JP2019178813A - パネル複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】パネル複合体について、第1のパネルと第2のパネルを相互にスライドさせる際に、第1のパネルの外縁巻部の拡径する向きの弾性変形を容易にして、摺動抵抗を低減する。【解決手段】排気口カバー1は、第1パネル10の外縁巻部12に、第2パネル20の内縁巻部22が挿入され、両パネル10、20の縁巻部12、22の長さ方向に沿って相対的にスライドさせることが可能である。第1パネル10の金属箔の厚みは、第2パネル20の金属箔の厚みよりも小さくなっている。外縁巻部12の剛性が小さくなり、拡径する向きの弾性変形が容易となる。このため、スライド操作時に、外縁巻部12が適宜拡径して内縁巻部22との間に隙間が生まれやすく、摺動抵抗が低減される。【選択図】図3

Description

本発明は、パネル複合体に関する。
キッチンレンジの油除けパネルや排気口カバーなどに用いるものとして、特許文献1および2のように、アルミニウム箔などの金属箔をプレス成型してなる複数のパネルを組み合わせて構成される、パネル複合体が知られている。
パネル複合体は、第1のパネルと、第2のパネルを備え、第1のパネルはパネル本体とパネル本体の外縁に設けられた外縁巻部を有し、第2のパネルはパネル本体とパネル本体の外縁に設けられた内縁巻部を有する。
第1のパネルの外縁巻部の巻径は第2のパネルの内縁巻部の巻径よりも若干大きく設定されており、外縁巻部に内縁巻部が挿入されている。
このため、内外の縁巻部の長さ方向に、パネル同士を相互にスライドさせることが可能となっている。したがって、キッチンレンジや排気口などの寸法に合わせて油除けパネルや排気口カバーなどの寸法を調整することができる。
ところで、これら外縁巻部および内縁巻部は、パネルのプレス成形時にその外縁の金属箔を、パネル本体との境界に相当する巻始端から箔の端縁に相当する巻終端に向けてカールさせることで形成されている。
そして、パネルのプレス成形時には、第1のパネルと第2のパネルを個別に成形した後に、あらためて外縁巻部に内縁巻部を挿入するのは困難であるため、第1のパネル用の金属箔と第2のパネル用の金属箔とを重ね合わせた状態で、外縁巻部が外側に内縁巻部が内側になるように同時に成形することになる。
具体的には図8(a)のように、まず、第1のパネル用の金属箔f3と第2のパネル用の金属箔f4を重ね合わせた状態で、金型の上型50と下型60に挟み込む。
つぎに、図8(b)のように、上型50および下型60の昇降体52、62を型本体51、61および外枠体53、63に対していったん下降させる。
金属箔f3、f4は、昇降体52、62と外枠体53、63の境界で所定寸法にカットされ、かつその外縁部が、金型本体31、51と昇降体52、62の境界から下向きに折り曲げられて折り曲げ部が形成される。昇降体52、62の合せ面には、それぞれカーリング溝52a、62aが設けられており、このカーリング溝52a、62aが上下に合致して断面略円形のカーリング空間が形成されている。金属箔f3、f4の折り曲げ部の端縁は、このカーリング空間に導入される。
この状態から、図8(c)のように、昇降体52、62を初期位置(型本体51、61と同じ高さの位置)に復帰するまで上昇させると、金属箔f3、f4の折り曲げ部は、カーリング溝51a、61aの内周面に沿うように巻き上げられ、外縁巻部と内縁巻部が重なり合った状態で同時に形成されることになる。
ここで、金属箔f3と金属箔f4とは、重なり合う箇所と重なり合わない箇所とが存在するところ、内縁巻部の巻径は、金属箔f3とf4が重なり合ってプレス成形された箇所と金属箔f3とf4とが重なり合わずにプレス成形された箇所とで異なる。
