JP2019176015A - 回路基板付きヒートシンク及びその製造方法 - Google Patents

回路基板付きヒートシンク及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い冷却性能を備え、温度変化に対する耐久性に優れた回路基板付きヒートシンク及びその製造方法を提供する。【解決手段】ヒートシンク1は、ヒートシンク本体2と、ヒートシンク本体2のベース板21上に順次積層された低膨張板3、中間板4及び回路基板5を有している。ヒートシンク本体2及び中間板4はアルミニウム材から構成されている。回路基板5は、銅材からなり、中間板4上に接合された裏面金属層51と、セラミックス板52と、銅材からなる回路金属層53が順次積層された積層構造を有している。中間板4は裏面金属層51の外周端縁511よりも中間板4の厚みの1.0倍以上外方まで延出している。低膨張板3はアルミニウム材及び銅材よりも低い線膨張係数を有しており、裏面金属層51の外周端縁511よりも低膨張板3の厚みと低膨張板3上に接合された中間板4の厚みとの合計の1.0倍以上外方まで延出している。【選択図】図3

Description

本発明は、回路基板付きヒートシンク及びその製造方法に関する。
インバータやコンバータ等の電力変換装置には、セラミックス板の両面に金属板が接合された回路基板と、回路基板における一方の金属板に接合されたヒートシンクとを有する回路基板付きヒートシンクが組み込まれている。回路基板における他方の金属板には、電力回路を構成する半導体素子などがはんだ付により搭載されている。これらの金属板としては、銅材(同及び銅合金を含む。以下同様。)が多用されている。また、ヒートシンクは、軽量化を目的として、アルミニウム材(アルミニウム及びアルミニウム合金を含む。以下同様。)から構成されていることがある。
この種の回路基板付きヒートシンクにおいて、回路基板におけるセラミックス板の熱膨張係数と、ヒートシンクを構成するアルミニウム材の熱膨張係数とは大きく異なっている。そのため、金属板とヒートシンクとの接合が完了した後に被処理物を冷却すると、セラミックス板とヒートシンクとの収縮量に差が生じる。その結果、拡散接合が完了した後の回路基板付きヒートシンクにおいて、セラミックス板に反り及び残留応力が発生する。
また、拡散接合後の回路基板は、拡散層を介してヒートシンクに拘束されている。そのため、例えば半導体素子のはんだ付作業の際や、半導体素子の発熱等により回路基板及びヒートシンクの温度が上昇した際に、セラミックス板の中心付近に引張応力が生じるとともに、セラミックス板に反りが生じる。そして、これらの引張応力や反りが過度に大きい場合には、セラミックス板に割れが発生するおそれがある。
かかる問題を解決するべく、本発明者らにより、ヒートシンク本体のベース板上に、低膨張板、中間板、回路基板の裏面金属層、セラミックス板及び表面金属層が順次積層された積層構造を有する回路基板付きヒートシンクが提案されている(特許文献1)。この回路基板付きヒートシンクにおいては、アルミニウム材や銅材からなる層と、これらの材料よりも低い線膨張係数を有するセラミックス等からなる層とが、積層方向において対称的となるように配置することにより、セラミックス板の反りが低減されている。
特開2017−224748号公報
近年、例えば電気自動車やハイブリッド自動車、電車等の種々の分野において、より高出力の電力変換装置が求められており、電力変換装置の高出力化に伴って半導体素子からの発熱量がますます増大する傾向にある。かかる要求に対応するため、従来の回路基板付きヒートシンクよりも更に冷却性能の高い回路基板付きヒートシンクが強く望まれている。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、高い冷却性能を備え、温度変化に対する耐久性に優れた回路基板付きヒートシンク及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、平板状を呈するベース板を備えたアルミニウム材よりなるヒートシンク本体と、
前記ベース板上に接合された低膨張板と、
アルミニウム材よりなり、前記低膨張板上に接合された中間板と、
前記中間板上に配置された回路基板と、を有しており、
前記回路基板は、
前記中間板上に接合された銅材からなる裏面金属層と、
前記裏面金属層上に積層されたセラミックス板と、
前記セラミックス板上に積層された銅材からなる回路金属層と、を有しており、
前記中間板は、前記裏面金属層の外周端縁よりも、当該中間板の厚みの1.0倍以上外方まで延出しており、
前記低膨張板は、
前記ヒートシンク本体、前記中間板、前記裏面金属層及び前記回路金属層よりも低い線膨張係数を有するとともに、
前記裏面金属層の外周端縁よりも、当該低膨張板の厚みと当該低膨張板上に接合された前記中間板の厚みとの合計の1.0倍以上外方まで延出しており、
前記ベース板と前記低膨張板との接合部、前記低膨張板と前記中間板との接合部及び前記中間板と前記裏面金属層との接合部は、被接合部材を構成する元素を含む拡散層を有している、回路基板付きヒートシンクにある。
前記回路基板付きヒートシンク(以下、「ヒートシンク」と省略する。)は、ベース板上に、低膨張板、中間板、裏面金属層、セラミックス板及び回路金属層が順次積層された積層構造を有している。即ち、前記ヒートシンクにおいては、上述した積層構造における最も外側にアルミニウム材からなるベース板と銅材からなる回路金属層とが配置され、その内側に銅材よりも線膨張係数が低い低膨張板とセラミックス板とが配置されている。そして、低膨張板とセラミックス板との間には、アルミニウム材からなる中間板と銅材からなる裏面金属層とが配置されている。
このように、アルミニウム材や銅材からなる層と、これらの材料よりも低い線膨張係数を有する材料からなる層とを積層方向において対称的に配置することにより、温度が変化した際にセラミックス板に生じる反りと、低膨張板に生じる反りの向きとを相殺することができる。これにより、温度変化によって生じるセラミックス板の反りをより効果的に低減し、温度変化に対する耐久性を向上させることができる。
また、中間板及び低膨張板は、それぞれ、延出量が前記特定の範囲となるように裏面金属層の外周端縁よりも外方に延出している。中間板及び低膨張板を前述のごとく裏面金属層よりも外方まで延出させることにより、回路基板の熱を中間板及び低膨張板に十分に拡散させることができる。その結果、ヒートシンクの冷却性能をより向上させることができる。
以上のように、前記ヒートシンクは、高い冷却性能を備え、温度変化に対する耐久性に優れている。
