JP2019175751A - 燃料電池システム - Google Patents

燃料電池システム Download PDF

Info

Publication number
JP2019175751A
JP2019175751A JP2018064241A JP2018064241A JP2019175751A JP 2019175751 A JP2019175751 A JP 2019175751A JP 2018064241 A JP2018064241 A JP 2018064241A JP 2018064241 A JP2018064241 A JP 2018064241A JP 2019175751 A JP2019175751 A JP 2019175751A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adsorbent
fuel cell
fuel
reaction product
air
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018064241A
Other languages
English (en)
Inventor
恵美子 森
Emiko Mori
恵美子 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daihatsu Motor Co Ltd
Original Assignee
Daihatsu Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daihatsu Motor Co Ltd filed Critical Daihatsu Motor Co Ltd
Priority to JP2018064241A priority Critical patent/JP2019175751A/ja
Publication of JP2019175751A publication Critical patent/JP2019175751A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】ヒドラジン燃料電池の排気に含まれる反応生成物(アンモニア)を吸着除去する小形で吸着材交換判断の容易な吸着筒を備えた燃料電池システムを提供する。【解決手段】車両1において、燃料電池システム2は、燃料電池3と燃料供給ライン25と空気供給ライン41と燃料排出ライン26と空気排出ライン42と燃料排出ライン26および空気排出ライン42が合流する合流ライン81と合流ライン81に介在された吸着筒82とを備える。吸着筒82は反応生成物の吸着によって発熱または温度変化しない第1吸着材が充填される第1充填部と反応生成物の吸着によって吸熱する第2吸着材が充填される第2充填部とを備える。吸着筒82は、第1センサーで検知された第1充填部内の温度と第2センサーで検知された第2充填部内の温度との温度差を観測し、温度差が所定のしきい値以上である場合に吸着材交換信号を送信するモニター制御部を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、液体燃料が消費される燃料電池を備える燃料電池システムに関する。
従来、車両などに搭載される燃料電池システムとして、メタノール、ジメチルエーテル、ヒドラジンなどの液体燃料を消費する固体高分子形の燃料電池を備える燃料電池システムが知られている。
例えば、液体燃料が供給されるアノードと、空気が供給されるカソードとが、固体高分子膜からなる電解質層を挟んで対向配置されている固体高分子形の燃料電池が提案されている。
このようなシステムでは、燃料電池のアノードに液体燃料が供給されるとともに、燃料電池のカソードに空気が供給されることによって、電気化学反応が生じ、起電力が発生する。例えば、液体燃料がヒドラジンである場合には、下記式(1)および(2)の電気化学反応が生じる。
(1)N+4OH→N+4HO+4e(アノードでの反応)
(2)O+2HO+4e→4OH (カソードでの反応)
アノードに供給されたヒドラジン(N)は、副反応を惹起し、反応生成物としてアンモニア(NH)が生じる場合がある。
一方、このような燃料電池では、未消費の液体燃料が、アノードにおいて反応することなく電解質層を透過し、カソードに漏出する場合がある(クロスリーク現象)。
そして、カソードに漏出した液体燃料(ヒドラジン)も副反応を惹起し、反応生成物としてアンモニアが生じる場合がある。
このようなアンモニアが、外部へ排出されると、環境負荷を生じる場合がある。
そのため、アンモニアを外部へ排出することなく、除去する方法が検討されている。
具体的には、燃料電池から排出されたアンモニアを含む排ガスを、中和剤(硫酸)を内蔵した排ガス処理装置に通過させ、アンモニアを除去する燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2014−107083公報
しかるに、特許文献1の燃料電池システムでは、中和剤を貯蔵するタンクを必要とするため、燃料電池システムが大型化するという不具合がある。
そこで、中和剤を貯蔵するタンクに代えて、排ガスが排気される排気管に、アンモニアを吸着するための吸着材を充填した吸着筒を介在させることで、燃料電池システムを小型化することも検討される。
一方、このような吸着材は、使用に応じて劣化するため交換する必要がある。
吸着材の交換の時期を判断するために、排気管に、アンモニアを検知するためのガスセンサーを設けることが検討される。
しかし、排気管にガスセンサーを設けると、燃料電池システムの構成が複雑化するという不具合がある。
本発明の目的は、第1吸着材および第2吸着材が充填された除去手段を用いて、小型化を図るとともに、第1吸着材および第2吸着材の温度差を観測するという簡易な構成により、第1吸着材および第2吸着材の交換時期を判断できる燃料電池システムを提供することにある。
本発明[1]は、液体燃料が消費される燃料電池と、前記燃料電池に対して液体燃料を供給する燃料供給経路と、前記燃料電池に対して空気を供給する空気供給経路と、前記液体燃料の反応生成物および反応生成水を含む排出液を、前記燃料電池から排出する燃料排出経路と、未消費の空気とともに、前記反応生成物を、前記燃料電池から排出する空気排出経路と、前記燃料排出経路および前記空気排出経路が合流する合流経路と、前記合流経路に介在され、前記反応生成物を除去する除去手段とを備え、前記除去手段は、未消費の空気とともに、前記反応生成物を流入する流入部と、前記流入部よりも下流側において、第1吸着材が充填される第1充填部と、前記第1充填部よりも下流側において、第2吸着材が充填される第2充填部と、前記第2充填部よりも下流側において、未消費の空気を排出する排出部とを備えるケーシング、前記第1充填部内の温度を検知する第1センサー、前記第2充填部内の温度を検知する第2センサー、および、前記第1センサーで検知した温度と前記第2センサーで検知した温度との温度差を観察する観察部を備え、前記第1吸着材は、前記反応生成物の吸着によって発熱または温度変化しない吸着材であり、前記第2吸着材は、前記反応生成物の吸着によって吸熱する吸着材であり、前記観察部は、前記温度差が所定のしきい値以上である場合に、前記第1吸着材および前記第2吸着材の交換を通知する、燃料電池システムである。