すなわち、内縁巻部の全長のうち、外縁巻部に挿入されていない箇所については、金属箔f4がカーリング溝52a、62aの内周面に沿って巻き上げられるため、その巻径はカーリング溝52a、62aの径とほぼ同じとなる。一方、外縁巻部に挿入されている箇所については、金属箔f3がカーリング溝52a、62aの内周面に沿って巻き上げられ、その内側で金属箔f4は巻き上げられるため、内縁巻部は、外縁巻部の金属箔f3の厚みに相当する分だけ巻径が小さくなる。
したがって、パネル複合体のプレス成形時に、内縁巻部の外縁巻部に挿入されている箇所と挿入されていない箇所の間で段差が形成されることになる。
このように内縁巻部に段差が形成されていると、パネル複合体を成形されたままの初期状態からスライドさせる際に、外縁巻部が拡径する向きに弾性変形して内縁巻部の段差を乗り越える必要があるため、一般に摺動抵抗が大きい問題がある。
特開2004−116928号公報 特開2001−311521号公報
ところで、図8(c)のように、従来のパネル複合体では、第1のパネルを形成する金属箔f3の厚みと第2のパネルを形成する金属箔f4の厚みに差を設ける発想はなく、また第1のパネルの金属箔と第2のパネルの金属箔の厚みが異なるものは存在しなかった。
そして、パネル複合体全体の強度を担保するために、第1および第2のパネルの金属箔として、同じ厚みでかつ比較的厚みが大きいものを選択していた。
しかし第1のパネルの金属箔の厚みが大きいと、その外縁巻部の剛性が高く、拡径する向きの弾性変形がしにくいため、パネル複合体の初期スライド時に、第2のパネルの内縁巻部の段差を第1のパネルの外縁巻部が乗り越えるのに、特に大きな力を要することとなっていた。
また、内縁巻部の段差を乗り越えた後でも、外縁巻部が弾性変形しにくいと、外縁巻部と内縁巻部の間に隙間が生まれにくいため、摺動抵抗が大きくなり、依然としてスライド操作に大きな力を要する問題がある。
そこで本発明の解決すべき課題は、パネル複合体について、第1のパネルと第2のパネルを相互にスライドさせる際に、第1のパネルの外縁巻部の拡径する向きの弾性変形を容易にして、摺動抵抗を低減することである。
上記した課題を解決するため、発明にかかるパネル複合体として、パネル本体と、パネル本体の外周部をカールさせることで形成される外縁巻部を有する、金属箔から成形された第1のパネルと、パネル本体と、パネル本体の外周部をカールさせることで形成されかつ前記第1のパネルの外縁巻部に挿入される内縁巻部を有する、金属箔から成形された第2のパネルと、を備える構成を採用したのである。
そして、前記第1のパネルと第2のパネルとは、前記外縁巻部および前記内縁巻部の長さ方向に沿ってスライド可能であり、前記第1のパネルの金属箔の厚みをt1とし、前記第2のパネルの金属箔の厚みをt2とした場合、t1<t2が成立する構成を採用したのである。
第1のパネルの金属箔の厚みを小さくする構成を採用することで、外縁巻部の剛性が小さくなり、拡径する向きの弾性変形が容易となる。また、内縁巻部の段差の大きさは、第1のパネルの金属箔の厚みにほぼ相当するため、第1のパネルの金属箔の厚みを小さくすると、段差の大きさも小さくなる。このため、第1のパネルが初期スライド時に内縁巻部の段差を乗り越えるのに大きな力を要さない。また、通常のスライド操作時にも、外縁巻部が適宜拡径して内縁巻部との間に隙間が生まれやすく、摺動抵抗が低減される。
第2のパネルの金属箔の厚みは大きくすることができるため、外縁巻部を内側から厚みの大きな内縁巻部が受け支えることになり、パネル複合体の輸送時等に外縁巻部が圧潰等することが防止される。
発明にかかるパネル複合体において、前記第1のパネルの金属箔の厚みをt1とし、前記第2のパネルの金属箔の厚みをt2とした場合、0.7t2≦t1≦0.95t2が成立する構成を採用することが好ましい。
t1を0.95t2以下に構成することで、第1のパネルのアルミニウム箔の厚みが大きくなりすぎて、スライド操作時に外縁巻部が拡径する向きに変形しにくくなることが防止される。
t1を0.7t2以上に構成することで、第1のパネルのアルミニウム箔の厚みが小さくなりすぎて、第1のパネルの強度が不足してパネル本体や外縁巻部が破損することが防止される。