実施例1における、回路基板付きヒートシンクの上面図である。 実施例1における、回路基板付きヒートシンクの下面図である。 図1のIII−III線矢視断面図である。 図3における、低膨張板の拡大図である。 実施例1の回路基板付きヒートシンクの製造過程において、アルミニウム板に治具を取り付けた状態の側面図である。 実施例2における、ベース板上に複数の低膨張板が配置された回路基板付きヒートシンクの上面図である。 図6のVII−VII線一部矢視断面図である。 実施例3における、同一の中間板上に複数の回路基板が配置された回路基板付きヒートシンクの要部を示す断面図である。 実施例3における、同一の低膨張板上に複数の中間板が配置された回路基板付きヒートシンクの要部を示す断面図である。 図9における、溝の拡大図である。
前記ヒートシンクにおいて、ヒートシンク本体は、平板状を呈するベース板を有している。ベース板上には、拡散層を介して低膨張板が接合されている。
ベース板の板厚は、0.4mm以上であることが好ましく、0.6mm以上であることがより好ましい。この場合には、ベース板の剛性を適度に高め、ヒートシンクの組立作業中や使用中におけるベース板の変形をより低減することができる。その結果、温度変化に対する耐久性をより向上させることができる。
また、ベース板の板厚は1mm以下であることが好ましい。この場合には、ベース板の応力が低下するため、前記ヒートシンクの温度が変化した際に生じるセラミックス板の反りをより低減することができる。その結果、より長期間に亘ってセラミックス板の割れを抑制することができる。
また、ベース板の厚みは、回路金属層の厚みの0.5〜1.5倍であることが好ましい。このように、回路金属層の厚みとベース板の厚みとを同程度にすることにより、セラミックス板に生じる反りと、低膨張板に生じる反りとをより効果的に相殺することができる。その結果、セラミックス板の反りをより効果的に低減することができる。
セラミックス板の反りをより効果的に低減するためには、ベース板の厚みを回路金属層の厚みに近付けることが好ましい。かかる観点からは、ベース板の厚みを回路金属層の厚みの0.5〜1.3倍とすることがより好ましく、0.5〜1.2倍とすることがさらに好ましい。
ベース板における低膨張板が接合された面の背面には、多数のピンフィンが立設されていてもよい。
ピンフィンの形状は特に限定されるものではない。例えば、ピンフィンは、円柱状を呈していてもよいし、四角柱状を呈していてもよい。なお、前述した「円柱状」には、ベース板の板面に平行な断面における断面形状が円形を呈する柱状、楕円形を呈する柱状及び長円形を呈する柱状が含まれる。また、「四角柱状」には、前述した断面における断面形状が正方形を呈する柱状、長方形を呈する柱状、ひし形を呈する柱状、平行四辺形を呈する柱状等が含まれる。
ピンフィンは、四角柱状を呈していることが好ましい。この場合には、ヒートシンク本体を作製する際に、ヒートシンク本体となるアルミニウム塊に、切削パスが直線となるように切削加工を施すことにより、多数のピンフィンを効率よく形成することができる。それ故、ヒートシンク本体の生産性をより向上させることができる。
ピンフィン同士の間隔は、0.5〜2.0mmであることが好ましい。ピンフィン同士の間隔を0.5mm以上とすることにより、ピンフィンの切削加工をより効率的に行うことができる。また、ピンフィン同士の間隔を2.0mm以下とすることにより、ヒートシンクの冷却性能をより向上させることができる。
また、ヒートシンク本体は、さらに、ベース板の外周端縁に設けられ、低膨張板の周囲に配置された外枠部を有していてもよい。外枠部はベース板に比べて板厚が厚いため、外枠部を設けることにより、ヒートシンク本体の剛性をより高くすることができる。その結果、ヒートシンク本体の変形をより効果的に抑制することができる。また、例えば、ヒートシンク本体を切削加工によって作製する場合には、切削加工中のヒートシンク本体の変形を抑制し、寸法精度をより向上させることができる。
外枠部の厚みは特に限定されることはない。外枠部の厚みがベース板の厚みよりも厚ければ、前述した作用効果を奏することができる。
また、外枠部は、その厚み方向に貫通した貫通孔を有していてもよい。前述したように、外枠部は、ベース板よりも厚いため、高い剛性を有している。そのため、外枠部に貫通孔を設けることにより、貫通孔の寸法精度をより向上させることができる。このようにして形成された貫通孔は、例えば、ボルト等の締結部材により前記ヒートシンクを冷却ジャケットや筐体などに取り付ける際に、締結部材を挿入するための孔として使用することができる。
ヒートシンク本体は、耐力25MPa以上、ヤング率706Pa以下のアルミニウム材から構成されている。例えば、ヒートシンク本体は、6000系アルミニウム合金から構成されていてもよい。6000系アルミニウム合金は高いクリープ強さを有している。そのため、この場合には、ヒートシンク本体のクリープ変形をより抑制することができる。その結果、温度変化に対する耐久性をより向上させることができる。
低膨張板は、拡散層を介してベース板に接合されている。低膨張板の厚みは、セラミックス板の厚みの1.0〜3.5倍であることが好ましい。このように、セラミックス板の厚みと低膨張板の厚みとを同程度にすることにより、セラミックス板に生じる反りと、前記低膨張板に生じる反りとをより効果的に相殺することができる。その結果、前記セラミックス板の反りを効果的に低減することができる。
セラミックス板の反りをより効果的に低減するためには、低膨張板の厚みをセラミックス板の厚みに近付けることが好ましい。かかる観点からは、低膨張板の厚みをセラミックス板の厚みの1.5〜3.5倍とすることがより好ましく、2.0〜3.3倍とすることがさらに好ましく、2.4〜3.2倍とすることが特に好ましい。
低膨張板及びセラミックス板の線膨張係数は、2〜10ppm/Kであることが好ましい。この場合には、回路基板のセラミックス板と同程度の線膨張係数となるため、セラミックス板に生じる反りと、低膨張板に生じる反りとを効果的に相殺することができる。その結果、セラミックス板の反りを効果的に低減し、セラミックス板の割れを長期間に亘って抑制することができる。セラミックス板の割れをより長期間に亘って抑制する観点からは、低膨張板及びセラミックス板の線膨張係数を2〜9ppm/Kとすることがより好ましく、3〜8ppm/Kとすることがさらに好ましい。
前記特定の範囲の線膨張係数を有する材料としては、例えば、タングステン(W)、タングステン合金、モリブデン(Mo)、モリブデン合金、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)36%合金等の金属;タングステンやモリブデン等の線膨張係数の低い金属層と銅層とが積層された積層材料;ダイヤモンド分散複合銅材料やセラミック分散銅材料等の複合材料を採用することができる。
低膨張板は、複数の金属層が積層された多層構造を有していることが好ましい。この場合には、ベース板または中間板に接合される板面にアルミニウム材と容易に拡散接合が可能な金属層を配置することができる。それ故、低膨張板による反りの低減効果を得つつ、ベース板及び中間板との拡散接合をより容易に行うことができる。
