(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係る電気的接触子及び電気的接続装置の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(A−1)電気的接続装置の構成
図2は、実施形態に係る電気的接続装置の平面図である。図3は、図2に示した電気的接続装置のA−A線矢視断面図であり、電気的接続装置に収容される被検査体を点線で表している。図4は、図2に示した電気的接続装置のB−B線矢視断面図である。図5は、実施形態の電気的接続装置において電気的接触子が装着されている部分の要部拡大断面図である。なお、以下では、図2〜図5中の上下方向に従って、「上」、「下」を言及することとする。
電気的接続装置11は、主に、フレーム部18、ソケット部19を有する。図3に示すように、電気的接続装置11は、配線基板15上に設けられている。
電気的接続装置11は、試験に必要な電気信号を授受する検査装置(以下では、「テスタ」とも呼ぶ。)と接続しており、被検査体12の電気的特性を検査する。例えば、被検査体12としての集積回路の製造工程で、組立完了した集積回路の電気的試験(例えば、パッケージテストやファイナルテスト等)に用いる試験用ICソケットとして、電気的接続装置11を用いることができる。
電気的接続装置11におけるソケット部19の中央部には受入凹部53が設けられており、この受入凹部53に被検査体12が収容される(図3参照)。被検査体12の収容方法は、例えば、図示しない被検査体装着手段により、所定の押し込み荷重により、被検査体12を下向き、すなわち受入凹部53の上方から配線基板15側に押し付け、電気的接続装置11に被検査体12を収容する。
図3に示すように、被検査体12は、その下面に複数の電極端子(「端子」)13が設けられている。各電極端子13は、被検査体12の下面に設けられている電極であり、複数の電極端子13は、被検査体12の下面に、一列、複数列、マトリックス上又は他の配列で備えられている。なお、この実施形態では、被検査体12の形状が四角形であり、被検査体12の下面には、マトリックス状に複数の電極端子13が配列されている場合を例示するが、被検査体12の形状や複数の電極端子13の配列の仕方は、これに限定されるものではない。また、この実施形態では電極端子13はバンプの場合を例にとって説明する。
配線基板15は、例えば電気絶縁部材で形成された配線基板である。配線基板15の上面には、例えば印刷配線技術により導電性を有する金属材料からなる配線が形成されており、この配線は、被検査体12を試験するテスタ(図示しない)の配線に電気的に接続されている。配線基板15の上側に、例えばネジや位置決めピンなどの固定部材35により、フレーム部18が固定されている。また、配線基板15の上側には、下側ハウジング16、上側ハウジング17等が固定されて配置されている。配線基板15に形成されている配線上には、コンタクトパッド22が配設されており、電気的接触子20の下端部がコンタクトパッド22に接触して電気的に導通される。
フレーム部18は、配線基板15、下側ハウジング16及び上側ハウジング17を一体的に固定して支持すると共に、ソケット部19を上下動可能に支持する部材である。
フレーム部18は、主に、外枠部31、固定用フランジ部32、上下動支持用フランジ部33を有する。
外枠部31は、下側ハウジング16、上側ハウジング17及びソケット部19の周縁部を囲うように、四角形の枠体状に形成されている。外枠部31の下面には、位置決め用ピン(又は位置決め用孔;いずれも図示せず)が設けられ、配線基板15の上面には、外枠部31側の位置決め用ピン(又は位置決め用孔)に対応して、位置決め用孔(又は位置決め用ピン;いずれも図示せず)が設けられている。これにより、外枠部31の下面の位置決め用ピン(又は位置決め用孔)と、配線基板15の上面の位置決め用孔(又は位置決め用ピン)とが嵌合して、外枠部31と配線基板15とが正確に位置決めされて支持されるようになっている。外枠部31の四隅には、固定部材35(図2参照)が取り付けられている。固定部材35は、外枠部31の四隅の貫通孔(図示せず)を介して配線基板15のネジ孔(図示せず)にねじ込まれて、これら外枠部31と配線基板15とを固定している。
固定用フランジ部32は、外枠部31の四角筒状の開口部の対向する内側面に、互いに対向するように2つ設けられている。各固定用フランジ部32は、互いに内側へ水平に伸びた、ほぼ半円板状に形成されている。各固定用フランジ部32の下面の高さ(すなわち、配線基板15から各固定用フランジ部32の下面までの高さ)は、下側ハウジング16及び上側ハウジング17を重ねた高さとほぼ同じ値に設定されている。これにより、配線基板15上に重ねられた下側ハウジング16及び上側ハウジング17を、各固定用フランジ部32と配線基板15とで挟んで支持するようになっている。ここで、固定用フランジ部32の下に上側ハウジング17と下側ハウジング16を入れたときに、下側ハウジングの下面が外枠部31の下面と同じになるようになされている。
各固定用フランジ部32の中央には、ガイドピン37が嵌合するピン孔38が形成されている。ピン孔38の内径は、ガイドピン37の軸部40の外径とほぼ同じ寸法に設定されている。
ガイドピン37は、頭部39と軸部40とを有する。頭部39は、下側ハウジング16に設けられているピン頭部嵌合孔23の内径とほぼ同じ外径であり、頭部39は円板状に形成されている。軸部40は、上側ハウジング17のピン軸部嵌合孔28及び固定用フランジ部32のピン孔38の内径とほぼ同じ外径であり、軸部40は円柱棒状に形成されている。
