JP2019178678A - スクロール型電動圧縮機 - Google Patents

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拓郎 山下
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Abstract

【課題】サークリップ等の別部材を用いることなく、シール部材における背圧室に向けた移動を規制して、回転軸の軸線方向における大型化を抑えること。【解決手段】シール部材50は、ベアリング28と当接可能な当接部54を有している。よって、モータ室40sの圧力が背圧室36の圧力を上回る状態となる非定常状態となって、モータ室40sと背圧室36との圧力差によって、シール部材50が背圧室36に向けて移動しても、シール部材50の当接部54がベアリング28に当接し、シール部材50における背圧室36に向けた移動が規制される。当接部54に、シール部材50の内周面と外周面とを連通する切欠部55が形成されている。背圧室36からの冷媒が切欠部55を介して挿通孔27に向かうよう流れ込むことで、背圧室36の冷媒の圧力がシール部材50に作用し易くなり、シール部材50が背圧室36に向けて移動する前の元の位置に復帰し易くなる。【選択図】図4

Description

本発明は、回転軸を回転させる電動モータを備えたスクロール型電動圧縮機に関する。
スクロール型電動圧縮機は、ハウジングに対して回転可能に支持される回転軸と、回転軸を回転させる電動モータと、を備えている。また、スクロール型電動圧縮機は、固定側基板、及び固定側基板から立設された固定側渦巻壁を有する固定スクロールと、固定側基板と対向する可動側基板、及び可動側基板から固定側基板に向けて立設されるとともに固定側渦巻壁と噛み合う可動側渦巻壁を有する可動スクロールと、を備えている。そして、固定側基板及び固定側渦巻壁と可動側基板及び可動側渦巻壁とによって圧縮室が区画されている。スクロール型電動圧縮機では、回転軸が回転することによって可動スクロールが公転運動し、可動スクロールが公転運動することにより、圧縮室に吸入された流体が圧縮される。
また、ハウジング内には、可動スクロールを固定スクロールに向けて付勢するための流体が導入される背圧室が形成されている。そして、背圧室に導入される流体の圧力(背圧)によって可動スクロールが固定スクロールに向けて付勢され、可動側渦巻壁の先端面が固定側基板に圧接されるとともに、固定側渦巻壁の先端面が可動側基板に圧接され、圧縮室の密閉性が確保される。
ハウジング内には、電動モータを収容するとともに流体が吸入されるモータ室が形成されている。スクロール型電動圧縮機は、背圧室とモータ室とを区画する区画壁を備えている。区画壁には、回転軸が挿通される挿通孔が形成されている。挿通孔内には、挿通孔を介した背圧室とモータ室との間の流体の流れを抑制するシール部材が設けられている。また、挿通孔内におけるシール部材よりも背圧室側には、回転軸を回転可能に支持するベアリングが設けられている。
ところで、このようなスクロール型電動圧縮機においては、例えば、スクロール型電動圧縮機の内部に流体である冷媒を充填する際には、冷媒の充填を行う前に、スクロール型電動圧縮機の内部から空気を抜き取るための真空引き作業が行われる。そして、真空引き作業が行われた後、冷媒は、モータ室から徐々に充填されていくが、このとき、モータ室の圧力が背圧室の圧力を上回る状態となる。このように、スクロール型電動圧縮機が、モータ室の圧力が背圧室の圧力を上回る状態となる非定常状態となると、モータ室と背圧室との圧力差によって、シール部材が背圧室に向けて移動する場合がある。そして、スクロール型電動圧縮機の非定常状態が解消されて、背圧室の圧力がモータ室の圧力を上回る状態となる定常状態となると、モータ室と背圧室との圧力差によって、シール部材が、背圧室に向けて移動する前の元の位置に復帰しようとする。しかし、このとき、シール部材が背圧室に向けて移動した際にシール部材が傾いた状態となっていると、シール部材が元の位置に復帰しなかったり、シール部材が傾いた状態で元の位置に復帰してしまったりするため、シール性が悪化してしまう虞がある。
そこで、例えば特許文献1では、挿通孔内におけるシール部材よりも背圧室側にサークリップを設けることで、モータ室の圧力が背圧室の圧力を上回った状態となったとしても、シール部材が背圧室に向けて移動することをサークリップによって規制している。
特開2007−128756号公報
しかしながら、挿通孔内に設けられるサークリップは、スクロール型電動圧縮機が、背圧室の圧力がモータ室の圧力を上回る状態である定常状態で運転している場合には、何の機能も果たしていないため、スクロール型電動圧縮機が定常状態で運転している際には必要の無い部品となってしまっている。また、挿通孔内にサークリップを設けると、挿通孔内にサークリップを設ける分だけ、スクロール型電動圧縮機が、回転軸の軸線方向に大型化してしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、サークリップ等の別部材を用いることなく、シール部材における背圧室に向けた移動を規制して、回転軸の軸線方向における大型化を抑えることができるスクロール型電動圧縮機を提供することにある。
