JP2019173793A - シリンダ装置の製造方法およびシリンダ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内筒の外周側に様々な形状の流路(隔壁)を簡単に形成することができると共に、コストを削減することができるシリンダ装置の製造方法およびシリンダ装置を提供する。【解決手段】緩衝器1は、互いに異なる電位の電極となる内筒3と該内筒3の外側に設けられる電極筒18と、内筒3と電極筒18との間に形成され、軸方向の一端側から他端側に向けて作動流体2が流動する流路21とを有する。緩衝器1の製造方法は、流路21を形成するための熱収縮チューブ20Aを内筒3の外周3B側に被覆状態で接着させる熱処理接着工程と、内筒3の外周3B側に接着した熱収縮チューブ20Aを任意の形状に削り取って内筒3の外周3B側から除去する除去工程と、除去工程の後に内筒3を電極筒18内に挿入する挿入工程とを有している。【選択図】図6
Description
本発明は、例えば自動車、鉄道車両等の車両の振動を緩衝するのに好適に用いられるシリンダ装置の製造方法およびシリンダ装置に関する。
一般に、自動車等の車両には、車体(ばね上)側と各車輪(ばね下)側との間にシリンダ装置が設けられている。ここで、シリンダ装置には、作動流体として電気粘性流体を用いて減衰力を調整するものが知られている。このような減衰力調整式のシリンダ装置は、互いに異なる電位の電極となる内筒電極と該内筒電極の外側に設けられる外筒電極と、内筒電極と外筒電極との間に形成され、軸方向の一端側から他端側に向けて電気粘性流体が流動する流路とを有している。この場合、電気粘性流体が流動する流路は、内筒電極の外周側に巻回された隔壁(流路形成部材)により螺旋状に形成されている。これにより、電圧が印加される流路を長くして、減衰力の可変幅を大きくしている。
ここで、隔壁を内筒電極の外周側に形成するには、隔壁を接着剤等により内筒電極の外周側に螺旋状に巻付けながら接着させる方法がある。また、射出成型により隔壁を内筒電極の外周側に固着させる方法も知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
ところで、隔壁を内筒電極の外周側に巻付けながら接着させる方法は、作業者により隔壁の巻付け方にばらつきが発生する虞がある。また、射出成型による隔壁の固着方法は、内筒電極の径違い毎および流路の形状毎に成形型を用意しなければならないので、シリンダ装置の製造時間が増大したり、コストが増加したりする虞がある。
本発明の目的は、内筒電極の外周側に様々な形状の流路(隔壁)を簡単に形成することができると共に、コストを削減することができるシリンダ装置の製造方法およびシリンダ装置を提供することにある。
上述した課題を解決するため、本発明は、互いに異なる電位の電極となる内筒電極と該内筒電極の外側に設けられる外筒電極と、前記内筒電極と前記外筒電極との間に形成され、軸方向の一端側から他端側に向けて電気粘性流体が流動する流路と、を有するシリンダ装置の製造方法であって、前記流路を形成するための絶縁素材を前記内筒電極の外周側に被覆状態で接着させる絶縁素材接着工程と、前記内筒電極の外周側に接着した前記絶縁素材を任意の形状に削り取って前記内筒電極の外周側から除去する除去工程と、前記除去工程の後に前記内筒電極を前記外筒電極内に挿入する挿入工程と、を有することを特徴としている。
また、本発明は、電界により流体の性状が変位する電気粘性流体が封入され、内部にロッドが挿入されるシリンダ装置であって、互いに異なる電位の電極となる内筒電極と該内筒電極の外側に設けられる外筒電極と、前記内筒電極と前記外筒電極との間に形成され、軸方向の一端側から他端側に向けて前記ロッドの少なくとも伸び側の移動により前記電気粘性流体が流動する流路と、を有し、前記内筒電極の外周面には、加熱することにより収縮する熱収縮チューブが任意の形状に除去された状態で接着されており、前記熱収縮チューブが除去された前記内筒電極の除去外周面には、除去によって生じた除去痕が形成されていることを特徴としている。
本発明によれば、内筒電極の外周側に様々な形状の流路を簡単に形成することができると共に、コストを削減することができる。
以下、実施形態によるシリンダ装置について、4輪自動車等の車両に設けられる緩衝器に適用した場合を例に挙げ、図1ないし図9に従って説明する。
図1において、シリンダ装置としての緩衝器1は、内部に封入する作動油等の作動流体2として機能性流体(即ち、電気粘性流体)を用いた減衰力調整式の油圧緩衝器(セミアクティブダンパ)として構成されている。緩衝器1は、例えばコイルばねからなる懸架ばね(図示せず)と共に、車両用のサスペンション装置を構成する。なお、以下の説明では、緩衝器1の軸方向の一端側を「上端」側とし、軸方向の他端側を「下端」側として記載するが、緩衝器1の軸方向の一端側を「下端」側とし、軸方向の他端側を「上端」側としてもよい。
緩衝器1は、内筒3、外筒4、ピストン6、ピストンロッド9、ボトムバルブ13、および電極筒18等を含んで構成されている。内筒3は、軸方向に延びる円筒状の筒体として形成され、内部に機能性流体である作動流体2が封入されている。また、内筒3の内部には、ピストンロッド9が挿入されている。内筒3の外側には、外筒4および電極筒18が設けられている。なお、本実施形態では、内筒3を内筒電極としており、電極筒18を外筒電極としている。