下側ハウジング16のピン頭部嵌合孔23と、上側ハウジング17のピン軸部嵌合孔28と、各固定用フランジ部32のピン孔38とは、ガイドピン37が通されることにより、同一軸心上に軸が位置するように設けられている。
ガイドピン37の頭部39が下側ハウジング16のピン頭部嵌合孔23に嵌合し、軸部40が上側ハウジング17のピン軸部嵌合孔28及び固定用フランジ部32のピン孔38に嵌合し、下側ハウジング16、上側ハウジング17及びフレーム部18の位置決めを行っている。下側ハウジング16及び上側ハウジング17を、フレーム部18の各固定用フランジ部32の下面と配線基板15とで上下から挟んでフレーム部18の開口内に支持することにより、これら配線基板15、下側ハウジング16、上側ハウジング17及びフレーム部18が、互いに正確に位置決めされて一体的に固定されている。
上下動支持用フランジ部33は、ソケット部19を上下動可能にフレーム部18の開口内に支持するための部分である。上下動支持用フランジ部33は、四角形の枠体状のフレーム部18における開口部の四隅にそれぞれ形成されている。
各上下動支持用フランジ部33は、図4に示すように、主に、板部42と、ガイドネジ孔43と、スプリング孔44とを備える。
板部42は、フレーム部18の外枠部31の四隅のそれぞれに設けられたフレーム部18と一体化している板材であり、隅を形成する2つの枠部分を連絡するように懸架されている。板部42の下面の高さ(すなわち、配線基板15から板部42の下面までの高さ)は、固定用フランジ部32の下面の高さと同じ値になるように設定されている。板部42の上面の高さは、板部42の上面とソケット部19のフランジ部54の下面とが互いに当接することで、被検査体12の電極端子13と電気的接触子20の上端部とが最適に接触するように設定されている。具体的には、被検査体12の電極端子13と電気的接触子20の上端部とが接触して、電気的接触子20が押し縮められる状態になるように板部42の上面の高さが設定されている。
板部42には、ガイドネジ孔43とスプリング孔44とが設けられている。ガイドネジ孔43は、ガイドネジ46を螺合するためのネジ孔である。ガイドネジ孔43は、各板部42の中央部に1つだけ設けられている(図4参照)。スプリング孔44は、スプリング47を支持するための孔である。スプリング孔44は、各ガイドネジ孔43の両側に2つずつ設けられている。
ガイドネジ46は、フレーム部18の開口内におけるソケット部19の位置を規定すると共に、ソケット部19の上下動を可能とするためのネジである。ガイドネジ46は、頭部48と、ガイド部49と、ネジ棒部50とから構成されている。
頭部48は、ソケット部19を押さえて抜け落ちを防止する部分である。頭部48の上面には、マイナスドライバーが係合するマイナス溝51が形成されている。
ガイド部49は、ソケット部19の上下動を案内する部分である。ガイド部49は、頭部48とネジ棒部50との間に設けられ、ソケット部19のガイド孔59に嵌合してソケット部19の上下動を案内する。ガイド部49の長さは、頭部48の下面がソケット部19と接触して支持された状態(ソケット部19が、スプリング47で押し上げられた状態)で、電気的接触子20の上端部がソケット部19の縮小部57に受け入れられるように設定されている。図5は、電気的接触子20の上端部がソケット部19の縮小部57に受け入れられる状態を示している。
ネジ棒部50は、板部42にガイドネジ46を固定するための部分である。ネジ棒部50は、板部42のガイドネジ孔43と螺合してガイドネジ46を板部42に固定している。
スプリング47は、ソケット部19を弾性的に支持するための部材である。スプリング47の上端は、板部42のスプリング孔44に装着されてソケット部19のフランジ部54の裏面に当接されている。合計8本のスプリング47が、4本のガイドネジ46のガイド部49に上下動可能に支持されたソケット部19を下側から付勢している。これにより、ソケット部19のフランジ部54がガイドネジ46の頭部48の下面に接触するまで上方へ押し上げられ、コンタクト前の待機状態になっている。
ソケット部19は、被検査体12を電気的接続装置11に装着する際に、被検査体12を位置決めして支持すると共に、被検査体12の各電極端子13と対応する電気的接触子20を整合させるための部材である。ソケット部19は、主に、受入凹部53と、フランジ部54とから構成されている。
受入凹部53は、電気的接続装置11に収容する被検査体12を受け入れて支持する部分である。受入凹部53は、ほぼ四角形の皿状に形成されている。受入凹部53の底部の内側は四角形に形成され、その寸法は被検査体12の外形よりも僅かに大きく設定されている。ここでは、被検査体12が四角形のために受入凹部53の底部の内側も四角形に形成されているが、被検査体12が他の形状の場合には、受入凹部53の底部の内側も被検査体12に合わせた形状になる。
被検査体12が受入凹部53の底部の内側に装着された状態で、被検査体12の位置決めがなされるようになっている。受入凹部53の底板部55には、多数のガイド孔56が設けられている。ガイド孔56は、被検査体12の各電極端子13を案内して受け入れるための開口である。各ガイド孔56は、電極端子13よりも僅かに大きく形成され、電極端子13を容易に受け入れられるようになっている。被検査体12が受入凹部53の底部の内側に収容されることにより、被検査体12の各電極端子13が、各ガイド孔56の内部の上側に位置できるようになっている。