上記課題を解決するスクロール型電動圧縮機は、筒状のハウジングと、前記ハウジングに対して回転可能に支持される回転軸と、前記回転軸を回転させる電動モータと、固定側基板、及び前記固定側基板から立設された固定側渦巻壁を有するとともに前記ハウジングに固定される固定スクロールと、前記固定側基板と対向する可動側基板、及び前記可動側基板から前記固定側基板に向けて立設されるとともに前記固定側渦巻壁と噛み合う可動側渦巻壁を有する可動スクロールと、前記固定側基板及び前記固定側渦巻壁と前記可動側基板及び前記可動側渦巻壁とによって区画される圧縮室と、前記ハウジング内に形成されるとともに前記可動スクロールを前記固定スクロールに向けて付勢するための流体が導入される背圧室と、前記ハウジング内に形成されるとともに前記電動モータを収容し、流体が吸入されるモータ室と、前記背圧室と前記モータ室とを区画する区画壁と、前記区画壁に形成されるとともに前記回転軸が挿通される挿通孔と、前記挿通孔内に設けられるとともに前記挿通孔を介した前記背圧室と前記モータ室との間の流体の流れを抑制する環状のシール部材と、前記挿通孔内における前記シール部材よりも前記背圧室側に設けられるとともに前記回転軸を回転可能に支持するベアリングと、を備えたスクロール型電動圧縮機であって、前記シール部材は、前記シール部材における前記ベアリング側の端部に、前記ベアリングと当接可能な当接部を有し、前記当接部には、前記シール部材の内周面と外周面とを連通する切欠部が形成されている。
これによれば、スクロール型電動圧縮機が、モータ室の圧力が背圧室の圧力を上回る状態となる非定常状態となって、モータ室と背圧室との圧力差によって、シール部材が背圧室に向けて移動しても、シール部材の当接部がベアリングに当接することにより、シール部材における背圧室に向けた移動が規制される。よって、従来技術のようにサークリップ等の別部材を用いることなく、シール部材における背圧室に向けた移動を規制して、回転軸の軸線方向における大型化を抑えることができる。さらに、当接部に、シール部材の内周面と外周面とを連通する切欠部が形成されている。このため、当接部がベアリングに当接した状態において、背圧室からの流体が切欠部を介して挿通孔に向かうよう流れ込むことで、背圧室の流体の圧力がシール部材に作用し易くなり、シール部材が背圧室に向けて移動する前の元の位置に復帰し易くなる。
上記スクロール型電動圧縮機において、前記シール部材は、前記回転軸に摺動する摺動部を有する樹脂製である環状の内周リップ部と、前記内周リップ部よりも外側に配置される環状の外周リップ部と、を有するリップシールであり、前記外周リップ部における前記ベアリング側の端部は、前記内周リップ部における前記ベアリング側の端部よりも前記ベアリング寄りに位置しており、前記外周リップ部は、前記外周リップ部における前記ベアリング側の端部に前記当接部を有しているとよい。
これによれば、スクロール型電動圧縮機が、モータ室の圧力が背圧室の圧力を上回る状態となる非定常状態となって、モータ室と背圧室との圧力差によって、シール部材が背圧室に向けて移動すると、外周リップ部の当接部がベアリングに当接し、シール部材における背圧室に向けた移動が規制される。よって、シール部材が背圧室に向けて移動したとしても、回転軸に摺動する摺動部を有する内周リップ部が、ベアリングに当接してしまうことを回避することができるため、摺動部の信頼性を確保することができる。
上記スクロール型電動圧縮機において、前記外周リップ部は、前記内周リップ部と一体形成された樹脂製であるとよい。
これによれば、外周リップ部が内周リップ部とは別の材料で形成されている場合に比べると、シール部材の構成を簡素化することができる。また、外周リップ部が樹脂製であるため、シール部材が背圧室に向けて移動して、外周リップ部の当接部がベアリングに当接しても、ベアリングが損傷してしまうことを抑制することができる。
この発明によれば、サークリップ等の別部材を用いることなく、シール部材における背圧室に向けた移動を規制して、回転軸の軸線方向における大型化を抑えることができる。
実施形態におけるスクロール型電動圧縮機を示す側断面図。 スクロール型電動圧縮機の一部分を拡大して示す断面図。 ベアリング及びシール部材の周辺を拡大して示す断面図。 シール部材が背圧室に向けて移動した状態を示す断面図。
以下、スクロール型電動圧縮機を具体化した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。なお、本実施形態のスクロール型電動圧縮機は、車両に搭載されるとともに車両空調装置に用いられる。
図1に示すように、スクロール型電動圧縮機10は、筒状のハウジング11と、ハウジング11内に収容される回転軸12と、回転軸12が回転することにより流体である冷媒を圧縮する圧縮部13と、回転軸12を回転させる電動モータ14と、を備えている。
ハウジング11は、有底筒状の第1ハウジング構成体15と、第1ハウジング構成体15に連結される有底筒状の第2ハウジング構成体20と、第2ハウジング構成体20に連結される有底筒状の第3ハウジング構成体40と、を有している。第1ハウジング構成体15、第2ハウジング構成体20、及び第3ハウジング構成体40は金属材料製であり、例えば、アルミニウム製である。
