JP2019182788A - 歯磨剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】薬効を有する塩類が配合され、使用時の不快な味が改善すると共に口腔内刺激感が低減し、使用感が優れる歯磨剤組成物を提供する。【解決手段】(A)硝酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム及び塩化ナトリウムから選ばれる1種以上の塩、(B)N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド、及び(C)非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする歯磨剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、薬効を有する塩類が配合され、使用時の不快な味が改善すると共に口腔内刺激感が低減し、使用感が優れる歯磨剤組成物に関する。
従来から、知覚過敏や歯肉・歯周炎等の口腔疾患の予防を目的に、薬効を有する有効成分として塩類、例えば硝酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、塩化ナトリウム等を歯磨剤組成物に配合することがある。
一方、歯磨剤組成物用の冷涼化又は清涼化剤としてN−置換−p−メンタン−カルボキサミドは公知であり、これによる清涼感やサッパリ感の改善技術が、特許文献1〜6(特開2014−125440号、同2015−182983号、同2016−102076号公報;特表2014−507440号、同2012−508741号、同2011−520925号公報)に提案されている。
特開2014−125440号公報 特開2015−182983号公報 特開2016−102076号公報 特表2014−507440号公報 特表2012−508741号公報 特表2011−520925号公報
しかしながら、上記塩類含有の歯磨剤組成物は、その使用に際して塩味、辛味、苦味等の嫌味が不快な味として残って使用中の味が悪くなることや、口腔内刺激を与えることがあり、使用感の点で改善の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、薬効を有する塩類が配合され、使用時の不快な味が改善すると共に口腔内刺激感が低減し、使用感が優れる歯磨剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、薬効を有する特定の塩を配合した歯磨剤組成物に、特定のN−置換−p−メンタン−カルボキサミドを特定量配合し、かつ特定の界面活性剤を併用して配合すると、上記塩由来の嫌味が抑制されて不快な味が改善し、かつ上記塩類に起因する口腔内刺激が抑制されて刺激感が低減し、これにより、使用感が向上することを知見した。
即ち、本発明によれば、(A)硝酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム及び塩化ナトリウムから選ばれる1種以上の塩を配合した歯磨剤組成物に、(B)N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド、及び(C)非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上を配合することによって、使用時の不快な味が改善すると共に口腔内刺激感が低減し、使用感が優れる歯磨剤組成物を提供できることを知見し、本発明をなすに至った。
本発明では、(A)成分に(B)及び(C)成分を組み合わせて配合すると、(A)成分による嫌味が、(B)成分によって抑制され、(C)成分を併用することで更に抑制され、不快な味が改善して良い味を与え、また、(A)成分に起因する独特な口腔内刺激が(B)成分の併用によって強くなっても、前記口腔内刺激感が低減されてほとんど感じられることもなく、格別な作用効果を得ることができた。
後述の比較例にも示すように、(B)成分を欠くと、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミドが配合されていても、使用中の嫌味のなさが劣り、また、(C)成分を欠くと、使用中の口腔内刺激感のなさが劣っていた。
従って、本発明は、下記の歯磨剤組成物を提供する。
〔1〕
(A)硝酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム及び塩化ナトリウムから選ばれる1種以上の塩、
(B)N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド
及び
(C)非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上
を含有することを特徴とする歯磨剤組成物。
〔2〕
(A)成分を0.5〜15質量%、(B)成分を0.00001〜0.01質量%、(C)成分を0.01〜3質量%含有する〔1〕に記載の歯磨剤組成物。
〔3〕
非イオン性界面活性剤が、炭素数8〜20のアルキル鎖を有するショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル;炭素数8〜20のアルキル鎖を有し、かつエチレンオキサイドの平均付加モル数が20〜100であるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;エチレンオキサイドの平均付加モル数が20〜100であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、及びエチレンオキサイドの平均付加モル数/プロピレンオキサイドの平均付加モル数のモル比が0.2〜7であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体から選ばれる1種以上である〔1〕又は〔2〕に記載の歯磨剤組成物。
〔4〕
