JP2013092405A - 寿命監視装置および寿命監視システム - Google Patents

寿命監視装置および寿命監視システム Download PDF

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Abstract

【課題】部品の余寿命を監視する監視装置において、フィールドで発生した故障実績データを迅速かつ、容易に反映させ、監視装置の信頼性を向上。
【解決手段】部品寿命監視装置は、保守管理業者との間に接続された通信回路網119を通じて、フィールドの故障実績を踏まえた新たな部品信頼性データを受信する。前記部品寿命監視装置はデータの受信を確認すると、当該データと使用環境データから自動的に部品余寿命の修正を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、寿命監視装置および寿命監視システムに関し、特に産業用機器に用いられる部品の余寿命をその使用環境からリアルタイムに計測し、部品寿命による故障発生前に、ユーザに対して交換やメンテナンスを促すメッセージを出力する寿命監視装置および寿命監視システムに関する。
高信頼性と高スループットの双方が求められる産業用機器においては、搭載部品の故障による稼動停止を避けたいという要望が非常に強い。そのため産業用機器では故障を未然に防ぐため、定期的なメンテナンスや部品交換が必要不可欠となっている。
例えば血液分析装置は、救急搬送された患者の血液をすぐさま分析し、その結果に応じた治療を行うことがある。この場合、一時的な故障でも人命に関わる大きな問題となる。また半導体の製造装置、検査装置ではラインの一時停止による経済的損失が大きい。
その一方で、機器に使用される部品の寿命は、使用環境によって左右されることが知られている。すなわち、機器の使用環境次第では、部品メーカが提示している寿命よりも早く経年劣化が進行する場合や、逆に進行が進まない場合がある。
そのため従来では、保守管理業者と顧客の間で定められた定期点検日よりも早く部品が寿命を迎え、機器が故障してしまうことがあった。また、部品の劣化がさほど進んでいないにも関わらず新しい部品に交換してしまい、無駄なコストをかけることがあった。
前記の背景を考慮して、産業用機器の内部にセンサを取り付けて使用環境を測定し、部品の余寿命をリアルタイムで計測し、交換やメンテナンスの時期を事前にユーザに知らせる技術が開示されている。例えば特許文献1においては、機器内部で測定した余寿命のデータを保守管理業者が遠隔監視できる仕組みになっており、部品交換にかかる人や物のコスト削減を行っている。
特開2008−310633号公報
ところで部品メーカが提示している部品の寿命や故障率などの信頼性データは、一般的に実使用試験ではなく加速試験の結果から導出されたものである。加速試験は実使用環境よりも厳しいストレス条件で行われる試験であり、故障の発生を促進させ、短時間で実使用環境の故障率や寿命を推定している。
部品メーカの加速試験は短時間で行われる上、サンプル数も少ないため、必ずしも実使用環境と同等の信頼性データが得られるとは限らない。そのため、部品の推定余寿命をより信頼性の高いものにするためには、メーカが提示している信頼性データに加えて、フィールドでの故障実績データも反映させることが望ましい。
本発明は前記課題を解決するための発明であり、部品の余寿命を監視する監視装置において、フィールドで発生した故障実績データを迅速かつ、容易に反映させ、推定余寿命の信頼性を向上させることを目的としたものである。
前記目的を達成するため、本発明の実施様態は、機器の使用環境をモニタリングし、部品の推定余寿命を算出する監視装置において、使用環境の測定を行うセンサと、推定余寿命の演算を行う演算装置と、推定余寿命の記録を行う記憶装置と、寿命が近づいた際に交換やメンテナンスの実施を促すための警告手段と、フィールドでの故障実績を踏まえた新たな部品信頼性データ(以下、フィールドデータ)を受信し、データの反映完了を発信するための通信手段と、を備えたものである。
本発明によれば、フィールドでの部品故障データを反映させることでより信頼性の高い余寿命推定ができる。また、迅速なデータ修正により同一要因による機器の故障を最小限に留めることができる。
監視対象機器の主な構成を示す図。 部品余寿命データベースの構成例を示す図。 部品の交換を促すメッセージ例を示す図。 保守管理システムの構成を示す図。 フィールドデータの反映工程を示すフローチャート図。 実施形態2における監視対象機器の構成を示す図。 実施形態2における保守管理システムの構成を示す図。 実施形態2におけるデータサーバの内部構成を示す図。 実施形態2におけるフィールドデータの反映工程を示すフローチャート図。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