内筒3は、下端側がボトムバルブ13のバルブボディ14に嵌合して取付けられており、上端側がロッドガイド10に嵌合して取付けられている。内筒3には、電極間通路19に常時連通する油穴3Aが、径方向の横孔として周方向に離間して複数(例えば、4個)形成されている。即ち、内筒3内のロッド側油室Bは、4個の油穴3Aによって電極間通路19と連通している。そして、内筒3の外周3B側には、後述の隔壁20が螺旋状に巻付けられている。
外筒4は、緩衝器1の外殻をなすもので、円筒体として形成されている。外筒4は、内筒3および電極筒18の外周に設けられており、該電極筒18との間に電極間通路19と連通するリザーバ室Aを形成している。この場合、外筒4は、その下端側がボトムキャップ5により溶接手段等を用いて閉塞された閉塞端となっている。ボトムキャップ5は、ボトムバルブ13のバルブボディ14と共にベース部材を構成している。
外筒4の上端側は、開口端となっている。外筒4の開口端側には、例えばかしめ部4Aが径方向内側に屈曲して形成されている。かしめ部4Aは、シール部材12の環状板体12Aの外周側を抜け止め状態で保持している。
ここで、内筒3と外筒4とはシリンダを構成し、該シリンダ内には、作動流体2が封入されている。実施形態では、シリンダ内に充填(封入)される流体、即ち、作動油となる作動流体2として、機能性流体の一種である電気粘性流体(ERF:Electro Rheological Fluid)を用いている。なお、図1では、封入されている作動流体2を無色透明で表している。
電気粘性流体は、電界(電圧)により性状が変化する流体(機能性流体)である。即ち、電気粘性流体は、印加される電圧に応じて粘度が変化し、流通抵抗(減衰力)が変化するものである。電気粘性流体は、例えばシリコンオイル等からなる基油(ベースオイル)と、該基油に混ぜ込まれ(分散され)電界の変化に応じて粘性を可変にする粒子(微粒子)とにより構成されている。
後述するように、緩衝器1は、内筒3と電極筒18との間の電極間通路19内に電界を発生させ、該電極間通路19を通過する電気粘性流体の粘度を制御することで、発生減衰力を制御(調整)する構成となっている。なお、実施形態では機能性流体として電気粘性流体(ER流体)を例に挙げて説明するが、例えば、機能性流体として、磁界により流体の性状が変化する磁性流体(MR流体)を用いてもよい。
内筒3と外筒4との間、より具体的には、電極筒18と外筒4との間には、リザーバとなる環状のリザーバ室Aが形成されている。リザーバ室A内には、作動流体2と共に作動気体となるガスが封入されている。このガスは、大気圧状態の空気であってもよく、また圧縮された窒素ガス等の気体を用いてもよい。リザーバ室A内のガスは、ピストンロッド9の縮小(縮み行程)時に、当該ピストンロッド9の進入体積分を補償すべく圧縮される。
ピストン6は、内筒3内に摺動可能に設けられている。ピストン6は、内筒3内を第1室となるロッド側油室Bと第2室となるボトム側油室Cとに分けている。ピストン6には、ロッド側油室Bとボトム側油室Cとを連通可能とする油路6A,6Bがそれぞれ複数個、周方向に離間して形成されている。
ここで、実施形態による緩衝器1は、ユニフロー構造となっている。このため、内筒3内の作動流体2は、ピストンロッド9の縮み行程と伸び行程との両行程で、ロッド側油室B(即ち、内筒3の油穴3A)から電極間通路19に向けて常に一方向(即ち、図1中に二点鎖線で示す矢印Dの方向)に流通する。
このようなユニフロー構造を実現するため、ピストン6の上端面には、ピストンロッド9の縮小行程(縮み行程)でピストン6が内筒3内を下向きに摺動変位するときに開弁し、これ以外のときには閉弁する縮み側逆止弁7が設けられている。縮み側逆止弁7は、ボトム側油室C内の作動流体2がロッド側油室Bに向けて各油路6A内を流通するのを許し、これとは逆向きに油液が流れるのを阻止する。即ち、縮み側逆止弁7は、ボトム側油室Cからロッド側油室Bへの作動流体2の流通のみを許容する。
ピストン6の下端面には、伸長側のディスクバルブ8が設けられている。伸長側のディスクバルブ8は、ピストンロッド9の伸長行程(伸び行程)でピストン6が内筒3内を上向きに摺動変位するときに、ロッド側油室B内の圧力がリリーフ設定圧を越えると開弁し、このときの圧力を、各油路6Bを介してボトム側油室C側にリリーフする。
ロッドとしてのピストンロッド9は、内筒3内を軸方向(図1の上下方向)に延びている。即ち、ピストンロッド9は、その下端が内筒3内でピストン6に連結(固定)され、その上端がロッド側油室Bを通って内筒3および外筒4の外部へ延出されている。この場合、ピストンロッド9の下端側には、ナット9A等を用いてピストン6が固定(固着)されている。一方、ピストンロッド9の上端側は、ロッドガイド10を介して外部に突出している。なお、ピストンロッド9の下端をさらに延ばしてボトム部(例えば、ボトムキャップ5)側から外向きに突出させた両ロッド形式の緩衝器としてもよい。
