JP2019173968A - 管継手、および継手構造 - Google Patents
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Abstract
Description
この管継手では、断熱層が設けられているので、例えば内部に冷水が流れた時に、受け口部の外周面に結露が生じるのを抑えることができる。
本発明に係る管継手は、断熱層が設けられた管継手であって、管が接続される複数の受け口部を備え、前記受け口部の中心軸線に沿う軸方向の大きさL(mm)と、前記受け口部内における前記断熱層の前記軸方向の大きさF(mm)と、は、下記(1)式を満たしていることを特徴とする。
0.03<F/L<0.5…(1)
すなわち、F/Lが0.03よりも大きいので、受け口部における断熱層の大きさを確保することで、受け口部に結露が生じるのを確実に抑制することができる。一方、仮にF/Lが0.03以下の場合には、受け口部に結露が生じやすくなる。
4<L/T<13…(2)
この場合、受け口部が透明であるので、受け口部に接続された管の状態を、受け口部の外部から視認することで、受け口部に確実に管を接続することができる。
以下、図1および図2を用いて、本発明の第1実施形態に係る継手構造1を説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る継手構造1は、管10と、管10が接続される管継手20と、を備えている。
継手構造1は、例えば空調設備100に接続され、内部に空調設備100からの低温のドレン排水が流れる。
図2に示すように、管10は、塩化ビニル系樹脂を含む筒状の発泡層11と、発泡層11の内面に設けられ、塩化ビニル系樹脂を含む非発泡内層12と、発泡層11の外面に設けられ、塩化ビニル系樹脂を含む非発泡外層13と、を備えている。
管10の線膨張係数は5×10−5/℃以上、7×10−5/℃以未満であることが好ましい。管10の線膨張係数が大きい場合には、管10の伸長により管継手20の後述する受け口部21に係る応力が高くなり、受け口部21に割れが発生するおそれがある。
なお、本実施形態における管継手20は、後述するように受け口部21に断熱層25を備えている。そのため、前記接着剤が塗布されていることが確認(視認)し難い。よって、接着剤としては、紫外線の照射により蛍光を発する蛍光剤を含有する接着剤が好ましい。
縦弾性係数を上記数値範囲内とすることにより、管10が外力を受けた際、曲げや伸びの変形を抑えつつ、これらの外力に柔軟に追従して管10が破壊されるのを防ぐことができる。
縦弾性係数は、塩化ビニル系樹脂の重合度や発泡層の発泡倍率、発泡層11、非発泡内層12、非発泡外層13のそれぞれの厚さ等により調節することができる。
非発泡内層12は、塩化ビニル系樹脂を含む。塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単量体の単独重合体(ポリ塩化ビニル)でもよいし、塩化ビニル単量体と、該塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
上記塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、塩化アリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、無水マレイン酸、アクリロニトリル等の単量体が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
非発泡内層12は塩化ビニル系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。該熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブテン、塩素化ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
非発泡内層12において、樹脂の総質量に対する塩化ビニル系樹脂の含有量は、80質量%以上95質量%以下が好ましく、85質量%以上90質量%以下がより好ましい。
一方、発泡層11の独立気泡率が高い場合、発泡層11自身がドレン排水の浸透を防ぐため、非発泡内層12としては厚さを0.6mm以上1.5mm以下としてもよく、管10を軽量にできる。また、発泡層11の厚さを厚くできるため、管10を断熱性に優れたものにできる。
発泡層11は、塩化ビニル系樹脂を含む樹脂と発泡剤とを含む発泡層用熱可塑性樹脂組成物を発泡させて形成される。塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単量体の単独重合体(ポリ塩化ビニル)でもよいし、塩化ビニル単量体と、該塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
