JP2019174236A - 配管の余寿命評価方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1に記載のクリープ寿命評価方法では、ボイラ伝熱管の外径を測定し、測定した外径が所定の基準値に達している場合には、当該ボイラ伝熱管が交換補修時期であると判定するようにしている。
例えばボイラの伝熱管の周方向の位置のうち、燃焼ガスの流れの上流側となる位置と下流側となる位置とでは、伝熱管の温度が異なるおそれがあるため、伝熱管の周方向の一部が径方向外側に膨出する等、伝熱管の径方向外側への変形状態が周方向の位置によって異なることも考えられる。このように、伝熱管の径方向外側への変形状態が周方向の位置によって異なる場合、例えばノギスのような測定装置によって伝熱管の外径を測定すると、測定する周方向の位置によって外径の測定値が異なってしまうため、外径の測定値に伝熱管の径方向外側への変形状態が適切に反映されないおそれがある。そのため、伝熱管の径方向外側への変形状態を適切に把握できず、伝熱管の余寿命の評価精度が低下するおそれがある。
評価対象配管の外周の周長を測定するステップと、
配管の外周の周長と前記配管の余寿命との相関に測定して得られた前記周長を入力することで前記評価対象配管の余寿命を評価するステップと、
を備える。
また、一般的に、円形断面の部材において、径が変化した場合、径の変化量よりも周長の変化量の方が大きい。そのため、ノギスのような測定装置によって直径を直接計測する場合と比べて、評価対象配管の径の変化を把握し易くなる。この点からも、評価対象配管の余寿命の評価精度を向上できる。
さらに、評価対象配管の外周の周長を測定するという簡便な方法によって評価対象配管の余寿命を評価できるので、測定に要する時間を短縮できる。
をさらに備える。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1はボイラ10の概略構成を示す図である。
ボイラ10は、燃焼炉12と、燃焼炉12の上部に連なる煙道14とを有する。
燃焼炉12の火路壁16は水を加熱するための蒸発管を含み、燃焼炉12の上部には、蒸気を過熱するための過熱器18が配置されている。煙道14の下部には、水を予備加熱するための節炭器20が配置されている。また、煙道14の上部には、蒸気を再加熱するための再熱器22が配置されている。
過熱器18で過熱された蒸気(主蒸気)は、例えば、蒸気タービン26に供給され、発電等に利用される。
過熱器18は、入口管寄せ18Aと、出口管寄せ18Cと、複数の過熱管(伝熱管)18Bとを備えている。図2に示した過熱器18では、複数の伝熱管18Bが略U字状且つ平面状に配列された伝熱管パネル18Dが管寄せ18A,18Cの延在方向に複数並ぶように配置されている。
すなわち、過熱器18や再熱器22等の伝熱管は、クリープの進行とともにクリープひずみが累積していくと、クリープ寿命の約8割、すなわち伝熱管の寿命消費率の約80%を経過した辺りから急激に膨張する特性を有する。そのため、伝熱管の外径が過熱器18や再熱器22等の使用開始前からどの程度大きくなったかを調べることで、伝熱管の寿命消費率を非破壊かつ簡便に推定することができる。
ここで、余寿命評価の対象の配管(評価対象配管)は、例えば、過熱器18の伝熱管18Bのように、過熱器18や再熱器22の伝熱管である。
幾つかの実施形態に係る配管の余寿命評価方法は、相関取得ステップS10と、周長測定ステップS20と、余寿命評価ステップS30と、余寿命再評価ステップS50とを備える。
相関取得ステップS10は、配管の外周の周長と配管の余寿命との相関を取得するステップである。
配管の外周の周長と配管の余寿命との相関は、配管の材質、径、肉厚等によって異なる。そこで、相関取得ステップS10では、例えば実験データや文献を参照することで配管の外周の周長と配管の余寿命との相関を取得する。相関取得ステップS10で取得する配管の外周の周長と配管の余寿命との相関は、例えば、クリープによって配管が破断したときをクリープ寿命の寿命消費率を100%とするクリープ寿命の寿命消費率と、配管の外周の周長との関係である。
なお、相関取得ステップS10は、配管の外周の周長と配管の余寿命との相関が既に取得されていれば、その後の配管の余寿命を評価する際に、再び実施する必要はない。
相関取得ステップS10において、例えば評価対象配管となる伝熱管18Bと同種の金属材料を用いて上記の相関を取得することで、評価対象配管の余寿命の評価精度を向上できる。