<実施形態1>
図1は本発明における監視対象機器101の主な構成を示す図である。監視対象機器は使用環境を測定する温度センサ102、湿度センサ103、電圧センサ104から構成されるセンサ部105と、使用時間を測定するカウンタ106と、部品の余寿命計算及び警告判定を行う演算部107と、部品の余寿命データや判定閾値116を格納する記憶部108と、メンテナンスや交換をユーザに促すための表示部109と、保守管理業者との通信を目的とした通信部110とを備える。
なお本実施形態では監視対象機器101に監視装置の役割を果たすセンサ部105や演算部107などが全て組み込まれた構成とするが、演算部107、記憶部108、表示部109、通信部110は別途用意された監視用端末に搭載されていても良い。
記憶部108はフラッシュメモリやROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリやHDDのような記憶装置によって構成される。記憶部108には、部品信頼性データベース113、部品余寿命データベース114、使用環境データベース115、判定閾値116が格納される。
部品信頼性データベース113には、部品メーカが出荷時に示すデータが部品ごとに記憶されている。例えば、下記で説明するアレニウスの法則を用いた具体例では、定数Aや活性化エネルギーEa等の値である。部品メーカは一般的に、加速試験の結果からこれらの値を導出し、使用温度Tにおける推定寿命Lを公表する。
使用環境データベース115には、部品の総使用時間や使用された温度等の環境データが記憶されている。
判定閾値116は、部品交換の目安となる時期(寿命)を示した値である。例えば、ある部品につき、装置メーカやメンテナンス業者が「寿命が1年の時に交換する」と決めた場合、その部品の判定閾値は「1年」となる。判定閾値は、装置の出荷時にメーカが自由に設定することができ、また顧客の要望等に応じて随時変更できるものとする。
表示部109はCRT(陰極線管)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの表示デバイスによって構成される。
カウンタ106は前記監視対象機器101の動作時間を測定することに加え、あらかじめ設定した任意の周期でセンサ部105に対して測定値の出力命令を出し、使用環境のサンプリングを行う。サンプリングした使用環境のデータは記憶部108内の使用環境データベース115に格納する。
演算部107内の余寿命演算部111は任意の周期(例えば1日1回)で記憶部108内の使用環境データ、部品余寿命データ、部品信頼性データを読み込み、読み込んだ各データを元に部品余寿命の演算を行う。演算結果は記憶部108内の部品余寿命データベース114に格納する。
図2に部品余寿命データベース114の例を示す。データベースには監視対象機器101に搭載されている部品名称201、メーカ202、型式203、使用基板204、番地205(プリント基板内での搭載場所)、総使用時間206、周辺温度207、推定余寿命208が記録されている。ここで、周辺温度207は当該部品の番地205の最も近くに配置されている温度センサ102の値を用いる。
部品余寿命は部品信頼性データベース113及び使用環境データベース115を用いて計算される。
寿命推定のモデルとして、例えば使用環境データとして温度ストレスを用いて余寿命を計算するアレニウスの法則や、使用環境データとして湿度や電圧のストレスを用いて余寿命を計算するアイリングモデルなどがある。
アレニウスの法則は以下の式で求められる。
(L:推定寿命、A:定数(頻度因子)、Ea:活性化エネルギー、K:ボルツマン定数、T:絶対温度)
また、アイリングモデルは以下の式で求められる。
(L:推定寿命、A:定数(頻度因子)、Ea:活性化エネルギー、K:ボルツマン定数、T:絶対温度、f:相対湿度関数、g:電圧関数)
演算部107は、部品信頼性データベース113及び使用環境データベース115を上記の余寿命推定モデルに代入して推定寿命を算出し、そこから使用環境データベース115に記憶された総使用時間を引いて余寿命を計算する。余寿命演算部111で余寿命計算を行った後、メンテナンス判定部112に余寿命データを送る。メンテナンス判定部112は前記余寿命データと記憶部108から読み出した判定閾値116との比較を行い、寿命判定を行う。