発泡層11は塩化ビニル系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。該熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブテン、塩素化ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
発泡層11において、樹脂の総質量に対する塩化ビニル系樹脂の含有量は、70質量%以上80質量%以下が好ましく、70質量%以上75質量%以下がより好ましい。
質量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準物質とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定値である。
塩化ビニル系樹脂がポリ塩化ビニルの場合、ポリ塩化ビニルの平均重合度は600以上800以下が好ましく、600以上700以下がより好ましい。
なお、平均重合度は、質量平均分子量をクロロエチレンの分子量で除することにより算出できる。
塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル系樹脂と同じでもよいし異なっていてもよい。
発泡層11がアクリル系高分子化合物を含む場合、アクリル系高分子化合物の含有量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下が好ましく、12質量部以上36質量部以下がより好ましく、18質量部以上24質量部以下がさらに好ましい。
発泡層11の厚さは、4.0mm以上10mm以下が好ましい。
揮発性発泡剤としては、例えば脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン等が挙げられる。このうち脂肪族炭化水素としては、例えばプロパン、ブタン(ノルマルブタン、イソブタン)、ペンタン(ノルマルペンタン、イソペンタンなど)等が挙げられ、脂環族炭化水素としては、例えばシクロペンタン、シクロへキサン等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素としては、例えばトリクロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素等の1種又は2種以上が挙げられる。さらにエーテルとしては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル等が挙げられ、ケトンとしては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
その他、炭酸ガス、窒素、空気等のガスを発泡剤として用いてもよい。
これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
発泡剤の使用量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、1質量部以上8質量部以下が好ましく、2質量部以上5質量部以下がより好ましい。
発泡層11には、滑剤が含まれていてもよい。滑剤が含まれていることにより、金属面との滑り性や樹脂間の滑り性を保持しやすくなる。滑剤としては、エステル系、ポリエチレン系、酸化ポリエチレン系が好ましい。
発泡層11の発泡倍率は、3.5倍以上10倍以下であり、4.0倍以上8倍以下が好ましく、4.5倍以上6.0倍以下がより好ましい。
発泡倍率を上記数値範囲内とすることにより、高い断熱性を付与することができる。また、発泡倍率を上記数値範囲内とすることにより、管10を軽量にできる。
発泡倍率は、樹脂の種類又は量、発泡剤の種類又は量、製造条件等により調節することができる。
[発泡倍率の測定方法]
管10から円周方向10mm以上、軸方向50mmを切り出し、非発泡内層12及び非発泡外層13をフライスで切削し、発泡層11だけを長さ約50mm程度の板状に加工したものを試験片とする。なお、試験片は内周方向に均等に4分割した点を中心に4個作成するものとする。
試験片をJIS K 7112:1999に従い、23℃±2℃で水置換式比重測定機で見かけ密度を小数点以下3桁まで求め、下記式(1)により発泡倍率を算出する。
m=γc/γ ・・・(1)
[式(1)中、mは発泡倍率であり、γは発泡層11の見かけ密度(g/cm3)であり、γcは発泡層11の未発泡時の密度(g/cm3)である。]
独立気泡率を上記数値範囲内とすることにより、コストを抑えつつ断熱性を向上させ、発泡層11への水の浸透を防止でき、管継手20の受け口部21の表面に結露が発生するのを防ぐことができる。また、発泡層11の独立気泡率が上記数値範囲内であると、後述する非発泡外層13の厚さを薄くしても外部から水が浸透しにくく、断熱性が低下するおそれが低い。