この燃料電池システムによれば、燃料供給経路から燃料電池に供給され、燃料排出経路に排出された反応生成物と、燃料供給経路から燃料電池に供給され、クロスリーク現象により、空気排出経路に排出された未消費の液体燃料の副反応により生成した反応生成物、および、未消費の空気とは、合流経路から除去手段に供給される。
そのため、除去手段において、反応生成物を吸着材と接触させて、分離することができる。
しかも、この燃料電池システムによれば、除去手段は、第1吸着材が充填される第1充填部と、第1充填部よりも下流側において、第2吸着材が充填される第2充填部とを備えている。また、第1吸着材は、反応生成物の吸着によって発熱または温度変化しない吸着材であり、第2吸着材は、反応生成物の吸着によって吸熱する吸着材である。また、第1充填部内の温度(T)および第2充填部内の温度(T)は、それぞれ、第1センサーおよび第2センサーによって検知されており、観察部によって、TおよびTの温度差が観察されている。
そして、この燃料電池システムにおいて、第1吸着材および第2吸着材の交換時期前(第1吸着材が劣化する前)には、第1吸着材が、すべての反応生成物を吸着する。このとき、TおよびTは同じ温度である。すなわち、TおよびTの温度差は、ほぼゼロに近い。
一方、第1吸着材および第2吸着材の交換時期が近付く(第1吸着材が劣化する)と、第1吸着材が、反応生成物の一部を吸着できなくなる。第1吸着材が吸着できなかった反応生成物の一部は、第2吸着材によって、吸着される。第2吸着材が反応生成物を吸着すると、吸熱によって、TはTよりも低くなり、TおよびTに温度差ができる。そして、第1吸着材の劣化が進むに従って、この温度差は大きくなる。そして、この温度差が所定のしきい値以上である場合に、第1吸着材および第2吸着材の交換が通知される。
そのため、この燃料電池システムによれば、TおよびTの温度差を観測するという簡易な構成により、第1吸着材および第2吸着材の交換時期を判断することができる。
本発明[2]は、前記第1吸着材は、ゼオライトまたはスルホ基を有するイオン交換樹脂であり、前記第2吸着材は、カルボキシル基を有するイオン交換樹脂であることを特徴とする、上記[1]に記載の燃料電池システムを含んでいる。
この燃料電池システムによれば、第1吸着材は、ゼオライトまたはスルホ基を有するイオン交換樹脂であり、第2吸着材は、カルボキシル基を有するイオン交換樹脂であるため、TおよびTの温度差をより確実にすることができる。
本発明の燃料電池システムによれば、第1吸着材および第2吸着材が充填された除去手段を用いて、小型化を図るとともに、第1吸着材および第2吸着材の温度差を観測するという簡易な構成により、第1吸着材および第2吸着材の交換時期を判断できる。
図1は、本発明に係る燃料電池システムの一実施形態を搭載した電動車両の概略構成図である。 図2は、図1に示す燃料電池システムに搭載される水分離装置を示す概略構成図である。 図3は、図2に示す膜ユニットの径方向に沿う概略断面図である。 図4は、図1に示す燃料電池システムに搭載される吸着筒を示す概略構成図である。
図1において、電動車両1は、燃料電池およびバッテリを選択的に動力源とするハイブリッド車両であって、燃料電池システム2を搭載している。
燃料電池システム2は、燃料電池3と、燃料給排部4と、空気給排部5と、水分供給部23と、制御部6と、動力部7とを備えている。
(1)燃料電池
燃料電池3は、液体燃料が消費され、液体燃料が直接供給および排出される、例えば、アニオン交換型燃料電池またはカチオン交換型燃料電池であって、電動車両1の中央下側に配置されている。
燃料電池3に供給され、また、燃料電池3から排出される液体燃料としては、例えば、ヒドラジン(例えば、無水ヒドラジンや、ヒドラジン1水和物などの水加ヒドラジンなどを含む)などが挙げられる。
なお、以下において、燃料電池3に供給される液体燃料を供給液、一方、燃料電池3から排出される液体燃料を排出液として、それぞれ区別する。
燃料電池3は、電解質層8と、電解質層8の一方側に配置され、液体燃料が供給されるアノード9と、電解質層8の他方側に配置され、空気(酸素)が供給されるカソード10とを有する単位セル21(燃料電池セル)が、セパレータ(図示せず)を介して複数積層されたスタック構造として形成されている。なお、図1では、積層される複数の単位セル21の内、電動車両1の前後方向途中に配置される単位セル21だけを拡大して表わし、その他の単位セル21については簡略化して記載している。
電解質層8は、例えば、アニオン成分またはカチオン成分が移動可能な層であり、アニオン交換膜またはカチオン交換膜を用いて形成されている。
アノード9は、アノード電極11と、アノード電極11に液体燃料(供給液)を供給するための燃料供給部材12とを備えている。
アノード電極11は、電解質層8の一方面に形成されている。アノード電極11の電極材料としては、例えば、アノード触媒が担持された多孔質担体(触媒担持多孔質担体)などが挙げられる。
燃料供給部材12は、セパレータとしても兼用され、ガス不透過性の導電性部材からなる。燃料供給部材12には、その表面から凹む葛折状の溝が形成されている。そして、燃料供給部材12は、溝の形成された表面がアノード電極11に対向接触されている。これにより、アノード電極11の一方面と燃料供給部材12の他方面(溝の形成された表面)との間には、アノード電極11全体に液体燃料(供給液)を接触させながら通過させるための燃料供給路13が形成される。
燃料供給路13には、液体燃料(供給液)をアノード9内に流入させるための燃料供給口14が一端側(下側)に形成され、液体燃料(排出液)をアノード9から排出するための燃料排出口15が他端側(上側)に形成されている。
カソード10は、カソード電極16と、カソード電極16に空気(酸素)を供給するための空気供給部材17とを備えている。
カソード電極16は、電解質層8の他方面に形成されている。カソード電極16の電極材料としては、例えば、カソード触媒が担持された多孔質担体(触媒担持多孔質担体)などが挙げられる。
空気供給部材17は、セパレータとしても兼用され、ガス不透過性の導電性部材からなる。空気供給部材17には、その表面から凹む葛折状の溝が形成されている。そして、空気供給部材17は、溝の形成された表面がカソード電極16に対向接触されている。これにより、カソード電極16の他方面と空気供給部材17の一方面(溝の形成された表面)との間には、カソード電極16全体に空気を接触させながら通過させるための空気供給路18が形成される。
空気供給路18には、空気をカソード10内に流入させるための空気供給口19が他端側(上側)に形成され、空気をカソード10から排出するための空気排出口20が一端側(下側)に形成されている。