寿命判定の結果が判定閾値116を下回っていた場合、演算部107は表示部109に対して部品交換が必要である旨を知らせるメッセージ301を送信する(例えば図3)。
部品余寿命データベース114に記憶されていた余寿命のデータは、推定された余寿命と比較して、必要があれば判断の対象とする。
併せて、通信制御部118は部品余寿命データベース114から監視対象機器101に搭載される全部品の余寿命データを取り出し、外部通信インタフェース117と通信回路網119を介して保守管理業者の管理端末401にデータを送信する。保守管理業者は受信したデータの送信元アドレスと、送信された部品余寿命データから、どのユーザのどの部品に寿命が近づいているのかを判断する。
前記手法により、保守管理業者と顧客が部品寿命の到来を同時に把握することができ、交換部品の準備やメンテナンスの日程調整をスムーズに行うことができる。
以下にフィールドデータを監視対象機器に反映させるための形態を示す。
図4はフィールドデータの反映を通信回路網119を用いて容易に実現するための保守管理システムを示した図である。本システムは、保守管理業者の管理端末401と、各顧客が保有する監視対象機器101と、顧客と保守管理業者の間を繋ぐ通信回路網119によって構成される。
保守管理業者の管理端末401には管理対象となる全ての部品の信頼性データが格納されており、それぞれ使用されている機器および機器を設置している顧客の情報が閲覧可能となっている。
図5にフィールド故障発生時における余寿命再計算のフローチャート図を示す。フィールドで部品故障が発生すると(ステップ501)、機器製造元もしくは保守管理業者は、部品の信頼性データを修正すべきか判断する(ステップ502)。修正すべきと判断すれば、保守管理業者は管理端末401内の当該部品の信頼性データをフィールドデータに更新する(ステップ503)。
前記フィールドデータ更新後、保守管理業者は管理端末401から当該部品を使用している顧客及び監視対象機器101の情報を調べ(ステップ504)、通信回路網119を通じて監視対象機器101に対してフィールドデータを送信する(ステップ505)。
顧客側の監視対象機器101の通信制御部118は前記データを受信すると(ステップ506)、記憶部108の部品信頼性データベース113を更新すると共に(ステップ507)、余寿命演算部111に対して部品余寿命の再計算命令を出す。余寿命演算部111は更新時における最新の使用環境データと余寿命データを元に余寿命の再計算を行い(ステップ508)、メンテナンス判定部112は閾値判定を行う。
余寿命計算の方法としてアレニウスの法則を用いる場合の、余寿命再計算方法について例を示す。保守管理業者もしくは機器製造元は、部品メーカが提示する信頼性データとフィールドでの実故障データの両方を用い、アレニウスプロットを再度実施する。そこで導出された活性化エネルギー(Ea)と頻度因子(A)を新たな部品信頼性データとして更新することで、顧客はそれぞれの機器の使用環境に合った補正を行うことができる。
前記閾値判定を終えると、通信制御部118は保守管理業者に対して余寿命再計算が終了したことを示すメッセージを送信する。保守管理業者の管理端末401は前記メッセージの受信を確認した時点で、フィールドデータの反映を正常に終えたと判断する。
本実施形態によれば、フィールドで部品故障が発生した際、通信回路網119を用いた迅速なデータ修正を行うことができる。これにより、同一要因による機器の故障を最小限にとどめることができる。
また本実施形態によれば、フィールドデータの反映は保守管理業者の作業のみで実施されることになり、顧客に負担をかけることが無い。
<実施形態2>
図6に実施形態2における余寿命監視対象機器601の構成図を示す。図6は演算部と記憶部が無い点以外は、図1と全く同様である。そのため構成図の説明は省略する。
図7に実施形態2におけるシステム全体図を示す。本システムは監視対象機器601と、保守管理業者の管理するデータサーバ701と、余寿命の演算を行う演算装置702と、管理端末401と、顧客と保守管理業者とを繋ぐ通信回路網119とで構成される。
前記管理端末401には実施形態1と同様、管理対象となる全部品の信頼性データが格納されている。
データサーバ701は各顧客の顧客データベース801から構成されている。各顧客データベースには、顧客名802、使用機器データ803が格納されている(図8参照のこと)。
前記使用機器データ803は、機器名称804、機器型式805のほか、当該機器の部品信頼性データベース113、部品余寿命データベース114、使用環境データベース115、判定閾値116によって構成される。