低膨張板は、銅または銅合金よりなり、ベース板に接合された裏面Cu層と、モリブデンまたはモリブデン合金よりなり、裏面Cu層上に積層されたMo層と、銅または銅合金よりなり、Mo層上に積層されるとともに中間板に接合された表面Cu層と、を備えた多層構造を有していることが好ましい。
Mo層は、比較的線膨張係数の低いモリブデンまたはモリブデン合金から構成されているため、低膨張板全体の線膨張係数を小さくすることができる。また、裏面Cu層及び表面Cu層は、熱伝導率の高い銅または銅合金から構成されているため、これらの層を設けない場合に比べて低膨張板の熱伝導性をより向上させることができる。それ故、前記特定の積層構造を有する低膨張板を使用することにより、低膨張板による反りの低減効果を得つつ、ヒートシンクの冷却性能をより向上させることできる。
前記の多層構造を有する低膨張板を使用する場合には、裏面Cu層の厚みは表面Cu層の厚みよりも薄いことが好ましい。この場合には、裏面Cu層の厚みが表面Cu層の厚み以上である場合に比べて、中間板から伝わった熱をより広範囲に拡散させることができる。その結果、ヒートシンクの冷却性能をより向上させることができる。
また、低膨張板の線膨張係数は、セラミックス板の線膨張係数の0.85〜2.3倍であることがさらに好ましい。この場合には、接合時及び接合後にセラミックス板に生じる応力や反りをより効果的に相殺することができる。その結果、セラミックス板の割れをより長期間に亘って抑制することができる。
セラミックス板の反りをより効果的に低減するためには、低膨張板の線膨張係数をセラミックス板の線膨張係数に近付けることが好ましい。かかる観点からは、低膨張板の線膨張係数をセラミックス板の線膨張係数の1.0〜1.75倍とすることがより好ましく、1.1〜1.5倍とすることがさらに好ましく、1.2〜1.3倍とすることが特に好ましい。
低膨張板の形状は、種々の態様を採り得る。例えば、低膨張板は、正方形状あるいは長方形状を呈していてもよい。この場合、低膨張板の厚み方向から視た平面視において、低膨張板の外周端縁における角部が円弧状を呈するように、角部を丸めることもできる。この場合には、接合時及び接合後に生じるセラミックス板の角部への応力集中をより効果的に緩和することができる。その結果、セラミックス板の割れをより長期間に亘って抑制することができる。
中間板は、拡散層を介して低膨張板に接合されている。中間板は、例えば、純度99.0〜99.85%のアルミニウムから構成されていてもよい。低膨張板の純度を99.0%以上とすることにより、中間板の熱伝導率をより高くすることができる。その結果、前記ヒートシンクの冷却性能をより向上させることができる。一方、低膨張板の純度が過度に高くなると、材料コストの増大を招く。低膨張板の純度を99.85%以下とすることにより、材料コストの増大を回避することができる。
また、中間板は、6000系アルミニウム合金から構成されていてもよい。6000系アルミニウム合金は、高いクリープ強さを有している。そのため、この場合には、セラミックス基板から受ける応力による中間板のクリープ変形をより効果的に抑制することができる。その結果、前記ヒートシンクの形状の変化をより効果的に抑制することができ、ひいては前記ヒートシンクの信頼性をより向上させることができる。
中間板上には回路基板が配置されている。回路基板は、回路金属層、セラミックス板及び裏面金属層が順次積層された3層構造を有している。裏面金属層は、拡散層を介して中間板に接合されている。回路金属層及び裏面金属層としては、公知の銅または銅合金から構成された板材を採用することができる。
回路金属層の厚みと裏面金属層の厚みとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。回路金属層の厚み及び裏面金属層の厚みは、0.1〜1.0mmの範囲内であることが好ましい。これらの厚みを0.1mm以上とすることにより、回路基板に搭載された発熱体の熱を効率よく拡散することができる。その結果、ヒートシンクの冷却性能をより向上させることができる。一方、これらの厚みが過度に厚い場合には、寸法精度の低下を招くおそれがある。寸法精度の低下を回避する観点から、回路金属層の厚み及び裏面金属層の厚みは1.0mm以下であることが好ましい。
セラミックス板は、2〜10ppm/Kの線膨張係数を有するセラミックス材料から構成されている。セラミックス板の材質としては、具体的には、アルミナ等の酸化物系セラミックスや、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物系セラミックスを採用することができる。
前記ヒートシンクにおいて、中間板は、裏面金属層の外周端縁よりも、当該中間板の厚みの1.0倍以上外方まで延出している。また、低膨張板は、裏面金属層の外周端縁よりも、当該低膨張板の厚みと当該低膨張板上に接合された中間板の厚みとの合計の1.0倍以上外方まで延出している。
前記ヒートシンクの回路金属層に半導体素子等の発熱体を搭載し、この発熱体を発熱させた場合、発熱体の熱は、ヒートシンクを構成する各層の厚み方向と、厚み方向に直交する面内方向との両方に等方的に拡散する。換言すると、発熱体からヒートシンクの各層に伝わった熱は、各層における回路基板側の表面からの深さと、面内方向へ広がる幅とが少なくとも同程度となるように拡散する。
そのため、中間板を前述のごとく裏面金属層の外周端縁よりも外方に延出させることにより、発熱体から裏面金属層を介して中間板に伝わった熱を、中間板の面内方向に十分に拡散させることができる。同様に、低膨張板を前述のごとく裏面金属層の外周端縁よりも外方に延出させることにより、発熱体から裏面金属層及び中間板を介して低膨張板に伝わった熱を、低膨張板の面内方向に十分に拡散させることができる。これらの結果、ヒートシンクの冷却性能をより向上させることができる。
前記ヒートシンクにおいて、低膨張板の枚数は、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。例えば、前記ヒートシンクは、ベース板上に互いに間隔をあけて配置された複数の低膨張板と、各低膨張板上に配置された中間板及び回路基板と、を有していてもよい。この場合には、同一の低膨張板上に中間板及び回路基板が配置されている場合に比べて、温度が変化した際に各回路基板に加わる応力を更に低減することができる。そのため、温度変化に対する耐久性を更に向上させることができる。
前記の場合において、ベース板は、隣り合う低膨張板の間に突出した位置決め凸部を有していてもよい。この場合には、前記ヒートシンクの組立作業において、位置決め凸部に合わせて低膨張板を配置し、低膨張板の位置決めを容易に行うことができる。その結果、前記ヒートシンクの組立作業をより容易におこなうことができる。