内筒3と外筒4の上端側には、これら内筒3と外筒4の上端側を閉塞するように段付円筒状のロッドガイド10が嵌合して設けられている。ロッドガイド10は、ピストンロッド9を支持するもので、例えば金属材料、硬質な樹脂材料等に成形加工、切削加工等を施すことにより所定形状の筒体として形成されている。ロッドガイド10は、内筒3の上側部分および電極筒18の上側部分を、外筒4の中央に位置決めする。これと共に、ロッドガイド10は、その内周側でピストンロッド9を軸方向に摺動可能に案内(ガイド)する。
ここで、ロッドガイド10は、上側に位置して外筒4の内周側に挿嵌される環状の大径部10Aと、該大径部10Aの下端側に位置して内筒3の内周側に挿嵌される短尺筒状の小径部10Bとにより段付円筒状に形成されている。ロッドガイド10の小径部10Bの内周側には、ピストンロッド9を軸方向に摺動可能にガイドするガイド部10Cが設けられている。ガイド部10Cは、例えば金属筒の内周面に4フッ化エチレンコーティングを施すことにより形成されている。
一方、ロッドガイド10の外周側で大径部10Aと小径部10Bとの間には、環状の保持部材11が嵌合して取付けられている。保持部材11は、電極筒18の上端側を軸方向に位置決めした状態で保持し、内筒3と電極筒18との間に電極間通路19を形成するスペーサとなっている。保持部材11は、例えば電気絶縁性材料(アイソレータ)により形成され、内筒3およびロッドガイド10と電極筒18との間を電気的に絶縁した状態に保っている。
ロッドガイド10の大径部10Aと外筒4のかしめ部4Aとの間には、環状のシール部材12が設けられている。シール部材12は、中心にピストンロッド9が挿通される孔が設けられた金属性の環状板体12Aと、該環状板体12Aに焼き付等の手段で固着されたゴム等の弾性材料からなる弾性体12Bとを含んで構成されている。シール部材12は、弾性体12Bの内周がピストンロッド9の外周側に摺接することにより、ピストンロッド9との間を液密、気密に封止(シール)する。
内筒3の下端側には、該内筒3とボトムキャップ5との間に位置してボトムバルブ13が設けられている。ボトムバルブ13は、ボトム側油室Cとリザーバ室Aとを連通・遮断するものである。このために、ボトムバルブ13は、バルブボディ14と、伸び側逆止弁15と、ディスクバルブ16とを含んで構成されている。バルブボディ14は、ボトムキャップ5と内筒3との間でリザーバ室Aとボトム側油室Cとを画成する。
バルブボディ14には、リザーバ室Aとボトム側油室Cとを連通可能とする油路14A,14Bがそれぞれ周方向に間隔をあけて形成されている。バルブボディ14の外周側には、段差部14Cが形成され、該段差部14Cには、内筒3の下端内周側が嵌合して固定されている。また、段差部14Cには、環状の保持部材17が内筒3の外周3B側に嵌合して取付けられている。
伸び側逆止弁15は、バルブボディ14の上面側に設けられている。伸び側逆止弁15は、ピストンロッド9の伸長行程でピストン6が上向きに摺動変位するときに開弁し、これ以外のときには閉弁する。伸び側逆止弁15は、リザーバ室A内の油液(作動流体2)がボトム側油室Cに向けて各油路14A内を流通するのを許し、これとは逆向きに油液が流れるのを阻止する。即ち、伸び側逆止弁15は、リザーバ室A側からボトム側油室C側への作動流体2の流通のみを許容する。
縮小側のディスクバルブ16は、バルブボディ14の下面側に設けられている。縮小側のディスクバルブ16は、ピストンロッド9の縮小行程でピストン6が下向きに摺動変位するときに、ボトム側油室C内の圧力がリリーフ設定圧を越えると開弁し、このときの圧力を、各油路14Bを介してリザーバ室A側にリリーフする。
保持部材17は、電極筒18の下端側を軸方向に位置決めした状態で保持し、内筒3と電極筒18との間に電極間通路19を形成するスペーサとなっている。保持部材17は、例えば電気絶縁性材料(アイソレータ)により形成され、内筒3およびバルブボディ14と電極筒18との間を電気的に絶縁した状態に保っている。また、保持部材17には、電極間通路19をリザーバ室Aに対して連通させる複数の油路17Aが形成されている。
内筒3の外側、即ち内筒3と外筒4との間には、軸方向に延びる電極筒18が設けられている。電極筒18は、内筒3と外筒4との間の中間筒となるもので、筒状の外筒電極に相当する。電極筒18は、導電性材料を用いて形成され、筒状の電極を構成するものである。電極筒18は、内筒3との間にロッド側油室Bと連通する電極間通路19を形成している。
即ち、電極筒18は、内筒3の外周3B側に軸方向(上下方向)に離間して設けられた保持部材11,17を介して取付けられている。電極筒18は、内筒3の外周3B側を全周にわたって取囲むことにより、電極筒18の内部(電極筒18の内周側と内筒3の外周3B側との間)に環状の通路、即ち作動流体2が流通する電極間通路19を形成している。電極間通路19(即ち、内筒3の外周3B面と電極筒18の内周面との間)には、軸方向に対して傾斜角度を持った複数(4本)の隔壁20が形成されている。そして、隣り合う隔壁20間は、内筒3の油穴3Aから流出した作動流体2が流通する後述の流路21となっている。
電極間通路19は、内筒3に径方向の横孔として形成された油穴3Aを通じてロッド側油室Bと常時連通している。即ち、図1で作動流体2の流れの方向を矢印Dで示すように、緩衝器1は、ピストン6の圧縮行程および伸び行程の両方で、ロッド側油室Bから油穴3Aを通じて電極間通路19内に作動流体2が流入する。電極間通路19内に流入した作動流体2は、ピストンロッド9が内筒3内を進退動するとき(即ち、縮み行程と伸び行程を繰返す間)に、この進退動により電極間通路19の軸方向の上端側から下端側に向けて流動する。