第1ハウジング構成体15は、板状の底壁15aと、底壁15aの外周部から筒状に延びる周壁15bと、を有している。周壁15bの軸心が延びる方向は、回転軸12の軸線L1が延びる方向(軸線方向)に一致している。周壁15bは、大径孔151bと、大径孔151bよりも内径が小さい小径孔152bと、を有している。大径孔151b及び小径孔152bの軸心が延びる方向は、周壁15bの軸心が延びる方向に一致している。大径孔151bは、小径孔152bよりも底壁15aとは反対側に位置している。また、周壁15bは、大径孔151bと小径孔152bとを接続する環状の段差面153bを有している。底壁15aは、小径孔152bにおける大径孔151bとは反対側の開口を閉塞している。圧縮部13は、第1ハウジング構成体15の大径孔151b内に収容されている。
第3ハウジング構成体40は、板状の底壁40aと、底壁40aの外周部から筒状に延びる周壁40bと、を有している。第3ハウジング構成体40の周壁40bにおける底壁40aとは反対側の開口端縁40eと、第1ハウジング構成体15の周壁15bにおける底壁15aとは反対側の開口端縁15eとは回転軸12の軸線方向で向き合っている。第1ハウジング構成体15の周壁15bの軸心が延びる方向(軸線方向)と、第3ハウジング構成体40の周壁40bの軸心が延びる方向(軸線方向)とは一致している。
第3ハウジング構成体40には、図示しない吸入口が形成されている。吸入口は図示しない外部冷媒回路に接続されている。第1ハウジング構成体15には、図示しない吐出口が形成されている。吐出口は外部冷媒回路に接続されている。
電動モータ14は、第3ハウジング構成体40内に収容されている。電動モータ14及び圧縮部13は、回転軸12の軸線方向に並んで配置されている。電動モータ14は、回転軸12と一体的に回転するロータ14aと、ロータ14aを取り囲む筒状のステータ14bと、を有している。ステータ14bは、第3ハウジング構成体40の周壁40bの内周面に固定される筒状のステータコア141bと、ステータコア141bに巻回されるコイル142bと、を有している。そして、図示しない駆動回路によって制御された電力がコイル142bに供給されることにより電動モータ14が駆動して、回転軸12がロータ14aと一体的に回転する。
第3ハウジング構成体40の底壁40aの内面には、円筒状のボス部40cが突設されている。回転軸12における圧縮部13とは反対側の端部は、ボス部40c内に挿入されている。ボス部40cの内周面と回転軸12における圧縮部13とは反対側の端部の外周面との間には、転がり軸受40dが設けられている。そして、回転軸12における圧縮部13とは反対側の端部は、転がり軸受40dを介して第3ハウジング構成体40に回転可能に支持されている。
図2に示すように、圧縮部13は、第1ハウジング構成体15に固定される固定スクロール16と、固定スクロール16に対向配置された可動スクロール17とを有している。固定スクロール16は、回転軸12の軸線方向において、可動スクロール17よりも底壁15a側に位置している。
固定スクロール16は、円板状の固定側基板16a、及び固定側基板16aから底壁15aとは反対側に向けて立設された固定側渦巻壁16b、を有している。可動スクロール17は、固定側基板16aと対向する円板状をなす可動側基板17a、及び可動側基板17aから固定側基板16aに向けて立設される可動側渦巻壁17b、を有している。固定側渦巻壁16bと可動側渦巻壁17bとは互いに噛み合わされている。固定側渦巻壁16bの先端面は可動側基板17aに接触しているとともに、可動側渦巻壁17bの先端面は固定側基板16aに接触している。そして、固定側基板16a及び固定側渦巻壁16bと、可動側基板17a及び可動側渦巻壁17bとによって圧縮室18が区画されている。
固定側基板16aの中央部には、吐出ポート16hが形成されている。また、固定側基板16aにおける可動スクロール17とは反対側の端面16eには、吐出ポート16hを開閉する弁機構16vが取り付けられている。また、第1ハウジング構成体15内には、吐出室19が形成されている。吐出室19は、底壁15a、小径孔152b、及び固定側基板16aによって区画されている。そして、吐出室19には、圧縮部13により圧縮室18で圧縮された冷媒が、吐出ポート16hを介して吐出される。
可動側基板17aにおける固定スクロール16とは反対側の端面17eには、円筒状のボス部17cが突設されている。ボス部17cの軸心が延びる方向(軸線方向)は、回転軸12の軸線方向に一致している。また、可動側基板17aの端面17eにおけるボス部17cの周囲には、円孔状の凹部17hが複数形成されている。複数の凹部17hは、回転軸12の周方向に所定の間隔をあけて配置されている。各凹部17h内には円環状のリング部材17dが嵌着されている。また、可動側基板17aは、環状の凸状部17fを有している。凸状部17fは、可動側基板17aの端面17eにおける複数の凹部17hよりも回転軸12の径方向外側の部分から突出している。凸状部17fは、ボス部17cの周囲を取り囲んでいる。
第2ハウジング構成体20は、板状の底壁21と、底壁21の外周部から筒状に延びる周壁22と、を有している。周壁22の軸心が延びる方向は、回転軸12の軸線方向に一致している。また、第2ハウジング構成体20は、周壁22の外周面における底壁21とは反対側の端部から回転軸12の径方向外側に向けて延びる円環状のフランジ壁23を有している。