また、このような燃料電池3において、複数の単位セル21をそれぞれ区分する1つのセパレータは、上記燃料供給部材12および上記空気供給部材17を兼ね備える。換言すると、セパレータは、その一方側面において、燃料供給部材12として作用するとともに、他方側面において、空気供給部材17として作用する。
(2)燃料給排部
燃料給排部4は、液体燃料を貯蔵するための燃料タンク24と、燃料タンク24から燃料電池3(具体的には、アノード9の燃料供給路13)に対して、供給液を供給する燃料供給経路の一例としての燃料供給ライン25と、燃料電池3(具体的には、アノード9の燃料供給路13)から反応生成物(後述)および反応生成水(後述)を含む排出液を排出する燃料排出経路の一例としての燃料排出ライン26と、燃料排出ライン26から燃料供給ライン25へ排出液を輸送する還流ライン28とを備えている。
なお、燃料供給ライン25と燃料排出ライン26との間には、燃料電池3が介在されており、また、燃料排出ライン26と還流ライン28との間には、第1気液分離器27(後述)が介在されている。
燃料タンク24は、燃料電池3よりも後方、電動車両1の後側に配置されている。燃料タンク24には、液体燃料として、例えば、ヒドラジンなどが貯蔵されている。
燃料供給ライン25の一方側(上流側)端部は、燃料タンク24に接続されている。また、燃料供給ライン25の他方側(下流側)端部は、燃料電池3(具体的には、アノード9の燃料供給口14)に接続されている。
また、燃料供給ライン25の流れ方向途中には、燃料供給ポンプ30が介在されており、また、その下流側には、燃料供給弁31が設けられている。
燃料供給ポンプ30としては、例えば、ロータリーポンプ、ギヤポンプなどの回転式ポンプ、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプなどの往復式ポンプなど、公知の送液ポンプが用いられる。燃料供給ポンプ30は、コントロールユニット70(後述)に電気的に接続されている(図1の破線参照)。これにより、コントロールユニット70(後述)からの制御信号が、燃料供給ポンプ30に入力され、コントロールユニット70(後述)が、燃料供給ポンプ30の駆動および停止を制御する。
また、燃料供給弁31は、燃料供給ライン25を開閉するための弁であって、例えば、電磁弁など、公知の開閉弁が用いられる。また、燃料供給弁31は、コントロールユニット70(後述)に電気的に接続されている(図1の破線参照)。これにより、コントロールユニット70(後述)からの制御信号が、燃料供給弁31に入力され、コントロールユニット70(後述)が、燃料供給弁31の開閉を制御する。
このような燃料供給ポンプ30の駆動、および、燃料供給弁31の開閉により、燃料タンク24から、液体燃料(供給液)が、燃料電池3へ供給される。
燃料排出ライン26の一方側(上流側)端部は、燃料電池3(具体的には、アノード9の燃料排出口15)に接続されている。また、燃料排出ライン26の他方側(下流側)端部は、第1気液分離器27に接続されている。
このような燃料排出ライン26により、排出液が燃料電池3から排出され、第1気液分離器27に輸送される。
第1気液分離器27は、例えば、中空の容器からなり、その底部(底面)には、第1気液分離器27の内外を流通させる底部流通口33が2つ形成されている。また、第1気液分離器27の上部には、第1気液分離器27の内外を流通させる上部流通口34が1つ形成されている。
第1気液分離器27は、燃料電池3よりも電動車両1の前後方向後方、かつ、電動車両1の上下方向上方において、2つの底部流通口33が、それぞれ、燃料排出ライン26および還流ライン28(後述)に接続されている。
上部流通口34には、第1気液分離器27で分離されたガス(気体)(反応生成物(後述)を含む)を排出するためのガス排出管36が接続されている。ガス排出管36の一方側(上流側)端部は、上部流通口34に接続されている。ガス排出管36の下流側は、空気排出ライン42(後述)の下流側と合流し、1本の合流ライン81(後述)となる。また、ガス排出管36の流れ方向途中には、ガス排出弁37が設けられている。
ガス排出弁37は、ガス排出管36を開放して第1気液分離器27内の圧力を開放するための弁であって、例えば、電磁弁など、公知の開閉弁が用いられる。ガス排出弁37は、コントロールユニット70(後述)に電気的に接続されている(図1の破線参照)。これにより、コントロールユニット70(後述)からの制御信号がガス排出弁37に入力され、コントロールユニット70(後述)が、ガス排出弁37の開閉を制御する。
還流ライン28の一方側(上流側)端部が、第1気液分離器27の底部流通口33に接続されるとともに、還流ライン28の他方側(下流側)端部が、燃料供給ライン25の流れ方向途中、詳しくは、燃料供給ポンプ30および燃料供給弁31よりも下流側の燃料供給ライン25に接続されている。
また、還流ライン28の流れ方向途中には、燃料還流ポンプ38が介在されている。
燃料還流ポンプ38としては、例えば、ロータリーポンプ、ギヤポンプなどの回転式ポンプ、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプなどの往復式ポンプなど、公知の送液ポンプが用いられる。燃料還流ポンプ38は、コントロールユニット70(後述)に電気的に接続されている(図1の破線参照)。これにより、コントロールユニット70(後述)からの制御信号が、燃料還流ポンプ38に入力され、コントロールユニット70(後述)が、燃料還流ポンプ38の駆動および停止を制御する。
これにより、燃料排出ライン26内を輸送される排出液が、燃料排出ライン26、第1気液分離器27および還流ライン28を介して、燃料供給ライン25に輸送される。そして、燃料タンク24から輸送された液体燃料(1次供給液)と混合され、濃度調整された後、供給液(2次供給液)として、燃料電池3に戻ることにより、アノード9を循環するクローズドライン(閉流路)が形成される。
(3)空気給排部
空気給排部5は、燃料電池3(具体的には、カソード10空気供給路18)に対して空気を供給する空気供給経路の一例としての空気供給ライン41と、カソード10から排出される未消費の空気とともに、反応生成物(後述)を排出するための空気排出経路の一例としての空気排出ライン42とを備えている。
空気供給ライン41の一方側(上流側)端部が大気中に開放されている。空気供給ライン41の他方側(下流側)端部が空気供給口19に接続されている。空気供給ライン41の流れ方向途中には、空気供給ポンプ43が介在されており、また、その下流側には、空気供給弁44が設けられている。
空気供給ポンプ43としては、例えば、エアコンプレッサなど、公知の送気ポンプが用いられる。空気供給ポンプ43は、コントロールユニット70(後述)に電気的に接続されている(図1の破線参照)。これにより、コントロールユニット70(後述)からの制御信号が、空気供給ポンプ43に入力され、コントロールユニット70(後述)が、空気供給ポンプ43の駆動および停止を制御する。