周長測定ステップS20は、評価対象配管である伝熱管の外周の周長を測定するステップである。周長測定ステップS20では、配管の外周に巻き付け可能な線状又は帯状の測定冶具を評価対象配管である伝熱管の外周に少なくとも1周巻き付ける。そして、測定冶具が伝熱管の外周に巻き付いた長さから伝熱管の外周の周長を求める。
図4(a)に示した測定冶具30は、例えば柔軟性を有する帯状の部材ある。なお、測定冶具30は、柔軟性を有する線状(紐状)の部材であってもよい。すなわち、測定冶具30は、評価対象配管である伝熱管18Bの外周に巻き付けることができ、以下で述べるように、伝熱管18Bの外周の周長Lを直接又は間接的に測定できるものであれば、その形態や形状は図4(a)に例示したものに限定されない。
また、一般的に、円形断面の部材において、径が変化した場合、径の変化量よりも周長の変化量の方が大きい。そのため、ノギスのような測定装置によって直径を直接計測する場合と比べて、伝熱管18Bの径の変化を把握し易くなる。この点からも、伝熱管18Bの余寿命の評価精度を向上できる。
なお、幾つかの実施形態に係る配管の余寿命評価方法は、フェライト鋼の他、オーステナイト系ステンレス、ニッケル基の合金等、様々な材料の配管に対して適用できる。特に、オーステナイト系ステンレスやニッケル基の合金では、フェライト鋼よりもクリープ破断に至るまでのクリープひずみが小さいが、上述したように、ノギスのような測定装置によって直径を直接計測する場合と比べて、幾つかの実施形態に係る配管の余寿命評価方法によれば配管の径の変化を把握し易い。したがって、幾つかの実施形態に係る配管の余寿命評価方法は、オーステナイト系ステンレスやニッケル基の合金等の配管の余寿命評価に適している。
さらに、伝熱管18Bの外周の周長Lを測定するという簡便な方法によって伝熱管18Bの余寿命を評価できるので、測定に要する時間を短縮できる。
周長測定ステップS20において、図6に示すように、測定冶具30を評価対象配管である伝熱管18Bの外周に2周以上巻き付けて、測定冶具30が伝熱管18Bの外周に巻き付いた長さと、測定冶具30を伝熱管18Bに巻き付けた周数とに基づいて伝熱管18Bの外周の周長Lを求めてもよい。なお、図6は、伝熱管18Bに測定冶具30を2周巻き付けた状態を模式的に示している。
このように、測定冶具30を伝熱管18Bの外周に2周以上巻き付けることで、伝熱管18Bの周長Lの測定範囲を伝熱管18Bの軸線方向に拡大することができる。これにより、1回の測定による伝熱管18Bの周長Lの測定範囲を伝熱管18Bの軸線方向に拡大できる。したがって、例えば伝熱管18Bの径方向外側への変形が軸線方向の一部で生じていた場合であっても、伝熱管18Bが径方向外側へ変形していることを把握し易くなる。
この場合、周長Lは、次の(1)式によって求めることができる。
L={(La^2−N^2)^0.5}/N ・・・(1)
なお、ずれ量Zは、測定冶具30が伝熱管18Bの外周に巻き付いた長さLaを測定する始点と終点との軸線方向の離間距離である。
上述した周長測定ステップS20で伝熱管18Bの外周の周長Lを測定した後、余寿命評価ステップS30において、伝熱管18Bの余寿命を評価する。余寿命評価ステップS30では、相関取得ステップS10で取得した配管の外周の周長と配管の余寿命との相関に、周長測定ステップS20で測定して得られた周長Lを入力することで伝熱管18Bの余寿命を評価する。
例えば、幾つかの実施形態に係る余寿命評価ステップS30では、相関取得ステップS10で取得したクリープ寿命の寿命消費率と周長との関係に、周長測定ステップS20で測定して得られた周長Lを入力することで、伝熱管18Bの寿命消費率を算出する。そして、算出された寿命消費率から伝熱管18Bの余寿命を評価することができる。
しかし、今回のボイラ10の定期検査において伝熱管18Bの余寿命が上記Ta[時間]を超えていても、余寿命評価の精度を考慮すると、当該伝熱管18Bは、次回定期検査の時点よりも手前の時点でクリープ破断するおそれがある。
そこで、幾つかの実施形態では、上記閾値は、例えば、次回定期検査までの期間であるTa[時間]の2倍の値(2・Ta)に、さらに裕度を持たせるための1以上の値となる係数c(c>1)を乗じた値(2・c・Ta)とする。