フランジ壁23における底壁21側の端面23aは、回転軸12の径方向に延びる環状の第1面231a及び第2面232aを有している。第1面231aは、周壁22の外周面に連続するとともに周壁22の外周面における底壁21とは反対側の端部から回転軸12の径方向に延びている。第2面232aは、第1面231aよりも回転軸12の径方向外側であって、且つ第1面231aよりも底壁21から回転軸12の軸線方向で離間した位置に配置されている。第1面231aにおける回転軸12の径方向外側の外周縁と、第2面232aにおける回転軸12の径方向内側の内周縁とは、回転軸12の軸線方向に延びる環状の段差面233aによって連結されている。
周壁22は、大径凹部24及びベアリング収容凹部25を有している。また、底壁21は、シール部材収容凹部26及び底壁貫通孔21hを有している。大径凹部24の軸心、ベアリング収容凹部25の軸心、シール部材収容凹部26の軸心、及び底壁貫通孔21hの軸心は、回転軸12の軸線L1に一致している。大径凹部24は、第2ハウジング構成体20における底壁21とは反対側の端面20aに開口している。ベアリング収容凹部25は、大径凹部24の底面24aに形成されている。よって、大径凹部24とベアリング収容凹部25とは連通している。シール部材収容凹部26は、ベアリング収容凹部25の底面25aに形成されている。よって、ベアリング収容凹部25とシール部材収容凹部26とは連通している。底壁貫通孔21hは、シール部材収容凹部26の底面26aに形成されるとともに底壁21を貫通している。よって、シール部材収容凹部26と底壁貫通孔21hとは連通している。大径凹部24、ベアリング収容凹部25、シール部材収容凹部26、及び底壁貫通孔21hは、第2ハウジング構成体20に形成されるとともに回転軸12が挿通される挿通孔27を形成している。
回転軸12における圧縮部13側の端部は、底壁貫通孔21hに挿通されるとともにシール部材収容凹部26及びベアリング収容凹部25を通過して大径凹部24内に突出している。回転軸12における圧縮部13側の端面12aは、大径凹部24内に位置している。ベアリング収容凹部25内には、回転軸12を回転可能に支持するベアリング28が収容されている。ベアリング28は、回転軸12の外周面とベアリング収容凹部25の内周面との間には設けられている。ベアリング28は、転がり軸受である。そして、回転軸12における圧縮部13側の端部は、ベアリング28を介して第2ハウジング構成体20に回転可能に支持されている。
回転軸12の端面12aには、回転軸12の軸線L1に対して偏心した位置から可動スクロール17に向けて突出する偏心軸29が一体形成されている。偏心軸29の軸線方向は、回転軸12の軸線方向に一致している。偏心軸29は、ボス部17c内に挿入されている。
偏心軸29の外周面には、バランスウェイト30が一体化されたブッシュ31が嵌合されている。バランスウェイト30は、ブッシュ31に一体形成されている。バランスウェイト30は、大径凹部24内に収容されている。可動スクロール17は、ブッシュ31及び転がり軸受32を介して偏心軸29と相対回転可能に偏心軸29に支持されている。
また、第2ハウジング構成体20の端面20aには、円孔状の逃げ凹部20hが形成されている。逃げ凹部20hの内周側は大径凹部24に連続している。逃げ凹部20hにおける大径凹部24の周囲には、各リング部材17d内に挿入されるピン33が突設されている。
回転軸12の回転は、偏心軸29、ブッシュ31、及び転がり軸受32を介して可動スクロール17に伝達され、可動スクロール17は自転する。そして、各ピン33と各リング部材17dの内周面とが接触することにより、可動スクロール17の自転が阻止されて、可動スクロール17の公転運動のみが許容される。これにより、可動スクロール17は、可動側渦巻壁17bが固定側渦巻壁16bに接触しながら公転運動し、圧縮室18の容積が減少して冷媒が圧縮される。バランスウェイト30は、可動スクロール17が公転運動する際に可動スクロール17に作用する遠心力を相殺して、可動スクロール17のアンバランス量を低減する。
可動側基板17aの端面17eと第2ハウジング構成体20の端面20aとの間には、薄板状の弾性体34が設けられている。弾性体34は、弾性変形可能な材料(例えば金属など)で構成されている。弾性体34の外周部は、固定スクロール16の外周壁16c及び第1ハウジング構成体15の周壁15bの開口端縁15eと、第2ハウジング構成体20の端面20aの外周部とによって挟み込まれている。また、第3ハウジング構成体40の周壁40bの開口端縁40eは、第2ハウジング構成体20のフランジ壁23の第2面232aに接触している。そして、第1ハウジング構成体15、第2ハウジング構成体20、第3ハウジング構成体40、及び弾性体34は、ボルト38によって連結されている。
弾性体34の中央部には、円孔状の貫通孔34aが形成されている。また、弾性体34における貫通孔34aの周囲には、円孔状のピン挿入孔34bが複数形成されている。各ピン挿入孔34bには、各ピン33が挿入される。貫通孔34aの孔径は、可動スクロール17のボス部17cの外径よりも大きい。また、貫通孔34aの孔径は、大径凹部24の孔径と同じである。弾性体34は、貫通孔34aの軸心が大径凹部24の軸心と一致するように可動側基板17aの端面17eと第2ハウジング構成体20の端面20aとの間に配置されている。貫通孔34aの内周縁は、大径凹部24の内周面と回転軸12の軸線方向で重なっている。