空気供給弁44は、空気供給ライン41を開閉するための弁であって、例えば、電磁弁など、公知の開閉弁が用いられる。空気供給弁44は、コントロールユニット70(後述)に電気的に接続されている(図1の破線参照)。これにより、コントロールユニット70(後述)からの制御信号が、空気供給弁44に入力され、コントロールユニット70(後述)が、空気供給弁44の開閉を制御する。
空気排出ライン42の一方側(上流側)端部は、空気排出口20に接続されている。空気排出ライン42の下流側は、ガス排出管36の下流側と合流し、1本の合流経路の一例としての合流ライン81となる。
合流ライン81の一方側(上流側)端部は、ガス排出管36の下流側端部および空気排出ライン42の下流側端部と接続され、これらが合流するように構成されている。合流ライン81の下流側端部はドレンとされる。
このような合流ライン81により、燃料排出ライン26と空気排出ライン42とが合流する。その結果、燃料電池3(アノード9)から、燃料排出ライン26を介して、第1気液分離器27に輸送され、第1気液分離器27で分離された反応生成物(後述)と、燃料電池3(カソード10)から空気排出ライン42を介して排出される未消費の空気および反応生成物(後述)とを、吸着筒82(後述)において一括して処理することができる。
(4)水分供給部
水分供給部23は、燃料電池3において液体燃料の電気化学反応(後述)によって生じる反応生成水を回収し、空気供給ライン41に供給するために設備されている。
具体的には、水分供給部23は、排出液から反応生成水を分離するための水分離装置47と、水分供給ライン49とを備えている。
水分離装置47は、第1気液分離器27を介して還流ライン28に流入する排出液から、排出液に含まれる反応生成水を分離するための装置であって、還流ライン28における燃料還流ポンプ38よりも上流側に介在されている。
このような水分離装置47は、図2に示されるように、膜ユニット52と、減圧装置53とを備えている。
膜ユニット52は、図3に示されるように、ハニカムセラミック担体54と、ハニカムセラミック担体54に担持される水分離膜55とを備えている。
ハニカムセラミック担体54は、例えば、アルミナなどのセラミックからなる略円筒部材であって、その径方向内側には、略六角形の貫通孔(パス)56が、複数形成されている。
各貫通孔(パス)56は、ハニカムセラミック担体54の軸線方向を貫通する流体通路として形成されており、その周壁面は、水分離膜55により被覆されている。
水分離膜55は、排出液中に含まれる未反応の液体燃料などを遮断する一方、反応生成水を透過させる膜であって、特に制限されないが、例えば、孔径が1nm以下の炭素膜などが挙げられる。水分離膜55の孔径は、例えば、1nm以下、好ましくは、0.5nm以下であり、通常、0.3nm以上である。
そして、このような膜ユニット52は、その長手方向が排出液の流れ方向に沿うように還流ライン28に介在されている(図2参照)。これにより、膜ユニット52の貫通孔56(水分離膜55により被覆された貫通孔56)内に、排出液が通過可能とされ、水分離膜55の厚み方向一方側(貫通孔56の内側)に、排出液が接触可能とされている。また、水分離膜55の厚み方向他方側(貫通孔56の外側)には、ハニカムセラミック担体54が接触される。
減圧装置53は、膜ユニット52の径方向外側を減圧するために設備されている。
具体的には、図2に示されるように、減圧装置53は、例えば、膜ユニット52を収容する収容部57と、減圧ポンプ58とを備えており、減圧ポンプ58の駆動によって、収容部57内、すなわち、水分離膜55(膜ユニット52)の周囲を減圧可能としている。減圧ポンプ58としては、公知のポンプが用いられる。
そして、このような減圧装置53によって膜ユニット52の径方向外側を減圧することにより、排出液に含有される反応生成水を水蒸気化して、膜ユニット52の径方向内側から外側に(水分離膜55の厚み方向一方側から他方側に)水蒸気を透過させ、膜ユニット52内を通過する排出液から反応生成水を分離することができる(浸透気化法)。
水分供給ライン49の一方側(上流側)端部は、図1に示すように、水分離装置47(収容部57)に接続されている。水分供給ライン49の他方側(下流側)端部は、空気供給ライン41(空気供給弁44の下流側、かつ、燃料電池3の上流側の空気供給ライン41)に接続されている。
また、水分供給ライン49の流れ方向途中には、水分供給ポンプ64が介在されており、また、その下流側には、水分供給弁65が設けられている。さらに、水分供給ライン49において、水分供給弁65よりも下流側には、インジェクタ62が設けられている。
水分供給ポンプ64としては、例えば、ロータリーポンプ、ギヤポンプなどの回転式ポンプ、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプなどの往復式ポンプなど、公知の送液ポンプが用いられる。水分供給ポンプ64は、コントロールユニット70(後述)に電気的に接続されている(図1の破線参照)。これにより、コントロールユニット70(後述)からの制御信号が、水分供給ポンプ64に入力され、コントロールユニット70(後述)が、水分供給ポンプ64の駆動および停止を制御する。
水分供給弁65は、水分供給ライン49を開閉するための弁であって、例えば、電磁弁など、公知の開閉弁が用いられる。また、水分供給弁65は、コントロールユニット70(後述)に電気的に接続されている(図1の破線参照)。これにより、コントロールユニット70(後述)からの制御信号が、水分供給弁65に入力され、コントロールユニット70(後述)が、水分供給弁65の開閉を制御する。
インジェクタ62は、水分供給ライン49内を通過する排出液から分離された反応生成水を空気供給ライン41(空気供給弁44の下流側、かつ、燃料電池3の上流側の空気供給ライン41)内に向かって噴射する。また、インジェクタ62は、コントロールユニット70(後述)に電気的に接続されている(図1の破線参照)。これにより、コントロールユニット70(後述)からの制御信号が、インジェクタ62に入力され、コントロールユニット70(後述)が、インジェクタ62の駆動および停止を制御する。
このような水分供給ライン49により、水分離装置47によって液体燃料(排出液)から分離された反応生成水が、空気供給ライン41(空気供給弁44の下流側、かつ、燃料電池3の上流側の空気供給ライン41)へ供給される。
(5)制御部
制御部6は、燃料電池システム2のコントロールユニット70を備えている。
コントロールユニット70は、電動車両1における電気的な制御を実行するユニット(例えば、ECU:Electronic Control Unit)であり、CPU、ROMおよびRAMなどを備えるマイクロコンピュータから構成されている。
(6)動力部
動力部7は、燃料電池3から出力される電気エネルギを電動車両1の駆動力として機械エネルギに変換するためのモータ71と、モータ71に電気的に接続されるインバータ72と、モータ71による回生エネルギを蓄電するための動力用バッテリ73と、DC/DCコンバータ74とを備えている。
モータ71は、燃料電池3よりも前方、電動車両1の前側に配置されている。モータ71としては、例えば、三相誘導電動機、三相同期電動機など、公知の三相電動機が挙げられる。