また、回路基板の枚数は1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。例えば、前記ヒートシンクは、同一の前記中間板上に互いに間隔をあけて配置された複数の前記回路基板を有していてもよい。この場合には、中間板上に1枚の回路基板が配置されている場合に比べて、温度が変化した際に各回路基板に加わる応力をより低減することができる。
また、同一の中間板上に複数の回路基板を配置することにより、複数の低膨張板のそれぞれに中間板及び回路基板が配置されている構成に比べて回路基板同士の間隔を狭くすることができる。つまり、複数の低膨張板のそれぞれに中間板及び回路基板が配置されている構成においては、各中間板を裏面金属層の外周端縁よりも外方まで延出させる必要があるため、隣り合う回路基板の間隔が比較的広くなりやすい。
これに対し、同一の中間板上に複数の回路基板を配置することにより、中間板の延出量を確保しつつ回路基板同士の間隔を狭くすることができる。そのため、中間板及び低膨張板の面積の増大を抑制し、ひいてはヒートシンクの大型化を抑制することができる。
また、中間板の枚数は、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。例えば、前記ヒートシンクは、同一の前記低膨張板上に互いに間隔をあけて配置された複数の前記中間板と、前記各中間板上に配置された前記回路基板と、を有していてもよい。この場合には、温度が変化した際に各回路基板に加わる応力が、前述した同一の中間板上に複数の回路基板が配置されている構成と、複数の低膨張板のそれぞれに中間板及び回路基板が配置されている構成との中間程度となる。
また、この場合には、低膨張板の面積の増大量も、前述した2種の構成の中間程度となる。従って、この場合には、ヒートシンクの大型化を抑制する効果と、温度変化に対する耐久性を向上させる効果とを両立することができる。
前記の場合において、低膨張板は、隣り合う中間板の間に溝を有していることが好ましい。この場合には、低膨張板の剛性が適度に低くなるため、温度が変化した際に各回路基板に加わる応力をより低減することができる。その結果、ヒートシンクの温度変化に対する耐久性を更に向上させることができる。
前記ヒートシンクは、例えば、以下の方法により作製することができる。まず、ヒートシンク本体となるアルミニウム板と、低膨張板と、中間板と、回路基板とを準備する。アルミニウム板は、平板状であってもよいし、切削加工等によって、予め上述した外枠部が設けられていてもよい。
アルミニウム板は、7mm以上の厚みを有していることが好ましい。この場合には、アルミニウム板が十分に高い曲げ剛性を有しているため、拡散接合が完了した後にアルミニウム板や回路基板に生じる反りをより低減することができる。その結果、拡散接合後におけるセラミックス板の割れの発生をより効果的に抑制することができる。
上述した各部品を準備した後、アルミニウム板、低膨張板、中間板及び裏面金属層の表面に存在する自然酸化膜を除去する表面処理を行う。表面処理としては、例えば、これらの表面を酸により洗浄する方法を適用することができる。自然酸化膜を除去することにより、後の拡散接合の工程において、前記拡散層を容易に形成することができる。
上述の表面処理を行った後、各部品を順次重ね合わせて被処理物を組み立てる。その後、回路基板をアルミニウム板側に押圧しつつ被処理物を加熱して拡散接合を行う。前記被処理物を真空中において加熱すると、被接合部材同士が当接している部分において、各部材を構成する原子が相互に拡散する。
この相互拡散により、アルミニウム板と低膨張板との間に、被接合部材を構成する元素、即ち、アルミニウム板を構成する元素と低膨張板を構成する元素との両方を含む拡散層が形成される。また、低膨張板と中間板との間及び中間板と裏面金属層との間にも、前記と同様に、被接合部材を構成する元素を含む拡散層が形成される。以上の結果、拡散接合が完了した状態においては、拡散層を介して隣り合う被接合部材が接合される。
拡散接合における加熱条件は、被接合部材の材質等に応じて公知の条件から適宜選択することができる。例えば、銅材とアルミニウム材との拡散接合を行う場合には、加熱時の真空度を10-1Pa以下、加熱温度を400〜545℃、保持時間を0.5〜6時間とすることができる。
また、前記ヒートシンクの製造に当たっては、アルミニウム板と低膨張板との間、低膨張板と中間板との間または中間板と裏面金属層との間に、必要に応じてインサート金属を介在させ、インサート金属を介して各部品の拡散接合を行ってもよい。この場合には、拡散接合の際に、被接合部材とインサート金属との当接部において、両者を構成する原子が相互に拡散する。
そのため、拡散接合後にインサート金属が残存している場合には、被接合部材とインサート金属との間に、被接合部材を構成する元素とインサート金属を構成する元素との両方を含む拡散層が形成される。また、拡散接合後にインサート金属が消失している場合には、隣り合う被接合部材の間に、被接合部材を構成する元素とインサート金属を構成する元素との両方を含む拡散層が形成される。以上の結果、拡散接合が完了した状態において、拡散層を介して前記各部品が接合される。
インサート金属としては、例えば、金、銀、銅またはチタンなどを用いることができる。これらのインサート金属は、コールドスプレー、イオンプレーティング、真空蒸着またはスパッタリング等により前記各部材の表面に形成してもよく、インサート金属の箔を各部材の間に挟み込んでもよい。インサート金属の厚みは、例えば、0.1〜1.0μmとすることができる。
上述したように拡散接合を行った後、必要に応じてアルミニウム板に切削加工を施してもよい。例えば、アルミニウム板の外枠部に穴開け加工を施すことにより、貫通穴を形成することができる。この場合には、拡散接合前に穴開け加工を施す場合に比べて貫通孔の寸法精度を向上させることができる。
また、アルミニウム板における低膨張板が接合された面の背面に切削加工を施すことにより、ピンフィンを形成することができる。
アルミニウム板の切削加工に当たっては、拡散接合の後に、アルミニウム板における回路基板側の面にアルミニウム板の反りを抑制する治具を取り付け、治具が取り付けられた状態で切削加工を行うことが好ましい。
切削加工の進行に伴ってアルミニウム板の厚みが薄くなると、アルミニウム板の剛性が低下する。そのため、加工開始からしばらくの間は、加工の進行に伴ってアルミニウム板の反りが大きくなる。さらに加工を進めると、アルミニウム板の応力が低下するため、反りが減少する。
これに対し、上述したように、アルミニウム板に治具を取り付けた状態で切削加工を行うことにより、切削加工を開始してから完了するまでの間、アルミニウム板の反りの増大を抑制することができる。その結果、切削加工の途中段階におけるセラミックス板の割れをより効果的に抑制することができる。
