JP2019182963A - 導電性組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、1つの相が連続相を形成し、かつ当該連続相に導電性金属フィラーを偏在させることで効率的な導電経路を形成する導電性組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】比誘電率が異なる2成分以上のポリマーと、導電性金属フィラーとを含む導電性組成物において、ポリマー成分が2つ以上の相を含む相分離構造を有し、該導電性金属フィラーが1つの相に偏在し、かつ、導電性金属フィラーが偏在する相が連続相を形成する導電性組成物である。【選択図】図1

Description

本発明は、2成分以上のポリマー成分から成り、2つ以上の相から成る相分離構造を有するポリマーブレンドで、1つの相に導電性金属フィラーを偏在させ、該導電性金属フィラーが偏在する相が連続相を形成する有機無機複合物からなる導電性組成物およびその製造方法に関する。
有機無機複合物は、有機物の長所(成型性、軽量性、柔軟性、官能基導入など)と無機物の長所(耐熱性、機械的強度、熱伝導性、導電性など)を両立することが期待される材料である。
有機物であるポリマーの特性を改質するための手法として、ポリマーに無機物である無機フィラーを添加して有機無機複合物とする手法が採られており、さらに有機無機複合物の特性を制御する手法として、相分離構造を有するポリマーブレンドの特定の相に優先的に無機フィラーを偏在させる手法が知られている。
例えば、特許文献1には、ブロック共重合体を有機溶剤に溶解し、ここに薄片状フレーク銀粉を混合して塗布して熱処理することにより得られる導電体およびその製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、熱または光により硬化する樹脂成分と球状銀粉とを含有する導電性樹脂を硬化させて相分離構造を形成させ、そのいずれか1つの相中に球状銀粉を偏在させることにより得られる導電体が記載されている。
特開2015−178597号公報 特開2013−67755号公報
しかしながら、特許文献1では、所望の導電体を製造する工程でブロック共重合体を溶解する溶剤を必要としており、薄膜の導電体を作製することには適しているが、厚膜の導電体を作製することは困難である。また、所望の導電体を得るために、高価な銀粒子を多量に含有させる必要があり、工業的に不利である。
また、特許文献2では、無溶剤系で加熱により相分離構造を形成させ、その1つのポリマー相に銀粒子を偏在させることにより、比較的厚膜の導電体を、銀粒子を比較的少量用いて作製できることが開示されている。しかし、特許文献1と同様に、所望の導電体を得るために、高価な銀粒子を多量に含有させる必要があり、工業的に不利である。
本発明は、上記の状況を鑑み、1つの相に導電性金属フィラーを効率的に偏在させ、少量の該導電性金属フィラーが偏在する相が連続相を形成する有機無機複合物からなる導電性組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、比誘電率の異なるポリマー成分と重合性モノマー成分を均一に相溶し、導電性金属フィラーを混合した後、反応誘起相分離を進行させると、該導電性金属フィラーが連続相に効率的に偏在すること、特に疎水化処理された薄片状フレーク銀粉等の比較的アスペクト比が大きな導電性金属フィラーを用いると最も比誘電率の低い連続相に効率的に少量の導電性金属フィラーが偏在し、導電体を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
前記特許文献1では、導電性金属フィラーとして薄片状フレーク銀粉を用いることは開示されているが、相分離した1つの相に銀粉を偏在させることによる、銀の使用量低減方法に関する記載も示唆もない。
また、前記特許文献2では、相分離した1つの連続相に銀粉を偏在させることによる銀の使用量の低減方法は開示されているが、比誘電率の異なるポリマーとモノマーを相溶した液に疎水化処理した銀粉を混合して硬化させると、比誘電率の低い連続相に効率的に銀粉を偏在させることができることは記載も示唆もない。
すなわち、本発明の第1発明は、比誘電率が異なる2成分以上のポリマー成分と導電性金属フィラーとを含む導電性組成物において、ポリマー成分が2つ以上の相を含む相分離構造を有し、該導電性金属フィラーが1つの相に偏在し、かつ、導電性金属フィラーが偏在する相が連続相を形成する導電性組成物である。
また、本発明の第2発明〜第8発明は、導電性金属フィラーを特定、体積抵抗率を特定、ポリマー成分の比誘電率の差を特定、またはポリマー成分を特定した第1発明に記載の導電性組成物である。
さらに、本発明の第9発明〜第10発明は、重合性モノマー中にポリマーを溶解させた後、前記重合性モノマーを重合させてポリマー成分にすることで、ポリマー成分が相分離する反応誘起相分離を起こし、導電性金属フィラーが1つの相に偏在し、該導電性金属フィラーが偏在する相が連続相を形成することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の導電性組成物の製造方法である。