インバータ72は、モータ71と燃料電池3との間に配置されている。インバータ72は、燃料電池3で発電された直流電力を交流電力に変換する装置であって、例えば、公知のインバータ回路が組み込まれた電力変換装置が挙げられる。また、インバータ72は、配線により、燃料電池3およびモータ71にそれぞれ電気的に接続されるとともに、図示しないが、コントロールユニット70と電気的に接続されており、これにより、燃料電池3の発電を制御している。
動力用バッテリ73としては、例えば、ニッケル水素電池や、リチウムイオン電池など、公知の二次電池が挙げられる。また、動力用バッテリ73は、インバータ72と燃料電池3との間の配線に接続され、これにより、燃料電池3からの電力を蓄電可能、かつ、モータ71に電力を供給可能とされている。
DC/DCコンバータ74は、動力用バッテリ73と燃料電池3との間に配置されている。DC/DCコンバータ74は、燃料電池3の出力電圧を昇降圧する機能を有し、燃料電池3の電力および動力用バッテリ73の入出力電力を調整する機能を有している。
そして、DC/DCコンバータ74は、コントロールユニット70と電気的に接続されており(図1の破線参照)、これにより、コントロールユニット70から出力される出力制御信号の入力に応じて、燃料電池3の出力(出力電圧)を制御する。
また、DC/DCコンバータ74は、配線により、燃料電池3および動力用バッテリ73にそれぞれ電気的に接続されているとともに、配線の分岐により、インバータ72に電気的に接続されている。
これにより、DC/DCコンバータ74からモータ71への電力は、インバータ72において直流電力から三相交流電力に変換され、三相交流電力としてモータ71に供給される。
2.燃料電池システムによる発電
上記した燃料電池システム2において、コントロールユニット70の制御により、燃料供給弁31が開かれ、燃料供給ポンプ30および燃料還流ポンプ38が駆動されることにより、液体燃料が、燃料供給ライン25を介してアノード9に供給される。
一方、空気供給弁44が開かれ、空気供給ポンプ43が駆動されることにより、空気が空気供給ライン41を介してカソード10に供給される。
なお、燃料供給弁31は、液体燃料が所定量供給されるように、コントロールユニット70の制御により、適宜開閉される。
アノード9では、液体燃料が、アノード電極11と接触しながら燃料供給路13を通過する。
一方、カソード10では、空気が、カソード電極16と接触しながら空気供給路18を通過する。
そして、各電極(アノード電極11およびカソード電極16)において電気化学反応が生じ、起電力が発生する。例えば、アニオン交換型燃料電池であって、液体燃料がヒドラジンである場合には、電気化学反応は、下記式(1)〜(3)の通りとなる。
(1) N+4OH→N+4HO+4e (アノード電極11での反応)
(2) O+2HO+4e→4OH (カソード電極16での反応)
(3) N+O→N+2HO (燃料電池3全体での反応)
すなわち、ヒドラジンが供給されたアノード電極11では、ヒドラジンとカソード電極16での反応で生成した水酸化物イオン(OH)とが反応して、窒素(N)および水(HO)が生成するとともに、電子(e)が発生する(上記式(1)参照)。
そして、アノード電極11で発生した電子(e)は、図示しない外部回路を経由してカソード電極16に到達する。つまり、この外部回路を通過する電子(e)が、電流となる。
一方、カソード電極16では、電子(e)と、外部からの供給もしくは燃料電池3での反応で生成した水(HO)と、空気供給路18を流れる空気中の酸素(O)とが反応して、水酸化物イオン(OH)が生成する(上記式(2)参照)。
そして、生成した水酸化物イオン(OH)が、電解質層8を通過してアノード電極11に到達し、上記と同様の反応(上記式(1)参照)が生じる。
このようなアノード電極11およびカソード電極16での電気化学的反応が連続的に生じることによって、燃料電池3全体として、上記式(3)で表わされる反応が生じて、燃料電池3に起電力が発生する。
そして、発生した起電力が、配線を介して、DC/DCコンバータ74に送電され、動力部7では、インバータ72およびモータ71、および/または、動力用バッテリ73に送電される。そして、モータ71では、インバータ72により三相交流電力に変換された電気エネルギが電動車両1の車輪を駆動させる機械エネルギに変換される。一方、動力用バッテリ73では、その電力が充電される。
また、燃料電池3(アノード9)から排出される排出液は、燃料排出ライン26を通過して、上流側の底部流通口33から第1気液分離器27に流入する。
第1気液分離器27では、未反応のヒドラジンおよび反応生成水(上記式(1)のHO)と、ガス(反応生成物(後述)を含む)とが分離され、未反応のヒドラジンおよび反応生成水は還流ライン28に流入され、水分離装置47に供給される。
水分離装置47によって、未反応のヒドラジンと反応生成水とが分離される。分離された反応生成水は、水分供給ライン49を介して、空気供給ライン41(空気供給弁44の下流側、かつ、燃料電池3の上流側の空気供給ライン41)へ供給される。
これにより、空気供給ライン41に供給される空気が加湿される。
一方、水分離装置47によって分離された未反応のヒドラジンは、還流ライン28を介して、燃料供給ライン25へ供給される。
3.除去手段
上記した燃料電池システム2において、合流ライン81の流れ方向途中には、反応生成物(後述)を除去する除去手段の一例としての吸着筒82が介在されている。
吸着筒82は、具体的には、吸着筒82の流れ方向と、合流ライン81の流れ方向(電動車両1の前後方向)とが、互いに直交するように、合流ライン81の流れ方向途中に介在されている。すなわち、吸着筒82の流れ方向は、電動車両1の上下方向に沿う。
吸着筒82は、図4に示すように、ケーシング83と、入口側分離部材84と、出口側分離部材85と、中央分離部材86と、第1センサー100と、第2センサー101と、観察部の一例としてのモニター制御部102とを備えている。
ケーシング83は、未消費の空気とともに、反応生成物(後述)を流入する流入部88と、流入部88よりも下流側に連続して接続され、第1吸着材98(後述)および第2吸着材99(後述)を充填する充填部89と、充填部89よりも下流側に連続して接続され、未消費の空気を排出する排出部90とを備える。
流入部88は、中空の円筒形状を有し、合流ライン81の外径と同じ内径を有する。流入部88の上(上流側)端部は、合流ライン81と接続される。詳しくは、合流ライン81の吸着筒82より上流側の端部は、下方に向かってL字状に屈曲して流入部88に嵌合している。
充填部89は、中央円筒部92と、中央円筒部92よりも上流側に連続して接続される上側漏斗部93と、中央円筒部92よりも下流側に連続して接続される下側漏斗部94とを一体的に備える。
中央円筒部92は、充填部89の中央に位置し、中空の円筒形状を有する。中央円筒部92の内径は、合流ライン81よりも大きい。具体的には、中央円筒部92の内径は、合流ライン81の内径の例えば、2倍以上20倍以下である。
