JP2019175769A - 進行波管およびその製造方法 - Google Patents

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Risui Kanbara
理水 蒲原
知行 水田
Tomoyuki Mizuta
知行 水田
真一 西坂
Shinichi Nishisaka
真一 西坂
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【課題】 導波管部への応力を軽減し、導波管部の精度が良い真空外囲器を用いた進行波管およびその製造方法を得る。【解決手段】 内径が円筒形状の磁性体で形成されたポールピースと、内径が前記ポールピースと同じ円筒形状の非磁性体とが交互に管軸方向に配置され、端部に導波管と結合する結合部とを設けて積層されて形成された真空外囲器を備えた進行波管であって、前記結合部は、前記ポールピースと前記導波管とで構成され、前記導波管の外壁が前記ポールピースに接触しており、前記導波管が前記ポールピースに接触している箇所は、前記導波管の管軸方向に亘って、前記導波管の外壁の肉厚が一定である。【選択図】 図2

Description

この発明は、真空外囲器を用いた進行波管およびその製造方法に関する。
進行波管(TWT;Traveling Wave Tube)は、マイクロ波真空管の一種である。進行波管は、通信、放送などの様々な分野で用いられている。進行波管は、電子ビームと高周波信号の相互作用により高周波信号を増幅する遅波回路を備えている。遅波回路の周りには、周辺を真空にするための真空外囲器が設けられている(例えば非特許文献1参照)。
真空外囲器としては、磁気回路を構成する円筒形状のポールピース(磁性体)とスペーサ(非磁性体)を交互に積み上げ、ロウ付け等により接合し、内周を切削して真空外壁とするIPP構造(インテグラルポールピース)を有するものが良く用いられている。
IPP構造を採用することにより、装置の小型化、高性能化、高出力化及び準ミリ波及びミリ波帯への高周波数化が可能となる。ポールピースとスペーサとは、酸化させたステンレスやセラミックス等の心棒治具に交互に挿入されることにより、積み上げられ、ロウ付けされる。ロウ付け後に心棒治具は引き抜かれ、内周が切削されて内径寸法が出される。
ポールピースとスペーサの材質の違いによる熱膨張率の違いやポールピースに一般に使われる鉄の縮み等を考慮すると、心棒治具と、ポールピース及びスペーサとの間には、ロウ付け時に温度が上がった時でも、0.1〜0.2mmの隙間を設ける必要がある。しかしながら、隙間が大きすぎると部品のずれが大きくなる。
そこで、ポールピース及びスペーサより熱膨張率の大きな材質、例えば銅のパイプを心棒として、ポールピース、スペーサ及びロウ材を交互に挿入して組み立てを行い、心棒も同時にロウ付けした後、ポールピースとスペーサとによって形成された円筒状の容器の内周面を切削加工により仕上げる真空外囲器の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平4−306529号公報
A.S.Gilmour.Jr著「Principles Of Traveling Wave Tubes」、Artech House,Inc、1994、P.337−343およびP.331のFigure12−11
真空外囲器の端部には、真空外囲器に高周波信号を入出力する導波管が接続される。この導波管も真空外囲器の製造時に、ポールピース及びスペーサと共に積み上げられてロウ付けされる。真空外囲器の空胴部の軸方向と、導波管の空胴部の軸方向は交差(例えば、直交)している。そのため、特許文献1に示すように、真空外囲器を積み上げ製造すると、積み上げ時におけるポールピース及びスペーサの重量により、導波管部に応力がかかり、ロウ付けの際に導波管部に歪みが発生及び/又は変形しやすい問題がある。
また、非特許文献1に示すように、進行波管では、増幅回路部品(ヘリックス等およびその支持体)を、磁気回路を兼ねた真空外囲器内にロウ付けや圧入により保持させる構造が一般的に用いられている。そのため、増幅回路部品を精度良く真空外囲器内に組立てるために、真空外囲器の内径を高精度に加工することが必要である。その際に、導波管部にはロウ付けの際に応力がかかり、歪みが発生及び/又は変形しやすい問題がある。