ガイド孔56の下端部には、電極端子13を通さず、電気的接触子20の上端部を受け入れる縮小部57が形成されている。縮小部57は、電気的接触子20の上端部を貫通して受け入れることを許して、電気的接触子20が電極端子13と接触することを可能にする。
受入凹部53の上側開口53Aの下側には、フレーム部18の上側に向けて開口が広くなってる傾斜面53Bが形成されている。傾斜面53Bは、被検査体12を案内して受入凹部53の底部に導くためのものである。
フランジ部54は、フレーム部18の上下動支持用フランジ部33に対応する受入凹部53の四隅の位置に形成されている。各フランジ部54には、ガイドネジ46の頭部48が当接する座繰り部58が設けられている。座繰り部58には、ガイドネジ46のガイド部49に上下動可能に嵌合するガイド孔59が設けられている。フランジ部54のガイド孔59にガイドネジ46のガイド部49が嵌合して上下動可能に支持され、フランジ部54による支持によりスプリング47でソケット部19が上方へ付勢される。
下側ハウジング16は、配線基板15の上側に配置されて、上側ハウジング17と重ね合わさった状態で、複数の電気的接触子20を支持する部材である。下側ハウジング16には、ピン頭部嵌合孔23(図3参照)が設けられている。このピン頭部嵌合孔23は、ガイドピン37の頭部39が嵌合するための孔である。ピン頭部嵌合孔23の内径は、このガイドピン37の頭部39の外径とほぼ同じ寸法に設定されて、ガイドピン37の頭部39が遊びなく嵌合するようになっている。
下側ハウジング16には、被検査体12の下面の各電極端子13に対応したそれぞれの位置に、複数の第1支持孔16Aが設けられている。複数の第1支持孔16Aのそれぞれには、複数の電気的接触子20のそれぞれの下端部が挿入される。各第1支持孔16Aの内径は、各電気的接触子20の挿入を可能とするため、電気的接触子20の外径よりも少し大きく形成されている。また、各第1支持孔16A内には、電気的接触子20を受けて支持する下側受け部16Bが形成されている。各下側受け部16Bの内径は、電気的接触子20の下端部を安定して支持すると共に、電気的接触子20との電気的接触を確実にするために、第1支持孔16Aの内径よりも小さくして形成されている。つまり、後述する電気的接触子20の下端部が下側受け部16Bと接触し、電気的接触子20の下端部の先端が貫通して配線基板15のコンタクトパッド22と接触するように下側受け部16Bの内径が形成されている。配線基板15の上面には、各第1支持孔16Aの位置に対応する位置に、テスタと配線で接続されているコンタクトパッド22が設けられている。各第1支持孔16Aに挿入された電気的接触子20の下端部の先端は、下側受け部16Bを貫通して、配線基板15の上面に設けられているコンタクトパッド22に押し付けられて接触する。これにより、各電気的接触子20と各配線基板15との電気的な接触を実現している。
上側ハウジング17は、下側ハウジング16の上面に設けられ、下側ハウジング16と協働して電気的接触子20の全体を支持するための部材である。上側ハウジング17には、ピン軸部嵌合孔28(図3参照)が設けられている。ピン軸部嵌合孔28は、後述するガイドピン37の軸部40が嵌合される孔である。ピン軸部嵌合孔28の内径は、ガイドピン37の軸部40の外径とほぼ同じ寸法に設定されてガイドピン37の軸部40を遊びなく嵌合するようになっている。
上側ハウジング17は、下側ハウジング16に重ねられて、これら下側ハウジング16と上側ハウジング17とで、各電気的接触子20が伸縮できるように、各電気的接触子20を支持するようになっている。上側ハウジング17には、下側ハウジング16の各第1支持孔16Aに対応する位置に、複数の第2支持孔17Aが設けられている。各第2支持孔17Aは、各第1支持孔16Aの上側開口と同じ内径(すなわち、電気的接触子20の外径よりも少し大きい径)に形成されており、各第2支持孔17Aの内部で電気的接触子20が上下動可能となるように、各電気的接触子20を収納して支持する。各第2支持孔17Aは、被検査体12の下面に設けられている各電極端子13の位置と対応する位置に設けられている。そのため、各第2支持孔17Aに収納されている電気的接触子20の上端部の先端が電極端子13に対して電気的に接触する。これにより、各電気的接触子20と被検査体12の電極端子13との電気的な接触を実現している。第2支持孔17A内には、電気的接触子20を上側から支持する上側受け部17Bが形成されている。上側受け部17Bは、第2支持孔17Aの上端部の内径を小さくして形成されている。電気的接触子20の上端部が上側受け部17Bに接触し、電気的接触子20の上端部の先端が貫通することにより、電気的接触子20が上側受け部17Bで支持されるように、上側受け部17Bの内径が設定されている。
第1支持孔16Aと第2支持孔17Aとで、電気的接触子20全体を収納して支持する電気的接触子支持孔27(図5参照)が形成されている。電気的接触子20が電気的接触子支持孔27に収納された状態で、被検査体12が電気的接続装置11に収容されて、上側から下側に向けた押し込み荷重が加わることで、電気的接触子20は縮んだ状態となって蓄勢し、電気的接触子20の下端部の先端が配線基板15の上面のコンタクトパッド22を押圧した状態になる。
(A−2)電気的接触子の構成