発明にかかるパネル複合体において、前記第1のパネルの金属箔の厚みは、50〜200μmである構成を採用することが好ましい。
第1のパネルの金属箔の厚みを50μm以上に構成することで、第1のパネルの強度が不十分となることが防止される。
第1のパネルの金属箔の厚みを200μm以下に構成することで、外縁巻部が変形しにくくなってスライド操作に支障が生じたり、第1のパネルの材料コストがかさむことが防止される。
発明にかかるパネル複合体において、前記第1のパネルは、前記外縁巻部の巻終端から延長され、前記第2のパネルの前記内縁巻部の内周面に沿う内舌片をさらに有し前記第2のパネルは、前記内縁巻部の巻終端から折り返され、前記第1のパネルの前記外縁巻部の外周面に沿う外舌片をさらに有し、前記第1のパネルと前記第2のパネルは、前記外縁巻部および前記内縁巻部の長さ方向に沿って相対的にスライドさせると、所定位置で前記内舌片と前記外舌片とが突き当たるようになっている構成を採用することができる。
このように構成すると、第1および第2のパネルのスライド範囲が、内舌片と外舌片が突き当たる範囲に制限されるため、外縁巻部から内縁巻部が完全に抜けてしまい、第1のパネルと第2のパネルが分離してしまうことが防止される。
発明にかかるパネル複合体としては、キッチンレンジの排気口カバーとすることができる。
パネル相互をスライドさせることで、排気口カバーの長さ寸法を変更させることが可能であるため、簡単な構造で種々の寸法の排気口に適用可能となる。
また発明にかかるパネル複合体の各パネルを構成する金属箔としては、アルミニウム箔が、比較的安価かつ軽量で、加工が容易であり、耐熱性や耐食性にも優れるため好ましい。
本発明を以上のように構成したので、パネル複合体について、第1のパネルと第2のパネルを相互にスライドさせる際に、第1のパネルの外縁巻部の拡径する向きの弾性変形を容易にして、摺動抵抗を低減することが可能になった。
排気口カバーの斜視図 排気口カバーの使用状態を示す斜視図 図1の矢印断面図 図3の要部拡大図 排気口カバーの製造装置の縦断面図 排気口カバーの製造工程を示す図 図5の要部拡大図 従来の排気口カバーの製造工程を示す図6との対比図
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1および図2に示す、実施形態の排気口カバー1は、システムキッチンKのIH調理器Iに付属する排気口Dに、油汚れ等が付着したり侵入しないように、その排気口Dを覆うように被せて用いられる。
排気口カバー1は、その全体が短手方向に円弧状に湾曲しているため、排気口カバー1を排気口Dに被せた状態で、排気口カバー1の長手方向の両端部と排気口Dが設けられたシステムキッチンKの天面との間には、隙間が形成される。このため、排気口周りの空気の流通が阻害されないようになっている。
図1から図3のように、実施形態の排気口カバー1は、第1パネル10と、第2パネル20からなるパネル複合体であり、第1パネル10と第2パネル20とは、相互にその長手方向にスライド可能なように連結されている。
そのため、第1パネル10または第2パネル20をスライド操作することで、図1および図2のように、排気口の寸法に合わせて、排気口カバー1の長手寸法を調整できるようになっている。
第1パネル10は、アルミニウム箔からプレス成形されており、パネル本体11と、外縁巻部12を有する。
パネル本体11は、全体が平面視で略矩形をなしている。また、パネル本体11は、その表面が凸となり裏面が凹となるように、その短手方向に円弧状に湾曲している。
パネル本体11には、リブ11aが形成されている。リブ11aは、パネル本体11の両長辺および一方の短辺にそってコの字型に形成されたものが、三重に並んでいる。
外縁巻部12は、パネル本体11の外縁のうち、両長辺と一方の短辺(リブ11aが設けられた側の短辺)に連設されており、プレス成形の際に、パネル本体の外縁をカールさせることで形成されている。パネル本体11の長辺の外縁巻部12と短辺の外縁巻部12が合流する角隅部は、丸みを帯びている。