このとき、電極間通路19内の作動流体2は、各隔壁20によって案内されつつ各隔壁20間の流路21を流動する。即ち、ピストンロッド9の伸び側の移動と縮み側の移動とにより、作動流体2が内筒3内から電極間通路19に流入し、流路21内を軸方向の一方側(上端側)から他方側(下端側)に向けて流動する。そして、電極間通路19内に流入した作動流体2は、電極筒18の下端側から保持部材17の油路17Aを介してリザーバ室Aへと流出する。
電極間通路19は、外筒4および内筒3内でピストン6の摺動によって流通する流体、即ち、作動流体2となる電気粘性流体に抵抗を付与する。このために、電極筒18は、電源となるバッテリ22の正極に、例えば高電圧を発生する高電圧ドライバ(図示せず)を介して接続されている。バッテリ22(および高電圧ドライバ)は、電圧供給部(電界供給部)となり、電極筒18は、電極間通路19内の流体である作動流体2、即ち電気粘性流体に電界(電圧)をかける電極(エレクトロード)となる。この場合、電極筒18の両端側は、電気絶縁性の保持部材11,17によって電気的に絶縁されている。一方、内筒3は、ロッドガイド10、ボトムバルブ13、ボトムキャップ5、外筒4、高電圧ドライバ等を介して負極(グランド)に接続されている。
高電圧ドライバは、緩衝器1の減衰力を可変に調整するためのコントローラ(図示せず)から出力される指令(高電圧指令)に基づいて、バッテリ22から出力される直流電圧を昇圧して電極筒18に供給(出力)する。これにより、電極筒18と内筒3との間、即ち電極間通路19内には、電極筒18に印加される電圧に応じた電位差が発生し、電気粘性流体である作動流体2の粘度が変化する。この場合、緩衝器1は、電極筒18に印加される電圧に応じて、発生減衰力の特性(減衰力特性)をソフト(Soft)な特性(軟特性)とハード(Hard)な特性(硬特性)との間で連続的に調整することができる。なお、緩衝器1は、減衰力特性を連続的でなくとも、2段階または複数段階に調整可能なものであってもよい。
ここで、緩衝器1の減衰力可変幅は、主に内筒3と電極筒18との間で隔壁20(螺旋部材)によって形成される流路21の長さによって決まる。従って、より大きな減衰力可変幅を得るために、電極間通路19内に螺旋状の隔壁20を形成して作動流体2が流動する流路21を長くしている。
流路形成部材としての複数本の隔壁20は、内筒3と電極筒18との間を軸方向の一端側(上端側)から他端側(下端側)へと螺旋状に延びている。各隔壁20は、例えば4本形成され、内筒3と電極筒18との間に後述の複数本(4本)の流路21を形成するものである。各隔壁20は、電気的絶縁性を有する高分子材料を含む合成樹脂等の樹脂材料により形成されている。各隔壁20は、内筒3の外周3B側にそれぞれ固着されている。各隔壁20を内筒3の外周3B側に固着する方法については、後で詳しく説明する。
図2に示すように、各隔壁20よりも上側の位置でかつ、各隔壁20の上端部と軸方向に対向(対面)する位置には、内筒3の油穴3Aが設けられている。即ち、内筒3の油穴3Aと各隔壁20の上端部は、軸方向に一致するように配置されている。なお、油穴3Aの位置は、これに限らず、例えば各隔壁20よりも上側の位置でかつ、各隔壁20間に設けられていてもよい。
各流路21は、隣り合う隔壁20間に形成されている。即ち、電極間通路19には、4本の隔壁20間に4本の流路21が形成されている。各流路21には、ピストンロッド9の進退動に伴って、軸方向の上端側から下端側に向けて作動流体2が流動する。図2に示すように、各隔壁20は、内筒3の外周3B側に上端側から下端側に向けて周方向に延びる螺旋状に形成されている。これにより、隣り合う隔壁20間に形成される流路21も、上端側から下端側に向けて周方向に延びる螺旋状となっている。
各流路21は、内筒3の軸方向の上側(油穴3A側)から下側に見て時計回りの方向に巻回している。これにより、軸方向に直線的に延びる流路と比較して、油穴3Aから保持部材17の油路17Aまでの流路の長さを長くできる。
バッテリ22は、正極が図示しない高電圧ドライバを介して電極筒18に接続されている。このバッテリ22は、電極筒18への電圧供給部(電界供給部)となっている。これにより、バッテリ22は、電極間通路19内を流通する作動流体2(電気粘性流体)に印加される電圧(電界)の大きさに応じて、発生減衰力の特性(減衰力特性)をソフト(Soft)な特性(軟特性)とハード(Hard)な特性(硬特性)との間で連続的に調整している。
本実施形態による緩衝器1は、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
緩衝器1を自動車等の車両に実装するときは、例えばピストンロッド9の上端側を車両の車体側に取付け、外筒4の下端側(ボトムキャップ5側)を車輪側(車軸側)に取付ける。車両の走行時には、路面の凹凸等により、上,下方向の振動が発生すると、ピストンロッド9が外筒4から伸長、縮小するように変位する。このとき、コントローラからの指令によりバッテリ22を用いて電極間通路19内に電位差を発生させ、電極間通路19内の各流路21を通過する作動流体2、即ち電気粘性流体の粘度を制御することにより、緩衝器1の発生減衰力を可変に調整する。