次に、実施形態に係る電気的接触子20の構成を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る電気的接触子20の構成を示す斜視図である。
実施形態に係る電気的接触子20は、1個の第1のプランジャー61、2個の第2のプランジャー62、1個の圧縮コイルスプリング(「コイルスプリング」とも呼ぶ。)63を有する。
電気的接触子20は、1個の第1のプランジャー61と2個の第2のプランジャー62とが協働して、接触対象である2つの部材(すなわち、被検査体12の電極端子13及び配線基板15のコンタクトパッド22)の間を電気的に導通させるものである。
電気的接触子20は、2個の第2のプランジャー62が、第1のプランジャー61をその両面側から挟み、第2のプランジャー62及び第1のプランジャー61が重なって接触している箇所の外周を、コイルスプリング63が覆うように形成されている。構成部材を組み合わせて電気的接触子20を完成させる方法は、例えば、コイルスプリング63の一方の端部から、2個の第2のプランジャー62のそれぞれを挿入し、コイルスプリング63に挿入されている2個の第2のプランジャー62の間に、第1のプランジャー61をコイルスプリング63の他方の端部から挿入する方法を適用できる。なお、第1のプランジャー61をコイルスプリング63に挿入した後に、挿入されている第1のプランジャー61を挟みこむようにして、2個の第2のプランジャー62を挿入するようにしてもよい。
[第1のプランジャー61]
図6は、実施形態に係る電気的接触子20の第1のプランジャーの構成を示す図であり、図6(A)は、第1のプランジャーの正面図、図6(B)は、図6(A)のC−C線矢視断面図である。図7は、第1のプランジャーに設けられているコイル止め部を示す拡大図である。図8は、第1のプランジャーの接触片の両面に形成されるガイド部を説明する説明図である。
第1のプランジャー61は、導電性を有する金属部材で形成されており、本実施形態では、電気的接触子20が接触する2つの部材のうち配線基板15のコンタクトパッド22(第1部材とも呼ぶ。)に接触する、板状のプランジャーである。
第1のプランジャー61の形成方法は、例えば、板厚の薄い金属板材に対して、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などを用いて形成するようにしてもよい。フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などにより、第1のプランジャー61を形成することにより、後述するように立体的な形状とすることができる。また、導電性を有していない板材を元の板材として、第1のプランジャー61を立体的な形状に形成するようにしてもよい。その場合には、完成後に、導電性を持たせるために、第1のプランジャー61の外形の表面に対して導電性材料をメッキ加工や塗布や蒸着などを施すようにして形成するようにしてもよい。なお、フォトリソグラフィー技術などを用いる方法に限定されるものではなく、金型を用いて金属板材に対して切削加工や抜き打ち加工などを施して形成するようにしてもよい。
第1のプランジャー61は、図6(A)に示すように、概ね、結合部611、コイル止め部612、コイル受け部613、ガイド溝部614、接触片615を有する。第1のプランジャー61の長さは、電気的接触子20の全長よりも短い長さであり、電気的接触子20が押し込まれていない状態で、結合部611の先端が第2のプランジャー62のガイド溝部81上に位置すると共に、電気的接触子20が押し込まれた時に、ガイド溝部81に沿って上側に移動できる余地を残すように設定されている。
結合部611は、第1のプランジャー61と2個の第2のプランジャー62とが互いに結合される際に直接重ね合わされ、第1のプランジャー61を第2のプランジャー62に電気的に接触させるための部分である。結合部611は、上下方向に延び、板状に形成されており、各第2のプランジャー62に対して安定して接触する部分である。結合部611の両面のそれぞれは、第2のプランジャー62の結合部621と安定して広い面積で接触できるようにするため、結合部611の幅長は、コイルスプリング63の内径より僅かに小さく設定されていると共に、コイルスプリング63の軸心から離れた位置に配置される第2のプランジャー62の結合部621の幅長よりも大きくなっている。
コイル止め部612は、結合部611の基端側(図6(A)の下側)に続いて一体的に設けられており、第1のプランジャー61がコイルスプリング63に挿入された際に、コイルスプリング63の端部を留める部分である。コイル止め部612は、コイルスプリング63の端部と嵌合する嵌合部とも呼ぶ。
図7に示すように、コイル止め部612は、山形の凸部71が所定の間隔で上下方向に配列するように形成されており、ある凸部71とこれに隣接する凸部71との間にコイルスプリング63の端部のコイル(線材)が嵌合する。コイルスプリング63の端部は、線材を密着させて巻いて形成されており(密着巻端部となっており)、そのコイルスプリング63の密着巻端部がコイル止め部612に嵌る。
ここで、第1のプランジャー61の結合部611の下方側にコイル止め部612を設けた理由を説明する。近年の被検査体12の電極端子13間のピッチが狭くなっている。これに対応するため、電気的接触子の小型化が要求されているが、この小型化を進めるとプランジャーの厚さを薄くし、幅も狭くしなければならなくなるため、プランジャーの強度が弱くなり、電気的接触子の組み立て工程が難しくなることが予想される。例えば、従来は、コイルスプリングとプランジャーとを係合させるためにプランジャーの結合部の先端にコイルスプリングの内径より長い幅の突起状の抜け止め部を設けたりなどして、コイルスプリングの端部からプランジャーを挿入していたが、コイルスプリングの端部からプランジャーを圧入するときに、構成部品が強度に耐えられず、構成部品が変形する等の不良をおこす可能性がある。
