと、加硫薬品以外の配合材料の全てを投入して
混練する工程
・第3工程:再練り工程
・第4工程:加硫薬品を投入して混練し、ゴム組成物を得る工程
1.試験用サンプルの作製
(1)カーボンマスターバッチおよびゴム組成物の作製
本実験においては、表1に示すゴム成分及び配合材料を使用して、以下の4工程に従って、まず、カーボンマスターバッチを作製し、その後、得られたカーボンマスターバッチを用いてゴム組成物を製造した。なお、第2工程が本実施の形態における第1混練工程に、第4工程が本実施の形態における第2混練工程に相当する。
・第1工程:天然ゴムとカーボンとを投入して混練し、カーボンマスターバッチを得
る工程
・第2工程:カーボンマスターバッチと、加硫薬品以外の配合材料の全てを投入して
混練する工程
・第3工程:再練り工程
・第4工程:加硫薬品を投入して混練し、ゴム組成物を得る工程
(a)第1工程
最初に、ラムを上昇させた状態で、バンバリーミキサー(ローターの回転数:40rpm)中に、ゴム成分の全量を投入し、その後、ラムを下降させて、40秒間混練した。
最初に、ラムを上昇させた状態で、バンバリーミキサー(ローターの回転数:40rpm)中に、ゴム成分の全量を投入し、その後、ラムを下降させて、40秒間混練した。
このとき、しゃく解剤は、表2に示すように変量させて、一緒に投入した。
次に、ラムを上昇させた状態で、カーボンブラック15質量部(天然ゴム100質量部に対して20質量部に相当)を投入し、その後、ラムを下降させて、さらに混練することにより、実施例1〜3、および比較例のカーボンマスターバッチを得た。
このとき、実施例1〜3においては、30℃に設定した圧縮空気を、0.7MPaの圧力でバンバリーミキサー内に注入(注入量:9.0m3/分)することにより、ゴム温度を110〜130℃に維持して、120秒間混練した。一方、比較例においては、圧縮空気の注入は行わず、110〜130℃のゴム温度で450秒間混練した。
(b)第2工程
次に、ラムを上昇させた状態で上記で得られた各カーボンマスターバッチが入っているバンバリーミキサー内に、加硫薬品以外の各配合材料を全量投入し、その後、ラムを下降させて、ゴム温度が160℃を超えないように制御しながら、さらに50秒間混練した。そして、混練が完了すると、得られたゴム組成物をバンバリーミキサーから排出した。
次に、ラムを上昇させた状態で上記で得られた各カーボンマスターバッチが入っているバンバリーミキサー内に、加硫薬品以外の各配合材料を全量投入し、その後、ラムを下降させて、ゴム温度が160℃を超えないように制御しながら、さらに50秒間混練した。そして、混練が完了すると、得られたゴム組成物をバンバリーミキサーから排出した。
(c)第3工程
次に、排出した各ゴム組成物をバンバリーミキサーに戻して、90秒間混練した。
次に、排出した各ゴム組成物をバンバリーミキサーに戻して、90秒間混練した。
(d)第4工程
次に、ラムを上昇させた状態で加硫薬品を投入し、その後、ラムを下降させて、ゴム温度が110℃を超えないように制御しながら、さらに120秒間混練した。そして、混練が完了すると、得られたゴム組成物をバンバリーミキサーから排出し、実施例1〜3、および比較例のゴム組成物を得た。
次に、ラムを上昇させた状態で加硫薬品を投入し、その後、ラムを下降させて、ゴム温度が110℃を超えないように制御しながら、さらに120秒間混練した。そして、混練が完了すると、得られたゴム組成物をバンバリーミキサーから排出し、実施例1〜3、および比較例のゴム組成物を得た。
(2)タイヤの作製
次に、上記で得られた各ゴム組成物を用いてトレッドゴムを成形し、その他のタイヤ用部材と貼り合せてローカバーを作製した後、170℃で15分間、加硫して、タイヤサイズ11R22.5の大型タイヤを製造し、実施例1〜3、および比較例のタイヤを得た。
次に、上記で得られた各ゴム組成物を用いてトレッドゴムを成形し、その他のタイヤ用部材と貼り合せてローカバーを作製した後、170℃で15分間、加硫して、タイヤサイズ11R22.5の大型タイヤを製造し、実施例1〜3、および比較例のタイヤを得た。
2.評価
(1)カーボンの分散
第1工程で得られた各カーボンマスターバッチにおけるカーボンの分散度を、ミクロトーム法を用いて測定した。
第1工程で得られた各カーボンマスターバッチにおけるカーボンの分散度を、ミクロトーム法を用いて測定した。
評価は、比較例1における測定結果を100として指数化することにより、相対評価した。値が大きいほど、分散状態が良好であることを示している。
(2)ムーニー粘度
上記した第1工程後および第3工程後におけるゴムのムーニー粘度を、JIS K6300に規定されたムーニー粘度の測定法に準拠して測定した(測定温度:130℃)。
上記した第1工程後および第3工程後におけるゴムのムーニー粘度を、JIS K6300に規定されたムーニー粘度の測定法に準拠して測定した(測定温度:130℃)。
評価は、比較例における測定結果を100として指数化することにより、相対評価した。値が小さいほど、粘度が低く、加工性に優れていることを示している。
(3)転がり抵抗
得られた各タイヤについて、島津製作所社製のスペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度70℃の条件でtanδを測定した。
得られた各タイヤについて、島津製作所社製のスペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度70℃の条件でtanδを測定した。
評価は、比較例における測定結果を100として指数化することにより、相対評価した。値が小さいほど、転がり抵抗が低く、タイヤとして好ましいことを示している。
(4)引っ張り試験
第3工程で得られたゴム組成物を、170℃、12分間で加硫した後、厚み2mmの試験片を切り出し、JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―引張特性の求め方」に準拠して、3号ダンベルでの引張り試験を行い、各試験片における破断強度(TB)および破断時の伸び(EB)を測定した。
第3工程で得られたゴム組成物を、170℃、12分間で加硫した後、厚み2mmの試験片を切り出し、JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―引張特性の求め方」に準拠して、3号ダンベルでの引張り試験を行い、各試験片における破断強度(TB)および破断時の伸び(EB)を測定した。