図3および4のように、外縁巻部12は、パネル本体11との境界に相当する巻始端S1から、まずパネル本体11の表面の側に湾曲し、ついでパネル本体の裏面の側に回り込み、その巻終端E1は外縁巻部12の内部に入り込んでいる。
第2パネル20は、アルミニウム箔からプレス成形されており、パネル本体21と、内縁巻部22を有する。
パネル本体21は、全体が平面視で略矩形をなしている。また、パネル本体21は、その表面が凸となり裏面が凹となるように、その短手方向に円弧状に湾曲している。
パネル本体21には、リブ21aが形成されている。リブ21aは、パネル本体21の両長辺および一方の短辺にそってコの字型(反転コの字型)に形成されたものが、三重に並んでいる。
パネル本体21は、第1パネル10のパネル本体11と略左右対称形であり、すくなくともその一部が第1パネルのパネル本体11と重なり合っている。重なり合った状態で、パネル本体21の表面は、パネル本体11の裏面と対向している。
また、図3のように、パネル本体21のリブ21aの幅は、パネル本体11のリブ11aの幅よりも狭く、リブ21aの高さはリブ11aの高さと略同じであるため、パネル本体21とパネル本体11が重なり合った際に、反転コの字型のリブ21aの対向する二辺がコの字型のリブ11aの対向する二辺にそれぞれ嵌まり込むようになっている。
内縁巻部22は、パネル本体21の外縁の両長辺と一方の短辺(リブ21aが設けられた側の短辺)に連設されており、プレス成形の際に、パネル本体21の外縁をカールさせることで形成されている。パネル本体21の短辺に内縁巻部22が連設された側の角隅部は、丸みを帯びている。
図3のように、内縁巻部22は、パネル本体21との境界に相当する巻始端S2から、まずパネル本体21の表面の側に湾曲し、ついでパネル本体の裏面の側に回り込み、その巻終端E2は内縁巻部22の内部に入り込んでいる。
図4のように、第1パネル10の外縁巻部12における巻終端E1と、内縁巻部22の内周面の間には、隙間が形成されている。
ここで、図4のように、第2パネル20の内縁巻部22の巻径は、第1パネル10の外縁巻部12の巻径よりも小さく、パネル本体21の長辺に連設された内縁巻部22は、すくなくともその一部が、第1パネル10のパネル本体11の長辺に連設された外縁巻部12に挿入されている。
挿入された状態で、外縁巻部12の内周面と内縁巻部22の外周面とは対向している。また、外縁巻部12の巻終端E1は、内縁巻部22の巻始端S2と巻終端E2の間に入り込んでいる。
このようにして、第1パネル10と第2パネル20とは連結され、かつその外縁巻部12および内縁巻部22の長手方向に沿って、はまり合うリブ11aとリブ21aにガイドされつつ、相対的にスライド可能となっている。
なお、第1パネル10と第2パネル20が連結されることで、第1パネル10のパネル本体11の一方の短辺に連設された外縁巻部12と、第2パネル20のパネル本体21の一方の短辺に連設された内縁巻部22と、パネル本体11およびパネル本体21の両長辺に連設された内外縁巻部12、22により、排気口カバー1は、その全周に縁巻部が付属することになる。また、排気口カバー1は、平面視形状で四隅が丸みを帯びた矩形となっている。
図3および図4のように、第1パネル10を構成するアルミニウム箔の厚みt1は、第2パネル20を構成するアルミニウム箔の厚みt2よりも小さくなっている。このように構成することで、第1パネル10または第2パネル20をスライドさせる際に、第1パネル10の外縁巻部12が、アルミニウム箔の厚みt1が薄いことから、拡径する向きに変形しやすくなっている。このため、スライド操作時の摩擦抵抗が減じられ、大きな力を要することなく、スムーズに操作をおこなうことができる。
ここで、第1パネルのアルミニウム箔の厚みt1と第2パネルのアルミニウム箔の厚みt2の比率は特に限定されないが、0.7t2≦t1≦0.95t2であることが好ましい。