弾性体34には、可動スクロール17の凸状部17fの先端が圧接されている。可動スクロール17は、可動スクロール17の凸状部17fの先端が弾性体34に圧接された状態を維持しながら、固定スクロール16に対して公転運動する。そして、可動スクロール17の凸状部17fの先端と弾性体34との圧接によって、可動スクロール17の凸状部17fと弾性体34との間を介した冷媒の流れが抑制されている。
弾性体34は、凸状部17fが弾性体34に圧接されることにより、可動側基板17aとは反対側に向けて膨らむように弾性変形する。逃げ凹部20hは、弾性体34の弾性変形を許容する。そして、弾性体34が原形状に復帰しようとする復帰力が可動スクロール17に作用することで、可動スクロール17が固定スクロール16に向けて付勢される。したがって、弾性体34は、可動スクロール17を固定スクロール16に向けて付勢する。
ハウジング11内には、電動モータ14を収容するモータ室40sが形成されている。モータ室40sは、第2ハウジング構成体20、第3ハウジング構成体40の底壁40a及び周壁40bによって区画されている。モータ室40s内には、外部冷媒回路から吸入口を介して冷媒が吸入される。よって、モータ室40sは、吸入口から冷媒が吸入される吸入室である。
固定スクロール16の外周壁16cには、圧縮室18に冷媒を導入する導入孔16dが形成されている。導入孔16dは、圧縮室18における最外周部と連通している。また、スクロール型電動圧縮機10は、モータ室40s内の冷媒を導入孔16dに導入する導入通路35を有している。導入通路35は、第3ハウジング構成体40の周壁40bの内周面の一部に凹設された第1溝40fと、第2ハウジング構成体20のフランジ壁23を貫通する孔23fと、弾性体34の外周部を貫通する孔34fと、第1ハウジング構成体15の周壁15bの内周面の一部に凹設された第2溝15fと、から形成されている。第1溝40fは、フランジ壁23の孔23fと連通している。フランジ壁23の孔23fは、弾性体34の孔34fと連通している。弾性体34の孔34fは、第2溝15fに連通している。そして、モータ室40s内の冷媒は、導入通路35及び導入孔16dを通過して圧縮室18に吸入される。
ハウジング11内には、背圧室36が形成されている。背圧室36は、可動側基板17aの端面17eと、第2ハウジング構成体20の大径凹部24とによって区画されている。よって、背圧室36は、ハウジング11内における可動側基板17aに対して固定側基板16a側とは反対側の位置に形成されている。第2ハウジング構成体20は、可動側基板17aと協働して背圧室36を区画する。そして、第2ハウジング構成体20は、背圧室36と吸入室であるモータ室40sとを区画する区画壁として機能している。
可動スクロール17には、可動側基板17a及び可動側渦巻壁17bの双方を貫通するとともに圧縮室18内の冷媒を背圧室36に導入する背圧導入通路37が形成されている。背圧室36は、圧縮室18内の冷媒が背圧導入通路37を介して導入されるため、モータ室40sよりも高圧となっている。そして、背圧室36の圧力が高くなることによって、可動側渦巻壁17bの先端面が固定側基板16aに押し付けられるように可動スクロール17が固定スクロール16に向けて付勢される。よって、背圧室36には、可動スクロール17を固定スクロール16に向けて付勢するための流体である冷媒が導入される。
圧縮室18内の冷媒が背圧導入通路37を介して背圧室36に導入され、背圧室36に導入される冷媒の圧力(背圧)によって可動スクロール17が固定スクロール16に向けて付勢される。これにより、可動側渦巻壁17bの先端面が固定側基板16aに圧接されるとともに、固定側渦巻壁16bの先端面が可動側基板17aに圧接され、圧縮室18の密閉性が確保される。また、凸状部17fが弾性体34に圧接されることにより弾性体34が可動側基板17aとは反対側に向けて膨らむように弾性変形し、弾性体34が原形状に復帰しようとする復帰力が可動スクロール17に作用することにより、可動スクロール17が固定スクロール16に向けて付勢される。よって、例えば、スクロール型電動圧縮機10の起動時のように、背圧室36の背圧が十分でないときであっても、可動スクロール17が固定スクロール16に付勢されるため、圧縮室18の密閉性が高められる。
逃げ凹部20hの底面の外周部には、環状の装着溝20gが形成されている。装着溝20gにはOリング20sが装着されている。Oリング20sは、弾性体34における第2ハウジング構成体20側の端面に密着している。Oリング20sは、弾性体34と第2ハウジング構成体20の端面20aとの間をシールしている。よって、Oリング20sは、弾性体34と第2ハウジング構成体20の端面20aとの間を介した背圧室36から外部への冷媒の流れを抑制する。