上側漏斗部93は、中央円筒部92から連続して上流側に向かうにつれて縮径する略漏斗形状に形成されている。
下側漏斗部94は、中央円筒部92から連続して下流側に向かうにつれて縮径する略漏斗形状に形成されている。
排出部90は、中空の円筒形状を有し、合流ライン81の外径と同じ内径を有する。排出部90の下(下流側)端部は、合流ライン81と接続される。詳しくは、合流ライン81の吸着筒82より下流側の端部は、上方に向かってL字状に屈曲して排出部90に嵌合している。
入口側分離部材84は、流入部88の内径と同じ外径を有する円柱状形状を有し、合流ライン81よりも下流側において、流入部88内に嵌合されている。
このような入口側分離部材84は、第1吸着材98(後述)の通過を阻止するとともに、未消費の空気および反応生成物(後述)の通過を許容するメッシュ部材からなる。入口側分離部材84には、第1吸着材98(後述)の大きさよりも小さな穴が多数整列配置されている。
出口側分離部材85は、排出部90の内径と同じ外径を有する円柱状形状を有し、合流ライン81よりも上流側において、排出部90内に嵌合されている。
このような出口側分離部材85は、第2吸着材99(後述)の通過を阻止するとともに、未消費の空気の通過を許容するメッシュ部材からなる。出口側分離部材85には、第2吸着材99(後述)の大きさよりも小さな穴が多数整列配置されている。
中央分離部材86は、中央円筒部92の内径と同じ外径を有する円板状形状を有し、中央円筒部92内(ケーシング83内)の上下方向中央に嵌合されている。
このような中央分離部材86は、第1吸着材98(後述)および第2吸着材99(後述)の通過を阻止するとともに、未消費の空気および反応生成物(後述)の通過を許容するメッシュ部材からなる。このような中央分離部材86には、第1吸着材98(後述)および第2吸着材99(後述)の大きさよりも小さな穴が多数整列配置されている。
このような中央分離部材86によって、中央円筒部92内(ケーシング83内)は、上下方向に区画されている。具体的には、中央分離部材86の上下方向に対して、相対的に上側(上流側)(詳しくは、上側漏斗部93の上流側端部から、中央分離部材86の上流側端部)は、第1吸着材98(後述)が充填される第1充填部95として区画され、中央分離部材86の上下方向に対して、相対的に下側(下流側)(詳しくは、中央分離部材86の下流側端部から、下側漏斗部94の下流側端部)は、第2吸着材99(後述)が充填される第2充填部96として区画されている。すなわち、ケーシング83は、第1吸着材98(後述)が充填される第1充填部95と、第1充填部95よりも下流側において、第2吸着材99(後述)が充填される第2充填部96とを備えている。
第1充填部95には、反応生成物(後述)を吸着できる第1吸着材98が充填されている。
第1吸着材98は、反応生成物(後述)の吸着によって発熱または温度変化しない吸着材であって、反応生成物(後述)がアンモニアである場合には、反応生成物(後述)の吸着によって発熱する吸着材として、例えば、ゼオライトが挙げられ、反応生成物(後述)の吸着によって温度変化しない吸着材として、例えば、スルホ基を有するイオン交換樹脂などが挙げられる。
第2充填部96には、反応生成物(後述)を吸着できる第2吸着材99が充填されている。
第2吸着材99は、反応生成物の吸着によって吸熱する吸着材であり、反応生成物(後述)がアンモニアである場合には、例えば、カルボキシル基を有するイオン交換樹脂などのアンモニア吸着材などが挙げられる。
第1センサー100は、第1充填部95内の温度(T)を検知する公知の温度センサーである。第1センサー100は、第1充填部95内(第1充填部95の内壁面)に設けられている。
第2センサー101は、第2充填部96内の温度(T)を検知する公知の温度センサーである。第2センサー101は、第2充填部96内(第2充填部96の内壁面)に設けられている。
モニター制御部102は、第1センサー100および第2センサー101と電気的に接続されている(図4の破線参照)。また、モニター制御部102は、コントロールユニット70と電気的に接続されている(図1の破線参照)。
モニター制御部102には、次に述べるTおよびTの差(温度差)を演算するための演算回路を備えている。モニター制御部102には、第1センサー100によって検知された温度T、および、第2センサー101によって検知された温度Tが入力される。これにより、モニター制御部102は、第1センサー100によって検知された温度T、および、第2センサー101によって検知された温度Tの差(温度差)を演算する。このような演算は、電動車両1の運転時おいて、常時、実施される。そして、この温度差が所定のしきい値以上である場合に、モニター制御部102からコントロールユニット70に通知信号が送信される。
そして、このような吸着筒82によって、反応生成物(後述)を除去する。
詳しくは、合流ライン81を介して、吸着筒82に供給された、未消費の空気および反応生成物(後述)は、流入部88を介して、入口側分離部材84から第1充填部95内に流入する。そして、反応生成物(後述)は、第1吸着材98と接触し、第1吸着材98に反応生成物(後述)が吸着される。その後、未消費の空気は、中央分離部材86から第2充填部96内に流入し、出口側分離部材85から排出部90に流入した後、第2出口側分離部材87から再び合流ライン81に排出される。
4.反応生成物の除去
上記のような燃料電池3では、液体燃料が副反応を惹起し、反応生成物を生じる場合がある。
具体的には、例えば、液体燃料がヒドラジンである場合には、下記式(4)が参照されるように、ヒドラジンが副反応を惹起し、反応生成物としてアンモニアが生じる場合がある。
(4) 2N+O→N+2NH+2H
このような場合、燃料電池3(アノード9)から排出される排出液は、未反応のヒドラジンと、反応生成水(上記式(1)のHO)と、アンモニア(上記式(4)のNH)を含む。そして、この排出液は、燃料排出ライン26を通過して、上流側の底部流通口33から第1気液分離器27に流入する。
第1気液分離器27では、未反応のヒドラジンおよび反応生成水と、アンモニアとが分離される。このとき、アンモニアの大部分は、第1気液分離器27で分離され、分離されたアンモニアは、ガス排出弁37が開かれることにより、ガス排出管36および合流ライン81を介して吸着筒82に供給される。
一方、分離された未反応のヒドラジンおよび反応生成水は、還流ライン28に流入され、水分離装置47に供給される。
水分離装置47によって、未反応のヒドラジンと反応生成水とが、分離される。一方、この反応生成水は、第1気液分離器27で分離できなかったアンモニアを含んでいる場合がある。このような場合には、アンモニアは、反応生成水とともに、水分供給ライン49を介して、空気供給ライン41へ供給される。
その後、このアンモニアは、燃料電池3(カソード10)から空気排出ライン42および合流ライン81を介して吸着筒82に供給される。
一方、単位セル21においては、クロスリーク現象により、アノード9からカソード10に漏出したヒドラジンも副反応を惹起し、反応生成物としてアンモニアが生じる。