ピストンロッド9の伸び行程時には、内筒3内のピストン6の移動によってピストン6の縮み側逆止弁7が閉じる。ピストン6のディスクバルブ8の開弁前には、ロッド側油室Bの油液(作動流体2)が加圧され、内筒3の油穴3Aを通じて電極間通路19内に流入する。このとき、ピストン6が移動した分の油液は、リザーバ室Aからボトムバルブ13の伸び側逆止弁15を開いてボトム側油室Cに流入する。
一方、ピストンロッド9の縮み行程時には、内筒3内のピストン6の移動によってピストン6の縮み側逆止弁7が開き、ボトムバルブ13の伸び側逆止弁15が閉じる。ボトムバルブ13(ディスクバルブ16)の開弁前には、ボトム側油室Cの油液がロッド側油室Bに流入する。これと共に、ピストンロッド9が内筒3内に進入した分に相当する油液が、ロッド側油室Bから内筒3の油穴3Aを通じて電極間通路19内に流入する。
従って、いずれの場合も(伸び行程時も縮み行程時も)、電極間通路19内に流入した作動流体2は、電極間通路19の電位差(電極筒18と内筒3との間の電位差)に応じた粘度で電極間通路19内(流路21)を出口側(下側)に向けて通過し、電極間通路19から保持部材17の油路17Aを通じてリザーバ室Aに流れる。このとき、緩衝器1は、電極間通路19内の各流路21を通過する作動流体2の粘度に応じた減衰力が発生し、車両の上下振動を緩衝(減衰)することができる。
次に、内筒3の外周3Bに隔壁20を固着して流路21を形成する場合の製造方法について、図3から図9を参照して説明する。この場合、流路21の製造方法は、図9に示すように、熱処理接着工程(ステップ1)、冷却工程(ステップ2)、除去工程(ステップ3)、仕上げ加工工程(ステップ4)、および挿入工程(ステップ5)の5工程からなる。
まず、ステップ1では、電極間通路19の流路21を形成するための熱収縮チューブ20A(絶縁素材)を内筒3の外周3B側に被覆状態で接着させる絶縁素材接着工程としての熱処理接着工程が行われる。この熱収縮チューブ20Aは、加熱することにより収縮する筒状となっており、加熱前(収縮前)では内径が内筒3の外径よりも大きくなっている。図3に示すように、熱処理接着工程では、まず熱収縮チューブ20Aの内周20A1または内筒3の外周3Bに接着剤を塗布した状態で、内筒3を熱収縮チューブ20A内に挿入する。この接着剤は、例えば加熱することにより硬化する熱硬化性接着剤を用いることができる。
次に、図4に示すように、加熱装置31(ヒータ)により、内筒3と熱収縮チューブ20Aとを加熱する。加熱装置31は、例えば電源31Aと、電源31Aに接続された導線31Bと、導線31Bに接続された電熱線31Cとを含んで構成されている。電熱線31Cは、電源31Aから電力が供給されることにより発熱する。ここで、熱収縮チューブ20Aは、加熱されることにより収縮する収縮率が予め決まっている。従って、熱収縮チューブ20Aを加熱装置31により規定の温度で規定の時間加熱することで、熱収縮チューブ20Aを内筒3の外周3Bに一定の厚みで密着(接着)させることができる。
この場合、収縮後の熱収縮チューブ20Aの厚みは、内筒3と電極筒18との間の径方向寸法(隙間寸法)、即ち電極間通路19の径方向寸法(高さ寸法)に対応している。また、熱収縮チューブ20Aの軸方向の長さ寸法は、流路21の上端(入口側)から下端(出口側)に対応している。
次のステップ2では、熱収縮チューブ20Aを硬化させるための冷却工程が行われる。図5に示すように、冷却工程では、例えば冷却装置32を用いて、内筒3と内筒3の外周3B側に接着した熱収縮チューブ20Aとを冷却する。冷却装置32は、例えばチラーユニット32Aと、チラーユニット32Aに接続された冷媒管路32Bと、冷媒管路32Bに接続された冷却体32Cとを含んで構成されている。チラーユニット32Aは、冷媒(例えば、エチレングリコール等を含んだ液体)を図5中に示す矢印E方向で冷媒管路32Bに流通させて冷却体32Cとの間に循環させる。これにより、冷却体32Cは、内筒3と熱収縮チューブ20Aとを冷却して、熱収縮チューブ20Aを硬化させることができる。
次のステップ3では、内筒3の外周3Bに接着した熱収縮チューブ20Aを任意の形状(例えば、螺旋形状)に削り取るための除去工程が行われる。図6に示すように、除去工程では、例えば切削加工(旋削加工)等により、除去装置33を用いて内筒3の外周3Bに接着された熱収縮チューブ20Aの一部を内筒3から削り取る。
具体的には、除去装置33は、ベース部33Aと、ベース部33Aに形成され熱収縮チューブ20Aが接着された内筒3が挿通する挿通孔33Bとを含んで構成されている。挿通孔33Bのうち内筒3の挿入側には、内筒3の外径よりも若干大きく熱収縮チューブ20Aの外径よりも小さい孔径に形成された切刃33B1が周方向に亘って設けられている。そして、切刃33B1には、周方向に離間して複数個(例えば、4個)の隔壁形成孔33B2が径方向外側に向けて凹むように形成されている。
この隔壁形成孔33B2の深さ寸法は、熱収縮チューブ20Aの厚さよりも大きくなっており、内筒3の外周3B側に熱収縮チューブ20Aを残して隔壁20を形成するものである。即ち、隔壁形成孔33B2の個数および形状は、隔壁20の個数および形状に対応している。換言すると、隣合う隔壁形成孔33B2間は、切刃33B1により熱収縮チューブ20Aが内筒3から削り取られる部分であり、流路21となる部分に対応している。