本発明における有機無機複合物からなる導電性組成物は、連続相を形成するポリマー成分の組成比を任意に設計できるうえ、相対的に低い比誘電率を有する相に、容易に導電性金属フィラーを偏在させることができ、さらに特定な条件により、偏在先で効率的に導電性金属フィラー同士を連結することができる。
そのため、有機と無機の特長を両立した有機無機複合物として、導電性材料などへの利用が可能であり、電子材料、センサ材料、医療・介護材料、構造材料、自動車材料および航空宇宙材料等の用途への利用が可能である。
実施例1−2で得られた導電性組成物の走査型プローブ顕微鏡(SPM)での断面写真を示す。 実施例2−5で得られた導電性組成物の走査型プローブ顕微鏡(SPM)での断面写真を示す。 実施例3−3で得られた導電性組成物の走査型プローブ顕微鏡(SPM)での断面写真を示す。
以下、本発明について詳しく説明する。なお、特にことわりのない限り、「部
数」は質量部、「%」は質量%を表す。
また、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルを意味する。
本発明の導電性組成物における有機成分は2成分以上のポリマー成分であり、無機成分は導電性金属フィラーである。2成分以上のポリマー成分と導電性金属フィラーを混合させて、相分離した1つの相に導電性金属フィラーが偏在して連続相を形成し、導電性金属フィラーの含有率が50質量%以下のものが本発明の導電性組成物である。
本発明における各ポリマー成分の比誘電率は、そのポリマーの原料であるモノマーの誘電率(ε)を真空の誘電率(ε0)で除した比誘電率(ε/ε0)で示す。
本発明において導電性金属フィラーが偏在するとは、1つの相に存在する導電性金属フィラーの割合が、導電性金属フィラー全体に対して70質量%以上であることを意味し、その割合は80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
導電性金属フィラーが偏在している割合の測定は、特に限定なく公知の方法を用いることができる。例えば、走査型電子顕微鏡を用いて観察した試料の断面をX線マイクロアナライザ(XMA、堀場製作所社製X−max80)を用いて解析し、添加した導電性金属フィラー成分の元素マッピングをすることにより測定できる。その他、走査型プローブ顕微鏡や原子間力顕微鏡を用いたタッピングによる解析などの方法も利用可能である。
また、本発明において連続相を形成することは、例えば、導電性組成物の断面を走査型プローブ顕微鏡で観察することにより、連続相を形成していることが確認できる。
本発明における相分離構造を形成する各相は、それぞれ単独のポリマー成分である完全な分離状態であっても、あるいは、ポリマー成分比が相分離開始前の相溶状態から変化している程度であってもよい。
後者の場合、例えば、比誘電率の異なる2つのポリマー成分からなるポリマーブレンドにおいて相分離構造が形成される場合は、一方は比誘電率の高いポリマー成分が主成分であり、他方は比誘電率の低いポリマー成分が主成分となり、前者の相の比誘電率が相対的に高く、後者の相の比誘電率が相対的に低くなる。疎水化処理された導電性金属フィラーは後者の相に優先的に偏在する。
本発明の導電性組成物の製造方法は特に限定されないが、重合性モノマー中にポリマーを溶解させ、導電性金属フィラーを含む状態で、重合性モノマーを重合させてポリマー成分にする時に起こる反応誘起相分離を利用した方法で製造することが好ましい。以下、反応誘起相分離を利用した方法で製造する導電性組成物について説明する。
本発明における重合性モノマーとしては、特に限定されないが、(メタ)アクリレートおよびスチレンなどのビニルモノマー、エポキシおよびオキセタンなどの環状エーテルモノマー、ならびにシリコンモノマーなどが挙げられるが、柔軟性の制御のしやすさから、(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
前記(メタ)アクリレートには、単官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリレートが含まれる。
単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、脂環式を含む単官能脂肪族(メタ)アクリレートモノマーおよび単官能芳香族(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、2官能(メタ)アクリレートモノマーおよび3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、2官能脂肪族(メタ)アクリレートモノマーおよび2官能芳香族(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとしては、多官能脂肪族(メタ)アクリレートモノマーおよび多官能芳香族(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
これらのモノマーは、1種または2種以上を併用して用いることができる。
前記重合性モノマーとして、具体的には次のようなものが挙げられる。
<単官能脂肪族(メタ)アクリレートモノマー>