しかし、この実施形態によれば、結合部611の先端にコイルスプリングの内径より長い幅の抜け落ち部を設けたりする必要がないので、コイルスプリング63の端部から第1のプランジャー61を挿入することが容易となる。また、コイルスプリング63の端部から第1のプランジャー61を圧入する必要がなくねじ込むだけでよくなるため、構成部品の変形を回避することができ、不良を抑えることができる。さらに、コイルスプリング63の端部のコイルをコイル止め部612に嵌合することで、第1のプランジャー61とコイルスプリング63とを強く固定することができ、コイルスプリング63の抜け落ちを防止できる。
コイル受け部613は、コイルスプリング63の端部を受ける部分である。コイル受け部613は、結合部611と接触片615との境界部分に設けられている段差部である。結合部611の幅長に比べて、コイル受け部613の幅長は大きく(広く)形成されており、段差が形成されているので、コイル受け部613で、弾性力のあるコイルスプリング63を支持することができる。これにより、電気的接触子20の上下動を許容している。
接触片615は、当該電気的接触子20の第1接触対象(配線基板15のコンタクトパッド22)に接触して電気的に接続するための部分である。接触片615は、結合部611及びコイル止め部612の基端側(図6(A)の下側)に続いて一体的に設けられている。
接触片615は、幅広部73と、先端部74とを有しており、幅広部73と先端部74の境に下側支持肩部75が形成されている。
接触片615の幅広部73は、下側ハウジング16の第1支持孔16A及び上側ハウジング17の第2支持孔17Aの内径よりも少し小さい幅長となっており、かつ下側受け部16Bの孔の内径より大きい幅長となっている。
接触片615の先端部74は、幅広部73の下方側に連続して形成されており、幅広部73の幅長よりも小さく(狭く)、かつ下側ハウジング16の下側受け部16Bの孔の内径より少し小さい幅長に形成されている。そのため、下側ハウジング16の下側受け部16Bを貫通して、配線基板15のコンタクトパッド22に接触できる。配線基板15のコンタクトパッド22に対して先端部74が安定して接触できるようにするため、本実施形態では先端部74の先端は先細であり、端面は凸状に形成されている。
接触片615の下側支持肩部75は、下側ハウジング16の下側受け部16Bに引っ掛かって、接触片615が第1支持孔16Aから抜け落ちないようになっている。下側支持肩部75が下側ハウジング16の下側受け部16Bに引っ掛かった状態で、接触片615の先端部74が第1支持孔16Aから下方へ突出するようになっている。
接触片615の両面(表面及び裏面)のそれぞれには、電気的接触子20が下向きに押し込まれて、下側に移動する各第2のプランジャー62の結合部621をガイドするガイド溝部614が設けられている。接触片615におけるガイド溝部614の厚さは結合部611の厚さと同じであり、接触片615の幅広部73及び先端部74の両端部はガイド溝部614の厚さよりも厚く形成されており、第1のプランジャー61の両面において、幅広部73及び先端部74の両端部とガイド溝部614との境界で段差が形成されている。接触片615の両面において、接触片615の幅広部73及び先端部74の両端部の段差が、ガイド溝部614の壁面となって、下側に移動する各第2のプランジャー62の結合部621をガイドしている。接触片615のガイド溝部614の上下方向(長手方向)の長さは、特に限定されるものではないが、下側に移動した各第2のプランジャー62の結合部621の位置を考慮した長さとすることが望ましい。
[第2のプラジャー]
図9は、実施形態に係る電気的接触子20の第2のプランジャーの構成を示す図であり、図9(A)は、第2のプランジャーの正面図、図9(B)は、図9(A)の背面図、図9(C)は、図9(B)のD−D線矢視断面図である。図10は、第2のプランジャーの接触片に形成されるガイド部の構成を示す構成図であり、図11は、コイルスプリング63に内挿されるプランジャーを示す図であり、図12は、第2のプランジャーの接触片の上端部先端を示す図である。
2個の第2のプランジャー62のそれぞれは、導電性を有する金属部材で形成されており、本実施形態では、電気的接触子20が接触する2つの部材のうち、被検査体12の電極端子13(第2部材とも呼ぶ。)に接触する、板状のプランジャーである。
第2のプランジャー62の形成方法は、第1のプランジャー61と同様に、例えば、板厚の薄い金属板材に対して、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などを用いて形成するようにしてもよい。フォトリソグラフィー技術やエッチング技術などにより、第2のプランジャー62を形成することにより、立体的形状とすることができる。また、導電性を有していない板材を元の板材として、第2のプランジャー62を立体的な形状に形成するようにしてもよい。その場合には、完成後に、導電性を持たせるために、第2のプランジャー62の外形の表面に対して導電性材料をメッキ加工や塗布や蒸着などを施すようにして形成するようにしてもよい。なお、フォトリソグラフィー技術などを用いる方法に限定されるものではなく、金型を用いて金属板材に対して切削加工や抜き打ち加工などを施して形成するようにしてもよい。