そして、図6に示すように、除去工程では、まずモータ34の回転軸34Aに内筒3を挿入(圧入)して、回転軸34Aを一定の回転数(速度)で回転させることで内筒3と熱収縮チューブ20Aとを矢印F方向に回転させる。次に、除去装置33を内筒3に向けて移動させ、除去装置33の挿通孔33Bに内筒3と熱収縮チューブ20Aとを軸方向から挿入(移動)させる。これにより、内筒3の外周3B側の全周に亘って被覆状態で接着された熱収縮チューブ20Aは、除去装置33の切刃33B1により螺旋状に削り取られ(除去され)、各隔壁形成孔33B2を通過する熱収縮チューブ20Aが内筒3の外周3Bに螺旋状に変形された状態で残り、この残った部分が隔壁20となる。
この場合、モータ34の回転速度を変化させたり、除去装置33の移動速度を変化させたりすることで、内筒3の外周3Bに様々な角度の隔壁20を簡単に形成することができる。また、このように熱収縮チューブ20Aを削り取ることで、内筒3の長さおよび流路21の長さに拘わらず、隔壁20を形成することができる。さらに、挿通孔33B(切刃33B1)の孔径および隔壁形成孔33B2の個数を変更するだけで、簡単に任意の形状の隔壁20を形成することができる。従って、例えば流路(隔壁)の仕様毎に成形型を製造する必要がないので、内筒3の外周3B側に様々な形状の流路を短い時間で形成することができると共に、コストを削減することができる。
次のステップ4では、熱収縮チューブ20Aが除去された内筒3の除去外周面3B1の表面粗さを任意の粗さに加工する仕上げ加工工程が行われる。図7に示すように、熱収縮チューブ20Aが除去された内筒3の除去外周面3B1には、熱収縮チューブ20Aの除去痕20Bが残留している。即ち、除去痕20Bは、除去装置33の切刃33B1が内筒3の外周3Bから熱収縮チューブ20Aを削り残した残留物である。
内筒3の除去外周面3B1は、流路21の底面を構成しているので、除去痕20Bが残留していると流路21を流通する作動流体2の流れが不規則になり、緩衝器1の減衰力特性が不安定になる虞がある。そこで、仕上げ加工工程では、研磨装置35を用いて内筒3の除去外周面3B1に残留した除去痕20Bを削り取り、除去外周面3B1の表面粗さを任意の粗さに加工(研磨)する。これにより、流路21を流通する作動流体2の流れを円滑にすることができるので、緩衝器1の減衰力特性を安定させることができる。また、仕上げ加工工程では、内筒3の上端側で各隔壁20の上方に対応する位置に油穴3Aをそれぞれ穿設する。なお、この油穴3Aは、仕上げ加工工程で形成する場合に限らず、仕上げ加工工程よりも以前の工程で形成してもよい。
次のステップ5では、内筒3を電極筒18の内部に挿入(圧入)する挿入工程が行われる。図8に示すように、挿入工程では、隔壁20が固着された内筒3を電極筒18の内部に圧入する。即ち、隔壁20は、内筒3の外周3B側から径方向外側に向けて突出しているので、内筒3は隔壁20と電極筒18の内周側とが接触しながら電極筒18の内部に圧入される。
また、図1に示すように、内筒3は、上端側が電極筒18の上端とほぼ同じ位置となり、下端側が電極筒18の下端から突出するように電極筒18の内部に圧入される。これにより、内筒3の外周3B側と電極筒18の内周側との間に電極間通路19を形成させることができる。また、電極間通路19には、内筒3の外周3B側に螺旋状に巻回された4本の隔壁20により4本の螺旋状の流路21を形成させることができる。
そして、一体化された内筒3と電極筒18とを外筒4内に挿入して、内筒3の下端側をバルブボディ14に嵌合させると共に、電極筒18の下端側を保持部材17に保持させる。その後、ピストン6およびピストンロッド9を内筒3の内部に挿入してから、内筒3の上端側をロッドガイド10に嵌合させると共に、電極筒18の上端側を保持部材11に保持させる。そして、外筒4の開口端を径方向内側に屈曲させてかしめ部4Aを形成することにより緩衝器1を製造する(組立てる)ことができる。
かくして、本実施形態では、まず内筒3の外周3B側を全周に亘って熱収縮チューブ20A(絶縁素材)で被覆した後に、流路21となる部分の熱収縮チューブ20Aを削り取る(切削する)ことで隔壁20を形成している。これにより、例えば上述した従来技術のような隔壁20を形成するための成形型が不要となるので、内筒3に隔壁20を速やかに成形することができると共に、緩衝器1のコストを削減することができる。
また、隔壁20は、切削加工(旋削加工)により内筒3の外周3B側に形成しているので、内筒3の長さ違い、内筒3の径違い、および隔壁20(流路21)の様々な形状に対応することができ、簡単に仕様違いの隔壁20(流路21)を形成することができる。
また、隔壁20を型成形した場合には、成形型と内筒3との寸法精度が高くなければ隔壁20の寸法に大きな誤差が生じ、その後に隔壁20の修正処理を行わなければならない虞がある。また、隔壁20を内筒3の外周3B側に巻付けるようにして接着させる場合には、作業者により隔壁20の仕上がりに違いが発生する虞がある。しかし、本実施形態では、切削加工により隔壁20を精度よく成形することができるので、生産性を向上させることができる。