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、メタリル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、末端水酸基ポリエステルモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、アリル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートモノエステル、(メタ)アクリル酸、カルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、単官能ウレタン(メタ)アクリレート、単官能エポキシ(メタ)アクリレート、単官能ポリエステル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、シアノアクリレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
<単官能芳香族(メタ)アクリレートモノマー>
フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性p−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(n=2)(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(n=2.5)(メタ)アクリレート、ジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート等のフタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、フルオレン骨格含有単官能性(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
<2官能脂肪族(メタ)アクリレートモノマー>
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2官能ウレタン(メタ)アクリレート、2官能エポキシ(メタ)アクリレート、2官能ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのカプロラクトン変性ジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸グリセリンモノ(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイロキシグリセリンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
<2官能芳香族(メタ)アクリレートモノマー>
ビスフェノールAのEO(エポキシ)付加物ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、フルオレン骨格含有二官能性(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAの(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAの(メタ)アクリレート、ビスフェノールAとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応で得られるエポキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応で得られるエポキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応で得られるエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
<3官能以上の脂肪族(メタ)アクリレートモノマー>
ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、多官能エポキシ(メタ)アクリレート、多官能ポリエステル(メタ)アクリレート、トリス[2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス[2−((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル]イソシアヌレート、2,4,6−トリス((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
<3官能以上の芳香族(メタ)アクリレートモノマー>
フルオレン骨格含有多官能性(メタ)アクリレートおよび2,4,6−トリス((メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
上記の中で、好ましい重合性モノマーおよびその比誘電率は以下のとおりである。なお、比誘電率は、誘電率計(日本ルフト株式会社製Model871)で測定し(23℃、周波数:10kHz)、カッコ中の数字が比誘電率である。