ステップS40において、余寿命評価ステップS30で評価した伝熱管18Bの余寿命が閾値(2・c・Ta)を超えていると判断される場合、当該伝熱管18Bが少なくとも次回定期検査までクリープ破断しないものと判断して、当該伝熱管18Bの余寿命の再評価や当該伝熱管18Bに対する補修等の対策は実施しない。
しかし、ステップS40において、余寿命評価ステップS30で評価した伝熱管18Bの余寿命が閾値(2・c・Ta)以下であると判断される場合、当該伝熱管18Bが次回定期検査までにクリープ破断するおそれがあると判断して、余寿命再評価ステップS50において当該伝熱管18Bの余寿命を再評価する。
余寿命再評価ステップS50は、上述したように、余寿命評価ステップS30で評価した伝熱管18Bの余寿命が上記閾値以下である場合に、当該伝熱管18Bの余寿命を再評価、すなわち、より詳細に余寿命を評価するステップである。
当該伝熱管18Bの余寿命を再評価する方法としては、例えば、当該伝熱管18Bの表面のレプリカを採取し、クリープボイドや析出物などの部材の微視的組織の変化からクリープ損傷を評価するレプリカ法や、超音波を用いる超音波法あるいは電気抵抗の変化により評価する電気抵抗法等の非破壊検査法を挙げることができる。
そして、例えば、再評価した余寿命が上記Ta[時間]をある程度のゆとりをもって超えていれば、当該伝熱管18Bは、次回定期検査の時点までクリープ破断しないと判断することができる。この場合には、当該伝熱管18Bに対する補修等の対策は実施しない。
また、例えば、再評価した余寿命が上記Ta[時間]をある程度のゆとりをもって超えていなければ、当該伝熱管18Bに対する補修等を実施する。
なお、余寿命再評価ステップS50においても、再評価した伝熱管18Bの余寿命が上述したステップS40で設定された閾値(2・c・Ta)以下であるか否かによって、当該伝熱管18Bに対する補修等の対策の要否を判断するようにしてもよい。
これにより、過熱器18や再熱器22のように評価対象配管を備える機器において、検査のために評価対象配管の一部を抜管する等の必要がないので、検査に要する時間や費用を抑制できる。
例えば、上述した幾つかの実施形態では、余寿命再評価ステップS50において非破壊検査法によって伝熱管18Bを検査するようにしているが、余寿命再評価ステップS50において伝熱管18Bを抜管するなどして、伝熱管18Bを検査するようにしてもよい。
18 過熱器
18B 過熱管(伝熱管)
22 再熱器
30 測定冶具
Claims (7)
- 評価対象配管の外周の周長を測定するステップと、
配管の外周の周長と前記配管の余寿命との相関に測定して得られた前記周長を入力することで前記評価対象配管の余寿命を評価するステップと、
を備える配管の余寿命評価方法。 - 前記評価対象配管の外周の周長を測定するステップでは、前記配管の外周に巻き付け可能な線状又は帯状の測定冶具を前記評価対象配管の外周に少なくとも1周巻き付けて、前記測定冶具が前記評価対象配管の外周に巻き付いた長さから前記評価対象配管の外周の周長を求める
請求項1に記載の配管の余寿命評価方法。 - 前記評価対象配管の外周の周長を測定するステップでは、前記測定冶具を前記評価対象配管の外周に2周以上巻き付けて、前記測定冶具が前記評価対象配管の外周に巻き付いた長さと、前記測定冶具を前記評価対象配管に巻き付けた周数とに基づいて前記評価対象配管の外周の周長を求める
請求項2に記載の配管の余寿命評価方法。 - 前記評価対象配管の外周の周長を測定するステップでは、前記測定冶具を前記評価対象配管の軸線方向にずれるように前記評価対象配管の外周に2周以上巻き付けて、前記測定冶具が前記評価対象配管の外周に巻き付いた長さと、前記測定冶具の前記軸線方向へのずれ量と、前記測定冶具を前記評価対象配管に巻き付けた周数とに基づいて前記評価対象配管の外周の周長を求める
請求項3に記載の配管の余寿命評価方法。 - 前記評価対象配管の余寿命を評価するステップで評価した前記評価対象配管の余寿命が閾値以下である場合に、該評価対象配管の余寿命を再評価するステップ
をさらに備える
請求項1乃至4の何れか一項に記載の配管の余寿命評価方法。 - 前記評価対象配管の余寿命を再評価するステップは、前記評価対象配管を非破壊で検査する検査方法によって得られた検査結果に基づいて前記評価対象配管の余寿命を再評価する
請求項5に記載の配管の余寿命評価方法。 - 前記相関を取得するステップをさらに備える
請求項1乃至6の何れか一項に記載の配管の余寿命評価方法。
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