回転軸12には、背圧室36と転がり軸受40dとを連通させる軸内通路12hが形成されている。軸内通路12hの一端は、回転軸12の端面12aに開口している。軸内通路12hの他端は、回転軸12の外周面のうち、転がり軸受40dに支持されている部分に開口している。軸内通路12hは、背圧室36とモータ室40sとを連通している。
シール部材収容凹部26内には、環状のシール部材50が収容されている。シール部材50は、回転軸12の外周面とシール部材収容凹部26の内周面との間に設けられている。シール部材50は、回転軸12の外周面とシール部材収容凹部26の内周面との間をシールしている。よって、シール部材50は、挿通孔27内に設けられるとともに挿通孔27を介した背圧室36とモータ室40sとの間の冷媒の流れを抑制する。そして、ベアリング28は、挿通孔27内におけるシール部材50よりも背圧室36側に設けられている。
図3に示すように、シール部材50は、環状の内周リップ部51と、内周リップ部51よりも外側に配置される環状の外周リップ部52と、内周リップ部51と外周リップ部52とを連結する環状の連結部53と、を有するリップシールである。シール部材50は、樹脂製である。したがって、内周リップ部51は、樹脂製である。そして、外周リップ部52は、内周リップ部51と一体形成された樹脂製である。
連結部53は、回転軸12の径方向に延びている。内周リップ部51は、連結部53の内周縁からベアリング28に向けて延びるとともに連結部53から離間するにつれて回転軸12の外周面に徐々に接近するように延びている。そして、内周リップ部51の内周面における連結部53とは反対側の端部は、回転軸12の外周面に密着している。よって、内周リップ部51の内周面における連結部53とは反対側の端部は、回転軸12の外周面に摺動する摺動部51aになっている。したがって、内周リップ部51は、回転軸12に摺動する摺動部51aを有している。そして、摺動部51aが回転軸12の外周面に密着していることにより、シール部材50の内周面と回転軸12の外周面との間がシールされている。
外周リップ部52は、連結部53の外周縁からシール部材収容凹部26の内周面に沿って延びている。外周リップ部52の外周面は、シール部材収容凹部26の内周面に密着している。シール部材50は、外周リップ部52の外周面がシール部材収容凹部26の内周面に密着されることにより、シール部材収容凹部26に嵌め込まれている。そして、外周リップ部52の外周面がシール部材収容凹部26の内周面に密着していることにより、シール部材50の外周面とシール部材収容凹部26の内周面との間がシールされている。
シール部材50がシール部材収容凹部26に嵌め込まれた状態において、外周リップ部52におけるベアリング28側の端部52e、及び内周リップ部51におけるベアリング28側の端部51eは、回転軸12の軸線方向でベアリング28と対向している。外周リップ部52におけるベアリング28側の端部52eは、内周リップ部51におけるベアリング28側の端部51eよりもベアリング28寄りに位置している。したがって、回転軸12の軸線方向において、外周リップ部52におけるベアリング28側の端部52eとベアリング28との間の距離は、内周リップ部51におけるベアリング28側の端部51eとベアリング28との間の距離よりも短い。
そして、外周リップ部52におけるベアリング28側の端部52eは、シール部材50が背圧室36に向けて移動したときに、ベアリング28と当接可能な当接部54になっている。よって、外周リップ部52は、外周リップ部52におけるベアリング28側の端部52eに当接部54を有している。したがって、シール部材50は、シール部材50におけるベアリング28側の端部に、ベアリング28と当接可能な当接部54を有している。
当接部54は、平坦面状の環状である。当接部54には、シール部材50の内周面と外周面とを連通する切欠部55が形成されている。本実施形態において、当接部54には、切欠部55が二つ形成されている。二つの切欠部55は、回転軸12を挟んだ両側にそれぞれ形成されている。二つの切欠部55は、回転軸12の周方向において180度離れた位置に配置されている。二つの切欠部55は、回転軸12の径方向に延びる溝であるとともに、外周リップ部52の内周面と外周面とを繋いでいる。よって、二つの切欠部55は、シール部材50の内周面と外周面とを連通する。
また、シール部材収容凹部26の内周面におけるベアリング収容凹部25側の開口縁には、環状の面取り部26cが形成されている。面取り部26cは、ベアリング収容凹部25の底面25aに連続している。
スクロール型電動圧縮機10が、背圧室36の圧力がモータ室40sの圧力を上回る状態となる定常状態である場合、モータ室40sと背圧室36との圧力差によって、シール部材50は、シール部材収容凹部26の底面26aに押し付けられている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
ところで、このようなスクロール型電動圧縮機10においては、例えば、スクロール型電動圧縮機10の内部に冷媒を充填する際には、冷媒の充填を行う前に、スクロール型電動圧縮機10の内部から空気を抜き取るための真空引き作業が行われる。そして、真空引き作業が行われた後、冷媒は、モータ室40sから徐々に充填されていくが、このとき、モータ室40sの圧力が背圧室36の圧力を上回る状態となる。このように、スクロール型電動圧縮機10が、モータ室40sの圧力が背圧室36の圧力を上回る状態となる非定常状態となると、モータ室40sと背圧室36との圧力差によって、シール部材50が背圧室36に向けて移動する場合がある。