t1が0.95t2を上回ると、第1パネルのアルミニウム箔の厚みが大きくなりすぎて、スライド操作時に外縁巻部12が拡径する向きに変形しにくくなるおそれがある。
t1が0.7t2を下回ると、第1パネルのアルミニウム箔の厚みが小さくなりすぎて、通常の使用時に第1パネルのパネル本体が破損したり、スライド操作時に第1パネルの外縁巻部が破損したりする恐れがある。
第1パネルの金属箔の厚みt1の大きさは、特に限定されないが、50〜200μmであることが例示できる。50μmを下回ると、第1パネル10の強度が不十分となる恐れがあり、200μmを上回ると、外縁巻部12が変形しにくくなってスライド操作に支障が生じる恐れがあるとともに、第1パネルの材料コストがかさむ。
第2パネル20の金属箔の厚みt2の大きさも、第1パネル10の金属箔の厚みt1よりも大きい限りにおいて、特に限定されないが、100〜300μmであることが例示できる。
また、図4のように、内縁巻部22の巻始端S2と外縁巻部12の外周面との距離、すなわち巻始端S2と、巻始端S2からパネル本体21の面に沿って延長された仮想面と外縁巻部12の外周面との交差部との距離dが十分に大きくなっている。このため、スライド時に外縁巻部12に拡径する向きへの変形代を大きくとることができ、一層スムーズに操作できるようになっている。
距離dは、金属箔の厚みt1、t2に比べて十分に大きい限りにおいて、特に限定されないが、0.2mm以上1.0mm以下であることが好ましい。dが0.2mmを下回ると、外縁巻部12の変形代が小さくなり、またスライド時に、その巻終端E1寄りの箇所が、内縁巻部22の巻始端S2寄りの内周面に突き当たったり、外縁巻部の拡径が抑制されることで従来のようにその外周から拘束される等して、摩擦抵抗が大きくなる恐れがある。dが1.0mmを上回ると、外縁巻部12の内部の空洞が大きくなりすぎて強度が低下し、排気口カバー1の使用時や輸送時に外縁巻部12が圧潰等しやすくなる恐れがある。また、スプリングバックやスライド時に外縁巻部12が外方へ拡がった場合に巻終端E1が外方へ露出しやすくなり、巻終端E1にて手指を傷つけたりする恐れがある。
また、第1パネル10の外縁巻部12における巻終端E1と、内縁巻部22の内周面の間には、隙間が形成されているため、外縁巻部12が拡径する向きに弾性変形する際に、その巻終端E1が内縁巻部22の内周面に突き当たって、拡径の妨げとならないようになっている。
第1パネル10の外縁巻部12の巻始端S1における曲率半径をRとした場合、外縁巻部12の巻径は、2πRと近似されるが、第1パネル10の外縁巻部12における巻始端S1から巻終端E1までの巻き長さをLとした場合、1.1(2πR)≦L≦2(2πR)とするのが好ましい。1.2(2πR)≦L≦1.7(2πR)がより好ましく、さらには1.3(2πR)≦L≦1.5(2πR)がより好ましい。
Lが2.2πRを下回ると、巻き長さが短すぎて、巻終端E1が外縁巻部12の外部に露出してしまい、スライド操作時に、手指を傷つけたり、パネル本体11に引っかかる等して操作に支障が生じる恐れがある。Lが4.0πRを上回ると、巻長さが長すぎて、材料コストがかさむとともに巻終端E1が内縁巻部22の奥部に入り込む等してスライド操作時の摩擦抵抗が大きくなる恐れがある。
外縁巻部12および内縁巻部22の巻径は特に限定されないが、1.5〜5mmが例示できる。二枚の金属箔を重ね合わせてプレス成形することで外縁巻部12および内縁巻部22を形成する場合は、内縁巻部22の巻径は外縁巻部12の金属箔の厚み分小さくなる。
実施形態の排気口カバー1の構成は以上のようであり、つぎにこの排気口カバー1についての実施形態の製造方法を説明する。
実施形態の製造方法を実施するに当たっては、図5のようなプレス成形機を用いる。プレス成形機は、金型としての上型30と下型40とを有し、その上型30と下型40の合せ面(プレス面)においてプレス成形をおこなう。