(実施例1)
上記回路基板付きヒートシンクの実施例を、以下に説明する。本例のヒートシンク1は、図3に示すように、ヒートシンク本体2と、低膨張板3と、中間板4と、回路基板5とを有している。ヒートシンク本体2は、平板状を呈するベース板21を有しており、アルミニウム材から構成されている。低膨張板3はベース板21上に接合されている。中間板4は、アルミニウム材から構成されており、低膨張板3上に接合されている。
回路基板5は、中間板4上に配置されている。また、回路基板5は、銅材からなり、中間板4上に接合された裏面金属層51と、裏面金属層51上に積層されたセラミックス板52と、銅材からなり、セラミックス板52上に積層された回路金属層53とを有している。図3に示すように、中間板4は、裏面金属層51の外周端縁511よりも、中間板4の厚みの1.0倍以上外方まで延出している。
低膨張板3は、ヒートシンク本体2、中間板4、裏面金属層51及び表面金属層53よりも低い線膨張係数を有している。また、低膨張板3は、裏面金属層51の外周端縁511よりも、低膨張板3の厚みと当該低膨張板3上に接合された中間板4の厚みとの合計の1.0倍以上外方まで延出している。ベース板21と低膨張板3との接合部、低膨張板3と中間板4との接合部及び中間板4と裏面金属層51との接合部は、被接合部材を構成する元素を含む拡散層30、40、50を有している。
以下、本例のヒートシンク1を詳説する。図1〜図3に示すように、本例のヒートシンク本体2は、平板状を呈するベース板21を有している。図1に示すように、ヒートシンク本体2は、ベース板21の表側面211、つまり、低膨張板3が接合されている側から視た平面視において長方形状を呈している。本例のヒートシンク本体2におけるベース板21の厚みは0.4mmである。
図2及び図3に示すように、ベース板21の裏側面212、つまり、低膨張板3が接合された面の背面には、四角柱状を呈する多数のピンフィン22が立設されている。図2に示すように、各ピンフィン22の側面221は、隣り合うピンフィン22の側面221と対面している。
図3に示すように、ベース板21の表側面211上には、低膨張板3が配置されている。低膨張板3は、裏面金属層51の外周端縁511よりも外方まで延出している。裏面金属層51の外周端縁511を基準とした場合の低膨張板3の延出量、つまり、低膨張板3の板面に沿う方向における裏面金属層51の外周端縁511から低膨張板3の外周端縁311までの距離Dは、低膨張板3の厚みと中間板4の厚みとの合計の1.0倍以上である。
図4に示すように、本例の低膨張板3は、銅よりなり、ベース板21に接合された裏面Cu層31と、モリブデンよりなり、裏面Cu層31上に積層されたMo層32と、銅よりなり、Mo層32上に積層されるとともに中間板に接合された表面Cu層33と、を備えた3層構造を有している。ベース板21と裏面Cu層31との間には拡散層30が介在しており、拡散層30によってベース板21と低膨張板3とが接合されている。拡散層30には、ベース板21から拡散したアルミニウムと、裏面Cu層31から拡散した銅とが含まれている。
本例の低膨張板3における裏面Cu層31の厚みは0.1mmであり、Mo層32の厚みは0.8mmであり、表面Cu層33の厚みは0.3mmである。なお、図3においては、便宜上、低膨張板3を簡略化して記載した。本例の低膨張板3の典型的な線膨張係数は5ppm/Kであり、ヒートシンク本体2及び中間板4を構成するアルミニウム材の典型的な線膨張係数(約23ppm/K)及び裏面金属層51及び表面金属層53を構成する銅材の典型的な線膨張係数(16〜17ppm/K)よりも低い線膨張係数を有する。
図3に示すように、低膨張板3上には、中間板4が配置されている。中間板4は、裏面金属層51の外周端縁511よりも外方まで延出している。裏面金属層51の外周端縁511を基準とした場合の中間板4の延出量、つまり、中間板4の板面に沿う方向における裏面金属層51の外周端縁511から中間板4の外周端縁411までの距離Dは、中間板4の厚みの1.0倍以上である。なお、本例における中間板4の延出量は、前述した低膨張板3の延出量と同一である。
本例の中間板4は、JIS A1050合金からなる厚み0.5mmのアルミニウム板である。低膨張板3の表面Cu層33と中間板4との間には拡散層40が介在しており、拡散層40によって低膨張板3と中間板4とが接合されている。拡散層40には、表面Cu層33から拡散した銅と、中間板4から拡散したアルミニウムとが含まれている。
中間板4上には、回路基板5の裏面金属層51が配置されている。本例の回路基板5は、銅材からなる厚み0.7mmの裏面金属層51、窒化ケイ素からなる厚み0.32mmのセラミックス板52及び銅材からなる厚み0.7mmの回路金属層53が順次積層された3層構造を有している。中間板4と裏面金属層51との間には拡散層50が介在しており、拡散層50を介して中間板4と回路基板5とが接合されている。拡散層50には、中間板4から拡散したアルミニウムと、裏面金属層51から拡散した銅とが含まれている。
本例のヒートシンク1は、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、アルミニウム板200(図5参照)と、低膨張板3と、中間板4と、回路基板5とを準備する。本例のアルミニウム板200は、縦110mm、横90mmの長方形状を呈しており、7mm以上の厚みを有している。また、図には示さないが、アルミニウム板200の角部には、予めネジ穴が設けられている。このネジ穴は、後述する治具6の取り付けのために用いられる。
アルミニウム板200、低膨張板3、中間板4及び裏面金属層51の表面に存在する自然酸化膜を除去する表面処理を行った後、アルミニウム板200上に、低膨張板3、中間板4、回路基板5をこの順に載置して図5に示す被処理物100を組み立てる。そして、回路基板5をアルミニウム板200側に押圧しつつ被処理物100を加熱して、拡散接合により一括して拡散層30、40、50を形成する。
次に、アルミニウム板200における回路基板5を有する側の面に、アルミニウム板200の反りを抑制する治具6を取り付ける。本例の治具6は、平面視において長方形状を呈する支持板61と、支持板61の角部に立設された締結部62とを有している。締結部62は筒状を呈しており、筒内にボルト63の軸部を挿通することができるように構成されている。
治具6を被処理物100に取り付けるに当たっては、各締結部62をアルミニウム板200の角部に当接させ、締結部62内にボルト63を挿入する。そして、ボルト63の先端を予めアルミニウム板200に設けられたネジ穴(図示略)内に固定する。これにより、治具6を被処理物100に取り付けることができる。
その後、アルミニウム板200に切削加工を施してヒートシンク本体2を形成し、治具6を取り外す。そして、ネジ穴の内周面に切削加工を施し、貫通穴213(図1参照)を形成する。以上により、ヒートシンク1を得ることができる。