なお、独立気泡率は、JIS K 7138:2006に準拠して測定される。管10を30mmの長さに切断し、周長20mmとなるように周方向に切断し、カッターにて非発泡内層12と非発泡外層13とを除去したものを試験片とする。温度が23℃±2℃の条件下、空気比較式比重計によって前記試験片の体積を測定する。JIS K 7112:1999に従い、温度が23℃±2℃の条件下、水置換式比重計によって前記試験片の体積を測定する。下記式(2)により独立気泡率を算出する。
Cc=(Va/Vaq)×100 ・・・(2)
[式(2)中、Ccは独立気泡率(%)であり、Vaは空気比較式体積(cm3)であり、Vaqは水置換法体積(cm3)である。]
独立気泡率は、樹脂の種類又は量、発泡剤の種類又は量、製造条件等により調節することができる。
発泡層11と非発泡内層12との融着強度は1.0MPa以上であり、1.5Pa以上が好ましく、2.0MPa以上がより好ましい。
融着強度を上記範囲内とすることにより、発泡層11と非発泡内層12とが剥離することを防止できる。
[融着強度の測定方法]
図14に示す万能試験機50を用意した。万能試験機50は、抜き打ち治具51と図示略の2枚の圧縮板とを備える。抜き打ち治具51は、台座部51aと台座部51aの上方に配置された押込部51bとを備える。そして抜き打ち治具51は、図示略の2枚の圧縮板に挟まれている。
次に、管10を管軸方向20mm幅の管状に切り取ったものを試験片とした。試験片Pは、非発泡内層12と発泡層11と非発泡外層13(図14では図示略)とを有する。
温度が23℃±2℃、湿度が常湿(45〜85%)の条件下、試験片Pを万能試験機50の台座部51aと押込部51bとの間にセットする。2枚の圧縮板により管軸の方向に毎分10mm/min±2mm/minの速さで試験片Pを圧縮する。非発泡内層12と発泡層11との融着面が剥離する際の最大荷重を求め、下記式(3)及び(4)で融着強度を算出する。
F=W/S ・・・(3)
S=3.14×d×L・・・(4)
[式(3)及び(4)中、Fは融着強度(MPa)であり、Wは最大荷重(N)であり、Sは融着面積(cm2)であり、dは非発泡内層12の平均外径(cm)であり、Lは試験片Pの長さ(cm)である。]
融着強度は、樹脂の種類又は量、発泡剤の種類又は量、製造条件等により調節することができる。
発泡層11の平均気泡径は、30μm以上400μm以下であり、50μm以上400μm以下が好ましく、50μm以上250μm以下がより好ましく、60μm以上200μm以下がさらに好ましい。
平均気泡径を上記数値範囲内とすることにより、断熱性を向上させ、発泡層11への水の浸透を防止できる。気泡が完全な独立気泡(独立気泡率が100%)でなく、気泡壁が一部連通していて水の浸透が可能であっても、平均気泡径を上記数値範囲とし、かつ、独立気泡率が上記数値範囲内であれば、水が発泡層11の内部深くまで浸透することは無く、実用において断熱性能が問題となることは無い。
平均気泡径は、樹脂の種類又は量、発泡剤の種類又は量、製造条件等により調節することができる。
[平均気泡径の測定]
JIS K 6402に記載された方法を参考にし、走査型電子顕微鏡(SEM)で50倍に拡大して撮影した空調ドレン用管の発泡層11における円周方向断面画像上に得られた写真の任意の位置に9cmの長さ(実際の断面における1,800μmに相当する)の直線を4本引き、各直線が横切った気泡の数の平均値を求める。平均気泡径は横切った気泡の数の平均値で1,800μmを除すことで算出する。
非発泡外層13は、塩化ビニル系樹脂を含む。塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単量体の単独重合体(ポリ塩化ビニル)でもよいし、塩化ビニル単量体と、該塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
上記塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、塩化アリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、無水マレイン酸、アクリロニトリル等の単量体が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
非発泡外層13は塩化ビニル系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。該熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブテン、塩素化ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