イソボルニルメタクリレート(4.4)、シクロヘキシルメタクリレート(4.9)、ブチルアクリレート(5.1)、メチルアクリレート(6.6)、メチルメタクリレート(6.1)、2−メトキシエチルアクリレート(7.9)、グリシジルメタクリレート(8.0)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(8.7)、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート(13.5)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(14.2)、アクリロイルモルホリン(15.5)、2−(2−オキソ−1、3−ジオキソラン−4−イル)エチルメタクリレート(30.2)、2−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)エチルアクリレート(46.5)。
また、上記のモノマーを重合させて、本発明におけるポリマー成分として使用することができる。
本発明において上記重合性モノマーに溶解させるポリマー成分としては、特に限定はされないが、上記重合性モノマーを重合して得られるポリマーの他に、次のような熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂などが挙げられる。
<熱可塑性樹脂>
(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、フッ化樹脂、液晶ポリマー、オレフィン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマー樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体およびアクリロニトリル−スチレン共重合体などが挙げられる。
これらの中でも、柔軟性の制御のしやすさから、(メタ)アクリル樹脂を用いるのが好ましい。
<熱硬化性樹脂>
エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂および熱硬化性ウレタン樹脂などが挙げられる。
本発明において前記のモノマーを重合するための重合開始剤の種類としては、重合反応を開始し得るものであれば特に制限はない。例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾインエーテル類、ヒドロキシケトン類、アシルホスフィンオキシド類、ジアゾニウムカチオンオニウム塩、ヨードニウムカチオンオニウム塩およびスルホニウムカチオンオニウム塩などを、使用するモノマーの種類に応じて適宜用いることができる。
前記の重合性モノマーとポリマー成分の配合割合は任意に決めることができるが、ポリマー成分の割合は、好ましくは5〜90質量%であり、より好ましくは10〜70質量%であり、さらに好ましくは15〜50質量%である。
本発明では比誘電率が異なる2成分以上のポリマー成分が使用されるが、最も比誘電率が高いポリマー成分と他のポリマー成分との比誘電率の差は、好ましくは0.01〜50であり、より好ましくは0.01〜30であり、さらに好ましくは0.01〜20ある。比誘電率差が50以上であると重合性モノマーにポリマーが溶解しない恐れがある。
さらに、本発明におけるポリマー成分は架橋されていても良い。架橋はカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミノ基およびカルボニル基などの反応性官能基が導入された重合体と架橋性官能基を有する架橋剤との間の架橋反応により行われる。
この他にも1分子中に2個以上のビニル基を有する、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびジビニルベンゼン等の架橋性モノマーの共重合、またはメチロール基含有モノマーおよび加水分解性シリル基含有モノマー等の自己架橋可能な官能基を有するモノマーを導入することによっても架橋は可能である。
架橋剤の種類としては、前記の反応性官能基と架橋反応し得るものであれば特に制限はない。例えば、エポキシ系、イソシアネート系、ヒドラジド系、カルボジイミド系、オキサゾリン系および金属架橋系等の架橋剤から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。架橋剤の添加量は目的とする用途および性能により適宜調整されるものであるが、重合組成物に対し、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。
架橋の方法としては、ポリマー(初期ポリマーと呼ぶ)を溶解させた重合性モノマーが重合する際に、重合性モノマー自体に架橋反応を起こす方法、重合性モノマーが重合した後初期ポリマーが架橋反応を起こす方法、あるいはそれら方法により重合性モノマーと初期ポリマーのそれぞれに架橋反応を起こす方法がある。
本発明における導電性金属フィラーとしては、特に限定されないが、金、銀、銅、白金、ニッケル、アルミニウム、パラジウム、スズ、ビスマス、亜鉛、インジウム、マグネシウム、タングステンおよびチタンから選択される少なくとも1種の金属を含むものが好ましく、1種単独または2種以上を組み合わせて用いられる。また、導電性金属フィラーは、複数の導電性金属を複合化した複合フィラーであってもよい。
これらの中でも導電性が高く、表面が酸化されにくいことから、導電性金属フィラーとしては銀フィラーが特に好ましい。
前記導電性金属フィラーは、表面処理されていることが好ましく、有機酸またはその塩によって表面処理されていることがより好ましく、表面が疎水化処理されていることがさらに好ましい。これにより、樹脂成分が形成する相分離構造の特定の相に導電性金属フィラーが偏在し易くなり、疎水化処理されている場合には比誘電率のより低い相に偏在し易くなり、より好ましい。