本発明は上記のような問題点を解決する為のものであり、導波管部への応力を軽減し、導波管部の精度が良い真空外囲器を用いた進行波管およびその製造方法を得ることを目的とする。
本発明に係る進行波管は、内径が円筒形状の磁性体で形成されたポールピースと、内径が前記ポールピースと同じ円筒形状の非磁性体とが交互に管軸方向に配置され、端部に導波管と結合する結合部とを設けて積層されて形成された真空外囲器を備えた進行波管であって、前記結合部は、前記ポールピースと前記導波管とで構成され、前記導波管の外壁が前記ポールピースに接触しており、前記導波管が前記ポールピースに接触している箇所は、前記導波管の管軸方向に亘って、前記導波管の外壁の肉厚が一定である、ものである。
本発明に係る進行波管の製造方法は、内径が円筒形状の磁性体で形成されたポールピースと、内径が前記ポールピースと同じ円筒形状の非磁性体とが交互に管軸方向に配置され、端部に導波管と結合する結合部とを設けて積層されて形成された真空外囲器を備えた進行波管の製造方法であって、前記結合部には、導波管ブロックを前記ポールピースで挟み込んで、前記ポールピース、前記非磁性体および前記導波管部ブロックをロウ付けした後、前記導波管ブロックを前記真空外囲器の管軸方向と交差する方向に穴あけ加工して前記導波管を形成する、ものである。
本発明によれば、導波管部への応力が軽減され、導波管部の精度が良い真空外囲器を用いた進行波管およびその製造方法が得られ、進行波管の性能および信頼性が向上する。
進行波管の横断面図である。 この発明の実施の形態1に係る進行波管の真空外囲器の構造を表す横断面図である。 比較例の進行波管真空外囲器構造における部品の変形を表す横断面図である。 比較例の進行波管真空外囲器構造におけるバリの発生を表す横断面図である。 この発明の実施の形態2に係る進行波管の真空外囲器の構造を表す横断面図である。 この発明の実施の形態3に係る進行波管の真空外囲器の構造を表す横断面図である。 この発明の実施の形態4に係る進行波管の真空外囲器の構造を表す横断面図である。 この発明の実施の形態4に係る進行波管の真空外囲器の構造を表す横断面図である。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。図1は、進行波管の横断面図であり、進行波管全体の構成を示している。図1において、真空外囲器4内に遅波回路5と呼ばれる進行波管の増幅回路にあたる回路がロウ付けや圧入、焼きばめ等によって組み立てられる。
遅波回路5を真空外囲器4内に精度良く組み立てる為に、真空外囲器4の内径(内壁)は精度良く加工されている必要があるため、磁性体であるポールピース1や非磁性体であるスペーサ2等をロウ付け組立てした後に切削加工等で追加加工する方法がある。
真空外囲器4において、真空外囲器4内に設けられた遅波回路5の端部に相当する箇所には、進行波管に高周波信号を入出力する導波管3が設けられている。具体的には、図1において、結合部4aで示される箇所であり、真空外囲器4と導波管回路部3とが交差して結合しているので、入出力回路部4aとも称する。
また、真空外囲器4の外周(外壁)には、隣接するポールピース(図1において、真空外囲器4において、真空外囲器4の管軸方向に対して交差する方向に突起している部分)の間に永久磁石6を装着することにより磁気回路を形成し、進行波管の電子銃部7から放出される電子ビーム8を集束させる役割もある。
図2は、この発明の実施の形態1に係る進行波管の真空外囲器の構造を表す横断面図である。すなわち、図2は、図1における入出力回路部4aを抜き出した図である。なお、遅波回路5は省略している。進行波管の真空外囲器4は、ポールピース1、スペーサ2、導波管回路部3の3点の部品から構成されている。これらの部品はロウ付け等により隙間無く接合され、進行波管内部を超高真空に保つ役割を持つ。
図2において、ポールピース1の材料は純鉄等の磁性体であり、スペーサ2の材料は銅ニッケル合金等の非磁性体である。導波管回路部3の材料は銅または銅ニッケル合金等の非磁性体である。ポールピース1は、真空外囲器4の管軸方向に平行な平坦部とこの平坦部から真空外囲器4の管軸方向に垂直でかつ真空外囲器4の外周方向に突出した突起部を有する構造をしている。