非発泡外層13において、樹脂の総質量に対する塩化ビニル系樹脂の含有量は、80質量%以上95質量%以下が好ましく、85質量%以上90質量%以下がより好ましい。
外部からの衝撃により強くする場合には、非発泡外層13の厚さは、1.0mm以上5.0mm以下が好ましく、1.5mm以上3.5mm以下がより好ましい。
非発泡外層13には顔料が含まれていてもよい。顔料が含まれていることにより、外観を良好にできる。
非発泡外層13と発泡層11と非発泡内層12とからなる3層構造の管10は、例えば図15に示す製造装置60を用いて製造される。
この例の製造装置60は、第1押出成形機61と、第2押出成形機62と、真空サイジング装置63と、引取機64と、切断機65とを備える。
なお、非発泡外層13及び非発泡内層12を構成する樹脂組成物は同じでなくともよく、その場合には第3押出成形機を設け、非発泡外層13または非発泡内層12を構成する樹脂組成物を押出し、成形部72に供給して積層させてもよい。
成形温度が170℃未満であると、樹脂組成物(B−1)と樹脂組成物(B−2)の混練状態が悪く、密着性に劣る。成形温度が180℃を超えると、金型70までに発泡剤によって形成された気泡が膨張しすぎ、後述の真空サイジング工程における賦形で気泡が連通化して独立気泡率が低下する。
真空室82における気圧(真空度)は−2kPa以下−100kPa以上であることが好ましい。前記気圧が−2kPaより大きい(真空度が低い)と、管10内の空気からかかる圧力が弱く、非発泡内層12と発泡層11との融着強度が劣るほか、気泡が膨張しすぎて独立気泡率が低下する。前記気圧が−100kPaより小さい(真空度が高い)と発泡層11の気泡が押しつぶされ、発泡倍率が低下する。
図2に示すように、管継手20は、管10が接続される複数の受け口部21と、複数の受け口部21を連結する継手本体22と、を備えている。
受け口部21は筒状をなしている。以下の説明において、受け口部21の中心軸線Oに沿う方向を軸方向といい、軸方向と直交する方向を径方向という。
継手本体22はL字状のエルボ形状をなしている。継手本体22には2つの受け口部21が連結されている。2つの受け口部21それぞれの中心軸線Oは、互いに直交している。
継手本体22および受け口部21を、合成樹脂材料の射出成形により一体に形成する方法としては、特開平11−201382号に記載された製造方法を参考にすることができる。
具体的には、金型内に設けられた継手本体22を形成するためのキャビティ(空間)に樹脂を供給するためのゲートから非発泡性樹脂を射出したのち、断熱層25となる発泡性樹脂を金型内に注入する。
これにより、発泡性樹脂の注入圧および/または発泡圧によって発泡性樹脂を非発泡樹脂の内側に入り込ませ、非発泡性樹脂をキャビティの先端まで充填するとともに、非発泡性樹脂をキャビティ外面(金型内面)に沿わせた状態とする。そして、金型内で両樹脂を冷却硬化させることで、非発泡性樹脂と発泡性樹脂とが一体となって形成される。
ストッパー23の径方向の厚みは、管10の厚みと同等となっている。受け口部21の内径と、管10の外径と、が同径となっている。また、管10の内径と、継手本体22の
内径と、が同径となっている。
継手本体22では、断熱層25が、継手本体22が延びる方向の全域にわたって配置されている。言い換えると、断熱層25は、継手本体22の断面視で継手本体22がなすL字状の流路に沿って延びている。図示の例では、継手本体22における断熱層25は、継手本体22の内周部31と外周部32との間に形成されている。
受け口部21では、断熱層25が、継手本体22との接続部分に限定して配置されている。図示の例では、受け口部21における断熱層25も、受け口部21の内周部31と外周部32との間に形成されている。
ゴム成分としては、ブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン等が挙げられる。芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
シアン化ビニルモノマーとしては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどが挙げられる。
シアン化ビニルモノマーに由来する単位の含有量が上記下限値以上であると、引張強さを向上させることができる。シアン化ビニルモノマーに由来する単位の含有量が上記上限値以下であると、衝撃強さを向上させることができる。
ABS樹脂及び/又はAES樹脂で構成される非発泡性樹脂は、芳香族ビニルモノマーに由来する単位の含有量が、非発泡性樹脂の総質量に対して15質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上50質量%以下がより好ましい。