有機酸は、例えばカルボキシル基を含有し、有機酸塩は、有機酸と塩基との組み合わせにより形成される。有機酸またはその塩は、例えば、コハク酸、グルタン酸、アジピン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、およびこれらの塩から選ばれ得る。特に、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、およびこれらのアンモニウム塩は、少量の使用で表面処理の効果を得やすいため好ましい。有機酸塩を使用すれば、水中で導電性金属フィラーの表面処理を行うことができるため好ましい。
表面処理剤としての有機酸または有機酸塩の量は、導電性金属フィラー100質量部に対して0.001〜0.5質量部の範囲にあることが好ましい。表面処理剤の量が0.001質量部より少ないと、表面処理の効果が少なく、導電性金属フィラーを積極的に偏在化させる効果が得られにくくなることがある。表面処理剤の量が0.5質量部より多いと、導電性向上の効果が小さくなる可能性がある。
導電性金属フィラーの形状は、球状、棒状、針状、柱状、繊維状、平板状、フレーク状、ナノシート、ナノファイバーおよびらくがん状(複数の球が凝集した形状)のいずれであってもよいが、少量の添加で効率的に金属フィラーが連結して導電経路を形成できることから、棒状、針状、柱状、繊維状、平板状、フレーク状、ナノシート、ナノファイバーおよびらくがん状が好ましく、入手しやすく工業的に利用しやすいことから、棒状、針状、柱状、繊維状、平板状およびフレーク状がさらに好ましい。
前記導電性金属フィラーのアスペクト比は20〜500が好ましく、30〜500がより好ましく、40〜500がさらに好ましい。
なお、アスペクト比とは、平均的な導電性金属フィラー粉末を平板状の円柱であると仮定し、その直径がD50と等しいとする。このD50を、BET比表面積から算出した厚さtで除したものをアスペクト比と定義する。
また、D50は、下記に示すように、粒子の50%平均粒径のことである。
前記導電性金属フィラーの平均粒子径は、0.01〜30μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは3.0〜10μmである。
導電性金属フィラーの平均粒子径が0.01μmより小さいと、導電性粒子の添加による樹脂組成物の粘度増加が著しく、導電性樹脂組成物の被着体への塗布性が相対的に低下することがある。また、導電性金属フィラーの平均粒子径が30μmより大きいと、微細な構造を有する被着体を接着するときに、導電性樹脂組成物を狭い隙間に均一に浸透させること困難になる可能性がある。
銀フィラーが薄片フレーク状銀粉である場合、レーザー回折散乱型粒度分布測定による50%平均粒径(D50)は、好ましくは0.01〜30μm、より好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは3.0〜10μmである。
導電性金属フィラーの平均粒子径は、レーザー回折散乱型粒度分布測定装置により測定可能である。あるいは、電子顕微鏡観察や、観察結果の画像処理によっても導電性粒子の平均粒径を求めることができる。
本発明において導電性金属フィラーの含有量とは、導電性金属フィラーの質量を混合溶液(重合性モノマーとポリマーが溶解した液に導電性金属フィラーを加えたもの)の質量で除し100を掛けた数値である。導電性金属フィラーの含有量は50質量%以下であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。導電性フィラーの特長を発現させ、かつ成形性を保ち、経済的にも有利であるためには、4〜20質量%であることがさらに好ましい。
前記重合性モノマー中にポリマーを溶解させ、導電性金属フィラーを配合した後、重合性モノマーを重合反応させてポリマー成分にする時に、2つ以上のポリマー成分が反応誘起相分離を起こす。該重合反応は公知の方法が適用できる。
導電性金属フィラーの導電性を効率良く発現させるため、反応誘起相分離によって形成した連続相に導電性金属フィラーを偏在させる。ポリマー成分を重合性モノマーに溶解させて反応誘起相分離を行う場合は、はじめに配合したポリマー成分が主成分である連続相を形成する。
表面が疎水化処理された導電性金属フィラーの場合は、相対的に低い比誘電率を有する相に優先的に偏在する。
配合するポリマーと重合性モノマーの組み合わせにおいては、ポリマーの比誘電率が重合性モノマーの比誘電率よりも低いことが好ましい。
導電性金属フィラーとポリマー成分との親和性の評価は、公知の方法を用いて確認することができる。例えば、モノマー液に導電性金属フィラーを分散させたスラリーの粘度を測定する方法や、そのスラリーの外観を目視確認してフィラーが分散していれば親和性が高く、沈殿していれば親和性が低いと判断する方法がある。
本発明の導電性組成物は、導電性を担保することで、ベルトコンベア、弱電・各種構造部材、自動車部材(燃料タンク・ホース・キャップ)、静電塗装下地材、複写機部材(帯電ベルト、除電ロール)、面状・線状発熱体、コネクタおよび電磁波シールドなどの材料に使用できる。そのため、本発明の導電性組成物の体積抵抗率は10-3〜104Ω・cmであり、より好ましくは10-3〜102Ω・cm、さらに好ましくは10-3〜100Ω・cmであることが好ましい。