実施形態1と同様、監視対象機器601ではセンサ部105による使用環境の測定と、カウンタ106による使用時間の測定を行う。センサ部105及びカウンタ106はそれぞれ任意の周期で測定値を通信制御部118に送り、通信制御部118は外部通信インタフェース117と通信回路網119を介して保守管理業者の顧客データベース801に送信する。
保守管理業者の演算装置702は任意の周期で顧客データベース801にアクセスし、使用環境データと部品信頼性データ、および部品余寿命データを元に、部品余寿命の演算を自動的に行う。
余寿命の演算を終えると判定閾値116との比較を行い、もし判定閾値116を下回っていた場合には管理端末401にその旨を示すメッセージが表示され、同時に通信回路網119を通じて顧客の監視対象機器601に送信される。判定閾値116を上回っていた場合には、そのまま次の余寿命演算まで待機するか、もしくは他の顧客装置の余寿命演算を行う。
監視対象機器601の通信制御部118は前記メッセージの受信を確認すると、表示部109に対してメッセージの表示命令を出す。表示部109は命令を受け、メンテナンス推奨表示120を表示する。
前記と並行して、保守管理業者は管理端末401へのメッセージ受信を確認すると、当該部品の在庫確認や顧客とのメンテナンス日程の調整などを行う。
実施形態2において、顧客は通信回路網119を通じて保守管理業者のデータサーバ701にアクセスした後、顧客IDと機器ID、パスワードを用いて自身の顧客データベース801にアクセスすることができ、部品の余寿命データを自由に閲覧できる。
顧客IDと機器ID、パスワードは保守管理業者から顧客に提供されるもので、顧客IDは顧客1社(もしくは1箇所)につき1つ発行され、機器IDは各機器ごとに発行される。パスワードの初期値は保守管理業者が設定して良いが、それ以降は顧客が自由に変更可能とする。
以下、図9を参照しながら実施形態2におけるフィールドデータ更新方法について示す。当該部品を使用している顧客及び監視対象機器101の情報を調べる(ステップ504)までは図5のフローと同様であるため、説明は省略する。
保守管理業者は次に当該部品を使用している各顧客の顧客データベース801へアクセスし(ステップ901)、前回送信された使用環境のデータと、部品余寿命データ、及び新しい部品信頼性データによって余寿命の再計算を行い、閾値判定を行う(ステップ902)。
閾値判定を終えた時点で、フィールドデータの反映作業は終了とする(ステップ511)。
実施形態2によれば、図1における余寿命の演算部107やデータの記憶部108が監視対象機器101から外れるため、機器のコスト削減、サイズ縮小を図りつつ信頼性の高い余寿命演算を行うことができる。
101、601 監視対象機器
102 温度センサ
103 湿度センサ
104 電圧センサ
105 センサ部
106 カウンタ
107 演算部
108 記憶部
109 表示部
110 通信部
111 余寿命演算部
113 部品信頼性データベース
114 部品余寿命データベース
115 使用環境データベース
116 判定閾値
117 外部通信インタフェース
118 通信制御部
119 通信回路網
201 部品名称
202 メーカ
203 型式
204 使用基板
205 番地
206 総使用時間
207 周辺温度
208 推定余寿命
301 メッセージ
401 管理端末
701 データサーバ
702 演算装置
801 顧客データベース
802 顧客名

Claims (4)

  1. 機器の使用環境をモニタリングし、部品の推定余寿命を算出する監視装置において、使用環境の測定を行うセンサと、推定余寿命の演算を行う演算装置と、推定余寿命の記録を行う記憶装置と、寿命が近づいた際に交換やメンテナンスの実施を促すための警告手段と、を備えたことを特徴とする部品寿命監視装置。
  2. 請求項1の記載において、
    前記演算装置は、前記フィールドデータの受信を確認し、自動的に部品余寿命の再計算を行うことを特徴とする部品寿命監視装置。
  3. 請求項1の記載において、
    前記フィールドデータは、フィールドでの当該部品の故障実績と、メーカが提示する加速試験のデータから算出されることを特徴とする部品寿命監視装置。
  4. 請求項1の記載において、
    前記推定余寿命は前記フィールドデータと前記使用環境データから算出されることを特徴とする部品寿命監視装置。
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