芳香族ビニルモノマーに由来する単位の含有量が上記下限値以上であると、押込み硬さを向上させることができる。芳香族ビニルモノマーに由来する単位の含有量が上記上限値以下であると、衝撃強さを向上させることができる。
PGC/MS)を用いた分析により求められる。
PGC/MSの測定により第一の樹脂における各成分の含有量を算出する方法について説明する。
ここで、アクリロニトリル、ゴム成分、スチレンの各成分は熱分解による解重合率(重合体が単量体に分解する割合)が異なるため、各成分のピークの面積(X)を、熱分解による各成分の解重合率(Y)で割ったものを各成分のピーク面積(Z)とする。各成分の解重合率(Y)は、アクリロニトリル:0.15、ゴム成分:0.10、スチレン:1.0である。
なお、断熱層25を構成する発泡性樹脂は、上記した非発泡性樹脂と同じ材料を用いることができ、断熱層25と非発泡部分とは同一の樹脂で構成されていることが好ましい。
ここで、受け口部21の軸方向の大きさL、および受け口部21内における断熱層25の軸方向の大きさFはそれぞれ、ストッパー23の規制面23Aからの軸方向の大きさを指す。
0.03<F/L<0.5…(1)
なお、受け口部21の軸方向の大きさLは、例えば、15mm以上40mm以下である。断熱層25の軸方向の大きさFは、例えば、1mm以上8mm以下であり、好ましくは3mm以上8mm以下である。
4<L/T<13…(2)
さらに、L/Tは、好ましくは5より大きく10未満であり、より好ましくは6より大きく9未満である。なお、受け口部21における径方向の厚みTは、2.5mm以上6mm以下である。ここで、受け口部21における径方向の厚みTとは、受け口部21のうち、径方向の大きさが最も小さい部分(厚みが最も薄い部分)の厚みを指す。
また、断熱層25と、管10の発泡層11と、は径方向に互いに重なり合って配置されている。
図3に示す第1変形例の管継手20Bのように、外周部32の段部24に形成された傾斜面24Aを、前述した管継手20よりも緩やかにしてもよい。
具体的には、傾斜面24Aのうち、継手本体22の外周部32と連なる部分の軸方向の位置が、継手本体22の流路の内側に配置された断熱層25よりも継手本体22側に位置してもよく、この場合、継手本体22の外周部32と連なる部分の軸方向の位置からストッパー23の規制面23Aまでの距離が、受け口部21の径方向の厚みTよりも大きくなり、断熱層25を構成する発泡性樹脂を受け口部21に到達させやすくなる。
この管継手20Cは、T字状をなす継手本体22Cと、3つの受け口部21と、を備えている。
この管継手20Dは、直筒状をなす継手本体22Dと、同軸に配置された2つの受け口部21と、を備えている。
すなわち、F/Lが0.03よりも大きいので、受け口部21における断熱層25の大きさを確保することで、受け口部21に結露が生じるのを確実に抑制することができる。これにより、管10と受け口部21との接続部分に環状弾性体を設ける必要が無い。一方、仮にF/Lが0.03以下の場合には、受け口部21に結露が生じやすくなる。
また、継手本体22と受け口部21との接続部分に径方向に張り出した段部24が形成されている。このため、成形時に段部24を通して受け口部21に樹脂が流れ込みやすくすることが可能になり、管継手20の成形性を確保することができる。
置されている。このため、管継手20における管10の接続部分の断熱性能を確保することが可能になり、管継手20に結露が生じるのを抑えることができる。
詳述すると、管10が管軸に対して斜めに切断された場合に、管10の断面を通る面が管継手20のストッパー23の規制面23Aと平行でなくなる。このため、ストッパー23とパイプ断面との間に隙間が生じて、管10の発泡層11と管継手20の断熱層25とが連続しない箇所が生じるため、当該隙間の大きさだけ結露が生じやすくなる。
このような状態であっても、本実施形態においては、受け口部21内の断熱層25と、管10内の発泡層11と、が径方向に重なって配置されている。これにより、受け口部21における断熱層25の長さFを、管10が斜めに切断された場合に生じる隙間よりも長く設けることによって、結露が生じるのを抑えている。
次に、図6を参照して本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態において前述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。また、同一の作用についてもその説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態に係る管継手20Eでは、受け口部21Eの一部が、別部材により形成されている。言い換えると、受け口部21Eは、継手本体22Eと一体に形成された第1受け口41と、継手本体22Eと別体に形成され、第1受け口41に接続された第2受け口42と、を備えている。