両性界面活性剤が、炭素数8〜20のアルキル鎖を有するアルキルベタイン、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン及びアミドプロピルベタイン、並びにアミンオキサイドから選ばれる1種以上である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
本発明によれば、薬効を有する特定の塩が配合され、使用時の不快な味が改善すると共に口腔内刺激感が低減し、使用感が優れる歯磨剤組成物を提供できる。
以下、本発明につき更に詳述する。本発明の歯磨剤組成物は、(A)硝酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム及び塩化ナトリウムから選ばれる1種以上の塩、(B)N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド、(C)非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤を含有する。
(A)成分は、硝酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム及び塩化ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上の塩であり、特に硝酸カリウム、塩化ナトリウムが好ましい。これらの塩は、薬効を有する有効成分であり、それぞれ下記に示すような効果を奏する。
・硝酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム:知覚過敏予防効果
・塩化ナトリウム:歯肉・歯周炎予防効果、歯肉等のひきしめ効果
(A)成分の配合量は、組成物全体の0.5〜15%(質量%、以下同様)が好ましく、より好ましくは1〜10%、更に好ましくは1〜7%である。配合量が0.5%以上であると、期待される薬効効果が十分に発揮され、15%以下であると、それ自身による不快な味を十分に改善し、また、口腔内刺激感を十分に抑制することが可能となる。
なお、(A)成分は、組成物中に溶解状態でも、未溶解状態で存在してもよく、その配合量は合計で上記範囲内が好ましい。
(B)N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミドは、(A)成分由来の嫌味を抑制し、不快な味を改善する作用を奏する。
なお、(B)成分に代えて、(B)成分以外のN−置換−p−メンタン−カルボキサミドを使用した場合は、上記作用効果が劣る。
N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミドは、市販品のエバクール180(商品名、ジボダンジャパン(株)製)等を使用できる。
(B)成分の配合量は、組成物全体の0.00001〜0.01%が好ましく、より好ましくは0.00003〜0.002%である。配合量が0.00001%以上であると、不快な味が十分に改善する。0.01%以下であると、口腔内刺激感の悪化を十分に防止できる。
(C)成分は、非イオン性界面活性剤(C−1)及び両性界面活性剤(C−2)から選ばれる1種以上であり、(C−1)又は(C−2)成分でもよいが、効果発現の点で(C−1)及び(C−2)成分を併用してもよい。(C)成分は、(B)成分の上記作用を向上し、また、口腔内刺激感を低減する作用を奏する。
非イオン性界面活性剤(C−1)としては、多価アルコールと脂肪酸がエステル結合でつながっている多価アルコール型、高級アルコールやアルキルフェノール等の水酸基を持つ疎水性原料に主として酸化エチレン(エチレンオキサイド)が付加したタイプ、脂肪酸や多価アルコール脂肪酸エステルに酸化エチレンを付加したタイプのポリエチレングリコール型のものが好適であり、多価アルコールとしてはショ糖、ソルビタン、又はポリグリセリンが好適である。
多価アルコール型としては、炭素数8〜20のアルキル鎖を有するショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、中でもショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。ポリエチレングリコール型としては、炭素数8〜20のアルキル鎖を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が20〜100であるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;エチレンオキサイドの平均付加モル数が20〜100であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油;エチレンオキサイドの平均付加モル数/プロピレンオキサイドの平均付加モル数のモル比が0.2〜7であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等が挙げられ、中でも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がより好ましい。
これら非イオン性界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
非イオン性界面活性剤(C−1)は、配合する非イオン性界面活性剤のHLB値が6〜20、特に9〜18となるように選択すると、嫌味の抑制及び口腔内刺激感の低減の点で、より好ましい。
上記HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値は、グリフィンによるHLBである(以下同様)。
両性界面活性剤(C−2)としては、アルキルベタイン、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン、アミドプロピルベタイン、スルホベタイン等のベタイン型両性界面活性剤、アミンオキサイドが挙げられる。また、炭素数8〜20のアルキル鎖を有するものが好ましく、前記アルキル鎖を有するアルキルベタイン、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン、アミドプロピルベタインが好ましい。これらのうち、ベタイン型両性界面活性剤がより好ましい。