以下、実施例および比較例により、本発明を具体的に説明する。
ポリマー成分の比誘電率は、誘電率計(日本ルフト社製Model871)で測定(23℃、周波数:10kHz)した該モノマーの値である。モノマー成分の比誘電率は、同条件で測定した値である。
(使用したポリマー)
・pMA(ポリメチルアクリレート)、下記合成例1で得られたポリマー原料であるモノマーの比誘電率:6.6
・pBA(ポリn−ブチルアクリレート)、下記合成例2で得られたポリマー原料であるモノマーの比誘電率:5.1
(合成例1)
<pMA:ポリメチルアクリレートの合成>
MA(メチルアクリレート、東亞合成社製)30.0gを酢酸n−ブチル(和光純薬工業社製、一級試薬)120gに溶解し、これを窒素雰囲気下で、60℃まで加温した。ここにパーブチルPV(t−ブチルパーオキシピバレート、日油社製)71%シェルゾール溶液4.28gを加え、窒素雰囲気下で3時間撹拌した。この反応液をn−ヘキサン(和光純薬工業社製、一級試薬)に滴下し、白色沈殿を生じさせ、デカンテーションにより上澄み液を除き、n−ヘキサンで白色沈殿を洗浄した。
白色沈殿を60℃で減圧乾燥してpMA26.8gを収率89%で得た。この分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製、HLC−8320)により求めた結果、数平均分子量(Mn)13,000、重量平均分子量(Mw)47,000であり、プロトン核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルより、生成物が目的物であると同定した。
(合成例2)
<pBA:ポリn−ブチルアクリレートの合成>
BA(n−ブチルアクリレート、東亞合成社製)30.0gを酢酸n−ブチル(和光純薬工業社製、一級試薬)120gに溶解し、これを窒素雰囲気下で、60℃まで加温した。ここにパーブチルPV(t−ブチルパーオキシピバレート、日油社製)71%シェルゾール溶液2.89gを加え、窒素雰囲気下で3時間撹拌した。この反応液を水/メタノール(2/8, vol/vol)に滴下し、白色沈殿を生じさせ、デカンテーションにより上澄み液を除き、水/メタノール(2/8, vol/vol)で白色沈殿を洗浄した。
白色沈殿を60℃で減圧乾燥してpBA24.4gを収率81%で得た。この分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー社製、HLC−8320)により求めた結果、数平均分子量(Mn)21,000、重量平均分子量(Mw)94,000であり、プロトン核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルより、生成物が目的物であると同定した。
(使用したモノマー)
・BA(n−ブチルアクリレート)、東亞合成社製、比誘電率:5.1
・AAEM(2−アセトアセトキシエチルメタクリレート)、日本合成化学工業社製、比誘電率:13.5
(使用した開始剤)
・パーブチルO(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート)、日油社製。
(使用した導電性金属フィラー)
・Ag−XF301(フレーク状銀微粒子、レーザー50%平均粒径(D50)5.4μm、BET比表面積2.0m2/g、アスペクト比55、福田金属箔粉工業社製)。
平均的なAg粉末を平板状の円柱であると仮定し、その直径がD50と等しいとすると、このD50を、BET比表面積から算出した厚さtで除したものがアスペクト比であり、前記Ag−XF301の厚さtは0.099μmと算出されるので、アスペクト比=5.4μm÷0.099μm=55と計算される。
<実施例1−1>
ポリマー(pMA)0.4gをモノマー(BA)1.6gに溶解した液に、開始剤(パーブチルO)8.4mgおよび導電性金属フィラー(Ag−XF301)0.197gを加えた後、ボルテックスミキサーで30秒間混合した後、自転公転式撹拌機(THINKY社製、あわとり練太郎ARE−310)で3分間混合した。
得られた混合液をシリコーン製型枠(30mm×30mm×1mm)に流し込みPETフィルムで密閉し、乾燥機を用いて90℃で1時間、続いて120℃で1時間加熱することで所望の試験片を得た。
<実施例1−2〜3−5および比較例1−1〜1−4>
ポリマーとモノマーの種類、導電性フィラーおよび開始剤の配合量を表1のように変更した以外は、実施例1と同じ方法で試験片を得た。
比較例1−1〜1−4では、単一成分(BA)に銀フィラーを添加する実験であるが、単にモノマーに銀フィラーを添加すると、熱重合中に銀フィラーが沈降するので、硬化前の液粘度を上げて銀フィラーの沈降を防ぎながら、同成分のポリマー(pBA)を溶解させた。
実施例および比較例の各試験片の体積抵抗率測定および断面観察を次の方法で実施した。体積抵抗率の結果は表1に示し、断面観察の結果(一部)は図1〜3に示す。なお、表1における、導電性金属フィラーは前記Ag−XF301であり、開始剤は前記パーブチルO(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート)を意味する。