具体的には、予め射出成形された非発泡性樹脂による第2受け口42を、金型のうち、継手本体22を形成するキャビティ内または受口空間を形成するインコアにセットしてから、金型のキャビティ内に非発泡性樹脂および発泡性樹脂を射出する。これにより、継手本体22Eおよび断熱層25を一体に形成することができる。
次に、図7から図9を参照して本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態において前述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。また、同一の作用についてもその説明を省略する。
図7に示すように、本実施形態に係る管継手20Fは、発泡性樹脂からなる断熱層25Fと、非発泡性樹脂と、の二色成形により形成されている。
そして、断熱層25Fと第2のキャビティとの間に非発泡性樹脂を射出することで、継手本体22Fおよび受け口部21Fを断熱層25Fの周囲を取り囲む様に形成することができる。
非発泡性樹脂の温度は、第2のキャビティを備えた金型、または非発泡性樹脂の射出温度を、断熱層25を構成する発泡性樹脂のガラス転移点よりも高い温度にしておくことで調整できる。
その後、継手本体22Fおよび受け口部21Fの内面にある金型を、断熱層25を形成するための第2のキャビティを備えた金型へと交換し、継手本体22Fおよび受け口部21Fと第2のキャビティとの間に発泡性樹脂を射出することで、継手本体22Fおよび受け口部21Fが、断熱層25Fの周囲を取り囲む様に形成してもよい。
この場合には、発泡性樹脂が、継手本体22Fおよび受け口部21Fを構成する非発泡性樹脂のガラス転移点よりも高い温度で射出されることになる。
また、第2変形例として、図9に示す管継手20Hのように、断熱層25Hにより継手本体22Hの外周部32から、ストッパー23および受け口部21Fの外周部にかけて一体に形成してもよい。
次に、図10および図11を参照して本発明の第4実施形態について説明する。なお、本実施形態において前述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。また、同一の作用についてもその説明を省略する。
図11に示すように、本実施形態に係る管継手20Iは、成形時に加圧され、発泡層から非発泡層へと変化する被圧縮部26を備えている。
そして、図11に示すように、金型内の中間材20Jの被圧縮部26を径方向の外側に圧縮することで、被圧縮部26の発泡層が圧縮され、内部の気泡がつぶれることで光透過性を有する非発泡層に変化する。これに伴い、気泡によって光が散乱して不透明であった発泡層が透明な状態に変化する。
その後、この状態のまま管継手20Iを冷却することで、継手本体と透明な受け口部21Jとが一体になった管継手20Iを形成することができる。
なお、中間材20Jの外側から径方向の内側に圧縮するように被圧縮部26を受口の外面に設けても良い。
次に、図12を参照して本発明の第5実施形態について説明する。なお、本実施形態において前述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。また、同一の作用についてもその説明を省略する。
図13に示すように、本実施形態に係る管継手20Kは、成形時に減圧され、非発泡層から発泡層へと変化する被減圧部27を備えている。
そして、金型のうち、継手本体22Kの外周部32に対応する部分を広げることで、外周部32が減圧され被減圧部27が形成される。被減圧部27の非発泡層は、減圧されて膨張することで、内部に気泡が生じて発泡層となる。これに伴い、透明であった非発泡層が、発生した気泡により光が散乱して不透明な状態に変化する。
また、管10がドレン管である構成を示したが、このような態様に限られない。管10はドレン管以外の用途に用いられてもよい。
発泡層11を構成する樹脂組成物として、塩化ビニル系樹脂(重合度640、徳山積水工業社製、商品名「TS−640M」)を100質量部と、錫系安定剤(大協化成工業社製、商品名「STX−80」)を2質量部と、重曹(永和化成工業社製、商品名「セルボンSC−855」)を2.2質量部とを混合した樹脂組成物(B−1)を調製した。
非発泡内層12および非発泡外層13を構成する樹脂組成物として、塩化ビニル系樹脂(重合度1000、徳山積水工業社製、商品名「TS−1000R」)100質量部に、錫系安定剤(大協化成工業社製、商品名「STX−80」)を2質量部混合した樹脂組成物(B−2)を調整した。