ベタイン系両性界面活性剤は、例えば、アルキルベタイン(ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等)、酢酸ベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)、イミダゾリニウムベタイン(2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等)、脂肪酸アミドプロピルベタイン(ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等)、スルホベタイン(ラウリルヒドロキシスルホベタイン等)が挙げられる。これらの中でも、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタインが好ましく、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインがより好ましい。特に2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、とりわけヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが、苦味がなく味が良い点から、好ましい。
これら両性界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(C)成分の配合量は、組成物全体の0.01〜3%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.5%である。配合量が0.01%以上であると、不快な味が十分に改善し、口腔内刺激感が十分に低減する。3%以下であると、(C)成分自身による苦味や油っぽさが不快な味として発現するのを防止し、味の良さを保持できる。
本発明の歯磨剤組成物は、練歯磨、液状歯磨、潤製歯磨等の歯磨剤、特に練歯磨として調製することができる。また、その剤型等に応じて、上記成分に加えて、通常、歯磨剤組成物に使用されている公知成分を、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて配合できる。配合できる任意成分としては、研磨剤、粘結剤、(C)成分以外の界面活性剤、甘味剤、香料、pH調整剤、防腐剤、(A)成分以外の薬効成分等が挙げられる。
研磨剤としては、第2リン酸カルシウム・2水和塩又は無水和物、第1リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系研磨剤;沈降性シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、チタン結合性シリカ等のシリカ系研磨剤;炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム系研磨剤;水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベントナイト、ハイドロキシアパタイトが挙げられ、これらの1種又は2種以上を配合できる。これらの中で、特に沈降性シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、チタン結合性シリカ等のケイ酸塩を主成分とするシリカ系研磨剤、炭酸カルシウム系研磨剤、とりわけ沈降性シリカ等のシリカ系研磨剤が好ましい。
沈降性シリカは、例えば、粒径が1〜40μm、BET比表面積が1gあたり80〜250平方メートルのものが好ましい。
これら研磨剤の配合量は、組成物全体の8〜70%が好ましい。
また、研磨剤は顆粒であってもよく、研磨性を有する成分として、顆粒剤を配合できる。顆粒剤は、水不溶性粉体を顆粒状に形成させた造粒粒子であり、粒状化には結合剤を用いても良い。
水不溶性粉体としては、第2リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、水不溶性メタリン酸カルシウム、シリカ、水酸化アルミニウム、リン酸マグネシウム、ベンガラ、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、ゼオライト、アルミノ珪酸塩、炭酸マグネシウム、ジルコノシリケート、硫酸カルシウム等の無機粉体やこれらの混合物が挙げられる。特に、シリカ、ゼオライトが好ましく、シリカ顆粒剤、ゼオライト顆粒剤が好適である。
顆粒剤の体積平均粒径(メジアン径d50)は、50〜500μmであることが好ましい。前記体積平均粒径は、粒度分布測定装置(日機装(株)製、マイクロトラック粒度分布計、分散媒;水)による測定値である。
顆粒剤の平均崩壊強度は、10〜200g/個であることが好ましい。前記平均崩壊強度は、レオメーター(サンレオメーターCR−200D、サン科学社製)による、顆粒30個の自動破断強度測定値(顆粒1個を10mm/分の速度で圧縮した時に本顆粒が崩壊する時の荷重を測定した値)の平均値である。
シリカ顆粒剤としては、湿式法のゲル法シリカ、沈降法シリカが好適に用いられ、一次粒子径は3〜15nm程度、好ましくは4〜10nmが良好である。例えば、ゲル法で4〜10nm程度に一次粒子径を成長させたシリカゲルの塊を洗浄、乾燥させた後に粉砕して平均粒径が50〜500μmであるシリカ顆粒に分級する方法、シリカヒドロゾルを空気中に噴霧させゲル化させることで顆粒を調製する方法、また、沈降法で一次粒子の成長を抑えながら凝集させた後に一次粒子径を4〜10nm程度に成長させることで調製する方法などが知られており、これらの方法でシリカ顆粒剤を調製できる。また、顆粒は着色したものも使用することができる。これら顆粒剤の配合量は、組成物全体の0.1〜20%が好ましい。なお、研磨剤の総配合量は、組成物全体の8〜70%がよい。
粘結剤は、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースナトリウム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、カーボポール、ビーガム、アルギン酸プロピレングリコール等の有機粘結剤、増粘性シリカ、ケイ酸アルミニウム等の無機粘結剤が挙げられる。これらは1種又は2種以上で使用できる。粘結剤の配合量は、組成物全体の1.4〜10%、特に1.4〜3%が好ましい。