上型30は、型本体31と、型本体31の外周に隣接して配置された昇降体32と、昇降体32の外周に隣接して配置された外枠体33を有する。昇降体32は、型本体31および外枠体33とは独立して昇降動作をおこなえるようになっている。昇降体32の合せ面には、半円形のカーリング溝32aが設けられている。
同様に、下型40は、型本体41と、型本体41の外周に隣接して配置された昇降体42と、昇降体42の外周に隣接して配置された外枠体43を有する。昇降体42は、型本体41および外枠体43とは独立して昇降動作をおこなえるようになっている。昇降体42の合せ面には、半円形のカーリング溝42aが設けられている。
まず、第1パネル10用の厚みの小さな金属箔f1と第2パネル20用の厚みの大きな金属箔f2とを、金属箔f2が上型30の側に、金属箔f1が下型40の側になるように重ね合わせ、図6(a)のように、上型30の全体を下降させて下型40とで挟み込む。
このとき、上型30の型本体31と下型40の型本体41により、第1パネル10のパネル本体11および第2パネル20のパネル本体21が成形される。
ここで、図7のように、上型30の昇降体32の略半円形のカーリング溝32aと下型40の略半円形の昇降体42のカーリング溝42aが上下に合致することで、断面略円形のカーリング空間が形成されている。カーリング溝32aの曲率半径r1は、カーリング溝42aの曲率半径r2よりも小さく、カーリング溝32a、42aの溝縁は、型本体31、41から離間する側で位置が一致しており、型本体31、41に近接する側で位置がずれることで、その近接する側に突起状の段差部32bが形成されている。段差部32bは、所定の大きさの段差wを有している。
つぎに、図6(b)のように、上型30および下型40の昇降体32、42を型本体31、41および外枠体33、43に対して一体的に下降させる。
金属箔f1、f2は、昇降体32、42と外枠体33、43の境界で所定寸法にカットされ、かつその外縁部が、型本体31、41と昇降体32、42の境界から下向きに折り曲げられて折り曲げ部が形成される。
この折り曲げ部の長さが、外縁巻部12および内縁巻部22の巻き長さとなり、折り曲げ部の端縁はカーリング空間に導入されている。
この状態から、図6(c)のように、昇降体32、42を初期位置(型本体31、41と同じ高さの位置)に復帰するまで上昇させると、金属箔f1、f2の折り曲げ部は、カーリング溝32a、42aの内周面に沿うように巻き上げられ、外縁巻部12と内縁巻部22が重なり合った状態で同時に形成されることになる。
このとき、段差部32bが存在することから、内外の縁巻部12、22の巻始端S1,S2の側よりも、巻終端E1,E2のほうが、より内側に強制的に巻き込まれることになり、第1パネル10の外縁巻部12の外周面と、第2パネル20の巻始端S2との間に自ずと隙間が形成されることになる。
ここで、段差部32bによる段差wは特に限定されないが、0.3mm≦w≦1.1mm以下に設定することが好ましく、0.5mm≦w≦0.9mm以下に設定することがより好ましい。
段差素材となる金属箔f1、f2に由来する縁巻部の内部のスプリングバックが0.1mm程度あることを見込んでも、上記0.2mm≦d≦1.0mmが成立するような、十分な隙間が形成されたパネル複合体を、安定的にかつ隙間管理が容易に製造することができる。
なお図中では、金属箔f1とf2が重なり合った箇所のみ示しているが、金属箔f1とf2とが重なり合わず、単独でプレス成形されている箇所も存在する。
縁巻部の巻径はカーリング溝32a、42aの径に制約されるため、内縁巻部22については、外縁巻部12と重なり合う箇所のほうが、外縁巻部12と重なり合わない箇所よりも巻径が金属箔f1の厚みに相当する分だけ小さくなる。したがって、排気口カバー1が成形された状態で、内縁巻部22の外側に露出した箇所と外縁巻部12内に隠れた箇所の境界に段差ができる。