評価は、TBおよびEBが大きい程、強度が優れることを示すため、TBとEBの積を破壊エネルギーとして求め、比較例における値を100として指数化することにより、強度を相対評価した。値が大きいほど、タイヤとしての強度が優れていることを示している。
(5)評価結果
各評価の結果を表2に示す。
各評価の結果を表2に示す。
表2より、比較例と同じ量のしゃく解剤を使用していても(実施例1)、ゴムの温度制御を行って110〜130℃の低温領域(120℃)を維持することにより、第1工程後、第3工程後のいずれにおいても、粘度が低下していることが分かる。また、しゃく解剤の量を、従来の1/2(実施例2)、0(実施例3)としても、従来よりも粘度の低下が図られていることが分かる。
そして、カーボンの分散においても、従来よりも良化していることが分かる。
このような結果が得られたのは、混練時、低温領域を維持する時間が確保されて、十分な機械せん断が与えられたことによる。
そして、その結果として、転がり抵抗、破壊エネルギーが良化したタイヤが得られていることが分かる。
[2]実験2
実験1において、110〜130℃の低温領域を維持することにより、粘度が低下することが分かったため、次に、低温領域の内でも好ましい温度について実験を行った。
実験1において、110〜130℃の低温領域を維持することにより、粘度が低下することが分かったため、次に、低温領域の内でも好ましい温度について実験を行った。
具体的には、天然ゴム100質量部およびカーボン20質量部を用いて、低温領域としての設定温度を変化させて、上記実施例と同様にして、120秒間の混練を行い第1工程後、第3工程後の粘度を測定した。
結果を表3に示す。なお、表3には、評価の基礎である比較例の結果を併せて示す。
表3より、120℃を維持するように混練することにより、最も粘度の低下が大きく、低温領域の設定温度としては、120℃が好ましいことが確認できた。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
Claims (15)
- 天然ゴムにカーボンブラックを加えて混練することによりカーボンマスターバッチを作製するカーボンマスターバッチの作製方法であって、
天然ゴムとカーボンブラックとの混練加工を、天然ゴムとカーボンブラックとを密閉式混練機に投入して、圧縮空気を注入しながら、110〜130℃の温度で行うことを特徴とするカーボンマスターバッチの作製方法。 - 前記混練加工において、前記密閉式混練機に投入する前記カーボンブラックの量が、前記天然ゴム100質量部に対して、10〜30質量部であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンマスターバッチの作製方法。
- 前記混練加工において、100〜60質量部の天然ゴムと0〜40質量部の合成ゴムとにより、ゴム成分100質量部が構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカーボンマスターバッチの作製方法。
- 前記天然ゴムが、ブロック状の天然ゴムであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法。
- 前記合成ゴムが、ブタジエンゴムおよび/またはスチレンブタジエンゴムであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のカーボンマスターバッチの作製方法。
- 前記混練加工においてしゃく解剤を投入する場合、前記しゃく解剤の投入量が、前記天然ゴム100質量部に対して0.5質量部以下に制限されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法。
- 前記圧縮空気の圧力が、0.1〜1.2MPaであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法。
- 前記圧縮空気の温度が、20〜80℃であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法。
- 前記圧縮空気の注入量が、5.0〜12.0m3/分であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法。
- 前記密閉式混練機が、バンバリーミキサーであることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法。
- 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のカーボンマスターバッチの作製方法により作製されたカーボンマスターバッチを用いてタイヤ用ゴム組成物を製造するゴム組成物の製造方法であって、
前記カーボンマスターバッチに加硫薬品を除く配合材料を投入して混練する第1混練工程と、
その後、加硫薬品を投入して、さらに混練する第2混練工程とを備えていることを特徴とするゴム組成物の製造方法。 - 前記第1混練工程が、前記密閉式混練機内へ圧縮空気を注入しながら、110〜130℃の温度で行う混練工程であることを特徴とする請求項11に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記ゴム組成物が、大型タイヤのトレッドゴム用のゴム組成物であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載のゴム組成物の製造方法。
- 請求項11ないし請求項13のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法により製造されたゴム組成物を用いてタイヤ用ゴム部材を成形して、空気入りタイヤを製造することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
- 前記タイヤ用ゴム部材が、キャップトレッドであることを特徴とする請求項14に記載の空気入りタイヤの製造方法。
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