なお、ポールピース1は、これに限らず、真空外囲器4の管軸方向において、平坦部の管軸方向の長さと突起部の管軸方向の長さとが同じ寸法であっても良い。言い換えると、ポールピース1は、平坦部における管軸方向の端面と突起部における管軸方向に垂直な方向に沿った面とが面一な構造であっても良い。
導波管回路部3にはポールピース1を嵌め合わせる穴3aをあらかじめ設けておき、導波管回路部3に隣接する2つのポールピース1の導波管回路部3の空胴側の端部には、事前に、C面取り構造3bまたはR面取り構造を施しておき、これらの部品をロウ付け組立する。尚、ロウ付け組立て後の切削加工等の追加加工による内径加工時(内壁加工時)のバリ発生を極力抑えるには、C面取り構造よりもR面取り構造を事前に施しておく方が望ましい。
図2に示すように組立てられた真空外囲器4は、図1に示すように、進行波管の遅波回路5部を保持すると共に、ポールピース1とスペーサ2の間に永久磁石6を装着することにより磁気回路を形成し、進行波管の電子銃部7から放出される電子ビームを集束させる役割をもつ。
また、この真空外囲器4内に図1に示すように遅波回路5と呼ばれる進行波管の増幅回路にあたる回路がロウ付けや圧入(焼きばめ)によって組み立てられる。遅波回路5を真空外囲器4内に精度良く組み立てる為に、真空外囲器4の内径(内壁)は精度良く加工されている必要があり、ポールピース1やスペーサ2等をロウ付け組立てした後に、切削加工等の追加加工する方法がある。
しかし、図3に示すような比較例の構造、即ち、真空外囲器4の端部には、真空外囲器4に高周波信号を入出力する導波管回路部3が接続され、この導波管回路部3も真空外囲器4の製造時に、ポールピース1及びスペーサ2と共に積み上げられてロウ付けされ、真空外囲器の空胴部の軸方向と、導波管の空胴部の軸方向は交差(例えば、直交)している構造では、ロウ付け組立時に導波管回路部3に矢印1aで示すように応力1aが掛かり、導波管回路部3を変形させてしまう恐れがある。また、図4のように、矢印10で示すような方向に切削加工等の追加加工の際に導波管回路部3に空隙(空胴)があるため、導波管回路部3の空胴部と真空外囲器4(特にポールピース1)の空胴部との交差部4bにバリ11が発生してしまう恐れがある。この、真空外囲器の空胴部の軸方向と、導波管の空胴部の軸方向は交差(例えば、直交)している構造部を、前記真空外囲器の空胴部と前記導波管内部の空胴部との交差部とも称する。また、この交差部を形成している前記導波管と前記真空外囲器とを結合する構造部を結合部とも称する。
そこで、図1で示しているように、導波管回路部3の両側に隣接するポールピース1に、あらかじめC面またはR面を設け、かつポールピース1の管軸方向の突起部分(即ち、ポールピース1の管軸方向の平坦部の端部が導波管回路部3にはまり込むように導波管回路部3に嵌め合わせる穴を用意しておくと、真空外囲器のロウ付け組立て時に導波管回路部品3とその両側に隣接するポールピース1との当たり面が大きくなる為、ロウ付け時のおもりや部品の重量で導波管回路部品3が変形するリスクを低減することが可能である。このとき、導波管回路部3においてポールピース1を嵌め合わせる穴3aは、導波管回路部3の壁面肉厚部において真空外囲器の管軸方向に、ポールピース1の平坦部の管軸方向の外周部の外形と同じ穴径で貫通した穴構造となっている。すなわち、穴3aにポールピース1の平坦部が挿入されている構造になっている。図1において、見方を変えると、導波管回路部3が、ポールピース1の平坦部に載置されているようにも見える。図4に示す導波管回路部3は、導波管回路部3の内壁がポールピース1の管軸方向の突起部分まで延伸して達しているため、この部分は真空外囲器の管軸方向における導波管回路部3の壁面肉厚部が導波管回路部3の他の壁面肉厚部より薄くなっているので、この部分に応力が集中し、導波管回路部3を変形させてしまう恐れがある。しかしながら、図2に示すように、導波管回路部3がポールピース1の側面に接している箇所は、導波管回路部3の管軸方向全般に亘って、導波管回路部3の外壁の肉厚が一定(均一)である。そのため、ロウ付け時のおもり9や部品の重量による応力が導波管回路部品3の一部に集中することがないので、図3で示したような、ロウ付け時のおもり9や部品の重量で導波管回路部品3が変形するリスクを低減することが可能である。