実施形態では、金属箔f1の厚みを小さくしているため、内縁巻部22の上記段差も小さくなり、第1パネル10と第2パネル20を総合にスライドさせる際に、外縁巻部12が内縁巻部22の段差を乗り越えるのに要する力が低減されている。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲内およびこれと均等の意味でのすべての修正と変形を含む。
実施形態の排気口カバーは、第1および第2パネルのみからなるものとしたが、排気口カバーの構成はこれに限定されない。たとえば、第1および第2パネルのみならず、第3のパネルも備える排気口カバーとしてもよい。また、排気口カバーの形状も実施形態に限定されず、湾曲していない平板状のものとしてもよい。
また、実施形態では、パネル複合体の一例として、排気口カバーをあげたが、パネル複合体の用途はこれに限定されず、たとえば、キッチンレンジの三方を取り囲むように用いられる油除けパネルでもよい。油除けパネルの場合、その背面パネルを第1および第2パネルからなるものとして、油除けパネルの間口寸法を調整できるようにしてもよいし、左右パネルをそれぞれ第1および第2パネルからなるものとして、油除けパネルの奥行き寸法を調整できるようにしてもよい。また、レンジフードに装着する、金属箔製の枠体に油汚れ防止フィルターを備えてサイズ調整のための枠体のスライド機構を採用する金属箔製枠付レンジフード用フィルターや、レンジの隙間カバーなどでもよい。
実施形態では、排気口カバーをアルミニウム箔から成形したが、銅箔、鉄箔などのアルミニウム箔以外の金属箔から排気口カバーを成形してもよい。
1 実施形態の排気口カバー
10 第1パネル
11 パネル本体
11a リブ
12 外縁巻部
20 第2パネル
21 パネル本体
21a リブ
22 内縁巻部
30 上型
31 型本体
32 昇降体
32a カーリング溝
32b 段差部
33 外枠体
40 下型
41 型本体
42 昇降体
42a カーリング溝
43 外枠体
50 従来の上型
51 型本体
52 昇降体
52a カーリング溝
53 外枠体
60 従来の下型
61 型本体
62 昇降体
62a カーリング溝
63 外枠体
K システムキッチン
I IH調理器
D 排気口
S1 第1パネルの巻始端
E1 第1パネルの巻終端
S2 第2パネルの巻始端
E2 第2パネルの巻終端
t1 第1パネルの厚み
t2 第2パネルの厚み
d 内縁巻部の巻始端から外縁巻部の外周面までの距離
f1 第1パネル用の金属箔
f2 第2パネル用の金属箔
f3 従来の第1パネル用の金属箔
f4 従来の第2パネル用の金属箔
r1 上型のカーリング溝の曲率半径
r2 下型のカーリング溝の曲率半径
w 段差部の段差

Claims (5)

  1. パネル本体と、パネル本体の外周部をカールさせることで形成される外縁巻部を有する、金属箔から成形された第1のパネルと、
    パネル本体と、パネル本体の外周部をカールさせることで形成されかつ前記第1のパネルの外縁巻部に挿入される内縁巻部を有する、金属箔から成形された第2のパネルと、を備え、
    前記第1のパネルと第2のパネルとは、前記外縁巻部および前記内縁巻部の長さ方向に沿ってスライド可能であり、
    前記第1のパネルの金属箔の厚みをt1とし、
    前記第2のパネルの金属箔の厚みをt2とした場合、
    t1<t2が成立する、パネル複合体。
  2. 前記第1のパネルの金属箔の厚みをt1とし、
    前記第2のパネルの金属箔の厚みをt2とした場合、
    0.7t2≦t1≦0.95t2が成立する請求項1に記載のパネル複合体。
  3. 前記第1のパネルの金属箔の厚みは、50〜200μmである請求項2に記載のパネル複合体。
  4. キッチンレンジの排気口カバーである請求項1から3のいずれかに記載のパネル複合体。
  5. 前記金属箔はアルミニウム箔である請求項1から4のいずれかに記載のパネル複合体。
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