次に、本例のヒートシンク1の作用効果を説明する。ヒートシンク1は、ベース板21上に、低膨張板3、中間板4、回路基板5が上記特定の順序で積層された積層構造を有している。これにより、温度変化によって生じる低膨張板3の反りとセラミックス板52の反りとを相殺することができる。
また、中間板4及び低膨張板3は、それぞれ、裏面金属層51の外周端縁511よりも外方に延出している。裏面金属層51の外周端縁511からの中間板4の延出量及び低膨張板3の延出量は、それぞれ、前記特定の範囲内である。これにより、中間板4及び低膨張板3のそれぞれにおいて、発熱体から裏面金属層51を介して伝わった熱を、中間板4及び低膨張板3の厚み方向だけではなく面内方向にも十分に拡散させることができる。その結果、ヒートシンクの冷却性能1をより向上させることができる。
本例の低膨張板3は、裏面Cu層31と、裏面Cu層31上に積層されたMo層32と、Mo層32上に積層された表面Cu層33とを備えた3層構造を有している。裏面Cu層31及び表面Cu層33を構成する銅材は、ベース板21及び中間板4を構成するアルミニウム材との拡散接合が容易である。そのため、本例の低膨張板3は、反りの低減効果を得つつ、ベース板21及び中間板4との拡散接合をより容易に行うことができる。
また、裏面Cu層31の厚みは表面Cu層33の厚みよりも薄い。そのため、裏面Cu層31の厚みが表面Cu層33の厚み以上である場合に比べて、中間板4から伝わった熱をより広範囲に拡散させることができる。その結果、ヒートシンク1の冷却性能をより向上させることができる。
以上のように、ヒートシンク1は、高い冷却性能を備え、温度変化に対する耐久性に優れている。
また、本例の製造方法においては、アルミニウム板200と、低膨張板3と、中間板4と、回路基板5とを拡散接合によって一括して接合した後、アルミニウム板200に切削加工を施すことにより、ヒートシンク本体2が形成されている。それ故、所望の形状のピンフィン22を確実に得ることができる。また、アルミニウム板200に切削加工を施すことにより、特定の形状を備えたピンフィン22を容易に形成することができる。それ故、本例の製造方法によれば、優れた冷却性能を有するヒートシンク1を容易に得ることができる。
また、アルミニウム板200は、7mm以上の厚みを有している。そのため、アルミニウム板200が備える高い曲げ剛性により、拡散接合が完了した後にアルミニウム板200や回路基板5に生じる反りをより低減することができる。その結果、拡散接合後におけるセラミックス板52の割れの発生をより効果的に抑制することができる。
また、拡散接合の後に、アルミニウム板200における回路基板5側の面にアルミニウム板200の反りを抑制する治具6を取り付け、治具6が取り付けられた状態で切削加工が実施されている。これにより、切削加工を開始してから完了するまでの間、アルミニウム板200の反りの増大を抑制することができる。その結果、切削加工の途中段階におけるセラミックス板52の割れをより効果的に抑制することができる。
(実施例2)
本例は、図6及び図7に示すように、ベース板24上に複数の低膨張板302(302a、302b、302c)が配置された回路基板付きヒートシンク102の例である。なお、本例以降において用いられる符号のうち、既出の例において用いた符号と同一のものは、特に説明のない限り既出の例における構成要素等と同一の構成要素等を示す。
本例のヒートシンク102は、アルミニウム材からなるヒートシンク本体202を有している。ヒートシンク本体202は、図6及び図7に示すように、ベース板24と、ピンフィン22と、ベース板24の外周縁部に立設された外枠部23とを有している。図6に示すように、ヒートシンク本体202は、ベース板24の表側面241側から視た平面視において長方形状を呈している。
外枠部23は、その厚み方向に貫通した貫通孔231を有している。図7に示すように、ベース板24における外枠部23の内側には、3枚の低膨張板302が配置されている。3枚の低膨張板302は、図6に示すように、ベース板24の短辺方向に沿って互いに間隔をあけて並んでいる。図7に示すように、隣り合う低膨張板302の間には、ベース板24の表側面241から突出した位置決め凸部242が配置されている。
以降においては、便宜上、図6及び図7における左側に配置された低膨張板302を第1低膨張板302a、中央に配置された低膨張板302を第2低膨張板302b、右側に配置された低膨張板302を第3低膨張板302cという。
図7に示すように、各低膨張板302の表面Cu層33上には、アルミニウム材からなる中間板402が配置されている。以降においては、便宜上、図6及び図7における左側に配置された中間板402を第1中間板402a、中央に配置された中間板402を第2中間板402b、右側に配置された中間板402を第3中間板402cという。
各中間板402上には、3枚の回路基板502が配置されている。これらの回路基板502は、ベース板24の長辺方向に沿って互いに間隔をあけて並んでいる。各回路基板502は、中間板402に接合された裏面金属層51と、裏面金属層51上に積層されたセラミックス板52と、セラミックス板52上に積層された2枚の回路金属層53とを有している。2枚の回路金属層53は、図6に示すように、ベース板24の短辺方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている。
以降においては、便宜上、図6及び図7における左側に配置された回路基板502を第1回路基板502a、中央に配置された回路基板502を第2回路基板502b、右側に配置された回路基板502を第3回路基板502cという。
第1中間板402aは、第1回路基板502aにおける裏面金属層51aの外周端縁511aからの延出量が第1中間板402aの厚みの1.0倍以上となるように配置されている。第2中間板402b及び第3中間板402cも、第1中間板402aと同様に、各中間板402b、402c上に配置された回路基板502b、502cにおける外周端縁511b、511cからの延出量が当該中間板402b、402cの厚みの1.0倍以上となるように配置されている。
また、第1低膨張板302aは、第1回路基板502aにおける裏面金属層51aの外周端縁511aからの延出量が第1中間板402aの厚みと第1低膨張板302aの厚みとの合計の1.0倍以上となるように配置されている。第2低膨張板302b及び第3低膨張板302cも、第1低膨張板302aと同様に、各低膨張板302b、302c上に配置された回路基板502b、502cにおける外周端縁511b、511cからの延出量が、当該低膨張板302b、302cの厚みと中間板402b、402cの厚みとの合計の1.0倍以上となるように配置されている。その他は実施例1と同様である。