また、ロウ付け組立て後の内径加工時に、従来構造では発生してしまうバリの原因となる部位に、あらかじめC面またはR面が施されていることにより、追加加工によるバリの発生も抑制することが出来る。このとき、内径加工時(内壁加工時)に削られる部品の素材も、比較的やわらかい銅(または銅合金)に代わり純鉄を用いているので、素材の変更によるバリ抑制の効果も期待できる。
このように、ポールピース1に事前にC面取り構造またはR面取り構造を施しておくことにより、ロウ付け組立て後の切削加工等の追加工による内径加工時(内壁加工時)のバリ発生を抑制した、精度の良い真空外囲器が得られる。また、真空外囲器の精度が向上するため、進行波管の性能および信頼性が向上する効果がある。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2について、図5を用いて説明する。図5は、この発明の実施の形態2に係る進行波管の真空外囲器の構造を表す横断面図である。図5において、図1から図4と同一若しくは同等の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
図5において、ポールピース12(実施の形態1のポールピース1に相当)の材料は純鉄等の磁性体であり、スペーサ13(実施の形態1のスペーサ2に相当)の材料は銅ニッケル合金等の非磁性体である。導波管回路部14(実施の形態1の導波管回路部3に相当)の材料は銅または銅ニッケル合金等の非磁性体である。導波管回路部14の両側のポールピース15は図5に示すように導波管回路部14とポールピース12のロウ付け面が大きくなるように、導波管回路部14側の面をフラット構造にしている。また、導波管回路部14には、ポールピース15の内周との接続部、すなわち真空外囲器の管軸方向の空胴部との交差部に設けた真空外囲器4(特に、ポールピース15)と接続する穴部14aに、あらかじめ、C面取り構造14bもしくはR面取り構造を施しておき、これらの部品をロウ付け組立する。尚、ロウ付け組立て後に実施する切削加工等を用いた内径加工時におけるバリ発生を極力抑えるには、R面の方が望ましい。
図5に示すように、導波管回路部14の両側のポールピース15の形状を導波管回路部14とロウ付けされる面側のみフラットな構造にすることにより、真空外囲器4のロウ付け組立て時に導波管回路部品14とその両側に隣接するポールピース15の当たり面が大きくなる為、図3で示したような、ロウ付け時のおもり9や部品の重量で導波管回路部品14が変形するリスクを低減することが可能である。また、導波管回路部14がポールピース15の側面に接している箇所は、導波管回路部14の管軸方向全般に亘って、導波管回路部品14の外壁の肉厚がC面取り構造14bもしくはR面取り構造を施している箇所を除き、一定(均一)であるため、ロウ付け時のおもり9や部品の重量による応力が導波管回路部品14の一部に集中することがない。したがって、変形のない、精度の良い真空外囲器が得られる。また、真空外囲器の精度が向上するため、進行波管の性能および信頼性が向上する効果がある。
また、導波管回路部14のポールピース15の内周との接続部、すなわち真空外囲器4の管軸方向の空胴部との交差部に設けた真空外囲器4(特に、ポールピース15)と接続する穴部14aに、あらかじめC面またはR面を設けておくことで、ロウ付け組立て後の切削加工等を用いた内径加工時に、比較例の構造では発生してしまうバリの原因となる部位にあらかじめC面またはR面が施されているため、内径加工によるバリの発生も抑制することが出来る。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3について、図6を用いて説明する。図6は、この発明の実施の形態3に係る進行波管の真空外囲器の構造を表す横断面図である。図6において、図1から図5と同一若しくは同等の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