図4に示すように、シール部材50が背圧室36に向けて移動すると、当接部54がベアリング28に当接することにより、シール部材50における背圧室36に向けた移動が規制される。そして、スクロール型電動圧縮機10の非定常状態が解消されて、背圧室36の圧力がモータ室40sの圧力を上回る状態となる定常状態となると、モータ室40sと背圧室36との圧力差によって、シール部材50が、背圧室36に向けて移動する前の元の位置に復帰しようとする。
このとき、当接部54に切欠部55が形成されているため、当接部54がベアリング28に当接した状態において、背圧室36からの冷媒が切欠部55を介して挿通孔27に向かうよう流れ込むことで、背圧室36の冷媒の圧力がシール部材50に作用し易くなり、シール部材50が背圧室36に向けて移動する前の元の位置に復帰し易くなっている。また、シール部材収容凹部26の内周面におけるベアリング収容凹部25側の開口縁に環状の面取り部26cが形成されているため、背圧室36内の冷媒が、ベアリング収容凹部25内を通過して、面取り部26cを介して切欠部55に流れ込み易くなっている。よって、背圧室36からの冷媒の圧力がシール部材50に作用し易くなっており、シール部材50が背圧室36に向けて移動する前の元の位置にスムーズに復帰する。
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)シール部材50は、シール部材50におけるベアリング28側の端部に、ベアリング28と当接可能な当接部54を有している。これによれば、スクロール型電動圧縮機10が、モータ室40sの圧力が背圧室36の圧力を上回る状態となる非定常状態となって、モータ室40sと背圧室36との圧力差によって、シール部材50が背圧室36に向けて移動しても、シール部材50の当接部54がベアリング28に当接する。これにより、シール部材50における背圧室36に向けた移動が規制される。よって、従来技術のようにサークリップ等の別部材を用いることなく、シール部材50における背圧室36に向けた移動を規制して、スクロール型電動圧縮機10の回転軸12の軸線方向における大型化を抑えることができる。さらに、当接部54に、シール部材50の内周面と外周面とを連通する切欠部55が形成されている。このため、当接部54がベアリング28に当接した状態において、背圧室36からの冷媒が切欠部55を介して挿通孔27に向かうよう流れ込むことで、背圧室36の冷媒の圧力がシール部材50に作用し易くなり、シール部材50が背圧室36に向けて移動する前の元の位置に復帰し易くなる。
(2)シール部材50は、回転軸12に摺動する摺動部51aを有する樹脂製である環状の内周リップ部51と、内周リップ部51よりも外側に配置される環状の外周リップ部52と、を有するリップシールである。外周リップ部52におけるベアリング28側の端部52eは、内周リップ部51におけるベアリング28側の端部51eよりもベアリング28寄りに位置しており、外周リップ部52は、外周リップ部52におけるベアリング28側の端部52eに当接部54を有している。これによれば、スクロール型電動圧縮機10が、モータ室40sの圧力が背圧室36の圧力を上回る状態となる非定常状態となって、モータ室40sと背圧室36との圧力差によって、シール部材50が背圧室36に向けて移動すると、外周リップ部52の当接部54がベアリング28に当接する。これにより、シール部材50における背圧室36に向けた移動が規制される。よって、シール部材50が背圧室36に向けて移動したとしても、回転軸12に摺動する摺動部51aを有する内周リップ部51が、ベアリング28に当接してしまうことを回避することができるため、摺動部51aの信頼性を確保することができる。
(3)外周リップ部52は、内周リップ部51と一体形成された樹脂製である。これによれば、外周リップ部52が内周リップ部51とは別の材料で形成されている場合に比べると、シール部材50の構成を簡素化することができる。また、外周リップ部52が樹脂製であるため、シール部材50が背圧室36に向けて移動して、外周リップ部52の当接部54がベアリング28に当接しても、ベアリング28が損傷してしまうことを抑制することができる。
(4)シール部材収容凹部26の内周面におけるベアリング収容凹部25側の開口縁に環状の面取り部26cが形成されている。これによれば、背圧室36内の冷媒が、ベアリング収容凹部25内を通過して、面取り部26cを介して切欠部55に流れ込み易くなるため、背圧室36からの冷媒の圧力がシール部材50に作用し易くなり、シール部材50が背圧室36に向けて移動する前の元の位置にスムーズに復帰することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、外周リップ部52におけるベアリング28側の端部52eとベアリング28との間の距離と、内周リップ部51におけるベアリング28側の端部51eとベアリング28との間の距離とが同じであってもよい。そして、内周リップ部51及び外周リップ部52の双方が、内周リップ部51におけるベアリング28側の端部51e、又は外周リップ部52におけるベアリング28側の端部52eに当接部54をそれぞれ有していてもよい。