2個の第2のプランジャー62のそれぞれは、第1のプランジャー61と協働して、2つの接触対象、すなわち配線基板15のコンタクトパッド22と被検査体12の電極端子13との間を電気的に導通させるための板状のプランジャーである。つまり、2個の第2のプランジャー62は、第1のプランジャー61を挟み、その状態で、コイルスプリング63により組み付けられて、電気的接触子20が形成される。言い換えると、第1のプランジャー61の結合部611の両面のそれぞれに、各第2のプランジャー62の結合部621が電気的に接触した状態で、第2のプランジャー62が被検査体12の電極端子13に接触し、第1のプランジャー61が配線基板15のコンタクトパッド22に接触して、被検査体12と配線基板15のコンタクトパッド22との間で電気的に導通する。
図9(A)は、第2のプランジャー62が互いに向かい合う側の面の構成を示しており、図9(B)は、図9(A)の面と反対側の面の構成を示している。図9(C)は、図9(A)または(B)のD−D線矢視断面図である。
以下では、第2のプランジャー62が互いに向かい合う側の面、すなわち第2のプランジャー62の内側の面を「第1面」と呼び、第1面の反対側の面、すなわち第2のプランジャー62の外側の面を「第2面」と呼んで説明する。
各第2のプランジャー62は、図9(A)及び図9(B)に示すように、概ね、結合部621と、コイル受け部622と、ガイド溝部81と、接触片623とに分かれている。第2のプランジャー61の長さは、電気的接触子20の全長よりも短い長さであり、電気的接触子20が押し込まれていない状態で、結合部621の先端が第1のプランジャー612のガイド溝部614上に位置すると共に、電気的接触子20が押し込まれた時に、ガイド溝部614に沿って下側に移動できる余地を残すように設定されている。
図9(A)を参照して、各第2のプランジャー62の第1面の構成を説明する。図9(A)に示すように、各第2のプランジャー62の接触片623の中央部には、第1のプランジャー61の結合部611をガイドするガイド溝部81が形成されている。各第2のプランジャー62の接触片623に形成されているガイド溝部81の底面は、結合棒部82の面と同一平面上に位置するように連続して形成されている。
また、各第2のプランジャー62の接触片623に形成されているガイド溝部81の厚さは、接触片623の両端部の厚さよりも薄く形成されている。つまり、接触片623の両端部とガイド溝部81との境界で段差部811が形成されており、接触片623の両端部とガイド溝部81との段差部811が、ガイド溝部81の壁面となって、第1のプランジャー61の結合部611を案内する。
すなわち、2個の第2のプランジャー62が第1のプランジャー61を挟んで電気的接触子20を構成する際、2個の第2のプランジャー62が重ね合わせると、各第2のプランジャー62のガイド溝部81が対向するため、2個のガイド溝部81により直方体形状の空間が形成される。この空間内に、第1のプランジャー61の結合部611が上下動可能に収納されることになる。図10では、説明を容易にするため、1個の第2のプランジャー62と1個の第1のプランジャー61との接触関係を示している。図10に示すように、第1のプランジャー61の結合部611は、第2のプランジャー62の接触片623に形成されたガイド溝部81に案内されて上下動する。
これは、被検査体12の電極端子13の狭ピッチ化に伴い、薄厚の金属板材によりプランジャーが形成され得る。しかし、この実施形態によれば、金属板材が薄厚化しても、2個の第2のプランジャー62の接触片623の両端部が互いに接触しあいながら、被検査体12の電極端子13と電気的に接触するので、狭ピッチ化に対応可能にすると共に、押し込み荷重に耐えうる強度を保持することができる。また、第2のプランジャーの接触片の軸方向に垂直な断面はコ字状になっているのでその点でも強度が高くなっている。さらに、2個の第2のプランジャー62が重ね合わさり、対向するガイド溝部81により形成される空間内に、第1のプランジャー61の結合部611が上下動可能に収納されるので、電気的接触子20の上下動も許容できる。
なお、接触片623のガイド溝部81おける段差部811の高さ(厚さ)は、第1のプランジャー61の結合部611の厚さの1/2以上とすることが望ましい。つまり、2個の第2のプランジャー62のガイド部が対向して形成される空間の厚さ方向の長さが、第1のプランジャー61の結合部611の厚さよりも大きくなるようにすることが望ましい。
結合部621は、第1のプランジャー61と第2のプランジャー62とが互いに結合する際に、第1のプランジャー61の結合部611と重ね合わされて電気的に接触するための部分である。2個の第2のプランジャー62の結合部621が第1のプランジャー61の結合部611を両側から挟持して、第1のプランジャー61と第2のプランジャー62とを電気的に接触させる。結合部621は、第1のプランジャー61の結合部611との接触をできるだけ広い面積で実現できるように、長い板状に形成されている。結合部621は、結合棒部82と、先端挿入部83と、抜け止め部84とから構成されている。
結合棒部82は、第1のプランジャー61の結合部611を挟持したままコイルスプリング63に支持されるための部分であり、結合棒部82の長手方向の長さは、コイルスプリング63よりも少し長い寸法に設定されている。