任意の界面活性剤は、アニオン性界面活性剤を用いることができる。具体的には、アルキル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸塩、ラウリルスルホ酢酸塩、N−メチル−N−アシルタウリン塩等のN−アシルタウレート、アシルサルコシン塩、N−アシル−L−グルタミン酸塩等のアシルアミノ酸塩が挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用できる。中でも、泡立ち、泡質の良さの点で、スルホン酸基を含有するアニオン性界面活性剤が好ましく、より好ましくはアルキル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩である。前記塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられ、特にナトリウム塩が好ましい。
アルキル硫酸塩は、アルキル基の炭素数が好ましくは12〜14であり、具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリストイル硫酸ナトリウムが挙げられる。
α−オレフィンスルホン酸塩は、炭素数が14〜16のα−オレフィンスルホン酸のナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩を用いることができ、中でも炭素数14のα−オレフィンスルホン酸塩、特にナトリウム塩(一般名;テトラデセンスルホン酸ナトリウム)が好ましい。
アニオン性界面活性剤の好ましい配合量は、組成物全体の0.6〜2.5%、特に1〜2.5%である。
甘味剤は、サッカリンナトリウム、グリセリン、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン、グリチルリチン、ソーマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル等が挙げられる。
香料は、公知の香料、例えばメントール、アネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、n−デシルアルコール、シトロネロール、α−テレピネオール、シトロネリルアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑油、丁字油、ユーカリ油等が挙げられる。
pH調整剤は、クエン酸、乳酸等の有機酸やその塩類;塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等の無機化合物が挙げられる。防腐剤は、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウムが挙げられる。
薬効成分は、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ等の酵素;トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、アズレン、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸塩等の抗炎症剤;ビタミン類等の細胞賦活剤;イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、塩化リゾチーム等の殺菌剤;銅クロロフィル、グルコン酸銅等の水溶性銅化合物;ゼオライト等の歯石予防剤;ビタミンE等の血行促進剤;アラニン、グリシン、プロリン等のアミノ酸類が挙げられる。これら薬効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量である。
更に、任意成分として、雲母チタン、酸化チタン、ベントナイト等の無機化合物;結晶性セルロース等のセルロース系の有機粉末;寒天、ゼラチン、デンプン、グルコマンナン等の天然高分子化合物;ポリ酢酸ビニル、アクリル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ナイロン末、ポリエチレン末等の合成高分子化合物又はそれらの共重合体;カルナバワックス、ロジン、ライスワックス、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、パラフィンワックス等のワックス類;セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリウレタン、シリコーン、天然ゴムを、本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。
以下、実施例及び比較例、処方例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
[実施例、比較例]
表1〜3に示す組成の歯磨剤組成物(練歯磨)を常法によって調製し、下記方法で使用感を評価した。結果を表1〜3に併記した。
使用感の評価方法
被験者4名による使用感評価を行った。
歯ブラシ(クリニカアドバンテージハブラシ、4列コンパクトふつうタイプ、ライオン(株)製)に、歯磨剤組成物を1g載せ、3分間歯みがきを行った。使用中の嫌味(嫌味のなさ)、使用中の口腔内刺激感(刺激感のなさ)について、それぞれ下記の評点基準で判定し、4名の平均点を求め、下記の評価基準で評価した。
ここで、嫌味とは、塩類の塩味等に起因する口腔内で感じる不快な味である。口腔内刺激感とは、口腔粘膜へのピリピリとした刺激の感覚である。
<使用中の嫌味(嫌味のなさ)>
評点基準
5:不快な味を感じない
4:不快な味をほぼ感じない
3:不快な味をやや知覚するが、問題ないレベルである
2:不快な味を感じる
1:不快な味を強く感じる
評価基準
◎:平均点が4点以上
○:平均点が3点以上4点未満
×:平均点が3点未満
<使用中の口腔内刺激感(刺激感のなさ)>
評点基準
5:刺激を感じなかった
4:刺激をほとんど感じなかった
3:刺激をやや感じたが、問題にならないレベル
2:刺激を感じた
1:刺激を非常に感じた
評価基準