本例のヒートシンク102は、同一のベース板24上に互いに間隔をあけて配置された複数の低膨張板302と、各低膨張板302上に配置された中間板402及び回路基板502と、を有している。このように、ベース板24上に低膨張板302を分割して配置することにより、同一の低膨張板3上に中間板4及び回路基板5が配置されている場合に比べて、温度が変化した際に各回路基板502に加わる応力を更に低減することができる。そのため、ヒートシンク102の温度変化に対する耐久性を更に向上させることができる。
ヒートシンク本体202は、ベース板24の外周端縁に設けられ、低膨張板302の周囲に配置された外枠部23を有している。外枠部23はベース板24に比べて板厚が厚いため、外枠部23を設けることにより、ヒートシンク本体202の剛性をより高くすることができる。その結果、ヒートシンク本体202の変形をより効果的に抑制することができる。また、例えば、ヒートシンク本体202を切削加工によって作製する場合には、切削加工中のヒートシンク本体202の変形を抑制し、寸法精度をより向上させることができる。
また、外枠部23は、その厚み方向に貫通した貫通孔231を有している。外枠部23に貫通孔231を設けることにより、貫通孔231の寸法精度をより向上させることができる。このようにして形成された貫通孔231は、例えば、ボルト等の締結部材によりヒートシンク102を冷却ジャケットや筐体などに取り付ける際に、締結部材を挿入するための孔として使用することができる。
また、本例のベース板24は、隣り合う低膨張板302の間に突出した位置決め凸部242を有している。そのため、ヒートシンク102の組立作業において、位置決め凸部242に合わせて低膨張板302を配置し、低膨張板302の位置決めを容易に行うことができる。その結果、ヒートシンク102の組立作業をより容易におこなうことができる。その他、本例のヒートシンク102は、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
(実施例3)
本例は、同一の中間板4上に複数の回路基板502(502a、502b、502c)が配置されたヒートシンク103の例である。本例のヒートシンク103は、アルミニウム材からなるヒートシンク本体203を有している。ヒートシンク本体203は、図8に示すように、ベース板21と、ピンフィン22と、外枠部23とを有している。図には示さないが、ヒートシンク本体203は、ベース板21の表側面211側から視た平面視において長方形状を呈している。
ベース板21の表側面211上には、低膨張板3及び中間板4が順次積層されている。中間板4上には、3枚の回路基板502(第1回路基板502a〜第3回路基板502c)が配置されている。これらの回路基板502は、ベース板21の長辺方向に沿って互いに間隔をあけて並んでいる。
本例の中間板4は、第1回路基板502aにおける裏面金属層51aの外周端縁511a、第2回路基板502bにおける裏面金属層51bの外周端縁511b及び第3回路基板502cにおける裏面金属層51cの外周端縁511cのうちいずれの外周端縁511を基準とした場合にも、基準とした外周端縁511からの延出量が中間板4の厚みの1.0倍以上となるように配置されている。
同様に、本例の低膨張板3は、3枚の回路基板502のうちいずれの回路基板502の裏面金属層51の外周端縁511を基準とした場合にも、基準とした外周端縁511からの延出量が中間板4の厚みと低膨張板3の厚みとの合計の1.0倍以上となるように配置されている。
本例のヒートシンク103は、同一の中間板4上に互いに間隔をあけて配置された複数の回路基板502を有している。そのため、中間板4上に1枚の回路基板5が配置されている構成(つまり、実施例1の構成)に比べて、温度が変化した際に各回路基板502に加わる応力をより低減することができる。
また、同一の中間板4上に複数の回路基板502を配置することにより、複数の低膨張板302のそれぞれに中間板402及び回路基板502が配置されている構成(つまり、実施例2の構成)に比べて回路基板502同士の間隔を狭くすることができる。そのため、中間板4及び低膨張板3の面積の増大を抑制し、ひいてはヒートシンク103の大型化を抑制することができる。その他、本例のヒートシンク103は、実施例2と同様の作用効果を奏することができる。
(実施例4)
本例は、同一の低膨張板304上に複数の中間板402が配置されたヒートシンク104の例である。図9に示すように、本例のヒートシンク104におけるヒートシンク本体203は、ベース板21と、ピンフィン22と、外枠部23とを有している。ベース板21の表側面211上には、低膨張板304が接合されている。
本例の低膨張板304は、図10に示すように、ベース板21に接合された裏面Cu層31と、裏面Cu層31上に積層されたMo層32と、Mo層32上に積層された表面Cu層33とを備えた3層構造を有している。また、低膨張板304は、図9に示すように、ベース板21の短手方向に延設された2本の溝34を有している。図10に示すように、溝34の底はMo層32内まで到達している。表面Cu層33は、図9に示すように、これら2本の溝34によって、ベース板21の長手方向に3等分されている。
各表面Cu層33上には、中間板402(第1中間板402a〜第3中間板402c)が接合されている。また、各中間板402上には、回路基板502(第1回路基板502a〜第3回路基板502c)が接合されている。
第1中間板402aは、第1回路基板502aにおける裏面金属層51aの外周端縁511aからの延出量が第1中間板402aの厚みの1.0倍以上となるように配置されている。第2中間板402b及び第3中間板402cも、第1中間板402aと同様に、各中間板402b、402c上に配置された回路基板502b、502cにおける外周端縁511b、511cからの延出量が当該中間板402b、402cの厚みの1.0倍以上となるように配置されている。
低膨張板304は、3枚の回路基板502のうちいずれの回路基板502の裏面金属層51の外周端縁511を基準とした場合にも、基準とした外周端縁511からの延出量が中間板402の厚みと低膨張板3の厚みとの合計の1.0倍以上となるように配置されている。
つまり、低膨張板304の板面に沿う方向における、第1回路基板502aの裏面金属層51aの外周端縁511aから低膨張板304の外周端縁311までの距離は、第1中間板402aの厚みと低膨張板304の厚みとの合計の1.0倍以上である。同様に、低膨張板304の板面に沿う方向における、第2回路基板502bの裏面金属層51aの外周端縁511bから低膨張板304の外周端縁311までの距離は、第2中間板402bの厚みと低膨張板304の厚みとの合計の1.0倍以上であり、第3回路基板502cの裏面金属層51cの外周端縁511cから低膨張板304の外周端縁311までの距離は、第3中間板402cの厚みと低膨張板304の厚みとの合計の1.0倍以上である。