図15に示す第1押出成形機61のホッパ66に前記樹脂組成物(B−2)を供給し、第2押出成形機62のホッパ67に前記樹脂組成物(B−1)を供給した。第1押出機68及び第2押出機69における樹脂温度を140℃に設定して、第1押出機68及び第2押出機69から金型70へ各樹脂を供給した。金型70における成形温度を160℃に設定して管状に押出成形し、真空度が−10kPaの真空サイジング装置63に導入し、冷却室84で冷却し、引取機64で引き取った後、切断機65で所定の長さに切断して三層構造の管10を製造した。管10は、外径が48mm、樹脂組成物(B−2)で構成され、厚さが2.0mmの非発泡内層12と、樹脂組成物(B−2)で構成され、厚さが0.5mmの非発泡外層13と、樹脂組成物(B−1)で構成され、非発泡内層12と非発泡外層13の間に形成された厚さが6.0mmの発泡層11と、を備えた三層管であった。
成形温度と真空度を表1のようにしたこと以外は実施例1−1と同様にして管10を製造した。
実施例1−1〜1−3では、発泡倍率および融着強度が、いずれも上記実施形態に係る管10の好適範囲に含まれている。比較例1−1では、発泡倍率は前記好適範囲に含まれているものの、融着強度は前記好適範囲に含まれていない。比較例1−2では、融着強度は前記好適範囲に含まれているものの、発泡倍率は前記好適範囲に含まれていない。
ABS樹脂にポリメタクリル酸メチルを混練した透明な樹脂組成物を非発泡性樹脂組成物とした。この非発泡性樹脂組成物に発泡剤としてアゾジカルボンアミドを混合したものを発泡性樹脂組成物とした。特開平11−201382号に記載された製造方法を参考に、図示しない金型内に設けられた継手本体22を形成するためのキャビティ(空間)に樹脂を供給するためのゲートから、前記キャビティに非発泡性樹脂組成物、発泡性樹脂組成物、非発泡性樹脂組成物の順に射出した。その結果、受け口部21の軸方向の大きさL(mm)、受け口部21の断熱層25の軸方向の大きさF(mm)、受け口部21における径方向の厚みT(mm)が表2、3の様であるエルボ形状の管継手20を製造した。
図18に示すように、油圧疲労試験機(島津製作所社製一連型疲労試験機EHF−ED10−70L)300を用いた。製造した管10の端部に接着剤を塗布し、管継手20の受け口部21に挿入して接続して継手構造1を形成した。継手構造1を、固定治具90及び固定治具92に固定した。1秒間に1回、700kg重(6865N)の応力Fをかけて、管継手20を鉛直方向上向きに引っ張り、伸縮疲労試験を行った。伸縮疲労試験は、管継手20が伸縮破断するか、応力Fを1000回かけるまで行い、管継手20が伸縮破断するまでの応力Fをかける回数を測定した。伸縮疲労耐性は、下記評価基準に従って評価した。
(評価基準)
○:1000回以上。
△:200回以上1000回未満。
×:200回未満。
製造した2本の管10の端部に接着剤を塗布し、製造したエルボ形状の管継手20の2つの受け口部21に挿入して接続して継手構造1を形成した。このとき、管10が斜めに切断された場合を想定し、1つの管10の端面から管継手20のストッパー23の規制面23Aの間に1mmの隙間を設けて接続した。継手構造1を、前記1つの管10の勾配が1/50となる様に恒温室(気温25℃、相対湿度75%)に設置した。継手構造1を恒温室内に1時間放置した後、水温10℃の水を流量3L/時で1時間流しつづけ、管継手20の受け口部21の外面を観察した。結露防止性は、下記評価基準に従って評価した。
(評価基準)
○:結露発生なし。
×:結露が発生。
10 管
20 管継手
21 受け口部
22 継手本体
24 段部
25 断熱層
31 内周部
32 外周部
Claims (5)
- 断熱層が設けられた管継手であって、
管が接続される複数の受け口部を備え、
前記受け口部の中心軸線に沿う軸方向の大きさL(mm)と、前記受け口部内における前記断熱層の前記軸方向の大きさF(mm)と、は、下記(1)式を満たしていることを特徴とする管継手。
0.03<F/L<0.5…(1) - 前記大きさLと、前記中心軸線と直交する径方向の前記受け口部の厚みT(mm)と、は、下記(2)式を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
4<L/T<13…(2) - 前記受け口部は、この受け口部に接続された前記管を、外部から視認できる程度に透明であることを特徴とする請求項1又は2に記載の管継手。
- 前記複数の受け口部を連結する継手本体を備え、
前記継手本体の外周部のうち、前記受け口部との接続部分には、前記中心軸線と直交する径方向に張り出した段部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の管継手。 - 筒状の発泡層を備える管と、
断熱層が設けられ、前記管が接続される管継手と、を備えた継手構造であって、
前記管継手は、前記管が接続される複数の受け口部を備え、
前記断熱層および前記発泡層は、前記受け口部の中心軸線と直交する径方向に、互いに重なって配置されていることを特徴とする継手構造。
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