図6において、ポールピース16(実施の形態1のポールピース1に相当)の材料は純鉄等の磁性体であり、スペーサ17(実施の形態1のスペーサ2に相当)の材料は銅ニッケル合金等の非磁性体である。導波管回路部18(実施の形態1の導波管回路部品3に相当)の材料は銅または銅ニッケル合金等の非磁性体である。導波管回路部18の両側のポールピース16は図6に示すように導波管回路部18とポールピース16とのロウ付け面が大きくなるように、導波管回路部18側の面をフラット構造にしており、かつC面取り構造19aまたはR面取り構造を施している。導波管回路部18は、真空外囲器4の内径加工時(内壁加工時)に加工がなされないように即ち切削等がされないように、真空外囲器4詳しくはポールピース19との接続部18aにおいて、導波管回路部18の側壁に向けた穴の内径は、ポールピース16(19)とスペーサ17の内径よりも内径を大きくして、バリの発生を抑えている。これらの部品をロウ付け組立する。尚、ロウ付け組立て後の内径加工時(内壁加工時)のバリ発生を極力抑えるには、R面の方が望ましい。
図6に示すように、導波管回路部18の両側のポールピース19の形状を導波管回路部18とロウ付けされる面側のみフラットな構造にすることにより、真空外囲器のロウ付け組立て時に導波管回路部品18とその両側に隣接するポールピース19の当たり面が大きくなる為、図3で示したような、ロウ付け時のおもり9や部品の重量で導波管回路部品8が変形するリスクを低減することが可能である。すなわち、導波管回路部18がポールピース19の側面に接している箇所は、導波管回路部18の管軸方向全般に亘って、導波管回路部品18の肉厚が一定(均一)であるため、ロウ付け時のおもり9や部品の重量による応力が導波管回路部品18の一部に集中することがないので、図3で示したような、ロウ付け時のおもり9や部品の重量で導波管回路部品8が変形するリスクを低減することが可能である。また、導波管回路部18の内径を他の部品よりも大きくすることで、ロウ付け組立て後の内径加工時(内壁加工時)に導波管回路部18は切削加工等の加工がされず、バリが発生しない。また、導波管回路部18に隣接するポールピース19にあらかじめC面またはR面を設けておくことで、ロウ付け組立て後の内径加工時(内壁加工時)に、従来構造では発生してしまうバリの原因となる部位に、あらかじめC面またはR面があるため、内径加工(内壁加工)によるバリの発生も抑制することが出来る。このとき、内径加工時(内壁加工時)に削られる部品の素材が、従来構造では比較的やわらかい銅(または銅合金)から純鉄に変更されているので、素材の変更によるバリ抑制の効果も期待できる。
実施の形態4.
本発明の実施の形態3について、図7および図8を用いて説明する。図7および図8は、この発明の実施の形態4に係る進行波管の真空外囲器の構造を表す横断面図である。図7および図8において、図1から図6と同一若しくは同等の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
図7、図8において、進行波管は、内径が円筒形状の磁性体で形成されたポールピース20、23と、内径がポールピース20、23と同じ円筒形状のスペーサ21とが交互に管軸方向に配置され、端部に導波管回路部22と結合する結合部22aとを設けて積層されて形成された真空外囲器4を備えている。
結合部22aでは、導波管ブロック22dを隣り合うポールピース23の平坦部に当接して導波管ブロック22dを隣り合うポールピース23で挟み込んで、ポールピース20、23、スペーサ21および導波管部ブロック22dをロウ付けした後、導波管ブロック22dを真空外囲器4の管軸方向と交差する方向に穴あけ加工して導波路22cを形成して導波管回路部22を形成する。
図7、図8において、ポールピース20、23(実施の形態1のポールピース1に相当)の材料は純鉄等の磁性体であり、スペーサ21(実施の形態1のスペーサ2に相当)の材料は銅ニッケル合金等の非磁性体である。導波管回路部22(実施の形態1の導波管回路部品3に相当)の材料は銅または銅ニッケル合金等の非磁性体である。導波管回路部22にはポールピース23を嵌め合わせる穴22aを真空外囲器4の管軸方向にあらかじめ設けておき、導波管回路部22に隣接する2つのポールピース23にはC面取り構造23aまたはR面取り構造を施しておき、これらの部品をロウ付け組立する。尚、ロウ付け組立て後の真空外囲器4内径加工時(内壁加工時)のバリ発生を極力抑えるには、R面の方が望ましい。また導波管回路部22はロウ付時の変形防止のため、電波が透過する導波路部の加工は未実施の状態でロウ付けとする。