このようなアンモニアは、未消費の空気とともに、燃料電池3(カソード10)から空気排出ライン42および合流ライン81を介して吸着筒82に供給される。
つまり、この燃料電池システム2では、燃料供給ライン25から燃料電池3に供給されたヒドラジンの副反応によるアンモニアと、水分離装置47で分離された反応生成水に含まれるアンモニアと、クロスリーク現象により、カソード10に漏出したヒドラジンの副反応によるアンモニアとが、合流ライン81を介して、吸着筒82にまとめて供給される。
まとめて吸着筒82に供給されたアンモニアは、上記したように、第1吸着材98に吸着される。そして、アンモニアが分離された後、未消費の空気は、上記したように、再び合流ライン81に排出される。
5.吸着材の交換の通知
この燃料電池システム2において、第1吸着材98および第2吸着材99の交換時期前(第1吸着材98が劣化する前)には、上記したように、第1吸着材98が、すべてのアンモニアを吸着する。このとき、第1吸着材98がアンモニアの吸着によって発熱する吸着材である場合には、第1充填部95内が温められ、また、第1吸着材98がアンモニアの吸着によって温度変化しない吸着材である場合には、第1充填部95内の温度は変わらない。また、アンモニアとともに、第1充填部95に流入された未消費の空気は、第1充填部95内を通過する。これにより、未消費の空気の温度は、第1充填部95内において、第1センサー100によって検知された温度Tと同じになる。その後、温度が第1センサー100によって検知された温度Tとなった未消費の空気は、中央分離部材86から第2充填部96内に流入される。一方、すべてのアンモニアは、第1吸着材98によって吸着されているため、第2充填部96内には、アンモニアが流入されない。そのため、第2吸着材99がアンモニアを吸着することはなく、第2吸着材99の吸熱は起こらない。そして、温度が、第1センサー100によって検知された温度Tである未消費の空気のみが、第2充填部96内を通過することにより、第2センサー101によって検知された温度Tは、第1センサー100によって検知された温度Tと同じになる。すなわち、このような場合には、TおよびTの温度差は、ほぼゼロに近くなる。
一方、第1吸着材98および第2吸着材99の交換時期が近付く(第1吸着材98が劣化する)と、第1吸着材98が、アンモニアの一部を吸着できなくなる。第1吸着材98が吸着できなかったアンモニアの一部は、未消費の空気とともに、中央分離部材86から第2充填部96内に流入される。そして、第2充填部96内において、第2吸着材99がアンモニアを吸着する。このとき、第2充填部96内が、第2吸着材99の吸着による吸熱によって、冷却される。そのため、第2センサー101によって検知された温度Tは、第1センサー100によって検知された温度Tよりも低くなる。このような場合には、TおよびTに温度差ができる。そして、第1吸着材98の劣化が進むに従って、第1吸着材98によるアンモニアの吸着量が低下する一方、第2吸着材99によるアンモニアの吸着量が増加するため、この温度差は大きくなる。
この燃料電池システム2では、第1センサー100および第2センサー101が、それぞれTおよびTを検知し、モニター制御部102が、第1センサー100によって検知された温度T、および、第2センサー101によって検知された温度Tの温度差を観察する。そして、モニター制御部102は、この温度差が、モニター制御部102に予め設定された所定のしきい値以上である場合に、コントロールユニット70に通知信号を送信する。
そして、通知信号を受け取ったコントロールユニット70は、例えば、電動車両1のインストルメントパネルに交換を表示、警告音などの方法によって、第1吸着材98および第2吸着材99の交換をユーザーに通知する。
所定のしきい値とは、例えば、第1吸着材98および第2吸着材99の種類および充填量などによって、任意に選択できる値であり、例えば、下記式(5)で示される。
(T−T’)−(T−T’)>5〜20 (5)
なお、上記式(5)において、T’およびT’は、それぞれ、所定の時間前のTおよびTの温度を示す。所定の時間とは、吸着筒82に供給されるガスのアンモニア濃度によって決定される。アンモニアの濃度が、例えば、500ppm以上、好ましくは、1000ppm以上、また、例えば、15000ppm以下、好ましくは、3000ppm以下である場合には、所定の時間は、10秒以上、好ましくは、15秒以上であり、また、例えば、30秒以下、好ましくは、25秒以下である。
(変形例)
上記した説明では、充填部89は、中央円筒部92と上側漏斗部93と下側漏斗部94とを一体的に備えたが、これに限定されず、充填部89が上側漏斗部93を備えず、上側漏斗部93に代えて、上側漏斗部93と同一形状の別部材(図示せず)を設けることもできる。
また、上記した説明では、充填部89は、中央円筒部92と上側漏斗部93と下側漏斗部94とを一体的に備えたが、充填部89は、上側漏斗部93および下側漏斗部94のいずれか一方または両方を備えなくてもよい。
また、上記した説明では、モニター制御部102に、所定のしきい値が予め設定されているが、これに限定されず、コントロールユニット70に、所定のしきい値を設定することもできる。このような場合には、まず、第1センサー100によって検知された温度T、および、第2センサー101によって検知された温度Tは、モニター制御部102に入力される。そして、モニター制御部102は、この入力からTおよびTの温度差を演算し、その温度差をコントロールユニット70に入力する。そして、コントロールユニット70は、この温度差が、コントロールユニット70に予め設定された所定のしきい値以上になった場合に、交換を通知する。このような場合には、モニター制御部102およびコントロールユニット70が観測部となる。
また、上記した説明では、モニター制御部102に、第1センサー100によって検知された温度T、および、第2センサー101によって検知された温度Tが入力されたが、モニター制御部102を設けずに、コントロールユニット70に、第1センサー100によって検知された温度T、および、第2センサー101によって検知された温度Tが入力されてもよい。このような場合には、まず、コントロールユニット70は、この入力からTおよびT温度差を演算する。そして、コントロールユニット70は、この温度差が、コントロールユニット70に予め設定された所定のしきい値以上になった場合に、交換を通知する。このような場合には、コントロールユニット70が観測部となる。
6.作用効果
この燃料電池システム2によれば、燃料供給ライン25から燃料電池3に供給され、燃料排出ライン26に排出された反応生成物(第1気液分離器27で分離された反応生成物、および、第1気液分離器27で分離されず、水分離装置47で分離された反応生成水に含まれる反応生成物)と、燃料供給ライン25から燃料電池3に供給され、クロスリーク現象により、空気排出ライン42に排出された未消費の液体燃料の副反応により生成した反応生成物は、合流ライン81を介して、未消費の空気とともに、まとめて吸着筒82に供給される。そして、吸着筒82において、反応生成物を吸着材94と接触させて、分離することができる。