また、本実施形態では、絶縁素材として筒状の熱収縮チューブ20Aを用いている。熱処理前の熱収縮チューブ20Aの内径は、内筒3の外径よりも大きくなっているので、簡単に熱収縮チューブ20A内に内筒3を挿入させることができる。そして、熱収縮チューブ20Aを加熱することにより、内筒3の全周に亘って熱収縮チューブ20Aを簡単に接着させることができる。
また、本実施形態では、熱収縮チューブ20Aを切削除去した後に内筒3の除去外周面3B1を研磨装置35で研磨して、除去外周面3B1に残留した除去痕20Bを取り除いている。これにより、流路21を流通する作動流体2の流れを円滑にすることができるので、緩衝器1の減衰力特性を安定させることができる。
なお、実施形態では、絶縁素材接着工程を熱処理接着工程として、絶縁素材に熱収縮チューブ20Aを用いた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば絶縁素材接着工程は、絶縁素材としての樹脂材料を射出成型等により内筒3の外周3Bを覆うように接着してもよいし、樹脂材料を塗布して内筒3の外周3Bを覆うように接着してもよい。
実施形態では、4本の隔壁20を成形した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば隔壁20を1〜3本または5本以上成形してもよい。また、隔壁20は、内筒3の外周3B側に螺旋状に巻回して成形した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば隔壁を内筒3の軸方向で波形状にしたり、一部分を屈曲したり任意の形状に成形してもよい。
実施形態では、除去工程として、モータ34により熱収縮チューブ20Aが接着された内筒3を回転させ、除去装置33を軸方向に移動させた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばモータ34により熱収縮チューブ20Aが接着された内筒3を回転させながら、除去装置33の挿通孔33Bに向けて移動させてもよいし、熱収縮チューブ20Aが接着された内筒3を固定し、除去装置33を回転させながら軸方向に移動させてもよい。
実施形態では、冷却工程として、冷却装置32を用いて内筒3に接着した熱収縮チューブ20Aを冷却して硬化させた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば冷却工程として、内筒3および熱収縮チューブ20Aを自然状態で冷却させてもよい。
実施形態では、緩衝器1を上下方向に配置する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばエアレーションを起こさない範囲で傾けて配置する等、取付対象に応じて所望の方向に配置することができる。
実施形態では、内筒3を内筒電極としており、電極筒18を外筒電極とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、電極筒を内筒電極としてもよく、外筒を外筒電極としてもよい。つまり、径方向に隣り合う筒が互いに異なる電位の電極となるようにすればよい。例えば、内筒と外筒との2つの筒によりシリンダ装置を構成し、これら内筒と外筒とをそれぞれ内筒電極と外筒電極としてもよい。
実施形態では、作動流体2は、軸方向の上端側(一端側)から下端側(他端側)に向けて流動する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、緩衝器1の配設方向に応じて、例えば下端側から上端側に向けて流動する構成、左端側(または右端側)から右端側(または左端側)に向けて流動する構成、前端側(または後端側)から後端側(または前端側)に向けて流動する構成等、軸方向の他端側から一端側に向けて流動する構成とすることができる。
実施形態では、シリンダ装置としての緩衝器1を4輪自動車に用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば2輪車に用いる緩衝器、鉄道車両に用いる緩衝器、一般産業機器を含む各種の機械機器に用いる緩衝器、建築物に用いる緩衝器等、緩衝すべき対象を緩衝する各種の緩衝器(シリンダ装置)として広く用いることができる。さらに、実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。即ち、シリンダ装置(緩衝器)は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更が可能である。
以上説明した実施形態に基づくシリンダ装置の製造方法およびシリンダ装置として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
第1の態様としては、互いに異なる電位の電極となる内筒電極と該内筒電極の外側に設けられる外筒電極と、前記内筒電極と前記外筒電極との間に形成され、軸方向の一端側から他端側に向けて電気粘性流体が流動する流路と、を有するシリンダ装置の製造方法であって、前記流路を形成するための絶縁素材を前記内筒電極の外周側に被覆状態で接着させる絶縁素材接着工程と、前記内筒電極の外周側に接着した前記絶縁素材を任意の形状に削り取って前記内筒電極の外周側から除去する除去工程と、前記除去工程の後に前記内筒電極を前記外筒電極内に挿入する挿入工程と、を有することを特徴としている。