結合棒部82の幅長は、第1のプランジャー61の結合部611の幅長よりも小さい寸法で形成されており、結合棒部82の厚さは、第1のプランジャー61の結合部611の厚さと同程度に形成される。第1のプランジャー61の結合部611の厚さと同程度の厚さである、2個の第2のプランジャー62の結合棒部82及び第1のプランジャー61の結合部611が重なった状態でコイルスプリング63内に収まるようにするため、第2のプランジャー62の結合棒部82の第2面には、段差部821が設けられている(図11参照)。
先端挿入部83は、結合棒部82のコイルスプリング63内への挿入を案内するための部分である。先端挿入部83は、第2のプランジャー62の結合部において、結合棒部82より先端側(すなわち、図9(A)の下側)に形成されている。先端挿入部83は、コイルスプリング63に第2のプランジャー62が挿入される際に、差し入れる方向に対して障害にならないように先が丸まった外形を有し、コイルスプリング63内に第2のプランジャー62がスムーズに挿入できるようになっている。先端挿入部83の幅長は、コイルスプリング63の内径より同じかあるいは僅かに小さくし、コイルスプリング63の中で他方の第2のプランジャー62及び第1のプランジャー61と重なり先端挿入部83がコイルスプリングの中心軸からずれた状態でコイルスプリング63の端部の内周より食み出す寸法にすると、第2のプランジャー62をコイルスプリング63に挿入するときに負荷がかからないのでより好ましい。このようにした場合は、第1のプランジャー61の結合部611がコイルスプリング63内に挿入される前に、二つの第2のプランジャー62を挿入することによりスムーズに挿入される。その後、第1のプランジャ61を挿入する事により先端挿入部83の抜け止め部84がコイルスプリング63の内周から少しはみ出す。
抜け止め部84は、先端挿入部83がコイルスプリング63内に挿入されたとき、この先端挿入部83がコイルスプリング63から抜けないようにするための部分である。抜け止め部84は、先端挿入部83の基端部(結合棒部82と先端挿入部83の境界部分)に設けられている。抜け止め部84は、結合棒部82より両側に突出して段差を形成しており、本実施形態では先端挿入部83の幅寸法と同じに形成されている。抜け止め部84の幅寸法は、組み上げたときに、コイルスプリング63の端部の内周よりも僅かに食み出すように設定されており、コイルスプリング63の内径と同じかあるいは僅かに小さくすると好ましい。すなわち、第1のプランジャー61の結合部611の両面に、第2のプランジャー62の結合棒部82が重ねられた状態で、第1のプランジャー61の結合部611の両面に重ね合わされる2つの抜け止め部84の外側に位置する4つの隅部が、コイルスプリング63の端部の内径よりも僅かに食み出すように設定されている。
コイル受け部622は、コイルスプリング63の一端が当接してその付勢力を受けるための部分である。コイル受け部622は、第2のプランジャー62の結合部621と接触片623との境界部分に設けられた段部である。コイル受け部622は、結合部621の幅長に比べて大きく形成されており、結合部621との境界に形成される幅長の段差部分でコイルスプリング63の端部を受けるようになっている。コイル受け部622にコイルスプリング63の端部が当接することで、第2のプランジャー62が、電気的接触子20内において、コイルスプリング63によってスライド可能に支持されている。
接触片623は、第2接触対象(被検査体12の電極端子13)に接触して電気的に接続するための部材である。接触片623は、第2のプランジャー62の結合部621の基端側(図9(A)の上側)に続いて一体的に設けられている。接触片623は、幅寸法が上側ハウジング17の第2支持孔17Aの内径よりも少し小さい寸法のほぼ矩形板状部86と、上側ハウジング17の上側受け部17Bを貫通してソケット部19の縮小部57に入り込む、矩形板状部86の幅寸法より小さい幅寸法の先端部85とで形成されている。接触片623には、矩形板状部86と先端部85の境に上側支持肩部87が形成されている。上側支持肩部87は、上側ハウジング17の上側受け部17Bに引っ掛かって、接触片623が第2支持孔17Aから抜け出ないようになっている。上側支持肩部87が上側ハウジング17の上側受け部17Bに引っ掛かった状態で、接触片623の上端部が第2支持孔17Aから上方へ突出するようになっている。
接触片623の上端部先端88は、三角形状に形成されている(図12参照)。上端部先端88は1つの山形状となっており、2個の第2のプランジャー62の接触片623が重なり合ったときに、2個の接触片623の上端部先端88で形成される山形頂部の稜線が被検査体12の電極端子13に対して接触する。2個の第2のプランジャー62の接触片623が重なり合ったときに、2個の接触片623で形成される上端部の形状が先細形状に近い形状とするために、接触片623の第2面側には、段差部881が形成されている(図12参照)。
なお、この実施形態では、接触片623の上端部先端88が1つの山形形状である場合を例示するが、これに限定されることなく、2つの突起状に形成されて、上端部先端88の中央部がU字状又はV字状に窪んで凹部が形成されているものであってもよいし、3つ以上の突起状に形成されているものであってもよい。接触片623の上端部先端88の形状は、被検査体12の電極端子13の形状に合わせて適宜変更するようにしてもよい。