図7に示すように、導波管回路部22の導波路部の加工を未実施の状態でロウ付を実施することで、ロウ付時に懸念される導波管回路部22の変形リスクを無くすことが可能である。ロウ付後、導波管回路部22には、電波が透過するための孔を、図8の矢印22bに示すように、機械加工等22bにて導波路22cを形成する。また、導波管回路部22に隣接するポールピース23は、実施の形態1(ポールピース1)と同じ構造としているが、ポールピース23の構造は実施の形態2(ポールピース15)または実施の形態3(ポールピース18)と同様でも構わない。
1、12、15、16、19、20・・・ポールピース(磁性体)、
1a・・・応力、
2、13、17、21、23・・・スペーサ(非磁性体)、
3、8、14、18、22・・・導波管回路部(導波管)、
22c・・・導波路、
22d・・・導波管ブロック、
3a、14a、18a、22a・・・穴、
3b、14b、19a、23a・・・C面取り構造(面取り構造)、
4・・・真空外囲器、
4a、22a・・・入出力回路部(結合部)、
4b・・・交差部、
5・・・遅波回路部、
6・・・永久磁石、
7・・・電子銃部、
8・・・電子ビーム、
9・・・おもり、
10・・・矢印、
11・・・バリ。

Claims (5)

  1. 内径が円筒形状の磁性体で形成されたポールピースと、内径が前記ポールピースと同じ円筒形状の非磁性体とが交互に管軸方向に配置され、端部に導波管と結合する結合部とを設けて積層されて形成された真空外囲器を備えた進行波管であって、
    前記結合部は、前記ポールピースと前記導波管とで構成され、
    前記導波管の外壁が前記ポールピースに接触しており、
    前記導波管が前記ポールピースに接触している箇所は、前記導波管の管軸方向に亘って、前記導波管の外壁の肉厚が一定である、
    進行波管。
  2. 前記結合部において、前記ポールピースの管軸方向の断面は、内周側が前記真空外囲器の管軸方向に長い平坦部と前記真空外囲器の管軸方向が前記平坦部より短かく前記平坦部から前記真空外囲器の外週側に突出した突出部とを有した凸型形状をなし、
    前記導波管の管軸方向の外壁が前記ポールピースの前記突出部に接触し、前記導波管の端部が前記ポールピースの前記平坦部に接触している、
    請求項1に記載の進行波管。
  3. 前記結合部において、前記ポールピースの前記真空外囲器の管軸方向の断面は、前記結合部を除き、前記真空外囲器の内周側が前記真空外囲器の管軸方向に長い平坦部と前記真空外囲器の管軸方向が前記は平坦部より短かく前記真空外囲器の外周側に突出部を有した凸型形状をなし、
    前記結合部における前記ポールピースの前記真空外囲器の管軸方向の断面は、前記平坦部における前記真空外囲器の管軸方向に交差する面と前記突出部の面とが面一であり、
    この面一である前記ポールピースの面に沿って前記導波管が装着されている、
    請求項1に記載の進行波管。
  4. 内径が円筒形状の磁性体で形成されたポールピースと、内径が前記ポールピースと同じ円筒形状の非磁性体とが交互に管軸方向に配置され、端部に導波管と結合する結合部とを設けて積層されて形成された真空外囲器を備えた進行波管の製造方法であって、
    前記結合部には、導波管ブロックを前記ポールピースで挟み込んで、前記ポールピース、前記非磁性体および前記導波管部ブロックをロウ付けした後、
    前記導波管ブロックを前記真空外囲器の管軸方向と交差する方向に穴あけ加工して前記導波管を形成する、
    進行波管の製造方法。
  5. 前記ポールピースは、管軸方向の断面が、内周側が前記管軸方向に長い平坦部と前記管軸方向が前記平坦部より短かく前記真空外囲器の外周側に突出部を有した凸型形状をなし、隣り合う前記ポールピースの平坦部に当接して前記隣り合う前記ポールピースの突出部に導波管ブロックを挟み込んで、前記ポールピース、前記非磁性体および前記導波管部ブロックをロウ付けした後、
    前記導波管ブロックを前記真空外囲器の管軸方向と交差する方向に穴あけ加工して前記導波管を形成する、
    請求項4に記載の進行波管の製造方法。
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