本例のヒートシンク104のように、同一の低膨張板304上に複数の中間板402と、回路基板502とを配置する場合には、温度が変化した際に各回路基板502に加わる応力が、同一の中間板4上に複数の回路基板502が配置されている構成(つまり、実施例3の構成)と、複数の低膨張板302のそれぞれに中間板402及び回路基板502が配置されている構成(つまり、実施例2の構成)との中間程度となる。
また、この場合には、低膨張板304の面積も、前述した2種の構成の中間程度となる。従って、本例のヒートシンク104によれば、ヒートシンク104の大型化を抑制する効果と、温度変化に対する耐久性を向上させる効果とを両立することができる。
本例の低膨張板304は、隣り合う中間板402の間に溝34を有している。そのため、低膨張板304の剛性を適度に低減し、温度が変化した際に各回路基板502に加わる応力をより低減することができる。その結果、ヒートシンク104の温度変化に対する耐久性を更に向上させることができる。その他、本例のヒートシンク104は、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
本発明に係る回路基板付きヒートシンク及びその製造方法の具体的な態様は、実施例の態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更することができる。例えば、実施例3においては、隣り合う低膨張板302の間に位置決め凸部242を有するベース板24の例を示したが、ベース板24に替えて位置決め凸部242を有しないベース板21を採用してもよい。実施例4においては、隣り合う中間板402の間に溝34を有する低膨張板304の例を示したが、低膨張板304に替えて溝34を有しない低膨張板3を採用してもよい。
1、102、103、104 回路基板付きヒートシンク
2、202、203 ヒートシンク本体
21、24 ベース板
3、302、304 低膨張板
4、402 中間板
5、502 回路基板
51 裏面金属層
511 外周端縁
52 セラミックス板
53 回路金属層
30、40、50 拡散層

Claims (11)

  1. 平板状を呈するベース板を備えたアルミニウム材よりなるヒートシンク本体と、
    前記ベース板上に接合された低膨張板と、
    アルミニウム材よりなり、前記低膨張板上に接合された中間板と、
    前記中間板上に配置された回路基板と、を有しており、
    前記回路基板は、
    前記中間板上に接合された銅材からなる裏面金属層と、
    前記裏面金属層上に積層されたセラミックス板と、
    前記セラミックス板上に積層された銅材からなる回路金属層と、を有しており、
    前記中間板は、前記裏面金属層の外周端縁よりも、当該中間板の厚みの1.0倍以上外方まで延出しており、
    前記低膨張板は、
    前記ヒートシンク本体、前記中間板、前記裏面金属層及び前記回路金属層よりも低い線膨張係数を有するとともに、
    前記裏面金属層の外周端縁よりも、当該低膨張板の厚みと当該低膨張板上に接合された前記中間板の厚みとの合計の1.0倍以上外方まで延出しており、
    前記ベース板と前記低膨張板との接合部、前記低膨張板と前記中間板との接合部及び前記中間板と前記裏面金属層との接合部は、被接合部材を構成する元素を含む拡散層を有している、回路基板付きヒートシンク。
  2. 前記回路基板付きヒートシンクは、同一の前記中間板上に互いに間隔をあけて配置された複数の前記回路基板を有している、請求項1に記載の回路基板付きヒートシンク。
  3. 前記回路基板付きヒートシンクは、同一の前記低膨張板上に互いに間隔をあけて配置された複数の前記中間板と、前記各中間板上に配置された前記回路基板と、を有している、請求項1に記載の回路基板付きヒートシンク。
  4. 前記低膨張板は、隣り合う前記中間板の間に溝を有している、請求項3に記載の回路基板付きヒートシンク。
  5. 前記回路基板付きヒートシンクは、前記ベース板上に互いに間隔をあけて配置された複数の前記低膨張板と、前記各低膨張板上に配置された前記中間板及び前記回路基板と、を有している、請求項1に記載の回路基板付きヒートシンク。
  6. 前記ベース板は、隣り合う前記低膨張板の間に突出した位置決め凸部を有している、請求項5に記載の回路基板付きヒートシンク。
  7. 前記ヒートシンク本体は、前記ベース板の外周縁部に連なり、前記低膨張板の周囲に配置された外枠部を更に有しており、前記外枠部は、その厚み方向に貫通した貫通孔を有している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の回路基板付きヒートシンク。
  8. 前記低膨張板は、銅または銅合金よりなり、前記ベース板上に接合された裏面Cu層と、モリブデンまたはモリブデン合金よりなり、前記裏面Cu層上に積層されたMo層と、銅または銅合金よりなり、前記Mo層上に積層されるとともに前記中間板に接合された表面Cu層と、を有している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の回路基板付きヒートシンク。
  9. 前記裏面Cu層の厚みは前記表面Cu層の厚みよりも薄い、請求項8に記載の回路基板付きヒートシンク。
  10. 前記ベース板における前記低膨張板が接合された面の背面には、四角柱状を呈する多数のピンフィンが立設されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の回路基板付きヒートシンク。
  11. 請求項10に記載の回路基板付きヒートシンクの製造方法であって、
    前記ヒートシンク本体となるアルミニウム板と、前記低膨張板と、前記中間板と、前記回路基板とを準備し、
    前記アルミニウム板、前記低膨張板、前記中間板及び前記裏面金属層の表面に存在する自然酸化膜を除去する表面処理を行い、
    前記アルミニウム板と、前記アルミニウム板上に配置された前記低膨張板と、該低膨張板上に配置された前記中間板と、該中間板上に配置された前記回路基板とを有するとともに、前記アルミニウム板と前記低膨張板との間、前記低膨張板と前記中間板との間及び前記中間板と前記裏面金属層との間のうち少なくとも1か所にインサート金属を介在させた被処理物を組み立て、
    前記回路基板を前記アルミニウム板側に押圧しつつ前記被処理物を加熱して、拡散接合により一括して前記拡散層を形成し、
    前記アルミニウム板に切削加工を施して前記ヒートシンク本体及び前記ピンフィンを形成する、回路基板付きヒートシンクの製造方法。
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