[コイルスプリング]
図13は、実施形態に係るコイルスプリングの構成を示す構成図である。
コイルスプリング63は、図13に示すように、第1のプランジャー61の結合部611及び第2のプランジャー62の結合部621が重なり合った部分の外周を覆い、コイルスプリング63の両端部のそれぞれが、第1のプランジャー61のコイル受け部613と第2のプランジャー62のコイル受け部622に当接して、第1のプランジャー61及び第2のプランジャー62に対して上下動を許容するように支持するものである。また、コイルスプリング63は、導電性を有する金属部材で形成されている。なお、コイルスプリング63は、絶縁性を有していてもよく、例えば絶縁性の材料で形成してもよいし、金属部材の表面に絶縁性材料をコーティングしてもよい。
コイルスプリング63は、一方の端部から他方の端部まで同一径で形成されており、コイルスプリング63の下端部631及び上端部632は、中央部に比べて線材が密着して形成されている。すなわち、密着巻端部となっている。さらに、コイルスプリング63の下端部631において、密着して構成されている線材の巻き数は、第1のプランジャー61のコイル止め部612の凸部71の数と同数若しくはそれ以上の数である。これにより、コイルスプリング63の下端部631から第1のプランジャー61が挿入された際に、コイルスプリング63の下端部631がコイル止め部612に嵌るようになっている。
(A−3)実施形態の効果
上述したように、この実施形態によれば、立体的なプランジャーを形成することにより、金属板材が薄厚であっても、被検査体の電極端子の狭ピッチ化に対応でき、被検査体の電極端子に接触するため接触荷重を確保し、電気的接触性を良好に安定させることができる。
また、この実施形態によれば、第1のプランジャーの結合部の下側にコイル止め部を設けることにより、第1のプランジャーをコイルスプリングに挿入するときに、コイルスプリングの下端部を第1のプランジャーのコイル止め部に嵌めることで、電気的接触子の構成部材がバラバラになることやコイルスプリングの抜け落ちを防止でき、電気的接触子の組み立てを容易にすることができる。また、従来のように、コイルスプリングにプランジャーを圧入するときに、構成部品の変形を回避することができる。
(B)他の実施形態
上述した実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の実施形態にも適用できる。
(B−1)スクラブ動作発生部
第2のプランジャー62の接触片623の中央部に設けられているガイド溝部81の壁面(段差部)が、第1のプランジャー61の結合部611の先端部と接触(内部接触)して、いずれかの第2のプランジャー62が被検査体12の電極端子13に対してスクラブ動作を発生させるスクラブ動作発生部を有するようにしてもよい。
図14は、変形実施形態に係る第2のプランジャーの接触片における拡大要部構成図である。
図14(A)に示すように、第2のプランジャー62の接触片623Aにあるガイド溝部81Aの両端の壁面91及び91Bは、第2のプランジャー62の上側に向けて幅方向の長さが小さくなるようにテーパ状に形成されている。
一方、第1のプランジャー61の結合部611の両端部のうち、いずれか一方の端部(図14(A)では左側端部)95Aがテーパ状に形成され、他方の端部95Bは直線状に形成されている。
第1のプランジャー61の下端部が配線基板15のコンタクトパッド22と接触すると、第1のプランジャー61の結合部611が、第2のプランジャー62の接触片623のガイド溝部81Aにガイドされて、上側に移動するが、結合部611の一方の端部95Aがテーパ状であり、他方の端部95Bが直線状に形成されているため、他方の端部95Bがガイド溝部91Bと接触する。そうすると、その接触により第2のプランジャー62が僅かに動くので、第2のプランジャー62の上端部先端88が電極端子13に対してスクラブ動作する。これにより、電極端子13の表面の酸化被膜等を落とし、結果的に電気的接続性を安定にすることができる。
なお、図14(A)において、第1のプランジャー61の結合部611の両端部うち一方の端部のみをテーパ状に形成し、ガイド溝部81Aの両壁面91A、91Bをテーパ状にしているので、第1のプランジャー61の面の向きを変えて(第1面をおもて面とした場合、又は、第2面をおもて面とした場合)、コイルスプリング63に挿入されたときに、いずれの場合にもスクラブ動作を発生させることができる。
また、図14(B)に示すように、第1のプランジャー61の結合部611の両端部は、直線状に形成されている場合、ガイド溝部81Bの両方の壁面のうち、一方の壁面91Bが斜め方向に延びており、他方の壁面91Cが垂直に形成することで、同様の効果を得ることができる。
なお、図14(A)及び図14(B)に示すガイド溝部81A、81B、及び、結合部611の構成に限定されるものではなく、ガイド溝部81と結合部611とが内部接触できる構成であれば、広く適用できる。
(B−2)上述した実施形態では、2個の第2のプランジャーが1個の第1のプランジャーを挟んだ構成を例示した。
しかし、第2のプランジャーの接触片においてガイド溝部81を設けることにより、ガイド溝部81と第1のプランジャー61の結合部611との接触性が良くなり、又電気的な接触性も良くなるので、1個の第2のプランジャーと1個の第1のプランジャーとを重ね合わせた構成としてもよい。その場合、電気的接触子の構成部品数を減らすことができるので、コストを抑えることができる。