◎:平均点が4点以上
○:平均点が3点以上4点未満
×:平均点が3点未満
使用原料の詳細を下記に示す。
(A)成分
硝酸カリウム;硝酸カリウム(大塚化学(株)製)
塩化ナトリウム;精選特級塩(日本海水(株)製)
(B)成分
N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド;エバクール180(ジボダンジャパン(株)製)
(C)成分
(C−1)ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油;NIKKOL HCO−20、エチレンオキサイドの平均付加モル数20(日光ケミカルズ(株)製)
(C−1)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油;NIKKOL HCO−60、エチレンオキサイドの平均付加モル数60(日光ケミカルズ(株)製)
(C−1)イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;NIKKOL TI−10V、エチレンオキサイドの平均付加モル数20(日光ケミカルズ(株)製)
(C−2)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン;TEGO Betain CK(EVONIK社製)
Figure 2019182788
Figure 2019182788
Figure 2019182788
以下に処方例を示す。
[処方例1]
(A)塩化カリウム 5
(B)N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド 0.0001
(C−1)ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.7
研磨性シリカ 15
ソルビット液(70%) 30
プロピレングリコール 3
増粘性シリカ 4
キサンタンガム 1.5
ラウリル硫酸ナトリウム 1.6
フッ化ナトリウム 0.3
サッカリンナトリウム 0.18
香料 1
水 残
合計 100%
[処方例2]
(A)クエン酸カリウム 5
(B)N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド 0.0001
(C−1)ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.7
研磨性シリカ 15
ソルビット液(70%) 30
プロピレングリコール 3
増粘性シリカ 4
キサンタンガム 1.5
ラウリル硫酸ナトリウム 1.6
フッ化ナトリウム 0.2
サッカリンナトリウム 0.18
香料 1
水 残
合計 100%
[処方例3]
(A)シュウ酸カリウム 5
(B)N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド 0.0001
(C−1)ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.7
研磨性シリカ 15
ソルビット液(70%) 30
プロピレングリコール 3
増粘性シリカ 4
キサンタンガム 1.5
ラウリル硫酸ナトリウム 1.6
フッ化ナトリウム 0.2
サッカリンナトリウム 0.18
香料 1
水 残
合計 100%
[処方例4]
(A)硝酸カリウム 5
(B)N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド 0.0001
(C−1)ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.7
研磨性シリカ 15
ソルビット液(70%) 30
プロピレングリコール 3
増粘性シリカ 4
キサンタンガム 1.5
ラウリル硫酸ナトリウム 1.6
フッ化ナトリウム 0.3
サッカリンナトリウム 0.18
香料 1
水 残
合計 100%

Claims (4)

  1. (A)硝酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム及び塩化ナトリウムから選ばれる1種以上の塩、
    (B)N−(4−シアノメチルフェニル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド
    及び
    (C)非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする歯磨剤組成物。
  2. (A)成分を0.5〜15質量%、(B)成分を0.00001〜0.01質量%、(C)成分を0.01〜3質量%含有する請求項1記載の歯磨剤組成物。
  3. 非イオン性界面活性剤が、炭素数8〜20のアルキル鎖を有するショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル;炭素数8〜20のアルキル鎖を有し、かつエチレンオキサイドの平均付加モル数が20〜100であるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;エチレンオキサイドの平均付加モル数が20〜100であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、及びエチレンオキサイドの平均付加モル数/プロピレンオキサイドの平均付加モル数のモル比が0.2〜7であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体から選ばれる1種以上である請求項1又は2記載の歯磨剤組成物。
  4. 両性界面活性剤が、炭素数8〜20のアルキル鎖を有するアルキルベタイン、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン及びアミドプロピルベタイン、並びにアミンオキサイドから選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれか1項記載の歯磨剤組成物。
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