また、合流ライン81に介在された吸着筒82は、アンモニアを除去するための中和剤を貯蔵したタンクよりも小さくできるため、燃料電池システム2の小型化を図ることができる。
しかも、この燃料電池システム2によれば、上記したように、第1吸着材98の劣化が進むに従って、第1センサー100によって検知された温度Tおよび第2センサー101によって検知された温度Tの温度差が大きくなる。
そして、この燃料電池システム2は、上記の温度差を観察するモニター制御部102を備えており、モニター制御部102は、この温度差が所定のしきい値以上である場合に、第1吸着材98および第2吸着材99の交換をコントロールユニット70に通知信号を送信する。
そして、通知信号を受け取ったコントロールユニット70によって、第1吸着材98および第2吸着材99の交換がユーザーに通知される。
そのため、この燃料電池システム2によれば、第1センサー100によって検知された温度T、および、第2センサー101によって検知された温度Tの温度差を観測するという簡易な構成により、第1吸着材98および第2吸着材99の交換時期を判断することができる。
また、この燃料電池システム2によれば、第1吸着材98は、ゼオライトまたはスルホ基を有するイオン交換樹脂であり、第2吸着材99は、カルボキシル基を有するイオン交換樹脂であるため、第1センサー100によって検知された温度T、および、第2センサー101によって検知された温度Tの温度差をより確実にすることができる。
2 燃料電池システム
3 燃料電池
25 燃料供給ライン
26 燃料排出ライン
41 空気供給ライン
42 空気排出ライン
81 合流ライン
82 吸着筒
83 ケーシング
88 流入部
90 排出部
95 第1充填部
96 第2充填部
98 第1吸着材
99 第2吸着材
100 第1センサー
101 第2センサー
102 モニター制御部

Claims (2)

  1. 液体燃料が消費される燃料電池と、
    前記燃料電池に対して液体燃料を供給する燃料供給経路と、
    前記燃料電池に対して空気を供給する空気供給経路と、
    前記液体燃料の反応生成物および反応生成水を含む排出液を、前記燃料電池から排出する燃料排出経路と、
    未消費の空気とともに、前記反応生成物を、前記燃料電池から排出する空気排出経路と、
    前記燃料排出経路および前記空気排出経路が合流する合流経路と、
    前記合流経路に介在され、前記反応生成物を除去する除去手段とを備え、
    前記除去手段は、
    未消費の空気とともに、前記反応生成物を流入する流入部と、
    前記流入部よりも下流側において、第1吸着材が充填される第1充填部と、
    前記第1充填部よりも下流側において、第2吸着材が充填される第2充填部と、
    前記第2充填部よりも下流側において、未消費の空気を排出する排出部とを備えるケーシング、
    前記第1充填部内の温度を検知する第1センサー、
    前記第2充填部内の温度を検知する第2センサー、および、
    前記第1センサーで検知した温度と前記第2センサーで検知した温度との温度差を観察する観察部を備え、
    前記第1吸着材は、前記反応生成物の吸着によって発熱または温度変化しない吸着材であり、
    前記第2吸着材は、前記反応生成物の吸着によって吸熱する吸着材であり、
    前記観察部は、前記温度差が所定のしきい値以上である場合に、前記第1吸着材および前記第2吸着材の交換を通知することを特徴とする、燃料電池システム。
  2. 前記第1吸着材は、ゼオライトまたはスルホ基を有するイオン交換樹脂であり、
    前記第2吸着材は、カルボキシル基を有するイオン交換樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム。
JP2018064241A 2018-03-29 2018-03-29 燃料電池システム Pending JP2019175751A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018064241A JP2019175751A (ja) 2018-03-29 2018-03-29 燃料電池システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018064241A JP2019175751A (ja) 2018-03-29 2018-03-29 燃料電池システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019175751A true JP2019175751A (ja) 2019-10-10

Family

ID=68169612

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018064241A Pending JP2019175751A (ja) 2018-03-29 2018-03-29 燃料電池システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019175751A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7036318B2 (ja) アンモニア分解方法および燃料電池システム
US20070224472A1 (en) Fuel cell system
JP6804848B2 (ja) アンモニア分解方法
JP2019175751A (ja) 燃料電池システム
JP6106457B2 (ja) 燃料電池システム
JP2008166052A (ja) 水浄化装置及びそれを有する燃料電池システム
JP2010251182A (ja) 燃料電池モジュール及びそれを備えた燃料電池搭載車両
JP6378508B2 (ja) 燃料電池システム
JP2016051521A (ja) 燃料電池システム
JP6334931B2 (ja) 燃料電池システム
JP2019175743A (ja) 燃料電池システム
JP6186230B2 (ja) 燃料電池システム
JP6247040B2 (ja) 燃料電池システム
JP2012248522A (ja) 燃料電池システム
JP6411793B2 (ja) 燃料電池システム
JP2016122591A (ja) 燃料電池システムおよびその制御方法
JP2016051612A (ja) 燃料電池システム
JP2010129305A (ja) 燃料電池システム
JP5394191B2 (ja) 燃料電池システム
JP2015185234A (ja) 燃料電池システム
JP6290667B2 (ja) 燃料電池システム
JP2016004643A (ja) 燃料電池システム
JP6510339B2 (ja) 燃料電池システム
JP2005032600A (ja) 気液分離システムおよび気液分離方法
JP6363935B2 (ja) 燃料電池システム