<体積抵抗率測定>
低抵抗率計(三菱化学社製、Loresta―GP MCP−T610)に接続したプローブ(三菱化学社製、ESPプローブ MCP−TP08P)を、得られた試験片に接触させることで体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。
<組成物の断面観察>
得られた試験片はミクロトーム装置(ライカマイクロシステムズ社製、EM FC7)を用いて−100℃の温度条件でダイヤモンドナイフを使って断面出しを行なった後、走査型プローブ顕微鏡(SPM、オックスフォード・アサイラム社製、MFP−3D Infinity)で位相像を測定した。位相像から、相分離の有無、銀の存在箇所を判断した。
また、走査型プローブ顕微鏡の観察像(SPMの位相像およびヤング率像)から、相分離の有無、偏在した無機フィラーの割合を下記基準により評価した。
相分離の有無
○:目視により判断し、相分離構造が確認された。
×:目視により判断し、相分離構造が確認出来なかった。
−:相分離が起こり得ない単一ポリマー成分の系であるもの。
フィラーの偏在
○:最も比誘電率の低い相に存在する無機フィラーの複合物全体に占める割合が90質量%以上である。
−:偏在が起こり得ない単一ポリマー成分の系。
<組成物の断面観察の詳細>
図1に実施例1−2(pMA/BA=5/5+Ag9.6質量%)のSPM像(位相像)を示した。別途ヤング率測定の結果から、像の暗い(位相差が小さい)海領域はMAポリマーが主成分の相、像の明るい(位相差が大きい)島領域および連結した島領域はBAポリマーが主成分の相である相分離であると確認された。加えて、銀フィラーはBAポリマーが主成分の相に相当する成分内に偏在し、さらには島領域同士を繋げる形になっていることが観察された。銀フィラーが、BAポリマーが主成分の相に偏在するのは、銀表面に存在すると推定される脂肪酸が、相対的に低誘電率であるBAと親和性が高いためと推定する。
図2に実施例2−5(pBA/AAEM=2/8+Ag35.6質量%)のSPM像(位相像)を示した。上記と同様に別途ヤング率測定の結果から、像の明るい(位相差が大きい)海領域はBAポリマーが主成分の相、像の暗い(位相差が小さい)島領域はAAEMポリマーが主成分の相である相分離であると確認された。加えて、この場合は、銀フィラーは海領域を形成する相(BAポリマーが主成分)内に偏在することが観察された。銀フィラーが、BAポリマーが主成分の相に偏在するのは、銀表面に存在すると推定される脂肪酸が、相対的に低誘電率であるBAと親和性が高いためと推定する。
図3に実施例3−3(pMA/AAEM=2/8+Ag9.6質量%)のSPM像(位相像)を示した。上記と同様に別途ヤング率測定の結果から、像の明るい(位相差が大きい)海領域はMAポリマーが主成分の相、像の暗い(位相差が小さい)島領域はAAEMポリマーが主成分の相である相分離であると確認された。加えて、この場合は、銀フィラーは海領域を形成する相(MAポリマーが主成分)内に偏在することが観察された。銀フィラーがBAポリマー相に偏在するのは、銀表面に存在すると推定される脂肪酸が、相対的に低誘電率であるMAと親和性が高いためと推定する。
Figure 2019182963
1 MAポリマーが主成分の相
2 BAポリマーが主成分の相
3 導電性金属フィラーAg−XF301
4 AAEMポリマーが主成分の相

Claims (10)

  1. 比誘電率が異なる2成分以上のポリマー成分と導電性金属フィラーとを含む導電性組成物において、ポリマー成分が2つ以上の相を含む相分離構造を有し、該導電性金属フィラーが1つの相に偏在し、かつ、導電性金属フィラーが偏在する相が連続相を形成する導電性組成物。
  2. 前記導電性金属フィラーが銀フィラーである請求項1記載の導電性組成物。
  3. 前記銀フィラーの表面が疎水化処理され、該銀フィラーが最も比誘電率の低い相に偏在する請求項2記載の導電性組成物。
  4. 体積抵抗率が10-3〜104Ω・cmである請求項1〜3のいずれかに記載の導電性組成物。
  5. 前記銀フィラーのアスペクト比が20〜500である請求項2〜4のいずれかに記載の導電性組成物。
  6. 最も比誘電率の高いポリマー成分と他のポリマー成分との比誘電率の差が0.01〜50である請求項1〜5のいずれかに記載の導電性組成物。
  7. ポリマー成分の少なくとも1つが(メタ)アクリル樹脂である請求項1〜6のいずれかに記載の導電性組成物。
  8. ポリマー成分の少なくとも1つが架橋したポリマー成分である請求項1〜7のいずれかに記載の導電性組成物。
  9. 重合性モノマー中にポリマーを溶解させた後、前記重合性モノマーを重合させてポリマー成分にすることで、ポリマー成分が相分離する反応誘起相分離を起こし、導電性金属フィラーが1つの相に偏在し、該導電性金属フィラーが偏在する相が連続相を形成することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の導電性組成物の製造方法。
  10. 前記重合性モノマーが、(メタ)アクリレート化合物である請求項9記載の導電性組成物の製造方法。
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