○ 実施形態において、内周リップ部51におけるベアリング28側の端部51eが、外周リップ部52におけるベアリング28側の端部52eよりもベアリング28寄りに位置していてもよい。そして、内周リップ部51は、内周リップ部51におけるベアリング28側の端部51eに当接部54を有していてもよい。
○ 実施形態において、シール部材50は、外周リップ部52が内周リップ部51とは別の材料で形成されている構成であってもよい。
○ 実施形態において、シール部材50はリップシールでなくてもよく、例えば、スクイーズタイプのシールリング(スクイーズパッキン)であってもよい。
○ 実施形態において、ベアリング28は、転がり軸受ではなく、例えば、カラーに圧入された滑り軸受であってもよい。この場合、当接部54は、カラーもしくは滑り軸受に当接可能である。
○ 実施形態において、二つの切欠部55の配置位置は適宜変更してもよい。
○ 実施形態において、切欠部55の数は適宜変更してもよい。
○ 実施形態において、シール部材収容凹部26の内周面におけるベアリング収容凹部25側の開口縁に環状の面取り部26cが形成されていなくてもよい。
○ 実施形態において、可動側基板17aと協働して背圧室36を区画する区画壁が、ハウジング11の一部でなくてもよく、ハウジング11内に収容される部材であってもよい。
○ 実施形態において、弾性体34を省略してもよい。
○ 実施形態において、スクロール型電動圧縮機10は、車両空調装置に用いられなくてもよく、その他の空調装置に用いられてもよい。
10…スクロール型電動圧縮機、11…ハウジング、12…回転軸、14…電動モータ、16…固定スクロール、16a…固定側基板、16b…固定側渦巻壁、17…可動スクロール、17a…可動側基板、17b…可動側渦巻壁、18…圧縮室、20…区画壁として機能する第2ハウジング構成体、27…挿通孔、28…ベアリング、36…背圧室、40s…モータ室、50…シール部材、51…内周リップ部、51a…摺動部、52…外周リップ部、54…当接部、55…切欠部。

Claims (3)

  1. 筒状のハウジングと、
    前記ハウジングに対して回転可能に支持される回転軸と、
    前記回転軸を回転させる電動モータと、
    固定側基板、及び前記固定側基板から立設された固定側渦巻壁を有するとともに前記ハウジングに固定される固定スクロールと、
    前記固定側基板と対向する可動側基板、及び前記可動側基板から前記固定側基板に向けて立設されるとともに前記固定側渦巻壁と噛み合う可動側渦巻壁を有する可動スクロールと、
    前記固定側基板及び前記固定側渦巻壁と前記可動側基板及び前記可動側渦巻壁とによって区画される圧縮室と、
    前記ハウジング内に形成されるとともに前記可動スクロールを前記固定スクロールに向けて付勢するための流体が導入される背圧室と、
    前記ハウジング内に形成されるとともに前記電動モータを収容し、流体が吸入されるモータ室と、
    前記背圧室と前記モータ室とを区画する区画壁と、
    前記区画壁に形成されるとともに前記回転軸が挿通される挿通孔と、
    前記挿通孔内に設けられるとともに前記挿通孔を介した前記背圧室と前記モータ室との間の流体の流れを抑制する環状のシール部材と、
    前記挿通孔内における前記シール部材よりも前記背圧室側に設けられるとともに前記回転軸を回転可能に支持するベアリングと、を備えたスクロール型電動圧縮機であって、
    前記シール部材は、前記シール部材における前記ベアリング側の端部に、前記ベアリングと当接可能な当接部を有し、
    前記当接部には、前記シール部材の内周面と外周面とを連通する切欠部が形成されていることを特徴とするスクロール型電動圧縮機。
  2. 前記シール部材は、前記回転軸に摺動する摺動部を有する樹脂製である環状の内周リップ部と、前記内周リップ部よりも外側に配置される環状の外周リップ部と、を有するリップシールであり、
    前記外周リップ部における前記ベアリング側の端部は、前記内周リップ部における前記ベアリング側の端部よりも前記ベアリング寄りに位置しており、
    前記外周リップ部は、前記外周リップ部における前記ベアリング側の端部に前記当接部を有していることを特徴とする請求項1に記載のスクロール型電動圧縮機。
  3. 前記外周リップ部は、前記内周リップ部と一体形成された樹脂製であることを特徴とする請求項2に記載のスクロール型電動圧縮機。
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DE102020117373A1 (de) 2020-07-01 2022-01-05 Hanon Systems Spiralverdichter zur Verdichtung eines Kältemittels und Verfahren zur Ölanreicherung und -verteilung
CN115434942A (zh) * 2022-08-24 2022-12-06 宁波威孚天力增压技术股份有限公司 具有改进型密封结构的增压器

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