第2の態様としては、第1の態様において、前記絶縁素材は、加熱することにより収縮する筒状の熱収縮チューブであり、前記絶縁素材接着工程は、前記熱収縮チューブ内に前記内筒電極を挿入した後に、前記熱収縮チューブを加熱することで前記内筒電極に接着させる熱処理接着工程となっており、前記熱処理接着工程後には、前記内筒電極と前記熱収縮チューブとを冷却し、前記内筒電極に接着した前記熱収縮チューブを硬化させる冷却工程を有することを特徴としている。
第3の態様としては、第1,第2の態様において、前記除去工程は、前記内筒電極と前記絶縁素材を削り取る除去装置とのうち少なくともいずれか一方を回転させて前記絶縁素材を任意の形状に変形させることを特徴としている。
第4の態様としては、第1,第2,第3の態様において、前記除去工程後には、前記絶縁素材が除去された前記内筒電極の除去外周面の表面粗さを任意の粗さに加工する仕上げ加工工程を有することを特徴としている。
第5の態様としては、電界により流体の性状が変位する電気粘性流体が封入され、内部にロッドが挿入されるシリンダ装置であって、互いに異なる電位の電極となる内筒電極と該内筒電極の外側に設けられる外筒電極と、前記内筒電極と前記外筒電極との間に形成され、軸方向の一端側から他端側に向けて前記ロッドの少なくとも伸び側の移動により前記電気粘性流体が流動する流路と、を有し、前記内筒電極の外周面には、加熱することにより収縮する熱収縮チューブが任意の形状に除去された状態で接着されており、前記熱収縮チューブが除去された前記内筒電極の除去外周面には、除去によって生じた除去痕が形成されていることを特徴としている。
1 緩衝器(シリンダ装置)
2 作動流体(電気粘性流体)
3 内筒(内筒電極)
3B 外周
3B1 除去外周面
9 ピストンロッド(ロッド)
18 電極筒(外筒電極)
20 隔壁
20A 熱収縮チューブ(絶縁素材)
20B 除去痕
21 流路
2 作動流体(電気粘性流体)
3 内筒(内筒電極)
3B 外周
3B1 除去外周面
9 ピストンロッド(ロッド)
18 電極筒(外筒電極)
20 隔壁
20A 熱収縮チューブ(絶縁素材)
20B 除去痕
21 流路
Claims (5)
- 互いに異なる電位の電極となる内筒電極と該内筒電極の外側に設けられる外筒電極と、
前記内筒電極と前記外筒電極との間に形成され、軸方向の一端側から他端側に向けて電気粘性流体が流動する流路と、
を有するシリンダ装置の製造方法であって、
前記流路を形成するための絶縁素材を前記内筒電極の外周側に被覆状態で接着させる絶縁素材接着工程と、
前記内筒電極の外周側に接着した前記絶縁素材を任意の形状に削り取って前記内筒電極の外周側から除去する除去工程と、
前記除去工程の後に前記内筒電極を前記外筒電極内に挿入する挿入工程と、を有することを特徴とするシリンダ装置の製造方法。 - 前記絶縁素材は、加熱することにより収縮する筒状の熱収縮チューブであり、
前記絶縁素材接着工程は、前記熱収縮チューブ内に前記内筒電極を挿入した後に、前記熱収縮チューブを加熱することで前記内筒電極に接着させる熱処理接着工程となっており、
前記熱処理接着工程後には、前記内筒電極と前記熱収縮チューブとを冷却し、前記内筒電極に接着した前記熱収縮チューブを硬化させる冷却工程を有することを特徴とする請求項1に記載のシリンダ装置の製造方法。 - 前記除去工程は、前記内筒電極と前記絶縁素材を削り取る除去装置とのうち少なくともいずれか一方を回転させて前記絶縁素材を任意の形状に変形させることを特徴とする請求項1または2に記載のシリンダ装置の製造方法。
- 前記除去工程後には、前記絶縁素材が除去された前記内筒電極の除去外周面の表面粗さを任意の粗さに加工する仕上げ加工工程を有することを特徴とする請求項1,2または3に記載のシリンダ装置の製造方法。
- 電界により流体の性状が変位する電気粘性流体が封入され、内部にロッドが挿入されるシリンダ装置であって、
互いに異なる電位の電極となる内筒電極と該内筒電極の外側に設けられる外筒電極と、
前記内筒電極と前記外筒電極との間に形成され、軸方向の一端側から他端側に向けて前記ロッドの少なくとも伸び側の移動により前記電気粘性流体が流動する流路と、
を有し、
前記内筒電極の外周面には、加熱することにより収縮する熱収縮チューブが任意の形状に除去された状態で接着されており、
前記熱収縮チューブが除去された前記内筒電極の除去外周面には、除去によって生じた除去痕が形成されていることを特徴とするシリンダ装置。
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WO2017146155A1 (ja) * | 2016-02-24 | 2017-08-31 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | シリンダ装置およびその製造方法 |
JP2018017266A (ja) * | 2016-07-26 | 2018-02-01 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | ダンパ装置およびその製造方法 |
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